JP2000181095A - 平版印刷用原板及びその製造方法 - Google Patents

平版印刷用原板及びその製造方法

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JP2000181095A
JP2000181095A JP36103698A JP36103698A JP2000181095A JP 2000181095 A JP2000181095 A JP 2000181095A JP 36103698 A JP36103698 A JP 36103698A JP 36103698 A JP36103698 A JP 36103698A JP 2000181095 A JP2000181095 A JP 2000181095A
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JP36103698A
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Takao Nakayama
隆雄 中山
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非印刷面のインキ汚れが少ない平版印刷用原
板を提供すること及びその印刷原板の作成方法を提示す
ること。 【解決手段】 転写又は直接描画によって画像が付与さ
れる画像受容面が、親水性であるか又は画像形成後の後
処理によって親水性となる表面であって、その表面上に
平均粒子径10〜50μmの水溶性又は水膨潤性樹脂粒
子が水に溶解または膨潤しうる状態で担持されている平
版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷用原板、特
に電子写真像形成により平版印刷用原板及びその製造方
法に関する。とりわけ製版プロセスが簡単で、かつイン
キ汚れなどのない高品質の印刷物が得られる軽印刷分野
に適した平版印刷用原板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷法は、印刷原板上に画像を設
け、その画像領域が親油性に、非画像領域が親水性にな
るように処理して印刷版を作成し、画像領域にインキを
受容させ、非画像領域には通常湿し水を与えてインキ反
撥性として印刷を行う方法である。
【0003】一般に印刷原板上に画像を設ける方法は、
転写法と直接描画法の2つに大別される。たとえば、電
子写真法による平版印刷版の作成は、つぎの二つの異な
る方法によって行われる。
【0004】第1の印刷版作成プロセスは下記の工程か
らなっている。すなわち、(i)光導電性顔料を樹脂結
合剤中に分散させた光導電性層を、コロナ放電により均
一に静電的に帯電させる、(ii)帯電した光導電性層を
画像露光して露光部の電荷を像に従って放電させる、
(iii)親油性トナー粒子を帯電させて、ポジ現像又は
反転現像により形成された静電荷パターンを現像する、
(iv)トナーを光導電性層に定着する。定着は通常加熱
によってトナー樹脂粒子を融解し、光導電性層に固定さ
せて行われる。
【0005】このようにして得られた電子写真画像を担
持した原板を、表面処理して平版印刷版とする。表面処
理工程は、非画像領域は水で湿し水を与えてインキ反撥
性となり、画像領域はインキを受容するような性質を付
与する工程である。インキ受容性部分は親油性トナー像
である。
【0006】第2の印刷版作成プロセスは、上記工程
(iii)から得られたトナー像を光導電性層からトナー
受容面に転写し、その上でトナー転写像を定着すること
からなるプロセスである。この方法においては、光導電
性層は、画像形成面を清浄化した後に再使用できる。ト
ナー受容面は光導電性層を必要とせず、任意の通常の非
感光性の平版印刷板で充分である。
【0007】第1の印刷版作成プロセスにおいては、光
伝導層の非画像部にトナーが付着すると、このトナーが
印刷時にインキを受け入れるために、印刷面にインキ汚
れが生じて印刷画面の品質低下をもたらすので、その解
決を必要としている。第2の印刷版作成プロセスにおい
ては、上記の問題点に加えて、画像転写の際に、トナー
が飛散することが多く、それによってさらに非画像部へ
のトナーの付着が増してインキ汚れを引き起こしてい
る。したがって、この点の改善も必要である。
【0008】上記の電子写真法による印刷原板上への画
像の付与に限らず、画像を簡便な方法で原板上に付与す
る必要がある軽印刷分野では、画像の描画や転写にとも
なって非画像領域に付着した画像物質が印刷面を汚し
て、印刷物の画像面の品質を低下させることが多く、そ
の改善が強く要望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、平版印刷分
野における上記の要請に基づいて行われたものであり、
したがって、その目的は平版印刷において印刷原板上へ
の画像付与に伴う印刷物のインキ汚れを解決することで
ある。具体的には、印刷原板上への画像付与が引き起こ
すインキ汚れを減少させた平版印刷用原板を提供するこ
と及びその印刷原板の作成方法を提示することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電子写真法
において画像形成過程におけるトナー粒子の非画像領域
への付着及び画像転写過程におけるトナー粒子の飛散
は、必然的な現象と考えて、付着や飛散の抑止よりもそ
れらが起こっても、インキ汚れとならない方法につい
て、鋭意研究を重ねて、非画像部のインキを受容したト
ナー粒子を選択的に除去する手段を考案し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、下記の手段によ
って達成できる。
【0011】1.転写又は直接描画によって画像が付与
される画像受容面が、親水性であるか又は画像形成後の
後処理によって親水性となる表面であって、該表面上に
平均粒子径10〜50μmの水溶性又は水膨潤性樹脂粒
子が水に溶解または膨潤しうる状態で担持されているこ
とを特徴とする平版印刷用原板。
【0012】2.転写又は直接描画によって付与される
画像が電子写真法による画像であることを特徴とする上
記1に記載の平版印刷用原板。
【0013】3.親水性であるか又は画像付与後の後処
理によって親水性となる画像受容面に、樹脂を溶剤に溶
解又は分散させた液を噴霧又は塗布して、画像受容面上
に平均粒子径10〜50μmの水溶性又は水膨潤性樹脂
