JP7335679B2 - 導電材 - Google Patents

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Description

本発明は導電材、特に、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等の車載部品や電気電子部品での使用に好適な電気接点材に関するものである。
従来から車載部品や電気電子部品の電気接続部品として、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等が使用されている。これらのリードフレーム、リレー、スイッチ、ソケットの電気接点に用いる電気接点材には、従来から電気伝導性に優れたCu又はCu合金が利用されてきた。しかし、近年は電気接点材に、より優れた特性が要求されるようになり、電気接点材としてCu又はCu合金をそのまま用いるケースは減少している。そして、Cu又はCu合金に代わる電気接点材として、Cu又はCu合金上に各種の表面処理をした材料が製造・利用されている。特に、近年は電気接点材として、基材と、基材上にSn又はSn合金をめっきすることで得られるめっき層と、を有する導電材が汎用されている。
このような電気接点材は、Cu又はCu合金からなる基材が優れた導電性と強度を有すること、めっき層が優れた電気接続性、耐食性及びはんだ付け性を有することから、高性能材料として知られている。このため、このような電気接点材は、電気・電子機器に用いられる各種の端子やコネクタなどに広く用いられている。また、このような電気接点材では通常、銅(Cu)などの基材の合金成分がめっき層に拡散するのを防止するため、基材上にバリア(バリヤ)機能を有するニッケル(Ni)、コバルト(Co)などが下地めっきされる。
更に、近年、車両の組み立て性向上等のための挿入力を下げる試みとして、めっき層及び下地層に加えて、硬いCu-Sn金属間化合物層を有する電気接点材が用いられている。
特許文献1(特開2015-151570号公報)は、銅合金板条を母材とし、その表面に下地層としてNi層、Cu-Sn金属間化合物層、及びSn層からなる表面被覆層がこの順に形成された表面被覆層付き銅合金板条を開示する(特許請求の範囲)。また、大気中で160℃×1000時間加熱後に、表面被覆層の材料表面に形成されるCuOを分析している(段落[0038])。
特許文献2(特表2001-526734号公報)は、銅又は銅ベース合金の基質(12)、基質(12)の部分を覆う錫又は錫ベース合金からなる被覆層(14)、基質(12)と被覆層(14)の間に介在する電着バリヤ層(16)、及び被覆層(14)の中に分散された銅-錫金属間化合物(38)を有する複合材料(10)を開示する(請求項6)。
特開2015-151570号公報 特表2001-526734号公報
近年、電気接点材は高温環境下において使用されるケースが多くなっている。例えば、自動車のエンジンルーム内でのセンサー用電気接点材などは、100℃~200℃等の高温環境下で使用される場合がある。このため、電気接点材には、従来の用途で想定された使用温度よりも高温であっても、安定的に表面特性を維持できる信頼性が求められるようになってきている。特に、高温使用下で電気接点材の表面特性に悪影響を与える原因としては、基材を構成する成分の表面層への拡散及び表面層の酸化が挙げられる。これにより電気接点材の最表面の接触抵抗が増大したり、摩擦係数が高くなったり、はんだ濡れ性が低下してしまうこと等が問題となっている。
特許文献1及び2では、高温環境下での使用における電気接点材の表面特性の低下に関して十分に検討がなされていなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、導電材の表面に形成される酸化物層の特性を制御することにより、高温環境下での使用であっても導電材が優れた表面特性を維持できることを発見したことに基づくものである。
本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]Cu系材料からなる基材と、Cu-Sn金属間化合物層と、Sn層とをこの順に有する導電材であって、
前記Cu-Sn金属間化合物層は、0.2~3.0μmの厚さを有し、
前記Sn層中のSnの結晶粒径は2μm未満であり、
前記Sn層は0.05~5.0μmの厚さを有し、
前記Sn層の表面の算術平均粗さRaが0.15μm以上3.0μm以下であり、
