JPH11154519A - テトラフルオロホウ酸リチウムの精製方法 - Google Patents
テトラフルオロホウ酸リチウムの精製方法Info
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- JPH11154519A JPH11154519A JP9318344A JP31834497A JPH11154519A JP H11154519 A JPH11154519 A JP H11154519A JP 9318344 A JP9318344 A JP 9318344A JP 31834497 A JP31834497 A JP 31834497A JP H11154519 A JPH11154519 A JP H11154519A
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Abstract
ルオロホウ酸リチウムの電解液の精製法を提供する。 【解決手段】 テトラフルオロホウ酸リチウムを含有す
るリチウム電池用電解液中に含まれる種々の酸性不純物
を、ハロゲン化物を添加して、ハロゲン化水素に変換し
た後、発生したハロゲン化水素を電解液中から除去す
る。
Description
解質として有用なテトラフルオロホウ酸リチウムの電解
液の精製法に関する。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)の公知の合
成方法としては、湿式法とエーテル法の二種類が報告さ
れている。湿式法では、ホウ弗酸と炭酸リチウムとの反
応により、含水塩(LiBF4・H2O)が生成する。こ
の含水塩を脱水するために200℃程度の加熱が必要で
あるため、テトラフルオロホウ酸リチウムの分解(Li
BF4→LiF+BF3)が起こり純度が低下するばかり
でなく、水分が残留するためリチウム電池用には使用で
きない。エーテル法では、三フッ化ホウ素とメチルエー
テルあるいはエチルエーテルとの錯化合物とフッ化リチ
ウムの反応により無水塩が得られるが、エーテルに対し
てテトラフルオロホウ酸リチウムが難溶性であるため、
リチウム電池用の品質を満足するものが得にくいこと、
また危険なエーテルを使用することなどの欠点がある。
の電解質をリチウム電池用電解液として用いる場合、溶
媒に含まれる水分により、容易に加水分解して、フッ化
水素等の酸性不純物を生成するという問題点を有し、こ
のような酸性不純物を含有した電解液を、リチウム電池
に使用すると正極、負極、溶媒と反応し、電池の放電容
量の低下、内部抵抗の増大、サイクル寿命の低下等種々
の問題を引き起こす。従来は、この酸性不純物を低減す
るために、電解質からの酸性成分の除去が種々の方法に
より行われてきたが、電解質は結晶性の固体であるた
め、結晶内部に噛み込んだ酸性不純物を完全に除くこと
は困難である。また、加水分解防止のため、非水溶媒の
脱水も種々の方法により行われてきたが、水と電池用の
非水溶媒との相互作用が強いため、これも完全に除くこ
とが困難であり、この溶媒より調製した電解液は加水分
解により酸性成分が増加する。
も得られるテトラフルオロホウ酸リチウム及びこれを用
いた電解液の純度という面で、必ずしも満足できるもの
ではなかった。
かかる従来技術の問題点に鑑み鋭意検討の結果、酸性不
純物を含有するテトラフルオロホウ酸リチウム電解液に
ハロゲン化物を用いることにより不純物の少ない電解液
を得る方法等を見出し本発明に到達したものである。
リチウムを含有するリチウム電池用電解液中に含まれる
種々の酸性不純物を、ハロゲン化物を添加して、ハロゲ
ン化水素に変換した後、発生したハロゲン化水素を電解
液中から除去するもので、さらにハロゲン化水素を除去
する方法が、蒸留または不活性ガス流通による溶媒との
蒸気圧差を利用することを特徴とするリチウム電池用電
解液の精製方法を提供するものである。
れるフッ素化合物のリチウム塩類に由来するフッ化水素
(HF)やその他の原料や電解質の加水分解生成物に由
来する酸性不純物(例えばLiBF4の場合、HBF4や
HBOxFy等)が従来の方法に比べて、極めて低いリ
チウム電池用電解液を得ることができ、これをリチウム
電池に応用すれば、経時的な溶媒の劣化、それに伴う内
部抵抗の増大、電池容量の低下、サイクル寿命の低下等
の種々の問題が解決され、極めて良好なリチウム電池が
得られる。
おいて問題となる酸性不純物は、例えば、原料の強酸に
由来するHBF4等や加水分解及び熱分解等により生ず