粒子を水に溶解または膨潤しうる状態で担持させたこと
を特徴とする平版印刷用原板の製造方法。
【0014】本発明において、印刷原板の印刷面上には
平均粒子径10〜50μmの水溶性又は水膨潤性の樹脂
粒子が分布しており、電子写真法による描画あるいは画
像転写のさいに、上記微粒子が非画像領域に飛散あるい
は付着したトナーを捕獲し、そのトナーが印刷を行う際
にインキを受容しても、微粒子が湿し水に溶解又は膨潤
して版面から除去される際にインキも同時に除去されて
インキ汚れが防止される。すなわち、非画像領域に選択
的に作用する一種のインキスカベンジャーとして作用し
ている。
【0015】水溶性又は水膨潤性樹脂粒子を適切な粒子
サイズと分布密度で原板面に担持させるには、大別する
と水溶性又は水膨潤性樹脂を溶剤に溶解又は分散させた
液を塗布し、溶媒又は分散媒の揮散に伴って塗布面上に
樹脂粒子を形成させ、分布させる塗布方法と、上記樹脂
溶液又は樹脂分散液を静電塗布、静電スプレー、加圧ス
プレーなどによって液滴微粒子にして噴霧して、噴霧を
受けた表面上に粒子として分布させる方法がすぐれてい
るいるが、本発明においては、そのいずれも用いること
ができる。
【0016】水溶性又は水膨潤性の樹脂粒子の大きさを
平均粒子径で表す場合、その平均粒子径は、投影面上の
面積加重平均の粒子径であることが一般的であるが、以
下の記述においても平均粒子径は、この定義による平均
粒子径を指す。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、画像が本来画像受容性
となっている基板単体のみから構成された印刷原板、基
板表面の画像受容性を高める表面処理を施した印刷原
板、基板の上に画像受容層を設けた印刷原板、基板の上
に感光性画像形成層を設けた感光性印刷原板など各種の
平版印刷用印刷原板に広く適用できる。はじめに、本発
明の平版印刷用原板の基板について説明する。本発明に
用いる基板は、寸度的に安定な板状物であり、例えば、
紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板
(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、
プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三
酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロ
ース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポ
リプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセター
ル等)、上記した金属をラミネート又は蒸着した紙及び
プラスチック等が含まれる。
【0018】好ましい基板は、ポリエステルフィルム、
アルミニウム、又は印刷版上で腐食しにくいSUS板で
あり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価である
アルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板
は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分と
し、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウ
ムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィル
ムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、
ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の
異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明に
おいて特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであ
るが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困
難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その
組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素
材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本
発明で用いられる支持体の厚みはおよそ0.05mm〜
0.6mm程度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好
ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0019】アルミニウム基板を用いる場合には、その
表面に、親水化処理が施される。また、必要があれば親
水化処理に先立って、表面の圧延油を除去するための例
えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液など
による脱脂処理が行われる。
【0020】基板が金属、特にアルミニウム基板の場合
には、親水化処理としては、砂目立て処理、珪酸ソー
ダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液へ
の浸漬処理、電解粗面化あるいは陽極酸化処理などの表
面処理が好ましい。また、米国特許第2,714,06
6号明細書に記載されているように、砂目立てしたのち
珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理したアルミニウム板、
米国特許第3,181,461号明細書に記載されてい
るようにアルミニウム板を陽極酸化処理を行った後にア
ルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に
使用される。
【0021】砂目立て方法としては、機械的、化学的お
よび電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機
械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽
