JPH11131285A - 溶接缶用めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶接缶用めっき鋼板およびその製造方法

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JPH11131285A
JPH11131285A JP31428097A JP31428097A JPH11131285A JP H11131285 A JPH11131285 A JP H11131285A JP 31428097 A JP31428097 A JP 31428097A JP 31428097 A JP31428097 A JP 31428097A JP H11131285 A JPH11131285 A JP H11131285A
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steel sheet
layer
iron
granular
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JP31428097A
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Inventor
Hiroshi Kubo
啓 久保
Mikiyuki Ichiba
幹之 市場
Yoshinori Yomura
吉則 余村
Hiroki Iwasa
浩樹 岩佐
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 錫めっきにより錫を鋼板面に対して部分的に
電析させることにより製造される錫めっき鋼板におい
て、塗料及びフィルム密着性、溶接性とともに、耐錫剥
離性を向上させる。 【解決手段】 鋼板の地鉄表面に粒状錫が直接付着して
形成された錫めっき被覆を有する錫めっき鋼板であっ
て、前記錫めっき被覆を構成する粒状錫は、平均粒径が
0.2〜5.0μmであるとともに、地鉄との界面を含
む下層側が錫鉄合金層、その上層側が純錫層からなり、
前記錫鉄合金層中の錫量が50〜500mg/m2、前
記純錫層の錫量が300mg/m2以上、全錫めっき量
が2000mg/m2以下であり、且つ前記錫めっき被
覆は、粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆することで地鉄
面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆部とが混在する
形態を有することを特徴する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、食品や飲料等をは
じめとする各種内容物の充填保存に適した溶接缶用の錫
めっき鋼板、より詳細には鋼板面に対して錫を部分的に
電析させた所謂粒状錫めっき鋼板とその製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】飲料缶や食缶の分野において溶接缶は大
きな比率を占めており、その材料コストの削減は産業上
の重要な課題であるといえる。飲料缶や食缶の分野で用
いられる缶材料としてはブリキ、LTS(薄目付ぶり
き)、TFS(ティンフリースチール)等が一般的であ
り、最近ではこれらに有機被覆を施して用いるものも多
くなっている。有機被覆の下地鋼板として考えた場合、
TFSは安価で且つ塗料およびフィルム密着性に優れる
という長所があるが、一方において溶接性に劣るという
欠点がある。一方、ぶりきやLTSは溶接性には優れて
いるものの、コスト面や塗料およびフィルム密着性の点
でTFSに劣る。
【0003】従来、このような両者の短所を補うべく様
々な試みが行われてきた。その1つが鋼板面上に錫層を
不均一(部分的)に存在させた鋼板であり、この錫めっ
き鋼板は、塗料およびフィルム密着性と溶接性がともに
優れた鋼板として知られている。この種の錫めっき鋼板
に関して、特開昭57−23091号公報や特開昭57
−200592号公報では、有機被覆の下地鋼板とし
て、錫めっき後にリフローを行うことで錫を島状に分散
させた鋼板を用いることが示されており、錫めっき量の
削減により材料コストを低減化し、且つ溶接性を確保し
つつ塗料およびフィルム密着性の向上を図ることができ
るという点で実用的な技術である。