るHF、HBOF2等が挙げられ、これらの酸性不純物
は、蒸留等の一般的な精製を実施しても、これらの酸性
不純物自体の蒸気圧が低いことと、溶媒和の影響でさら
に蒸気圧が抑えられることにより、蒸発させることが困
難である。酸性不純物を除去する一般的な方法である水
酸化物や酸化物による中和反応も、反応後に水が副生物
として発生し、これがリチウム電池の性能に悪影響を及
ぼすため、この方法も問題がある。
らが種々検討した結果、同じ酸性不純物でも、HCl、
HBr、HIというハロゲン化水素は、蒸気圧が高い上
に、リチウム電池に一般的に使用される有機溶媒と溶媒
和せず、蒸留等の蒸気圧差を利用した分離法により容易
に分離できることを見出したものである。これらのこと
を利用して、本発明においては、Cl、Br、Iを含む
ハロゲン化物と上記酸性不純物を反応させることによ
り、リチウム電池に有害なHイオンをハロゲン化水素に
変換した後、分離するようにしたものであり、この方法
によれば、酸性不純物がほとんど残存しない電解液が得
られる。
ッ化物以外の塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられ、具
体的には、LiCl、LiBr、LiI、NaCl、N
aBr、NaI、CaCl2、CaBr2、CaI2、M
gCl2、MgBr2、MgI2、KCl、KBr、K
I、SiCl4、BCl3、PCl3、PCl5、POCl
3、PF3Cl2、SCl4、等の無機化合物や塩化アセチ
ル、塩化オキサリル、ホスゲン等の活性なCl、Br、
Iを有する有機化合物も使用できる。フッ化物の場合
は、酸性不純物と反応して、発生するHFとリチウム電
池に一般的に使用される有機溶媒との相互作用が強く、
除去できないため好ましくない。さらに、反応後に発生
するハロゲン化水素の除去の容易さやハロゲン化物の溶
解による電解液中への残存等を考慮すると、蒸気圧が最
も高いHClを発生し、しかも他のハロゲン化物に比べ
て、溶解度が低い塩化物が最も好ましい。また、Li以
外の元素が混入することを嫌う高純度用途の電解液を必
要とする場合は、ハロゲン化リチウム好ましくは塩化リ
チウムを用いるか、もしくは酸性不純物を除去後、蒸気
圧を利用して過剰分を除去することが可能な沸点150
℃以下の揮発性を有するハロゲン化物を用いるほうが良
い。沸点150℃以上のハロゲン化物では減圧による除
去を試みた場合、沸点近くまで電解液の温度を上げなく
ては、過剰の未反応ハロゲン化物の除去が十分でなく、
ここで温度を上げることにより、溶媒のロスが多くなる
ため、経済的でないことと、反応性の高い電解質(Li
BF4)の場合は、電解質による溶媒の分解反応が起こ
るという理由により好ましくない。沸点150℃以下の
ハロゲン化物としては、SiCl4、BCl3、PC
l3、PCl5、POCl3、PF3Cl2、塩化アセチ
ル、塩化オキサリル、ホスゲン等が挙げられる。
不純物に対して、等モル量以上であればよいが、添加剤
が新たな不純物となる場合もあるため、また、反応は定
量的に進行することから、等モル量から1.5倍量の範
囲で添加するのが好ましい。
法はどのような方法を用いてもよく、例えば、反応槽中
でバッチ反応を行う方法やハロゲン化物が固体の場合
は、ハロゲン化物をカラムに詰めて、酸性不純物含有の
電解液を流通することにより連続的に処理する方法も実
施できる。
Br、HI等のハロゲン化水素に変換される。このハロ
ゲン化水素は、次の工程で蒸気圧差を利用する一般的な
方法により、除去する。すなわち、減圧下で脱気する方
法や、不活性気体を電解液中に流通バブリングし、不活
性気体と共に追い出す方法等により除去される。
進するために、熱を加えることも有効であるが、温度と
しては0〜150℃の範囲、好ましくは、30〜100
℃の範囲でハロゲン化水素の除去を行ったほうがよい。
0℃以下ではハロゲン化水素の除去の速度が遅く実用的
でなく、150℃以上では溶媒の蒸気圧が高くなり、溶
媒のロスが多くなるため、経済的でないことと、反応性
の高い電解質(LiBF4)の場合は、電解質による溶
媒の分解反応が起こるという理由により好ましくない。
した場合は、このハロゲン化水素を除去する工程で同時
に過剰分のハロゲン化物の除去も行われる。固体のハロ
ゲン化物を添加剤として使用した場合は、過剰分のハロ
ゲン化物および酸性不純物との反応により生ずる副生物
の沈殿を除去するために濾過等の固液分離をすることが
必要である。
べて、酸性不純物の量が極めて低いリチウム電池用電解
液が得られる。
