JP3270318B2 - 溶接性、耐食性、外観性および密着性に優れた溶接缶用鋼板 - Google Patents

溶接性、耐食性、外観性および密着性に優れた溶接缶用鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製缶素材として、
特にシーム溶接性、耐食性、外観性および密着性に優れ
た溶接缶用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ワイヤーシーム抵抗溶接法による
溶接缶の製缶技術が急速に進展し、飲料缶分野での実用
化が急速に進展してきた。この種の溶接缶に使用される
缶用鋼板としては、特開昭60−208494号公報で
開示されているような表面に多数の凸部を有する金属S
nを有し、その上に適正なクロメート被覆層を形成した
表面処理鋼板、あるいは、特開昭60−29484号公
報で開示されているようなシーム溶接性に優れた製缶用
表面処理鋼板が提案されている。これらの容器用表面処
理鋼板を用いて、缶内面には耐食性を確保するための塗
装焼き付けが行われ、缶外面には多色刷り印刷が行われ
る。
【0003】通常、これらの塗装、印刷ではSnの融点
以下の温度(190〜220℃程度)で数十分焼き付け
が行われる。この後、ワイヤーシーム溶接法により製缶
が行われるが、鋼板の溶接性は、溶接前すなわち塗装、
印刷後のフリーSn(合金化していない金属Sn)量に
依存していることが従来より知見されている。一般に、
Snめっき鋼板は、Snめっき量が少ない場合、Snが
塗装、印刷により下地金属と合金化し、フリーSnが減
少し溶接性が劣化する傾向にあるが、上記の発明では、
塗装、印刷でのSn合金化を抑制し、所定量のフリーS
nを確保することにより溶接性を確保している。従っ
て、確かに上記の発明は溶接缶用表面処理鋼板を提供す
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年では、より一層の
製缶技術の進歩と製缶コストダウンが相俟って、製缶生
産性の大幅な向上を狙って、技術革新が行われている。
即ち、従来は行われていなかったSnの融点を超えるよ
うな高温焼き付けによる短時間高速塗装焼き付け技術の
開発である。この技術では、従来、数十分かかっていた
塗装、印刷が、数十秒から数分で行うことが可能とな
り、製缶生産性を飛躍的に向上する事が出来る。この高
温、短時間高速塗装焼き付け技術に、先述の発明を適応
した場合、Snの融点を超える様な高温焼き付けでは、
Sn合金化の抑制効果が十分に機能せずフリーSn量が
減少し、良好な溶接性を確保することは出来ない。ま
た、従来の発明でもSnを増量すれば、塗装焼き付け後
に残るフリーSn量も多くなるが、高価なSnの増量は
経済的に著しく不利益である。
【0005】更に、最近では、塗装、印刷の代わりに缶
内面かつ/または缶外面に有機フィルムをラミネートし
たラミネート溶接缶が実用化される傾向にある。ラミネ
ート溶接缶用材料にSn系の材料を使用した場合、溶接
部近傍でフィルム密着性不良が発生する。これは、溶接
によりSn融点以上に温度上昇される溶接部近傍は、S
nめっき層が溶融する。この時、めっき層上のフィルム
は溶融した液体金属Sn上にいわば浮かんでいる様な状
態になるため、フィルム密着性が極めて低くなり、冷却
風によるフィルム剥離やフィルムの内部応力によるフィ
ルム収縮が起こり易くなり、フィルム密着不良が生じ
る。また、片面にラミネートを、もう片面には高温短時
間塗装焼き付けを行った時も、同様のSn溶融によるフ
ィルム密着不良が生じる。従って、高温短時間高速塗装
焼き付けを行っても、良好な溶接性を発揮できるフリー
Snを確保し、溶接缶用材料として必要な塗料密着性、
外観性および耐食性を有し、更には、ラミネート溶接缶
