JPH11173393A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JPH11173393A
JPH11173393A JP34327697A JP34327697A JPH11173393A JP H11173393 A JPH11173393 A JP H11173393A JP 34327697 A JP34327697 A JP 34327697A JP 34327697 A JP34327697 A JP 34327697A JP H11173393 A JPH11173393 A JP H11173393A
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disks
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Shinji Miyata
慎司 宮田
Takashi Imanishi
尚 今西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数並びに組立工数を低減して、ダブル
キャビティ型のトロイダル型無段変速機のコスト低減を
図る。 【解決手段】 トラニオンを支持する為のヨーク54a
をケーシングに対して、一端部に設けた係止孔27と、
ケーシングの内面に固設した支持ポスト28cの嵌合片
55との嵌合のみで支持する。これら係止孔27と嵌合
片55との嵌合により、上記ヨーク54aの変位を規制
し、変速状態の安定を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機は、例えば自動車用の変速機として、或は各
種産業機械用の変速機として、それぞれ利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図17〜18に
略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研
究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば
実開昭62−71465号公報に開示されている様に、
入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力
軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク
4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケ
ーシング5(図19〜21)の内側には、上記入力軸1
並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸6、6を
中心として揺動するトラニオン7、7を設けている。
【0003】即ち、これら各トラニオン7、7は、両端
部外側面に上記各枢軸6、6を、互いに同心に設けてい
る。又、これら各トラニオン7、7の中心部には変位軸
8、8の基端部を支持し、上記各枢軸6、6を中心とし
て各トラニオン7、7を揺動させる事により、上記各変
位軸8、8の傾斜角度の調節を自在としている。各トラ
ニオン7、7に支持された変位軸8、8の周囲には、そ
れぞれパワーローラ9、9を回転自在に支持している。
そして、これら各パワーローラ9、9を、上記入力側、
出力側両ディスク2、4の間に挟持している。これら入
力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面
2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸6を中心とす
る円弧を上記入力軸1及び出力軸3を中心に回転させて
得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成し
た各パワーローラ9、9の周面9a、9aを、上記各内
側面2a、4aに当接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間に
は、ローディングカム式の押圧装置10を設け、この押
圧装置10によって、上記入力側ディスク2を出力側デ
ィスク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押
圧装置10は、入力軸1と共に回転するカム板11と、
保持器12により保持した複数個(例えば4個)のロー
ラ13、13とから構成している。上記カム板11の片
側面(図17〜18の右側面)には、円周方向に亙る凹
凸面であるカム面14を形成し、上記入力側ディスク2
の外側面(図17〜18の左側面)にも、同様のカム面
15を形成している。そして、上記複数個のローラ1
3、13を、上記入力軸1の中心に対して放射方向の軸
を中心とする回転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板11が回転
すると、カム面14によって複数個のローラ13、13
が、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面15に
押圧される。この結果、上記入力側ディスク2が、上記
複数のパワーローラ9、9に押圧されると同時に、上記
1対のカム面14、15と複数個のローラ13、13と
の押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回
転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記
複数のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に
伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回
転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で
減速を行なう場合には、前記各枢軸6、6を中心として
前記各トラニオン7、7を所定方向に揺動させ、上記各
パワーローラ9、9の周面9a、9aが図17に示す様
に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出
力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞ
れ当接する様に、前記各変位軸8、8を傾斜させる。反
対に、増速を行なう場合には、上記各枢軸6、6を中心
として上記各トラニオン7、7を反対方向に揺動させ、
上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図18に
示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部
分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分と
に、それぞれ当接する様に、上記各変位軸8、8を傾斜
させる。各変位軸8、8の傾斜角度を図17と図18と
の中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の
変速比を得られる。
【0007】上述の様なトロイダル型無段変速機によ
り、実際の自動車用変速機を構成する場合、入力側ディ