【0004】一方、特開平2−298277公報、特開
平2−310378公報、特公平6−33506公報で
は、リフロー工程を経ることなく鋼板面に錫を粒状に点
在させる所謂粒状錫めっき鋼板の製造法を開示してい
る。この粒状錫めっき鋼板は、色調(白色)、耐食性、
溶接性等に優れるとともに、上述したリフロー工程を経
ることで錫を島状に分散させた錫めっき鋼板に較べて塗
料密着性やフィルム密着性が格段に優れ、また、必要錫
量が少なく且つリフロー工程を必要としないために安価
に製造できるなど、溶接缶用素材として画期的な材料で
あるといえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の粒状錫
めっき鋼板は鋼板表面の粒状錫(錫粒)が剥離しやす
く、製缶工程における剥離錫のロール付着や製缶後の品
質劣化といった大きな問題を抱えており、この問題が缶
用素材として広く市場に普及することを妨げている。し
たがって本発明の目的は、錫めっきにより錫を鋼板面に
対して部分的に電析させることにより製造される錫めっ
き鋼板において、塗料密着性、フィルム密着性、溶接性
等に優れるだけでなく、耐錫剥離性にも優れた溶接缶用
めっき鋼板とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述したような粒状錫め
っき鋼板の長所を残したまま、その短所を補うことがで
きれば、溶接缶用素材として最も高い品質を持つ材料が
期待できる。本発明者は、このような意図の下に鋼板面
上に形成される部分錫めっきの付着形態について検討を
重ね、その結果、鋼板面上に粒状錫を特定の形態と付着
量で存在させることにより、従来の粒状錫めっきに較べ
て錫の剥離が起こりにくく、しかも塗料密着性、フィル
ム密着性、溶接性等の面でも優れた特性が得られること
を見い出した。本発明はこのような知見に基づきなされ
たもので、その特徴は以下の通りである。
【0007】[1] 鋼板の少なくとも片面に、地鉄表面に
粒状錫が直接付着して形成された錫めっき被覆を有する
錫めっき鋼板であって、前記錫めっき被覆を構成する粒
状錫は、平均粒径が0.2〜5.0μmであるととも
に、地鉄との界面を含む下層側が錫鉄合金層、その上層
側が純錫層からなり、前記錫鉄合金層中の錫量が50〜
500mg/m2、前記純錫層の錫量が300mg/m2
以上、全錫めっき量が2000mg/m2以下であり、
且つ前記錫めっき被覆は、粒状錫が地鉄面を不連続状に
被覆することで地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき
被覆部とが混在する形態を有することを特徴する溶接缶
用めっき鋼板。
【0008】[2] 上記[1]の錫めっき鋼板の表面に、金
属クロム層とその上層の水和クロム酸化物層とからなる
クロメート皮膜を有し、前記金属クロム層の付着量が6
mg/m2以上、前記金属クロム層と前記水和クロム酸
化物層の付着量の合計が金属クロム換算で40mg/m
2以下であることを特徴とする溶接缶用めっき鋼板。
【0009】[3] 上記[1]の溶接缶用めっき鋼板の製造
方法であって、鋼板の少なくとも片面に、錫めっき量が
2000mg/m2以下であって、平均粒径0.2〜
5.0μmの粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆すること
で地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆部とが混
在する形態の錫めっきを施した後、該錫めっき鋼板を加
熱処理することで地鉄との界面を含む粒状錫の下層側を
錫鉄合金化し、該錫鉄合金化による錫鉄合金層中の錫量
が50〜500mg/m2、該錫鉄合金層の上層の純錫
層の錫量が300mg/m2以上の錫めっき被覆とする
ことを特徴とする溶接缶用めっき鋼板の製造方法。
【0010】[4] 上記[2]の溶接缶用めっき鋼板の製造
方法であって、鋼板の少なくとも片面に、錫めっき量が
2000mg/m2以下であって、平均粒径0.2〜
5.0μmの粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆すること
で地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆部とが混
在する形態の錫めっきを施した後、該錫めっき鋼板を加
熱処理することで地鉄との界面を含む粒状錫の下層側を
