JP4588182B2 - 平版印刷用刷版および平版印刷用刷版の製造方法 - Google Patents

平版印刷用刷版および平版印刷用刷版の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷用刷版材料に関し、特に、熱溶融転写記録媒体(インクリボン)を用いた熱溶融転写記録法による製版が可能で、印刷地汚れがなく、印刷ベタ画像濃度が均一で、耐刷性に優れた平版印刷用刷版材料に関する。
なお本発明でいう熱溶融転写記録法とは、インクリボンのインク層にワックスを使用して熱によって溶融したインク層を被記録材に転写させる狭義の熱溶融転写記録法の他、親油性樹脂バインダーが含有されたインクリボンのインク層を熱によって接着させて被記録材に転写させる熱接着転写記録も含むものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のコンピュータ及び周辺機器の発達により各種デジタルプリンタを使用した平版印刷版の製版方法が提案されている。このような平版印刷版の製版方法は、その画像部の形成方法の違いにより、乾式電子写真法レーザプリンタにより製版するもの(特開平6-138719号、特開平6-250424号、特開平7-1847号等)、熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンタを用いて製版するもの(特開平9-58144号)、熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンタで製版するもの(特開昭63-166590号)などがある。
【0003】
上記各種デジタルプリンタによる製版方法は、従来の、ハロゲン化銀感光材料或いは感光性樹脂が保水性付与表面に塗布された平版印刷版の製版方法と異なり、取り扱い上安全光の制約がなく、また画像記録後の水性現像液による現像処理を必要としない点で簡便容易に平版印刷版を製版できる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記デジタルプリンタによる製版方法は、いずれも保水性付与表面に対し感脂性(即ち、平版印刷インク着肉性)記録画像を転写することにより形成してしているため、次のような問題がある。
【0005】
1)画像を形成する層が親水性であるためトナーやインク等の付着が十分ではなく、例えば転写トナー画像濃度の不足、転写画像の白抜けのような問題がある。
2)転写画像の定着性が不良のため、耐刷性が不十分で、特に網点画像の小点の脱落などの問題がある。
3)非画像部に少量のトナーが不規則に転写されたり、熱転写インクリボンがこすれることにより、全体的な薄い地かぶりやゴースト或いは薄い地汚れが発生する場合がある。
【0006】
特に熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンタによる製版の場合、次のような問題もあった。
4)熱転写インクリボンのインク層の転写性は被転写面が平滑なほうが良好であるのに対し、一般に保水性付与表面は保水性を高めるために凹凸が付与されているため、画像状に均一なインク層の転写性が得られない。
5)保水性付与表面は、表面の多孔質性により外部湿度の影響を受けやすく、高湿度環境において、表面に吸着水を持ちやすく、熱転写インクリボンのインク層の転写が阻害される。
【0007】
そこで本発明は、インクリボンを用いた熱溶融転写記録法による製版が可能な平版印刷用刷版材料であって、インクリボンのインク層の転写性、定着性に優れ、地汚れや耐刷性低下の問題のない平版印刷用刷版材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の平版印刷用刷版は、支持体上に保水性付与層を設けてなる平版印刷用刷版材料であって、前記保水性付与層上に、加熱によって水に不溶化する水現像性のオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層は、親油性樹脂エマルジョンと、重合度が1000以上のポリビニルアルコールを少なくとも含んで構成されている平版印刷用刷版材料を用いて製造されるものであり、熱転写記録法によりインクリボンのインク層を熱転写させることによって所定パターンで形成された平版印刷インクを着肉させるための画像部と、前記画像部の背面に前記画像部と同パターンで形成された水不溶化で水現像不能な不溶化膜と、前記不溶化膜の背面に順次配置される保水性付与層及び支持体とを有することを特徴とする。本発明の好適な態様において、平版印刷用刷版材料におけるポリビニルアルコールの含有量は、固形分重量比で、親油性樹脂エマルジョン100に対し5を超え20以下であることを特徴とする。またオーバーコート層は、最低造膜温度が60℃以上120℃以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の平版印刷用刷版材料は、オーバーコート層にインクリボンのインク層を熱転写することにより画像部が形成される。転写されたインク層は、親油性であり、これにより画像部は平版印刷インク着肉性を付与される。インク層の熱転写と同時に、オーバーコート層(の画像部)は熱転写時の熱によってエマルジョン粒子が自己融着造膜して水(蒸留水)に対して不溶化し、保水性付与層に強固に接着する。一方、オーバーコート層の造膜しなかった部分(非画像部)は、水洗(水現像)することにより除去され、表面に保水性付与層が現れ、平版印刷インクをはじく部分となる。
