JPH11162950A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法並びにエッチングガスによる加工方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法並びにエッチングガスによる加工方法

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JPH11162950A
JPH11162950A JP10270178A JP27017898A JPH11162950A JP H11162950 A JPH11162950 A JP H11162950A JP 10270178 A JP10270178 A JP 10270178A JP 27017898 A JP27017898 A JP 27017898A JP H11162950 A JPH11162950 A JP H11162950A
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rail
mask
etching
gas
processing
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Yasuo Hiyoshi
康夫 日良
Tamaki Toba
環 鳥羽
Hirotaka Imayama
寛隆 今山
Takako Okawa
貴子 大川
Masayasu Fujisawa
政泰 藤沢
Kazuo Nate
和男 名手
Hideki Sonobe
秀樹 薗部
Saburo Suzuki
三郎 鈴木
Eisei Togawa
衛星 戸川
Hiroshi Ishizaki
浩 石崎
Yoshiki Hagiwara
芳樹 萩原
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Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ヘッドと磁気ディスクの間の浮上量のば
らつきが小さい磁気ヘッド浮上面レールの形状とその製
造方法を提供する。 【構成】 浮上面レールのレール断面傾斜角を55度〜
85度にする。その製造方法としてイオンミリングを用
い、基板を角度15度〜60度に傾斜させるとともに回
転させ、イオンミリングガスとしてC224等のフッ
化炭化水素ガス単独または該フッ化炭化水素ガスとA
r、該フッ化炭化水素ガスとSF6等の混合ガスを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディスク上の浮上量の
小さい、いわゆる低浮上の薄膜磁気ヘッドおよびその加
工・製造方法に係り、特に、薄膜磁気ヘッド浮上面にお
けるレールの幅、溝深さおよび断面傾斜角を所望の形状
に高精度かつ高能率に加工し、安定した低浮上量を得る
とともに、ヘッドクラッシュを防止するのに好適な薄膜
磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】また、本発明は、エッチングガスを使用す
るプラズマエッチング方法に係り、特に、セラミックス
や高誘電体等のエッチレートの遅い材料の加工を、短時
間に精度よく、しかも安全かつ簡便に行うのに好適なエ
ッチングガスによる加工方法に関する。
【0003】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッド(以下、単に磁気ヘッド
という)の記録密度を向上するためには、磁気ヘッドの
浮上量の低減とその安定化が必須である。このためには
特に、ディスクの内周と外周との周速度の差による磁気
ヘッド浮上面の浮上量の変化を小さくすることの出来る
レールの形成が、高密度記録の磁気ヘッドを開発する上
で重要な課題となる。
【0004】上記レールの形成に関して図29ないし図
30を参照して説明する。図29は磁気ヘッドの形状お
よびその加工方法の例を示す図、図30は磁気ヘッドの
浮上状態説明用の模式図、図31はレール幅と浮上量と
の関係を示す図、図32はレール溝深さと浮上量との関
係を示す図である。
【0005】磁気ヘッド1の浮上には、図30に示すよ
うなバネ押圧式の空気ベアリングスライダ機構が応用さ
れる。空気ベアリングスライダ機構とは、磁気ヘッド1
の磁気ディスク9と相対する面、すなわち、レール基板
8上に形成された浮上面レール2(以下、単にレール2
という)と磁気ディスク9との間の空気層によるベアリ
ング機構で、図30(b)に示すように、空気流入端2
1から流入する空気の空気流によって形成される。そし
て、流入した空気が素子形成部20の空気流出端22よ
り流出する際、磁気ヘッド1と磁気ディスク9との界面
空気の粘性により引き起こされる空気流によってレール
2に浮上力を発生させ、該浮上力と磁気ヘッド9に外部
から加えられるバネ3の押圧力とにより、図30(c)
に示す磁気ヘッド1の浮上量4が調節される。ここで、
磁気ヘッド1は、磁気ディスク9の回転停止時には該磁
気ディスク9に物理的に接触状態にあるが、これに対し
て磁気ディスク9が一定の回転数に達すると、上記空気
ベアリングが形成されて浮上力が発生し、磁気ヘッド1
が磁気ディスク9より離れ、所定の間隔の浮上量4にて
浮上維持される。磁気ディスク9の浮上状態は、図30
(b)に示すように空気流出端22の方が、空気流入端
21に比べて浮上量4が小さく、それだけ磁気ディスク
9の回転時および停止時を問わず磁気ディスク9と接触
しやすい場所となる。
【0006】磁気ヘッド1の空気流出端22の形状は、
上述の理由により磁気ディスク9の損傷防止、あるいは
磁気ヘッド1自身の素子形成部20の損傷防止の観点等
から、出来るだけ滑らかな形状であることが望まれる
が、これを多数の磁気ヘッド1に対して効率良く実現す
るのは困難な状況にある。1つの試みとして、機械的な
加工、具体的には研磨技術により空気流出端22の面取
りを行う技術が知られている。
【0007】また、レール浮上面2a(以下、単に浮上
面2aともいう)のエッジの面取り加工は、磁気ディス
ク9に対するレール2の粘着防止、磁気ヘッド1の浮上
開始時に空気流の動圧発生部であるレール2への空気流
の回り込み促進、浮上面2aのエッジが磁気ディスク9
を損傷することによる記録情報の破壊防止等の目的のた
めに従来から行われているが、その面取り加工は、レー
ル2をラッピングシートを張り付けた回転円盤上で、磁
気ディスク装置上と同じ状態で浮上と接触とを繰り返し
ながら研磨する方法(例えば、特開昭60−9656号
公報)のように、機械的な加工方法によりエッジを除去
するものが提案されている。
【0008】ところで前記浮上量4は、磁気ディスク9
の回転数、磁気ヘッド1のレール2の寸法および形状、
バネ3の押圧力等に依存するが、磁気ディスク装置の記
録密度を高めるためには、浮上量4を出来るだけ低く抑
え、しかも安定して維持する必要があり、その量は10
0nmあるいはそれ以下にすることが望ましい。従っ
て、磁気ヘッド1の浮上面に形成するレール2の寸法
は、厳しい精度が要求されることになる。
【0009】上記浮上量4とレール2の幅および溝深さ
との関係は、レール2の形状により多少異なるが、一般
的には図31および図32に示す傾向にある。すなわ
ち、図31はレール溝深さ(μm)が一定の場合のレー
ル幅(μm)と浮上量4(nm)との関係を示すもので
あるが、レール幅が広いほど浮上量4は大きくなってい
る。図32は、レール幅が一定の場合のレール溝深さと
浮上量4との関係を示したものであるが、レール溝深さ
が或特定値のとき浮上量4が極小となり、その前後で浮
上量4は大きくなっている。例えば、図29(b)に示
す非線形レール(非直線状のレール)5の形状の場合に
は、レール溝深さのある特定値が5〜6μmで浮上量4
が極小となる。この様な場合、レール溝深さの設計値は
通常5〜6μmに設定される。一方、レール2表面の幾
何学的形状は、空気ベアリングにおける所定の浮上量4
の高さを得るため、或いはレール2の作成誤差やレール
溝深さ加工誤差に対する影響を出来るだけ小さくするた
め、さらには、磁気ディスク9の内周と外周の周速度の
違いによる浮上量4の変化を小さくするために、非線形
レール5のような曲線形状が実用化されている。その他
の形状例としては、特公平5−8488号公報や、特開
平4−276367号公報に開示されているような形状
が提案されている。
【0010】上記の如く形状が複雑で、しかも高精度の
寸法を要求されるレール2の形成方法としては、図29
(a)に示す従来の砥石を使用する機械加工に代わっ
て、ドライ加工技術、特に、イオンミリング技術が用い
られている。前記ドライ加工技術とは、ホトリソグラフ
ィーによりレール2の形状に見合ったレジストパターン
を形成し、図29(b)に示すように、このレジストパ
ターンをマスクにしてイオンビーム6を照射し、該照射
によりレール基板8をエッチングし、最後に余分のマス
クを除去してレール2を形成する方法である。
【0011】上記ドライ加工技術におけるエッチング装
置としてはイオンミリング装置が用いられる。イオンミ
リング装置は、(1)熱電子発生用フィラメントを有
し、このフィラメントより発生した熱電子に外部磁場に
よりトロイダル運動を与え、活性ガスの効率的なイオン
化によりプラズマを生成し、このプラズマから活性イオ
ン(イオンビーム)を電極より引き出し加工を行う方式
のイオンミリング装置や、(2)マイクロ波発生装置を
有し、マイクロ波と外部磁場による電子サイクロトロン
共鳴(Electron Cyclotron Resonance)を起こさせて、
活性ガスの効率的なイオン化によりプラズマを生成し、
このプラズマから活性イオンを電極より引き出し、加工
を行う方式のECRイオン源を有する後述する図5に示
すようなイオンミリング装置等がある。
【0012】つぎに、従来、各種被加工材に微細なパタ
ーンをエッチングにより加工する場合は、Ar(アルゴ
ン)もしくはCF4、CHF3等のフッソ系のガスをエッ
チングガスとして使用し、反応性イオンエッチング(Re
active Ion Etching 以下、RIEという)やイオンミ
リングにより加工を行ってきた。
【0013】しかし、このような方法では、マスク材に
対する被加工材の加工速度の比、すなわち選択比が1.
