JP2522075B2 - 缶用極薄Snめっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

缶用極薄Snめっき鋼板及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、食缶など製缶に際して缶胴の継ぎ目を溶
接によってシームする缶用材で、Snめっき層が極めて薄
くても、塗装後耐食性や加工後の耐食性など缶用材とし
ての諸特性に加えて溶接性にも優れた缶用鋼板に関す
る。
[従来技術] 現在、缶用材として最も大量に用いられているものに
Snめっき鋼板とティンフリースチールとがある。Snめっ
き鋼板は前世紀から用いられて来たもので、缶用材とし
てのSnめっき鋼板の持つ特性は極めて優れたものであ
る。しかしながら、よく知られているように、Snは資源
的に限られたものであることから、Snめっき鋼板開発の
歴史は又Snを節約する技術の歴史でもある。缶胴は、缶
用材めっき鋼帯に耐食塗料を塗布したのち、その寸法に
切断した四角形の缶用材を丸めてその両端をシームして
作られる。このシーム技術もSnめっき鋼板のSnの節約に
応じて開発され、半田付けに始まり現在では溶接法、接
着法等が実用されている。
ティンフリースチールはCrめっき鋼板であり、全くSn
を用いないものであるが、残念ながら、有機材料を用い
た接着法によるシームしか行えず、溶接法が実用できな
い。接着法では、接着剤に耐熱性の限界や接着時間に伴
う生産性の低下等があり、使用上、工程上の制限を受け
る。溶接法では、継ぎ目部を重ねて銅線電極の間に挟
み、ロールによって加圧しながら電気抵抗加熱溶接を行
う。このとき、ティンフリースチールでは被膜表面に絶
縁体である酸化物が多く、溶接面同士の接触電気抵抗が
大き過ぎて高電圧を印加しなければならない。高電圧を
かけると局部的に過剰電流が流れチリと呼ばれるスプラ
シュが発生し良好な溶接が得られない。現在では、めっ
き最表層に少量のSnを存在させることで、これが解消さ
れることが判り、このSnの最小量は0.05g/m2であるとい
われている。即ち、缶用極薄Snめっき鋼板の開発では、
缶用材としての耐食性や加工性等の諸特性に加えて、溶
接時に最小量のSnを残すことに力が注がれている。
一般には、溶接前に缶内塗料が焼き付けられ、この際
に鋼板上にめっきされたSnは拡散するFeと合金化し金属
Snの特性を失う。Snのみをめっきしその上に化成処理を
施したSnめっき鋼板では、この点を考慮しSnを1.1g/m2
まで減じたいわゆる#10ぶりきまでが実用されている。
これに対して、更にSn量を減じても前記した他の諸特性
とともに溶接性を損なわないめっき被膜構成として、Sn
層の下にNiやCrのめっき層を設けることが検討されてい
る。例えば、特開昭63-499では、鋼板表面にCr或はCr−
Niを拡散させ、この拡散層によって塗料焼き付け時のSn
−Fe合金の生成を抑制し、Snめっき量を0.1g/m2まで節
減することが提案されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、CrとFeとの拡散層或はCrとNiとFeとの
拡散層は、Sn−Fe合金の生成を抑制することはできる
が、抑制度合いに限界がありSn量の半分近くは合金化さ
れてしまう。このため、溶接性を損なうことなくSn量を
更に節減することが困難であった。
この発明はこの問題を解決するためになされたもの
で、更にSn量を節約しても、溶接性その他の缶用材とし
ての諸特性を損なうことのない缶用極薄Snめっき鋼板の
提供を目的とするものである。
[課題を解決するための手段] この目的を達成するための手段は、鋼板の表面がCrと
Ni合わせて0.02g/m2以上0.2g/m2以下の付着量のCr・Ni
熱拡散層で覆われ、この熱拡散層の上に付着量0.05g/m2
以上1.0g/m2以下のSnめっき層を有し、このSnめっき層
の上に、金属Cr量が3mg/m2以上30mg/m2以下で且つ1μm
2当たり10個以上の突起を有し、該突起部とその他の部
分で厚みの異なるクロメート層を有する溶接缶用極薄Sn
めっき鋼板、及びこの缶用極薄Snめっき鋼板を製造する
に適した方法で、この方法は、鋼板の表層にCrとNi合わ
せて0.02g/m2以上0.2g/m2以下の付着量のCr・Ni熱拡散
層を生成し、調質圧延を行った後、付着量0.05g/m2以上
1.0g/m2以下のSnめっきを施し、その後、クロメート処
理液中で電流密度5A/dm2以上30A/dm2以下で0.3秒以上0.