【0010】
本発明の平版印刷用刷版材料の一態様において、保水性付与層は不感脂化処理によって親水化する顔料あるいは親水性顔料及び高分子バインダーを含む。不感脂化処理によって親水化する顔料を含む場合には、保水性付与層は水現像後に不感脂化処理することによって平版印刷インクをはじく部分とすることができる。
親水性顔料を含む場合には、保水性付与層に予め保水性が付与される。
【0011】
以下、本発明の平版印刷用刷版材料について詳細に説明する。
本発明において、支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム、これらプラスチックフィルムを表面にラミネートした耐水紙或いはプラスチックを表面に塗工した耐水紙を使用することができる。特に機械的強度、寸法安定性、耐薬品性、耐水性に優れたポリエステルフィルムが好適である。
【0012】
支持体の厚さは、サーマルプリンタの記録適性及び平版印刷機適性等の観点から50μm〜300μm程度が好適である。
【0013】
このような支持体は、保水性付与層との接着性を高めるために、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、下引き処理などの処理を施してもよい。下引層としては、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、分子鎖末端にヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体等から選択される樹脂を用いることができる。下引層の厚さは、通常乾燥膜厚0.1μm〜10μm程度とする。
【0014】
下引層には、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、シリカ、アルミナ、導電性酸化錫、導電性酸化インジウム、導電性ウィスカー、炭酸カルシウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエチレン樹脂等の高分子の微粒子を含有せしめることができる。これら微粒子を添加することにより支持体と保水性付与層との接着性を向上し、保水性付与層の表面の粗さを調節することができる。また微粒子として導電性微粒子を用いることにより支持体に帯電防止性を付与することができる。このような微粒子は添加の目的によっても異なるが、固形分重量比で下引層を構成する樹脂100に対し3〜300添加することができる。
【0015】
保水性付与層は、不感脂化処理によって保水性が付与される層或いは予め保水性を付与された層で、前者の場合、不感脂化処理によって親水化する顔料(以下、親水化顔料という)と高分子バインダーを含む。後者の場合、親水性顔料と親水性高分子バインダーを用いる。
【0016】
高分子バインダーとしては、1)ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルブチラール等の高分子樹脂エマルジョン、2)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性樹脂、3)ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、硝酸セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、不飽和ポリエステル等の有機溶剤可溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上併用することができる。
【0017】
有機溶剤可溶性樹脂としては、顔料の分散性に優れ、また保水性付与層に優れた保水性と耐水性を付与できることからメタクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸エステル共重合体或いはポリビニルブチラールが好適である。
【0018】
また水溶性樹脂を用いた場合には、不感脂化処理をしなくても保水性付与層を保水性にすることができる。なお、水溶性樹脂を用いる場合には、保水性付与層の耐水性及び機械的強度を向上させるため、硬化剤(耐水化剤)を適量併用することが好ましい。硬化剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物等、樹脂の架橋を促すことによって耐水性を付与するものを用いることができる。また水溶性樹脂を用いる場合には、高分子樹脂エマルジョンとの併用も好ましい。