特性に不可欠なフィルム密着性にも優れた溶接缶用表面
処理鋼板が切望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高温短時
間高速塗装焼き付けを行っても、Snの合金化を抑制
し、優れた溶接性を発揮できるフリーSnが残留するめ
っき構造について、鋭意研究した。その結果、金属Sn
と下地めっき層との間に水酸化物層を形成させれば、S
nの融点を超える高温焼き付けを行っても、この水酸化
物層がバリヤー皮膜となり、Snの下地金属との合金化
を妨げ、従来技術に比べ遙かに多くのフリーSnを確保
できることを見出した。
【0007】本発明は、上記の知見に基づき、 (1)鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量5
0〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき上に、
e系またはNi系の水酸化物層を有し、次いで、溶融溶
錫処理により形成した面積被覆率40〜98%でめっき
量400〜2500mg/m2 の島状のSnめっき層を
有することを特徴とする溶接性、耐食性、外観性および
密着性に優れた溶接缶用鋼板。 (2)鋼板表面にNiを5〜55%含有しためっき量5
0〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき上に、
e系またはNi系の水酸化物層を有し、次いで、溶融溶
錫処理により形成した面積被覆率80%を越えて98%
以下でめっき量400〜2500mg/m2 の島状のS
nめっき層を有することを特徴とする溶接性、耐食性、
外観性および密着性に優れた溶接缶用鋼板。
【0008】(3)最表層にCr換算量で2〜40mg
/m2 のクロメート被覆層を形成したことを特徴とする
前記(1)または(2)記載の溶接性、耐食性、外観性
および密着性に優れた溶接缶用鋼板。 (4)水酸化物層の膜厚1nm〜500nmである部分
の面積被覆率が50%以上であることを特徴とする前記
(1)〜(3)記載の溶接性、耐食性、外観性および密
着性に優れた溶接缶用鋼板である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて詳細に説明する。本発明においてめっき原板は特に
規制されるものではなく、通常、容器材料として使用さ
れる鋼板を用いる。めっき原板の製造法、材質なども特
に規制されるものではなく、通常の鋼片製造工程から熱
間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質等の工程を経て製
造される。更に、このめっき原板は必要とされる缶体強
度および板厚に応じて冷間圧延後、焼鈍を行ってから再
冷間圧延(即ち2CR法)する工程で製造してもよい。
上記のめっき原板に、めっきを行う場合、通常、めっき
原板表面を清浄化するため前処理として脱脂、酸洗が行
われるが、それらの方法は特に規制するものでは無く、
例えば、10%苛性ソーダ中で脱脂した後、5%硫酸溶
液中で酸洗を行えばよい。
【0010】脱脂、酸洗に引き続き、先ずFe−Ni合
金めっき層が形成される。Fe−Ni合金めっき層の目
的は耐食性の確保である。Fe−Ni合金めっきは、高
い耐食性を有するNiを使用することにより、めっき層
自体の耐食性を向上させる事が出来る。更に、Feと合
金化させることにより、腐食電位を地鉄に近接させ、F
e−Niめっきにピンホールの様なめっき欠陥が有った
場合でも、電位差を極力小さく抑えることが出来るの
で、孔食の進行を抑制することが出来る。
【0011】従って、Fe−Ni合金めっきが実用上、
優れた耐食性を発揮するためには、鋼板片面当たりでN
