JP2007270266A - Snめっき銅合金材料およびその製造方法 - Google Patents

Snめっき銅合金材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Cu−Ni−Sn−P系銅合金において、表面平滑性および耐熱剥離性に優れたリフローSnめっき銅合金材料を提供する。
【解決手段】質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Sn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.2%であり、さらに必要に応じてFe:0.8%以下およびZn:5%以下の1種以上を含み、残部実質的にCuの組成をもつ銅合金の表面に、下から順に、厚さ0〜0.3μmのCu層、Cu−Sn拡散層、Sn層の構造を有する被覆層が形成されており、圧延方向の表面粗さがRa:0.08μm以下、Ry:0.6μm以下であるSnめっき銅合金材料。板表面に対して垂直方向から見たCu−Sn拡散層の平均粒径が0.5〜10μmであり、最表面の酸化膜厚が30nm以下であるものが特に好適な対象となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、リフロー処理に供するためのSnめっきCu−Ni−Sn−P系銅合金材料、および、リフロー処理され、表面平滑性に優れかつ耐熱剥離性に優れたSn層を表面に形成したSnめっきCu−Ni−Sn−P系銅合金材料に関する。
コネクタ等の電気・電子部品に用いる銅合金材料には、表面の接触抵抗が小さいこと、はんだ付け性が良好であること、耐食性が良好であること等の特性が要求される。特に、近年ではSnめっき後に表面Sn層を短時間溶融させる「リフロー処理」が主流になっている。これは、リフロー処理を行って電着Snめっき層を溶融さることにより、i) 表面の微視的な平滑性が得られること、ii) Snめっきの電着時に生じる内部応力が緩和され配線間ショートの原因となるウイスカーの発生防止に効果的であること、iii) 電着組織に比べSn層中の母材の銅の拡散が抑制され、同一膜厚で比較すると接触抵抗の経時変化が小さくなること、iv) Sn層の下に合金層が形成されるため一般にはめっき密着性も向上すると考えられること、などの利点が得られるからである。
特許文献1にはCu−Zn系、Cu−Zn−(Pb、Sn、Al、Mn、Fe)系の黄銅、純銅、Cu−Al−Fe−Mn−Ni系、Cu−Si系の特殊青銅などについてSnめっき後にリフロー処理を施し、表面Sn層を平滑化することが記載されている。これは、基本的にリフロー条件を制御することによりSn層の表面を平滑にするものであり、表面の平滑化によって接触抵抗の低減等が図られている。
一方、近年のエレクトロニクスの発達により、電気・電子機器の電気配線は複雑化・高集積化が進み、コネクタ等の通電部品には小型化、軽量化、高信頼性化、低コスト化の要求が高まっている。それに伴いコネクタ等の部品に使用される素材は、従来にも増して薄肉化され、かつ複雑な形状にプレス成形されるようになっている。このため素材特性としては強度(引張強さ、0.2%耐力)、曲げ加工性、導電性およびプレス成形性のすべてが良好でなければならない。特に導電率については、部品の小型化によるジュール熱の発生を抑えるために、黄銅やりん青銅といった従来多く用いられてきた素材に対し、より高い導電率が求められる。さらに、自動車用のメス端子等においてはエンジンルーム近傍の高温環境下で使用されることが多くなっており、高温環境下においても機械的特性の経時変化が少なくなるように耐応力緩和特性に優れることも重要である。
これらの各特性を比較的バランス良く実現しやすい素材としてCu−Ni−Sn−P系銅合金が挙げられる。この合金はNi−P系の析出物を微細分散させることで各種特性の改善を図ることができ、これまでに電気・電子部品用に適したものが種々開発されている(特許文献2〜9)。
特開2005−154819号公報 特開平4−154942号公報 特開平4−236736号公報 特開平10−226835号公報 特開2000−129377号公報 特開2000−256814号公報 特開2001−262255号公報 特開2001−262297号公報 特開2002−294368号公報
