JPH11140569A - SnまたはSn合金メッキ銅合金薄板およびその薄板で製造したコネクタ - Google Patents
SnまたはSn合金メッキ銅合金薄板およびその薄板で製造したコネクタInfo
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- JPH11140569A JPH11140569A JP31769297A JP31769297A JPH11140569A JP H11140569 A JPH11140569 A JP H11140569A JP 31769297 A JP31769297 A JP 31769297A JP 31769297 A JP31769297 A JP 31769297A JP H11140569 A JPH11140569 A JP H11140569A
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Abstract
したコネクタを提供する。 【解決手段】 銅合金薄板1、銅合金薄板1の上に形成
されたCu下地層8、Cu下地層8の上に形成されたC
uとSnを主成分とする拡散合金層2、この拡散合金層
2の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ仕上げ層
3からなり、前記拡散合金層2は、SnまたはSn合金
メッキ仕上げ層3に接する側が溝4により粒状区画5に
区切られた構造を有する。
Description
多ピンコネクタを作るためのSnまたはSn合金を仕上
げメッキしたSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板およ
びそのSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板で製造した
コネクタに関するものである。
えば、C2600)、Cu−Sn−P合金(例えば、C
5191)、Mg:0.3〜2重量%、P:0.001
〜0.1重量%を含有し、残りがCuおよび不可避不純
物からなる組成を有する銅合金などの銅合金薄板を切断
して条とし、これをプレス加工、打抜き加工、曲げ加工
などの金属加工を施すことにより作製される。この場
合、得られたコネクタの良好な接触性や熱安定性を得る
とともに経済性を目的に銅合金条の段階でSnまたはS
n合金、Sn−Pb合金などのSn合金メッキしたり、
あるいは最終的に加工を施した後SnまたはSn合金、
Sn−Pb合金などのSn合金メッキを施すことが多く
行われている。
層は、銅合金薄板の上にCu下地層またはNi下地層を
形成し、このCu下地層またはNi下地層の上に電気メ
ッキ法により形成される。さらに、Cuの下地層または
Ni下地層を形成することなく、銅合金薄板の上に直接
電気メッキ法によりSnまたはSn合金メッキ仕上げ層
を形成することも行われている。この電気メッキにより
SnまたはSn合金メッキ仕上げ層を形成した銅合金薄
板は、さらにリフロー処理を施すことによりSnまたは
Sn合金メッキ仕上げ層の表面部を溶融させると共に、
銅合金薄板の上のCu下地層またはNi下地層とSnま
たはSn合金メッキ仕上げ層の間または銅合金薄板とS
nまたはSn合金メッキ仕上げ層の間に拡散合金層を形
成して仕上げられる。また、銅合金薄板をCuの下地層
を形成することなく直接溶融したメッキ浴に銅合金薄板
を通す溶融メッキ法を施すことによりSnまたはSn合
金メッキ銅合金薄板を製造することも知られている。
部品は、多機能化に伴って回路数が増大し、これら回路
を供給するコネクタも多極化が進み、ピン数も20以上
ある多ピンコネクタの需要が増大してきている。例え
ば、自動車の組み立て工程では、人力によるコネクタの
装着工程が必要とされるが、多ピン化に伴う挿入力の増
大が作業員の疲労をもたらし、大きな問題になってきて
いる。そのため挿入力の小さな多ピンコネクタが求めら
れているが、挿入力を小さくすると離脱しやすくなって
装着性が不安定となる。また、これら多ピンコネクタは
自動車のエンジン廻りのような高温で振動のある環境下
で使用されることがあるが、高温に長時間さらされても
接触抵抗が増大することがなく、さらに把持力が変化せ
ず、エンジンなどの振動により外れることのない安定し
た装着を確保できるコネクタも求められている。
かかる観点から、多ピンコネクタであっても装着しやす
く、かつ自動車のエンジン廻りのような高温で振動のあ
る環境下で使用しても接触抵抗が増大することがなく、
また外れることのない優れた接続強度を示す多ピンコネ
クタを得るべく研究を行った結果、(a)SnまたはS
n合金メッキ銅合金薄板で作製したコネクタの特性は、
SnまたはSn合金メッキ銅合金薄板に形成された拡散
合金層の状態に大きく影響され、拡散合金層は、Snま
たはSn合金メッキ仕上げ層に接する側に溝が形成され
て溝により粒状区画に区切られた構造を有すると、この