3程度と低く、このため厚さの厚いマスクが必要にな
り、例えば、カーボン膜をマスクとして用いる磁気ヘッ
ドのレール溝加工のように加工量の大きい場合には、カ
ーボンの成膜に10数時間以上を要し、プロセス全体が
長時間になるという問題点を有していた。
【0014】また、厚さの厚いマスクを使用すると、加
工中にマスクの幅が変化し、加工後の被加工材の寸法シ
フトが大きくなり、さらに、そのばらつきも大きくなっ
て加工精度が低下する問題点を有していた。一方、半導
体や光学素子の加工においては、加工量は少ないものの
パターン幅が非常に狭いため、マスクの寸法シフトが加
工精度に大きく影響してくる。このような問題点を解決
するためには、選択比のできるだけ大きいマスク材とガ
スとを選定することが重要であった。
【0015】このようなことから、従来は、各種マスク
材や使用するガスの検討が行われ、CH4(メタン)ま
たはCH22(2フッ化メタン)ガスが使用されてき
た。これらのガスは、エッチング中にカーボン膜、シリ
コン膜、レジスト、金属膜等の上に堆積物を生じ、選択
比が無限大になることが知られている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】前記磁気ヘッド1の空
気流出端22の形状形成に、研磨技術を実際に実施した
場合には、研磨の際に発生する研磨くずの処理や、研磨
液による素子劣化の心配があり、所定の面取りを効率よ
く行うことは困難な状況にある。特に、浮上面に信頼性
向上のために厚さ5〜30nmの極薄膜の図示していな
い保護被膜を形成した磁気ヘッド1の場合は、該保護被
膜があまりにも薄いことから該保護被膜を損傷させずに
面取りを実施することはきわめてむずかしい。
【0017】また、浮上面2aのエッジの面取り加工
を、前記機械的な加工方法により行う場合は、多数の磁
気ヘッド1に対してエッジを均一に加工することが難し
く、このため、磁気ヘッド1の安定した低浮上量を得る
上での問題点となっていた。
【0018】つぎに、図33ないし図37を参照して前
記従来のドライ加工のメカニズム及び問題点を説明す
る。図33は、レールのイオンミリング加工モデルで、
ホトレジスト等のパターニングされたマスク7を用いた
場合のイオンミリング加工によるレール加工過程の説明
図、図34はイオンミリング速度の入射角依存性を示す
図、図35はレール加工時におけるレール断面形状の経
時変化を示す図、図36はレール溝深さとレール幅との
関係を示す図、図37はレール側面に残留した再付着層
を示す図である。
【0019】図33において、イオンビーム6によりマ
スク7がエッチングされると、同時にレール基板8もエ
ッチングされてレール2が形成される。ここで、マスク
7及びレール基板8のエッチングされる速度は、おおむ
ね図34に示すイオンミリング速度(μm/h)の入射
角依存性により決まる。すなわち、図34に示すよう
に、イオンビーム入射角(deg)が0度より40度ま
では、マスク7、レール基板8ともイオンミリング速度
が次第に上昇し、40度ないし60度でピークに達し、
それ以降は急激に下降する傾向を示している。例えば、
マスク7の上面は、イオンビーム入射角が0度のイオン
ミリング速度で加工され、また、マスク7の側面は、概
ね図33に示すマスク断面傾斜角βに見合った入射角の
イオンミリング速度で加工される。同様にレール2の底
面となるレール基板8は、イオンビーム入射角0度のイ
オンミリング速度で加工され、また、レール2の側面
は、レール断面傾斜角αに見合った入射角のイオンミリ
ング速度で加工される。しかし、実際にイオンミリング
加工を実施してみると、加工速度が上述のイオンミリン
グ速度の入射角依存性のみで決まるものではないことが
理解できる。
【0020】イオンミリング現象を複雑にしている要因
として、上述のミリング作用の他に、イオンビーム6で
スパッタされた粒子12が、被加工物外に飛散せず、再
び被加工物の側面或いは底面に付着する現象、すなわち
再付着現象がある。スパッタ粒子12の再付着は、四方
八方に飛散したスパッタ粒子12のうちの或確率の粒子
が再付着に寄与することは知られているが、その確率を
定量的に知ることはきわめて難しく、このことがイオン
ミリング現象を複雑にしている。
【0021】つぎに、図35はイオンミリング加工にお
けるレール断面形状の経時変化を示した図であるが、マ
スク7の断面形状、特にマスク断面傾斜角βとレール断
面傾斜角αが、時間とともに変化する現象、また、スパ
ッタ粒子12の再付着現象、さらにはマスク7の最終形
状までの形成過程のばらつき、イオンミリング加工条件
のばらつき等がおこるため、たとえ図34に示すような
イオンミリング速度の入射角依存性が判っていても、最
終レール断面形状16を予測すること、即ち、所望の形
状を再現性良く得ることは、極めて難しいのが実状であ
る。
【0022】図36は従来のイオンミリング加工技術を
駆使してレール2を形成したときのレール溝深さとレー
ル幅との関係を示したものである。図に示すように、レ
ール溝深さが深いほどレール2の側面加工が進行するた
めレール幅は小さくなる。しかし、現状ではレール溝深
さが所定の値になったとき加工終了を検知する十分な検
出技術がないため、その精度を所定の要求値に納めるこ
とが難しい状況にある。さらに、図36のデータから理
解できるように、レール溝深さが所定値から1μmずれ
ると、レール幅は6μm程度ずれてしまう。このため、
レール溝深さ加工が所定範囲内に納まったとしても、レ
ール幅精度が設計値の範囲外になるケースが頻発し、こ
のことが磁気ヘッド1のレール加工精度とその生産性、
磁気ヘッド浮上特性の安定性等を低下させる原因の一つ
になっている。
【0023】さらに、イオンミリング加工でレール2を
形成する場合、上記レール幅等の寸法精度以外に、前記
図33の加工モデルに示したように、再付着層10が加
工終了時まで残留することがある。この再付着層10
は、レール基板材料がスパッタされて付着したものであ
るから、有機溶剤や酸素プラズマアッシング等で除去す
ることが出来ず、一例として図37に示すような状態に
最後まで残留し、レール浮上面に突起状の再付着層10
の先端部が突出する。このため、磁気ディスク装置を稼
動した際、該再付着層10の先端部により磁気ディスク
9を損傷させることになり、最悪の場合には保存情報を
破壊することになる。
【0024】他方、前記従来の各種被加工材の微細パタ
ーン形成に使用されていたCH4、またはCH22ガス
は、可燃性ガスのため危険であり、配管設備をはじめ安
全対策に高額の費用が必要で、量産設備への適用は困難
であるという問題点を有していた。
【0025】また、エッチング中にマスク上に生じる堆
積物の膜厚が大きく、そのばらつきも大きいことから、
加工後の寸法シフトのばらつきも大きいという問題点を
有していた。特に、半導体や光学素子のように微細溝を
加工する場合は、マスク厚が増すことにより高アスペク
ト比の加工になり、加工された材料がマスクや溝の側壁
に再付着し、加工形状の断面が三角形や台形になって所
定の形状が得られない問題点も有していた。
【0026】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
薄膜磁気ヘッド浮上面におけるレールの幅、溝深さおよ
び断面傾斜角を、所望の形状に高精度かつ高能率に加工
し、安定した低浮上量を得るとともに、ヘッドクラッシ
ュを防止することができる薄膜磁気ヘッドおよびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0027】上記目的をさらに説明すれば、 第1に、マスク膜厚、マスク断面傾斜角、イオンミリン
グ選択比等の各種の加工ばらつきがあっても浮上量のば
らつきが小さく、また、再付着層の発生に影響されるこ
となく、レール溝深さのばらつきに対してレール幅のば
らつきの小さい磁気ヘッドのレール形状及びその形成方
法を提供する。具体的には、レール幅精度、すなわち、
レール溝深さの加工が1μmばらついたときのレール幅
のばらつきの範囲が、3μm/μm以下となるようなレ
ール形状とその製造方法を提供する。
【0028】第2に、上記レールの形成過程において、
磁気ヘッドの空気流出端の面取り加工を行うことができ
る製造方法を提供する。
【0029】第3に、磁気ヘッドのレール浮上面外縁部
のエッジを、均一に精度よく量産加工することができる
製造方法を提供する。
【0030】また、本発明は、セラミックスや高誘電体
等のエッチレートの遅い材料の加工を、短時間に精度よ
く、しかも安全かつ簡便に行うことができるエッチング
ガスによる加工方法を提供することを目的とする。そし
て、本加工方法を使用することにより、高精度に加工さ
れた薄膜磁気ヘッド、半導体メモリー、光学素子等を得
ることを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明者等は浮上面レー
ルを形成する際のプロセス条件、例えばイオンミリング
ガスの種類、濃度、マスク膜厚m、マスク断面傾斜角
β、基板傾斜角(図5に示すθ)、基板回転の有無等を
検討した。この結果、従来技術の欠点を解決する手段と
しは、レール断面傾斜角αを55度ないし85度になる
よう、更に好ましくはレール断面傾斜角αを60度〜8
0度になるように、プロセス条件、特にイオンミリング
ガスの種類、イオンミリングにおける基板傾斜角θを設
定すればよいことを見いだした。具体的には、イオンミ
リングガスとしてフッ化炭化水素ガス、特にテトラフル
オロエタン(C224)を所定の濃度で用いること、
或いはAr等これ以外のイオンミリングガスを使用する
場合には、基板傾斜角θを15度〜60度にして、基板
を回転させながらイオンミリングを実施することにより
高精度の加工が達成できること、及び加工のばらつきに
対して磁気ヘッド浮上量のばらつきが小さいことを見い
だし本発明を得た。
【0032】また、上記イオンミリング技術を用い、マ
スク形成方法としてロールを用いたコーティングを行う
ことにより、浮上面レールの空気流出端の面取り加工が
同時に行えることを見いだした。
【0033】さらに、上記の課題を解決するために、レ
ール上にレールの二次元マスクパターンを形成し、イオ
ンビームエッチング等のドライエッチングによりレール
の形成を行った後、リアクティブイオンエッチングによ
りレール浮上面のエッジからマスク側面を後退させ、同
時にレールが現れたところをエッチングすることにより
面取り加工をするようにした。
【0034】また、浮上特性からエッジの断面の形状を
制御する必要があるときには、イオンビームエッチング
の再付着現象を利用して、マスク側面とマスク側面が後
退してレ-ル浮上面が現われた部分の間に薄い再付着層
を作り、リアクティブイオンエッチング時に、マスク側
面の後退量を変化させることを利用する。このような再
付着層が出来る条件としては、フォトレジストマスク膜
厚を7μm未満、イオンビームエッチングの選択比が
4.0以上、マスク側面の傾斜角が80度未満である。
【0035】またさらに上記目的を達成するために、エ
ッチングガスによる加工方法に係る第一の発明の構成
は、エッチングガスを用い、イオンミリングまたは反応
性イオンエッチングにより、被加工材にマスクを介して
エッチングし加工する方法において、マスクとしてカー
ボン膜、シリコン膜、金属膜、レジスト、高分子材料の
いずれかを用い、エッチングガスとしてCH2FCF
3(テトラフルオロエタン)ガスを用いることを特徴と
するエッチングガスによる加工方法である。
【0036】また、エッチングガスによる加工方法に係
る第二の発明の構成は、エッチングガスを用い、イオン
ミリングまたは反応性イオンエッチングにより、被加工
材にマスクを介してエッチングし加工する方法におい
て、マスクとしてカーボン膜、シリコン膜、金属膜、レ
ジスト、高分子材料のいずれかを用い、エッチングガス
としてCH2FCF3とArとの混合ガスを用いることを
特徴とするエッチングガスによる加工方法である。
【0037】また、エッチングガスによる加工方法に係
る第三の発明の構成は、エッチングガスを用い、イオン
ミリングまたは反応性イオンエッチングにより、被加工
材にマスクを介してエッチングし加工する方法におい
て、マスクとしてカーボン膜、シリコン膜、金属膜、レ
ジスト、高分子材料のいずれかを用い、エッチングガス
としてCH2FCF3とSF6との混合ガスを用いること
を特徴とするエッチングガスによる加工方法である。
【0038】また、エッチングガスによる加工方法に係
る第四の発明の構成は、エッチングガスを用い、イオン
ミリングまたは反応性イオンエッチングにより、被加工
材にマスクを介してエッチングし加工する方法におい
て、マスクとしてカーボン膜、シリコン膜、金属膜、レ
ジスト、高分子材料のいずれかを用い、エッチングガス
としてCH2FCF3とCHF3との混合ガスを用いるこ
とを特徴とするエッチングガスによる加工方法である。
【0039】また、エッチングガスによる加工方法に係
る第五の発明の構成は、エッチングガスを用い、イオン
ミリングまたは反応性イオンエッチングにより、被加工
材にマスクを介してエッチングし加工する方法におい
て、マスクとしてカーボン膜、シリコン膜、金属膜、レ
ジスト、高分子材料のいずれかを用い、エッチングガ
ス.としてCH2FCF3とCF4との混合ガスを用いる
ことを特徴とするエッチングガスによる加工方法であ
る。
【0040】また、エッチングガスによる加工方法に係
る第六の発明の構成は、被加工材としてセラミック基板
を用いることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの浮上面レー
ル形成方法である。
【0041】より詳しくは、請求項7ないし請求項11
記載のエッチングガスによる加工方法において、被加工
材としてアルミナチタンカーバイド、アルミナ、ジルコ
ニアを用いることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの浮上面