リフロー処理されたSnめっき材においては、コネクタの小型化・高集積化に対応するため端子の挿入力を低減させること、上記高温環境下への対応を可能にすること、Pbフリー化に伴い使用頻度が高まっている抵抗溶接時の溶接安定性を向上させること、などの要求を満たすものが強く求められており、そのためには特に表面の平滑性やめっき厚の均一性を確保することが重要となる。特に、抵抗溶接性では、接合面に大電流を流すことにより発生する抵抗発熱により接合を行うが、めっき面に多くの凹部がある場合には抵抗溶接時のガス巻込みの原因になり、接合強度のばらつきを招く。また、素材となる銅合金についても、素材の導電率、表面粗さの影響を受ける。素材の導電率は、抵抗溶接性を考慮すると45%IACS以下であることが望ましく、コネクタの小型化に対応するためには28%IACS以上であることが望ましい。また、めっき母材として使用する銅合金板の表面粗さは、圧延方向に対し平行方向および直角方向ともに、Ra:0.1μm以下、Ry:1.2μm以下であることが望ましい。
このようなCu−Ni−Sn−P系銅合金のSnめっき材にリフロー処理を適用すれば、表面平滑化等の効果が加わり、更に優れた電気・電子部品用の銅合金材料が実現できるものと期待された。しかしながら発明者らの調査によれば、この合金系においては、リフロー条件を制御することだけでは、Sn層の耐熱剥離性と平滑性を同時に改善することが極めて難しいことがわかった。
本発明は、Cu−Ni−Sn−P系銅合金を母材に用いて、耐熱剥離性および表面平滑性に優れたリフローSnめっき材を提供することを目的とする。
発明者らの検討によれば、Cu−Ni−Sn−P系銅合金において耐熱剥離性および表面平滑性に優れたSnめっき材を得ることが非常に難しい原因として、この合金系の母材に存在する析出物もしくは析出物により影響を受けた母材表面が電気めっき時の均一な電着Sn層の形成を妨げ、リフロー処理によっても電着組織の不均一性が残存することが挙げられ、これにより一般的な銅合金に比べ平滑な表面が得られ難いのではないかと考えられた。そこでさらに詳細な研究を進めた結果、リフロー処理に供するためのSnめっきCu−Ni−Sn−P系銅合金において、合金組成を特定した上で、下地として電着Cu層を薄く形成しておくと、そのCu層の全部または大部分がSnめっき後のリフロー処理によってCu−Sn拡散層に変化し、残存するCu層は存在しないか極めて薄くなる。このことが、リフロー処理後の耐熱剥離性および表面平滑性の向上に極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明では、質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Sn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.2%であり、さらに必要に応じてFe:0.8%以下およびZn:5%以下の1種以上を含み、残部実質的にCuの組成をもつ銅合金の表面に、下から順に、厚さ0〜0.3μmのCu層、Cu−Sn拡散層、Sn層の構造を有する被覆層が形成されており、圧延方向の表面粗さがRa:0.08μm以下、Ry:0.6μm以下であるSnめっき銅合金材料が提供される。Cu−Sn拡散層は例えば厚さが0.4〜0.9μmである。また、板表面に対して垂直方向から見たCu−Sn拡散層の平均粒径(すなわち板厚方向に対し平行方向にCu−Sn拡散層の結晶粒を観察した場合の平均粒径)は例えば0.5〜10μmである。Snめっき層の最表面の酸化膜厚が30nm以下であるものが特に好適な対象となる。
ここで、「残部実質的にCu」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で上記以外の元素の混入が許容されることを意味し、「残部Cuおよび不可避的不純物からなる」場合が含まれる。電着Cu層および電着Sn層はそれぞれ電気銅めっき法および電気錫めっき法によって形成される。これらの電着層の厚さはめっき条件(電流密度、時間)によりコントロールできる。実際の電着層厚さは、Snめっき厚さについては蛍光X線膜厚計で測定可能である。リフロー処理後のSn層厚さについても電解式膜厚計により測定可能である。Cuめっき厚さについては、Cu−Ni−Sn−P系合金では蛍光X線膜厚計や電解式膜厚計での測定は困難である。このため例えば、同じ幅の黄銅(JIS C2600等)母材に対しCuめっきのみを行い、これを電解式膜厚計で測定することにより予め通電条件と電着めっき厚の相関を求めておき、この相関をCu−Ni−Sn−P系合金のめっき条件に適用することによりCuめっき厚さをコントロールすることが可能である。また、リフロー処理前の試験片について電着層の断面をFIB(集束イオンビーム加工観察装置)で観察し、そのSIM像からCu層やSn層の平均膜厚を求めることができる。リフロー処理後の残存Cu層についても、同様にFIBのSIM像により確認可能である。