i含有率が5%以上、めっき量で50mg/m2 以上必
要である。めっき層中のNi含有率が増加する程、或い
は、Fe−Ni合金めっき量が増加する程、Fe−Ni
合金めっきの耐食性向上効果が増加するが、Ni含有量
が55%を越えると、或いは、Fe−Ni合金めっき量
が800mg/m2 を越えると、Fe−Ni合金めっき
の耐食性向上効果が飽和するため、経済的に不利であ
る。従って、Fe−Ni合金めっき層中のNi含有率は
5〜55%、かつ、Fe−Ni合金めっき量は50〜8
00mg/m2 にする必要がある。
【0012】本発明において、Fe−Ni合金めっき方
法は特に規制しない。例えば、電気めっき法やNiめっ
き後加熱拡散処理によって得られるが、異常共析型のF
e−Ni合金めっき法を用いれば、次に述べるFe−N
i合金めっき層上の水酸化物層をFe−Ni合金めっき
を施す時に、同時に形成させることが出来るため、工業
的には異常共析型のFe−Ni合金めっき法により製造
することが望ましい。
【0013】次に、Fe−Ni合金めっき層上に形成さ
せるFe系水酸化物、Ni系水酸化物の1種または2種
から構成されている水酸化物層について述べる。この水
酸化物層の役割は、主に溶接性の確保である。即ち、溶
接性は、主としてフリーSnの量に依存しており、フリ
ーSn量が多くなる程、溶接性は向上し、逆にフリーS
nが少ないほど、溶接性は劣化することが知られてい
る。一方、Snは、下地金属であるFeあるいはNi等
と融点(232℃)以下でも合金化するが、融点を超え
るとSnの合金化速度は、著しく増加するため、高温焼
き付けでは溶接性が劣化する。しかし、Snめっき層の
下層に、Fe系水酸化物あるいはNi系水酸化物が存在
するとSn金属は融点以下あるいは融点を超えても、下
地金属との合金化が抑制される。この理由は、Fe系水
酸化物あるいはNi系水酸化物が、金属Snと親和力が
低いため、合金化しようとするSnの移動を妨げるバリ
ヤー層として作用しているためと考えられる。
【0014】従って、Fe系水酸化物あるいはNi系水
酸化物の合金化抑制効果を実用上、十分に発揮させるた
めには、水酸化物を面積占有率で50%以上被覆させな
ければならない。また、この水酸化物は局所的なSnの
合金化を防止するため均一に存在することが望ましい。
水酸化物の面積占有率が50%未満では、水酸化物が被
覆していない箇所から、塗装焼き付け時に合金化進行
し、水酸化物が有している合金化抑制効果を十分に発揮
させることが出来なくなる。水酸化物の被覆率が増加す
ると、合金化抑制効果も増加し、完全に被覆することに
よりその効果も最大となる。
【0015】また、上述の水酸化物のSn合金化抑制効
果は、水酸化物が1nm以上存在すれば、その効果を発
揮する。従って、面積占有率50%以上の水酸化物量は
1nm以上必要である。水酸化物層の厚みが厚くなる
程、Sn合金化の抑制効果が増加するが、500nmを
越えると、水酸化は凝集力が低いため、水酸化物層を界
面として凝集破壊による密着不良を生じやすくなる。従
って、水酸化物量の厚さは1nm〜500nmにする必
要がある。水酸化物の被覆率あるいは厚さは、例えば、
ESCA,SIMS,EPMA等で測定することが出来
る。
【0016】本発明で使用される水酸化物は、Fe系水
酸化物、Ni系水酸化物の1種または2種から構成され
ている。水酸化物としては、特に規制するものでは無
く、例えば、Fe系水酸化物としてFe(OH)2、Fe
O・xH2 O、Fe(OH)3、Fe2 3 ・nH2 O、
FeO(OH)等を、Ni系水酸化物としてNiOH、
Ni(OH)2、Ni23 ・nH2 O、NiO(OH)
等を使用すればよい。これらの水酸化物を形成させる方
法についても特に規制しない。例えば、電気化学的な手
法を用いても良く、化学反応や真空蒸着を利用しても良