が、本発明はかかる実施例により限定されるものではな
い。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)94gをジ
エチルカーボネートとエチレンカーボネートの1:1
(容積比)混合溶媒に溶解し、容積を1000mlに調
製した。このようにして得られた濃度1mol/lのL
iBF4/(ジエチルカーボネート+エチレンカーボネ
ート)溶媒溶液を滴定法およびイオンクロマト法で分析
したところ、酸性不純物としてHFが100ppm含ま
れていた。
添加して、室温で12時間撹拌した。次にこの溶媒溶液
を窒素吹き込み用ノズルを備えたポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)製の容器に移し、50℃で4時間溶
媒溶液中に窒素ガスを流通した。このときの排ガスをサ
ンプリングし、IRにより分析したところ、窒素中にH
Clとジエチルカーボネートが含まれていることが確認
された。
チルカーボネートを加え、反応により発生したフッ化リ
チウムの沈殿を濾別した。この溶液のHF濃度を測定し
たところ、定量下限(10ppm)以下であった。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)188gを
プロピレンカーボネートに溶解し、容積を1000ml
に調製した。このようにして得られた濃度2mol/l
のLiBF4/プロピレンカーボネート溶媒溶液を滴定
法により分析したところ、酸性不純物としてHFが13
0ppm含まれていた。
添加して、室温で12時間撹拌した。次にこの溶媒溶液
を温度60℃、圧力10torrで7時間減圧脱気し
た。上記反応により発生したフッ化リチウムの沈殿を濾
別した後、この溶媒溶液の酸性不純物濃度を測定したと
ころ、定量下限(10ppm)以下であった。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)94gをジ
メチルカーボネートに溶解し、容積を1000mlに調
製した。このようにして得られた濃度1mol/lのL
iBF4/ジメチルカーボネート溶媒溶液を滴定法によ
り分析したところ、酸性不純物としてHFが90ppm
含まれていた。
填した60cmのカラム中に10ml/minの流速で
導入した。カラム通過後の溶液を窒素吹き込み用ノズル
を備えたPTFE製の容器に移し、40℃で5時間溶媒
溶液中に窒素ガスを流通した。得られた溶媒溶液の酸性
不純物濃度を測定したところ、定量下限(10ppm)
以下であった。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)94gをジ
エチルカーボネートに溶解し、容積を1000mlに調
製した。このようにして得られた濃度1mol/lのL
iBF4/ジエチルカーボネート溶媒溶液を滴定法によ
り分析したところ、酸性不純物としてHFが110pp
m含まれていた。
添加して、室温で12時間撹拌した。次にこの溶媒溶液
を窒素吹き込み用ノズルを備えたPTFE製の容器に移
し、70℃で4時間溶媒溶液中に窒素ガスを流通し、H
Clおよび過剰の塩化アセチルを除去した。得られた溶
媒溶液の酸性不純物濃度を測定したところ、定量下限
(10ppm)以下であった。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)94gをジ
エチルカーボネートに溶解し、容積を1000mlに調
製した。このようにして得られた濃度1mol/lのL
iBF4/ジエチルカーボネート溶媒溶液を滴定法によ
り分析したところ、酸性不純物がHF換算で100pp
m含まれていた。
加して、室温で12時間撹拌した。次にこの溶媒溶液を
窒素吹き込み用ノズルを備えたPTFE製の容器に移
し、70℃で4時間溶媒溶液中に窒素ガスを流通し、H
Clおよび過剰の三塩化リンを除去した。得られた溶媒
溶液の酸性不純物濃度を測定したところ、定量下限(1
0ppm)以下であった。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)94gをプ
ロピレンカーボネートに溶解し、容積を1000mlに
調製した。このようにして得られた濃度1mol/lの
LiBF4/プロピレンカーボネート溶媒溶液を滴定法
により分析したところ、酸性不純物がHF換算で100
ppm含まれていた。
を添加して、室温で12時間撹拌した。次にこの溶媒溶
液を窒素吹き込み用ノズルを備えたPTFE製の容器に