ここで、Cu−Sn拡散層は、リフロー処理によって電着Cu層と電着Sn層界面に形成されるCuとSnの金属間化合物を主体とする層である。Cu層は、電着Cu層、または電着Cu層と母材であるCu−Ni−Sn−P系合金に由来する層である。Sn層は、電着Sn層に由来する層である。Cu−Sn拡散層が形成されることによりCu層およびSn層はそれぞれリフロー処理前の電着Cu層および電着Sn層よりも厚さが減少している。前述のように、Cu層の膜厚は断面を観察したFIBのSIM像などから平均膜厚を測定することによって求めることができる。Cu−Sn拡散層およびSn層の膜厚はSIM像の他、電解式膜厚計を用いて測定することもできる。Cu層の厚さが0(ゼロ)μmであるとは、Cu層の膜厚が同定不可能な程に極めて薄いか、またはCu層の存在が検出されない場合である。RaおよびRyはそれぞれJIS B0601(1994)に規定される中心線平均粗さおよび最大高さである。
リフロー処理された本発明のSnめっき銅合金材料は、上記の組成を有する銅合金板材を母材として、厚さ0.03〜0.4μmのCuめっきを施し、その上に厚さ3μm以下のSnめっきを施すことにより製造できる。
本発明によれば、Cu−Ni−Sn−P系合金において、耐熱剥離性および表面平滑性に優れたリフローSnめっき材が提供された。すなわち、本来、コネクタ等の通電部品に要求される各種特性をバランス良く備えたCu−Ni−Sn−P系合金について、その合金特有のリフロー処理に伴う問題が解消したことにより、従来より接触抵抗等の性能を向上させることができ、かつ信頼性の向上を図ることが可能になる。
以下、本発明を特定するための事項について説明する。
《母材の化学組成》
本発明ではめっき母材として以下の組成を有するCu−Ni−Sn−P系合金を採用する。
〔Ni〕
Niは、Pと共添することにより本発明で重要な役割を担うNi−P系析出物を形成する。また、固溶したNiは単体で、あるいは固溶したSnとの相互作用により、強度(ばね性)、耐応力緩和特性の向上をもたらす。これらの作用を得るには0.1質量%以上のNi含有が必要である。またNiは母材中のSn、PがSnめっき層中へ拡散するのを抑制し、Snめっき材の耐熱剥離性を向上させる作用を有する。しかし過剰なNiの添加はめっき前の前処理性を低下させ、熱環境下での剥離の危険性を高める。このような理由からNi含有量は0.1〜2.5質量%の範囲にコントロールする必要があり、0.3〜1.5質量%とすることがより好ましい。
〔Sn〕
Snはマトリクス中に固溶し、強度の向上に大きく寄与する他、耐応力緩和特性の向上にも有効である。またSnの添加は縦弾性係数の低減にも寄与する。これらの作用を得るには0.1質量%以上のSn含有が必要である。しかし、Sn含有量が多くなりすぎると導電性の低下、熱間加工性の低下を招くだけでなく、Snの母材最表面への拡散が増大し、Snめっき材の耐熱剥離性を阻害する要因となる。このためSn含有量は0.1〜2.0質量%に規定される。0.5〜1.8質量%とすることがより好ましい。
〔P〕
Pは、上記NiとともにNi−P系析出物を形成し、前述の諸特性の向上に寄与する。またPは溶解・鋳造時の脱酸剤として働き、溶湯の酸素濃度低下、耐水素脆化性の向上に寄与する。これらの作用を発揮させるためには0.002質量%以上のP含有量が必要である。P含有量を0.03質量%以上確保するとNi−P系析出物の効果が一層高まり前述の、諸特性の向上も大きくなる。また耐応力緩和特性の異方性も改善される。一方、P含有量が0.2質量%を超えると鋳造や熱間圧延の工程で割れが生じやすくなることに加え、加熱時に固溶PがSnめっきと母材の間に拡散・濃縮し、めっきの剥離が起こりやすくなる。また、Ni−P系析出物の量が多くなり、最表面に存在するNi−P系析出物がSnめっきの電着性を低下させて、めっき時にSnめっき表面の凹凸形成を助長する。このためP含有量は0.002〜0.2質量%とする必要があり、0.03〜0.15質量%とすることがより好ましい。
〔Zn〕
Znは、Cu−Ni−Sn−P系銅合金において、機械的特性、導電性、耐応力緩和特性を損なうことなくはんだ耐候性、めっき密着性等を向上させる作用を有し、縦弾性係数の低減にも有効であるため、必要に応じてZnを含有させることができる。これらの作用を十分に引き出すためには0.005質量%以上のZn含有量を確保することが効果的である。ただし、多量にZnを含有させると導電性の低下や耐応力腐食割れ性の低下が生じるだけでなく、リフローSnめっき材とした際のめっき材の最表面にZnが拡散し、Zn酸化物を形成するために、接触抵抗の経時変化が大きくなる。また、Cu−Ni−Sn−P系合金の前処理性が低下し、めっき時の材料の表面粗さが大きくなる。このためZnを含有させる場合はその含有量を5質量%以下とする必要があり、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下の範囲に規制することもできる。
