JP2006283107A - Cu−Ni−Si系銅合金及びその製造方法 - Google Patents

Cu−Ni−Si系銅合金及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、強度及び電気伝導性(又は熱伝導性)を両立させ、強度と導電率を飛躍的に向上させた、電子材料用Cu−Ni−Si系合金を提供することを課題とする。
【解決手段】 Ni:1.5〜4質量%,Si:0.30〜1.2質量%およびMn,Mgの1種類もしくは2種を合計0.03〜0.5質量%含有し,残部Cuおよび不可避的不純物から構成され,合金組成中のNiとSiの質量濃度比が,4≦[Ni/Si]≦5の範囲にあることを特徴とする銅合金において、材料中に分散する介在物の大きさが5μm以下であって、介在物中に含有するNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上であり、かつ大きさが1μm以上である介在物の個数(Po)と大きさ0.1μm以上の介在物総個数(P)との比がPo/P≦0.1であることを特徴とする電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金。

Description

本発明は析出型銅合金に関し、とりわけ各種電子部品に用いるのに好適なCu−Ni−Si系銅合金及びその製造方法に関する。
リードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ等の電子部品等に使用される電子材料用銅合金には、基本特性として高い強度及び高い電気伝導性(又は熱伝導性)を両立させることが要求される。近年、電子部品の高集積化及び小型化・薄肉化が急速に進み、これに対応して電子部品に使用される銅合金に対する要求レベルはますます高度化している。
しかしながら、銅合金に限らず合金は一般にそれを構成する成分元素や組織の他、熱処理の方法等によっても影響を受け、合金の成分元素やその添加量、熱処理の方法等を微妙に変えた場合に合金の性質にどのような影響を与えるかについては、一般的に予測可能性が極めて低く、高まり続ける要求レベルに満足するような新規銅合金開発は困難を極めている。
高強度及び高導電性の観点から、近年、電子材料用銅合金としては従来のりん青銅、黄銅等に代表される固溶強化型銅合金に替わり、時効硬化型の銅合金の使用量が増加している。時効硬化型銅合金では、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細な析出物が均一に分散して、合金の強度が高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減少し電気伝導性が向上する。このため、強度、ばね性などの機械的性質に優れ、しかも電気伝導性、熱伝導性が良好な材料が得られる。
時効硬化型銅合金のうち、Cu−Ni−Si系銅合金は比較的高い導電性と強度、応力緩和特性及び曲げ加工性を兼備する代表的な銅合金であり、業界において現在活発に開発が行われている合金の一つである。この銅合金では、銅マトリックス中に微細なNi−Si系金属間化合物粒子が析出することにより強度と導電率が上昇する。
強化に寄与するNi−Si系金属間化合物の析出物は量論組成で一般に構成されており、例えば、特開2001−207229号公報では合金中のNiとSiの重量比を金属間化合物であるNiSiの濃度に近づけることにより、すなわちNiとSiの重量比をNi/Si=3〜7とすることにより良好な電気伝導性が得られることが記載されている。
しかしながら、析出硬化型銅合金が所望の高強度および高導電率を確保するためには、その製造工程において添加量に対して析出に寄与する割合を高める工程を設計することがさらに重要である。一般的な析出硬化型銅合金の製造工程としては、溶解鋳造、均質化焼鈍、圧延など所定の工程を経て製造された素条を用いて第二相粒子を構成する元素を銅マトリックス中に固溶させるための溶体化処理を行う。溶体化処理後の素条は焼鈍後に圧延と時効を1回以上繰り返すことで所望の特性を発揮するが、その順序および回数に制限はなく、必要に応じて歪取を伴う焼鈍工程で代替することも可能である。この溶体化処理は該合金系の固溶限以上の温度で所定の時間保持後急冷することが析出分率の増加には望ましく、材料中に分散するNiおよびSiで構成される介在物はこの熱処理以降の工程設計により、強度、導電率などの製品機能に寄与することになる。