石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで
擦りつけるブラシ研磨法などがあり、化学的方法として
は、特開昭54−31187号公報に記載されているよ
うな鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法
が適している。
【0022】電気化学的粗面化の方法としては、塩酸、
硝酸またはこれらの組合せのような酸性電解液中で交流
電解する方法が好ましい。このような粗面化方法の内、
特に特開昭55−137993号公報に記載されている
ような機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面
化方法は、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好
ましい。上記の如き方法による砂目立て及び電気化学的
粗面化は、アルミニウム基板の表面の中心線平均粗さ
(Ra)が0.3〜1.0μmとなるような範囲で施さ
れることが好ましい。このようにして粗面化されたアル
ミニウム基板は必要に応じて水洗および化学的にエッチ
ングされる。
【0023】エッチング処理液は、通常アルミニウムを
溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場
合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘
導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないもの
でなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれ
ば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン
酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質としては
硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等であるが、ア
ルミニウムよりイオン化傾向の低い金属例えば亜鉛、ク
ロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチング表面
に不必要な被膜が形成されてしまうため好ましくない。
このようにして、粗面化されたアルミニウム基板は、必
要に応じて表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極
酸化処理が施される。アルミニウム基板の陽極酸化処理
に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成す
る種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩
酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられ
る。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜
決められる。
【0024】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質
の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流
密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10
秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量
は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、
平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に
傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ
易くなる。
【0025】原板の表面を親水性とするか、または画像
付与後の後処理によって親水性とするには、上記のよう
に基板を粗面化して親水性を付与する加工処理が施して
もよいが、基板の表面に親水性の層又は親水性となりう
る層を設けてもよい。とくにプラスチックシートの基板
の場合には、親水性層を設けることによって表面を親水
性とすることができる。
【0026】好ましい親水性層としては、適度に架橋さ
れた親水性(共)重合体又はその混合物からなる層が挙
げられる。親水性(共)重合体としては、例えばビニル
アルコール、アクリルアミド、メチロールアクリルアミ
ド、メチロールメタクリレート、アクリル酸、メタクリ
ル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチ
ルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー又は無
水マレイン酸/ビニルメチルエーテルコポリマー、酢酸
ビニル/クロトン酸コポリマー等を使用できる。使用す
る(共)重合体又は(共)重合体混合物の親水性度は、
少なくとも60重量%の程度まで加水分解したポリビニ
ルアセテートの親水性度と同じかそれより大きいことが
好ましい。
【0027】そのほか、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルフ
ォルマート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドンの重合物及び共重合物も適切な親水性が保たれてい
る限り使用できる。また、エチルセルローズ、トリアセ
チルセルローズ、ジアセチルセルローズ、ヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、セルローズアセテートブチレ
ート等の半合成ポリマー及びゼラチン、カゼイン等の天
然ポリマーを用いることができる。また、通常印刷原板
に汎用されているポリシロキサンやポリオルガノシロキ
サンなどの親水性層も用いられる。
【0028】親水性層を架橋するために使用する架橋剤
の例には加水分解したテトラメチルオルソシリケート、
加水分解したテトラエチルオルソシリケート、その他の
いわゆるシランカップリング剤、ジイソシアネート、ビ
スエポキサイド、メラミンホルモール及びジメチロール
ウレア、チタネート及びジルコネート化合物がある。