〔Fe〕
Feは、Pとの間で金属間化合物をつくり、場合によってはNiも含めた3元化合物を形成する。これらの化合物は耐熱性、強度の向上に利用することができるので、必要に応じてFeを添加することができる。0.05質量%以上のFe添加量を確保すると特に効果的である。ただし、本発明で必要なNi−P系析出物と生成温度が異なるため、過度の添加を行った場合、より高温での再結晶焼鈍が必要となり、析出物の凝集、粗大化を招き、本発明の効果を損なうこととなる。また、Feの添加により生じるFe含有酸化膜や、最表面付近に存在するFe−Ni−P系析出物は、Snめっきの電着性を低下させ、めっき表面の凹凸の生成を助長する。本発明の方法により、凹凸の生成を抑制することが出来るが、過剰なFeの添加は耐応力緩和特性の低下、導電率の低下をもたらすことから、Feを添加する場合は0.8質量%以下の含有量範囲で行う必要があり、0.2質量%以下とすることがより好ましい。
〔その他〕
その他の元素として、例えばMn、CoがNiに置換する形で含有されていて構わない。これらの元素は上記Feと同様、Pとの間で金属間化合物をつくり、場合によってはNiも含めた3元化合物を形成して、耐熱性、強度の向上に寄与しうる。ただし、これらの元素は各々0.5質量%以下の含有量であることが望ましく、0.15質量%以下であることが一層好ましい。Niに対する置換量としては、上記のFeを含めて、Fe、Mn、Coの合計含有量が原子%に換算した含有量でNi含有量以下となるようにすることが望ましい。
また、Mgも概ね0.15質量%以下の範囲で含有されていて構わない。Mgは耐食性の改善や耐応力緩和特性の向上に効果がある。しかし、多量に含有されると曲げ加工性、めっき密着性、前処理性等が低下する。
《リフロー処理前の電着層》
〔下地の電着Cu層〕
一般に銅合金においてSnめっきの下地にCuめっきが施されることはよくあるが、本発明の材料では、リフロー処理前の段階において、電着Sn層の下地には電着Cu層が薄い膜厚で形成されている必要がある。
母材が本発明で対象とするCu−Ni−Sn−P系合金の場合、その母材表面に直接電着Sn層を形成すると、リフロー処理した際に表面平滑性の悪いSn層が形成されてしまう。これは、直接電着Sn層を形成すると、めっき性にバラツキが生じてしまう、すなわち、電着均一性が悪くなってしまうためであると考えられる。その原因については十分解明されていないが、この合金系に特有の析出物の存在が一因になっているものと推察される。下地に電着Cu層が存在すると、その上に形成される電着Sn層は電着均一性が向上すると考えられ、結果的に、リフロー処理後において平滑性の高いSn層が形成される。
しかしながら、発明者らの検討によれば、母材が前述の組成を有するCu−Ni−Sn−P系合金の場合、下地に電着Cu層を形成すると、リフロー処理後の材料において耐熱剥離性が低下しやすくなるという問題が新たに生じた。そこでさらに詳細に研究を進めたところ、その問題は電着Cu層を薄く形成することにより安定して改善されるようになることを突き止めた。この合金系の母材を使用した場合、リフロー処理後に拡散層の下に残存するCu層は、後述するように、耐熱剥離性を大きく劣化させる要因になるのである。したがって、電着Cu層は、リフロー処理後に残存しないか、わずかに残存する程度に、薄い厚さで形成しておくことが重要となる。
種々検討の結果、電着Cu層は0.03〜0.4μmの厚さで形成しておく必要がある。これより薄いと、この上に形成する電着Sn層の電着均一性が十分に確保できないおそれがある。一方、電着Cu層が上記を超えて厚すぎると、一般的なリフロー条件(例えば300〜700℃の炉中に2〜100sec装入、湯冷)に適用した場合、Cu層の残存厚みが大きくなりやすく、安定して耐熱剥離性を改善することが困難になる。したがって電着Cu層の厚さは0.03〜0.4μmとする。0.05〜0.3μmとすることがより好ましく、0.1〜0.2μmが一層好ましい。
〔電着Sn層〕
電着Sn層の厚さは、あまり薄いとリフロー処理後に残存するSn層(最も上の層)が薄くなって接触抵抗の経時変化、耐食性等の改善が不十分となるので、0.5μm以上を確保することが望ましい。電着Sn層の厚さの許容上限については用途に応じて変動し得るが、一般的な電気・電子機器用通電部品では3μm以下で十分であり、2.0μm以下に規定することもできる。
《リフロー処理後の被覆層》