特開2001−207229号公報
本発明は、強度及び電気伝導性(又は熱伝導性)を両立させ、強度と導電率を飛躍的に向上させた、電子材料用Cu−Ni−Si系合金を提供することを課題とする。
本発明者らは、高度化する電子材料用部品に使用される銅合金に対する要求レベルに対応すべく鋭意研究を行い、Cu−Ni−Si系合金に着眼するに至った。その後、Cu−Ni−Si系合金について検討を重ねた結果、その特性が、ある組成条件および製造条件の下で介在物の大きさ、組成、分布を制御した場合に、従来説明されていたものより飛躍的に向上することを見出した。
大きさ0.1μm以上の介在物の総数に占める大きさ1μm以上の介在物個数の割合は、製造条件によりその構成割合が変化する。溶体化処理条件と時効処理条件を最適な条件に設定した場合であっても溶解鋳造および均質化焼鈍条件の変動により介在物は存在する。1μm以上の粗大な介在物は、溶解鋳造および均質化焼鈍条件の不適合により生成しやすく、溶体化処理温度等が不足するとさらに粗大な介在物が残留する。よって大きさ0.1μm以上の介在物個数が通常レベルであっても粗大粒子数が多くなる現象はこのような条件の不適合による。また、溶解鋳造、均質化焼鈍および溶体化処理を十分慎重に行って大きさ1μm以上の介在物個数が標準より少なく制御した場合であっても、時効処理条件を過時効条件となるように設定してしまうと0.1μm以上の粒子が粗大化して、大きさ1μm以上の粒子数が多くなり、大きさ0.1μm以上の介在物の総数に占める大きさ1μm以上の介在物個数の割合が増加する。
本発明は、上記知見に基づきなされたものである。
(1)Ni:1.5〜4質量%,Si:0.30〜1.2質量%およびMn,Mgの1種類もしくは2種を合計0.03〜0.5質量%含有し,残部Cuおよび不可避的不純物から構成され,合金組成中のNiとSiの質量濃度比(Ni/Si比)が,4≦[Ni/Si]≦5の範囲にあることを特徴とする銅合金において、材料中に分散する介在物の大きさが5μm以下であって、介在物中に含有するNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上であり、かつ大きさが1μm以上である介在物の個数(Po)と大きさ0.1μm以上の介在物総個数(P)との比(Po/P)が0.1以下であることを特徴とする電子材料用銅合金。
(2)更にP、As、Sb、Be、B、Sn、Ti、Zr、Al、Fe、Zn及びAgよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0.001〜2.0質量%含有する上記(1)に記載の電子材料用銅合金。
(3)鋳塊を900℃以上1000℃未満の温度で加熱した後、その後熱処理と圧延を行った素材に対し、材料温度が750〜1000℃での溶体化処理と材料温度が350〜550℃の温度での時効処理を行うことを特徴とする上記(1)又は(2)のうちいずれかに記載した電子材料用銅合金の製造方法。
(4)上記(1)又は(2)の何れか一項に記載の電子材料用銅合金を用いた電子部品。
本発明によれば、導電性の低下をできるだけ抑えつつも強度が飛躍的に向上した電子材料用Cu−Ni−Si系合金を提供できる。
Ni及びSiの添加量
NiおよびSiは,適当な熱処理を施すことにより金属間化合物を形成し,導電率を劣化させずに高強度化が図れる.NiおよびSiの添加量がNi:1.5質量%未満,Si:0.3質量%未満では所望の強度が得られず,Ni:4.0質量%以上,Si:1.2質量%以上では高強度化は図れるが導電率が著しく低下し,さらに熱間質量加工性が劣化する.よってNiおよびSiの添加量はNi:1.5〜4質量%,Si:0.30〜1.2質量%とした.