錫鉄合金化し、該錫鉄合金化による錫鉄合金層中の錫量
が50〜500mg/m2、該錫鉄合金層の上層の純錫
層の錫量が300mg/m2以上の錫めっき被覆とし、
次いで、クロメート処理を施すことにより、前記錫めっ
き被覆の上層に、金属クロム層とその上層の水和クロム
酸化物層とからなり、前記金属クロム層の付着量が6m
g/m2以上、前記金属クロム層と前記水和クロム酸化
物層の付着量の合計が金属クロム換算で40mg/m2
以下のクロメート皮膜を形成することを特徴とする溶接
缶用めっき鋼板の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細と限定理由を
説明する。本発明の錫めっき鋼板は、錫めっきにより錫
を鋼板面に対して部分的且つ粒状に電析させ、しかる
後、加熱溶融処理(リフロー処理)によって粒状錫の一
部を錫鉄合金化させた錫めっき鋼板である。
【0012】一般に、錫めっき鋼板はTFSに較べて塗
料密着性やフィルム密着性が劣る。これは錫めっき表層
に生成する錫酸化物層が脆いためであり、このような問
題は平板状の錫めっき層を有する限り殆ど不可避的なも
のである。これに対して、本発明の錫めっき鋼板のよう
に表面の一部に地鉄を残した錫めっき構造(粒状錫によ
る部分錫めっき)を持つものは、鋼板面に錫酸化物層が
ない部分が存在し、地鉄に直接クロムめっきされた部分
は層構造的にはTFSと同様になるため、高い塗料およ
びフィルム密着性が得られる。
【0013】また、粒状錫めっきにより形成される鋼板
表面の凹凸は塗料やフィルムの密着性を高める効果があ
り、したがって、このような部分錫めっき鋼板は、鋼板
面全面に錫めっきを施した後にリフロー工程によって錫
を不連続状若しくは島状に分散させることにより製造さ
れる錫めっき鋼板に較べても、格段に優れた塗料密着性
及びフィルム密着性を示す。本発明は、このような粒状
錫による部分錫めっき鋼板の利点を損なうことなく、耐
錫剥離性を飛躍的に改善した溶接缶用素材である。
【0014】粒状錫めっきが鋼板面から剥離しやすいの
は、粒状錫(錫粒)の地鉄面に対する密着力が小さいた
めである。このような粒状錫の地鉄面に対する密着力
は、粒状錫が地鉄に直接付着して錫めっき被覆を構成す
るとともに、地鉄との界面を含む粒状錫の下層側を錫鉄
合金化し、さらにこの錫鉄合金層中の合金化錫量と粒状
錫の粒径を適正化することにより、効果的に改善できる
ことが判った。
【0015】本発明では以上のような観点に基づき、鋼
板の少なくとも片面に形成される錫めっき被覆の形態
を、粒状錫が下地めっき層等を介することなく地鉄表面
に直接付着して形成され、且つ粒状錫が地鉄面を不連続
状に被覆することで地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫め
っき被覆部とが混在する形態とするとともに、この錫め
っき被覆は、これを構成する粒状錫の平均粒径が0.2
〜5.0μmであること、粒状錫の地鉄との界面を含む
下層側が錫鉄合金層、その上層側が純錫層からなるこ
と、前記錫鉄合金層中の合金化錫量が50〜500mg
/m2、前記純錫層の錫量が300mg/m2以上、全錫
めっき量が2000mg/m2以下であることを条件と
する。
【0016】先ず、錫めっき被覆を構成する粒状錫は、
下地めっき層等を介することなく地鉄表面に直接付着
し、且つ地鉄との界面を含む下層側が錫鉄合金層を構成
していることが必要であり、このような皮膜構造におい
て錫鉄合金層中の合金化錫量と粒状錫の粒径を適正化す
ることにより、優れた耐錫剥離性が得られる。また、錫
めっき被覆は、粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆するこ
とで地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆部(地
鉄露出部分)とが混在する形態であることが必要であ
り、この地鉄露出部分が塗料密着性およびフィルム密着
性の向上に寄与する。
【0017】錫めっき被覆を構成する粒状錫の平均粒径
が0.2μm未満では、めっき表面の凹凸の度合いが小
さくなるため、十分な塗料密着性およびフィルム密着性
が得られない。一方、粒状錫の平均粒径が5.0μmを
超えると粒状錫が剥離しやすくなるため、耐錫剥離性が
劣る。なお、本発明において粒状錫の粒径とは、粒状錫