本発明で規定する組成の銅合金母材の表面に上述の「薄い電着Cu層+電着Sn層」の層構造を有する電着層を設けた銅合金材料を、リフロー処理に供すると、下から順に「(Cu層)+拡散層+Sn層」の層構造を有する被覆層が形成される。
〔Cu層〕
本発明のリフロー処理材は、母材とCu−Sn拡散層の間に、電着Cu層に由来するCu層の存在が認められないか、あるいは極めて薄い厚さで残存するものである。その厚さは0.3μm以下と薄い必要がある。母材が本発明で対象とするCu−Ni−Sn−P系銅合金であるとき、これよりCu層が厚いと、耐熱剥離性が顕著に悪くなる。そのメカニズムについては不明な点が多いが、母材と拡散層の間にCu層がある場合、周囲との拡散速度の相違に起因してCu層と拡散層の間にボイドや成分元素の濃縮が起こりやすくなり、これが被覆層の剥離を招きやすくしていると考えられる。Cu層が厚いほどこの現象は顕著になると推察され、結果的に耐熱剥離性の低下が大きくなる。良好な耐熱剥離性を維持するためには、このリフロー処理後のCu層の厚さはできるだけ薄いことが望ましい。具体的には0.2μm以下であることが望ましく、ゼロであることが更に良いが、発明者らの検討によれば、実用上、0.3μmまでは許容される。
〔Cu−Sn拡散層〕
Cu−Sn拡散層はリフロー処理によって形成され、Sn層の密着性向上等に寄与する。この層は、場所による厚さの変動が大きいので、Cu−Sn拡散層の厚さは電解式膜厚計によって測定することが好ましい。Cu−Sn拡散層の厚さは電解式膜厚計でCu−Sn拡散層の電解速度を純Sn層と同じとして換算した測定値で0.3〜0.9μmであることが望ましい。また、Cu−Sn拡散層の結晶粒径(板表面に対して垂直方向から見た粒径)は、平均粒径として0.5〜10μmの範囲であることが望ましい。Cu−Sn拡散層の粒径が過剰に大きくなるとはんだ濡れ性が低下したり、接触抵抗の経時変化が大きくなったりしやすい。逆に小さすぎると接触抵抗の経時変化が大きくなりやすい。Cu−Sn拡散層の平均粒径は0.8〜8μmであることがより好ましく、0.8〜5μmであることが一層好ましい。の範囲であることが好ましい。Cu−Sn拡散層の粒径は、リフロー処理時の核生成・成長の容易性の影響を強く受ける。具体的にはリフロー時の材料の昇温速度、溶融状態での保持時間、冷却速度により変化し、リフロー炉の構造により最適条件は変化する。
更に、Cu−Snの拡散層として、Cu層側には平衡に近いCu3Sn相が生成する場合もありうるが、このCu3Sn相は耐熱剥離性を低下させる要因になると考えられる。このCu3Sn相は電解式膜厚計でSnと同じ電解液を使用した場合には測定できずに残存するため、容易に区別することが可能であるが、Cu3Sn相の生成はほとんどないか、ごく少量であることが重要である。本発明の方法では通常の方法に比べCu3Sn相の生成を抑制することが可能である。
〔Sn層〕
リフロー処理後のSn層は、母材がCu−Ni−Sn−P系銅合金である場合、特にリフロー処理前の電着Sn層の電着均一性が悪いと、表面に凹部が形成されやすい。この場合、コネクタ等の電気・電子部品において接触抵抗の上昇や変色等を招く。前述のように、電着Sn層の電着均一性は、下地に所定厚さの電着Cu層を設けることによって改善され、それによってリフロー処理後に良好な表面平滑性が実現できる。具体的には、リフロー処理後に圧延方向の表面粗さがRa:0.08μm以下、かつRy:0.6μm以下のものが得られる。これを外れて表面平滑性が悪いと、接触抵抗の増大し、コネクタ挿入力も大きくなる。更に抵抗溶接時に安定した接合強度が得られなくなる。このため、高性能の通電部品を安定して提供するうえで障害となる。場合によっては耐食性の低下を招くこともある。電着Cu層の厚さを例えば前述の好ましい範囲である0.05μm以上になるように確保することにより、リフロー処理後の圧延方向に対して平行方向の表面粗さがRa:0.06μm以下、かつRy:0.4μm以下という、一層優れた表面平滑性を有するものを得ることが可能である。
〔最表層の酸化膜〕
また、Sn層の最表面の酸化膜の厚さは30nm以下であることが好ましい。酸化物の種類としては、Snの酸化物が主体である方が有利であるが、Cu、Ni、Pといった他の金属の酸化膜を含んだ場合でも、総量で30nm以下に抑えることが重要である。ここで、酸化膜の厚さは、AESにより測定される酸化物厚さであり、SiO2のスパッタリング速度で酸化膜厚を換算した厚さである。Sn層表面の酸化膜厚が厚くなると、初期および加速試験後のはんだ濡れ性が低下し、更に接触抵抗の経時変化が大きくなる。上記理由で、Sn層表面の酸化膜厚は、30nm以下であることが重要であり、15nm以下であることが望ましい。
《製造方法》