移し、70℃で4時間溶媒溶液中に窒素ガスを流通し、
HClを除去した。次に過剰の塩化カルシウムおよび反
応により発生したフッ化カルシウムの沈殿を濾別した
後、この溶媒溶液の酸性不純物濃度を測定したところ、
定量下限(10ppm)以下であった。
トラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)94gをジ
エチルカーボネートとエチレンカーボネートの1:1
(容積比)混合溶媒に溶解し、容積を1000mlに調
製した。このようにして得られた濃度1mol/lのL
iBF4/(ジエチルカーボネート+エチレンカーボネ
ート)溶媒溶液を分析したところ、酸性不純物としてH
Fが100ppm含まれていた(滴定法により濃度を決
定)。
備えたPTFE製の容器に移し、50℃で4時間溶媒溶
液中に窒素ガスを流通した。このときの排ガスをサンプ
リングし、IRにより分析したところ、窒素中にはジエ
チルカーボネートのみが含まれており、HFは確認され
なかった。
チルカーボネートを加え、この溶媒溶液のHF濃度を測
定したところ、100ppmで操作前と変わらなかっ
た。すなわち、HFは蒸気圧差を利用する分離法では分
離不可能であった。
(ジエチルカーボネート:エチレンカーボネート=1:
1)溶液を用いてテストセルを作製し、充放電試験によ
り電解液としての性能を評価した。具体的には、天然黒
鉛粉末95重量部に、バインダーとして5重量部のポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、さらにN,N
−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状にした。
このスラリーをニッケルメッシュ上に塗布して、150
℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とし
た。また、コバルト酸リチウム85重量部に、黒鉛粉末
10重量部およびPVDF5重量部を混合し、さらに、
N,N−ジメチルホルムアミドを添加し、スラリー状に
した。このスラリーをアルミニウム箔上に塗布して、1
50℃で12時間乾燥させることにより、試験用正極体
とした。ポリプロピレン不織布をセパレーターとして、
上記のテトラフルオロホウ酸リチウム/(ジエチルカー
ボネート:エチレンカーボネート=1:1)溶液を電解
液とし、上記負極体および正極体とを用いてテストセル
を組み立てた。続いて、次のような条件で、定電流充放
電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度0.35
mA/cm2で行い、充電は4.2V、放電は2.5V
まで行い、この充放電サイクルを繰り返して放電容量の
変化を観察した。その結果、充放電効率はほぼ100%
で、充放電を100サイクル繰り返したところ、放電容
量は全く変化しなかった。
て用いられるフッ素化合物のリチウム塩類に由来するフ
ッ化水素(HF)やその他の原料や電解質の加水分解生
成物に由来する酸性不純物(HBF4やHBOxFy
等)が従来の方法に比べて、極めて低いリチウム電池用
電解液を得ることができ、これをリチウム電池に応用す
れば、経時的な溶媒の劣化、それに伴う内部抵抗の増
大、電池容量の低下、サイクル寿命の低下等の種々の問
題が解決され、極めて良好なリチウム電池が得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】 酸性不純物を含有するリチウム電池用電
解液中に、ハロゲン化物を添加して、酸性不純物をハロ
ゲン化水素に変換した後、発生したハロゲン化水素を電
解液中から除去することを特徴とするテトラフルオロホ
ウ酸リチウム含有リチウム電池用電解液の精製方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の発生したハロゲン化水素
の除去する方法が、蒸留または不活性ガス流通による溶
媒との蒸気圧差を利用する方法であることを特徴とする
テトラフルオロホウ酸リチウム含有リチウム電池用電解
液の精製方法。
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JP31834497A JP3369937B2 (ja) | 1997-11-19 | 1997-11-19 | テトラフルオロホウ酸リチウムの精製方法 |
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