SnまたはSn合金メッキ銅合金薄板で作製したコネク
タは挿入力が小さく、かつ離脱力が大きくて振動のある
環境下で使用しても離脱することがなく、優れた特性を
示す、(b)前記SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に
接する側の拡散合金層の溝により多数の粒状区画に区切
られた粒状区画は、CuとSnを主成分とする拡散合金
層の場合は平均粒径:0.1〜5μmの範囲内の大きさ
を有することが好ましく、NiとSnを主成分とする拡
散合金層の場合は平均粒径:0.1〜1.5μmの範囲
内の大きさを有することが好ましい、(c)前記Snま
たはSn合金メッキ仕上げ層に接する側の拡散合金層の
溝により区切られた粒状区画は、CuとSnを主成分と
する拡散合金層の場合は平均粒径:0.3〜3μmの範
囲内の大きさを有することが一層好ましく、NiとSn
を主成分とする拡散合金層の場合は平均粒径:0.2〜
1.0μmの範囲内の大きさを有することが一層好まし
い、(d)前記銅合金薄板は、通常のCu−Zn合金
(例えば、C2600)、Cu−Sn−P合金(例え
ば、C5191)など、コンタクトピンに使用される銅
合金薄板であればいかなる銅合金薄板であっても良い
が、特にNi:0.5〜3重量%、Si:0.08〜
0.7重量%、Sn:0.1〜0.9重量%、Zn:
0.1〜3重量%、Fe:0.007〜0.25重量
%、P:0.001〜0.2重量%、Mg:0.000
3〜0.2重量%、Pb:0.001〜0.01重量%
を含有し、さらにCr、Li、In、Ba、Pd、A
u、Pt、RhおよびIrのうちの1種または2種以上
を合計で0.0002〜0.05重量%を含有し、残り
がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金
からなる銅合金薄板であると、自動車のエンジン廻りの
ような高温で振動のある環境下で使用しても接触抵抗お
よび把持力が変化せず、エンジンなどの振動により離脱
することのない安定した装着を確保できる、(e)特
に、平均粒径:0.1〜1.5μmの範囲内の大きさに
区切られたNiとSnを主成分とする拡散合金層を有す
るSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板で作製したコネ
クタは、挿入力が小さくかつ離脱力が大きくて振動のあ
る環境下で使用しても離脱することがなく、さらに高温
で振動のある環境下で使用しても接触抵抗が増大するこ
とがない、という知見を得たのである。
れたものであって、(1)銅合金薄板、銅合金薄板の上
に形成されたCu下地層、Cu下地層の上に形成された
CuとSnを主成分とする拡散合金層、CuとSnを主
成分とする拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn
合金メッキ仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成分
とする拡散合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ
層に接する側が溝により粒状区画に区切られた構造を有
するSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板、(2)銅合
金薄板、銅合金薄板の上に形成されたCu下地層、Cu
下地層の上に形成されたCuとSnを主成分とする拡散
合金層、CuとSnを主成分とする拡散合金層の上に形
成されたSnまたはSn合金メッキ仕上げ層からなり、
前記CuとSnを主成分とする拡散合金層は、Snまた
はSn合金メッキ仕上げ層に接する側が溝により粒状区
画に区切られた構造を有し、その粒状区画の大きさは平
均粒径:0.1〜5μmの範囲内にあるSnまたはSn
合金メッキ銅合金薄板、(3)銅合金薄板、銅合金薄板
の上に形成されたCu下地層、Cu下地層の上に形成さ
れたCuとSnを主成分とする拡散合金層、CuとSn
を主成分とする拡散合金層の上に形成されたSnまたは
Sn合金メッキ仕上げ層からなり、前記CuとSnを主
成分とする拡散合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕
上げ層に接する側が溝により粒状区画に区切られた構造
を有し、その粒状区画の大きさは平均粒径:0.3〜3
μmの範囲内にあるSnまたはSn合金メッキ銅合金薄
板、(4)銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成されたC
uとSnを主成分とする拡散合金層、CuとSnを主成
分とする拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合
金メッキ仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成分と