Ni/Si比
本発明では、更に合金組成のうち、Niの総量のSiに対する質量濃度比(Ni/Si)を規定した。
本発明ではNi/Si比を従来報告されている規定範囲3≦Ni/Si≦7よりも低い数値範囲とすることにより、すなわち高Si濃度に制御することにより、共に添加するNiのシリサイド形成にSiが寄与し、また析出に寄与しない過剰Niの固溶による導電率の低下を軽減できる。しかし、重量濃度比がNi/Si<4の場合では、今度はSiの比率が高過ぎるため固溶Siにより導電率が低下するだけでなく,焼鈍工程において材料表層にSiOの酸化皮膜を形成するため半田付け性が劣化する。また、強化に寄与しないNi−Si系析出粒子が粗大化しやすく、曲げ加工時の割れ発生の起点やめっき不良部となりやすい。一方Siに対するNiの割合を高くしていき、Ni/Si>5となると導電率が著しく低下し、電子材料用として好ましくない。
よって本発明では、合金組成中のNi/Si比を4≦[Ni+Co]/Si≦5の範囲に制御する。
Ni/Si比は好ましくは4.2≦Ni/Si≦4.7である。
その他の添加材
P、As、Sb、Be、B、Sn、Ti、Zr、Al、Fe、Zn及びAgは所定量を添加することで様々な効果を示すが、相互に補完し、強度,導電率だけでなく曲げ加工性,めっき性や鋳塊組織の微細化による熱間加工性の改善のような製造性をも改善する効果もあるのでCu−Ni−Si系合金にこれらの1種又は2種以上を求められる特性に応じて適宜添加することができる。そのような場合、その総量は0.001〜2.0質量%、好ましくは0.01〜1.0質量%である。逆にこれらの元素の総量が0.001質量%未満だと所望の効果が得られず、2.0質量%を超えると導電率の低下や製造性の劣化が顕著になり好ましくない。
介在物
本発明では、NiとSiの組成を両論組成近傍に制御することにより特性改善を図ることを目的とする。
Cu−Ni−Si系銅合金における介在物について、Ni、Siおよび酸素を含有し、その合計量が10質量%を超えるような介在物が観察される。このような介在物が多いと、特性に寄与するNi、Siが介在物中に取り込まれるため、合金中に必要なNi、Siの量が確保できず、本来の所望する強度を得ることができない。Ni、Siおよび酸素を含有し、その合計量が10質量%以上である介在物は、溶解・鋳造工程で形成されるが、このような介在物を、圧延や溶体化処理等の熱処理で母相中に固溶させ、消滅させることは困難である。従って、溶解・鋳造工程からこれらの介在物の個数が少ないことが望ましい。
しかしながら、これらの介在物の個数少なくても、時効処理等において添加元素であるNiおよびSiを消費して介在物が粗大化した状態で存在する場合には、Ni、Siが介在物中に多く含まれることとなり、添加量に見合った所望の特性を損なうことになる。介在物の大きさが1μm以上になると、介在物中に含まれるNi,Siの量が無視できず、さらには、5μmを超えるとさらに顕著となり、特性への悪影響は大きい。またMgも同様の機構で介在物中に多く含有されるため応力緩和特性を損なう。さらに、このような粗大な介在物は、曲げ加工性、めっき性等の特性を損なう。したがって、介在物が粗大化した場合には、介在物の個数は粗大化していない場合よりさらに少なくなくてはならなく、単に一定の個数を規定し、個数が規定内であるとしても所望の強度は得られない。
そこで、Ni、Siおよび酸素の合計量が10質量%以上の介在物において、大きさが1μm以上の介在物の個数が少なく、かつ粗大化していない状態を表す指標としてNi、Siおよび酸素の合計量が10質量%以上の介在物において、大きさが1μm以上5μm以下の介在物の個数と0.1μm以上の介在物総個数(P)と比較することであるを見出した。
なお、本発明では、Ni、Siおよび酸素の合計量が10質量%以上の介在物において大きさが5μmをこえる介在物が存在すると、曲げ加工性が特に顕著に悪くなるため、Ni、Siおよび酸素の合計量が10質量%以上の介在物は5μm以下と規定した。
本発明は、以下の知見に基づいてなされたものである。