スク2と出力側ディスク4とパワーローラ9、9とを2
組設け、これら2組の入力側ディスク2と出力側ディス
ク4とパワーローラ9、9とを、動力の伝達方向に対し
て互いに並列に配置する、所謂ダブルキャビティ型のト
ロイダル型無段変速機も、従来から広く知られている。
図19〜22は、この様なダブルキャビティ型のトロイ
ダル型無段変速機の一種で、特公平8−23386号公
報に記載されて従来から知られているものを示してい
る。
【0008】ケーシング5の内側には入力軸1aを、回
転のみ自在に支持している。そして、この入力軸1aの
周囲に円管状の伝達軸38を、この入力軸1aと同心
に、且つこの入力軸1aに対する相対回転を自在に支持
している。この伝達軸38の中間部両端寄り部分には、
請求項に記載した第一、第二外側ディスクに相当する第
一、第二両入力側ディスク16、17を、互いの内側面
2a、2a同士を対向させた状態で、それぞれボールス
プライン18、18を介して支持している。従って、上
記第一、第二両入力側ディスク16、17は、上記ケー
シング5の内側に、互いに同心に且つ互いに同期した回
転自在に支持されている。
【0009】又、上記伝達軸38の中間部の周囲には、
請求項に記載した第一、第二内側ディスクに相当する第
一、第二両出力側ディスク19、20を、スリーブ21
を介して支持している。このスリーブ21は、中間部外
周面に出力歯車22を一体に設けたもので、上記伝達軸
38の外径よりも大きな内径を有し、上記ケーシング5
内に設けた支持壁23に、1対の転がり軸受24、24
により、上記伝達軸38と同心に、且つ回転のみ自在に
支持している。上記第一、第二両出力側ディスク19、
20は、この様に上記伝達軸38の中間部周囲に、この
伝達軸38に対し回転自在に支持したスリーブ21の両
端部に、それぞれの内側面4a、4aを互いに反対に向
けた状態で、スプライン係合させている。従って、上記
第一、第二両出力側ディスク19、20は、それぞれの
内側面4a、4aを上記第一、第二何れかの入力側ディ
スク16、17の内側面2a、2aに対向させた状態で
これら第一、第二両入力側ディスク16、17と同心
に、且つこれら第一、第二両入力側ディスク16、17
とは独立した回転自在に支持されている。
【0010】又、前記ケーシング5の内面で上記第一、
第二両入力側ディスク16、17の側方位置には、これ
ら両入力側ディスク16、17を両側から挟む状態で、
1対のヨーク25a、25bを支持している。これら両
ヨーク25a、25bはそれぞれ、鋼等の金属板にプレ
ス加工を施す事により、或は鋼等の金属材料に鍛造加工
を施す事により、図22に示す様な矩形枠状に形成して
いる。これら各ヨーク25a、25bは、それぞれの四
隅部に、後述する第一、第二両トラニオン31、32の
両端部に設けた第一、第二両枢軸33、34を揺動自在
に支持する為の円形の支持孔26、26を、上記伝達軸
38の軸方向(図19、22の左右方向)両端部の幅方
向(図20〜21の左右方向、図22の上下方向)中央
部に、円形の係止孔27、27を、それぞれ形成してい
る。それぞれがこの様な形状を有する上記1対のヨーク
25a、25bは、上記ケーシング5の内面で互いに対
向する部分に形成した支持ポスト28a、28bに支持
している。これら各支持ポスト28a、28bはそれぞ
れ、第一入力側ディスク16の内側面2aと第一出力側
ディスク19の内側面4aとの間部分である第一キャビ
ティ29、第二入力側ディスク17の内側面2aと第二
出力側ディスク20の内側面4aとの間部分である第二
キャビティ30に、それぞれ対向する部分に設けられて
いる。従って、上記各ヨーク25a、25bを上記各支
持ポスト28a、28bに支持した状態で、これら各ヨ
ーク25a、25bの一端部は上記第一キャビティ29
の外周部分に、他端部は上記第二キャビティ30の外周
部分に、それぞれ対向する。
【0011】又、上記第一キャビティ29内で第一入力
側ディスク16及び第一出力側ディスク19の直径方向
反対位置には1対の第一トラニオン31、31を、上記
第二キャビティ30内で第二入力側ディスク17及び第
二出力側ディスク20の直径方向反対位置には1対の第
二トラニオン32、32を、それぞれ配置している。こ
のうち、上記各第一トラニオン31、31の両端部に互
いに同心に設けた、各第一トラニオン31、31毎に2
本ずつ、合計4本の第一枢軸33、33は、図20に示
す様に、上記1対のヨーク25a、25bの一端部に、
揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持している。即
ち、これら各ヨーク25a、25bの一端部に形成した
支持孔26、26の内側に上記各第一枢軸33、33
を、ラジアルニードル軸受35、35により支持してい
る。これら各ラジアルニードル軸受35、35はそれぞ
れ、外周面が球状凸面であり内周面が円筒面である外輪
36と複数本のニードル37、37とから成る。従って
上記各第一枢軸33、33は、上記各ヨーク25a、2
5bの一端部の幅方向両側に、各方向の揺動並びに軸方
向に亙る変位自在に支持されている。又、上記各第二ト
ラニオン32、32は上記第二キャビティ30内に、図
21に示す様に、上記第一トラニオン31、31と同様
の構造により支持している。
【0012】上述の様にして前記ケーシング5の内側
に、揺動及び上記第一、第二各枢軸33、34の軸方向
に亙る変位自在に支持した、上記第一、第二各トラニオ
ン31、32の中間部にはそれぞれ、図20〜21に示
す様に円孔39、39を形成している。そして、これら
各円孔39、39部分に、第一、第二各変位軸40、4
1を支持している。これら第一、第二各変位軸40、4
1はそれぞれ、互いに平行で且つ偏心した支持軸部4
2、42と枢支軸部43、43とを、それぞれ有する。
このうちの各支持軸部42、42を上記各円孔39、3
9の内側に、ラジアルニードル軸受44、44を介し
て、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部4
3、43の周囲に第一、第二各パワーローラ45、46
を、別のラジアルニードル軸受47、47を介して回転
自在に支持している。
【0013】尚、前記第一、第二各キャビティ29、3
0毎に1対ずつ設けた、上記第一、第二各変位軸40、
41は、上記第一、第二各キャビティ29、30毎に、
前記入力軸1a及び伝達軸38に対して180度反対側
位置に設けている。又、これら第一、第二各変位軸4
0、41の各枢支軸部43、43が各支持軸部42、4
2に対し偏心している方向は、前記第一、第二入力側、
出力側各ディスク16、17、19、20の回転方向に
関して同方向(図20〜21で上下逆方向)としてい
る。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対し
ほぼ直交する方向としている。従って上記各第一、第二
各パワーローラ45、46は、上記入力軸1a及び伝達
軸38の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。
この結果、トロイダル型無段変速機により伝達するトル
クの変動に基づく、構成各部材の弾性変形量の変動等に
起因して、上記各第一、第二各パワーローラ45、46
が上記入力軸1a及び伝達軸38の軸方向(図19の左
右方向、図20〜21の表裏方向)に変位する傾向とな