する拡散合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層
に接する側が溝により粒状区画に区切られた構造を有す
るSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板、(5)銅合金
薄板、銅合金薄板の上に形成されたCuとSnを主成分
とする拡散合金層、CuとSnを主成分とする拡散合金
層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ仕上げ層
からなり、前記CuとSnを主成分とする拡散合金層
は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する側が溝
により粒状区画に区切られた構造を有し、その粒状区画
の大きさは平均粒径:0.1〜5μmの範囲内にあるS
nまたはSn合金メッキ銅合金薄板、(6)銅合金薄
板、銅合金薄板の上に形成されたCuとSnを主成分と
する拡散合金層、CuとSnを主成分とする拡散合金層
の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ仕上げ層か
らなり、前記CuとSnを主成分とする拡散合金層は、
SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する側が溝によ
り粒状区画に区切られた構造を有し、その粒状区画の大
きさは平均粒径:0.3〜3μmの範囲内にあるSnま
たはSn合金メッキ銅合金薄板、(7)銅合金薄板、銅
合金薄板の上に形成されたNi下地層、Ni下地層の上
に形成されたNiとSnを主成分とする拡散合金層、N
iとSnを主成分とする拡散合金層の上に形成されたS
nまたはSn合金メッキ仕上げ層からなり、前記Niと
Snを主成分とする拡散合金層は、SnまたはSn合金
メッキ仕上げ層に接する側が溝により粒状区画に区切ら
れた構造を有するSnまたはSn合金メッキ銅合金薄
板、(8)銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成されたN
i下地層、Ni下地層の上に形成されたNiとSnを主
成分とする拡散合金層、NiとSnを主成分とする拡散
合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ仕上
げ層からなり、前記NiとSnを主成分とする拡散合金
層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する側が
溝により粒状区画に区切られた構造を有し、その粒状区
画の大きさは平均粒径:0.1〜1.5μmの範囲内に
あるSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板、(9)銅合
金薄板、銅合金薄板の上に形成されたNi下地層、Ni
下地層の上に形成されたNiとSnを主成分とする拡散
合金層、NiとSnを主成分とする拡散合金層の上に形
成されたSnまたはSn合金メッキ仕上げ層からなり、
前記NiとSnを主成分とする拡散合金層は、Snまた
はSn合金メッキ仕上げ層に接する側が溝により粒状区
画に区切られた構造を有し、その粒状区画の大きさは平
均粒径:0.2〜1.0μmの範囲内にあるSnまたは
Sn合金メッキ銅合金薄板、に特徴を有するものであ
る。
金薄板を構成する銅合金薄板は、通常のコネクタを作る
ためのSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板に使用する
Cu−Zn合金(例えば、C2600)、Cu−Sn−
P合金(例えば、C5191)、Mg:0.3〜2重量
%、P:0.001〜0.1重量%を含有し、残りがC
uおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金薄板
などいかなる種類の銅合金薄板も使用することができる
が、特に、Ni:0.5〜3重量%、Si:0.08〜
0.7重量%、Sn:0.1〜0.9重量%、Zn:
0.1〜3重量%、Fe:0.007〜0.25重量
%、P:0.001〜0.2重量%、Mg:0.000
3〜0.2重量%、Pb:0.001〜0.01重量%
を含有し、さらにCr、Li、In、Ba、Pd、A
u、Pt、RhおよびIrのうちの1種または2種以上
を合計で0.0002〜0.05重量%を含有し、残り
がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金
からなる銅合金薄板を使用すると、熱的安定性に優れた
SnまたはSn合金メッキ銅合金薄板が得られ一層好ま
しい。
(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、
(8)または(9)記載のSnまたはSn合金メッキ銅
合金薄板において、前記銅合金薄板は、Ni:0.5〜
3重量%、Si:0.08〜0.7重量%、Sn:0.