い。工業的には、Fe−Ni合金めっきで述べたよう
に、Fe−Ni合金めっきとこれらの水酸化物の形成を
同時に行うことが出来る異常共析型のFe−Ni合金め
っき法を用いることが望ましい。
【0017】次に、水酸化物層上に溶融溶錫処理を行っ
たSnめっきが形成される。このSnめっき層の目的
は、再三述べている様に溶接性の確保である。本発明に
よれば、Snのめっき量は400mg/m2 以上必要で
ある。めっき量が400mg/m2 未満で溶接性が劣化
し安定して良好な溶接を得ることが出来ない。Snめっ
き量が400mg/m2 以上になると溶接性は良好にな
り、Snめっき量が多くなる程、溶接性の改善効果は向
上するが、Snめっき量が2500mg/m2 を越える
と、この向上効果は飽和するため、経済的にもSnめっ
き量は2500mg/m2 以下で十分である。
【0018】更に、このSnめっき層は、溶融溶錫処理
によりSnを融点以上に加熱し、弾かせ、面積占有率を
40〜98%にする必要がある。これは、Snの面積占
有率が98%を越えるとフィルム密着性が劣化するため
である。フィルム密着性を確保するためには、溶融した
Snの面積を減少させ、Snの融点を超えても、また
は、溶接熱によっても、溶融しないFe−Ni合金めっ
き層や水酸化物層を露出させることにより後述するクロ
メート皮膜と相俟って優れたフィルム密着性を発揮させ
ることが出来る。
【0019】従って、Snの面積占有率は98%以下に
する必要がある。Snの面積占有率が小さくなる程、溶
融しないFe−Ni合金めっき層や水酸化物層の露出面
積率が大きくなるため、Snの面積占有率は小さいほど
良い。しかし、Snの面積占有率が40%未満では、S
nの有する良好な溶接性が発揮されなくなり、溶接時に
チリが発生したりナゲットが安定して生成しなくなる。
【0020】また、本発明品及び本発明品を使用した塗
装及びラミネート鋼板の外観性はSn面積率が依存して
おり、面積率が低くなる程、外観の優れたSnの面積が
狭くなるため、外観性が劣化する。Snの面積率が40
%以上であれば、実用上問題ないが、Snの面積率が8
0%を越えると全面にSnが覆った一般ブリキの如く優
れた美麗外観を発揮し始める。従って、Snの面積占有
率は40〜98%、より優れた外観性を発揮させるため
にはSnの面積率80%超にする必要がある。尚、Sn
の面積率は、例えば、試料に1ミクロン径の電子ビーム
を400×400点に照射し、Snの特性X線強度から
測定することができる。
【0021】本発明では、Snめっき及び引き続き行わ
れる溶融溶錫処理方法については特に規制しない。Sn
めっきについては、例えば、フェノールスルホン酸をベ
ースにしたSnめっき浴から電気めっきによって得るこ
とが出来る。また、溶融溶錫処理方法については、例え
ば、通電加熱や誘電加熱により、Snの融点以上に加熱
すれば良い。引き続き、溶融溶錫処理の後、塗料密着
性、フィルム密着性、耐食性(アンダーカッティングコ
ロージョンの防止)を目的としてクロメート皮膜が付与
される。ここで言うクロメート皮膜とは、水和酸化クロ
ム単一の皮膜、即ち本来のクロメート皮膜といま一つは
下層に金属クロム層、上層に水和酸化クロム層の二層よ
りなる被膜の二つの場合を指している。水和酸化クロム
層には、後述するめっき助剤である硫酸イオンやフッ素
イオンなどを含む場合がある。フィルム密着性や耐食性
は、この水和酸化クロムの官能基とラミネートされるフ
ィルムの官能基が強固な化学的な結合を行うことによっ
て確保される。
【0022】しかし、水和酸化クロム被膜は電気的に絶
縁体のため電気抵抗が非常に高く、金属クロムも融点が
高くかつ電気抵抗も高いので、両者とも溶接性を劣化せ
しめるマイナス要因である。そのため、良好なフィルム