5秒以下の陽極処理に引き続いて陰極処理を行い、突起
を形成するとともに金属Cr量が3mg/m2以上30mg/m2以下
のクロメート層を生成する溶接缶用極薄Snめっき鋼板の
製造方法である。
[作用] 鋼素地とSnめっき層との間に、Crめっき層やCr熱拡散
層が存在すると、めっき鋼板に耐食性を与えると共に塗
装焼き付け時のSn−Fe合金化を抑制することは、よく知
られている。しかしながら、これらCr系の欠点としてCr
めっきの付着効率を低下させる作用がある。Crは酸素親
和性の極めて高い金属で容易に酸化物や水酸化物を生成
するので、Cr系の層の上ではこの影響を受け、Snの均一
な析出や表面拡散が妨げられる傾向が強い。Cr・Ni熱拡
散層はこの欠点を削減したもので、Niの添加によってSn
は均一に析出し付着効率は著しく改善される。第1表
は、CrとNiの比を変えて鋼板上にめっきし、700℃で25
秒間熱拡散し、その上にSnをめっきしたときの付着効率
を調べた結果である。
Crの比率が極端に大きいと、付着効率は悪く又めっき
皮膜を観察しても粗いが、Niが増えるにつれて付着効率
は改善され、めっき皮膜も滑らかとなる。
これらの作用に加えて、この熱拡散層が存在すると、
加工後も良好な耐食性を保つことが出来る。厳しい加工
を受けるとめっき被膜に亀裂が生じ、拡散していないCr
やNi或いはCr・Ni合金めっき層では、この亀裂の下では
鋼素地が露出してしまうが、熱拡散層では深部にまでCr
やNiが拡散しており、層の上部に亀裂が生じても亀裂の
下には未だこれらが存在して鋼の露出を防ぐ。このた
め、製缶時の巻き締め加工や絞り加工の後も被膜の連続
性を保ち耐食効果を維持する。
Snめっき層は、シーム溶接の際はSn特有の軟らかさと
低い融点のために電気抵抗加熱溶接時の接触抵抗を減じ
て良好な溶接を可能にする、又、缶内容物充填後は耐食
被膜として機能する。Snめっき量は溶接性を確保するだ
けは必要であり、この必要Sn量を確保するために、Cr・
Ni熱拡散層の合金化抑制作用を利用する。しかし、この
Cr・Ni熱拡散層があっても、缶用途料の焼き付け時にSn
とFeとの拡散を十分に防ぐことは困難である。第2表
は、Cr・Ni熱拡散層とSn−Fe拡散の関係を示すもので、
Cr及びNiのめっき量を変えて熱拡散層を形成し、その上
にSnをめっきし、これを205℃に10分間保って空焼きし
た後、合金化せずに残っている金属錫の量を測定した結
果である。
Cr・Ni熱拡散層の合金化抑制効果は明瞭である。この
効果はCr・Ni量が0.01g/m2でも十分に現れるが、実用上
加工条件のバラツキを考慮すると、巻き締め加工後の耐
食性を確実に維持するためには、0.02g/m2以上のCr・Ni
量が望ましい。又、耐食性に関してはこの熱拡散層は厚
いほど良いが、この層の硬度は鋼やNiに較べて高く、余
りに厚すぎると溶接面を接触させたとき柔軟性を欠き、
溶接性にとって好ましくない。0.2g/m2を超えて厚くし
てもその耐食性への効き方は緩慢となり、溶接性を阻害
するおそれもあるのでその量は0.2g/m2以下であること
が望ましい。
しかしながら、このようなCr熱拡散層があっても、30
〜40%のSnは空焼きにより合金化されてしまう。Sn量を
節減していくと、この合金化量は無視できなくなり、特
に、Snめっき量が0.1g/m2以下ともなると、Sn残量が溶
接に必要であると言われている量即ち0.05g/m2未満とな
るおそれもある。しかし、この溶接に必要なSn量は、ク
ロメート層の存在を前提とする量であり、クロメート層
を工夫することによって更に低減することが可能であ
る。缶用材では缶の内容物に対応して塗装を施すことに
よって耐食性を確保するが、これら塗料の付着性や塗膜
下耐食性を確保するため、クロメート層は欠かせないも
のとなっている。クロメート層は金属Crとこれを覆うCr
の酸化物或いは水酸化物からなるが、酸化物或いは水酸
化物は金属に較べ電気抵抗の大きい絶縁材であり、又、