前記Sn層の表面には面積比で3~75%のCu-Sn金属間化合物が露出しており、
前記Sn層は最表層として50nm以下の厚さの酸化物層を有し、
前記酸化物層はCu酸化物及びSn酸化物を含有し、前記Cu酸化物を構成するCu原子の量をMCu、Sn酸化物を構成するSn原子の量をMSnとしたとき、MSn/(MCu+MSn)×100は75at%以上であることを特徴とする導電材。
[2]前記Cu酸化物はCuO及びCuOの少なくとも一方であり、前記Sn酸化物はSnO及びSnOの少なくとも一方であることを特徴とする上記[1]に記載の導電材。
[3]前記基材の導電率が30%IACS以上であり、
前記基材の、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が25%以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の導電材。
[4]前記基材と前記Cu-Sn金属間化合物層との間に更に、Cu層からなる下地層を有することを特徴とする上記[1]から[3]までのいずれか1項に記載の導電材。
[5]前記基材と前記Cu-Sn金属間化合物層との間に更に、Ni層、Co層及びFe層からなる群から選択される少なくとも1つの下地層を有し、
下地層全体の厚さが0.1~3.0μmであることを特徴とする上記[1]から[3]までのいずれか1項に記載の導電材。
高温環境下での使用であっても優れた表面特性を維持できる導電材を提供できる。
本発明の一実施形態に係る導電材を表す図である。
本発明の導電材は、Cu系材料からなる基材と、Cu-Sn金属間化合物層と、Sn層とをこの順に有する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材を表す概略図である。図1中、符号1は導電材、1AはSn層30の表面、10は基材、10Aは基材10の表面、20はCu-Sn金属間化合物層、40はSn層の最表層である酸化物層を表す。
以下では、一実施形態の導電材を構成する各層について詳細に説明する。
(Cu系材料からなる基材)
基材は、Cu系材料からなる。Cu系材料としては、Cuの単体や、Cuを含む合金が挙げられる。Cuを含む合金は、特に限定されないが、Cu-Zn、Cu-Ni-Si、Cu-Sn-Ni、Cu-Ni-Si-Zn-Sn-Mg等が挙げられる。また、基材の形状は、用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは板材であり、線材とすることもできる。
基材の導電率は30%IACS以上であることが好ましく、35%IACS以上であることがより好ましい。これにより、導電材全体として優れた導電性を有することができる。ここで、導電率(IACS;International Annealed Copper Standard)は、四端子法を用いて、20℃(±1℃)に管理された恒温槽中で測定することにより得ることができる。
基材の、150℃で1000時間保持後の応力緩和率は25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。これにより、高温使用下において機械的強度の低下を防止し、例えばコネクタの接圧低下による接触抵抗の増大を防止できる。
ここで、応力緩和率(SRR:Stress Relaxation Ratio)は、日本伸銅協会 JCBA T309:2004「銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法」に準じ、片持ちはり法(片持ちはりブロック式ジグ使用)により、材料表面への初期負荷応力を0.2%耐力の80%とし、150℃で1000時間保持の条件で測定することができる。試験片は幅10mmの短冊形とし、圧延平行方向と試験片の長さ方向を一致させた。応力緩和率の算出方法は、特許第5307305号公報に記載された算出方法による。すなわち、熱処理前、試験台に片持ちで保持した試験片に、耐力の80%の初期応力を付与した時の試験片の先端の位置は、基準位置から距離δ0の高さにある。これを150℃の恒温槽に1000時間保持(初期応力を付与した状態で上記試験片を熱処理)し、負荷を除いた後の試験片の先端の位置は、上記基準位置から距離Htの高さにある。また、応力を負荷しなかった場合の試験片に対して上記の熱処理を行った場合の試験片の先端の位置は、上記基準位置から距離H1の高さにある。これらの関係から、応力緩和率(%)は(Ht-H1)/(δ0-H1)×100と算出した。
