JP5761400B1 - コネクタピン用線材、その製造方法及びコネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストであり、かつ、優れた耐久性を有するコネクタピン用線材及びその製造方法と、上記線材より構成されたコネクタピンを有するコネクタとを提供する。【解決手段】コネクタピン用線材1は、芯材2と、電気めっきにより芯材2の表面に形成されたSnめっき膜3とを有している。芯材2は、10質量%以上のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とするFe系粒子がCuを主成分とするCu系母相に分布している金属組織を有している。【選択図】図1
Description
本発明は、コネクタピン用線材、その製造方法及びコネクタピン用線材を用いたコネクタに関する。
自動車用PCB(Printed Circuit Board)コネクタや自動車用中継コネクタ等のコネクタには、例えば黄銅などの、銅に数質量%程度の金属を添加した銅合金を芯材とするコネクタピンが用いられている。芯材の表面には、相手方端子との接触抵抗を低減する目的で、表面にSn(スズ)めっき膜を形成することが多い。
近年では、コネクタ全体の軽量化、小型化及び低コスト化のために、より高い剛性を有すると共に、材料コストを低減できるコネクタピンが望まれている。そこで、材料の強度が高く、材料コストの低い銅合金として、銅(Cu)に鉄(Fe)を添加したCu−Fe系合金をコネクタピンの芯材として用いることが検討されている。
例えば特許文献1には、0.05〜5質量%の炭素が固溶した10〜70質量%のFeと、残部がCu及び不可避不純物との合金からなるばね部材の例が開示されている。かかる化学成分を有するCu−Fe系合金は、従来の銅合金よりも高い強度を有するものとなりやすい。また、Cu−Fe系合金は、Cuよりも地金代の安価なFeを含有しているため、Feの含有量を多くすることにより材料コストを容易に低減することができる。
このように、Cu−Fe系合金は、コネクタピンの芯材として十分な強度と、材料コストとを両立する可能性を有する材料である。
従来のコネクタピンには、芯材とSnめっき膜との間に、Snめっき膜の密着性を改善する目的でCuめっき膜が設けられていることが多い。Cuめっき膜は、Cuの析出速度を速くする観点から、通常、硫酸浴を用いた電気めっきにより形成される。しかしながら、Cu−Fe系合金よりなる芯材の表面には、Cuを主成分とするCu系母相及びFeを主成分とするFe系粒子の両方が露出している。そのため、芯材を硫酸浴に浸漬すると、表面に露出したFe系粒子とめっき液中のCuイオンとの間で置換反応が起き、Cuが析出する。この置換反応により析出したCuは、電気めっきにより形成したCuに比べて芯材との密着性が悪いため、コネクタピンの表面に形成されるSnめっき膜がCuごと剥離しやすくなる。
以上のように、Cu−Fe合金を芯材とするコネクタピンに従来の製造方法を適用すると、例えば端子の挿抜を繰り返す場合や、高温環境下において長期間使用する場合等に、Snめっき膜が芯材から剥離しやすいという問題がある。Snめっき膜の剥離は相手方端子との接触抵抗の増大を招くため、Snめっき膜の密着性を向上させる技術が求められている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、低コストであり、かつ、優れた耐久性を有するコネクタピン用線材及びその製造方法と、上記線材より構成されたコネクタピンを有するコネクタとを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、10質量%以上70質量%以下のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とする晶出物または析出物からなるFe系粒子がCuを主成分とするCu系母相に分布している金属組織を有する芯材と、
電気めっきにより上記芯材の表面に形成されたSnめっき膜とを有しており、
上記芯材の表面には、上記Cu系母相及び上記Fe系粒子の両方が存在していることを特徴とするコネクタピン用線材にある。
電気めっきにより上記芯材の表面に形成されたSnめっき膜とを有しており、
上記芯材の表面には、上記Cu系母相及び上記Fe系粒子の両方が存在していることを特徴とするコネクタピン用線材にある。
また、本発明の他の態様は、上記コネクタピン用線材より構成されたコネクタピンを有するコネクタにある。
また、本発明の更に他の態様は、10質量%以上70質量%以下のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とする晶出物または析出物からなるFe系粒子がCuを主成分とするCu系母相に分布している金属組織を有する鋳塊を準備し、
塑性加工と、無酸素雰囲気下において実施される焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を上記鋳塊に施して芯材を作製し、