酸化物は極めて硬くしかも両者とも融点は極めて高く、
これらが溶接面の接触電気抵抗を大きくしている。この
ような、クロメート層が一般にはCr換算で5〜30mmg/m2
存在し、溶接時にこの存在を補う量として50mmg/m2のSn
量が必要となる。しかしながら、1μm2当たり10個以上
の突起を有し、該突起部とその他の部分で厚みの異なる
クロメート層であると、溶接時に圧下力を受けたとき、
この突起の先端は局部的に非常に大きな力を受けるの
で、この部分の酸化物或いは水酸化物の膜は破壊され、
金属Crが露出してくる。金属Cr同士が接触すれば、電気
抵抗は10-12倍以下にも下がるので、溶接面の接触抵抗
は低下する。このため、Sn量は溶接時に0.02g/m2以上あ
れば容易に溶接することが出来、そのためには、0.05g/
m2以上のめっき量でよい。Sn量は多い程溶接性が向上す
ることは当然であるが、増量の効果は徐々に小さくなる
ので、Sn節約の観点からも、1.0g/m2を上限とすること
が妥当である。
クロメート層の突起の数は多いほど接触抵抗が減じ、
μm2当たり10個以上存在すると確実にその効果が得られ
る。Cr・Ni熱拡散層の上に0.05g/m2のSnをめっきし、後
に述べる方法で、突起の形成されるクロメート処理を施
した試験片について、突起数と接触抵抗とを測定した。
第1図はこれらの結果を表したものである。図で、縦軸
は接触抵抗値、横軸は突起数で平方根の間隔で目盛って
ある。応力勾配は突起間の距離に反比例し、応力差の生
じる箇所は突起数に比例すると考えられる。図は、突起
数が少ないと接触抵抗が大きくなってくること、又、突
起数が10個/μm2以上では接触抵抗が非常に小さくなる
ことを示している。このような効果のある突起を作るた
めに金属Cr量で3mmg/m2以上あることが望ましい。金属C
rが少なく1mg/m2程度では、突起の形成だけでなく塗膜
下耐食性を維持することも困難である。又、30mmg/m2
超えた場合でも突起は形成されるが、酸化物が増えるこ
との負の効果を考慮すると、30mmg/m2を超えない方が望
ましい。
上記の缶用極薄Snめっき鋼板を製造するためには、先
ず、Cr・Ni熱拡散層を形成する必要がある。これには、
熱処理前の鋼板の表面にCr及びNi或いはこれらの合金を
鋼板表面に付着させておくと、この鋼板を熱処理すると
きに、Cr・Niが熱拡散される。この方法は、一般に行わ
れているように、熱処理及び調質圧延を施され機械的性
質の調整された鋼板にめっきを施すよりも工程が少な
く、且つ省エネルギー的であり、又、鋼板は二度目の処
理による材質への影響を受けないで済む。熱処理が冷間
圧延後に行う焼鈍の場合、缶用鋼板では一般に700℃付
近に加熱され、又、過時効処理では500℃前後に加熱さ
れる。何れの熱処理でも、Cr・Ni熱拡散層が十分に形成
されるので、どちらの熱処理を利用してもよい。Cr及び
Niを鋼板に付着させる方法はここに述べる以外に何通り
もあるが、Cr・Niの合金めっきを施すと、付着は一工程
で済む。Crをめっきしその上にNiをめっきすると、工程
は増えるが、熱拡散層の上層では下層よりもNi濃度が高
くなり、Snめっきの付着効率に寄与する。Crをめっきし
その上にNi・Fe合金をめっきすると、熱処理温度が低か
ったり或いは熱処理時間が短くても十分に拡散が行われ
る。何れの方法で付着させても前記した加工後耐食性に
優れたCr・Ni熱拡散層が得られる。
クロメート処理液中で陽極電解を短時間行った後引き
続いて陰極電解を行うと、微細な突起が無数にできる。
クロメート処理液は周知のクロム酸或いは重クロム酸系
のものでよい。短時間の陽極電解によって処理面を不均
質な状態にし、その後陰極電解を行うことによってCrの
不均一析出を起こさせるものであり、析出量の多い所が
突起となる。陽極電解の時間は極く短くてよく0.5秒に
至らなくても十分に効果が得られる。
[実施例] 冷延鋼板の表面にCr及びNiを付着してから熱処理を施
し、伸張率2%の調質圧延を行った後、Snをめっきし、