(Cu-Sn金属間化合物層)
Cu-Sn金属間化合物層は、20~70at%のCuを含有することが好ましい。Cu-Sn金属間化合物層中のCu含量は30~65at%がより好ましく、35~60at%がさらに好ましい。また、Cu-Sn金属間化合物層はCu以外にSnを含有し、Cu-Sn金属間化合物層中のSn含量は25~55at%が好ましく、30~50at%がより好ましい。Cu-Sn金属間化合物層は上記のようなCu及びSn含量を有することにより、導電材全体を硬くして挿入力を下げることができる。Cu-Sn金属間化合物層中のCu含量はXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)法によって測定できる。Cu-Sn金属間化合物としては例えば、CuSn、CuSnなどを挙げることができる。
Cu-Sn金属間化合物層は、0.2~3.0μmの厚さを有する。この厚さは後述する実施例に記載のアノード溶解法により測定する。Cu-Sn金属間化合物層の厚さは0.3~2.0μmが好ましく、0.4~1.0μmがより好ましい。Cu-Sn金属間化合物層がこれらの厚さを有することにより、優れた導電性及び加工性を両立することができる。
(Sn層)
Sn層中のSnの結晶粒径は2μm未満である。Snの結晶粒径は後述する実施例に記載の方法に従って測定する。Snの結晶粒径がこれらの範囲にあることにより、優れた光沢と良好な接触抵抗を両立することができる。
Sn層は0.05~5.0μmの厚さを有する。この厚さは後述する実施例に記載のアノード溶解法により測定する。Sn層の厚さは0.1~3μmが好ましい。Sn層がこれらの厚さを有することにより、良好な接触抵抗と耐食性を両立することができる。
Sn層の表面の算術平均粗さRaは0.15μm以上3.0μm以下である。「算術平均粗さRa」とは、JIS B0601-2001で規定される粗さの1種である。算術平均粗さRaは後述する実施例に記載の条件により測定する。算術平均粗さRaは0.20~2.0μmが好ましく、0.30~1.0μmがより好ましい。
Sn層の表面には面積比で3~75%のCu-Sn金属間化合物が露出している。Sn層の表面に露出するCu-Sn金属間化合物の面積比は10~60%が好ましく、20~50%がより好ましい。Sn層の表面に露出したCu-Sn金属間化合物の面積比は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
算術平均粗さRa及びSn層の表面のCu-Sn金属間化合物の面積比を上記範囲にすることによって導電材表面の摩擦係数を低減することができる。なお、上記の「Sn層の表面」とは、図1で1Aとして示されるように、Sn層の互いに対向する2つの面のうち、Cu-Sn金属間化合物層側と反対側に位置する面を意味する。
(酸化物層)
Sn層は最表層として50nm以下の厚さの酸化物層を有する。「Sn層の最表層」とは、図1で40として示されるように、Sn層の互いに対向する2つの面のうちCu-Sn金属間化合物層側と反対側に位置する面を含む層を表す。酸化物層の厚さは後述する実施例に記載のカソード還元法により測定する。酸化物層の厚さが50nm以下であることにより導電材の接触抵抗を低くすることができる。酸化物層の厚さは5~40nmが好ましく、10~30nmがより好ましい。
酸化物層はCu酸化物及びSn酸化物を含有する。Cu酸化物としてはCuO、CuO、Sn酸化物としてはSnO2、SnO等を挙げることができる。酸化物層は、Cu酸化物としてCuO及びCuOの少なくとも一方を含有し、Sn酸化物としてSnO及びSnOの少なくとも一方を含有することができる。
酸化物層において、Cu酸化物を構成するCu原子の量をMCu、Sn酸化物を構成するSn原子の量をMSnとしたとき、MSn/(MCu+MSn)×100は75at%以上である。MSn/(MCu+MSn)×100は後述する実施例に記載の方法に従って測定する。MSn/(MCu+MSn)×100が75at%以上であることにより、導電材は低い接触抵抗を有することができる。また、Sn層の表面にはSnが多く存在するため、はんだとの親和性が高くなりSn表面のはんだ濡れ性を向上させることができる。MSn/(MCu+MSn)×100は、75~95at%が好ましく、85~95at%がより好ましい。