1〜0.9重量%、Zn:0.1〜3重量%、Fe:
0.007〜0.25重量%、P:0.001〜0.2
重量%、Mg:0.0003〜0.2重量%、Pb:
0.001〜0.01重量%を含有し、さらにCr、L
i、In、Ba、Pd、Au、Pt、RhおよびIrの
うちの1種または2種以上を合計で0.0002〜0.
05重量%を含有し、残りがCuおよび不可避不純物か
らなる組成を有する銅合金からなるSnまたはSn合金
メッキ銅合金薄板、に特徴を有するものである。
ッキ銅合金薄板で作られたコネクタも含むものである。
従って、この発明は、(11)前記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、
(9)または(10)記載のSnまたはSn合金メッキ銅
合金薄板で作られたコネクタ、に特徴を有するものであ
る。
金薄板のSnまたはSn合金メッキ仕上げ層側の溝によ
り区画された粒状区画を有する拡散合金層は、銅合金薄
板、銅合金薄板の上に形成されたCu下地層またはNi
下地層の上にSnまたはSn合金メッキ仕上げ層を電気
メッキ法により形成し、ついで、通常より高い温度でリ
フロー処理を施すことにより製造することができる。前
記Sn合金メッキ仕上げ層のSn合金は、いかなる組成
のSn合金であってもよいが、Pb:3〜50重量%を
含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなるSnハ
ンダ、またはCu:1〜10重量%を含有し、残りがS
nおよび不可避不純物からなるSnハンダであることが
好ましい。メッキ仕上げ層がSnである場合、拡散合金
層は二元系のCu−Sn合金または二元系のNi−Sn
合金で構成されるが、メッキ仕上げ層がSn合金である
場合、CuとSnまたはNiとSnを主成分とする三元
系以上の合金で構成される。この銅合金薄板、銅合金薄
板の上に形成されたCu下地層またはNi下地層とSn
またはSn合金メッキ仕上げメッキ層との間に形成され
た拡散合金層は、通常、SnまたはSn合金メッキ仕上
げメッキ層よりも硬く、挿入力を低める意味からコネク
タ用SnまたはSn合金メッキ銅合金薄板に欠くことの
できない構成である。
(4)、(5)、(6)、(7)、(8)または(9)
記載のSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板の拡散合金
層に形成された粒状区画について図面に基づいてさらに
詳細に説明する。
のこの発明のSnメッキ銅合金薄板の断面説明図であ
る。前記(1)、(2)、(3)記載のこの発明のSn
メッキ銅合金薄板は、図1に示されるように、銅合金薄
板1、銅合金薄板1の上に形成されたCu下地層8、溝
4により区画された粒状区画5を有するCuとSnを主
成分とする拡散合金層2、並びにSnまたはSn合金メ
ッキ仕上げ層3から構成されている。前記溝4により区
画された粒状区画5を有するCuとSnを主成分とする
拡散合金層2は、これを平面状態で見ると、図3に示さ
れるように、溝4により区画された敷石状態または地割
れ状態の粒状区画5を有している。図3の説明は、後で
詳述する。
5が大きいSnメッキ銅合金薄板であるほどコネクタ材
として使用した場合にコネクタの特性が優れたものとな
るが、その大きさは平均粒径で5μmを越えるほど大き
な粒状区画を形成することは難しく、一方、粒状区画の
大きさが平均粒径で0.1μm未満では粒状区画形成に
よる効果が十分に現れない。従って、粒状区画の大きは
平均粒径:0.1〜5μmに定めた。粒状区画の大きの
一層好ましい範囲は平均粒径:0.3〜3μmである。
のこの発明のSnメッキ銅合金薄板の断面説明図であ
る。前記(4)、(5)、(6)記載のこの発明のSn
メッキ銅合金薄板は、銅合金薄板1の上に(Cu下地層
を形成することなく)直接、溝4により区画された粒状
区画5を有するCuとSnを主成分とする拡散合金層2
が形成され、その上にSnまたはSn合金メッキ仕上げ
層3が形成されている。銅合金薄板1の上に直接形成さ
れた溝4により区画された粒状区画5を有するCuとS
nを主成分とする拡散合金層2の構成は、前記(1)、
(2)、(3)記載のこの発明のSnメッキ銅合金薄板
と同じ敷石状態または地割れ状態の粒状区画5を有する
ことが確認されたので、拡散合金層2の平面状態図の記