った場合でも、構成各部材に無理な力を加える事なく、
この変位を吸収できる。
【0014】又、上記各第一、第二各パワーローラ4
5、46の外側面と前記第一、第二各トラニオン31、
32の中間部内側面との間には、第一、第二各パワーロ
ーラ45、46の外側面の側から順に、スラスト玉軸受
48、48と、滑り軸受或はニードル軸受等のスラスト
軸受49、49とを設けている。このうちのスラスト玉
軸受48、48は、上記各第一、第二各パワーローラ4
5、46に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、こ
れら各第一、第二各パワーローラ45、46の回転を許
容する。又、上記各スラスト軸受49、49は、上記各
第一、第二各パワーローラ45、46から上記各スラス
ト玉軸受48、48の外輪50、50に加わるスラスト
荷重を支承しつつ、前記枢支軸部43、43及び上記外
輪50、50が前記支持軸部42、42を中心に揺動す
る事を許容する。
【0015】更に、上記第一、第二各トラニオン31、
32の一端部(図20〜21の下端部)にはそれぞれ駆
動ロッド51、51を結合し、これら各駆動ロッド5
1、51の中間部外周面に駆動ピストン52、52を固
設している。そして、これら各駆動ピストン52、52
を、それぞれ駆動シリンダ53、53内に油密に嵌装し
ている。これら各駆動ピストン52、52と駆動シリン
ダ53、53とが、それぞれ上記第一、第二各トラニオ
ン31、32を第一、第二各枢軸33、34の軸方向に
亙って変位させる為のアクチュエータを構成する。又、
上記各駆動シリンダ53、53内には、図示しない制御
弁の切り換えに基づいて、圧油を給排自在としている。
【0016】更に、前記入力軸1aと前記第一入力側デ
ィスク16との間には、ローディングカム式の押圧装置
10を設けている。この押圧装置10は、上記入力軸1
aの中間部にスプライン係合すると共に軸方向に亙る変
位を阻止された状態で支持されて、上記入力軸1aと共
に回転するカム板11と、ローラ13とを含んで構成し
ている。そして、上記入力軸1aの回転に基づいて上記
第一入力側ディスク16を、第二入力側ディスク17に
向け押圧しつつ回転させる。
【0017】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の運転時、入力軸1aの回転は押圧装置10を介して
第一入力側ディスク16に伝えられ、この第一入力側デ
ィスク16と第二入力側ディスク17とが、互いに同期
して回転する。そして、これら第一、第二両入力側ディ
スク16、17の回転が、前記第一、第二両キャビティ
29、30内にそれぞれ1対ずつ設けた第一、第二各パ
ワーローラ45、46を介して、第一、第二両出力側デ
ィスク19、20に伝えられ、更にこれら第一、第二両
出力側ディスク19、20の回転が、前記出力歯車22
より取り出される。入力軸1aと出力歯車22との間の
回転速度比を変える場合には、上記制御弁の切り換えに
基づいて、上記第一、第二両キャビティ29、30に対
応してそれぞれ1対ずつ設けた駆動ピストン52、52
を、各キャビティ29、30毎に互いに逆方向に同じ距
離だけ変位させる。
【0018】これら各駆動ピストン52、52の変位に
伴って上記1対ずつ合計4個のトラニオン33、34
が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図20〜21の右
側の第一、第二両パワーローラ45、46が各図の下側
に、図20〜21の左側の第一、第二両パワーローラ4
5、46が各図の上側に、それぞれ変位する。この結
果、これら各第一、第二各パワーローラ45、46の周
面9a、9aと上記第一、第二両入力側ディスク16、
17及び第一、第二両出力側ディスク19、20の内側
面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向
きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って前
記第一、第二各トラニオン31、32が、ヨーク25
a、25bに枢支した第一、第二各枢軸33、34を中
心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の
図17〜18に示した様に、上記各第一、第二各パワー
ローラ45、46の周面9a、9aと上記各ディスク1
6、17、19、20の内側面2a、4aとの当接位置
が変化し、上記入力軸1aと出力歯車22との間の回転
速度比が変化する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】図19〜22に示した
従来構造の場合、ケーシング5の内側に1対のヨーク2
5a、25bを支持し、更にこれら両ヨーク25a、2
5bに第一、第二各トラニオン31、32を支持する作
業が面倒で、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変
速機の製作費が嵩む原因となっていた。先ず第一に、上
記各ヨーク25a、25bを、それぞれ2個の支持ポス
ト28a、28bにより上記ケーシング5に対して支持
している。この為、これら支持ポスト28a、28bの
製作費が嵩むだけでなく、これら支持ポスト28a、2
8bをケーシング5に対して取り付ける作業、並びにこ
れら支持ポスト28a、28bに対して上記各ヨーク2
5a、25bを支持する作業が面倒になる。第二に、こ
れら各ヨーク25a、25bの四隅に形成した支持孔2
6、26が単なる円孔であり、上記第一、第二各トラニ
オン31、32を支持するラジアルニードル軸受35、
35を構成する外輪36、36を、上記各支持孔26、
26内にがたつきなく内嵌していた。この為、これら各
支持孔26、26内に上記各外輪36、36を内嵌し、
上記第一、第二各トラニオン31、32を上記各ヨーク
25a、25bに対して支持する作業が面倒で、ダブル
キャビティ型のトロイダル型無段変速機の組立作業の能
率化を図りにくい。又、トロイダル型無段変速機の運転
時に上記各支持孔26、26の内周面と上記各外輪3
6、36の外周面とは、全周に亙って摺動する可能性が
ある為、上記各支持孔26、26の内周面を全周に亙っ
て仕上加工(研磨)する必要がある。従って、これら各
支持孔26、26の加工作業も面倒で、加工コストが嵩
む。ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機で、
1対のヨークにより4個のトラニオンを支持する構造を
記載した文献としては、前述の特公平8−23386号
公報の他に、特開平2−283949号公報、同5−1
26222号公報、同6−34010号公報に記載され
たもの等が知られているが、何れも同様の問題を持って
いたり、或はヨークの支持が不安定で、変速の過渡時に
各ディスクの内側面2a、4aと各パワーローラの周面
9a、9aとの接触状態が不安定になる可能性がある。
本発明は、この様な原因によるトロイダル型無段変速機
のコスト増大を防止して、安価で且つ安定した性能を発
揮できるダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機
を実現すべく発明したものである。
【0020】
【課題を解決する為の手段】本発明のトロイダル型無段