【0019】
保水性付与層の顔料としては、高分子バインダーとして有機溶剤可溶性樹脂を用いる場合、酸化亜鉛等の親水化顔料を用いる。これら親水化顔料は不感脂化処理液(エッチ液)によって保水性付与層表面を親水化する。例えば、酸化亜鉛は不感脂化処理液により亜鉛キレート物を形成し、親水化した表面を作る。酸化亜鉛は、乾式法、湿式法いずれの製造方法で製造されたものでもよく、平均粒子径が0.01μm〜10μm、好適には0.1μm〜1μmのものを用いる。保水性付与層の高分子バインダーとして水溶性樹脂を用いた場合には、親水化顔料は必須ではないが好適には酸化チタン、シリカなどの親水性顔料を含むことが望ましい。酸化チタンは硫酸法、塩素法いずれの製造方法で製造されたものでもよく、平均粒子径が、0.01μm〜10μm、好適には0.5μm〜2.0μmのものを用いる。
【0020】
保水性付与層は、表面の凹凸を調節したり、保水性を改良するために、必要に応じて他の顔料を含むことができる。このような顔料として、具体的には炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、アルミナ等の無機微粒子、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機微粒子が挙げられる。これら顔料は、平均粒子径が1μm〜10μmの範囲のものを用いることが好ましい。
【0021】
またこれらの親水化顔料、親水性顔料、その他の顔料の合計含有量は、固形分重量比で高分子バインダー100に対し好ましくは150以上、より好ましくは300以上とする。但し、顔料の添加量が多くなると、塗膜が脆くなり耐刷性の低下などを招くことになるので、好ましくは1000以下、より好ましくは900以下とする。
【0022】
保水性付与層の厚さは特に限定されないが、通常1μm〜10μm程度とする。
【0023】
本発明の平版印刷用刷版材料のオーバーコート層は、上記保水性付与層の上に形成され、保水性付与層を外部湿度から保護するとともに、インクリボンのインク層が熱転写される被転写面を平滑にする機能を有する。更にオーバーコート層は、そのままでは水に溶解或いは膨潤し、水現像性を有するが、熱が印加されると水に対し不溶化し、不溶化膜を形成(造膜)する。このようなオーバーコート層を設けることにより、良好なインク層の転写性が得られるとともに、熱転写による画像部形成後はインク層と保水性付与層とを強固に接着し、インク層の定着性を向上し、耐刷性を高めることができる。
【0024】
本発明のオーバーコート層は、好適には親油性樹脂エマルジョンを含み、より好適には親油性樹脂エマルジョンとポリビニルアルコールを含む。
【0025】
親油性樹脂エマルジョンは熱の印加によって造膜し、不溶化するもので、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等から選ばれるモノマーの共重合体エマルジョンが用いられる。具体的にはエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、アクリル・スチレン共重合体、アクリル・塩化ビニル共重合体等のエマルジョンである。特にエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体のエマルジョンが好適である。
【0026】
親油性樹脂エマルジョンの造膜温度は、エマルジョンを構成するモノマーの共重合比、添加される造膜添加剤や可塑剤の種類、添加量によって調整することができ、また熱記録の温度によっても異なるが、本発明のオーバーコート層はその最低造膜温度が60℃以上120℃以下であることが好ましい。最低造膜温度が60℃未満であると、温度管理されていない製品流通、保存環境においてエマルジョンが造膜して熱かぶりを生じ、水洗除去できない可能性がある。また最低造膜温度が120℃を超えると、本発明の平版印刷用刷版材料に画像記録する際に、多大の記録エネルギーを要し、実用的な記録スピードを得ることができない。
【0027】
ポリビニルアルコールは、画像記録後、オーバーコート層を水洗して除去する際に、非画像部の膨潤性、溶解性を促進するとともに、加熱された画像部においては結晶化によって耐水性を高める。これにより画像部と非画像部の境界を鮮明にすることができる。またポリビニルアルコールは、オーバーコート層を塗工する場合に、塗工液に適度な粘度と保護コロイド性を与える機能も有する。
【0028】
ポリビニルアルコールとしては、重合度500〜2400、好ましくは1000〜2000であって、鹸化度75〜100モル%のものを用いる。ポリビニルアルコールは、オーバーコート層の塗工液に水溶液として添加される。
【0029】