電気めっき処理を上記芯材に施して、上記Cu系母相及び上記Fe系粒子の両方が存在している上記芯材の表面にSnめっき膜を形成することを特徴とするコネクタピン用線材の製造方法にある。
塑性加工と、無酸素雰囲気下において実施される焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を上記鋳塊に施して芯材を作製し、
電気めっき処理を上記芯材に施して、上記Cu系母相及び上記Fe系粒子の両方が存在している上記芯材の表面にSnめっき膜を形成することを特徴とするコネクタピン用線材の製造方法にある。
上記コネクタピン用線材(以下、適宜「線材」という。)は、上記特定の化学成分及び上記特定の金属組織を備えた芯材を用いて作製されている。そのため、上記線材は、コネクタピン用として十分に高い強度と、材料コストとを容易に両立することができる。また、上記線材には、Cuを主成分とするCu系母相を有する上記芯材が用いられているため、従来の銅合金と同等以上の導電率を容易に確保することができる。
また、上記線材は、電気めっきにより上記芯材の表面に形成された上記Snめっき膜を有している。即ち、上記線材は、上記芯材にCuめっき処理を行うことなく形成されている。そのため、置換反応によるCuの析出を回避することができる。また、Snは、Cuに比べてFeとの置換反応を起こしにくいため、上記芯材の表面に露出した上記Fe系粒子との間の置換反応によるSnの析出が抑制される。それ故、上記線材は、上記芯材と上記Snめっき膜との間の密着性が高い。
また、上記線材の製造方法においては、塑性加工と、無酸素雰囲気下において実施される焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を上記鋳塊に施して芯材を作製する。そのため、焼鈍処理における上記芯材の表面の酸化を抑制することができ、ひいては上記芯材と上記Snめっき膜との密着性が悪化することを防止できる。そのため、上記線材の製造方法によれば、上記芯材と上記Snめっき膜との間の密着性が高い上記線材を容易に得ることができる。
以上のように、上記線材は、上記芯材と上記Snめっき膜との密着性が高く、優れた耐久性を有する。また、上記線材の製造方法によれば、優れた耐久性を有する上記線材を容易に得ることができる。
また、上記線材から構成されるコネクタピンは、従来と同等以上の強度、導電率及び耐久性を有し、従来の銅合金を用いたコネクタピンよりも低コストである。それ故、上記線材からなるコネクタピンを有するコネクタは、従来のコネクタに比べて低コストであり、かつ、従来のコネクタと同等以上の性能を有する。
上記線材に用いられる上記芯材は、10質量%以上のFeを含有している。Cu−Fe系合金は、Feの含有量が多くなるほど強度が高くなる傾向がある。そのため、上記線材は、Feの含有量を10質量%以上とすることにより、コネクタピンの素材に要求される強度を十分に満足することができる。また、上記芯材のFeの含有量を10質量%以上とすることにより、従来の線材よりも上記線材の材料コストを低減することができる。それ故、強度をより高くし、材料コストをより低減する観点から、Feの含有量は10質量%以上とする。同じ観点から、Feの含有量は20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
一方、Cu−Fe系合金は、Feの含有量が過度に多くなると、曲げ加工を施す際の加工性が悪化するため、上記線材を用いてコネクタピン等を作製する際に割れ等が生じ易くなる。また、Fe系粒子はCuを主成分とするCu系母相に比べて導電率が低いため、Feの含有量が過度に多い場合には、上記芯材の導電率が低くなりやすい。それ故、Feの含有量が過度に多い場合には、コネクタピンの素材に要求される導電率を満足することが困難となるおそれがある。これらの問題を回避するためには、例えば、Feの含有量を70質量%以下に規制することが好ましく、Feの含有量を60質量%以下に規制することがより好ましい。
以上のように、上記芯材は、Feの含有量を10質量%以上とし、好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%とすることにより、コネクタピンの素材に要求される強度、加工性、導電性等の諸特性を満足でき、かつ、従来よりも材料コストを低減できる。
上記金属組織は、Feを主成分とするFe系粒子が、Cuを主成分とするCu系母相に分布している。ここで、上述した「主成分」とは、最も含有量の多い元素であることを意味している。即ち、上記Cu系母相は主成分のCuの他に微量のFeあるいは不純物を含有する場合がある。また、Fe系粒子は主成分のFeの他に微量のCuあるいは不純物を含有する場合がある。