本発明では、大きさ0.1μm以上の介在物個数を測定することにしている。大きさ0.1μm以上の介在物の個数は、Ni、Siおよび酸素の合計が10質量%以上の介在物を粗大化させない条件に制御されている場合には、大きさ0.1μm以上の介在物個数(P)は比較的安定している。一方、Ni、Siおよび酸素の合計が10質量%以上の介在物が粗大化している状態のときは、その他の介在物も粗大化し、大きさ0.1μm以上の介在物個数(P)は、少なくなっている。したがって、Ni、Siおよび酸素の合計が10質量%以上の介在物において、大きさが1μm以上5μm以下の介在物の個数(Po)が同じ個数でも大きさ0.1μm以上の介在物個数(P)については、粗大化している場合のほうが小さいため、比(Po/P)は大きくなる。Poが同じであれば、上述したように粗大化している場合のほうが、介在物にNi、Siを多く含まれるため、所望の強度はえられない。比(Po/P)は大きいと好ましくないといえる。もちろん、Pが同じでPoが大きい場合には、比(Po/P)は大きくなり、大きい場合が好ましくないのはあきらかである。このことに本発明は着目し、Po/Pが0.1以下であれば、よい結果がえられることを見出したのである。
即ち、含有するNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物において1μm以上5μm以下の介在物の個数(Po)と大きさ0.1μm以上の介在物総個数(P)との比(Po/P)が0.1以下であれば所望の特性が得られる。
本発明における「介在物」とは,時効焼鈍Cu−Ni−Si系合金における鋳造時の凝固過程以降,即ち凝固後の冷却過程,熱間圧延後の冷却過程および時に固相のマトリックス中に析出反応で生じる析出物,鋳造時の凝固過程の偏析により生じ一般に粗大である晶出物ならびに溶解時の溶湯内での反応により生じる不純物である酸化物,硫化物など,本合金のSEM観察によりマトリックス中に観察される粒子を包括するものとして使用する。「介在物の大きさ」は介在物をFE-AES観察下でのその介在物を含む最小円の直径をいう。「介在物の個数」とは,材料の板面を電解研磨後FE-AES観察により,多数箇所において実際に数えた1000μmあたりに分散する大きさ0.1μm以上の介在物個数である。介在物中に含有するNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物とは、上記FE-AES観察で観察された大きさ1μm以上の介在物について、表層の吸着元素(C,O)を除くためAr+でスパッタリングを行い、各介在物ごとのオージェスペクトルを測定し、検出された元素を感度係数法により半定量値として重量濃度換算した際に、そのNi、Si、酸素の分析値が合計で10質量%以上であった介在物の個数である。
製造方法
Cu−Ni−Si系合金の慣例の製造方法により製造可能であるが、Ni、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物において5μm以下であり、1μm以上の介在物個数(Po)と大きさ0.1μm以上の介在物総個数(P)との比(Po/P)との0.1以下とするためには、Ni、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物を少なくすることとNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物を含めた介在物を粗大化させないことである。Ni、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物を少なくするためには、溶解・鋳造における酸化物の生成を制御することであり、溶解鋳造において、原料の選定、るつぼの選定、木炭被覆、雰囲気制御などにより厳密に抑制しておくことである。
溶解・鋳造工程以外においても極力酸化物の生成をさえる必要があり、熱処理の雰囲気は、還元性であればよく、CO/CO比を調整した燃焼ガス雰囲気であってもよい。
Ni、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上である介在物を含めた介在物を粗大化させない,即ち5μm以下とし、かつ1μm以上のものをための製造条件を述べる。