レール形成方法である。
【0042】さらに詳しくは、請求項12および請求項
13のエッチングガスによる加工方法において、磁気ヘ
ッドの浮上量が0.15μm以下になるようにしたこと
を特徴とする薄膜磁気ヘッドの浮上面レール形成方法で
ある。
【0043】上記目的を達成するために、エッチングガ
スによる加工方法に係る第七の発明の構成は、請求項7
ないし請求項11記載の加工方法において、被加工材と
してアルミナを用いることを特徴とする磁気素子の形成
方法である。
【0044】上記目的を達成するために、エッチングガ
スによる加工方法に係る第八の発明の構成は、請求項7
ないし請求項11記載の加工方法において、被加工材と
して光学結晶やガラス基板を用いることを特徴とする光
学素子の形成方法である。
【0045】上記目的を達成するために、エッチングガ
スによる加工方法に係る第九の発明の構成は、請求項7
ないし請求項11記載の加工方法において、被加工材と
して高誘電体膜を用いることを特徴とする半導体素子の
形成方法である。
【0046】上記目的を達成するために、エッチングガ
スによる加工方法に係る第十の発明の構成は、請求項7
ないし請求項11記載の加工方法において、被加工材と
してジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zrx,Ti1-x)O
3)、BaSrTiO3、SrTiO3を用いることを特
徴とする半導体素子の形成方法である。
【0047】上記目的を達成するために、エッチングガ
スによる加工方法に係る第十一の発明の構成は、請求項
7ないし請求項11記載の加工方法において、被加工材
として金属を用い、金属配線層を形成することを特徴と
する半導体素子の形成方法である。
【0048】より詳しくは、請求項7ないし請求項11
記載のエッチングガスによる加工方法において、被加工
材としてCu,Ptを用い、金属配線層を形成すること
を特徴とする半導体素子の形成方法である。
【0049】
【作用】本発明が明らかにした、加工後のレール断面傾
斜角が55゜〜85゜になるようにレール形状およびそ
の製造プロセス条件を設定することにより、再付着層が
残らず、仮にレールの溝深さが多少深すぎたり、浅すぎ
たりしても、レール幅寸法は許容される設計値の範囲内
に納まる浮上面レールが形成でき、浮上量が安定した、
かつ磁気ディスク回転、停止時のヘッドディスクの損傷
の少ない磁気ヘッドを製造することができる。
【0050】さらに上記技術において、マスク形成方法
として、ロールを用いたコーティング法を用いることに
より、浮上面レールのイオンミリング加工時に磁気ヘッ
ド空気流出端の面取り加工も同時に行われ、即ちヘッド
浮上時及び浮上停止時の磁気ディスクと磁気ヘッドの接
触による破壊防止加工を容易に行うことが可能になる。
【0051】また、レール浮上面上に均一にマスクが形
成されているため、RIEにより均一にマスクが後退
し、量産時においても均一な加工面を得ることが可能に
なる。
【0052】浮上面のエッジの加工断面形状は、レジス
トの後退量と、そのときのレール基板材のエッチング速
度により決定される。
【0053】RIE時のレジスト側面の後退量は、イオ
ンビームエッチング後のレジスト側面付近の厚み分布に
より決まり、レジスト側面付近の厚み分布は、イオンビ
ームエッチング後のレジスト側面のマスク断面傾斜角に
依存している。
【0054】このレジスト側面のマスク断面傾斜角は、
レジストのイオンビーム入射角によるエッチング特性に
より制御することもできるが、レジスト側面が後退した
部分にレジストの再付着により形成される小さな傾斜角
を有する薄いレジスト層、すなわち、再付着層を形成す
ることにより、レジスト側面の後退量を変化させること
が可能である。該再付着層は、マスク膜厚が小さくなる
ほど、マスク断面傾斜角が小さくなるほど、また、イオ
ンビームエッチングの選択比が大きくなるほど形成され
やすくなる。
【0055】マスク膜厚は、フォトレジストマスクの場
合、レジストの塗布回数や粘度によって決まる。また、
マスク断面傾斜角は、露光時のデフォーカスによって決
まる。そして、イオンビームエッチングのイオン源ガス
としてC224とArの混合ガスを用いた場合、C2
24の流量を増やすことにより選択比を増大させること
が可能である。前記付着層は、初期のマスク膜厚を7μ
m未満で、かつイオンビームエッチングの選択比4.0
以上とし、かつ初期レジストマスク側面のマスク断面傾
斜角を80度未満とすることにより、形成することが可
能である。
【0056】また、前記薄い再付着層を形成することに
より、RIE時のレジスト側面の後退が、再付着層部分
では再付着層が薄いので速くなり、再付着層の形成され
ていない部分では遅くなるので、同時エッチングされた
レール浮上面のエッジは、レール断面傾斜角が2段に形
成されることになる。
【0057】つぎに、前記エッチングガスによる加工方
法において、エッチングガスとしてC224を単独で
用いると、カーボン膜、シリコン膜、クロム等の金属膜
や高分子材料の上に、エッチング中にごく薄い堆積物を
生じて、選択比が無限大となる。このため、ごく薄いマ
スク材料で深い溝が、イオンミリングおよびRIEによ
り加工可能である。
【0058】また、マスクの寸法シフト量がほとんどな
いため、被加工材の寸法シフトもほとんどなく、そのた
め加工精度が向上する。そして、マスク上に生成する堆
積物もその生成レートが従来のガスに比べて遅く、その
ため寸法精度の劣化を減少させられる。
【0059】さらに、C224は不燃性であり、毒
性、腐食性等の問題となるような性状が全くないため、
取扱いが容易で、従来の装置や生産設備に即導入可能な
簡便性を有する。
【0060】つぎに、エッチングガスとして、C22
4とArの混合ガスを用いる場合も、非常に大きい選択
比条件を得ることができる。さらに、磁気ヘッドや半導
体素子においては、加工終了後にマスク材を除去するの
が一般的であり、その際、マスク上に堆積物が存在する
と、さらにその堆積物の除去プロセスが増えるという問
題があるが、混合ガスを、Arの混合比24%以上にし
た場合には、堆積物の生成はおきず、マスク材がわずか
に加工されるので、加工後に堆積物を除去するプロセス
が不要となるという特有の作用を有する。
【0061】つぎに、エッチングガスとして、C22
4とSF6の混合ガスを用いる場合も、非常に大きい選択
比条件を得ることができる。特に、SF6は反応性が高
いため、SF6を混合すると被加工材の加工速度が速く
なり、加工時間を短縮することが可能になる。また、マ
スク上の堆積物の生成を抑えることができるため、前記
Arを混合する場合と同様に、加工後に堆積物を除去す
るプロセスが不要となるという作用を有する。
【0062】したがって、上記方法を用いて加工するこ
とにより、磁気ヘッド、光学素子、半導体メモリ等の加
工精度を向上させることが可能になる。
【0063】また、上記加工方法によりセラミック基板
等からなる被加工材は、寸法シフト量が小さく、寸法精
度の良い磁気ヘッドのレールを形成することが可能にな
る。このため、0.15μm以下の安定した低浮上量の
磁気ヘッドを量産することが可能になる。
【0064】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例を図2ないし図
11を参照して説明する。図2はレール形成プロセスを
示す図、図3は固定治具にセットされたイオンミリング
後のヘッドブロックの一部外観図、図4は図3に示すヘ
ッドブロックのうちの磁気ヘッド単体の外観図、図5は
公知のイオンミリング装置構成図、図6はC224
ス濃度とレール幅との関係を示す図、図7はC224
ガス濃度とレール断面傾斜角との関係を示す図、図8は
レール断面傾斜角とレール幅精度との関係を示す図、図
9はC224ガス濃度と選択比との関係を示す図、図
10はイオンミリングガスとしてArを用いた場合のマ
スクおよびレール基板のイオンミリング速度の入射角依
存性を示す図、図11はイオンミリングガスとしてAr
とC224との混合ガスを用いた場合のマスクおよび
レール基板のイオンミリング速度の入射角依存性を示す
図である。
【0065】第1の実施例は、図5に示すイオンミリン
グ装置にセットする被加工物基板の傾斜角度θ(以下、
基板傾斜角θという)を0度、すなわち、レール基板に
たいしてイオンビームが垂直に入射されるように配置し
てイオンミリングする方法である。
【0066】図2に示すように、レール基板8上に複数
の素子24を形成した後、所定の寸法に切断して、複数
のヘッドブロック26を形成する。これらをヘッドブロ
ック固定治具27に整列配置してホトリソグラフィーに
よりマスクを形成した後、図5に示すイオンミリング装
置にセットし、イオンミリングにより各磁気ヘッドにレ
ールを形成する。図3にイオンミリング後のヘッドブロ
ックの外観を、そして、図4に磁気ヘッドの単体を示
す。
【0067】次に、本発明のイオンミリング技術につい
て詳述する。この場合の1つの条件は、イオンミリング
ガスとして、フッ化炭化水素ガス、とりわけC224
(テトラフルオロエタン)を用いることである。C22
4は、沸点−26.2℃の不燃性ガスであり、オゾン層
破壊性のない冷媒用ガスとして知られている。
【0068】本発明においては、単に上記ガスを用いれ
ばよいのではなく、適正な範囲のガス濃度で使用する。
ガス濃度の適正範囲は、C224の場合、0.2〜1.
2×10~8(mol/l)の範囲である。これはガス濃
度をこの範囲以下にすると、レール断面傾斜角αが55
度以下になってレール幅精度が悪くなるからであり、反
対にこの範囲以上になると、レール幅精度の点では良好
な値を示すが、再付着層10が残留するという問題が生
じるからである。以下、具体的データの一例を示しなが
らこの点について説明する。
【0069】図5に示すイオンミリング装置を用い、プ
ラズマイオン源よりイオン引き出し電極を介して陽イオ
ンを引き出し、これを被加工物に照射してイオンミリン
グを行う。ここで、加速電圧800V、イオン電流密度
0.5mA/cm2で、レール幅100μm、レール溝深
さ6μmのレールを形成したときの、C224の濃度
と加工後のレール断面傾斜角α、レール幅精度等を検討
した。この場合、所定のレール溝深さまで加工した後
も、マスクがまだ残っているようにマスク膜厚を設定し
た。
【0070】上記イオンミリングを行ったレール基板材
の材質は、Al23・TiCで、マスクの材質はポジ型
のホトレジストである。C224の濃度については、
0から2.5×10~8(mol/l)までの範囲につい
て検討した。C224の濃度が、1.5×10~8(mo
l/l)以下の場合には、イオンミリング装置のプラズ
マが不安定となるため、これにArガスを添加し、全ガ
スの濃度が1.5×10~8となるように真空槽内の真空
度を調整した。全ガスの濃度が1.5×10~8(mol/
l)のときの真空度は、おおよそ2.5×10~4Tor
rである。また、レール幅は、場所により異なっている
が、幅100μmの或特定の場所に限定してその寸法を
検討した。
【0071】図6は、マスク膜厚7μm、初期のマスク
断面傾斜角βを70〜88度とした場合の、C224
ガス濃度(mol/l)とマスク膜厚を6μm加工した
後のレール幅との関係を示す図である。ここで加工前の
レール幅、すなわちマスクパターンの幅は100μm
で、加工後にはこのレール幅は減少するが、同図に示す
ようにC224ガス濃度が大であるほど、レール幅の
減少は小さいことが分かる。
【0072】つぎに、図7はC224ガス濃度とレー
ル断面傾斜角α、図8はレール断面傾斜角αとレール幅
精度の関係を示すものであるが、図7に示すように、ガ
ス濃度を増大させることによりレール断面傾斜角αが大
きくなり、その結果、図8に示すように、レール幅精度
が向上しているのが分かる。
【0073】レールの加工精度のうち、レール幅精度
は、レール幅100μmを基準にした場合に3μm/μ
m以下であることが要求されるが、これを満たすために
は図7および図8より、ガス濃度を0.2×10~8(m
ol/l)以上とし、レール断面傾斜角αを55度以上
とすることが有効であることが分かる。即ち、レール断
面傾斜角αを55度ないし60度より大きくすることに
より、レール幅精度の良好なレールの形成が可能にな
る。
【0074】上記の如く、ガス濃度を増していくとレー
ル断面傾斜角αも大きくなっていき、それに伴いレール
幅精度も向上していくことが分かる。このように加工精
度を確保するためには、ガス濃度を増大させたほうが有
利となる。しかし、ガス濃度を1.3×10~8(mol/
l)以上にすると、図7に示すようにレール断面傾斜角
αが85度より大きくなることから、前記図33に示す
再付着層10がレール側面に堆積する確率が高くなり、
必ずしも実用上諸特性に優れた磁気ヘッドが得られると
は限らない場合もある。また、ガス濃度を1.3×10~
8(mol/l)以上にすると、マスク表面にイオンミ
リングガスが重合して生成されたフィルムの堆積現象が
みられ、イオンミリング後にそのフィルムを除去する手
間が生じることから、大量生産に適さない場合も発生す
る。
【0075】以上のことから、レール幅精度、非再付着
性、非フィルム堆積性等の諸特性に優れたレールを形成
するためには、レール断面傾斜角αを55度〜85度の
範囲にするのが最も好ましい。
【0076】本実施例において、レール形成時の初期マ
スク膜厚には、適正範囲が存在する。適正範囲の下限
は、イオンミリング後にマスク材がまだ存在し得るよう
な初期膜厚が必要で、具体的には3μmが一般的であ
る。一方、その上限は、35μmを越えないことが必要
である。その理由としては、初期膜厚が35μmを越え
ると、イオンミリング中のスパッタ物が、マスク側面及
びレール側面に再付着する確率が著しく増加するためで
ある。
【0077】以上述べたように、初期マスク膜厚を適正
範囲内とし、C224ガス濃度を0.2×10~8〜1.