変速機は何れも、前述した従来から知られているダブル
キャビティ型のトロイダル型無段変速機と同様に、ケー
シングと、このケーシングの内側に互いの内側面同士を
対向させた状態で、互いに同心に且つ互いに同期した回
転自在に支持された第一、第二外側ディスクと、その内
側面を第一外側ディスクの内側面に対向させた状態でこ
れら第一、第二外側ディスクと同心に、且つこれら第
一、第二外側ディスクとは独立した回転自在に支持され
た第一内側ディスクと、その内側面を第二外側ディスク
の内側面に対向させた状態で上記第一内側ディスクと同
心に、且つこの第一内側ディスクと同期した回転自在に
支持された第二内側ディスクと、第一、第二内側ディス
クの側方に、これら両内側ディスクを両側から挟む状態
で、且つ一端部を上記第一外側ディスクと第一内側ディ
スクとの間部分に、他端部を上記第二外側ディスクと第
二内側ディスクとの間に、それぞれ位置させた状態で、
互いにほぼ平行に設けられた少なくとも1対のヨーク
と、上記第一外側ディスクと第一内側ディスクとの間部
分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻れの位置に存
在し、上記各ヨークに支持された4本の第一枢軸と、こ
れら各第一枢軸を中心として揺動する1対の第一トラニ
オンと、これら各第一トラニオンの内側面から突出した
第一変位軸と、これら各第一変位軸の周囲に回転自在に
支持された状態で、上記第一外側ディスクの内側面と第
一内側ディスクの内側面との間に挟持された1対の第一
パワーローラと、上記第二外側ディスクと第二内側ディ
スクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻
れの位置に存在し、上記各ヨークに支持された4本の第
二枢軸と、これら各第二枢軸を中心として揺動する1対
の第二トラニオンと、これら各第二トラニオンの内側面
から突出した第二変位軸と、これら各第二変位軸の周囲
に回転自在に支持された状態で、上記第二外側ディスク
の内側面と第二内側ディスクの内側面との間に挟持され
た1対の第二パワーローラとを備える。そして、上記各
ヨークは上記ケーシングの内側に、これら各ヨークの一
部に形成した係止孔に上記ケーシングの内面から突出す
る状態で固設した支持ポストを内嵌する事により支持し
ている。
【0021】特に、請求項1に記載したトロイダル型無
段変速機に於いては、上記係止孔は、上記各ディスクの
軸方向に関する上記各ヨークの両端部のうちの何れか一
方の端部の幅方向中間部の1個所にのみ設けられてお
り、上記係止孔と上記支持ポストとの係合に基づいて上
記1対のヨークのうちの少なくとも一方のヨークは、上
記各枢軸の中心軸に対し直角に交差する仮想平面上での
移動を不能に、且つ、上記各ディスクの中心軸に対し平
行な仮想中心軸を中心とする揺動変位を自在とし、更
に、少なくとも一方のヨークは、当該ヨークを支持する
為の支持ポストに対して、上記各枢軸の軸線方向に亙る
移動を可能に外嵌支持している。
【0022】又、請求項2に記載したトロイダル型無段
変速機に於いては、上記各ヨークの隅部に第一、第二各
枢軸を揺動自在に支持する為の支持孔が形成されてお
り、これら各支持孔の内側に上記第一、第二各枢軸を、
外周面が球状凸面であり内周面が円筒面である外輪を備
えたラジアルニードル軸受により支持しており、上記各
支持孔は、各ディスクの中心軸方向に対し直角な方向に
長い長孔である。
【0023】更に、請求項3に記載したトロイダル型無
段変速機に於いては、上記各ヨークの隅部に第一、第二
各枢軸を揺動自在に支持する為の支持孔が形成されてお
り、これら各支持孔の内側に上記第一、第二各枢軸を、
外周面が球状凸面であり内周面が円筒面である外輪を備
えたラジアルニードル軸受により支持しており、上記各
支持孔は、上記外輪の外径よりも大きな内径を有する円
孔であって、この外輪は支持孔の内側に緩く挿入されて
いる。
【0024】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機によれば、部品加工作業や組立作業の簡略化等に
よりコスト増大を防止して、安価なダブルキャビティ型
のトロイダル型無段変速機を実現できる。先ず、請求項
1に記載したトロイダル型無段変速機の場合には、各ヨ
ークをそれぞれ1個の支持ポストによりハウジングに対
し支持しているので、部品点数並びに組立工数の削減に
より、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の
コスト低減を図れる。又、請求項1に記載したトロイダ
ル型無段変速機の場合には、上記支持ポストに対して上
記ヨークが変位できる範囲を規制しているので、上述の
様に、上記各ヨークを1個の支持ポストにより支持した
場合でも、これら各ヨークの位置決めを十分に図って、
上記トロイダル型無段変速機に所定の性能を発揮させる
事ができる。
【0025】又、請求項2、3に記載したトロイダル型
無段変速機の場合には、各支持孔に第一、第二各枢軸を
挿入支持する際の自由度が高い為、これら各支持孔内に
第一、第二各枢軸を支持する作業が容易で、ダブルキャ
ビティ型のトロイダル型無段変速機の組立作業の能率化
を図れる。又、トロイダル型無段変速機の運転時に上記
各支持孔の内周面と上記第一、第二各枢軸を支持する外
輪等の外周面とは、円周方向の一部のみで摺動する為、
上記各支持孔の内周面を全周に亙って仕上加工する必要
がなく、加工コストの低廉化を図れる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1〜5は、請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本
発明のトロイダル型無段変速機の特徴は、それぞれ1対
ずつ設けた第一、第二両トラニオン31、32(図20
〜21参照)をケーシング5の内側に、第一、第二両枢
軸33、34(図20〜21参照)の軸方向に亙る変位
並びにこれら第一、第二両枢軸33、34を中心とする
揺動変位を自在に支持する為の1対のヨーク54a、5
4bを、上記ケーシング5の内面に支持する部分の構造
にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図19
〜21に示した従来構造の場合と同様であるから、同等
部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、
以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0027】本発明のトロイダル型無段変速機を構成す
る1対のヨーク54a、54bはそれぞれ、厚肉鋼板等
の金属板に打ち抜き加工を施す事により、或は鋼等の金
属素材に鍛造加工を施す事により、矩形枠状に形成して
いる。そして、四隅部分に円形の支持孔26、26を形
成している。これら各支持孔26、26の内径は、第
一、第二両枢軸33、34を支持するラジアルニードル
軸受35、35を構成する外輪36、36(図20〜2
1)をがたつきなく、且つ軸方向に亙る変位自在に内嵌
自在な大きさとしている。又、上記各ヨーク54a、5
4bの一端部(図1、5の左端部)の幅方向(図1の上
下方向、図5の表裏方向)中間部には、矩形の係止孔2
7aを形成している。
【0028】そしてこの係止孔27aに、上記ケーシン