また、Sn層の表面のCu-Sn金属間化合物の面積比が3~10%のとき、MSn/(MCu+MSn)×100は、90~99at%が好ましく、95~99at%がより好ましい。更に、Sn層の表面のCu-Sn金属間化合物の面積比が3~5%のとき、MSn/(MCu+MSn)×100は、95~98at%が好ましく、98~99at%がより好ましい。
(下地層)
導電材は、基材と、Cu-Sn金属間化合物層との間に下地層として他の層を有することができる。下地層としては、Cu層、Ni層、Co層及びFe層等が挙げられる。下地層としては、Ni層、Co層及びFe層からなる群から選択される少なくとも1つの層が好ましく、Cu層がより好ましい。基材と、Cu-Sn金属間化合物層との間に上記のような層を設けることにより、基材中のCuが他の層に過度に拡散して導電材の特性が劣化することを防止できる。下地層全体の厚さは0.1~3.0μmが好ましく、0.3~1.5μmがより好ましい。下地層の厚さは後述する実施例に記載の方法により測定する。
(導電材の製造方法)
一実施形態の導電材は例えば、基材上に、めっきによりSn層を形成した後、熱処理工程を行うことによって得ることができる。また、基材とSn層との間に下地層を設ける場合には、下地層もめっきにより形成することができる。この熱処理時に、めっきにより形成されたSn層中に、基材を構成するCu原子が拡散してCu-Sn金属間化合物層が形成されると共に、Sn層の最表面が酸化されて酸化物層が形成される。
めっきにより下地層及びSn層を形成する方法は、特に限定されないが、例えば電解めっきや無電解めっきのような湿式めっき、蒸着やスパッタのような乾式めっき等が挙げられる。中でも、湿式めっきが好ましく、特に電解めっきがより好ましい。この際、めっき条件は、めっき方法や、めっき層の種類やその厚さ、その後の熱処理の温度や保持時間等に応じて適宜調整すればよい。
熱処理工程は、本発明の導電材が得られる条件に設定する。熱処理時の処理温度は232~900℃が好ましく、300~600℃がより好ましい。熱処理時の処理時間は1~180秒が好ましく、3~30秒がより好ましい。
上記のような熱処理を行う装置としては、バーナー、バッチ炉、通電アニール等を用いることができる。また、熱処理後の導電材を冷却する冷却工程を含むことが好ましい。冷却工程の条件は、必要に応じて適宜設定すればよい。
(導電材の用途)
一実施形態の導電材は、導電性が要求される様々な物の製造に利用できる。導電材は好ましくは、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット等の車載部品や電気電子部品のための電気接点材として使用できる。一実施形態の導電材は例えば、自動車ハーネス用のコネクタ端子、携帯電話搭載のコンタクトスイッチ、メモリーカードやPCカードの端子など、繰返しの挿抜や摺動を伴う電気接点材として好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下では、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1~24及び比較例1~8)
基材として、圧延により製造された厚さ0.64mmのCu合金板(Cu-Ni-Si系合金板)を用い、これに、以下のめっき条件で、Ni、CuおよびSnの各めっき処理を順次行い、熱処理後の各層の膜厚が所望の厚さとなるように各めっき層を形成し、その後、以下の熱処理工程で熱処理を施した。
[Niめっき条件]
Niめっきは、Ni(NHSO・4HO 500g/リットル、NiCl・6HO 30g/リットル、HBO 30g/リットルで調整されためっき液を用い、浴温55℃、陰極電流密度10A/dmにて行った。ここで、Niめっき層は、上記基材の全面に形成した。
[Cuめっき条件]
Cuめっきは、CuSO・5HO 250g/リットル、HSO 50g/リットルで調整されためっき液を用い、浴温40℃、陰極電流密度10A/dmにて行った。ここで、Cuめっき層は、上記Niめっきを施した基材の全面に形成した。
[Snめっき条件]
Snめっきは、SnSO 80g/リットル、HSO 80g/リットルで調整されためっき液を用い、浴温25℃、陰極電流密度2A/dmにて行った。ここで、Snめっき層は、上記NiめっきおよびCuめっきを施した基材の全面に形成した。
(評価)
上記実施例および比較例で作製した導電材について、下記に示す測定を行った。各測定の方法及び条件は下記の通りである。
[算術平均粗さRa]