載は省略した。また前記(4)、(5)、(6)記載の
この発明のSnメッキ銅合金薄板の拡散合金層2に形成
される粒状区画5の大きは、前記(1)、(2)、
(3)記載のこの発明のSnメッキ銅合金薄板と同じ
く、平均粒径:0.1〜5μmの範囲内にあることが好
ましく、平均粒径:0.3〜3μmの範囲内にあること
が一層好ましい。
のこの発明のSnメッキ銅合金薄板の断面説明図であ
る。前記(7)、(8)、(9)記載のこの発明のSn
メッキ銅合金薄板は、図5に示されるように、銅合金薄
板1、銅合金薄板1の上に形成されたNi下地層9、溝
4により区画された粒状区画5を有するNiとSnを主
成分とする拡散合金層10、並びにSnまたはSn合金
メッキ仕上げ層3から構成されている。前記溝4により
区画された粒状区画5を有するNiとSnを主成分とす
る拡散合金層10は、これを平面状態で見ると、溝4に
より区画された粒状区画5を有している。
に形成された粒状区画5は、CuとSnを主成分とする
拡散合金層に形成された粒状区画よりも小さいが、粒状
区画5のあるNiとSnを主成分とする拡散合金層10
を有するSnメッキ銅合金薄板をコネクタ材として使用
した場合に耐熱特性(高温で振動のある環境下で使用し
ても離脱力が大きくて離脱することがなく、さらに接触
抵抗が増大することがない特性)に優れたコネクタが得
られる。その大きさは平均粒径で1.5μmを越えるよ
うな大きな粒状区画を形成することは難しく、一方、粒
状区画の大きさが平均粒径で0.1μm未満では粒状区
画形成による効果が十分に現れない。従って、NiとS
nを主成分とする拡散合金層の粒状区画の大きは平均粒
径:0.1〜1.5μmに定めた。NiとSnを主成分
とする拡散合金層の粒状区画の大きの一層好ましい範囲
は平均粒径:0.2〜1.0μmである。
有する板厚:0.3mmの銅合金板A〜Hを用意した。
脂および酸洗いした後、下記の条件により、表3〜表4
に示される厚さのCu下地メッキを行い、さらに表3〜
表4に示される厚さのSn仕上げメッキまたは90%S
n−10%Pb仕上げメッキを行い、ついで還元雰囲気
中、表3〜表4に示される条件のリフロー処理を行うこ
とにより、表3〜表4に示される平均粒径を有する粒状
区画および平均厚さからなる拡散合金層を形成した本発
明Snメッキ銅合金薄板(以下、本発明薄板という)1
〜11および比較Snメッキ銅合金薄板(以下、比較薄
板という)1〜2を作製した。
塩素イオン50g/l、添加剤2g/l、 メッキ浴温度:30℃、 電流密度:3A/dm2
l、クレゾールスルホン酸25g/l、添加剤7g/
l、 メッキ浴温度:20℃、 電流密度:3A/dm2 、
条件 メッキ浴組成:ホウフッ化第一錫200g/l、ホウフ
ッ化鉛20g/l、ホウフッ化水素酸235g/l、添
加剤30g/l、 メッキ浴温度:25℃、 電流密度:2A/dm2 、
比較薄板1〜2の下地メッキ層、拡散合金層および仕上
げメッキ層の厚さは、電解式膜厚計により測定すると共
に、補助的に蛍光X線膜厚計、断面のSEM観察および
EPMAによる観測などの手段を用いて測定した。さら
に拡散合金層の粒状区画の寸法は、本発明薄板1〜11
および比較薄板1〜2の仕上げメッキ層を電解法により
除去して表面に拡散合金層を露出させ、拡散合金層の露
出面を電子顕微鏡により二次電子像を撮り、この組織写
真により測定した。この発明の拡散合金層の構成を一層
理解しやすくするために、本発明薄板1の拡散合金層を
平面から見た粒状区画の電子顕微鏡組織写真を図2に示
し、さらにその写生図を図3に示した。図2の電子顕微
鏡組織写真によると、CuとSnを主成分とする拡散合
金層2は溝4により区画されて敷石状態または地割れ状
態の粒状区画5が形成されていることが分かる。
を用い、図7に示される形状の雄コネクタ6および雌コ
ネクタ7を作製し、雄コネクタ6を雌コネクタ7に挿入
したのち、雄コネクタ6を雌コネクタ7から引き抜き、
挿入する時の最大荷重および引き抜く時の最大荷重をそ
れぞれ10回測定し、その平均値をそれぞれ挿入力およ
び離脱力として表5に示した。
板1〜11で作られたコネクタは、いずれも挿入力が
3.5(N)以下でかつ離脱力が3.8(N)以上にな
っており、適正な設計を行うことにより、挿入力が小さ
くかつ挿入後離脱することのない安定した多ピンコネク
タが得られることが分かる。しかし、この発明の範囲か