グ5の内面に固定した支持ポスト28cの先端部に固設
した嵌合片55を内嵌している。本例の場合には、この
支持ポスト28cの嵌合片55と上記係止孔27aとの
係合に基づいて上記各ヨーク54a、54bを、上記第
一、第二両枢軸33、34の中心軸に対し直角に交差す
る仮想平面(図1の紙面、図5の左右方向で図5の表裏
方向に存在する面)上での移動を不能に、且つ、第一、
第二両入力側ディスク16、17及び第一、第二両出力
側ディスク19、20の中心軸に対し平行な仮想中心軸
(図1の鎖線α)を中心とする揺動変位を自在とし、更
に上記支持ポスト28cに対して、上記第一、第二両枢
軸33、34の軸線方向(図1〜2の表裏方向、図3の
左右方向、図5の上下方向)に亙る移動を可能に外嵌支
持している。
【0029】この為に図示の例では、上述の様に係止孔
27aを正方形若しくは矩形とすると共に、上記嵌合片
55の平面形状を、上記係止孔27aにがたつきなく内
嵌自在な正方形若しくは矩形としている。又、上記嵌合
片55の外周面を構成する4面のうち、反対側に存在す
る2面を、部分円筒状の凸曲面56、56としている。
即ち、上記支持ポスト28cは、図2〜4に示す様な形
状を有する嵌合片55を上記ハウジング5の内面に突設
した支持部57a、57bに結合固定しているが、この
嵌合片55は、上記正方形若しくは矩形の平面形状と部
分円筒状の凸曲面56、56とを有する。そして、この
様な嵌合片55を上記係止孔27aに内嵌した状態で、
これら両凸曲面56、56を、この係止孔27aの内周
面を構成する4面のうち、上記各ヨーク54a、54b
の幅方向反対側の2面に当接させている。
【0030】上述の様に構成する本発明のトロイダル型
無段変速機の場合には、1対のヨーク54a、54bが
何れも、それぞれの一端部のみを前記ケーシング5に対
して、上記第一、第二両枢軸33、34の中心軸に対し
直角に交差する仮想平面上での移動を不能に、且つ、第
一、第二両入力側ディスク16、17及び第一、第二両
出力側ディスク19、20の中心軸に対し平行な仮想中
心軸を中心とする揺動変位を自在に、上記第一、第二両
枢軸33、34の軸線方向に亙る移動を可能に支持して
いる。この為、部品点数並びに組立工数の削減により、
ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機のコスト
低減を図れる。
【0031】又、上記各支持ポスト28c、28cに対
して上記各ヨーク54a、54bが変位できる範囲を規
制し、前記第一、第二両キャビティ29、30部分にそ
れぞれ1対ずつ設けた第一、第二両トラニオン31、3
2の位置決めを図っている。従って、これら各トラニオ
ン31、32の内側面に支持した第一、第二各パワーロ
ーラ45、46の周面9a、9a(図20〜21参照)
と第一、第二両入力側ディスク16、17及び第一、第
二両出力側ディスク19、20の内側面2a、4aとの
当接部(=トラクション部。図17〜18参照)の当接
圧を互いに同じとしたままにできる。即ち、上記1対の
ヨーク54a、54baが何れも、変速作業等に伴って
上記各第一、第二各パワーローラ45、46の軸線方向
に変位する事がない為、上記各当接部の当接状態が、ヨ
ーク54a、54bの変位に基づいて不均等になる事が
ない。この為、上記1対の第一、第二各パワーローラ4
5、46に関する変速同期安定性を確保すると共に、何
れかのトラクション部に大きな力が加わる事を防止し
て、上記各第一、第二各パワーローラ45、46及び上
記各ディスク16、17、19、20を含む構成各部材
の耐久性向上を図れる。
【0032】尚、前記嵌合片55の外周面の反対側に存
在する2面を構成する部分円筒状の凸曲面56、56の
断面の曲率半径Rは、前記係止孔27aの長さLとの関
係で設計的に定めるが、変速操作が円滑に行なわれる様
にする為、上記曲率半径Rを長さLの半分以下(R≦L
/2)とする事が好ましい。最も好ましくは、R=L/
2とし、両凸曲面56、56を単一円筒面上に位置させ
る。又、上記1対のヨーク54a、54bのそれぞれ他
端部には、特に前記ハウジング5の内面に対し支持する
為の支持ポストを設けてはいない。図5の上側のヨーク
54aの他端部の幅方向中央部には透孔58(図1では
不図示)を形成し、この透孔58の内側に、前記第二キ
ャビティ30内にトラクションオイルを送り込む為のノ
ズル部材59を緩く挿入している。これに対して、図5
の下側のヨーク54bの他端部は上記ハウジング5の内
面に対し、ばね60により弾性的に支持している。
【0033】尚、上記1対のヨーク54a、54bをハ
ウジング5の内面に支持する為の支持ポスト28c、2
8cは、図5に示す様にフロント側(エンジン側)に設
けても、或は図5とは逆にリヤ側(デファレンシャルギ
ヤ側)に設けても良い。但し、リヤ側に存在する第二キ
ャビティ30の近傍には、出力歯車22の回転を上記デ
ファレンシャルギヤに向けて取り出す為の取り出し軸6
1が存在するので、図5の下側のヨーク54bに関して
は、支持ポストをリヤ側に設けにくい事も考えられる。
これに対して、図5の上側のヨーク54aに関しては、
支持ポストをフロント側、リヤ側の何れに設けても良
い。
【0034】次に、図6〜8は、やはり請求項1に対応
する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例
の場合には、支持ポストの先端部に固設する嵌合片55
aの平面形状を小判形とし、係止孔27aの内側面と揺
動変位自在に当接する凸曲面56a、56aを、断面形
状だけでなく平面形状も湾曲させている。この様な嵌合
片55aは、上述した第1例に組み込む嵌合片55に比
べて加工が容易である。その他の構成及び作用は、上述
した第1例の場合と同様であるから、同等部分に関する
重複する図示並びに説明は省略する。
【0035】次に、図9は、請求項2に対応する、本発
明の実施の形態の形態の第3例を示している。本例の場
合には、前述の図5に示す様なダブルキャビティ型のト
ロイダル型無段変速機に組み込む1対のヨーク54cの
四隅部に形成した、第一、第二各枢軸33、34(図2
0〜21)を揺動自在に支持する為の支持孔26a、2
6aを、長孔としている。即ち、これら各支持孔26
a、26aは、上記第一、第二各枢軸33、34を支持
する為のラジアルニードル軸受35を構成する外輪36
(図20〜21)の外径とほぼ一致する幅と、この外径
よりも大きな長さとを有する長孔としている。そして、
これら各支持孔26a、26aの長さ方向を、上記ダブ
ルキャビティ型のトロイダル型無段変速機を構成する第
一、第二両入力側、第一、第二両出力側各ディスク1
6、17、19、20の中心軸方向に対し直角な方向に
一致させている。
【0036】上述の様なヨーク54cを組み込んで成
る、本例のトロイダル型無段変速機の場合には、上記各
支持孔26a、26aに上記第一、第二各枢軸33、3
4及び上記外輪36を含むラジアルニードル軸受35を
挿入支持する際の自由度が高い。即ち、上記外輪36の
外径よりも上記各支持孔26a、26aの長さが十分に
大きい為、これら各支持孔26a、26aと外輪36と
が対向する範囲が広くなる。この為、これら各支持孔2
6a、26a内に上記第一、第二各枢軸33、34及び
ラジアルニードル軸受35を挿入支持する作業が容易
で、ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の組