前記介在物のうち、Cu−Ni−Siで構成される粗大な晶出物、析出物は、熱間圧延を行う前の均質化焼鈍で、900℃以上の温度で1時間以上の加熱を行うと固溶できる。この温度が900℃未満の場合では、凝固時の粗大な偏析を十分拡散させることは困難であり、この均質化焼鈍以降の工程で溶体化を伴う焼鈍を高温長時間で行う場合には、別の機構でほぼ同時に進行する再結晶粒の大きさが粗大になり、曲げ加工性が劣化する。一方この温度が1000℃以上の場合では、凝固時の局所的な濃度揺らぎにより、晶出物が液相を生成し、熱間圧延中に重大な割れを引き起こす。よって熱間圧延前の加熱は900℃以上1000℃未満の温度で1時間以上加熱し、熱間圧延の終了温度は650℃以上とするとよい。
熱間圧延以降の工程はCu−Ni−Si系銅合金の一般的な製造プロセスと同様で、冷間圧延と熱処理を繰り返して、所望の厚み及び特性を有する条や箔に仕上げる。熱処理には溶体化処理と時効処理がある。溶体化処理では、1000℃未満の高温に加熱して、析出物を形成する、Ni、Si等の化合物をCu母地中に固溶させ、同時にCu母地を再結晶させる。溶体化処理を、熱間圧延で兼ねることもある。時効処理では、350〜550℃の温度範囲で1h以上加熱し、溶体化処理で固溶させたNi、Si等の化合物を微細粒子として析出させる。この時効処理で強度と導電率が上昇する。時効処理の温度が低い場合は長時間の熱処理を施すことで微細な析出物が分散し、高い温度で時効処理を行う場合には、析出物の粗大化を回避するため、短時間の熱処理を行えばよい。より高い強度を得るために、時効前及び/又は時効後に冷間圧延を行うことがある。また、時効後に冷間圧延を行う場合には、冷間圧延後に歪取焼鈍(低温焼鈍)を行うことがある。
本発明によるCu−Ni−Si系銅合金は、高い強度及び高い電気伝導性(又は熱伝導性)を両立させることが要求されるリードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、二次電池用箔材等の電子部品等に使用することができる。
以下に本発明の具体例を示すが、これら実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
本発明の実施例に用いる銅合金は、表1に示すようにNi、Si及びMg、Mnの含有量をいくつか変化させた銅合金に適宜Sn,Zn,Ag及びBを添加した組成を有する。また、比較例に用いる銅合金は、それぞれ本発明の範囲外のパラメータをもつCu−Ni−Si系合金である。
表1に記載の各種成分組成の銅合金を、高周波溶解炉を用い、1100℃以上で溶製し、厚さ25mmのインゴットに鋳造した。次いで、このインゴットを900℃以上で加熱後、板厚10mmまで熱間圧延し、速やかに冷却を行った。表面のスケール除去のため厚さ9mmまで面削を施した後、冷間圧延により厚さ0.3mmの板とした。次にNiの添加量に応じて750〜1000℃の温度範囲で溶体化処理を5〜3600秒行い、水冷により焼き入れを行った。その後0.15mmまで冷間圧延して、最後に添加量に応じて350℃〜550℃で各1〜24時間かけて不活性雰囲気中で時効処理を施して,試料を製造した。
このようにして得られた各合金につき強度及び導電率の特性評価を行った。強度については圧延平行方向での引っ張り試験を行って0.2%耐力(YS)を測定し、導電率(EC;%IACS)についてはWブリッジによる体積抵抗率測定により求めた。
曲げ加工性の評価は,W字型の金型を用いて試料板厚と曲げ半径の比が1となる条件で曲げ加工を行った.評価は曲げ加工部表面を光学顕微鏡で観察し,クラックが観察されない場合を実用上問題ないと判断して○とし,クラックが認められた場合を×とした。
応力緩和特性は,EMAS−3003に準拠して行った.150℃の大気中で,0.2%耐力の80%に相当する曲げ応力を負荷し,1000時間後の応力緩和率を評価した.応力緩和特性の良比は,緩和率20%を目安とした。
表面特性は半田付け性により評価を行った。半田付け性の評価はメニスコグラフ法で行い,235±3℃の60%Sn−Pb浴に深さ2mmで十秒間浸漬し,半田が完全に濡れるまでの時間,半田濡れ時間を測定した。なお半田付け性評価前の前処理は,アセトン脱脂後,酸洗として10vol%硫酸水溶液に10秒間浸漬・攪拌し,水洗・乾燥後,25%ロジン−エタノール溶液中に試験片を5秒間浸漬させフラックスを塗布した。半田濡れ時間の良否の目安は2秒以下を良好とした.