ら外れた比較薄板1〜2で作られたコネクタは、挿入力
が大き過ぎる不具合が生じ、多ピンコネクタとして安定
性に問題があることが分かる。
電解脱脂および酸洗いした後、銅合金板A〜Hの上に実
施例1で行った条件と同じ条件により、表6〜表7に示
される平均厚さのSn仕上げメッキまたは90%Sn−
10%Pb仕上げメッキを行い、ついで還元雰囲気中、
表6〜表7に示される条件のリフロー処理を行うことに
より、表6〜表7に示される寸法の粒状区画を有するC
uとSnを主成分とする拡散合金層をもった本発明薄板
12〜22および比較薄板3〜4を作製した。
薄板3〜4について、実施例1と同様にして図7に示さ
れる形状の雄コネクタ6および雌コネクタ7を作製し、
挿入力、離脱力を測定し、その結果を表8に示した。
果から、本発明薄板12〜22で作られたコネクタは、
いずれも挿入力が3.5(N)以下、離脱力が3.8
(N)以上であることが分かる。しかし、この発明の範
囲から外れた比較薄板3〜4で作られたコネクタは、挿
入力が大きくなることが分かる。
電解脱脂および酸洗いした後、下記のNi下地メッキ条
件により、表9〜表10に示される厚さのNi下地メッ
キを行い、さらに実施例1と同じ条件で表9〜表10に
示される厚さのSn仕上げメッキまたは90%Sn−1
0%Pb仕上げメッキを行い、ついで還元雰囲気中、表
9〜表10に示される条件のリフロー処理を行うことに
より、表9〜表10に示される平均粒径の粒状区画およ
び平均厚さからなるNiとSnを主成分とする拡散合金
層を有する本発明薄板23〜33および比較薄板5〜6
を作製した。
ル45g/l、硼酸35g/l、 メッキ浴温度:45℃、 電流密度:4A/dm2
び比較薄板5〜6のNi下地メッキ層、拡散合金層およ
び仕上げメッキ層の厚さは、電解式膜厚計により測定す
ると共に、補助的に蛍光X線膜厚計、断面のSEM観察
およびEPMAによる観測などの手段を用いて測定し
た。さらに拡散合金層の粒状区画の寸法は、本発明薄板
23〜33および比較薄板5〜6の仕上げメッキ層を電
解法により除去して表面に拡散合金層を露出させ、拡散
合金層の露出面を電子顕微鏡により二次電子像を撮り、
この組織写真により測定した。この発明の拡散合金層の
構成を一層理解しやすくするために、本発明薄板23の
NiとSnを主成分とする拡散合金層を平面から見た粒
状区画の電子顕微鏡組織写真を図6に示した。図6の電
子顕微鏡組織写真によると、NiとSnを主成分とする
拡散合金層10は溝4により区画されて粒状区画5が形
成されていることが分かる。
6を用い、図7に示される形状の雄コネクタ6および雌
コネクタ7を作製し、雄コネクタ6を雌コネクタ7に挿
入したのち、雄コネクタ6を雌コネクタ7から引き抜
き、挿入する時の最大荷重および引き抜く時の最大荷重
をそれぞれ10回測定し、その平均値をそれぞれ挿入力
および離脱力として表11〜表12に示した。
を雌コネクタ7に挿入したまま、大気中、180℃にて
500時間焼鈍したものについて、焼鈍前と焼鈍後の接
触抵抗の差を焼鈍による接触抵抗の増加として表11〜
表12に示し、さらに焼鈍後雄コネクタ6を雌コネクタ
7から引き抜く時の最大荷重を測定し、その値を焼鈍後
の離脱力として表11〜表12に示し、熱安定性の評価
を行った。
発明薄板23〜33で作られたコネクタは、いずれも挿
入力が3.5(N)以下でかつ焼鈍後離脱力が3.5
(N)以上になっており、適正な設計を行うことによ
り、挿入力が小さくかつ挿入後離脱することのない安定
した耐熱性に優れた多ピンコネクタが得られることが分
かる。しかし、この発明の範囲から外れた比較薄板5〜
6で作られたコネクタは、挿入力が大き過ぎるかまたは
焼鈍後離脱力が小さすぎるかの不具合が生じ、多ピンコ
ネクタとして安定性に問題があることが分かる。
合金薄板は、比較Snメッキ銅合金薄板と比べてコネク
タ板材として優れており、この発明のSnメッキ銅合金
薄板で作製したコネクタは、雄コネクタを雌コネクタに
挿入する時の挿入力が小さいところからコネクタの挿入
作業がやりやすく、離脱力が大きく、特にNiとSnを
主成分とする溝により粒状区画に区切られた構造を有す
る拡散合金層を持つSnメッキ銅合金薄板は、挿入力が
小さくかつ離脱力が大きいとともに、焼鈍による接触抵
抗の増加が少ないところから、自動車のエンジン廻りの
ような過酷な高温環境下におけるトラブルの発生が特に