立作業の能率化を図れる。
【0037】又、トロイダル型無段変速機を組み立て
て、皿ばね62(図5)により、上記第一、第二両入力
側、第一、第二両出力側各ディスク16、17、19、
20の内側面2a、4aと第一、第二各パワーローラ4
5、46の周面9a、9aとの当接部(図17〜18参
照)に予圧を付与した状態では、上記各パワーローラ4
5、46から第一、第二各トラニオン31、32の内側
面に加わるスラスト荷重により、上記第一、第二各枢軸
33、34及び上記外輪36を含むラジアルニードル軸
受35が、図9に示す様に、上記各支持孔26a、26
aの内側で、上記ヨーク54cの幅方向外端部に移動す
る。そして、トロイダル型無段変速機の運転時、押圧装
置10により更に大きなスラスト荷重が加わると、上記
第一、第二各枢軸33、34及び上記外輪36を含むラ
ジアルニードル軸受35は、図9に示した位置に押し付
けられたままとなる。
【0038】従って、トロイダル型無段変速機の運転時
に上記外輪36の外周面は、上記各支持孔26a、26
aの内周面のうち、上記ヨーク54cの幅方向外端部の
みで摺動する。この為、上記各支持孔26a、26aの
内周面のうち、この幅方向外端部のみを仕上加工すれば
良くなり、上記ヨーク54cの加工コストの低廉化を図
れる。上記第一、第二各枢軸33、34及び上記外輪3
6を含むラジアルニードル軸受35を上記各支持孔26
a、26aに挿入する作業は、上記皿ばね62を装着す
る以前に行なうので、前述の様に各支持孔26a、26
a内に上記第一、第二各枢軸33、34及びラジアルニ
ードル軸受35を挿入支持する作業を容易に行なえる。
尚、本例の場合には、前述の図19〜21に示した従来
構造の場合と同様に、ヨーク54cの両端部幅方向中間
位置に円形の係止孔27、27を形成し、これら両係止
孔27、27を使用して、上記ヨーク54cをケーシン
グ5内に支持する様にしている。
【0039】次に、図10は、請求項3に記載した、本
発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合に
は、前述の図5に示す様なダブルキャビティ型のトロイ
ダル型無段変速機に組み込む1対のヨーク54dの四隅
部に、第一、第二各枢軸33、34(図20〜21)を
揺動自在に支持する為の支持孔26b、26bを円孔と
している。但し、これら各支持孔26b、26bの内径
は、上記第一、第二各枢軸33、34を支持する為のラ
ジアルニードル軸受35を構成する外輪36(図20〜
21)の外径よりも十分に大きくしている。従ってこれ
ら各外輪36は、上記各支持孔26b、26b内に緩く
挿入自在である。
【0040】上述の様なヨーク54dを組み込んで成
る、本例のトロイダル型無段変速機の場合には、上記各
支持孔26b、26bに上記第一、第二各枢軸33、3
4及び上記外輪36を含むラジアルニードル軸受35を
挿入する作業を容易に行なえて、ダブルキャビティ型の
トロイダル型無段変速機の組立作業の能率化を図れる。
又、トロイダル型無段変速機を組み立てた状態、並びに
このトロイダル型無段変速機の運転時には、上述した第
3例の場合と同様に皿ばね62(図5)の弾力に基づ
き、上記第一、第二各枢軸33、34及び上記外輪36
を含むラジアルニードル軸受35が、図10に示す様
に、上記各支持孔26b、26bの内側で、上記ヨーク
54dの幅方向外端部に移動し、更に押し付けられたま
まとなる。従って、トロイダル型無段変速機の運転時に
上記外輪36の外周面は、上記各支持孔26b、26b
の内周面のうちで、上記ヨーク54dの幅方向外端部の
みで摺動する。この為、上記各支持孔26b、26bの
内周面のうち、この幅方向外端部のみを仕上加工すれば
良くなり、上記ヨーク54dの加工コストの低廉化を図
れる。尚、本例の場合も、前述の図19〜21に示した
従来構造の場合と同様に、ヨーク54dの両端部幅方向
中間位置に円形の係止孔27、27を形成し、これら両
係止孔27、27を使用して、上記ヨーク54dをケー
シング5内に支持する様にしている。
【0041】次に、図11は、請求項1に記載した発明
と請求項2に記載した発明とを組み合わせた、本発明の
実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、前
述の第1例の如く、ヨーク54eの一端部幅方向中央部
に正方形若しくは矩形の係止孔27aを形成すると共
に、四隅部に形成した支持孔26a、26aを長孔とし
ている。この様な本例の構造によれば、前述した第1例
の作用・効果と、やはり前述した第3例の作用・効果と
を合わせ持たせる事ができる。
【0042】次に、図12は、請求項1に記載した発明
と請求項3に記載した発明とを組み合わせた、本発明の
実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、前
述の第1例の如く、ヨーク54fの一端部幅方向中央部
に正方形若しくは矩形の係止孔27aを形成すると共
に、四隅部に形成した支持孔26b、26bの内径を、
第一、第二各枢軸33、34を支持する為のラジアルニ
ードル軸受35を構成する外輪36(図20〜21)の
外径よりも十分に大きくしている。この様な本例の構造
によれば、前述した第1例の作用・効果と、やはり前述
した第4例の作用・効果とを合わせ持たせる事ができ
る。
【0043】尚、以上に述べた各例の場合には何れも、
第一キャビティ29部分に設ける第一トラニオン31、
31を支持するヨークと、第二キャビティ30部分に設
ける第二トラニオン32、32を支持するヨークとを一
体に形成しているが、請求項2、3に記載したトロイダ
ル型無段変速機を実施する場合には、必ずしも第一キャ
ビティ29部分のヨークと第二キャビティ30部分のヨ
ークとを一体にする必要はない。各キャビティ29、3
0を挟む状態で設けるヨークの一方又は双方を、各キャ
ビティ29、30毎に独立させても良い。例えば、図1
3に示した第7例の場合には、第一キャビティ29部分
又は第二キャビティ30部分に設けるヨーク63aの中
央部に正方形又は矩形の係止孔27aを形成し、両端部
に形成した支持孔26a、26aを長孔としている。
又、図14に示した第8例の場合には、第一キャビティ
29部分又は第二キャビティ30部分に設けるヨーク6
3bの中央部に円形の係止孔27を形成し、両端部に形
成した支持孔26a、26aを長孔としている。又、図
15に示した第9例の場合には、第一キャビティ29部
分又は第二キャビティ30部分に設けるヨーク63cの
中央部に正方形又は矩形の係止孔27aを形成し、両端
部に形成した支持孔26b、26bを、ラジアルニード
ル軸受35を構成する外輪36よりも十分に大径の円孔
としている。更に、図16に示した第10例の場合に
は、第一キャビティ29部分又は第二キャビティ30部
分に設けるヨーク63dの中央部に正方形又は円形の係
止孔27を形成し、両端部に形成した支持孔26b、2
6bを、ラジアルニードル軸受35を構成する外輪36
よりも十分に大径の円孔としている。これら第7〜10
例の構造の場合も、上記各支持孔26a、26bに第
一、第二各枢軸33、34を支持する作業が容易で、ダ
ブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の組立作業