上記Fe系粒子は、伸線方向に伸びた繊維状を呈していることが好ましい。この場合には、伸線方向への延性が大きくなり易いため、上記線材に曲げ加工を施す際に、屈曲部分における割れの発生を抑制することができる。また、繊維状の上記Fe系粒子によって上記芯材が強化されるため、上記線材はより高い強度を有する。それ故、繊維状の上記Fe系粒子を有する線材は、優れた曲げ加工性及び高い強度を有する。
繊維状を呈するFe系粒子は、例えば、鋳造の際に生じるFeを主成分とする晶出物や、熱処理等により生じるFeを主成分とする析出物を、冷間引抜や冷間圧延等の冷間加工によって伸線方向に引き伸ばすことにより形成することができる。
また、上記Fe系粒子は、上記伸線方向と直角な方向に測定して得られる幅の平均値が0.5μm以下であり、かつ、上記伸線方向と平行な方向に測定して得られる長さの平均値が4μm以上であることが好ましい。この場合には、上記線材の伸線方向への延性がより大きくなりやすい。それ故、上記線材に曲げ加工を施す際の加工性がより向上し、屈曲部分における割れの発生を防止することができる。
上記幅が1μmを超えるFe系粒子が過度に多く存在する場合には、Fe系粒子の分布に偏りが生じやすく、金属組織が不均一となるおそれがある。そして、不均一な金属組織を有する線材は、曲げ加工時に応力集中が生じ易くなり、加工性が悪化するおそれがある。このような問題は、上記幅の平均値が0.5μm以下となるように上記金属組織を制御することにより回避できる。
一方、上記幅が0.1μm未満となるFe系粒子が過度に多く存在する場合には、上記Fe系粒子による強度向上効果が不十分となり、ひいては上記線材の強度が不十分となるおそれがある。上記Fe系粒子による強度向上効果を十分に得るためには、上記幅の平均値が0.1μm以上となるように上記金属組織を制御することが好ましい。
以上のように、加工性と強度とを両立させる観点から、幅が1μmを超える上記Fe系粒子及び幅が0.1μm未満となる上記Fe系粒子の両方の含有量を低減することが好ましい。同じ観点から、上記Fe系粒子の幅の平均値が0.1〜0.5μmの範囲内になるように上記金属組織を制御することがより好ましい。
また、上記長さが4μm未満となる上記Fe系粒子が過度に多く存在する場合には、Fe系粒子による強度向上効果が不十分となるおそれがあり、ひいては上記線材の強度が不十分となるおそれがある。この問題は、上記長さの平均値が4μm以上となるように上記金属組織を制御することにより回避できる。
一方、上記長さが30μmを超えるFe系粒子が過度に多く存在する場合には、Fe系粒子の分布に偏りが生じやすく、金属組織が不均一となるおそれがある。そして、不均一な金属組織を有する線材は、曲げ加工時に応力集中が生じ易くなり、加工性が悪化するおそれがある。上記線材の金属組織を均一にし、加工性をより向上させる観点からは、上記長さの平均値が30μm以下となるように上記金属組織を制御することがより好ましい。
以上のように、加工性と強度とを両立させる観点から、長さが30μmを超える上記Fe系粒子及び4μm未満となる上記Fe系粒子の両方の含有量を低減することが好ましい。同じ観点から、上記Fe系粒子の長さの平均値が4〜30μmの範囲内になるように上記金属組織を制御することがより好ましい。
なお、上記Fe系粒子の大きさは、例えば、鋳造時等に生じる析出物や晶出物の大きさの調整、あるいは、伸線加工における加工率の調整により制御することができる。
また、上記線材は、引張強さが700MPa以上であることが好ましい。上記特定の範囲の引張強さを有する上記線材は、黄銅材(引張強さ450〜500MPa)やコルソン系銅合金(引張強さ600〜650MPa)よりも高い強度を備えている。それ故、上記線材は、より線径を細くしてもコネクタピンの素材として十分な強度を有し、ひいてはコネクタ全体の小型化、軽量化に有利なものとなる。
また、上記線材は、伸びが2%以上であることが好ましい。この場合には、上記線材は、十分に高い延性を有するため、曲げ加工を施す際に、屈曲部分における割れの発生をより抑制し易くなる。その結果、上記線材は、より優れた加工性を有する。
また、上記芯材は、導電率が25%IACS以上であることが好ましい。この場合には、上記芯材は、黄銅等の従来用いられている銅合金と同等の導電率を有する。そのため、上記線材は、コネクタピンに要求される導電率を満足でき、コネクタピンの素材として好適に用いることができる。
次に、上記線材の製造方法について説明する。まず、上記特定の化学成分を有すると共に、上記Fe系粒子が上記Cu系母相に分布している金属組織を有する鋳塊を準備する。次いで、上記鋳塊に塑性加工と無酸素雰囲気下において実施される焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を施して芯材を作成する。すなわち、芯材は、所望の化学成分及び金属組織を有する鋳塊を作製した後、押出、圧延及び引抜などの塑性加工と、上記焼鈍処理のための熱処理とを適宜組み合わせることにより作製することができる。