密着性、耐食性と実用的に溶接性を劣化せしめない適正
なクロメート皮膜付着量が非常に重要となる。従って、
クロメート皮膜付着量は金属クロム換算で片面当たり2
〜40mg/m2 が選定される。即ち、クロメート皮膜
付着量が2mg/m2 未満では、フィルム密着性の向
上、アンダーカッティングコロージョンの防止に効果が
得られないので、2mg/m2 以上の付着量が望まし
い。一方、クロメート皮膜付着量が40mg/m2 を越
えると接触抵抗が著しく増加し、局部的な発熱による散
りが発生し易くなり溶接性が劣化する。そのためクロメ
ート皮膜付着量は40mg/m2 以下に規制される。
【0023】クロメート処理方法は、各種のクロム酸の
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩の水溶液に
よる浸漬処理、スプレー処理、電解処理などいずれの方
法で行っても良いが、特に陰極電解処理が優れている。
とりわけ、クロム酸にめっき助剤として硫酸イオン、フ
ッ化物イオン( 醋イオンを含む) あるいはそれらの混合
物を添加した水溶液中での陰極電解処理が最も優れてい
る。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例について
述べ、その結果を表1に示す。冷間圧延もしくは焼鈍後
の2回圧延により、所定の板厚に調整しためっき原板を
5%苛性ソーダ中で電解脱脂し、水洗後10%硫酸中で
電解酸洗し、表面活性後表面処理を行った。このめっき
原板に、(1)−(A)〜(B)に示す条件でFe−N
i合金めっき及び水酸化物の形成を行った後、(2)−
(A)〜(B)に示す条件でSnめっきを行い、引き続
き(3)−(A)〜(B)に示す条件で加熱処理を行
い、引き続き(4)−(A)〜(C)に示す処理浴でク
ロメート皮膜を生成させたものを作製した。
【0025】
【表1】
【0026】(1)Fe−Niめっき条件 (A)硫酸浴 浴組成 Niイオン 15g/l 、Feイオン 30
g/l 、硫酸イオン 15g/l 、ホウ酸 20g/l めっき条件 20〜40℃、5〜15A/dm2 (B)硫酸−塩酸浴 浴組成 Niイオン 25g/l 、Feイオン 50
g/l 、硫酸イオン 15g/l 、塩素イオン 10g/l 、
ホウ酸 20g/l めっき条件 30〜55℃、5〜40A/dm2
【0027】(2)Snめっき条件 (A)硫酸浴 浴組成 Snイオン 20g/l 、硫酸イオン 15
g/l めっき条件 20〜60℃、5〜30A/dm2 (B)フェノールスルホン酸浴 浴組成 Snイオン 15g/l 、フェノールスルホ
ン酸イオン15g/l めっき条件 30〜55℃、5〜40A/dm2
【0028】(3)加熱処理条件 (A)誘導加熱法 誘導加熱炉内に試料を挿入し、220℃まで4〜15s
ecで昇温する様に通電し、通電終了後、直ちに水冷す
る。 (B)通電加熱法 交流を220℃まで4〜15secで昇温する様に通電
し、通電終了後、直ちに水冷する。
【0029】(4)クロメート処理条件 (A)酸化クロム 100 g/l、硫酸イオン 0.6 g
/l めっき条件 20〜60℃、5〜80A/dm2 (B)重クロム酸ソーダ 15〜45 g/l、 めっき条件 30〜50℃、10〜40A/dm2 (C)クロム酸 80 g/l、硫酸イオン 0.05 g
/l、ケイフッ化ソーダ2.5 g/l、フッ化アンモン
0.5 g/l めっき条件 15〜75℃、10〜85A/dm2
【0030】上記処理材について、以下に示す(A)〜
(D)の各項目について実施し、その性能を評価した。 (A)シーム溶接性 試験片は高温短時間での塗装焼付け条件を想定して32
0℃まで23secで昇温する条件で焼付けを行い、以
下の溶接条件でシーム溶接性を評価した。ラップ代0.