の能率化を図れる。又、トロイダル型無段変速機の運転
時に上記各支持孔26a、26bの内周面と上記外輪3
6の外周面とは、円周方向の一部のみで摺動する為、上
記各支持孔26a、26bの内周面を全周に亙って仕上
加工する必要がなく、加工コストの低廉化を図れる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用する為、優れた伝達効率並びに耐久性を有するダブル
キャビティ型のトロイダル型無段変速機の低廉化に寄与
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、ヨークと
支持ポストとを示す平面図。
【図2】支持ポストに固設する嵌合片の平面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】嵌合片の斜視図。
【図5】ヨーク及び支持ポストをトロイダル型無段変速
機に組み込んだ状態を示す断面図。
【図6】本発明の実施の形態の第2例を示す、支持ポス
トに固設する嵌合片の平面図。
【図7】図6のB−B断面図。
【図8】嵌合片の斜視図。
【図9】本発明の実施の形態の第3例を示す、ヨークの
平面図。
【図10】本発明の実施の形態の第4例を示す、ヨーク
の平面図。
【図11】本発明の実施の形態の第5例を示す、ヨーク
の平面図。
【図12】本発明の実施の形態の第6例を示す、ヨーク
の平面図。
【図13】本発明の実施の形態の第7例を示す、ヨーク
の平面図。
【図14】本発明の実施の形態の第8例を示す、ヨーク
の平面図。
【図15】本発明の実施の形態の第9例を示す、ヨーク
の平面図。
【図16】本発明の実施の形態の第10例を示す、ヨー
クの平面図。
【図17】従来から知られているトロイダル型無段変速
機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図18】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図19】従来の具体的構造の1例を示す断面図。
【図20】図19のC−C断面図。
【図21】同D−D断面図。
【図22】従来構造に組み込むヨークの平面図。
【符号の説明】
1、1a 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 内側面 5 ケーシング 6 枢軸 7 トラニオン 8 変位軸 9 パワーローラ 9a 周面 10 押圧装置 11 カム板 12 保持器 13 ローラ 14、15 カム面 16 第一入力側ディスク 17 第二入力側ディスク 18 ボールスプライン 19 第一出力側ディスク 20 第二出力側ディスク 21 スリーブ 22 出力歯車 23 支持壁 24 転がり軸受 25a、25b ヨーク 26、26a、26b 支持孔 27、27a 係止孔 28a、28b、28c 支持ポスト 29 第一キャビティ 30 第二キャビティ 31 第一トラニオン 32 第二トラニオン 33 第一枢軸 34 第二枢軸 35 ラジアルニードル軸受 36 外輪 37 ニードル 38 伝達軸 39 円孔 40 第一変位軸 41 第二変位軸 42 支持軸部 43 枢支軸部 44 ラジアルニードル軸受 45 第一パワーローラ 46 第二パワーローラ 47 ラジアルニードル軸受 48 スラスト玉軸受 49 スラスト軸受 50 外輪 51 駆動ロッド 52 駆動ピストン 53 駆動シリンダ 54a、54b、54c、54d、54e、54f ヨ
ーク 55、55a 嵌合片 56、56a 凸曲面 57a、57b 支持部 58 透孔 59 ノズル部材 60 ばね 61 取り出し軸 62 皿ばね 63a、63b、63c、63d ヨーク

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと、このケーシングの内側に
    互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且
    つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二外側
    ディスクと、その内側面を第一外側ディスクの内側面に
    対向させた状態でこれら第一、第二外側ディスクと同心
    に、且つこれら第一、第二外側ディスクとは独立した回
    転自在に支持された第一内側ディスクと、その内側面を
    第二外側ディスクの内側面に対向させた状態で上記第一
    内側ディスクと同心に、且つこの第一内側ディスクと同
    期した回転自在に支持された第二内側ディスクと、第
    一、第二内側ディスクの側方に、これら両内側ディスク
    を両側から挟む状態で、且つ一端部を上記第一外側ディ
    スクと第一内側ディスクとの間部分に、他端部を上記第
    二外側ディスクと第二内側ディスクとの間に、それぞれ
    位置させた状態で、互いにほぼ平行に設けられた1対の
    ヨークと、上記第一外側ディスクと第一内側ディスクと
    の間部分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻れの位
    置に存在し、上記1対のヨークの一端部に支持された4
    本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動す
    る1対の第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの
    内側面から突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸
    の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一外側デ
    ィスクの内側面と第一内側ディスクの内側面との間に挟
    持された1対の第一パワーローラと、上記第二外側ディ
    スクと第二内側ディスクとの間部分で、これら各ディス
    クの中心軸に対し捻れの位置に存在し、上記1対のヨー
    クの他端部に支持された4本の第二枢軸と、これら各第
    二枢軸を中心として揺動する1対の第二トラニオンと、
    これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位
    軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持され
    た状態で、上記第二外側ディスクの内側面と第二内側デ
    ィスクの内側面との間に挟持された1対の第二パワーロ
    ーラとを備え、上記各ヨークは上記ケーシングの内側
    に、これら各ヨークの一部に形成した係止孔に上記ケー
    シングの内面から突出する状態で固設した支持ポストを
    内嵌する事により支持しているトロイダル型無段変速機
    に於いて、上記係止孔は、上記各ディスクの軸方向に関
    する上記各ヨークの両端部のうちの何れか一方の端部の
    幅方向中間部の1個所にのみ設けられており、上記係止
    孔と上記支持ポストとの係合に基づいて上記1対のヨー
    クのうちの少なくとも一方のヨークは、上記各枢軸の中
    心軸に対し直角に交差する仮想平面上での移動を不能
    に、且つ、上記各ディスクの中心軸に対し平行な仮想中