【0029】また、親水性層には、約0.03〜5μの
範囲の平均直径を有する無機微粒子、たとえば二酸化チ
タン、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、チタン酸マグ
ネシウム等及びそれらの混合物をを含有していてもよ
い。これらの微粒子は層の他の構成成分と親和性がよ
く、耐久性の印刷板を形成する相互からみ合ったネット
ワークを形成できる。
【0030】架橋剤の量は、親水性(共)重合体1重量
部について少なくとも0.2重量部、好ましくは0.5
〜2重量部、最も好ましくは1重量部である。顔料は親
水性(共)重合体1重量部について1〜10重量部の量
で混入する。
【0031】親水性層を設ける際には、塗布性を良くす
るため、塗布液に公知のノニオン活性剤、アニオン活性
剤、カチオン活性剤、両性活性剤、含フッ素活性剤界面
活性剤などのいずれかを単独または混合して添加するこ
とができる。
【0032】以上に、基板の上に設けてもよい親水性層
について説明したが、親水性の表面を作るには、そのほ
かセルローストリアセテートなどのセルロースエステル
で作られたプラスチックフィルム基板の表面を加水分解
処理によって一部鹸化して親水性化することもできる。
以上に基板及びその表面の親水性化について説明した。
【0033】次に親水性表面に担持された本発明の水溶
性又は水膨潤性の樹脂粒子について述べる。水溶性又は
水膨潤性の樹脂粒子は、(1)でんぷん、マンナン、デ
キストリン、ガラクトマンナン、ゼラチン・アラビアガ
ムのコアセルベート、水酸化ナトリウム処理したカゼイ
ン粒子などの天然高分子又は天然高分子の加工物の粒
子、あるいは(2)親水性合成高分子の粒子が含まれ
る。上記の天然高分子又は天然高分子の加工物は、必ず
しも一般的な概念の樹脂ではないが、本発明では、これ
らも含めて「樹脂」と呼んでいる。
【0034】(1)天然高分子又は天然高分子の加工物
からなる粒子 水溶性又は水膨潤性の樹脂粒子が、天然高分子又は天然
高分子の加工物であって高分子自体がコロイド粒子を形
成していて、水または水と親水性有機溶媒(メタノー
ル、エタノールなど)との混合溶媒に水和分散する性質
のものである場合は、本発明のとくに好ましい態様であ
って、この場合は、原板上に樹脂粒子として担持させる
ために後に示すスプレーガンを使用してもよいが、その
必要はなく、これらのコロイド分散物をディップコー
ト、ホッパーコート、押し出し塗布、バーコート、スピ
ンコートなど任意の公知の方法によって塗布して、原板
表面上に望ましい密度の樹脂粒子分布をつくることがで
きる。その場合、個々のコロイド分散粒子が表面上に独
立の水膨潤性樹脂粒子として分布する。樹脂粒子の分布
密度は、分散物の濃度と塗布厚みによって調節できる。
好ましい分布密度は、面積当たりの粒子数としては5〜
500個/mm2 、好ましくは50〜200個/mm2
であり、また表面被覆率としては0.1〜10%であ
り、好ましくは0.2〜3%であり、より好ましくは
0.3〜1.0%である。また、樹脂粒子の好ましいサ
イズは、10〜50μm、好ましくは15〜40μmで
ある。
【0035】水溶性又は水膨潤性の樹脂が、天然高分子
又は天然高分子の加工物であるが、高分子自体がコロイ
ド粒子を形成しないが、水または水と親水性有機溶媒
(メタノール、エタノールなど)との混合溶媒に溶解し
て均一液相となる性質のものである場合は、つぎに述べ
る親水性合成高分子による樹脂粒子と同じ方法、すなわ
ち噴霧によって液滴化して原板の印刷面側の表面に担持
することができる。いたがって、この場合についてはつ
ぎの項で述べる方法が適用される。
【0036】(2)親水性合成高分子からなる粒子 印刷原板表面に担持させる樹脂が親水性合成高分子の場
合、水溶性又はアルカリ可溶性を有する樹脂が好まし
い。具体的には、メタクリル酸又はアクリル酸を主成分
とするアクリル共重合体あるいはメタクリル酸又はアク
リル酸のアンモニウム塩を主成分とするアクリル共重合
体、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチル化ポリ
ビニルアルコール、酢酸ビニル・クロトン酸共重合物、
ポリビニルピロリドンなどを用いることができる。
【0037】特に好ましい親水性樹脂としては、下記
(a)、(b)及び(c)に記載した各単量体群の少な
くとも2群から選ばれる単量体単位から合成される共重
合体が挙げられる。
【0038】(a)そのアルキル残基の炭素原子数が1
〜10であるアルキルアクリレート類及びそのアルキル
残基の炭素原子数が1〜6であるアルキルメタクリレー
ト類からなる群から選ばれる少なくとも1つの単量体。
具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレー
ト、n−ヘキシルアクリレート、2.エチルヘキシルア
クリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルア
クリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメ
タクリレート、n−アミルメタクリレート等が挙げら
る。
【0039】(b)水溶性基置換スチレン類、アクリロ
ニトリル類、アクリルアミド類からなる群から選ばれた
少なくとも1つの単量体。具体的には、スチレン−m−
スルホン酸、p−ヒドロキシスチレン、3,5−ジカル
ボキシスチレン、4−カルボキシスチレン、p−ヒドロ
キシスチレン、o−ジメチルアミノスチレン、アクリロ
ニトリル、α−クロロアクリルニトリル、α−ブロモア
クリロニトリル、アクリルアミド、N−sec−ブチル
アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミ
ド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N−tert−
ブチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0040】(c)アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、これらのアルカリ金属塩及びアンモ
ニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1つの単量
体が挙げられる。具体的には、アクリル酸、アクリル酸
ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニ
ウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタク
リル酸カリウム、メタクリル酸アンモニウム、マレイン
酸、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、マレ
イン酸アンモニウム、イタコン酸、イタコン酸ナトリウ
ム、イタコン酸カリウム、イタコン酸アンモニウム等が
挙げられる。
【0041】上記共重合体における共重合比は、親水性
樹脂が得られるかぎり広い範囲で選択できるが、(a)
10〜70重量%、(b)20〜80重量%及び(c)
6〜50重量%が好ましく、特に(a)15〜50重量
%、(b)40〜70重量%、(c)10〜25重量%
である場合が好ましい。
【0042】原板表面に担持させる樹脂粒子は、上記の
樹脂以外の添加剤を含有していてもよい。添加剤として
は、例えば二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、ガラス粒子、アルミナ、重合体粒子(例
えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、フェノ
ール樹脂等の粒子)等の充填剤が挙げられる。
【0043】樹脂を溶解又は分散させる溶剤は、該樹脂
を溶解又は分散するものであればよい。また沸点が50
〜120℃の範囲の溶剤が好ましい。そのような溶剤と
して、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、ブタノール、酢酸エチル、アセトン、メチルエ
チルケトン、トルエン等を挙げることができる。
【0044】溶剤として、その他に、n−ヘキサン、シ
クロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、
3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチ
ルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリ
コールアルキルエーテル類及びそのアセテート(メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エ
チレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ
アセテート、エチルセロソルブアセテート)、ジエチレ
ングリコールモノアルキルエーテル類及びその(ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート)、ジエチレングリ
コールジアルキルエーテル類(ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールメチルエチルエーテル)、トリエチレング
リコールアルキルエーテル類(モノメチルエーテル、モ
ノエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、メチルエチルエーテル)、ギ酸エチル、ギ酸プロピ
ル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカル
ボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メ
チル、乳酸エチル等も用いることができる。
【0045】樹脂を溶剤に溶解又は分散させた液を、例
えばスプレーガンやそれと同じ機能の噴霧装置で微粒子
化した液滴として印刷原板の表面に到達させて、溶剤が
蒸発するのに伴って粒子として表面に分布させる。ま
た、スプレーガンなどの噴霧装置から原板表面に到達す
る間に溶剤が揮発するように溶剤組成とスプレー温度を
設計してもよい。あるいは、液滴が表面に到達後速やか
に溶剤が揮発するように原板を加熱しておいてもよい。
また、必要があれば、粒子と表面との接着を効果的に行
うために粒子を表面に担持させたのちに印刷原板を加圧
する方法も行うことができる。加熱する方法及び加熱及
び加圧する方法としては公知の方法、例えば、40〜1
30°Cの加熱温度の、加熱ロール、赤外線ヒーター、
熱風加熱等による加熱方法を適用してもよい。また、加
圧する方法としては公知の方法、例えば、加圧ロールを
使用し、その圧力は20〜100kg/m2 が好まし
い。
【0046】本発明において、スプレーガンなどの噴霧
装置は、溶液または分散液を加圧してノズル穴を通過さ
せて液滴を形成させ、液滴の微粒子を被塗布物まで到達
させる装置であって、必ずしもスプレーガンと呼ばれる
ものに限らず、公知の各種形状の噴霧ノズルを具備した
噴霧装置を用いるとができる。また、噴霧される液滴の
伝導度が適当であれば、静電気によって帯電した液滴を
形成させる静電塗布装置も用いることができる。これら
の噴霧装置には、エアースプレー、エアーレススプレ
ー、静電エアースプレー、静電霧化スプレー等と呼ばれ
ている噴霧装置が包含される。
【0047】樹脂を溶剤に溶解又は分散させた液を微粒
化する方法としては、高速(1万〜10万rpm)で回
転するカップ又は円盤に樹脂溶液を垂らして微小粒を形
成し、静電及び空気流で広がりや飛行距離を制御する方
式(静電霧化スプレー)のスプレーガンが好ましいが、
本発明に関わる噴霧装置はこれに限定されない。
【0048】噴霧装置のノズルの先端と原板の表面との
距離は、30〜150cmがよく、30cmより小さい
と、噴霧された液が原板表面で濡れ広がってしまい、イ
ンキ捕集粒子として機能しなくなる。一方、150cm
より大きいと、インキ捕集効率が悪くなる。また、感光
層の表面に担持された樹脂の表面との接着性が低下す
る。
【0049】これら溶剤は、1種又は2種以上を混合し
て使用できる。樹脂の濃度は好ましくは5〜40重量
%、より好ましくは10〜40重量%である。液滴の噴
射量は、樹脂溶液又は分散液の濃度にもよるが、一般的
に原板表面1dm2 当たり5〜1000mg,好ましく
は20〜400mg,より好ましくは40〜200mg
であり、少ないと樹脂粒子がインキ捕獲効果を挙げる密
度に達せず、多いと原板上への画像付与に影響すること
もある。いずれにしてもごく少量の樹脂粒子が担持され
るだけで、効果がある。粒子数で表せば、1mm2 当た
り10〜500個、好ましくは50〜200個である。
また表面被覆率としては0.1〜10%であり、好まし
くは0.2〜3%であり、より好ましくは0.3〜1.