3×10~8(mol/l)とすると、得られるレール断
面傾斜角αは55度〜85度となり、併せてレール幅精
度は3μm/μm以下となって、要求仕様を満たす所望
のレールを形成することができ、同時に、再付着物の残
存しない良好な特性のレールを形成することが可能にな
る。
【0078】つぎに、前述したC224ガスの濃度が
高くなると、レール断面傾斜角αが大きくなり、併せて
レール幅精度が良くなる理由について、図9ないし図1
1を参照して説明する。図9はC224ガス濃度と選
択比との関係を示す図で、種々のC224ガス濃度で
イオンミリングしたときのイオンビーム入射角が0度の
場合の選択比、すなわち、レール基板、マスクともイオ
ンビーム入射角が0度の場合の (レール基板のイオンミリング速度)÷(マスクのイオ
ンミリング速度) の値を示す図、図10はイオンミリングガスとしてAr
を用いた場合のマスクおよびレール基板のイオンミリン
グ速度の入射角依存性を示す図、図11はイオンミリン
グガスとしてArとC224との混合ガスを用いた場
合のマスクおよびレール基板のイオンミリング速度の入
射角依存性を示す図である。なお、図10におけるAr
ガス濃度は、1.5×10~8(mol/l)、図11に
おけるArおよびC224の各ガス濃度は、いずれも
0.75×10~8(mol/l)である。
【0079】一般にレール基板のイオンミリング速度
は、イオンビーム入射角が0度の場合は、C224
ス濃度を変えてもほぼ一定値の1μm/hであることが
分かっているが、図9に示すデータからC224ガス
濃度が高いほど選択比が高くなることが分かる。このこ
とはC224ガスの濃度を高くした場合には、マスク
のイオンミリング速度が小さくなることを示している。
【0080】ここで、図10(a)と図11(a)の基
板傾斜角θ=0度のときの各マスクのイオンミリング速
度の入射角依存性を比較すると、両者は全体的にほぼ類
似の傾向を示しているが、マスクのイオンミリング速度
の数値は、Arガス単独の場合に比べてArとC22
4との混合ガスを用いた場合の方が格段に小さく、約1
/3程度に低減していることが分かる。そして、両者の
イオンミリング速度の絶対値の差は、イオンビーム入射
角が40度ないし60度の範囲が特に大きい。
【0081】上記図9ないし図10の各データに示すよ
うに、C224ガス濃度が高いほどマスク材のイオン
ミリング速度、特に、マスク側面のイオンミリング速度
が低下するから、前記図35に示すイオンミリング加工
におけるレール断面形状の経時変化において、レール幅
の後退量が減少してレール幅精度が向上することにな
る。
【0082】この場合、特に重要な点は、単独、混合に
拘らずC224ガスを使用すると、マスク材のイオン
ミリング速度がガス濃度に依存して減少するにもかかわ
らず、レール基板のイオンミリング速度はガス濃度に依
存することなくほとんど変化しないという点である。こ
のC224ガスを使用したときのイオンミリング速度
に関する特異性が、結果的にレール幅精度の向上を可能
にする。
【0083】なお、C224ガスは前記の如く単独で
用いることができるが、He、Ne、Ar、Xe等の希
ガスと混合して用いることもできる。混合する希ガスの
量は、イオンミリングを行う上で適正な真空度(1〜5
×10~4Torr)となるように混合すればよい。これ
ら希ガスの混合によりイオンミリング速度あるいはレー
ル幅精度は僅かに変動するものの、ほとんどC224
ガスの濃度にこれらの特性が依存するため、希ガスの混
合により加工性が損なわれることはない。
【0084】上述したC224を用いたレール幅精度
の向上策以外に、C224に類似したフッ化炭化水素
ガスを用いた場合にもこれに相当する効果が得られる。
同等の効果を示すイオンミリングガスとしては、C22
4よりは劣るものの、例えば、水素を含有したフロン
ガス、すなわち、フッ化炭化水素系フロンガスであるC
22、CH3F、C233、C242ガスがある。
【0085】これらのフッ化炭化水素系フロンガスに関
しては、いずれも単独で使用した場合には十分な効果は
得られない。そればかりか、これらのガスを単独で使用
した場合には再付着の発生確率が高く、さらに、イオン
ミリング装置のチャンバー内汚染性が高く、大量生産し
たときの再現性が乏しいという問題を発生する場合があ
る。その理由に関しては明らかになっていない部分もあ
るが、これらのガスがイオンミリング装置内で重合して
高分子フィルムを形成する性質が高く、形成された高分
子フィルムが真空容器を汚染するためであると推定され
る。
【0086】しかし、上記したガス単独使用時における
諸問題は、前記CH22、CH3F、C233、C24
2のいずれかのガスと、ArまたはXeを適当な割合
で混合する事により解決することが可能である。表1
に、これらのガスとArとの濃度別混合割合とレール幅
精度との関係例を示す。表中、フロンガスとあるのは、
CH22、CH3F、C233、C242のいずれか
のガスである。
【0087】
【表1】
【0088】表1より、上記フロンガスの適正濃度は、
おおむね3〜13×10~9(mol/l)であり、これ
にAr等の希ガス、あるいはSF6等を3〜14×10~
9(mol/l)混合するのが好ましいことが分かる。
なお、上記ガス単独使用の場合は、レール形状のばらつ
きが大きくて実験データの特定ができず、また、塩素を
含有したガスは良好な結果を得ることができないことが
分かった。
【0089】つぎに、本実施例のレール形成過程におけ
る磁気ヘッドの空気流出端の面取り加工に関して、図1
2および図13を参照して説明する。図12はロールコ
ーティング方式のレジスト塗布装置の概要説明図、図1
3は図12により塗布されたレジスト形状および面取り
加工説明図である。
【0090】図12は、前記図30に示す浮上面2aの
加工及び空気流出端22の面取り加工を、イオンミリン
グにより同時に行うために必要な、マスク形成装置の一
例を示したものである。ヘッドブロック固定治具27に
配置した複数のヘッドブロック26を、図示矢印方向に
移動させつつ、レジストを回転中のロール28と塗布ロ
ール29の間に滴下し、塗布ロール29にヘッドブロッ
ク26を接触させることによりレジストを塗布する。ヘ
ッドブロック26上には、図13(b)に示すようにレ
ジストマスク7が形成されるが、その塗布されたレジス
トの厚みは、レジストの基板或いは保護膜に対する濡れ
性と表面張力のために、同図(c)に示すようにヘッド
ブロック26の素子形成部20の端面A部において極薄
となる。そして、A部に近い内方側の位置B部において
盛り上がりをみせる。このA部の形成は、レジストの粘
度を60〜500cps、ロール28の押し込み量を
0.5mm〜5mm、そして塗布ロール29のヘッドブ
ロック26に対する押し込み量を0.01mm〜0.8m
mにそれぞれ設定することにより可能である。また、必
要に応じて、ロールコーティングによるレジスト塗布を
複数回行い、塗布厚さおよび長さを調整することも可能
である。
【0091】上記塗布されたレジストは、公知の方法に
より露光、現像されマスクパターンが形成されるが、こ
の様に形成したマスクを用いて前述のイオンミリングに
よりレールを形成すると、該レール形成中に、素子形成
部20の端面、すなわち磁気ヘッド1の空気流出端22
は、前記の如くレジストマスク7が極薄であることから
イオンミリングされ、同図(d),(e)に示すような
面取り部25が形成される。この場合、面取り部25の
面取り量は、素子形成部20の素子部分をミリングしな
いように、そして、ヘッド浮上特性を損なわないよう
に、深さD=1〜50μm、長さL=3〜40μmとす
るのが望ましい。なお、同図(c)に示す断面図は、図
4におけるAーA´断面を示すものである。
【0092】上記面取り部25の形成方法は、磁気ヘッ
ド浮上の際にその信頼性を向上させるのに有効な面取り
を、レールの形成過程で同時進行で行えるため、量産が
容易になり工業的に優れた加工方法といえる。
【0093】前記マスク材として、例えば、フィルムを
用いた場合には、該フィルムは膜厚が均一なため、マス
ク膜厚は素子形成部20の端面も基板中央部も同一とな
り、イオンミリングの際に、面取り加工を同時に行うこ
とは出来ない。言うまでもなく、仮に面取り加工が行わ
れない場合には、磁気ヘッド1と磁気ディスク9とが接
触した場合、空気流出端22のエッヂが破壊されやすく
なり、その破壊された部分が磁気ヘッド1と磁気ディス
ク9との間に入り込んでヘッドクラッシュの原因となる
が、面取り部25の形成によりその問題は解決される。
【0094】なお、上述した本発明の面取り加工法は、
次に述べる実施例2の場合にも同様の効果が期待でき
る。
【0095】つぎに、本発明の第2の実施例を図1およ
び前記図10,図11を参照して説明する。図1は各種
条件下におけるレール形成加工後のレール断面傾斜角と
レール幅精度との関係を示す図である。
【0096】本実施例は、前記図5に示すイオンミリン
グ装置にセットする被加工物の基板傾斜角θを30度〜
60度に設定し、かつ被加工物基板を1分間に1回転以
上回転させた状態でイオンミリングする方法で、レール
断面傾斜角αを55度〜90度、好ましくは55度〜8
5度の範囲に形成してレール幅精度を向上させる方法で
ある。
【0097】ここで、基板傾斜角θとは、前記図5に示
すように、イオン引き出し電極を介して入射されるイオ
ンビームに対する基板の傾斜角度をいい、その傾斜角度
範囲は15度〜75度である。また、基板回転の速度
は、1rpmから100rpmまでが好ましいが、特に
この範囲に限定するものではない。重要なのは、基板傾
斜と基板回転とを各単独ではなく共に行うことにより、
イオンビームの入射方向が限定された方向からだけでは
なく、レール2を形成するのに適した方向に変化させる
ことができるという点に有る。ここで言う基板回転と
は、1枚の基板または前記図2に示すようなヘッドブロ
ック固定治具27上に、多数の磁気ヘッド素子を並べた
基板の回転をいい、例えば、一度に多数の基板を処理す
るような場合には、個々の基板の回転とともに、該基板
を複数搭載した基板ホルダも同時に回転することを含ん
でいる。
【0098】以下、下記表2に示す条件にてレール形成
したときの結果を、図1を参照して説明する。
【0099】
【表2】
【0100】図1に示すレジストテーパ角とは、前記図
33に示すマスク断面傾斜角βのことであり、図中に示
す数値(単位:μm)は初期マスク膜厚mを示す。
【0101】まず、図中の(イ)群は本実施例の比較例
で、イオンミリングガスとしてArを用い、初期マスク
断面傾斜角β(イオンミリング前の角度)を50度、同
じくイオンミリング前の膜厚である初期マスク膜厚mを
10〜20μm、基板傾斜角θを0度で加工した結果で
ある。レール断面傾斜角αは、おおよそ25度と小さ
く、レール幅精度は、おおよそ6μm/μmと大きな値
しか示さず、良好なレール2を形成することができない
例である。
【0102】次に、図中の(ロ)群は、上記(イ)群と
同様に比較例で、イオンミリングガスとしてArを用
い、初期マスク断面傾斜角βを70度、初期マスク膜厚
mを12〜24μm、基板傾斜角θを0度で加工した結
果である。この場合、初期マスク膜厚mが厚いほどレー
ル断面傾斜角αが大きくなり、レール幅精度もこの値に
ほぼ比例して良好な値となる。しかし、大量生産時の各
種プロセスのばらつきに耐えるほどのレール幅精度を確
保するには至っていない。
【0103】ついで、図中の(ハ)群は実施例で、イオ
ンミリングガスとしてArを用い、初期マスク断面傾斜
角βを70度、初期マスク膜厚mを12〜24μm、基
板傾斜角θを15度で加工したときの結果である。初期
マスク膜厚mの依存性に関して、上記(ロ)群の基板傾
斜角θ=0度の場合と同一の傾向がみられるが、同一マ
スク膜厚mどうしを比較した場合、基板回転および基板
傾斜を行った時の方が、レール断面傾斜角αが大きく、
良好なレール幅精度の値を示すことが分かる。この場
合、初期マスク膜厚mを18μm以上にすることにより
良好なレール2を形成することができる。
【0104】また、図中の(ニ)、(ホ)、(ヘ)の各
群も実施例で、イオンミリングガスとしてArを用い、
それぞれ基板傾斜角θを30度、45度、60度にした
場合の結果である。基板傾斜角θを30度〜60度にす
ると、レール断面傾斜角αはほぼ55度以上となり、レ
ール幅精度も良好な値を示すことが分かる。いずれの基
板傾斜角θの場合も、初期マスク膜厚mが厚いほどレー
ル幅精度は良好な値を示しているが、この場合の基板傾
斜角θの最適値は45度である。
【0105】つぎに、図中の(ト)群は上記(イ)、
(ロ)群と同様に比較例で、イオンミリングガスとして
Arを用い、基板傾斜角θを75度に設定した場合の結
果である。しかし、この場合にはレール断面傾斜角α
が、上記(ニ)、(ホ)、(ヘ)の各群における30度
〜60度に比較してむしろ逆に低い値となり、レール幅
精度も低下している。
【0106】さらに、図中の(チ)群は実施例で、イオ
ンミリングガスとしてArを用い、基板傾斜角θを45
度、マスク断面傾斜角βを88度、初期マスク膜厚mを
15〜30μmのときの結果である。この場合は、レー
ル断面傾斜角αが約70度と大きく、レール幅精度も1
μm/μm以下ときわめて良好な値を示している。
【0107】ところで、一般的に初期マスク膜厚mを厚
くし、そして、マスク断面傾斜角βを大きくすることが
レール幅精度向上に効果的と考えられているが、初期マ
スク膜厚mを厚くすることは、つぎのような不具合点を
発生する。すなわち、 (1) スピンコート法で形成しようとしたときに多数
回の塗布を必要としたり、高粘度ホトレジストを用いる
必要があり、更にマスク塗布法が難しく、レジスト乾燥
に長時間を要し、クラックが発生しやすい。 (2) 露光現像に時間がかかり、露光時に光の回折現
象が起こるために、マスク断面傾斜角βの大きいマスク