算術平均粗さRaの測定条件は、カットオフ値0.8mm、基準長さ0.8mm、評価長さ4.0mm、測定速度0.1mm/sとした。
[Sn層の表面に露出したCu-Sn金属間化合物の面積比]
試料の表面を、EDX(エネルギー分散型X線分光分析器)を搭載したSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて200倍の倍率で観察し、得られた画像の解析によりSn層の表面に露出しているCu-Sn金属間化合物層の領域を判定した。そして、この画像の全体に面積に対するCu-Sn金属間化合物層の領域の面積を算出することにより、「Sn層の表面に露出したCu-Sn金属間化合物の面積比」を得た。
[Ni層、Cu層、Cu-Sn金属間化合物層、Sn層、酸化物層の厚さ]
Ni層、Cu層、Cu-Sn金属間化合物層、Sn層の厚さは、アノード溶解法により測定した。酸化物層の厚さは、カソード還元法により測定した。また、各層の厚さの確認のため、画像解析法によっても厚さの測定を行った。アノード溶解法、画像解析法、及びカソード還元法による厚さの測定手順及び条件を以下に示す。
(1)アノード溶解法
処理サイズに切り出したサンプルを、測定面積を残してマスキングした後にコクール社の電解液に浸漬し、電流密度2A/dmで各層が溶解するまで電解した。電解に要した時間から電気量を求め、めっき厚に換算した。
(2)画像解析法
日本電子社のクロスセクションポリッシャを用いて、めっき断面試料を作成し、走査型電子顕微鏡にて断面を撮影した。撮影した画像よりめっきに相当する部分の厚みを割り出した。
(3)カソード還元法
所定サイズに切り出したサンプルを、測定面積を残してマスキングした後、塩化カリウムの水溶液に浸漬し、電流密度1A/dmで電解した。電解に要した時間から還元電気量を求め、電気量から酸化膜厚を導出した。
[Sn層中のSnの結晶粒径]
サンプルをFIB(Focused Ion Beam)によって切断し、断面SIM(Secondary Ion Micrography)像(20000倍)を撮影する。この画像に矩形を描き、その矩形の面積を矩形中に含まれるSnの結晶粒の数で除し、Snの1粒子当たりの平均面積をもとにSnの結晶粒径を算出した。
[酸化物層中のMSn/(MCu+MSn)×100]
(1)電気接点材の表面を、XPS測定装置ESCA5400MC(アルバック・ファイ株式会社)を使用し、XPSスペクトルを測定した。測定は、X線種単色化Al-kα線源、出力10W、検出面積1mmφ、検出角度(試料と検出器のなす角)135°にて行った。
(2)次に、上記(1)で得られた測定スペクトルデータから、結合エネルギー485~487eVの範囲に現れるSn(3d5/2)軌道を解析し、ピークを構成するSn、SnOおよびSnOの各成分の比率を求め、これらの合計比率に対する各成分比率の割合から、MSnを算出した。解析は、解析ソフトMultiPak(アルバック・ファイ株式会社)を用い、ピークフィッティング解析により行った。解析において、C(炭素)1sのピークトップは、284.80eVと規定した。バックグラウンドの除去は、Shirley(ピーク強度に比例した曲線を除去するMethod)を選択した。また、ピークの同定は、ピークトップの値(結合エネルギー)を、Snは485.1eV、SnOは486.1eV、SnOは486.8eVに、それぞれ固定して行った。フィッティング関数は、Gaussian関数とLorentzian関数の混合関数を用い、関数全体に占めるGaussian関数の混合比を80%で固定した。
(3)上記(1)および(2)の分析と解析を、Sn被覆材の表面の中央近傍の任意の5か所で同様に行い、各成分の割合をそれぞれ平均し(N=5)、各成分の割合(%)とした。
(4)同様にして、上記(1)で得られた測定スペクトルデータから、結合エネルギー932~934eVの範囲に現れるCu軌道を解析し、ピークを構成するCu、CuOおよびCuOの各成分の比率を求め、これらの合計比率に対する各成分比率の割合から、MCuを算出した。
(5)上記のようにして得られたMSnおよびMCuの値から、MSn/(MCu+MSn)×100を算出した。
[はんだ濡れ性]
はんだ濡れ性は、メニスコグラフ法によって測定を行った。装置はレスカ社のソルダーチェッカーSAT-5100を用いた。角線表面に、25%のロジンと残部イソプロピルアルコールから構成されるフラックスを塗布した後、260℃に保持したSn-3.0Ag-0.5Cuの鉛フリーはんだ浴に浸漬して3秒保持後、引き上げた。