(錫粒)の鋼板面上への2次元投影面積を円換算したと
きの当該円の直径を指す。
【0018】錫めっき被覆の全錫めっき量が2000m
g/m2を超えると、地鉄露出部分が少なくなるため、
塗料密着性およびフィルム密着性が劣る。錫鉄合金層中
の錫量(合金化錫量)が50mg/m2未満では、地鉄
との界面を含む粒状錫下層側に錫鉄合金層を設けること
による耐錫剥離性の改善効果が不十分であり、一方、錫
鉄合金層中の錫量が500mg/m2を超えても錫の合
金化量に見合うだけの耐錫剥離性の改善効果が得られ
ず、却って経済性を損なう。また、純錫層の錫量が30
0mg/m2未満では溶接性が著しく劣る。図1は、本
発明の溶接缶用めっき鋼板の断面構造を模式的に示した
ものであり、また、図2は本発明の溶接缶用めっき鋼板
表面の顕微鏡拡大写真である。
【0019】通常、上述した錫めっき被覆を有する錫め
っき面には、金属クロム層とその上層の水和クロム酸化
物層からなるクロメート皮膜が形成される。このクロメ
ート皮膜は、金属クロム層の付着量を6mg/m2
上、金属クロム層と水和クロム酸化物層の付着量の合計
を金属クロム換算で40mg/m2以下とする。金属ク
ロム層の付着量が6mg/m2未満では十分な塗料密着
性およびフィルム密着性が得られない。また、金属クロ
ム層と水和クロム酸化物層の付着量の合計が金属クロム
換算で40mg/m2を超えると溶接性が劣化する。
【0020】なお、金属クロム層の付着量は15mg/
2を上限とすることが好ましい。金属クロム層の付着
量が15mg/m2を超えると溶接性が悪化する傾向が
あるためである。また、水和クロム酸化物層の付着量
は、金属クロム換算で5〜15mg/m2とすることが
好ましい。水和クロム酸化物層の金属クロム換算の付着
量が5mg/m2未満では塗料密着性が悪化する傾向が
あり、一方、15mg/m2を超えると溶接性が悪化す
る傾向があるからである。
【0021】次に、本発明の溶接缶用めっき鋼板の製造
方法について説明する。本発明の錫めっき鋼板は、冷延
鋼板等の鋼板を粒状錫めっきした後、加熱処理して粒状
錫の下層側を錫鉄合金化させることにより製造される。
粒状錫めっきは、例えば、光沢剤無添加のフェロスタン
浴を用いて行われ、このフェロスタン浴の浴組成および
電流密度(通常、5〜50A/dm2の範囲で調整)を
適宜調整することにより、鋼板の少なくとも片面に、め
っき量が2000mg/m2以下であって、平均粒径
0.2〜5.0μmの粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆
した形態(地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆
部が混在した形態)の粒状錫めっきを施す。
【0022】次いで、この錫めっき鋼板を加熱処理する
ことで地鉄との界面を含む粒状錫の下層側を錫鉄合金化
させ、その際の加熱処理温度と処理時間等を調整するこ
とにより、錫鉄合金化による錫鉄合金層中の錫量が50
〜500mg/m2、該錫鉄合金層の上層の純錫層の錫
量が300mg/m2以上の錫めっき被覆とする。
【0023】この後、必要に応じてクロメート処理を施
し、錫めっき被覆の上層に上述した構成の金属クロム層
と水和クロム酸化物層とからなるクロメート皮膜を形成
する。このクロメート処理は、一般に6価クロム含有の
硫酸浴にて行われ、金属クロム層の付着量が6mg/m
2以上、金属クロム層と水和クロム酸化物層の付着量の
合計が金属クロム換算で40mg/m2以下となるよう
にクロメート皮膜を電析させる。
【0024】
【実施例】通常の方法によって冷間圧延、連続焼鈍およ
び調質圧延された厚さ0.22mmの低炭素冷延鋼板
に、通常の脱脂および酸洗を施した後、光沢剤無添加の
フェロスタン浴において5〜50A/dm2の電流密度
で錫めっきを施し、引き続き、錫めっきの一部を合金化
する加熱処理を施した。次いで、この錫めっき鋼板にク
ロメート処理を施し、錫めっき被覆の上層にクロメート
皮膜を形成し、溶接缶用素材を得た。これら各溶接缶用
素材の錫めっき被覆を構成する粒状錫の平均粒径を測定
するとともに、溶接性(接触抵抗)、耐錫剥離性、フィ
ルム密着性(ラミネート板深絞り試験)、塗料密着性
(Tピール試験)を評価した。錫めっき条件、クロメー
ト処理条件、各特性の評価法および粒状錫の平均粒径の
測定方法を以下に示す。