を形成することが難しく、初期マスク膜厚mを35μm
以上にすることが出来ないのが実状である。
【0108】前記の如く、イオンミリングガスとしてA
rを用いた場合には、基板傾斜角θを15度〜60度に
設定し、同時に基板回転を行うことにより、レール幅精
度を実用的範囲である3μm/μm以下に向上すること
が可能である。基板傾斜と基板回転とを同時に実施した
場合、使用できるイオンミリングガスとしては、Ar以
外にXe等のイオンミリング或いはドライエッチングガ
スとして使用されているガスが使用可能である。
【0109】つぎに、イオンミリングガスとして、前記
Arに変えてフッ化炭化水素ガスのうち、C224
スを用いたときの結果を、前記図1を参照して説明す
る。図1中の(リ)群は実施例で、マスク断面傾斜角β
を70度とし、基板傾斜角θを0度〜60度まで変化さ
せた場合の結果である。同図に示すように、C224
ガスを用いた場合にも基板傾斜の効果は大きく、特に、
基板傾斜角θが30度〜60度においてレール断面傾斜
角αは大きくなり、それに伴ってレール幅精度が良好に
なることが分かる。
【0110】図1中の(ヌ)群は比較例で、C224
ガスを用いてマスク断面傾斜角βを88度とし、基板傾
斜角θを変化させた場合の結果である。この場合、レー
ル断面傾斜角αが85度より大となり、レール幅精度が
上記(リ)群よりさらに良好な値を示したが、この条件
の例は、レール断面傾斜角αが85度を越えることによ
り、作業環境のばらつきによっては、前述の如く再付着
層10がレール2の側面に堆積付着する確率が高くなり
易く、レール幅精度は向上するものの、大量生産に適さ
ない場合もある。このため、再付着層10の無いものを
選んで製品とするか、或いは、再付着層10を効率的に
除去することが量産の条件となる。
【0111】つぎに、イオンミリングガスとしてArと
224との混合ガスを用い、レールを下記条件にて
形成加工した実施例の場合の結果を説明する。加工条件
は、Arガス濃度0.4×10~8(mol/l)、C2
24ガス濃度1.0×10~8(mol/l)、基板回転
数5rpm、イオン電流密度1.0mA/cm2、加速電
圧800V、基板傾斜角θ=45度、初期マスク膜厚m
=15μm、レジストマスクの初期断面傾斜角β=80
度で、レール基板材Al23・TiCのレール溝深さH
を6μmとした。この結果、レール断面傾斜角αが75
度、レール幅精度が0.8μm/μmの良好な値を示
し、再付着層10についても電子顕微鏡による観察の結
果付着のないことが確認された。
【0112】さらに、イオンミリングガスとしてSF6
ガスを用い、レールを下記条件にて形成加工した実施例
の場合の結果を説明する。条件は、SF6ガス濃度1.3
×10~8(mol/l)、基板回転数10rpm、イオ
ン電流密度0.8mA/cm2、加速電圧800V、基板
傾斜角θ=45度、初期マスク膜厚m=20μm、レジ
ストマスクの初期断面傾斜角β=75度で、レール基板
材Al23・TiCのレール溝深さHを6μmとした。
この結果、上記と同様に、レール断面傾斜角αが70
度、レール幅精度が1.2μm/μmの良好な値を示
し、再付着層10についても電子顕微鏡による観察の結
果付着のないことが確認された。また、SF6ガスを使
用した場合のレール基板材Al23・TiCに対する加
工速度は、Ar或いはC224等のフッ化炭化水素ガ
スを使用した場合に比べて約3倍(具体的には約3.5
μm/h)になる特徴を有しており、加工時間を約1/
3に短縮して効率的な加工が可能になる。ただし、マス
ク材料としてホトレジスト等の高分子フィルムに対する
選択比が小さいため、基板傾斜および基板回転が不可欠
であり、更に、マスク膜厚は加工溝深さの1.5倍以
上、望ましくは2倍以上にすることが好ましい。
【0113】前述の如く被加工体の基板に、傾斜および
回転を実施することにより、レール断面傾斜が大きくな
り、レール幅精度が向上することを説明したが、次にそ
の理由に関して述べる。
【0114】前記図10および図11は、前記表2に示
す条件で行ったイオンミリング速度特性、すなわち、基
板傾斜および基板回転したときのイオンミリング速度の
入射角依存性を示したもので、図10はイオンミリング
ガスとしてArを用いた場合、図11はイオンミリング
ガスとしてC224を用いた場合のデータである。こ
のデータから分かるように基板傾斜と基板回転とを行う
ことにより、基板傾斜角θが大きくなるにつれてイオン
ビーム入射角40度〜80度のイオンミリング速度が遅
く、かつ図10(b)および図11(b)の基板傾斜角
θが75度の場合を除き、いずれもイオンビーム入射角
0度のときのイオンミリング速度が基板傾斜角0度の場
合に比べて速くなることが分かる。
【0115】上記の傾向および前記図35に示すイオン
ミリングにおけるレール断面形状の経時変化より、レー
ル2の形成過程においてマスク7のイオンミリング速
度、特に、レール幅精度に影響を及ぼすイオンビーム入
射角が40度〜80度のマスク側面のイオンミリング速
度が、基板傾斜角0度の場合に比較して遅くなる。この
ため、マスク7の後退速度が小さくなり、これに伴って
レール幅の後退量も小さくなり、同時に、レール溝深さ
H方向の速度が増大することになり、これによってレー
ル溝深さHの変化に対するレール幅の変化、即ちレール
幅精度が向上することになる。このレール幅精度の向上
は、図から分かるように基板傾斜角θが30度〜75度
の場合に顕著であるが、このうち、基板傾斜角θが75
度の場合には、レール基板に対する入射角0度における
イオンミリング速度も同時に低下するため、それだけ加
工時間が長くなり好ましくない。
【0116】上記図10,図11に示す現象は、イオン
ミリングガスとしてArあるいはC224を使用した
ときのみにおこる現象ではなく、イオンミリングガスと
して先に述べたCH22、CH3F、C233、C24
2等のフッ化炭化水素ガスを用いた場合、または、そ
のガス濃度を変化させた場合にも同様の効果が得られ
る。勿論、ガスの種類としては、Arのような希ガスを
用いるよりも、フッ化炭化水素ガスを用いた場合のほう
が、より良好な加工精度が得られることは言うまでもな
い。
【0117】基板回転数に関しては、実験の結果、1〜
100rpmの範囲が適正であり、これより低いとその
効果が薄れる。反対に100rpm以上でも加工は可能
であるが、機械的な摩耗が大きくなり大量生産には適さ
ない。なお、レールの形成に要する時間は1時間以上で
あり、このため、基板回転数を必要以上に大きくする必
要はなく、基板回転を行うか否かが重要な点である。
【0118】これまでは、レール幅精度、すなわち、加
工溝深さのばらつき1μmに対するレール幅の変動に関
して本発明の効果を論じてきたが、以下には加工溝深さ
以外の製造上のばらつきに対するレール幅のばらつき等
について説明し、本発明の更なる有効性を示す。
【0119】磁気ヘッド1の浮上面2aの加工を大量生
産処理に当たって、レール幅精度に影響を及ぼすものと
しては、(i)マスク膜厚m、(ii)マスク断面傾斜角
β、(iii)イオンミリング速度等のばらつきがある。
これらのばらつき原因をより具体的に述べると次のよう
になる。すなわち、 (i)マスク膜厚m……ホトレジストの粘度ばらつき、
スピンコート条件のばらつき。フィルムを用いる場合に
は、フィルムの厚さばらつき、露光、現像条件のばらつ
き等。 (ii)マスク断面傾斜角β……ホトリソグラフィーのば
らつき、具体的には紫外線ランプの光強度、露光時間、
現像時間、現像液、温度のばらつき等。 (iii)イオンミリング速度……イオンミリング装置の
真空槽内汚染度、ガス濃度とその分布、イオン電流密
度、真空度等のばらつき或いはゆらぎ等。である。
【0120】上記大量生産処理時のばらつき原因は、結
果的に、イオンミリング速度のばらつきとマスク形状の
ばらつきに置き換えることが出来る。本実施例は、下記
従来技術との比較表に示すように、上記ばらつきに対し
て従来よりも、変動の少ない、即ち品質の安定したレー
ルを形成する事が出来るという効果を有する。表3に加
工条件の比較表を、また表4に製造条件のばらつきに対
するレール幅精度の比較を示す。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】上記表3、表4に示すように、イオンミリ
ングガスとしてArまたはSF6またはC224を各単
独で、或いはArまたはSF6とC224との混合ガス
を使用して、基板傾斜角θ=15〜60度、基板回転数
1〜20rpmでイオンミリングを行い、レール断面傾
斜角αを55度〜85度にすることにより、マスク膜厚
mおよびマスク断面傾斜角βにて表されるマスク形状の
ばらつき、イオンミリング速度のばらつき(選択比のば
らつき)の各数値を、従来技術に比較して小さく抑える
ことが可能である。
【0124】上記実施例における基板傾斜と基板回転と
は、それぞれ単独で実施した場合には所望の顕著な効果
は得られない。仮に、基板回転のみ実施して基板傾斜を
行わない場合は、基板傾斜角θが0度の場合の前記第1
の実施例において述べたように、初期マスク膜厚mおよ
びC224等のガス濃度を適正値範囲内としなけれ
ば、所定の良好なレールを形成することができない。ま
た、前記第2の実施例において基板回転を行わない場合
には、レール断面傾斜角αに左右のアンバランスが生
じ、レール幅精度の向上が見られないばかりか、ディス
ク内外周の周速度の違いによる浮上特性の不均一性を生
じることになり、優れた特性の磁気ヘッドを得ることが
できない。
【0125】ところで、本実施例においても前記第1の
実施例と同様に初期マスク膜厚mとして適正範囲が存在
する。具体的な数値としては、下限は一般的には5μm
が必要で、これはイオンミリング後にマスク材料がまだ
存在しうる膜厚であり、一方、その上限は35μmを越
えることがあってはならない。その理由は、初期マスク
膜厚mが35μmを越えると、イオンミリング中のスパ
ッタ物がマスク側面及びレール側面に再付着する確率が
著しく増加するためである。
【0126】なお、イオンミリグガスのArをXe、H
e、SF6に置き換えても、また、C224を先に述べ
たCH22、CH3F、C233、C242等のフッ
化炭化水素ガスに置き換えても、そのガス濃度および初
期マスク膜厚mを適正化することにより、前記実施例と
同様の加工精度を得ることが可能になる。
【0127】つぎに、前述の第1の実施例および第2の
実施例において、イオンミリングガスとしてC224
等のフッ化炭化水素ガスを用いて加工した場合の特異的
な現象のその1について、図14を参照して説明する。
図14は、イオンミリングガスとしてC224を用い
たときのレール形成時の加工モデルを示す図である。
【0128】図14において、11はマスク(ホトレジ
ストマスク)7の端面に形成されているレジスト再付着
層のテラス11である。テラス11の形成は、イオンミ
リングガスとしてC224を用いた場合に、マスク7
の側面でスパッタされた高分子材料が、レール基板8の
セラミックス表面部に再付着して形成されたもので、こ
のテラス11の形成によりイオンミリング中のレール2
の端面の後退、すなわち、マスク7の寸法の減少が抑制
されることにより、寸法精度の高い浮上面の形成が可能
になる。かかるテラス11が形成される現象は、C22
4のほか、C233、C242等のフッ化炭化水素
ガスを用いたときにも発生するが、Ar、CF4等の一
般的に使用されているガスを用いたときには発生しな
い。そして、かかる現象の発生は、初期マスク膜厚m
が、おおよそ3μm以上と厚いとき、および選択比の大
きいことが必須な条件と推定できる。
【0129】つぎに、イオンミリングガスとしてフッ化
炭化水素ガスを用いた場合の特異的な現象のその2は、
磁気ヘッド1の側面1aの汚染に関する問題である。こ
こで、磁気ヘッド1の側面1aとは、前記図4に示す浮
上面2aと垂直な素子形成部20の側面20aを含む面
のことである。側面1aは、イオンミリング中にスパッ
タ物が付着するため各種の物質により汚染される。従っ
て、イオンミリング終了後これら汚染物は水や有機溶剤
等を用いて洗浄して除去されるが、Ar、CF4等の従
来一般的に使用されているイオンミリングガスを用いた
場合は、上記汚染物を除去するのに相当の手間がかか
る。汚染物の実態が、真空チャンバの材料であるステン
レスや、イオンミリング電極の材料であるMoや、磁気
ヘッド基板材料であるアルミナチタンカーバイド等の金
属やセラミックスであり、これらが大きな運動エネルギ
ーで側面1aに付着することがその原因と考えられてい
る。これに対して、イオンミリングガスとしてフッ化炭
化水素を用いた場合には、上記汚染物が水、または有機
溶剤で容易に除去できる効果を有するのである。その理
由は、イオンミリング中にフッ化炭化水素の薄膜が磁気
ヘッド1の側面1aに形成され、この薄膜ごと汚染物が
リフトオフのような原理で除去されるためと考えられる
が、この汚染物の簡単な除去効果は、磁気ヘッド1の浮
上特性には直接関係はないが、仮に上記汚染物が付着し
たままの状態で長時間磁気ディスク装置を稼動させる
と、やがて汚染物が脱離してクラッシュの原因となるこ
とが考えられ、磁気ディスク装置を大量生産する場合に
おける重要な問題の1つを解決するものとなる。
【0130】なお、前記第1の実施例及び第2の実施例
により当業者等が、本発明に係るレール2を形成する
際、作業性を高める目的でイオンミリング装置のプラズ
マ密度を向上させ、あるいは、イオン引きだし電極の電
圧を上昇させてイオン電流を増加し、イオンミリング速
度を向上させる試みがなされることが想定される。この
ような場合、レール基板の受けるエネルギーが高められ
て該基板の温度が上昇し、結果的にマスク材料の温度が
上昇して該マスク材料のイオンミリング速度が極端に上
昇する場合が推定されるが、かかる場合には、前記第1
および第2の各実施例にて説明した結果とは異なり、選