これにクロメート処理液中で陽極処理に引き続いて陰極
処理を施した。これらの試験片について、耐食性、塗料
付着性、溶接性を調べた。試験は、この発明の範囲外の
比較例及び従来の技術による従来例とについても行い、
これらを比較した。なお、従来例では実施例と同様にCr
・Niめっき、熱処理及びSnめっきを施し、又、熱拡散層
がCr熱拡散層の場合も含めたが、クロメート処理では陽
極電解を行わず陰極電解処理のみを施した。
試験片作製の処理条件は次のようであった。
Crめっき: CrO3 200g/l (NH4)F 3g/l 浴温 50℃ 電流密度 40A/dm2 Cr・Ni合金めっき: CrO3 200g/l NiSO4・6H2O 150g/l NiCl2・6H2O 45g/l 浴温 50℃ 電流密度 40A/dm2 Niめっき: NiSO4・6H2O 240g/l NiCl2・6H2O 45g/l H3BO3 30g/l pH 2.7 浴温 50℃ 電流密度 40A/dm2 Ni・Fe合金めっき: NiSO4・6H2O 240g/l NiCl2・6H2O 45g/l FeSO4 150g/l H3BO 30g/l pH 2.0 浴温 50℃ 電流密度 10A/dm2 Snめっき: Sn++ 30g/l フェノールスルフォン酸 70g/l 光沢剤 5g/l 浴温 50℃ 電流密度 20A/dm2 これらの処理条件は何れも一般に用いられているめっ
き条件である。
クロメート処理A: CrO3 50g/l (NH4)F 1g/l 浴温 40℃ 陰極処理電流密度 20〜50A/dm2 陽極処理電流密度 5〜30A/dm2 陽極処理時間 0.3〜0.4秒 クロメート処理B: Na2Cr2O7 50g/l pH 5.5 浴温 40℃ 陰極処理電流密度 5〜10A/dm2 陽極処理電流密度 5〜30A/dm2 陽極処理時間 0.3〜0.4秒 耐食性試験としては、加工後耐食性、塗膜下耐食性、
鉄溶出試験を行ない、塗料付着性試験としてTピール試
験を、溶接性は接触電気抵抗を調べた。
加工後耐食性は、製缶時の巻き締め加工後の耐食性を
調べるもので、試験片を二つに折り曲げ、これを食塩1.
5%、クエン酸1.5%を含む水溶液に38℃で96時間浸漬し
た後、鉄の発錆を調べた。二つに折り曲げるとき、その
間にスペーサーを全く挿まないいわゆる密着折り曲げを
OT,試験片と同じ厚さの板を挿んだ場合の1T,以下5Tまで
の折り曲げ方により、どの折り曲げ方まで発錆がなっか
ったかによりT値で判定する。ここでは、試料30枚につ
いて試験し、全てが1Tより良かった場合を○、2Tが混じ
た場合を△、3Tが混じた場合を×で評価した。
鉄溶出試験は、果実やジュースなどの缶内容物による
腐食の耐性を調べるもので、供試材にエポキシ系缶内塗
料を20μm塗り、205℃で10分間焼き付けた後、クエン
酸1.5%と食塩1.5%含む水溶液に、38℃で96時間浸漬
し、この浸漬液に溶出した鉄の量を測定した。
塗膜下耐食性試験としては、UCC試験とブリスター試
験とを行い、両試験のうち悪い方の結果で塗膜下耐食性
を評価した。UCC試験では、鉄溶出試験と同様に缶内塗
料を焼き付けたのち、塗膜にナイフで十字に下地に達す
る傷を付け、これを鉄溶出試験と同じ条件で浸漬した
後、傷の周囲の劣化状況を観察した。劣化の状況は、塗
膜めくれ状況、素地の腐食状況を目視観察し、腐食が認
められない状態を○、腐食が若干認められるが実用に耐
える状態を△、一見して腐食が認められ状態を×で評価
した。
ブリスターでは、鉄溶出試験と同様に缶内塗膜を焼き
付けた試片を、先ず、0.1%食塩中で120℃に加温し、2k
g/cm2の加圧下に1.5時間曝す。この後更に、0.1%の食
塩水に38℃で96時間浸漬し、塗膜の劣化状況を観察す
る。観察は、塗膜にふくれの発生している部分の面積が
全体に占める率を判定する。率が5%未満を○、5〜20
%を△、20%を超えた場合を×で評価した。
Tピール試験では、缶用のエポキシフェノール樹脂を