上記伸線加工には、通常、複数パスの塑性加工と、1回以上の焼鈍処理とが含まれる。上記塑性加工としては、熱間圧延、熱間押出、熱間引抜等の熱間加工及び冷間圧延、冷間押出、冷間引抜等の冷間加工を採用することができる。複数パスの塑性加工が施される場合には、これらの加工方法を適宜組み合わせることができる。
また、上記塑性加工は、1パス以上の冷間加工を含むことが好ましい。この場合には、伸線方向に伸びた繊維状のFe系粒子がCu系母相中に分布した金属組織を確実に形成することができる。得られる線材の強度をより高くする観点からは、上記塑性加工の最終パスを冷間加工とすることがより好ましい。この場合には、加工硬化による強度向上効果を確実に得ることができるため、線材の強度をより高くすることができる。
上記焼鈍処理における加熱温度は、通常、800〜900℃の範囲で設定される。
また、上記焼鈍処理は、無酸素雰囲気下において実施する。上述した「無酸素雰囲気」には、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気、水素雰囲気等の還元ガス雰囲気及び10Pa以下の減圧雰囲気が含まれる。
上記鋳塊を酸化雰囲気下で加熱する場合には、芯材の表面に比較的厚い酸化膜が形成されるため、酸洗浄処理を施して酸化膜を除去する必要がある。この場合、酸洗浄処理の条件によっては酸化膜と共にFe系粒子が溶解し、芯材の表面に細孔が形成されるおそれがある。このような細孔は、場合によってはSnめっき膜の密着性を悪化させる原因となるため、好ましくない。一方、上記焼鈍処理を無酸素雰囲気下において実施することにより、酸洗浄処理を施す必要がなくなり、上記芯材の表面に細孔が生じることを防止できる。その結果、上記芯材と上記Snめっき膜との間の密着性が悪化することを防止できる。
上記伸線加工の後、上記芯材の表面に電気めっき処理を施してSnめっき膜を形成する。上記電気めっき処理に用いるSnめっき浴としては、例えば、硫酸浴、メタンスルホン酸浴等を用いることができる。
電気めっき処理に用いるSnめっき浴は、メタンスルホン酸浴等の有機酸浴であることが好ましい。上記Snめっき膜は、有機酸浴以外のめっき浴を用いて形成することも可能であるが、有機酸浴を用いることにより、SnとFeとの置換反応をより抑制することができる。そのため、上記線材の製造方法によれば、上記芯材と上記Snめっき膜との間の密着性が高い上記線材をより容易に得ることができる。
上記Snめっき膜の膜厚は0.5〜2μmであることが好ましい。この場合には、上記Snめっき膜の存在により、上記線材よりなるコネクタピンと相手方端子との間の接触抵抗を低減でき、かつ、上記コネクタピンを相手方端子に挿入する際に必要な挿入力を十分に小さくできる。
上記Snめっき膜の膜厚が0.5μm未満の場合には、相手方端子との接触面積が不十分となるおそれがある。その結果、コネクタピンと相手方端子との間の接触抵抗を低減する効果が不十分となるおそれがある。また、上記Snめっき膜の膜厚が2μmを超える場合には、上記コネクタピンを相手方端子に挿入する際に必要な挿入力が大きくなるおそれがある。
また、上記芯材に上記電気めっき処理を施した後、上記芯材を加熱するリフロー処理を施しても良い。リフロー処理を施すことにより、上記Snめっき膜のSnと上記芯材のCuとが合金化し、Cu−Sn系合金が形成される。その結果、上記Snめっき膜と上記芯材との密着性がより向上し、上記線材がより優れた耐久性を有する。
上記リフロー処理における加熱温度は、例えば、Snの融点より0〜50℃高い温度範囲が好ましい。上記リフロー処理の加熱温度を上記特定の温度範囲とすることにより、Snが溶融し、上記Cu−Sn系合金を確実に形成することができる。また、上記特定の温度範囲で上記リフロー処理を行う場合には、加熱時間を10〜120秒の範囲に制御することにより、上記Cu−Sn系合金上に上記Snめっき膜が存在している構造が形成される。そのため、比較的硬い上記Cu−Sn系合金による挿入力の低減効果と、比較的軟らかい上記Snめっき膜による接点特性の向上効果との両方を得ることができる。
上記リフロー処理における加熱時間及び加熱温度は、所望する上記Cu−Sn系合金の量に応じて適宜設定することができる。上記リフロー処理における加熱温度が過度に高い場合または加熱時間が過度に長い場合には、形成される上記Cu−Sn系合金の量が多くなり、場合によっては上記Cu−Sn系合金が表面に露出することがある。この場合には、上記Snめっき膜による接点特性の向上効果が不十分となるおそれがあり、例えば接触抵抗の増大等の問題が発生するおそれがある。特に、上記Snめっき層が全てCuとの合金形成に費やされ、表面の全面が上記Cu−Sn系合金により覆われる場合には、上記Snめっき膜による接点特性の向上効果が得られなくなるため、好ましくない。
なお、上記線材の製造方法においては、上記焼鈍処理以外に、必要に応じて均質化処理や時効処理等の熱処理を実施してもよい。
(実施例1)