    心軸を中心とする揺動変位を自在とし、更に、少なくと
    も一方のヨークは、当該ヨークを支持する為の支持ポス
    トに対して、上記各枢軸の軸線方向に亙る移動を可能に
    外嵌支持している事を特徴とするトロイダル型無段変速
    機。
  2. 【請求項2】 ケーシングと、このケーシングの内側に
    互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且
    つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二外側
    ディスクと、その内側面を第一外側ディスクの内側面に
    対向させた状態でこれら第一、第二外側ディスクと同心
    に、且つこれら第一、第二外側ディスクとは独立した回
    転自在に支持された第一内側ディスクと、その内側面を
    第二外側ディスクの内側面に対向させた状態で上記第一
    内側ディスクと同心に、且つこの第一内側ディスクと同
    期した回転自在に支持された第二内側ディスクと、第
    一、第二内側ディスクの側方に、互いにほぼ平行に設け
    られた少なくとも1対のヨークと、上記第一外側ディス
    クと第一内側ディスクとの間部分で、これら各ディスク
    の中心軸に対し捻れの位置に存在して、上記各ヨークに
    支持された4本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心
    として揺動する1対の第一トラニオンと、これら各第一
    トラニオンの内側面から突出した第一変位軸と、これら
    各第一変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上
    記第一外側ディスクの内側面と第一内側ディスクの内側
    面との間に挟持された1対の第一パワーローラと、上記
    第二外側ディスクと第二内側ディスクとの間部分で、こ
    れら各ディスクの中心軸に対し捻れの位置に存在し、上
    記各ヨークに支持された4本の第二枢軸と、これら各第
    二枢軸を中心として揺動する1対の第二トラニオンと、
    これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位
    軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持され
    た状態で、上記第二外側ディスクの内側面と第二内側デ
    ィスクの内側面との間に挟持された1対の第二パワーロ
    ーラとを備え、上記各ヨークは上記ケーシングの内側
    に、これら各ヨークの一部に形成した係止孔に上記ケー
    シングの内面から突出する状態で固設した支持ポストを
    内嵌する事により支持しているトロイダル型無段変速機
    に於いて、上記各ヨークの隅部に第一、第二各枢軸を揺
    動自在に支持する為の支持孔が形成されており、これら
    各支持孔の内側に上記第一、第二各枢軸を、外周面が球
    状凸面であり内周面が円筒面である外輪を備えたラジア
    ルニードル軸受により支持しており、上記各支持孔は、
    各ディスクの中心軸方向に対し直角な方向に長い長孔で
    ある事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 【請求項3】 ケーシングと、このケーシングの内側に
    互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に且
    つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二外側
    ディスクと、その内側面を第一外側ディスクの内側面に
    対向させた状態でこれら第一、第二外側ディスクと同心
    に、且つこれら第一、第二外側ディスクとは独立した回
    転自在に支持された第一内側ディスクと、その内側面を
    第二外側ディスクの内側面に対向させた状態で上記第一
    内側ディスクと同心に、且つこの第一内側ディスクと同
    期した回転自在に支持された第二内側ディスクと、第
    一、第二内側ディスクの側方に、これら両内側ディスク
    を両側から挟む状態で、且つ一端部を上記第一外側ディ
    スクと第一内側ディスクとの間部分に、他端部を上記第
    二外側ディスクと第二内側ディスクとの間に、それぞれ
    位置させた状態で、互いにほぼ平行に設けられた少なく
    とも1対のヨークと、上記第一外側ディスクと第一内側
    ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸に対
    し捻れの位置に存在し、上記各ヨークに支持された4本
    の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動する
    1対の第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの内
    側面から突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸の
    周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一外側ディ
    スクの内側面と第一内側ディスクの内側面との間に挟持
    された1対の第一パワーローラと、上記第二外側ディス
    クと第二内側ディスクとの間部分で、これら各ディスク
    の中心軸に対し捻れの位置に存在し、上記各ヨークに支
    持された4本の第二枢軸と、これら各第二枢軸を中心と
    して揺動する1対の第二トラニオンと、これら各第二ト
    ラニオンの内側面から突出した第二変位軸と、これら各
    第二変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記
    第二外側ディスクの内側面と第二内側ディスクの内側面
    との間に挟持された1対の第二パワーローラとを備え、
    上記各ヨークは上記ケーシングの内側に、これら各ヨー
    クの一部に形成した係止孔に上記ケーシングの内面から
    突出する状態で固設した支持ポストを内嵌する事により
    支持しているトロイダル型無段変速機に於いて、上記各
    ヨークの隅部に第一、第二各枢軸を揺動自在に支持する
    為の支持孔が形成されており、これら各支持孔の内側に
    上記第一、第二各枢軸を、外周面が球状凸面であり内周
    面が円筒面である外輪を備えたラジアルニードル軸受に
    より支持しており、上記各支持孔は、上記外輪の外径よ
    りも大きな内径を有する円孔であって、この外輪は支持
    孔の内側に緩く挿入されている事を特徴とするトロイダ
    ル型無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008069815A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Nsk Ltd トロイダル型無段変速機

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