親油性樹脂エマルジョン及びポリビニルアルコールの混合比は、保水性付与層が不感脂化処理によって保水性が付与される層の場合には、固形分重量比で親油性樹脂エマルジョン100に対しポリビニルアルコール3〜100、好適には5〜20である。保水性付与層が予め保水性を付与された層の場合には、固形分重量比で親油性樹脂エマルジョン100に対しポリビニルアルコール0.5〜20、好適には1〜5である。
【0030】
親油性樹脂エマルジョンに対しポリビニルアルコールの添加量が多すぎる場合、サーマルプリンタによる画像記録においてインクリボンのインク層の転写性が低下する。また画像記録後のオーバーコート層の水洗除去工程において転写インク層からなる画像部の耐水性が不足し、特に小ポイントの文字の一部や網点画像の小点が流出する場合がある。
【0031】
一方、親油性樹脂エマルジョンに対しポリビニルアルコールの添加量が少なすぎる場合、画像記録後のオーバーコート層の水洗除去工程において保水性付与層表面に付着した親油性樹脂エマルジョンの水洗除去が不十分となり、非画像部の保水性を阻害して印刷物に地汚れをもたらす。
【0032】
オーバーコート層の膜厚は、0.1μm〜5μm程度である。オーバーコート層の膜厚が不足した場合、一定の表面粗さを有し、平滑でない保水層表面を実質的に平滑にするオーバーコート層の効果が得られず、インクリボンのインク層の転写性、定着性の向上をはかることができない。
またオーバーコート層の膜厚が厚すぎる場合、画像記録後のオーバーコート層の水洗除去工程や製版後の印刷工程において、画像部の耐水性や機械的強度が低下して画像部の欠落をもたらす。
【0033】
保水性付与層及びオーバーコート層は、それぞれ上述した材料のほか必要に応じて分散剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等の添加剤を含有せしめることができる。
【0034】
本発明の平版印刷用刷版材料は、上述した各層を構成する材料をそれぞれ適当な溶剤に溶解又は分散した塗工液を、支持体上に公知のコーティング方法で順次塗布、乾燥することにより製造することができる。但し、乾燥時の熱でオーバーコート層が熱変性しないようにするため、オーバーコート層の乾燥処理は50℃以下の雰囲気で30秒〜10分程度とすることが好ましい。
【0035】
尚、本発明の平版印刷用刷版材料は、下引層、保水性付与層及びオーバーコート層の他に必要に応じ導電層、帯電防止層、支持体のカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を設けることができる。
【0036】
次に上述した本発明の平版印刷用刷版材料を用いた製版方法について説明する。
本発明の平版印刷用刷版材料は、インクリボンを用いた熱溶融転写記録方法によってオーバーコート層上に親油性の画像部を形成するとともにこの部分のオーバーコート層を不溶化する。
【0037】
インクリボンとしては、紙あるいはフィルムの被記録材にハードコピーを作成するための熱溶融転写記録法に用いられるものを用いることができるが、厚さ3μm〜6μmのポリエステルフィルム支持体に厚さ0.5μm〜4μmの親油性のワックス樹脂混合バインダータイプあるいは親油性樹脂バインダータイプのインク層を設けたものが好ましい。親油性のインク層は、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス、キャンデリワックス、モンタンワックス、ラノリンワックス等の融点が60〜120℃のワックス類、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アミド樹脂、ポリテルペン樹脂等の軟化点が60〜200℃の樹脂類、カーボンブラック等の着色性粗面化剤及び分散剤よりなる。
【0038】
またインクリボンは、インク層の上に、オーバーコート層とインク層の接着力を向上させ、インク層の転写性を向上させるための層を設けたものであってもよい。
【0039】
また熱溶融転写記録法に用いるサーマルプリンタは、記録エネルギー密度が、10mJ/mm2〜100mJ/mm2であることが好ましい。
【0040】
インクリボンのインク層の熱転写後、インク層が転写されず不溶化しなかったオーバーコート層の非画像部は水現像によって水洗除去される。水現像は、流水で流すか水浴に浸漬して行ってもよいし、水を含ませたスポンジ状のもので非画像部をふき取ってもよい。
【0041】
オーバーコート層を除去した部分に現れた保水性付与層が、予め保水性を有する場合には、上記水現像により平版印刷用刷版が得られる。保水性付与層を不感脂化処理する必要がある場合には、水現像後、さらに不感脂化処理液で処理し、平版印刷用刷版とする。不感脂化処理液としては、燐酸/フェリシアン化カリウムを主剤とするシアン系処理液やフィチン酸を主剤とするノンシアン系処理液等公知のものを使用することができる。
【0042】