上記コネクタピン用線材(以下、適宜「線材」という。)の実施例について、図1〜図3を用いて説明する。図1及び図2に示すように、線材1は、芯材2と、電気めっきにより芯材2の表面に形成されたSnめっき膜3とを有している。芯材2は、10質量%以上のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有していると共に、図2に示すように、Feを主成分とするFe系粒子21がCuを主成分とするCu系母相22に分布している金属組織を有している。
上記コネクタピン用線材(以下、適宜「線材」という。)の実施例について、図1〜図3を用いて説明する。図1及び図2に示すように、線材1は、芯材2と、電気めっきにより芯材2の表面に形成されたSnめっき膜3とを有している。芯材2は、10質量%以上のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有していると共に、図2に示すように、Feを主成分とするFe系粒子21がCuを主成分とするCu系母相22に分布している金属組織を有している。
本例においては、以下の方法により、線材1を作製した。
<線材1の作製方法>
まず、50質量%のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とするFe系粒子21がCuを主成分とするCu系母相22に分布している金属組織を有する鋳塊を準備した。次いで、複数パスの塑性加工と、焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を上記鋳塊に施して芯材2を作製した。本例の塑性加工は、1パス以上の冷間加工を含み、最終パスが冷間引抜加工となるように構成した。また、焼鈍処理においては、10Pa以下の減圧雰囲気下において鋳塊の加熱を行った。なお、伸線加工が完了した状態における芯材2の断面形状は、一辺が0.64mmの正方形状とした。
まず、50質量%のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とするFe系粒子21がCuを主成分とするCu系母相22に分布している金属組織を有する鋳塊を準備した。次いで、複数パスの塑性加工と、焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を上記鋳塊に施して芯材2を作製した。本例の塑性加工は、1パス以上の冷間加工を含み、最終パスが冷間引抜加工となるように構成した。また、焼鈍処理においては、10Pa以下の減圧雰囲気下において鋳塊の加熱を行った。なお、伸線加工が完了した状態における芯材2の断面形状は、一辺が0.64mmの正方形状とした。
ここで、表面に電気めっき処理を施す前の芯材2から試料を採取し、4端子法を用いて芯材2の導電率を測定した。その結果、芯材2の導電率は30.9%IACSであった。一方、従来の黄銅材(C2600−H材)の導電率を同様の方法で測定したところ、28%IACSであった。この結果から、Cu−Fe系合金よりなる芯材2は、従来の銅合金と同等以上の導電率を示すことがわかる。
次に、芯材2に電気めっき処理を施して表面にSnめっき膜3を形成した。電気めっき処理の詳細な条件は以下の通りである。
・浴組成
メタンスルホン酸スズ 450mL/L
メタンスルホン酸 100mL/L
光沢剤
・めっき浴温度 20℃
・電流密度 10〜20A/dm2
・膜厚 0.5〜2μm
メタンスルホン酸スズ 450mL/L
メタンスルホン酸 100mL/L
光沢剤
・めっき浴温度 20℃
・電流密度 10〜20A/dm2
・膜厚 0.5〜2μm
その後、Snめっき膜3を形成した線材1を260℃で10秒間加熱するリフロー処理を行い、Snめっき膜3と芯材2との間にCu−Sn系合金31を形成させた。以上により、線材1を得た。次に、以下の方法により、Snめっき膜3の観察及び芯材2の金属組織観察を行った。
<Snめっき膜3の観察>
まず、線材1を伸線方向に垂直な断面で切断し、露出した断面を研磨した。その後、当該断面を電子顕微鏡により観察した。これにより得られた断面の反射電子像及び元素マッピング像を図1及び図2にそれぞれ示す。
まず、線材1を伸線方向に垂直な断面で切断し、露出した断面を研磨した。その後、当該断面を電子顕微鏡により観察した。これにより得られた断面の反射電子像及び元素マッピング像を図1及び図2にそれぞれ示す。
図1より知られるように、芯材2とSnめっき膜3との間には大きな空洞が存在せず、電気めっき処理が適切に行われたことを確認した。また、図2より知られるように、芯材2は、Cu系母相22中にFe系粒子21が分布している金属組織を有していることを確認した。
また、図1及び図2より知られるように、芯材2に含まれるCuの一部がSnめっき膜3に拡散しており、Cu−Sn系合金31が形成されたことを確認した。芯材2とSnめっき膜3との間に形成されたCu−Sn系合金31は、Snめっき膜3の密着性をより向上させる効果を有しており、Snめっき膜3が芯材2からより剥離しにくくなる。
<芯材2の金属組織観察>
・Fe系粒子21の形態観察