「介在物の個数」の測定は,材料の板面を電解研磨後FE-AESにより観察し,1000μmあたりに分散する大きさ0.1μm以上の介在物を数え、そのうち大きさ1μm以上の介在物について、表層の吸着元素(C,O)を除くためAr+でスパッタリングを行い、各介在物ごとのオージェスペクトルを測定し、検出された元素を感度係数法により半定量値として重量濃度換算した際に、そのNi、Siおよび酸素分析値の合計が10質量%以上であった介在物の個数を数え、100μmを1視野として10視野観察した。
Figure 2006283107
表1に結果をします。
本発明例No.1〜21までは、介在物中に含有するNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上の介在物において5μmを超えるものは見当たらず、1μm以上の個数(Po)と0.1μm以上の介在物総個数(P)との比(Po/P)が0.1となり、請求強度、導電率、応力緩和性、曲げ加工性、半田濡れ性とも良好な結果がえられている。
一方、比較例No.22はNi、Siが所定の量より少ないため、強度が得られていない。比較例No.23はNi、Siが過剰なため、導電率、曲げ加工性が悪い。比較例No.24、25はNi/Siが4未満、即ちSiが過剰な状態であるため、導電率、曲げ加工性、応力緩和性、半田濡れ性も悪い。
比較例No.26、27はNi/Siが5を超える場合、即ちSiが不足な状態であるため、強度が得られず、また、導電率、半田濡れ性も悪い。
比較例No.28、29は、均質化焼鈍温度が800℃と低いため、溶解鋳造工程で発生した粗大化した介在物を小さくでききれず、一部粗大なものが残っている。それゆえ、5μm以上の介在物が存在し、また、比(Po/P)いずれも0.1を超え、強度、応力緩和性、曲げ加工性、半田濡れ性が悪い。
比較例No.30は溶体化温度が700℃であったため十分に固溶できなかったため5μm以上の介在物が存在し、また、比(Po/P)が0.1を超え、強度、応力緩和性、曲げ加工性、半田濡れ性が悪い。
比較例No.31は、溶体化は十分実施できたが時効条件を600℃−15Hとした為か時効となって5μmを超えるものは存在しないが、1μm以上の粒子数の割合が増加した。従って、比(Po/P)が0.1を超え、強度、曲げ加工性、半田濡れ性が悪い。
なお、均質化焼鈍温度が1020℃で熱延割れを起こし、以下の加工ができず、評価できなかった。

Claims (4)

  1. Ni:1.5〜4質量%,Si:0.30〜1.2質量%およびMn,Mgの1種類もしくは2種を合計0.03〜0.5質量%含有し,残部Cuおよび不可避的不純物から構成され,合金組成中のNiとSiの質量濃度比(Ni/Si比)が,4≦[Ni/Si]≦5の範囲にあることを特徴とする銅合金において、材料中に分散する介在物の大きさが5μm以下であって、介在物中に含有するNi、Si、および酸素濃度の合計が10質量%以上であり、かつ大きさが1μm以上である介在物の個数(Po)と大きさ0.1μm以上の介在物総個数(P)との比(Po/P)が0.1以下であることを特徴とする電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金。
  2. 更にP、As、Sb、Be、B、Sn、Ti、Zr、Al、Fe、Zn及びAgよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0.001〜2.0質量%含有する請求項1に記載の電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金。
  3. 鋳塊を900℃以上1000℃未満の温度で加熱した後、その後熱処理と圧延を行った素材に対し、材料温度が750〜1000℃での溶体化処理と材料温度が350〜550℃の温度での時効処理を行うことを特徴とする請求項1〜2のうちいずれかに記載した電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金を用いた電子部品。
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