母材合金の製造方法としては、大きくは従来一般的なCu−Ni−Sn−P系銅合金の製造工程が採用できる。代表的な製造工程は次のようなものである。
溶解・鋳造→熱間圧延→冷間圧延→焼鈍→冷間圧延→低温焼鈍
途中の「冷間圧延→焼鈍」は必要に応じて複数回行うことができる。「焼鈍」は、バッチ式焼鈍の他、連続焼鈍酸洗炉や光輝焼鈍炉での連続焼鈍としてもよい。熱間圧延の後には一般的には面削が行われる。また、焼鈍後には適宜酸洗やバフ等による研磨が行われ、必要に応じて脱脂が行われる。ここで、素材の表面粗さは、製造工程中のバフ等の研磨、圧延ロールの表面粗さによりコントロールすることができる。
その後、電気めっき法により電着Cu層および電着Sn層を形成する。その際、上述のように、下地の電着Cu層の厚さを厳密にコントロールする。
リフロー処理は、炉内雰囲気温度300〜700℃の一般的なリフローSnめっき銅合金材料の製造方法に準じて行うことができる。ただし、このリフロー時の熱量、熱履歴の制御で拡散層の下のCu層の厚さ、拡散層の厚さ、粒径の制御を行ない、更に表面の酸化膜厚を決定する。
ここで、拡散層の厚さを制御するためにはリフロー処理時の材料温度が320℃を超えて溶融している時間の制御が重要である。拡散層の粒径を制御するためには300℃から最高温度に到達するまでの昇温速度が重要で、昇温速度が速いほど粒径は小さくなる。また、Sn層表面の酸化膜の厚さを制御するには、炉内の雰囲気制御、素材の酸化膜厚制御およびめっきを行う素材の酸化物量の制御が重要である。炉内雰囲気としては、還元雰囲気もしくは酸素分圧を0.05気圧以下に抑えることが重要である。また、めっきを行う素材としては、初期の酸化膜厚が10nm以下に抑えられていることが重要である。
表1に示す組成の銅合金を溶解、鋳造し、180×500×3500mmの鋳片を得た。この鋳片を用いて下記の工程Aにより板厚0.3mmの母材銅合金(板材)を製造した。ここで、No.16のみ下記の工程Bを用いて、製造工程中で析出物の生成を抑える方法を取った。なお、焼鈍後には酸洗、バフ掛け、必要に応じて脱脂を施したが、下記において酸洗、バフ掛け、脱脂の工程は省略してある。
〔工程A〕
→熱間圧延(最終パス温度700℃以上、水冷、板厚10mm)→面削→冷間圧延(板厚3.0mm)→焼鈍(550℃×6h)→冷間圧延(板厚1.0mm)→焼鈍(600℃×1〜10sec)→冷間圧延(板厚0.3mm)→低温焼鈍(450℃×2〜30sec)
〔工程B〕
→熱間圧延(最終パス温度700℃以上、水冷、板厚10mm)→面削→冷間圧延(板厚1.0mm)→焼鈍(600℃×1〜10sec)→冷間圧延(板厚0.3mm)→低温焼鈍(450℃×2〜30sec)
このようにして得られた各母材合金の板材について、0.2%耐力、導電率、応力緩和率、曲げ加工性を以下のように調べた。
〔0.2%耐力〕
JIS 5号引張試験片を用いてJIS Z2241に従って圧延方向に対し平行方向の引張試験を行って求めた。
〔導電率〕
JIS H0505に従って求めた。
〔応力緩和率〕
日本電子材料工業会標準規格EMAS−1011(平成3年12月)に準拠した方法で、以下のようにして求めた。すなわち、供試材から幅10mm、長さ150mmの試験片(その長手方向が圧延方向に相当)を切り出し、試験片中央部の表面応力(表面最大応力)が0.2%耐力の80%となるようにアーチ曲げした状態で固定し、大気中150℃で1000時間保持した後の曲げ癖を応力緩和率として次式により算出した。
応力緩和率(%)=(h1/h0)×100
ただし、h1:試験経過後の応力除荷時における試験片の永久たわみ高さ変位(mm)
0:上記応力を得るのに必要な試験片の初期たわみ高さ変位(mm)
この試験方法において応力緩和率が15%以下のものは、特に優れた耐応力緩和特性を有すると判断される。
〔曲げ加工性〕
曲げ軸が圧延方向に対し平行方向(BW)の90°曲げ試験(JIS H3110に準拠、R=0.6mm、幅W=10mm)を実施し、曲げ部の曲げ軸に垂直な断面を光学顕微鏡にて100倍の倍率で観察し、割れが認められないものを○(良好)、認められものを×(不良)と判定した。
これらの結果を表1に示す。
各母材合金の板材について、電気銅めっき法および電気錫めっき法により、下地の電着Cu層と、その上に電着Sn層を形成した。下地のCu層を形成する前の母合金板材の表面粗さは、いずれも圧延方向に対し平行方向および直角方向ともに、Ra:0.1μm以下、Ry:0.8μm以下であった。また、めっき前の母材の酸化膜厚は、AESのSiO2換算で6〜8nmであった。表2中に電着Cu層と電着Sn層の厚さを記載してある。なお、一部の試料では電着Cu層を形成しなかった(表2中にNAと表示)。