5mm、加圧力45kgf、溶接ワイヤースピード80
m/minの条件で、電流を変更して溶接を実施し、十
分な溶接強度が得られる最小電流値と散りなどの溶接欠
陥が目立ち始める最大電流値からなる適正電流範囲の広
さおよび溶接欠陥の発生状況から総合的に判断して評価
した。
【0031】(B)塗料密着性 試験片の缶内面側に相当する面にエポキシフェノール系
塗料を55mg/dm 2 塗布し、更に缶外面に相当する
面にクリヤーラッカーを40mg/dm2 塗布し、29
0℃まで15secの焼き付け条件で乾燥硬化した。引
き続き、各々の面に1mm間隔でスクラッチを入れ、約
100個の碁盤目を作製し、速やかにテープ剥離し、そ
の剥離状況を観察し塗料密着性を評価した。
【0032】(C)フィルム密着性評価試験 試験片に厚さ15umのPET(ポリエチレンテレフタ
レート)系フィルムをラミネートした後、地鉄に達する
までクロスカットを入れ、速やかに240℃に加熱し、
クロスカット中央部に5kg/cm2 の空気ガスを垂直
に吹きつけ、フィルムの剥離状況を評価した。
【0033】(D)UCC(アンダーカッティングコロ
ージョン)評価テスト 試験片の缶内面に相当する面の耐食性を評価するため、
缶内面側に相当する面に厚さ15umのPET(ポリエ
チレンテレフタレート)系フィルムをラミネートした。
その後、地鉄に達するまでクロスカットを入れ、1.5
%クエン酸−1.5%食塩混合液からなる試験液中に大
気開放下55℃×4日間浸漬した。試験終了後、速やか
にスクラッチ部および平面部をテープで剥離して、スク
ラッチ部近傍の腐食状況、スクラッチ部のピッティング
状況および平面部のフィルム剥離状況を判断して総合的
に評価した。 (E)外観性評価テスト 缶外面側に相当する面に、ホワイト印刷を行った厚さ1
5umのPET(ポリエチレンテレフタレート)系フィ
ルムをラミネートし、色調の明るさを評価した。
【0034】表1で、比較例8はFe−Ni合金めっき
を真空蒸着により行ったもので、水酸化物層が存在して
いない。このため、フリーSnが確保されずシーム溶接
性が劣化していることを示している。しかし、表1の実
施例1〜12に示される様に、本発明により製造された
溶接缶用鋼板は、優れた溶接性、密着性、外観性および
耐食性を有することが明らかになった。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により製造さ
れた溶接缶用鋼板は極めて優れた溶接性、密着性、外観
性及び耐食性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 28/00 C23C 2/08 C25D 5/26 C25D 11/38 304

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面にNiを5〜55%含有しため
    っき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき
    上に、Fe系またはNi系の水酸化物層を有し、次い
    で、溶融溶錫処理により形成した面積被覆率40〜98
    %でめっき量400〜2500mg/m2 の島状のSn
    めっき層を有することを特徴とする溶接性、耐食性、外
    観性および密着性に優れた溶接缶用鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板表面にNiを5〜55%含有しため
    っき量50〜800mg/m2 のFe−Ni合金めっき
    上に、Fe系またはNi系の水酸化物層を有し、次い
    で、溶融溶錫処理により形成した面積被覆率80%を越
    えて98%以下でめっき量400〜2500mg/m2
    の島状のSnめっき層を有することを特徴とする溶接
    性、耐食性、外観性および密着性に優れた溶接缶用鋼
    板。
  3. 【請求項3】 最表層にCr換算量で2〜40mg/m
    2 のクロメート被覆層を形成したことを特徴とする請求
    項1または請求項2記載の溶接性、耐食性、外観性およ
    び密着性に優れた溶接缶用鋼板。
  4. 【請求項4】 水酸化物層の膜厚1nm〜500nmで
    ある部分の面積被覆率が50%以上であることを特徴と
    する請求項1〜3記載の溶接性、耐食性、外観性および
    密着性に優れた溶接缶用鋼板。
JP01239996A 1995-07-05 1996-01-29 溶接性、耐食性、外観性および密着性に優れた溶接缶用鋼板 Expired - Fee Related JP3270318B2 (ja)

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