択比が低下し、本発明の意図する精度の高いレールを形
成できないケースがでてくることも想定される。しか
し、かかる場合の有効な対策手段として、レール基板を
He等のガスを用いて冷却する、いわゆるガス冷却によ
り前記基板の温度上昇を抑制する方法があり、また、任
意にC224等のフッ化炭化水素ガスの濃度を高めて
選択比の低下を補うことも可能であり、前記各実施例の
効果を確実に保全することが可能である。
【0131】図15に、前記第1および第2の各実施例
により形成されたレール2のレール断面傾斜角αの拡大
図を示す。実際に形成されたレール2のレール側面2b
及びレール底面2cには、大小の凹凸がみられ、特に、
第2の実施例の場合に図15(b)に示すような大きな
凹凸が見られる。この様なレール2のレール断面傾斜角
αの測定法は、図15(a)のようにレール2の表面に
凹凸が無い場合には、レール断面傾斜角αは、レール側
面2bとレール底面2cとのなす図示の角度がそのまま
レール断面傾斜角αとなる。一方、図15(b)に示す
ように大きな凹凸が見られる場合には、通常レール側面
2bの上端部、中間部、下端部で角度がそれぞれ異な
る。この様な場合のレール断面傾斜角αは、前記各部の
各凹凸の中心部を繋いで出来る直線を設定し、図15
(a)と同様にレール側面2bとレール底面2cとのな
す角度を求めてレール断面傾斜角αとする。
【0132】なお、レール側面2bの傾斜が複数の直線
でしか近似出来ないような場合には、その平均的な傾き
を求め、この傾斜をレール側面2bを形成する直線とみ
なしてレール断面傾斜角αを求める。
【0133】つぎに、前記第1および第2の各実施例の
方法により形成したレール2を有する磁気ヘッドの浮上
特性を、図16を参照して説明する。図16は、レール
断面傾斜角αと浮上量との関係を示す実験データであ
る。この場合、レール幅は最小100μm、レール溝深
さH=6μm一定で、レール断面傾斜角αのみ異なる磁
気ヘッドを用いた。この結果は図に示すように、レール
断面傾斜角αが約55度以下になると浮上量のばらつき
が増大するが、これに対してレール断面傾斜角αが約5
5度以上になると浮上量のばらつきが小さくなり、ほぼ
一定値の安定した浮上量を示している。この理由は定か
ではないが、レール断面傾斜角αが約55度以下になる
と、前記図15に示すレール側面2bの傾斜面が浮上特
性に影響を及ぼすようになり、該傾斜面の面積が増える
ことにより浮上量がばらつくのではないかと推定され
る。即ち、該傾斜面は前記図29(b)に示す非線形形
状のレールの場合、空気圧を受ける方向が複雑で、この
ことが浮上量のばらつきに関係すると推定できる。
【0134】上記したレール断面傾斜角αと浮上量ばら
つきの関係は、レール2形成時の製造ばらつきによるも
のではなく、レール2の幾何学的形状と浮上特性に関す
るものと考えられる。
【0135】一方、図示の如くレール断面傾斜角αが8
5度を越えると、浮上量の安定性に関しては問題ない特
性を示す。しかし、塵、ほこりがレール2の各面に付着
しやすくなり、浮上安定性以外の面での問題が生じる場
合がある。また、図示していないが、レール断面傾斜角
αが85度を越えると、磁気ヘッドと磁気ディスクとが
クラッシュした場合、磁気ヘッドのコーナー部から受け
る力が大きくなり、磁気ディスクの記録面が損傷しやす
くなるという問題点が生じる場合がある。
【0136】前記図16に示す傾向は、レール幅を変化
させた場合にも、またレール溝深さHを変化させた場合
にも、浮上量の絶対値は変わるものの浮上量のばらつき
の傾向は変わらない。
【0137】なお、前記各実施例では、レール基板材と
してアルミナチタンカーバイド系のセラミックスに関し
て述べたが、これらの効果はこれに限定されるものでは
なく、各種セラミックス(Al23・Fe23・Ti
C、Al23・TiO2、SiC−Si等)、ガラス、
結晶(Zn−フェライト)等からなるレール基板にも適
用することが可能である。
【0138】つぎに、上記第1および第2の各実施例よ
り、さらに具体的な薄膜磁気ヘッドレールの製造プロセ
スである第3の実施例を、図17および図18を参照し
て説明する。図17は磁気ヘッドレールの斜視外観図お
よび一部拡大断面図、図18はレール形成のプロセス説
明図である。
【0139】まず、薄膜磁気素子を、例えば縦20レー
ル分×横24レール分の計480レール分を形成した直
径3インチ、厚さ2mmのアルミナ系セラミック基板
を、縦20列、横2列のブロック状に切断する。この場
合の1つのブロックの大きさは2×30×0.48mm
で、この1つのブロックには2×0.48×1.5mmの
レール2を12個形成する事ができる。切断方法は切断
砥石によっておこなう方法があるが、放電加工を用いて
も良いし、レーザによる加工も可能である。
【0140】次に、前記ブロックの切断された面の浮上
面2a側(レール形成側)を研磨し、浮上面2aの面粗
さをRmax5nm以下にする。
【0141】このようにして製作されたブロックを、直
径3インチ、厚さ4mmのレール形成用の治具に再び並
べる。このときブロックの向きは浮上面2a側を上に、
磁気素子側を手前側とし、縦20列、横2列に配置す
る。ブロックは治具に対して導電製フィルム接着剤を介
して接着する。
【0142】このように配列されたブロック上に、浮上
面2aの保護膜をスパッタする。該保護膜の厚さはシリ
コン5nm、カーボン5nm、シリコン5nmとした。
【0143】ついで図18(a)に示すように、前記ブ
ロック上に有機珪素系ポジ型レジストをロールコータを
用い塗布する。そして、プリベーク後、厚さ7±1.3
μmのレジスト膜となるように塗布する。
【0144】次に露光・現像を行い、レール2に所定の
二次元パターンを形成する。露光装置は一括露光のでき
るプロジェクションタイプでも良いし、治具上に配列さ
れたブロックの高さがばらついていても高精度なパター
ニングが可能なステッパータイプでも良い。この後さら
にアフターベークを行い、レジストから有機溶剤を揮発
させ、焼き固める。このときのレジスト側面の傾斜角は
78度であった。
【0145】次に図18(b)に示すイオンビームエッ
チング(Ion Beam Etching)を行う。イオン源ガスとして
フロン134a(CH2FCF3、1,1,1,2-テトラフルオ
ロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン)を使用す
る。ただし、フロン134aだけではレジスト膜上に堆
積物を生じてしまうため、レール2の幅がレジストパタ
ーンのレール幅よりも太ってしまい、レール幅の精度
(±4μm)も安定しないので、アルゴンガス(Ar)と
混合して使用する。両ガスの流量を互いに変えることに
より、レジストマスクのアルミナチタンカーバイドに対
する選択比(レジストマスクのエッチング速度に対する
アルミナチタンカーバイドのエッチング速度の比)を変
化させることができる。また、Arガスの代わりに希ガ
スであるキセノンガス、ヘリウムガスなどとの混合ガス
でもよい。ガスの流量は装置や加工条件、必要な選択比
などにより異なるが、本実施例において使用したイオン
ビームエッチング装置においては、Arガスの流量を
7.5sccm、フロン134aの流量を7.5sccm
とした。
【0146】そして、ロータリーポンプまたはドライポ
ンプとターボ分子ポンプを併用してイオンビームエッチ
ング装置の真空チャンバの真空度が4.0×10~4以下
になるように排気する。なお、ここではフィラメントの
陰極から熱電子を放出させてイオン源ガスを電離させる
電子衝撃型イオン源を有するイオンビームエッチング装
置を使用した。
【0147】次に加速電極と被加工材との間を遮蔽して
いるステンレス製のシャッタに流れるシャッタビーム電
流が、ちょうど0A(ゼロアンペア)となるようにニュ
ートラライザから熱電子をシャッタに向けて飛ばし、電
気的に中和する。これは被加工材が多数の陽イオンの衝
突によりチャージアップして、陽イオンが被加工材に衝
突する回数が減り、エッチング速度が減少することを防
止するためである。
【0148】上記にてエッチング条件が整ったので、シ
ャッタを開き、エッチングを開始する。この場合イオン
ビームの入射角度は0度とし、また、レジストの焼けを
防ぐため0℃の循環水冷却を行った。ここで、アルミナ
チタンカーバイドのエッチング速度は0.7μm/h、
またレジストのエッチング速度は0.2μm/hである
ため、選択比は3.5である。アルミナチタンカーバイ
ドの加工深さH(レール溝深さH)としては6.0μm
必要なので、8.57時間エッチングした。そして、図
18(c)の状態を得る。
【0149】次に、浮上面2aのエッジを加工するた
め、酸素によるRIEを行う。RIEの条件は、酸素流
量50sccm、真空度50mTorr、バイアス直流
電圧370V、高周波電力100W、周波数13.56
MHz、対抗電極はカーボン電極、電極間距離125m
mである。。
【0150】上記条件で20分RIEすると、レジスト
が加工されて幅4μm後退し、後退したレジストの下の
レール材をさらに300nmエッチングする事ができ
た。ただし、図17(b)および図18(d)に示すよ
うに、レジスト側面の後退と同時にエッジ2dが加工さ
れるので、RIEによる加工断面の形状は、浮上面2a
のエッジ2d側ほど深く、反対に内側ほど浅くなってい
る。この浮上面2aのエッジ2dの加工量は、RIEの
条件によって制御可能である。条件を変えることにより
レジスト側面の後退量とレール材の加工速度のバランス
が変化するので、エッジ2dの加工断面形状を変化させ
ることが可能になる。
【0151】この後、有機溶剤(例えばNMP、アセト
ン)等のレジスト剥離液に浸漬してレジストを剥離す
る。本実施例では超音波発振器により超音波振動を付加
された容器の中に、NMPを80℃に熱して20分間浸
漬した。
【0152】上記プロセスを経てレール2を形成された
ブロックは、治具から剥離されて切断砥石により個々の
レール2に切断され、洗浄後、磁気ディスク装置に組み
込まれる。
【0153】つぎに、他の具体的な薄膜磁気ヘッドレー
ルの製造プロセスである第4の実施例および第5の実施
例を、図19を参照して説明する。図19は前記図18
と同様にレール形成のプロセス説明図である。
【0154】前記図18においては、レジスト側面の後
退量とレール材の加工速度とのバランスをRIEの条件
によって制御したが、イオンビームエッチングの条件に
よって変化させることも可能である。上記第3の実施例
では選択比が3.5であったが、第4の実施例は選択比
を4.0以上にして、図19(c)に示すようにレジス
トの側面に二段の傾斜角を形成させる例である。この二
段の傾斜角の形成は、一般に再付着層と呼ばれる現象に
よるものである。すなわち、図19(b)に示すイオン
ビームエッチング時に、レジストの側面に衝突したイオ
ンによりスパッタされたレジスト粒子の一部が、レジス
トが後退して現れた浮上面2aやレジスト側面に再び付
着する現象によるものである。また、イオンビームエッ
チング時には、レジスト側面の後退と共にレジスト側面
の傾斜角も小さくなる。そのためスパッタされたレジス
ト粒子がレジスト側面の後退により現れた浮上面2aに
付着しやすくなる。
【0155】選択比を増大させるためには、イオンビー
ムエッチングにおいてフロン134aの流量を増やす
か、あるいは混合されているArガス等の希ガスの流量
を減らす。例えば、フロン134aの流量を10scc
m、Arガスの流量を5sccmとすると、選択比が
5.0になる。この場合、レール材の加工速度はほとん
ど変化しないので、レジストの上層が1.2μm程度加
工された。このときレール幅側面の後退量は0.5μm
であった。
【0156】そして、RIEにより前記第3の実施例と
同じ条件で浮上面2aのエッジ2dを加工した。そし
て、図19(d)または図17(b)に示すエッジ2d
が形成されるが、この場合、前記第3の実施例よりもレ
ジスト側面の後退量が大きくなり、浮上面2aのエッジ
2dの加工断面も前記第3の実施例に比べて幅が4μm
と広く、またレール溝深さHはレール2の外側で300
nmであった。
【0157】つぎに、第5の実施例について説明する。
イオンビームエッチング後のレジスト側面に前記再付着
層を付ける方法として、選択比を大きくするほかにレジ
ストの塗布膜厚を薄くする方法がある。レジストの塗布
膜厚を薄くすることにより、レジスト側面の後退速度が
速くなり、再付着層を形成することができる。また、レ
ジストの露光時にデフォーカスをかける方法がある。デ
フォーカスをかけることによりレジスト側面の傾斜角が
小さくなり、スパッタ粒子が浮上面2aに再付着し易く
なるとともに、レジスト側面の後退速度が速くなる効果
がある。例えば、マスクの膜厚を4μmとして前記第3
の実施例と同じ条件でイオンビームエッチング及びRI
Eを行ったところ、前記第4の実施例と同様形状のエッ
ジ2dの加工断面形状が形成された。
【0158】以下、さらにエッチングガスによる加工プ
ロセスに係る各種実施例を、図20ないし図27を参照
して説明する。図20は各種ガスのミリングレートと選
択比の棒グラフを表す図、図21はカーボン膜上の堆積
の棒グラフを表す図、図22はCH2FCF3とArの混
合ガスを用いた場合のアルミナチタンカーバイドとカー
ボンのミリングレートの折線グラフを表す図、図23は
CH2FCF3とSF6の混合ガスを用いた場合のアルミ
ナチタンカーバイドとカーボンのミリングレートの折線
グラフを表す図、図24はCH2FCF3とCHF3の混
合ガスを用いた場合のLiNbO3およびレジストのミ
リングレートの折線グラフを表す図、図25はCH2
CF3とCF4の混合ガスを用いた場合の石英およびレジ
ストのミリングレートの折線グラフを表す図、図26は
アルミナチタンカーバイド基板上にスライダを形成する
プロセスの概略図、図27は図26のプロセスにより加