0%である。また、樹脂粒子の好ましいサイズは、2〜
100μm、好ましくは5〜80μm、より好ましくは
10〜50μmである。
【0050】樹脂を有機溶剤に溶解又は分散した液が噴
霧され、感光層の表面に到達した時点における該液の粘
度は、2000〜8000cpであるが、好ましくは3
000〜7000cp、より好ましくは4000〜60
00cpである。上記粘度が2000cp未満では十分
な高さの樹脂粒子が得られない。一方、上記粘度が80
00cpを越えると原板表面に担持された樹脂の該表面
との接着性が低下する。
【0051】上記粘度は、スプレーガンから所定の距離
に置いたテフロン板に吹き付けた液をサンプリングし、
B型粘度計で測定した値である。上記粘度の範囲の溶液
又は分散液は、樹脂の溶液又は分散液の樹脂濃度、溶剤
の種類等を変えることにより容易に得ることができる。
【0052】本発明において、印刷原板表面に画像を付
与する方法は、画像転写及び画像描画のいずれでもよ
い。本発明は電子写真法によって画像を付与する場合に
とくに好ましく適用できるが、この場合は、ポリエチレ
ンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなど
の高分子フィルムを基板として使用した転写方式、アル
ミニウム板などの導電性金属基板を用いた直接描画方式
のいずれにも適用できる。
【0053】本発明に使用するのに好適な現像剤は、公
知の2成分又は1成分現像剤組成物である。トナーは一
般に樹脂結合剤、着色剤及び1種以上の添加剤例えば電
荷制御剤及び流動増殖剤を含有する。
【0054】トナー樹脂には、ポリエステル、スチレン
/ブタジエン、スチレン/メタクリレート、スチレン/
アクリレートの共重合体、ポリアミド、ポリエポキサイ
ド、ポリウレタン及びビニル樹脂、2種以上のビニル単
量体のホモポリマー又は共重合体からなるビニル樹脂を
挙げることができる。
【0055】着色像の製造のためのトナーは、フタロシ
アニン染料、キナクリドン染料、トリアリールメタン染
料、硫化染料、アクリジン染料、アゾ染料及び蛍光染料
の群の有機染料又は顔料を含有しうる。また、米国ニュ
ーヨークのAE Isevier Publishing Company Inc. 1950
年発行、Paul Karrer 著、Organic Chemistry に記載の
染料及び顔料を用いることができる。
【0056】無機顔料には、黒色酸化鉄(III)、酸化
銅(II)及び酸化クロム(III)粉末、ミロリブルー、
ウルトラマリンコバルトブルー及び過マンガン酸バリウ
ムを挙げることができる。また、磁性を有するトナー粒
子を得るため、トナー製造中に磁性又は磁化性材料を加
えることができる。
【0057】トナー粒子の大きさは、平均粒子直径が3
〜20μm、好ましくは5〜15μmであり、水溶性又
は水膨潤性樹脂粒子の平均直径よりも小さいことが望ま
しい。
【0058】本発明の基本的電子写真法工程、即ち帯
電、放電、現像、転写、定着及び続いての光導電体の清
浄化は、例えば英国ロンドンのThe Focal Press 1975年
発行、R.M. Schaffert著、Electrophotography拡大改訂
版に記載されている如き専業者に知られている方法で行
う。
【0059】電子写真法によって印刷画像が形成される
場合には、本発明の水溶性又は水膨潤性樹脂粒子が、印
刷用原板表面に担持されていることによるインキ汚れ防
止効果が特に大きいが、それは次のような機構によると
考えられる。すなわち、トナー粒子の固定を熱ローラー
融着法で行う場合、トナー画像を形成した感光性原板又
はトナー画像を転写された原板は、融着器ローラーと加
圧ローラーの間で同時に押圧と加熱を受けて画像の定着
が行われる。その際に、トナー粒子の同時加熱及び押圧
により、トナーかぶり、非画像領域への付着が誘発され
る。
【0060】また、融着器ローラーはシリコーンオイル
で湿らされるが、シリコーンオイルは印刷板全面を疎水
性にするので、印刷版面の地汚れ、即ち印刷工程におい
て非画像領域にトナー付着が、さらに発生する。一方、
赤外線融着においては、黒色像領域が選択的に融着され
るので、トナー汚れの程度は軽減されるが、それでも非
画像領域もある程度の加熱を受けてトナーの付着が起こ
る。
【0061】したがって、電子写真法による画像が付与
された印刷原板を、印刷に供する際、非画像部に付着し
た親油性トナーがインキを受容してインキ汚れとなる。
以上がトナー汚れとそれを印刷に適用したときのインキ
汚れの機構であるが、このときに、印刷面上に水溶性又
は水膨潤性樹脂粒子を担持した本発明の印刷原板には、
画像形成過程あるいは画像転写過程で樹脂粒子がトナー
を吸着したり、飛散を抑制したりする。その樹脂粒子が
エッチング処理液や湿し水に溶解又は膨潤するときにト
ナー粒子や粒子が受容しているインキも流し去るものと
考えられる。
【0062】本発明において、印刷原板表面に画像を付
与する方法として、電子写真法以外に、インクジェット
法、溶融型及び昇華型の感熱転写法、手書きによる直接
描画など親水性の原板表面に新油性の画像を付与できる
方法であれば、いずれも適用できて、インキ汚れを防止
できる。そのインキ汚れ防止作用も、電子写真画像の場
合と同様に非画像領域に付着した画像単体物質を樹脂粒
子が流し去るためと考えられる。
【0063】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 シリカゲルの粉体(平均粒径約1μm)6gを2重量%
ゼラチン水溶液に添加してペイントシェーカー分散機を
用いて均一分散させた塗布液を調製し、これをスピンコ