これらの試料を還元雰囲気、炉内温度約600℃の炉中に装入してリフロー処理を行った後、湯中で急冷する条件でリフロー処理に供した。熱処理時間については、各サンプルについて熱処理時間を変化させてサンプルを作製し、リフロー後の表面状態、Sn層を剥離した後のCu−Sn拡散層の粒径を確認することにより適正条件に設定した。表1中の全ての試験片でCu−Sn拡散層の粒径は、リフロー後のめっき材の差異表面のSn層を剥離し、SEMにて確認を行うことで、10μm以下となるように設定した。また、全ての試験片の酸化膜厚は、SiO2換算で15nm以下であった。
リフロー処理後の試料からサンプルを切り出し、被覆層中におけるSn層厚さ、Cu−Sn拡散層厚さ、Cu層厚さ、およびCu−Sn拡散層の平均粒径を以下のようにして測定した。
Sn層厚さ: 電解式膜厚計を用いて測定した。
Cu−Sn拡散層厚さ: 電解式膜厚計を用いて、電解速度を上記Sn層の場合と同じ電解液を使用して測定し、得られた厚さを「Cu−Sn拡散層厚さ」とした。
Cu層厚さ: 断面組織について、FIBによる倍率10000倍のSIM像(傾斜角度60°)から、確認されるCu層の厚さ(平均厚さ)を測定した。
Cu−Sn拡散層の平均粒径: 電解式膜厚計を用いてSn層厚さの測定を行うことにより、Sn層が剥離されてCu−Sn拡散層が露出した状態になる。この状態で、水洗・乾燥の後、Cu−Sn拡散層が露出した表面をSEMにより板厚方向に対し平行方向に観察して2000倍の写真を撮影し、900μm2の測定領域内の結晶粒を数え、結晶粒が正方形と仮定して、以下のように求めた。
・前記測定領域内に完全に含まれる結晶粒数をZ、測定領域の境界線で切断されている結晶粒数をwとした場合、結晶粒数nは、以下の式で表される。
n=Z+w/2
・Cu−Sn拡散層の平均結晶粒径を以下のように定義する。
d=(900/n)1/2
また、リフロー処理後の各試料のサンプルについて、表面粗さ、表面の凹部の個数、耐熱剥離性を以下のようにして求めた。
〔表面粗さ〕
触針式表面粗さ計を用いて、圧延方向に対し平行方向に表面の粗さを測定し、RaおよびRyを求めた。
〔表面の凹部の個数〕
金属顕微鏡を用いてノマルスキー微分干渉法により倍率100倍で表面を観察し、1.33mm2の視野中に見られる凹部の個数を測定した。3視野における凹部の個数の平均値を求め、これを表2中に記載した。この値が30個以下のものを良好と評価した。凹部は周囲のフラットな部分より窪んでいる箇所であり、別途レーザー顕微鏡を用いた凹部深さ測定結果によると、ここで採用したノマルスキー微分干渉法の条件では、約0.25μm以上の深さの凹部が陰影部分として区別される(カウントされる)ことがわかった。
図1に、実施例であるNo.1の試料表面の顕微鏡写真を、図2に比較例であるNo.11の試料表面の顕微鏡写真をそれぞれ例示する。矢印で示したような箇所が凹部としてカウントされる。
〔耐熱剥離性〕
各試料のサンプルを105℃の恒温槽(大気雰囲気)中で保持する熱処理に供し、保持時間が100〜1000hrの範囲の種々の段階まで熱処理を終えた試験片について、曲げ軸が圧延方向に対し平行方向となる90°W曲げ(R=0.6、R/t=1、ただしRは曲げ半径(mm)、tは板厚(mm))を行い、曲げ加工部表面について、JIS Z1522に規定されるセロハン粘着テープを使用してめっき剥離試験を実施し、目視によりめっき層の剥離が認められなかったものを○(良好)、認められたものを不良(×)と評価した。
これらの結果を表2に示す。
表2からわかるように、本発明の規定を満たす各実施例のリフローSnめっき銅合金材料はいずれも表面平滑性(表面粗さおよび凹部個数)、耐熱剥離性とも良好であった。
これに対し、比較例No.11および12は下地として電着Cu層を形成しなかったことにより、またNo.16は下地の電着Cu層の厚さが薄すぎたことにより、これらはリフロー処理後の表面平滑性に劣った。No.13〜15は下地の電着Cu層の厚さが厚すぎたことにより、リフロー処理後に過剰な厚さのCu層が残存し、耐熱剥離性に劣った。No.17、19は、それぞれP、Niを添加していない本発明の規定から外れる合金である。このため、表面粗さ、凹部の数は優れるが、耐応力緩和特性に劣る。また、No.18は、No.7と同じ組成の銅合金に対し、製造工程を変え、析出物の生成を抑制する方法で製造したものであり、No.7に比べ導電率が低くなっているが、結果としてリフロー後の表面平滑性に劣っている。
実施例1のNo.1〜3のリフロー処理後のめっき材について、加速試験後のはんだ濡れ性、加速試験後の接触抵抗を以下のようにして測定した。また、同一の素材(No.1〜3の素材)を用いて、リフロー処理条件を変化させ、板厚方向に対して平行方向に見たCu−Sn拡散層の平均粒径、およびSn表面の酸化膜厚を変化させ、同様に加速試験後のはんだ濡れ性、加速試験後の接触抵抗を調査した。