【0025】(1)錫めっき (a)浴条件 錫イオン濃度:30g/l フェノールスルホン酸濃度:18g/l(硫酸換算) (b)電解条件(陰極電解処理条件) 電流密度:5〜50A/dm2
【0026】(2)クロメート処理 (a)浴条件 酸化クロム濃度:15g/l 硫酸濃度:0.3g/l 浴温度:45℃ (b)電解条件 電流密度:40A/dm2 電解時間:0.2秒
【0027】(3)各特性の評価 (a)溶接性(接触抵抗) 供試材に対して210℃×30分の熱処理を行った後、
50mm平方に切断し、この試料を2枚重ね合わせて電
極径4.5mmφの電極間に挟んだ後、この電極間を5
0kgfで加圧し、電極間に1Aの電流を流して接触抵
抗を測定した。測定された接触抵抗値に基づき、溶接性
は以下のように評価される。 30μΩ以下:合格 30μΩ超 :不合格
【0028】(b)耐錫剥離性 供試材を130mm×180mmの底面の箱底に張り付
けた上で、箱内に10mmφのアルミナボールを200
g入れ、600mmの振り幅で箱長辺方向に1往復/1
秒のスピードで100秒間振り続けた。アルミナボール
との摩擦によって供試材から剥離した錫量を、試験前後
の蛍光X線法による測定錫量の差によって求めた。測定
された錫剥離量に基づき、耐錫剥離性は以下のように評
価される。 0.03g/m2以下:合格 0.03g/m2超 :不合格
【0029】(c)フィルム密着性(ラミネート板深絞り
試験) 供試材にポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネ
ートした後、58mmφに打ち抜いて30mmφのダイ
で深絞りを行い、フィルムが剥離しない限界深絞り高さ
を求めた。この限界深絞り高さに基づき、フィルム密着
性は以下のように評価される。なお、深絞り高さが22
mmでフィルムの剥離のない供試材は、この高さが絞り
抜きとなるため上限値とした。 17mm以上:合格 17mm未満:不合格
【0030】(d)塗料密着性(Tピール試験) 供試材にエポキシフェノール系塗料を塗装焼付した後、
5mm×100mmの試験片に剪断した。この試験片を
2枚重ね合わせて5mm×50mmのナイロンフィルム
を間に挟み、加熱溶融圧着した。次いで、フィルムが付
いていない部分を外側にして90°に開き、T字形の試
験片を作った。試験片の開いた部分の端を掴んで、試験
片を剥離させていく時の引っ張り強度を測定した。この
引張り強度に基づき、塗料密着性は以下のように評価さ
れる。 4.0kg/5mm以上:合格 4.0kg/5mm未満:不合格
【0031】(4)粒状錫の粒径の測定 SEMによる写真撮影(×3000)を行い、写真中の
粒状錫(錫粒)を透明シートに写し取った。このシート
を画像解析して、錫粒の二次元投影面積の総和を求める
とともに、錫粒の個数をコロニーカウンターにて計数
し、錫粒の平均面積を求めた。そして、この平均面積を
円換算したときの直径を算出し、これを粒状錫の平均粒
径とした。
【0032】各供試例のめっき皮膜構成と性能評価の結
果を表1及び表2に示す。これによれば、本発明例はい
ずれも塗料密着性、フィルム密着性、耐錫剥離性のすべ
ての性能に優れていることが判る。これに対して、比較
例1は粒状錫の平均粒径が大き過ぎるため耐錫剥離性が
劣り、一方、比較例2は粒状錫の平均粒径が小さ過ぎる
ため塗料密着性とフィルム密着性が劣っている。比較例
3は粒状錫の合金化が不十分であるため耐錫剥離性が劣
っている。
【0033】比較例4は全錫めっき量が多すぎるために
地鉄露出部分が少なくなり、このため塗料密着性および
フィルム密着性が劣っている。比較例5は金属クロム層
の付着量が少な過ぎるため、塗料密着性およびフィルム
密着性が劣っている。比較例6は金属クロム層および水
和クロム酸化物層中の全クロム量が多すぎるため、溶接
性に劣っている。比較例7は、粒状錫めっきままで、粒
状錫の下層側が錫鉄合金化されていないため、耐錫剥離
性が極端に劣っている。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】以上述べたように本発明の溶接缶用めっ
き鋼板は、塗料密着性、フィルム密着性、溶接性等に優
れるだけでなく、耐錫剥離性にも優れており、溶接缶用
の素材として極めて有用なものである。また、本発明の
製造方法によれば、このような溶接缶用めっき鋼板を安