ーターを用いて下塗り層を設けた厚み80μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルム写真支持体上に塗布し、
続いて乾燥して基板を作成した。乾燥時の塗布層の厚み
は1μmであった。
【0064】平均粒径35μmのでんぷん粒子(精製じ
ゃがいもでんぷん)1gと水酸化ナトリウム0.5gと
を水10ミリリットルと練り合わせてから、35°Cの水を加
えて全量1リットルとしたでんぷんのコロイド水溶液を
調製した。つぎに、このでんぷんコロイド水溶液を、上
記の基板上にスピンコーターを用いて液厚みが2μmに
なるように塗布し、続いて乾燥した。乾燥後の塗布層を
顕微鏡で検鏡したところ、でんぷん粒子の分布密度は、
平均110個/mm2 であった。
【0065】このでんぷん粒子を担持した印刷原板をレ
ーザープリンター OKI Direct Plate 804PS (沖電気
(株)製)を使用して直接文字をレーザー光で記録した
印刷版とした。この版を、サクライ社製オリバー52片
面印刷機にセットし、湿し水に純水、インキに大日本イ
ンキ化学工業(株)製 New Champion F グロス85墨を
用いて、レーザー画像部がインキを受容し、非画像部が
インキを受け入れない印刷版面を作成して500枚の印
刷を行った。印刷した紙面にはインキ汚れが認められな
かった。国際規格(ISO5)の仕様による反射濃度計
によって求めた中性色反射濃度は、印刷する前の印刷用
紙に対して濃度の増加は認められなかった。
【0066】比較例1 実施例1において、でんぷん粒子のコロイド水溶液を塗
布しない以外は、実施例1と同じ方法を繰り返して印刷
を行った。印刷した紙面には、印刷の初めから500枚
を通して明らかなインキ汚れが認められた。また、上記
と同様に反射濃度計によって求めた中性色反射濃度は、
印刷前の印刷用紙よりも0.02の増加が見られた。
【0067】実施例2 99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重量%、
チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケイ素を
0.1重量%含有するJIS A1050アルミニウム
材の厚み0.10mm圧延板を、400メッシュのパミス
トン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回転ナ
イロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてその表
面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。
【0068】これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液
(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニ
ウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングした後、
流水で水洗した。更に、1重量%硝酸で中和し、次に
0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含
有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.
3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、
特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電
流波形)を用いて160クローン/dm2の陽極時電気量
で電解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量
%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム
溶解量が1g/m2になるようにエッチングした後、水洗し
た。次に、50℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬
し、デスマットした後、水洗した。
【0069】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この基板を水洗後、7
0℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間浸
漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られたア
ルミニウム基板は、マクベスRD920反射濃度計で測
定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは0.5
8μmであった。
【0070】つぎにアクリル酸/メチルアクリレート共
重合体(1:1モル比、分子量15万)を水・エタノー
ル(50:50体積比)混合溶媒に溶解した10%溶液
を調製した。この高分子溶液を静電スプレーガンを用い
て噴霧し乾燥して固形化した状態で付着させた後、赤外
線加熱によって液滴を原板表面上に担持させて印刷原板
を作成した。噴霧量は、原板表面1dm2 当たり150
mgであった。また、静電スプレーは、電圧4kV、回
転数4万回転の条件で行い、スプレーノズルから感光層
の表面までの距離を約60cmとした。乾燥後の原板表
面を顕微鏡で検鏡したところ、アクリレート系ポリマー
粒子の分布密度は、平均130個/mm 2 であり、平均
粒子径は、視野での目視測定で20〜40ミクロンであ
った。