[摩擦係数]
表面性測定機(新東科学株式会社、TYPE:14)を用い、張り出し材(表層に膜厚1μmのSn層を有するFAS680、張り出し部の曲率半径が0.5mm)に対し、移動速度100mm/min、接触荷重を3Nで、導電材を5回摺動させ、5回目の摺動時の数値を摩耗係数として測定した。
[接触抵抗値]
導電材と張り出し材(表層に膜厚1μmのSn層を有するFAS680、張り出し部の曲率半径が0.5mm)とが接触した界面に生じる電気抵抗を、四端子法により測定して求めた。DC電流源としてTFFケースレーインスツルメンツ社の6220型DC電流ソースを用い、電気抵抗の測定には電流測定器(同社 2182A型ナノボルトメータ)を用いた。任意の5箇所における接触抵抗値を測定し、各々平均値(N=5)を算出した。
実施例1~24及び比較例1~8の熱処理条件を下記表1及び2に示す。
Figure 0007335679000001
Figure 0007335679000002
実施例1~24及び比較例1~8で得られた導電材について、アノード溶解法によるNi層、Cu層、Cu-Sn金属間化合物層及びSn層の厚さ、並びにカソード還元法による酸化物層の厚さの測定結果を下記表3及び4に示し、画像解析法による各層の厚さの測定結果を下記表5及び6に示す。
Figure 0007335679000003
Figure 0007335679000004
Figure 0007335679000005
Figure 0007335679000006
実施例1~24及び比較例1~8で得られた導電材の各特性値の測定結果を下記表7及び8に示す。
Figure 0007335679000007
Figure 0007335679000008
実施例1~24及び比較例1~8で得られた導電材の評価結果を下記表9及び10に示す。
Figure 0007335679000009
Figure 0007335679000010
上記表9及び10の結果より、比較例1~8と比較して実施例1~24では、優れたはんだ濡れ性、摩耗係数、及び接触抵抗値を有する導電材が得られたことが分かる。
1 導電材
1A Sn層の表面
10 基材
10A 基材の表面
20 Cu-Sn金属間化合物層
40 酸化物層

Claims (5)

  1. Cu系材料からなる基材と、Cu-Sn金属間化合物層と、Sn層とをこの順に有する導電材であって、
    前記Cu-Sn金属間化合物層は、アノード溶解法のみにより測定して0.2~3.0μmの厚さを有し、
    前記Sn層中のSnの結晶粒径は2μm未満であり、
    前記Sn層はアノード溶解法により測定して0.05~5.0μmの厚さを有し、
    前記Sn層の表面には面積比で10~60%のCu-Sn金属間化合物が露出しており、
    前記Sn層は最表層として、カソード還元法により測定して50nm以下の厚さの酸化物層を有し、
    前記酸化物層はCu酸化物及びSn酸化物を含有し、前記Cu酸化物を構成するCu原子の量をMCu、Sn酸化物を構成するSn原子の量をMSnとしたとき、MSn/(MCu+MSn)×100は85~95at%であることを特徴とする導電材。
  2. 前記Cu酸化物はCuO及びCuOの少なくとも一方であり、前記Sn酸化物はSnO及びSnOの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の導電材。
  3. 前記基材の導電率が30%IACS以上であり、
    前記基材の、150℃で1000時間保持後の応力緩和率が25%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電材。
  4. 前記基材と前記Cu-Sn金属間化合物層との間に更に、Cu層からなる下地層を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の導電材。
  5. 前記基材と前記Cu-Sn金属間化合物層との間に更に、Cu層、Ni層、Co層及びFe層からなる群から選択される少なくとも1つの下地層を有し、
    下地層全体の厚さが、アノード溶解法により測定して0.1~3.0μmであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の導電材。
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