線材1を伸線方向に沿って切断し、露出した断面を研磨した。その後、当該断面を電子顕微鏡により観察し、反射電子像を取得した。断面に露出した芯材2の反射電子像を図3に示す。図3より知られるように、芯材2に含まれるFe系粒子21は、伸線方向に伸びた繊維状を呈していた。
・Fe系粒子21の形態観察
線材1を伸線方向に沿って切断し、露出した断面を研磨した。その後、当該断面を電子顕微鏡により観察し、反射電子像を取得した。断面に露出した芯材2の反射電子像を図3に示す。図3より知られるように、芯材2に含まれるFe系粒子21は、伸線方向に伸びた繊維状を呈していた。
・Fe系粒子21の寸法分布の評価
集束イオンビーム−走査型電子顕微鏡複合装置(FIB−SEM、FEI社製「Helion NanoLab600」)を用いて、FIB加工による断面形成とSEMによる断面観察とを繰り返し行い、多数のSEM像を取得した。次いで、得られた多数のSEM像を再構成し、金属組織の3次元像を作成した。そして、得られた3次元像に基づいて、個々のFe系粒子21の上記幅及び上記長さを測定し、これらの平均値を算出した。
集束イオンビーム−走査型電子顕微鏡複合装置(FIB−SEM、FEI社製「Helion NanoLab600」)を用いて、FIB加工による断面形成とSEMによる断面観察とを繰り返し行い、多数のSEM像を取得した。次いで、得られた多数のSEM像を再構成し、金属組織の3次元像を作成した。そして、得られた3次元像に基づいて、個々のFe系粒子21の上記幅及び上記長さを測定し、これらの平均値を算出した。
本例においては、縦10μm×横10μmの正方形状の視野を伸線方向に沿って0.2μm間隔で掘り下げることにより、直方体状の上記3次元像を作成した。得られた3次元像中に基づいて個々のFe系粒子21の上記幅及び上記長さを測定したところ、3次元像中に存在する全てのFe系粒子21について、上記幅が0.1μm以上0.5μm以下であり、かつ、上記長さが4μm以上30μm以下であった。
次に、線材1の作用効果について説明する。線材1は、上記特定の化学成分及び上記特定の金属組織を備えた芯材2を用いて作成されている。そのため、線材1は、コネクタピン用として十分に高い強度と、材料コストとを容易に両立することができる。また、線材1は、Cuを主成分とするCu系母相22を有しているため、従来の銅合金と同等以上の導電率を容易に確保することができる。
また、線材1は、芯材2の表面に電気めっきにより形成されたSnめっき膜3を有している。そして、Snめっき膜3は、有機酸浴を用いた電気めっき処理により形成されている。
また、線材1の製造方法において、焼鈍処理が無酸素雰囲気下で実施されている。そのため、伸線加工において芯材2の表面に酸化膜が形成されることを抑制でき、ひいては芯材2の表面に細孔が生じることを防止できる。
これらの結果、線材1は、芯材2とSnめっき膜3との間の密着性が高く、優れた耐久性を有する。
(実施例2)
本例は、線材1を用いて作製したコネクタピン11を有するコネクタ10の例である。図4及び図5に示すように、コネクタ10は、凹部41を備えたハウジング4と、ハウジング4を貫通して配置された複数のコネクタピン11とを有している。そして、コネクタピン11は、線材1より形成されている。
本例は、線材1を用いて作製したコネクタピン11を有するコネクタ10の例である。図4及び図5に示すように、コネクタ10は、凹部41を備えたハウジング4と、ハウジング4を貫通して配置された複数のコネクタピン11とを有している。そして、コネクタピン11は、線材1より形成されている。
ハウジング4は、図4及び図5に示すように略直方体状を呈しており、コネクタピン11が貫通する底壁部42と、底壁部42の外周縁部から立設された側壁部43とを有している。そして、底壁部42及び側壁部43により囲まれた空間が凹部41を構成している。
コネクタピン11は、図4及び図5に示すように略棒状を呈しており、その一端に端子接続部111を有し、他端にはんだ付け部112を有している。本例のコネクタピン11は、図5に示すように、凹部41内に配置された端子接続部111を基端として底壁部42へ向けて延設されている。また、コネクタピン11は、底壁部42を貫通してハウジング4の外方へ突出し、底壁部42とはんだ付け部112との間において90°曲げ加工が施される。すなわち、本例のコネクタピン11は、コネクタ10に配設された状態において、端子接続部111とはんだ付け部112とが互いに直角方向となるように屈曲されている。
かかる構成において、90°曲げ加工により形成される屈曲部113の表面を観察したところ、90°曲げ加工に伴う割れやクラックの発生及びSnめっき膜3の剥離は認められなかった。このように、線材1は、コネクタピン11の素材として好適に用いることができる。
(実験例)