【0071】この印刷原板を用いて、感熱記録画像の印
刷を行った。すなわち、Ta-SiO2 発熱抵抗体上にサイア
ロン耐磨耗保護層を設けた150μm×150μmのサ
ーマルヘッドを250μm間隔に並べた感熱プリンター
を用いて、上記アセテートフィルムの表面層と接触させ
て昇温印字を行った。使用したサーマルヘッドは、20
msec通電によって450°Cに達することを別途温
度測定を行って確認した。記録速度は、400msec
/mで行った。
【0072】この版を、サクライ社製オリバー52片面
印刷機にセットし、湿し水に純水、インキに大日本イン
キ化学工業(株)製 New Champion F グロス85墨を用
いて、画像部がインキを受容し、非画像部がインキを受
け入れない印刷版面を作成して500枚の印刷を行っ
た。印刷した紙面にはインキ汚れが認められなかった。
国際規格(ISO5)の仕様による反射濃度計によって
求めた500枚目の印刷面の中性色反射濃度は、印刷す
る前の印刷用紙と同じであった。
【0073】比較例2 実施例2において、原板表面にアクリレート系ポリマー
微粒子を担持させない以外は、実施例2と同じ方法を繰
り返して印刷を行った。印刷した紙面には、印刷開始か
ら350枚目からインキ汚れが認められた。また、上記
と同様に反射濃度計によって求めた500枚目の印刷面
の中性色反射濃度は、印刷前の印刷用紙よりも0.01
の増加が見られた。
【0074】実施例3 表面に下塗り層を設けた写真用セルローストリアセテー
トフィルム支持体(厚み122ミクロン)に実施例1と
同じ方法ででんぷん粒子を担持させた。このフィルムを
印刷原板とし、電子写真複写機(富士ゼロックス(株)
製、Able-1302-α) の差し込みトレーにこの印刷原板を
入れて、黒白画像の印刷原稿から画像を焼き付けてトナ
ー画像を得て、これを印刷版とした。 つぎに、この電
子写真画像を持つフィルムを印刷版として実施例1と同
じ印刷機、湿し水及びインキを用いて画像部がインキを
受容し、非画像部がインキを受け入れない印刷版面を作
成して500枚の印刷を行った。印刷した紙面にはイン
キ汚れが認められなかった。国際規格(ISO5)の仕
様による反射濃度計によって求めた500枚目の印刷面
の中性色反射濃度は、印刷する前の印刷用紙の濃度と同
じであった。
【0075】比較例3 実施例3において、原板表面にでんぷん粒子を担持させ
ない以外は、実施例3と同じ方法を繰り返して印刷を行
った。印刷した紙面には、印刷開始から350枚目から
インキ汚れが認められた。また、上記と同様に反射濃度
計によって求めた500枚目の印刷面の中性色反射濃度
は、印刷前の印刷用紙よりも0.01の増加が見られ
た。
【0076】実施例4 実施例1のポリエチレンテレフタレートフィルムの代わ
りに次のように親水性層を設けたポリエチレンテレフタ
レートフィルムを使用した以外は、すべて実施例1と同
じ方法で、水分散性でんぷん微粒子を担持させた原板を
作製した。下塗した厚さ80ミクロンのポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に、2100gの5%TiO2
水分散液、580mlの水、500mlの部分加水分解
させたTMOSの5%分散液、200gの1%カーボン
ブラック分散液、湿潤剤及びpH4を得るための量の水
酸化ナトリウムを含有する組成物を塗布して印刷原板を
作った。層の湿潤厚さは15μであった。この原板を使
用して、実施例1と同じ方法で印刷版を作製して500
枚の印刷を行った。印刷した紙面にはインキ汚れが認め
られなかった。国際規格(ISO5)の仕様による反射
濃度計によって求めた中性色反射濃度は、印刷する前の
印刷用紙に対して増加は認められなかった。
【0077】比較例4 実施例4において、水分散性でんぷん微粒子を担持させ
た原板表面に担持させる工程を省いた以外は、実施例4
と同じ方法で製作した印刷原板を用いて、実施例4と同
じ操作で印刷版を作成して印刷を行った。印刷した紙面
には、印刷の初めからインキ汚れが認められた。また、
上記と同様に反射濃度計によって求めた中性色反射濃度
は、印刷の初めから終わりまでの印刷紙面のいずれも印
刷前の印刷用紙よりも0.02の増加が見られた。
【0078】
【発明の効果】転写又は直接描画によって画像が付与さ
れる画像受容面に平均粒子径が10〜50μmの水溶性
又は水膨潤性微粒子を担持させた本発明の平版印刷用原
板は、電子写真法の画像を印刷版にして印刷するに際し
て、インキ汚れを防止できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写又は直接描画によって画像が付与さ
    れる画像受容面が、親水性であるか又は画像形成後の後
    処理によって親水性となる表面であって、該表面上に平
    均粒子径10〜50μmの水溶性又は水膨潤性樹脂粒子
    が水に溶解または膨潤しうる状態で担持されていること
    を特徴とする平版印刷用原板。
  2. 【請求項2】 転写又は直接描画によって付与される画
    像が電子写真法による画像であることを特徴とする請求
    項1に記載の平版印刷用原板。
  3. 【請求項3】 親水性であるか又は画像付与後の後処理
    によって親水性となる画像受容面に、樹脂を溶剤に溶解
    又は分散させた液を噴霧又は塗布して、該受容面上に平
    均粒子径10〜50μmの水溶性又は水膨潤性樹脂粒子
    を水に溶解または膨潤しうる状態で担持させたことを特
    徴とする平版印刷用原板の製造方法。
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