価にしかも効率的に安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接缶用めっき鋼板の断面構造を模式
的に示す説明図
【図2】本発明の溶接缶用めっき鋼板表面の錫めっき被
覆の顕微鏡拡大写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩佐 浩樹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも片面に、地鉄表面に粒
    状錫が直接付着して形成された錫めっき被覆を有する錫
    めっき鋼板であって、前記錫めっき被覆を構成する粒状
    錫は、平均粒径が0.2〜5.0μmであるとともに、
    地鉄との界面を含む下層側が錫鉄合金層、その上層側が
    純錫層からなり、前記錫鉄合金層中の錫量が50〜50
    0mg/m2、前記純錫層の錫量が300mg/m2
    上、全錫めっき量が2000mg/m2以下であり、且
    つ、前記錫めっき被覆は、粒状錫が地鉄面を不連続状に
    被覆することで地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき
    被覆部とが混在する形態を有することを特徴する溶接缶
    用めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1の錫めっき鋼板の表面に、金属
    クロム層とその上層の水和クロム酸化物層とからなるク
    ロメート皮膜を有し、前記金属クロム層の付着量が6m
    g/m2以上、前記金属クロム層と前記水和クロム酸化
    物層の付着量の合計が金属クロム換算で40mg/m2
    以下であることを特徴とする溶接缶用めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の溶接缶用めっき鋼板の
    製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、錫めっき
    量が2000mg/m2以下であって、平均粒径0.2
    〜5.0μmの粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆するこ
    とで地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆部とが
    混在する形態の錫めっきを施した後、該錫めっき鋼板を
    加熱処理することで地鉄との界面を含む粒状錫の下層側
    を錫鉄合金化し、該錫鉄合金化による錫鉄合金層中の錫
    量が50〜500mg/m2、該錫鉄合金層の上層の純
    錫層の錫量が300mg/m2以上の錫めっき被覆とす
    ることを特徴とする溶接缶用めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の溶接缶用めっき鋼板の
    製造方法であって、鋼板の少なくとも片面に、錫めっき
    量が2000mg/m2以下であって、平均粒径0.2
    〜5.0μmの粒状錫が地鉄面を不連続状に被覆するこ
    とで地鉄面上に錫めっき被覆部と非錫めっき被覆部とが
    混在する形態の錫めっきを施した後、該錫めっき鋼板を
    加熱処理することで地鉄との界面を含む粒状錫の下層側
    を錫鉄合金化し、該錫鉄合金化による錫鉄合金層中の錫
    量が50〜500mg/m2、該錫鉄合金層の上層の純
    錫層の錫量が300mg/m2以上の錫めっき被覆と
    し、次いで、クロメート処理を施すことにより、前記錫
    めっき被覆の上層に、金属クロム層とその上層の水和ク
    ロム酸化物層とからなり、前記金属クロム層の付着量が
    6mg/m2以上、前記金属クロム層と前記水和クロム
    酸化物層の付着量の合計が金属クロム換算で40mg/
    2以下のクロメート皮膜を形成することを特徴とする
    溶接缶用めっき鋼板の製造方法。
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WO2010070795A1 (ja) * 2008-12-19 2010-06-24 東洋鋼鈑株式会社 錫を粒状に析出させた表面処理鋼板及び樹脂被覆鋼板

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