工された薄膜磁気ヘッドのレール面を示す平面図であ
る。
【0159】第6の実施例を図20および図21を用い
て説明する。本実施例は、カーボンをマスクとして、被
加工材としてアルミナチタンカーバイド基板をイオンミ
リングにより加工する場合について、エッチングガスと
して本発明の加工方法で用いるCH2FCF3ガス(構造
として1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,
1,2,2−テトラフルオロエタンの両者とも用いるこ
とが可能である。)の特性について他の従来技術に係る
ガスと比較しつつ説明する。
【0160】先ず、最初に以下で用いる用語の説明を行
う。ミリングレートとは、イオンミリングによる被加工
材およびマスクに対する加工速度をいう。エッチレート
とは、より広くエッチングする場合の被加工材およびマ
スクに対する加工速度をいう。選択比とは、マスクのミ
リングレート(あるいはエッチレート)に対する被加工
材のミリングレート(あるいはエッチレート)の比をい
う。すなわち、以下に示す式で表せるものである。
【0161】
【数1】
【0162】また、エッチング中にマスク上に堆積物が
生じるが、その堆積物の生成される速度を、堆積レート
ということにする。
【0163】さて、図20は、被加工材がアルミナチタ
ンカーバイド、マスクがカーボンの場合に、各種ガスを
使用した場合の選択比を比較して示したものである。
【0164】CH4、CH22、CH2FCF3はカーボ
ンマスク上に堆積物を生じるため、選択比は無限大とな
る。すなわち、マスクはこれらのガスにより加工される
ことはない。
【0165】したがって、これらのガスを用いる場合
は、加工量にかかわらず、ごく薄くマスクが形成されて
おれば良い。そこで、カーボン膜のようにスパッタ膜等
を使用する際、マスク形成プロセスにかかる時間が短縮
できる。また、薄いマスクの場合の利点としては、その
パターニング精度が良いこともある。
【0166】ところが図21に示すように、堆積レート
はガスによって異なっている。すなわち、CH4やCH2
2の場合約1μm/hであるのに対し、CH2FCF3
の場合は約0.2μm/hとCH22の約5分の1程度
と非常に遅い。また、堆積レートは一般的に±10〜2
0%程度ばらつくため、堆積レートが1μm/hと大き
い場合は、マスクの厚さのばらつきも大きくなる。
【0167】通常、イオンミリングの最中にマスクは徐
々に後退し、マスク形成直後のマスクの幅に比べ細くな
っていくが、その後退量(寸法シフト)はマスクの厚さ
とミリングレートに依存するため、マスクの厚さがばら
つくとミリング後のパターン幅にばらつきを生じる。そ
れ故、CH2FCF3ガスを用いる場合は、CH4やCH2
2に比べて、堆積レートが小さく、またそのばらつき
のも小さいため、加工精度が良くなるという利点があ
る。
【0168】また、従来のCH4やCH22のような可
燃性のガスに対し、CH2FCF3は不燃性ガスであり、
毒性、腐食性等の特殊な対策を必要とするような性状が
まったくないため、現状の量産設備に直ちに適用可能で
ある。
【0169】次に、第7の実施例を図22を用いて説明
する。本実施例は、カーボン膜をマスクとし、被加工材
としてアルミナチタンカーバイド基板を、エッチングガ
スとしてCH2FCF3とArの混合ガスを用いてイオン
ミリングする場合の例で、この場合にもエッチングガス
としてCH2FCF3のみを用いる前記第6の実施例と同
様の効果が期待できる。
【0170】さらに、図22を用いてArを混合させた
ときの特有の効果について説明する。同図において、カ
ーボンのミリングレートがマイナスになっている部分
は、マスク上に堆積物が生じていることを示している。
したがって、カーボンのミリングレートがマイナスから
プラスに移行する混合パーセンテージが24%付近は、
カーボンのマスク上で、堆積物が生じる場合とマスクが
エッチングされる場合との境界点となっている。
【0171】そのため、上記混合比近傍では、堆積レー
ト、ミリングレートとも非常に遅く、マスクの寸法の変
化量が非常に小さくなり、被加工材のエッチングに好適
な条件となって、エッチング加工の寸法精度を飛躍的に
向上させることになる。
【0172】また、混合比24%以上の条件で加工を行
えば、マスク上に堆積物が生じないため、それを除去す
るプロセスを省略することができるという利点もある。
【0173】さらにまた、Arガスは物理的に不活性な
ガスであるため、Ptのようなフッ素系のガスをエッチ
ングガスとして用いた場合にミリングレートが比較的遅
くなる材料においても、CH2FCF3とArの混合ガス
を用いた場合には、十分なミリングレートを得ることが
可能になる。
【0174】つぎに、第8の実施例を図23を用いて説
明する。本実施例は、カーボン膜をマスクとし、被加工
材としてアルミナチタンカーバイド基板を、エッチング
ガスとしてCH2FCF3とSF6の混合ガスを用いてイ
オンミリングをする場合の例で、この場合においてもエ
ッチングガスとしてCH2FCF3のみを用いる前記第6
の実施例と同様にエッチング加工の精度向上が期待でき
る。
【0175】すなわち、図23に示されるように、CH
2FCF3にSF6を混合する場合は、例えば前記Arを
混合する場合と比べても、混合比がかなり小さい時点で
カーボン膜のミリングレートがマイナスからプラスに移
行しており、したがってこの時点でカーボンのマスク上
で、堆積物が生じる状態とマスクがエッチングされる状
態が逆転していることがわかる。
【0176】また、エッチングガスとしてCH2FCF3
とSF6の混合ガスを用いた場合には、アルミナチタン
カーバイドのミリングレートは、CH2FCF3単独の場
合に比べてかなり大きくなっているので、よりエッチン
グガスとして好適なものである。
【0177】つぎに、第9の実施例を図24を用いて説
明する。本実施例は、被加工材としてLiNbO3基板
を、レジストをマスクとし、エッチングガスとしてCH
2FCF3とCHF3の混合ガスを用いてイオンミリング
する場合の例で、CH2FCF3にSF6を混合したエッ
チングガスを用いた前記第8の実施例の場合と同様な効
果を有する。図24に示されるようにCH2FCF3とC
HF3混合比45%近傍で最も高精度化が期待できる。
【0178】また、LiNbO3のミリングレートは、
図24に示されようにCH2FCF3単独でエッチングガ
スとして用いた場合は、0.7μm/hであるが、CH2
FCF3とCHF3混合比45%近傍では0.9μm/h
であり、比較すると1.3倍程度大きくなっていること
が分かる。
【0179】つぎに、第10の実施例を図25を用いて
説明する。本実施例は、レジストをマスクとし、被加工
材として石英基板を、そしてエッチングガスとしてCH
2FCF3とCF4の混合ガスを用いて反応性イオンエッ
チングする場合の例で、この場合においても前記第8お
よび第9の実施例と同様の精度向上の効果を有する。図
25に示すようにCH2FCF3に対するCF4の混合比
25%付近が最適条件である。
【0180】つぎに、第11の実施例を図26および図
27を用いて説明する。図を参照しながら本実施例の加
工プロセスを順に説明する。図26(a)は、磁気素子
形成後、ブロック状に切断研磨されたアルミナチタンカ
ーバイド31である。該アルミナチタンカーバイド31
上に、図26(b)に示すようにSi,C,SiC等の
無機物薄膜からなる保護膜33をスパッタリングにより
成膜した後、マスク材であるカーボン膜32をスパッタ
リングにより形成する。
【0181】つぎに、図26(c)に示すようにカーボ
ン膜32上に感光性材料すなわちレジスト34を塗布
し、図26(d)に示す所定のレール形状を露光現像し
た後、図26(e)に示すように酸素エッチングにより
カーボン膜32をエッチングし、レジスト34を除去す
る。
【0182】ついで図26(f)に示すように、カーボ
ン膜32をマスクとして保護膜33及びアルミナチタン
カーバイド31をイオンミリングにより加工し、レール
2を形成する。本実施例においては、この過程のエッチ
ングガスとしてCH2FCF3とArの混合ガスを用い
る。
【0183】そして、図26(g)に示すように、イオ
ンミリング後、マスクとして残ったカーボン膜32を酸
素エッチングにより除去する。
【0184】図27に本実施例のプロセスを用いて形成
した磁気ヘッド1のレールを示す。この場合、レール溝
35の深さHは約10μm、浮上面2aの幅は最も細い
部分で約100μmに形成された。
【0185】ここで、上記プロセスについて、従来イオ
ンミリング時に、エッチングガスとしてArとCF4
の混合ガスを用いて行われていたプロセスと、前記実施
例のCH2FCF3とArの混合ガスを用いる場合とを比
較する。
【0186】さて、レール2を加工する場合は、浮上面
2aの幅が磁気ヘッド1の浮上量に密接に関係するた
め、該幅の変動量は±2μm以下であることが要求され
る。
【0187】しかし、従来のプロセスではArとCF4
27%の混合ガスを用いることから、アルミナチタンカ
ーバイド31のミリングレートは1.0μm/h、カー
ボン膜32のミリングレートは0.6μm/hで、選択
比は1.67であった。この条件で加工を行った場合、
浮上面2aの幅の寸法精度は±5μmで、浮上量ばらつ
きは±0.02μmと大きかった。また、カーボンマス
クの厚さは約9μm必要であり、その成膜に約15時間
を要していた。
【0188】ところが、本実施例のCH2FCF3とAr
40%の混合ガスを使用した場合は、Ar混合比40%
において、アルミナチタンカーバイド31のミリングレ
ートは0.9μm/h、カーボン膜32のミリングレー
トは0.03μm/hで選択比は30であった。この条
件で厚さ3μmのカーボン膜32をマスクとして加工を
行ったときの浮上面2aの幅の寸法精度は±1.5μm
が得られた。このように幅精度を2μm以下に抑えられ
ることにより、浮上量ばらつきを±0.006μmと小
さくすることができ、また、カーボン膜32の成膜プロ
セスを約5時間に短縮することが可能になる。
【0189】また、上記プロセスにより浮上面2aの幅
の寸法精度が±2μm以下に抑えられることにより、浮
上量が0.15μm以下の磁気ヘッド1を安定して大量
に供給することが可能になる。
【0190】つぎに、第12の実施例を説明する。本実
施例は、レジストをマスクとし、被加工材としてアルミ
ナ膜を、エッチングガスとしてCH2FCF3とCHF3
50%の混合ガスを用いて加工し、磁気素子を形成する
場合の例で、この場合も前記第11の実施例と同様の精
度向上の効果を有する。例えば、約1μmのレジストを
マスクとして、アルミナ膜を加工した場合、パターン幅
の寸法シフトは、ほぼゼロである。
【0191】つぎに、第13の実施例を図28を参照し
て説明する。図28はエッチングガスによる加工プロセ
スにより加工した回折格子を示す斜視図である。
【0192】本実施例は、前記したエッチングガスによ
る加工プロセスが、LiNbO3基板を、レジストをマ
スクとして回折格子を加工する場合においても有効であ
ることを説明する。従来は、約2μmのレジストをマス
クとしてCHF3ガスを用いてイオンミリングにより加
工していた。LiNbO3のミリングレートは1.3μm
/h、レジストのミリングレートは1.0μm/hで、
選択比は1.3であった。この場合、レジストのミリン
グレートが大きいために、あまり長時間イオンミリング
を行うと、加工中にレジストがだんだんと細くなってい
き最終的にはまったくなくなってしまう。このため、レ
ール溝35の加工深さは最大でも4μm程度が限界であ
った。また、加工後のレール断面形状もテーパ角αが約
45度の台形となり、回折格子として用いると高次回折
光が多く発生し、十分な効率が得られなかった。
【0193】ところが、CH2FCF3とCHF350%
の混合ガスを用いれば、レジストのミリングレートは0
近くに抑えられ選択比10以上が得られるため、5μm
以上の深溝の加工が可能である。また、テーパ角も70
度程度に抑えられ、光学素子として使用可能な特性の回
折格子が得られる。
【0194】つぎに、第14の実施例を説明する。例え
ば、ジルコン酸チタン酸鉛のような高誘電体材料を、前
記したエッチングガスによる加工プロセスで加工する
と、0.4μm/h以上のエッチングレートが得られ、
またピッチ1μm以下の微細な溝の加工が可能で、大容
量半導体メモリ、半導体フラッシュメモリ等の半導体素
子のプロセスに適用可能である。
【0195】つぎに、第15の実施例を説明する。例え
ば、Cu、Pt等の金属は、従来プロセスでは加工レー
トが非常に遅く加工が困難な材料であったが、本発明の
CH2FCF3、Ar混合ガスで加工すると0.2μm/
h以上のエッチングレートが得られ、微細溝の加工も可
能で、大容量半導体メモリの配線層に適用することが可
能である。
【0196】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、薄膜磁気
ヘッド浮上面におけるレールの幅、溝深さおよび断面傾
斜角を、所望の形状に高精度かつ高能率に加工し、安定
した低浮上量を得るとともに、ヘッドクラッシュを防止
することができる効果を奏する。そして、レール断面傾
斜角を55度〜90度、好ましくは55〜85度にする
ことにより、製造上のばらつきを含めてヘッド浮上量の
安定性を高める効果がある。浮上量の絶対値そのもの
は、先に述べたようにレール幅、溝深さ、或いはレール
形状に依存する。しかし、その安定性に関してはレール
断面傾斜角の適正化効果は大きい。
【0197】本発明の効果をさらに述べれば、第1に、
マスク膜厚、マスク断面傾斜角、イオンミリング選択比
等の各種の加工ばらつきがあっても浮上量のばらつきが
小さく、また、再付着層の発生に影響されることなく、
レール溝深さのばらつきに対してレール幅のばらつきの