少なく、従って、優れたコネクタを提供することができ
る。
である。
を主成分とする拡散合金層を平面から見た電子顕微鏡組
織写真である。
を主成分とする拡散合金層を平面から見た電子顕微鏡に
よる組織の写生図である。
である。
である。
を主成分とする拡散合金層を平面から見た電子顕微鏡組
織写真である。
斜視図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たCu下地層、Cu下地層の上に形成されたCuとSn
を主成分とする拡散合金層、CuとSnを主成分とする
拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ
仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成分とする拡散
合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する
側が溝により粒状区画に区切られた構造を有することを
特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板。 - 【請求項2】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たCu下地層、Cu下地層の上に形成されたCuとSn
を主成分とする拡散合金層、CuとSnを主成分とする
拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ
仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成分とする拡散
合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する
側が溝により粒状区画に区切られた構造を有し、その粒
状区画の大きさは平均粒径:0.1〜5μmの範囲内に
あることを特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅合金
薄板。 - 【請求項3】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たCu下地層、Cu下地層の上に形成されたCuとSn
を主成分とする拡散合金層、CuとSnを主成分とする
拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ
仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成分とする拡散
合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する
側が溝により粒状区画に区切られた構造を有し、その粒
状区画の大きさは平均粒径:0.3〜3μmの範囲内に
あることを特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅合金
薄板。 - 【請求項4】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たCuとSnを主成分とする拡散合金層、CuとSnを
主成分とする拡散合金層の上に形成されたSnまたはS
n合金メッキ仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成
分とする拡散合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上
げ層に接する側が溝により粒状区画に区切られた構造を
有することを特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅合
金薄板。 - 【請求項5】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たCuとSnを主成分とする拡散合金層、CuとSnを
主成分とする拡散合金層の上に形成されたSnまたはS
n合金メッキ仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成
分とする拡散合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上
げ層に接する側が溝により粒状区画に区切られた構造を