このようにして得られる平版印刷用刷版では、インク層が熱転写された画像部が、親油性であり平版印刷インク着肉性の層となる。このインク層は、凹凸のある保水性付与層に直接熱転写されるのではなく、平滑なオーバーコート層に熱転写されるので、良好なインク層の転写性が得られ、しかもオーバーコート層が熱転写時の熱によって不溶化することによってインク層と保水性付与層との接着が強化され、良好なインク層の定着性が得られる。これにより耐刷性の高い平版印刷用刷版を得ることができる。
【0043】
また保水性付与層は、オーバーコート層の下にあって、熱転写時にインクリボンがこすれたりしても直接汚れが付着することがないので地かぶりや地汚れのない平版印刷用刷版が得られる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。以下の実施例において「部」、「%」は特に示さない限り重量基準である。
【0045】
[実施例1]
厚さ100μmのポリエステルフィルムに下記処方の下引層塗工液を塗工し、90℃の温風で2分間乾燥し、乾燥膜厚5μmの下引層を形成した。
【0046】
[下引層塗工液]
・メタクリル酸メチル・
ポリスチレンマクロモノマー共重合体
(固形分30%) 30部
・ポリエステル樹脂(固形分40%) 2部
(バイロン200:東洋紡績社)
・シリカ微粉末 1.5部
(サイリシア770:富士シリシア化学社)
・トルエン 20部
・メチルエチルケトン 50部
【0047】
下記処方の保水性付与層塗工液用混合物にガラスビーズ100部を加えてペイントシェーカーで2時間分散した後、分散液にシリカ微粉末(サイリシア730:富士シリシア化学社)5部を加えて、さらに3分間分散し、保水性付与層塗工液とした。この塗工液を上記下引層の上に塗工し、120℃の温風で2分間乾燥して、膜厚9μmの保水性付与層を形成した。
【0048】
[保水性付与層塗工液用混合物]
・ポリビニルブチラール 5部
(エスレックBL-S:積水化学工業社)
・酸化亜鉛微粒子 30部
(SAXEX#2000:堺化学工業社)
・トルエン 55部
【0049】
下記処方のオーバーコート層塗工液を、保水性付与層の上に塗工し、40℃の温風で4分間乾燥し、膜厚2μmのオーバーコート層を形成し、本発明の平版印刷用刷版材料を得た。
【0050】
[オーバーコート層塗工液]
・エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン
(固形分45%、最低造膜温度70℃) 20部
(アクアテックスHA-1100:中央理化工業社)
・ポリビニルアルコール(10%水溶液) 10部
(鹸化度80モル%、重合度1700)
(ゴーセノールKH-17:日本合成化学社)
【0051】
このように作製した平版印刷用刷版材料に、熱転写インクリボン(ワープロ共通インクリボンタイプEW、黒)を使用して、ダイレクトサーマルプリンタ(東芝パーソナルワープロRupo F550(シリアル型サーマルヘッド))の記録モード(熱転写用紙、印字濃度8)で画像を記録した。次いで平版印刷用刷版材料を水洗し、さらに不感脂化処理液(PPクリ―ンH:日研化学)で処理し、非画像部分を不感脂化して平版印刷用刷版を得た。この刷版をオフセット印刷機(RYOBI3200ACD:リョービ社)用いて印刷し、印刷性能及び耐刷性を評価した。
【0052】
印刷性能は、地汚れの有無および画像部の白抜けの有無を目視で確認し評価した。耐刷性は、得られた印刷物の10ポイントの明朝文字の一部に欠落が生じるまでの枚数を調べた。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例2]
厚さ100μmのポリエステルフィルムに下記処方の下引層塗工液を塗工し、90℃の温風で2分間乾燥し、乾燥膜厚5μmの下引層を形成した。
【0054】
[下引層塗工液]
・ポリエステル樹脂(固形分40%) 25部
(バイロン200:東洋紡績社)
・イソシアネートプレポリマー(固形分60%) 2部
(タケネートD110N:武田薬品工業社)
・シリカ微粉末 1部
(サイリシア770:富士シリシア化学社)
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
【0055】
下記処方の保水性付与層塗工液用混合物にガラスビーズ100部を加えてペイントシェーカーで2時間分散した後、分散液に硬化剤としてグリオキサール40%溶液(和光純薬)3部を加えて、保水性付与層塗工液とした。この塗工液を上記下引層の上に塗工し、140℃の温風で4分間乾燥して、膜厚7μmの保水性付与層を形成した。
【0056】
[保水性付与層塗工液用混合物]
・ポリビニルアルコール(10%水溶液) 35部
(ゴーセノールNL05:日本合成化学社)
・酸化チタン微粒子 10部
(FA55W:古河機械金属社)
・シリカ超微粉末 1部
(アエロジル200:日本アエロジル社)
・イソプロピルアルコール 15部
・蒸留水 35部
【0057】
得られた保水性付与層の上に下記処方のオーバーコート層塗工液を塗工し、40℃の温風で4分間乾燥し、膜厚2μmのオーバーコート層を形成し、本発明の平版印刷用刷版材料を得た。
【0058】