本例は、実施例1における線材1から採取した試料(以下、「試料E1」という。)を用いて、機械特性、Snめっき膜3の密着性、はんだ濡れ性及び接触抵抗の各特性について評価を行った例である。なお、本例においては、試料E1との比較のために、2種の試料(それぞれ、「試料C1」及び「試料C2」という。)を準備し、特性評価を行った。試料C1は、黄銅(C2600−H)よりなる芯材の表面に、Cuめっき膜及びSnめっき膜を順次積層した従来の線材である。また、試料C2は、実施例1におけるCu−Fe系合金からなる芯材2上に、Cuめっき膜及びSnめっき膜3を順次積層した線材である。なお、試料C1及び試料C2における全てのめっき膜は、硫酸浴を用いた電気めっき処理により形成した。
本例は、実施例1における線材1から採取した試料(以下、「試料E1」という。)を用いて、機械特性、Snめっき膜3の密着性、はんだ濡れ性及び接触抵抗の各特性について評価を行った例である。なお、本例においては、試料E1との比較のために、2種の試料(それぞれ、「試料C1」及び「試料C2」という。)を準備し、特性評価を行った。試料C1は、黄銅(C2600−H)よりなる芯材の表面に、Cuめっき膜及びSnめっき膜を順次積層した従来の線材である。また、試料C2は、実施例1におけるCu−Fe系合金からなる芯材2上に、Cuめっき膜及びSnめっき膜3を順次積層した線材である。なお、試料C1及び試料C2における全てのめっき膜は、硫酸浴を用いた電気めっき処理により形成した。
<機械特性評価>
・引張試験
JIS Z 2241に準じた方法により、試料E1及び試料C1の引張試験を行った。
・引張試験
JIS Z 2241に準じた方法により、試料E1及び試料C1の引張試験を行った。
表1に、引張試験により得られた各試験材の引張強さ及び0.2%耐力を示す。
表1より知られるように、試料E1の引張強さは700MPa以上であり、試料C1(C2600−H材)に比べて高い強度を示した。
<はんだ濡れ性評価>
メニスコグラフ法により、初期状態における試料E1及び試料C1と、大気雰囲気下において120℃で120時間加熱する高温耐久試験を施した後の試料E1及び試料C1の4種類の試料についてはんだ濡れ性の評価を行った。はんだ濡れ性の指標としては、ゼロクロスタイム及び最大ぬれ力を用いた。ゼロクロスタイムの値は、小さいほどはんだ濡れ性が良好であることを示す。また、最大ぬれ力の値は、大きいほどはんだ濡れ性が良好であることを示す。なお、メニスコグラフ法に使用するはんだはSn−3Ag−0.5Cuの組成を有する無鉛はんだとし、活性タイプのフラックスを併用した。また、はんだの温度は250℃とした。
メニスコグラフ法により、初期状態における試料E1及び試料C1と、大気雰囲気下において120℃で120時間加熱する高温耐久試験を施した後の試料E1及び試料C1の4種類の試料についてはんだ濡れ性の評価を行った。はんだ濡れ性の指標としては、ゼロクロスタイム及び最大ぬれ力を用いた。ゼロクロスタイムの値は、小さいほどはんだ濡れ性が良好であることを示す。また、最大ぬれ力の値は、大きいほどはんだ濡れ性が良好であることを示す。なお、メニスコグラフ法に使用するはんだはSn−3Ag−0.5Cuの組成を有する無鉛はんだとし、活性タイプのフラックスを併用した。また、はんだの温度は250℃とした。
表2に、ゼロクロスタイム及び最大ぬれ力の測定結果を示す。なお、測定は、各試料について複数回行い、表2にはその平均値を示した。
表2より知られるように、試料E1及び試料C1は、初期状態及び高温耐久試験後のいずれの状態においても、ゼロクロスタイムが2秒以下であった。この結果は、コネクタピンに要求される特性を十分に満足する結果である。
<接触抵抗測定>
初期状態における試料E1及び試料C1と、上述した高温耐久試験を施した試料E1及び試料C1との4種類の試料を、別途準備した相手方端子に挿入した。この状態において、各試料と相手方端子との間の抵抗値を測定し、得られた値を接触抵抗とした。なお、相手方端子としては、表面にSnめっき処理が施されたメス型端子を用いた。また、接触抵抗の測定は、各試料について複数回行った。
初期状態における試料E1及び試料C1と、上述した高温耐久試験を施した試料E1及び試料C1との4種類の試料を、別途準備した相手方端子に挿入した。この状態において、各試料と相手方端子との間の抵抗値を測定し、得られた値を接触抵抗とした。なお、相手方端子としては、表面にSnめっき処理が施されたメス型端子を用いた。また、接触抵抗の測定は、各試料について複数回行った。
図6及び図7に、試料E1及び試料C1の接触抵抗の測定結果をそれぞれ示す。なお、図6及び図7の縦軸は接触抵抗(mΩ)の値である。また、図6及び図7に示したプロット点(符号5)は複数回の測定から得られた接触抵抗の値の平均値であり、エラーバー(符号6)は、最大値から最小値までの範囲を示している。
図6及び図7に示すように、試料E1は、初期状態及び高温耐久試験後のいずれの状態においても、接触抵抗の値が10mΩ以下であり、試料C1と同等以下の接触抵抗を示した。この結果は、コネクタピンに要求される特性を十分に満足する結果である。
<Snめっき膜3の密着性評価>