有し、その粒状区画の大きさは平均粒径:0.1〜5μ
mの範囲内にあることを特徴とするSnまたはSn合金
メッキ銅合金薄板。 - 【請求項6】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たCuとSnを主成分とする拡散合金層、CuとSnを
主成分とする拡散合金層の上に形成されたSnまたはS
n合金メッキ仕上げ層からなり、前記CuとSnを主成
分とする拡散合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上
げ層に接する側が溝により粒状区画に区切られた構造を
有し、その粒状区画の大きさは平均粒径:0.3〜3μ
mの範囲内にあることを特徴とするSnまたはSn合金
メッキ銅合金薄板。 - 【請求項7】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たNi下地層、Ni下地層の上に形成されたNiとSn
を主成分とする拡散合金層、NiとSnを主成分とする
拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ
仕上げ層からなり、前記NiとSnを主成分とする拡散
合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する
側が溝により粒状区画に区切られた構造を有することを
特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板。 - 【請求項8】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たNi下地層、Ni下地層の上に形成されたNiとSn
を主成分とする拡散合金層、NiとSnを主成分とする
拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ
仕上げ層からなり、前記NiとSnを主成分とする拡散
合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する
側が溝により粒状区画に区切られた構造を有し、その粒
状区画の大きさは平均粒径:0.1〜1.5μmの範囲
内にあることを特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅
合金薄板。 - 【請求項9】 銅合金薄板、銅合金薄板の上に形成され
たNi下地層、Ni下地層の上に形成されたNiとSn
を主成分とする拡散合金層、NiとSnを主成分とする
拡散合金層の上に形成されたSnまたはSn合金メッキ
仕上げ層からなり、前記NiとSnを主成分とする拡散
合金層は、SnまたはSn合金メッキ仕上げ層に接する
側が溝により粒状区画に区切られた構造を有し、その粒
状区画の大きさは平均粒径:0.2〜1.0μmの範囲
内にあることを特徴とするSnまたはSn合金メッキ銅
合金薄板。 - 【請求項10】 前記銅合金薄板は、Ni:0.5〜3
重量%、Si:0.08〜0.7重量%、Sn:0.1
〜0.9重量%、Zn:0.1〜3重量%、Fe:0.
007〜0.25重量%、P:0.001〜0.2重量
%、Mg:0.0003〜0.2重量%、Pb:0.0
01〜0.01重量%を含有し、さらにCr、Li、I
n、Ba、Pd、Au、Pt、RhおよびIrのうちの
1種または2種以上を合計で0.0002〜0.05重
量%を含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなる
組成を有する銅合金からなる銅合金薄板であることを特
徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または
9記載のSnまたはSn合金メッキ銅合金薄板。 - 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9または10記載のSnまたはSn合金メッキ銅合
金薄板からなるコネクタ用板材。 - 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9または10記載のSnまたはSn合金メッキ銅合
金薄板で作られたコネクタ。
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