[オーバーコート層塗工液]
・エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン
(固形分45%、最低造膜温度70℃) 27部
(アクアテックスHA-1100:中央理化工業社)
・ポリビニルアルコール(10%水溶液) 13部
(鹸化度80モル%、重合度1700)
(ゴーセノールKH-17:日本合成化学社)
【0059】
このように作製した平版印刷用刷版材料に、熱転写インクリボン(ワープロ共通インクリボンタイプEW、黒)を使用して、ダイレクトサーマルプリンタ(東芝パーソナルワープロRupo F550(シリアル型サーマルヘッド))の記録モード(熱転写用紙、印字濃度8)で画像を記録した。次いで平版印刷用刷版材料を不感脂化処理することなく平版印刷用刷版を得た。この刷版をオフセット印刷機(RYOBI3200ACD:リョービ社)用いて印刷し、実施例1と同様に印刷性能及び耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
【0060】
[比較例1]
実施例1においてオーバーコート層を形成しないことを除いて、他は全て実施例1と同様にして比較例の平版印刷用刷版材料を得た。そして実施例1と同様に製版および印刷し、実施例1と同様に印刷性能及び耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
【0061】
[比較例2]
実施例2においてオーバーコート層を形成しないことを除いて、他は全て実施例2と同様にして比較例の平版印刷用刷版材料を得た。そして実施例2と同様に製版および印刷し、実施例2と同様に印刷性能及び耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004588182
【0063】
表に示す結果からもわかるように、オーバーコート層を設けない場合には、地汚れや白抜けが生じたのに対し、オーバーコート層を設けた場合には、このような欠陥のない高品質の印刷画像が得られた。またオーバーコート層を設けたことにより、耐刷性が大幅に向上した。
【0064】
【発明の効果】
本発明の平版印刷用刷版材料は、熱溶融転写記録法によって容易に製版可能で、インクリボンのインク層の転写性、定着性に優れ、非画像部に地汚れがなく、画像部の平版印刷用インキの着肉性に優れ、耐刷性に優れた平版印刷用刷版を作製することができる。

Claims (5)

  1. 支持体上に保水性付与層、及び、加熱によって水に不溶化する水現像性のオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層が、親油性樹脂エマルジョンと、重合度が1000以上のポリビニルアルコールを少なくとも含んで構成される平版印刷用刷版材料を用いて製造される平版印刷用刷版であって、
    熱転写記録法によりインクリボンのインク層を熱転写させることによって所定パターンで形成された平版印刷インクを着肉させるための画像部と、
    前記画像部の背面に前記画像部と同パターンで形成された水不溶化で水現像不能な不溶化膜と、
    前記不溶化膜の背面に順次配置される保水性付与層及び支持体とを有する平版印刷用刷版。
  2. 前記平板印刷用刷版材料の前記オーバーコート層は、前記ポリビニルアルコールの含有量が、固形分重量比で、前記親油性樹脂エマルジョン100に対し5〜20であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷用刷版。
  3. 前記平板印刷用刷版材料の前記オーバーコート層は、最低造膜温度が60℃以上120℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷用刷版
  4. 前記保水性付与層が、不感脂化処理によって親水化する顔料あるいは親水性顔料及び高分子バインダーを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の平版印刷用刷版
  5. 平版印刷インクを着肉させるための画像部が所定パターンで形成された平版印刷用刷版を製造する方法において、
    保水性付与層上に加熱によって水に不溶化する水現像性のオーバーコート層を有する平版印刷用刷版材料を準備する工程と、
    前記平版印刷用刷版材料の前記オーバーコート層上に、熱転写記録法によりインクリボンのインク層を熱転写させることによって前記画像部を所定パターンで形成するとともに、熱転写したインク層と接触する、オーバーコート層の一部分を水に不溶化させ不溶化膜を生成させる工程と、
    前記インク層が熱転写されず不溶化されなかったオーバーコート層の残部分を水洗除去し、当該残部と同パターンの保水性付与層を露出させる工程とを、有することを特徴とする平版印刷用刷版の製造方法。
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