試料E1の一端を固定した状態で、試料E1の中心軸が回転中心となるように他端に力を加えて回転させ、試料E1をねじり変形させた。その後、試料E1の他端を逆方向に回転させて元の状態に復元し、Snめっき膜3の状態を目視観察した。図8に、元の状態に復元した後の試料E1の写真を示す。図8より知られるように、試料E1のSnめっき膜3は、ねじり変形させた後に芯材2から剥離せず、優れた密着性を示した。
試料E1の一端を固定した状態で、試料E1の中心軸が回転中心となるように他端に力を加えて回転させ、試料E1をねじり変形させた。その後、試料E1の他端を逆方向に回転させて元の状態に復元し、Snめっき膜3の状態を目視観察した。図8に、元の状態に復元した後の試料E1の写真を示す。図8より知られるように、試料E1のSnめっき膜3は、ねじり変形させた後に芯材2から剥離せず、優れた密着性を示した。
一方、芯材2とSnめっき膜3との間にCuめっき膜を有する試料C2を用いて同様の試験を行ったところ、図9に示すように、ねじり変形を与えた後にSnめっき膜3が芯材2から剥離した。そして、剥離部分は、芯材2を構成するCu−Fe系合金の色を呈していた。
図8及び図9より知られるように、芯材2上にSnめっき膜3が直接積層された試料E1は、芯材2とSnめっき膜3との密着性が高く、Snめっき膜3の剥離が生じにくいことがわかる。それ故、試料E1を用いて作製したコネクタピンは、優れた耐久性を有する。一方、芯材2とSnめっき膜3との間にCuめっき膜を有する試料C2は、Snめっき膜3がCuめっき膜ごと芯材2から剥離しやすい。そのため、試料C2を用いて作製したコネクタピンは、試料E1に比べて耐久性が低い。
1 コネクタピン用線材
2 芯材
21 Fe系粒子
22 Cu系母相
3 Snめっき膜
2 芯材
21 Fe系粒子
22 Cu系母相
3 Snめっき膜
Claims (12)
- 10質量%以上70質量%以下のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とする晶出物または析出物からなるFe系粒子がCuを主成分とするCu系母相に分布している金属組織を有する芯材と、
電気めっきにより上記芯材の表面に形成されたSnめっき膜とを有しており、
上記芯材の表面には、上記Cu系母相及び上記Fe系粒子の両方が存在していることを特徴とするコネクタピン用線材。 - 上記Snめっき膜の膜厚は0.5〜2μmであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタピン用線材。
- 上記Fe系粒子は、伸線方向に伸びた繊維状を呈していることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタピン用線材。
- 上記Fe系粒子は、伸線方向と直角な方向に測定して得られる幅の平均値が0.5μm以下であり、かつ、上記伸線方向と平行な方向に測定して得られる長さの平均値が4μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタピン用線材。
- 上記Fe系粒子は、伸線方向と平行な方向に測定して得られる長さの平均値が30μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタピン用線材。
- 引張強さが700MPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコネクタピン用線材。
- 上記芯材の導電率が25%IACS以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコネクタピン用線材。
- 上記Fe系粒子は、Fe及び不可避不純物からなる化学成分を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコネクタピン用線材。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のコネクタピン用線材より構成されたコネクタピンを有するコネクタ。
- 10質量%以上70質量%以下のFeを含有し、残部がCu及び不可避不純物よりなる化学成分を有し、かつ、Feを主成分とする晶出物または析出物からなるFe系粒子がCuを主成分とするCu系母相に分布している金属組織を有する鋳塊を準備し、
塑性加工と、無酸素雰囲気下において実施される焼鈍処理とを組み合わせてなる伸線加工を上記鋳塊に施して芯材を作製し、
電気めっき処理を上記芯材に施して、上記Cu系母相及び上記Fe系粒子の両方が存在している上記芯材の表面にSnめっき膜を形成することを特徴とするコネクタピン用線材の製造方法。 - 上記塑性加工は、1パス以上の冷間加工を含むことを特徴とする請求項10に記載のコネクタピン用線材の製造方法。
- 上記電気めっき処理に用いるSnめっき浴は有機酸浴であることを特徴とする請求項10または11に記載のコネクタピン用線材の製造方法。
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