50mg/m2塗布し、205℃で10分間焼き付けた後、5mm幅の
試験片となし、この試験片2枚の塗装面をナイロンフィ
ルムを接着媒体として熱圧着した後、20mm/分の速度で
引き剥がし、塗膜の付着強度を測定した。
溶接性は同種の材料同士の接触電気抵抗を測定するこ
とで評価した。試験片を二枚重ねて直径5mmの銅電極間
に挿み込み、4000kg/cm2の圧力下で通電し、このときの
通電電流と試験片間の電位差とから接触抵抗を求めた。
なお、Cr熱拡散層の形成については、試験No.1、2で
はCr・Ni合金めっきを施して730℃で20秒間の熱処理を
行い、試験No.3、5、10及び11ではCrをめっきした後Ni
めっきを施して680℃で熱130秒間の熱処理を行い、試験
No.4、12及び13ではCrをめっきした後Ni・Fe合金めっき
を施して480℃で3時間の熱処理を行った。
又、クロメート処理は試験No.1〜4、10及び11につい
てはクロメート処理Aの条件で、試験No.5、12及び13に
ついてはクロメート処理Bの条件で行い、試験No.14〜1
6についてはクロメート処理Aの陰極処理条件で行っ
た。
なお、突起数については、20万倍の走査型電子顕微鏡
を用いて、一枚の試験片につき10箇所を測定しその平均
値を求めた。
供試材及び試験の結果を第3表に示す。
実施例では、全項目で満足すべき結果が得られた。
これに対して、比較例では、Snめっき量の少ない試験
No.10及びCrとNiのめっき量の少ない試験No.11ではTピ
ール試験以外の項目で劣り、CrとNiのめっき量が極端に
多い試験No.12では、接触抵抗が多い。又、クロメート
層中の金属Crが少なく突起数の少ない試験No.13では、
塗膜の付着性が悪く塗膜下耐食性に劣り、溶接性にも劣
る。陽極電解を行わなかった試験No.14では、突起数が
少なく溶接性に劣る。
従来例では、熱拡散層がCrであってもCr・Niであって
も、陽極電解を行っていないので、溶接性に劣る。
[発明の効果] 以上のように、この発明によればCr・Ni熱拡散層の上
にSnめっき層が存在し、その上を多数の突起を持つクロ
メート層が覆う被膜構造となっている。このため、Snが
大幅に節減されているにもかかわらず、溶接性を始め缶
用鋼板としての諸特性を満たすことができる。このよう
に、性能に優れ且つ省資源を実現したこの発明の効果は
大きいと言わざるを得ない。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の原理を説明するための突起数と接触
抵抗との関係を示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の表面がCrとNi合わせて0.02g/m2以上
    0.2g/m2以下の付着量のCr・Ni熱拡散層で覆われ、この
    熱拡散層の上に付着量0.05g/m2以上1.0g/m2以下のSnめ
    っき層を有し、このSnめっき層の上に金属Cr量が3mg/m2
    以上30mg/m2以下で且つ1μm2当たり10個以上の突起を
    有し、該突起部とその他の部分で厚みの異なるクロメー
    ト層を有することを特徴とする溶接缶用極薄Snめっき鋼
    板。
  2. 【請求項2】鋼板の表層にCrとNi合わせて0.02g/m2以上
    0.2g/m2以下の付着量のCr・Ni熱拡散層を生成し、調質
    圧延を行った後、付着量0.05g/m2以上1.0g/m2以下のSn
    めっきを施し、その後、クロメート処理液中で電流密度
    5A/dm2以上30A/dm2以下で0.3秒以上0.5秒以下の陽極処
    理に引き続いて陰極処理を行い、突起を形成するととも
    に金属Cr量が3mg/m2以上30mg/m2以下のクロメート層を
    生成することを特徴とする溶接缶用極薄Snめっき鋼板の
    製造方法。
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