小さい磁気ヘッドのレール形状及びその形成方法を提供
することが可能である。具体的には、レール幅精度、す
なわち、レール溝深さの加工が1μmばらついたときの
レール幅のばらつきの範囲が、3μm/μm以下となる
ようなレール形状とその製造方法を提供することが可能
である。
【0198】第2に、上記レールの形成過程において、
磁気ヘッドの空気流出端の面取り加工を行うことができ
る製造方法を提供することが可能になる。
【0199】第3に、磁気ヘッドのレール浮上面外縁部
のエッジを、均一に精度よく量産加工することができる
製造方法を提供することが可能になる。
【0200】また、本発明は、セラミックスや高誘電体
等のエッチレートの遅い材料の加工を、短時間に精度よ
く、しかも安全かつ簡便に行うことができるエッチング
ガスによる加工方法を提供することができ、そして、本
加工方法を使用することにより、高精度に加工された薄
膜磁気ヘッド、半導体メモリー、光学素子等を得ること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種条件下におけるレール形成加工後のレール
断面傾斜角とレール幅精度との関係を示す図である。
【図2】レール形成プロセスを示す図である。
【図3】固定治具にセットされたイオンミリング後のヘ
ッドブロックの一部外観図である。
【図4】図3に示すヘッドブロックのうちの磁気ヘッド
単体の外観図である。
【図5】公知のイオンミリング装置構成図である。
【図6】C224ガス濃度とレール幅との関係を示す
図である。
【図7】C224ガス濃度とレール断面傾斜角との関
係を示す図である。
【図8】レール断面傾斜角とレール幅精度との関係を示
す図である。
【図9】C224ガス濃度と選択比との関係を示す図
である。
【図10】イオンミリングガスとしてArを用いた場合
のマスクおよびレール基板のイオンミリング速度の入射
角依存性を示す図である。
【図11】イオンミリングガスとしてArとC224
との混合ガスを用いた場合のマスクおよびレール基板の
イオンミリング速度の入射角依存性を示す図である。
【図12】ロールコーティング方式のレジスト塗布装置
の概要説明図である。
【図13】図12により塗布されたレジスト形状および
面取り加工説明図である。
【図14】イオンミリングガスとしてC224を用い
たときのレール形成時の加工モデルを示す図である。
【図15】レール断面傾斜角αの拡大図である。
【図16】レール断面傾斜角αと浮上量との関係を示す
実験データである。
【図17】磁気ヘッドレールの斜視外観図および一部拡
大断面図である。
【図18】レール形成のプロセス説明図である。
【図19】レール形成のプロセス説明図である。
【図20】各種ガスのミリングレートと選択比の棒グラ
フを表す図である。
【図21】カーボン膜上の堆積の棒グラフを表す図であ
る。
【図22】CH2FCF3とArの混合ガスを用いた場合
のアルミナチタンカーバイドとカーボンのミリングレー
トの折線グラフを表す図である。
【図23】CH2FCF3とSF6の混合ガスを用いた場
合のアルミナチタンカーバイドとカーボンのミリングレ
ートの折線グラフを表す図である。
【図24】CH2FCF3とCHF3の混合ガスを用いた
場合のLiNbO3およびレジストのミリングレートの
折線グラフを表す図である。
【図25】CH2FCF3とCF4の混合ガスを用いた場
合の石英およびレジストのミリングレートの折線グラフ
を表す図である。
【図26】アルミナチタンカーバイド基板上にスライダ
を形成するプロセスの概略図である。
【図27】図26のプロセスにより加工された薄膜磁気
ヘッドのレール面を示す平面図である。
【図28】エッチングガスによる加工プロセスにより加
工した回折格子を示す斜視図である。
【図29】磁気ヘッドの形状およびその浮上面レールの
加工方法を示す図である。
【図30】磁気ヘッドの浮上状態説明用の模式図であ
る。
【図31】レール幅と浮上量との関係を示す図である。
【図32】レール溝深さと浮上量との関係を示す図であ
る。
【図33】レールのイオンミリング加工モデルで、レー
ル加工過程の説明図である。
【図34】イオンミリング速度の入射角依存性を示す図
である。
【図35】レール加工時におけるレール断面形状の経時
変化を示す図である。
【図36】レール溝深さとレール幅との関係を示す図で
ある。
【図37】レール側面に残留した再付着層を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…磁気ヘッド、2…浮上面レール(レール)、2a…
レール浮上面(浮上面)、2b…レール側面、2c…レ
ール底面、2d…エッジ、3…バネ、4…浮上量、5…
非線形レール、6…イオンビーム、7…マスク、8…レ
ール基板、9…磁気ディスク、10…再付着層、11…
テラス、12…スパッタ粒子、16…最終レール断面形
状、20…素子形成部、22…空気流出端、25…面取
り部、26…ヘッドブロック、27…ヘッドブロック固
定治具、29…塗布ロール、31…アルミナチタンカー
バイド、32…カーボン膜、33…保護膜、34…レジ
スト、35…レール溝。
フロントページの続き (72)発明者 大川 貴子 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 藤沢 政泰 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 名手 和男 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 薗部 秀樹 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 鈴木 三郎 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 戸川 衛星 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 石崎 浩 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 萩原 芳樹 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非直線形状の浮上面レールを有する薄膜
    磁気ヘッドにおいて、前記浮上面レールの浮上面におけ
    る空気流出側の素子形成部端面を、浮上面レールを形成
    する際のイオンミリング加工により、長さ3〜40μ
    m、深さ1〜50μm面取り除去されていることを特徴
    とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 非直線形状の浮上面レールを有する薄膜
    磁気ヘッドにおいて、前記浮上面レールのエッジに、浮
    上面中央部に比べて1nmから300nm以内の窪み
    が、レール浮上面の外縁から浮上面中央側の10μm以
    内に形成されてなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 非直線形状の浮上面レールを有する薄膜
    磁気ヘッドの製造方法において、レール浮上面上にマス
    クを形成する工程と、イオンビームエッチング等のドラ
    イエッチングによりレールを形成する工程と、マスクを
    リアクティブイオンエッチング等のドライエッチングに
    よりレジスト側面を微小量後退させる工程と、後退して
    レールが現れたところをドライエッチングする工程とを
    含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ドライエッチングによりレジスト側
    面を後退させる工程が、該ドライエッチングにより後退
    したマスク側面と該マスクが後退して現れたマスクの下
    地材との間に、マスク材の再付着層を形成する請求項3
    記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 イオンビームエッチングのイオン源ガス
    が、フロン134aである請求項3記載の薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  6. 【請求項6】 マスクが厚さ7μm以下のフォトレジス
    トとし、マスク側面の傾斜角が80度未満で、かつイオ
    ンビームエッチングの選択比{(マスクの下地材のエッ
    チング速度)/(マスク材のエッチング速度)}が4.
    0以上である請求項4記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 エッチングガスを用い、イオンミリング
    または反応性イオンエッチングにより、被加工材にマス
    クを介してエッチングし加工するエッチングガスによる
    加工方法において、マスクとしてカーボン膜、シリコン
    膜、金属膜、レジスト、高分子材料のいずれかを用い、
    エッチングガスとしてCH2FCF3(テトラフルオロエ
    タン)ガスを用いることを特徴とするエッチングガスに
    よる加工方法。
  8. 【請求項8】 エッチングガスを用い、イオンミリング
    または反応性イオンエッチングにより、被加工材にマス
    クを介してエッチングし加工するエッチングガスによる
    加工方法において、マスクとしてカーボン膜、シリコン
    膜、金属膜、レジスト、高分子材料のいずれかを用い、
    エッチングガスとしてCH2FCF3とArとの混合ガス
    を用いることを特徴とするエッチングガスによる加工方
    法。
  9. 【請求項9】 エッチングガスを用い、イオンミリング
    または反応性イオンエッチングにより、被加工材にマス
    クを介してエッチングし加工するエッチングガスによる
    加工方法において、マスクとしてカーボン膜、シリコン
    膜、金属膜、レジスト、高分子材料のいずれかを用い、
    エッチングガスとしてCH2FCF3とSF6との混合ガ
    スを用いることを特徴とするエッチングガスによる加工
    方法。
  10. 【請求項10】 エッチングガスを用い、イオンミリン
    グまたは反応性イオンエッチングにより、被加工材にマ
    スクを介してエッチングし加工するエッチングガスによ
    る加工方法において、マスクとしてカーボン膜、シリコ
    ン膜、金属膜、レジスト、高分子材料のいずれかを用
    い、エッチングガスとしてCH2FCF3とCHF3との
    混合ガスを用いることを特徴とするエッチングガスによ
    る加工方法。
  11. 【請求項11】 エッチングガスを用い、イオンミリン
    グまたは反応性イオンエッチングにより、被加工材にマ
    スクを介してエッチングし加工するエッチングガスによ
    る加工方法において、マスクとしてカーボン膜、シリコ
    ン膜、金属膜、レジスト、高分子材料のいずれかを用
    い、エッチングガスとしてCH2FCF3とCF4との混
    合ガスを用いることを特徴とするエッチングガスによる
    加工方法。
  12. 【請求項12】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材としてセ
    ラミック基板を用いることを特徴とする薄膜磁気ヘッド
    の浮上面レールの形成方法。
  13. 【請求項13】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材としてア
    ルミナチタンカーバイド、アルミナ、ジルコニアを用い
    ることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの浮上面レールの形
    成方法。
  14. 【請求項14】 請求項12および請求項13のエッチ
    ングガスによる加工方法において、磁気ヘッドの浮上量
    が0.15μm以下になるようにしたことを特徴とする
    薄膜磁気ヘッドの浮上面レールの形成方法。
  15. 【請求項15】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材としてア
    ルミナを用いることを特徴とする磁気素子の形成方法。
  16. 【請求項16】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材として光
    学結晶やガラス基板を用いることを特徴とする光学素子
    の形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材として高
    誘電体膜を用いることを特徴とする半導体素子の形成方
    法。
  18. 【請求項18】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材としてジ
    ルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zrx,Ti1-x)O3)、
    BaSrTiO3、SrTiO3を用いることを特徴とす
    る半導体素子の形成方法。
  19. 【請求項19】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材として金
    属を用い、金属配線層を形成することを特徴とする半導
    体素子の形成方法。
  20. 【請求項20】 請求項7ないし請求項11記載のエッ
    チングガスによる加工方法において、被加工材としてC
    u,Ptを用い、金属配線層を形成することを特徴とす
    る半導体素子の形成方法。
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