〔はんだ濡れ性〕
加速試験として、リフロー処理後のめっき材を60℃、95%RHの恒温槽に100h保持した。この加速試験後の試料について、JIS C 0053のはんだ付け試験方法(平衡法)に基づき、幅10mm、長さ60mmの試験片についてはんだ付け試験を行った。試験条件は、Sn−3.5Ag−0.5Cuのはんだを用い、はんだ浴温度250℃、浸漬深さ4mm、浸漬時間5sec、浸漬速度25mm/secとした。ここで、濡れ時間が3秒以下となったものを○(はんだ濡れ性;特に良好)、3秒を超えたものを×とした。
〔接触抵抗〕
加速試験として、リフロー処理後のめっき材を大気中で160℃×500h保持した。この加速試験後の試料について、4端子法測定装置(プローブは0.5mmU型Au線)を用いて接触抵抗の測定を行った。ここで、試験条件は、荷重50gf、摺動有り、印加電流10mAとした。接触抵抗が3mΩ以下であるものを○(接触抵抗;特に良好)、3mΩを超えるものを×とした。
結果を表3に示す。なお、No.1についてCu−Sn拡散層が露呈した表面のSEM写真を図3に例示する。
表3からわかるように、No.1〜3のものは、はんだ濡れ性、接触抵抗がともに優れている。これに対し、Cu−Sn拡散層の平均粒径が大きいか、あるいは酸化膜厚が厚いNo.21〜23のものは、No.1〜3に比べ、はんだ濡れ性および接触抵抗に劣った。なお、これらNo.21〜23のものも耐熱剥離性および表面平滑性は良好であった。
発明例であるNo.2のリフローSnめっき銅合金材料の表面状態を例示した顕微鏡写真。 比較例であるNo.11のリフローSnめっき銅合金材料の表面状態を例示した顕微鏡写真。 発明例であるNo.1についてCu−Sn拡散層が露呈した表面を示したSEM写真。

Claims (7)

  1. 質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Sn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.2%、残部実質的にCuの組成をもつ銅合金の表面に、下から順に、厚さ0〜0.3μmのCu層、Cu−Sn拡散層、Sn層の構造を有する被覆層が形成されており、圧延方向の表面粗さがRa:0.08μm以下、Ry:0.6μm以下であるSnめっき銅合金材料。
  2. 質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Sn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.2%であり、Fe:0.8%以下およびZn:5%以下の1種以上を含み、残部実質的にCuの組成をもつ銅合金の表面に、下から順に、厚さ0〜0.3μmのCu層、Cu−Sn拡散層、Sn層の構造を有する被覆層が形成されており、圧延方向の表面粗さがRa:0.08μm以下、Ry:0.6μm以下であるSnめっき銅合金材料。
  3. Cu−Sn拡散層は厚さ0.4〜0.9μmである請求項1または2に記載のSnめっき銅合金材料。
  4. 板表面に対して垂直方向から見たCu−Sn拡散層の平均粒径が0.5〜10μmである請求項1〜3のいずれかに記載のSnめっき銅合金材料。
  5. 最表面の酸化膜厚が30nm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のSnめっき銅合金材料。
  6. 質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Sn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.2%、残部実質的にCuの組成をもつ銅合金の表面に、厚さ0.03〜0.4μmのCuめっきを施し、その上に厚さ3μm以下のSnめっきを施し、その後、リフロー処理を行うSnめっき銅合金材料の製造方法。
  7. 質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Sn:0.1〜2.0%、P:0.002〜0.2%であり、Fe:0.8%以下およびZn:5%以下の1種以上を含み、残部実質的にCuの組成をもつ銅合金の表面に、厚さ0.03〜0.4μmのCuめっきを施し、その上に厚さ3μm以下のSnめっきを施し、その後、リフロー処理を行うSnめっき銅合金材料の製造方法。
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