JP2527086B2 - 光沢のある溶接缶用Ni―Snめっき鋼板 - Google Patents

光沢のある溶接缶用Ni―Snめっき鋼板

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JP2527086B2 JP2202204A JP20220490A JP2527086B2 JP 2527086 B2 JP2527086 B2 JP 2527086B2 JP 2202204 A JP2202204 A JP 2202204A JP 20220490 A JP20220490 A JP 20220490A JP 2527086 B2 JP2527086 B2 JP 2527086B2
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義高 樫山
幸夫 川瀬
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日本鋼管株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は光沢のある溶接缶用Ni−Snめっき鋼板に関す
るものである。
[従来の技術] 従来から電気Snめっき鋼板(ぶりき)は缶用素材とし
て、多く使用されているが、近年のSn価格の著しい上昇
によって、製缶コストの低減から、テンフリースチール
化への移行も活発になっている。しかしテンフリースチ
ールは主として接着法に限定されるために、魚缶等の一
般食缶に用いられる加熱殺菌、コヒー缶等のようにレト
ルト殺菌を必要とするものは、加熱による缶胴接着部の
接着強度の劣化が避けられない。そのため、シーム溶接
法の開発にともなって、それに対応した薄Snめっきによ
るぶりきの開発が広く行なわれている。その一例として
めっき原板に2〜30mg/m2(片面当り)のNi被覆層を設
け、その上に200〜1000mg/m2のSn被覆層を設け、さらに
その上層にクロメート処理層を設けたシーム溶接性に優
れた製缶用表面処理鋼板が提案されている(特開昭60−
56074号公報)。
一方ぶりきは、めっきされたままのSnは無光沢である
から、めっきした鋼板は錫の融点以上に加熱して、錫を
溶融(以降リフローと云う)して、直ちに水冷して光沢
のあるぶりきを製造している。しかし薄Snめっきの場合
はリフロー処理で光沢のある外観を得られない場合があ
る。このような場合の対策の一例として、第一Snイオ
ン、Niイオン、光沢添加剤を含む酸性電気Snめっき浴を
用いて、0.3〜9重量%含有するSn−Niをめっき量100〜
2500mg/m2に電気めっきし、めっき後リフロー処理して
製造される光沢Snめっき鋼板が提案されている(特開昭
59−219490号公報)。
[発明が解決しようとする課題] ぶりきがSn目付け量低減化の段階にあり、その中で、
ユーザーから、特に、表面美麗な溶接缶に用いるぶりき
が強く求められている。
これに対して、上述したようなNi−Snめっき鋼板では
シーム溶接性に優れているが、表面外観(光沢)が悪い
ぶりきを生じる場合がある。
一方、第一Snイオン、Niイオン、光沢添加剤を含む酸
性電気Snめっき浴を用いて、Sn−Niめっき量100〜2500m
g/m2に電気めっきして、製造された光沢Snめっき鋼板
は、適性なNi含有量を得るためには厳しい条件を必要と
し、実操業上問題がある。
そこで本発明者等はめっき原板の両面にNiめっき層、
その上にSnめっき層を形成したNi−Snめっき鋼板を対象
として、検討を行なった。鋼板は冷延鋼板(0.20×803m
m)を用い、仕上げブライトをしてRa=0.25μmとし
た。ラインスピードは300mpmとした。めっき製品として
は溶接缶用Ni−Snめっき鋼板とした。そして優先的に表
面は光沢、裏面は島状Snを形成して溶接性を向上させる
ものとした。そのためには、下記のような異種Ni−Snめ
っき鋼板の操業条件を必要とした。
(条件) 上記のようにして得られためっき製品について、缶の
外側になる表面のみが適性な光沢性を有し、耐食性をよ
り必要とする缶の内側の裏面は島状Snとすることが出
来、溶接性が良好であった。
しかしながら上記のような異種Ni−Snめっき鋼板を製
造する場合は、SnとNiとの関係は適性でなく、その都度
複雑な操業条件を必要とする。
本発明はSnとNiとの適性な関係による簡単な操業条件
で光沢を有し、且、溶接性に優れた溶接缶用Ni−Snめっ
き鋼板を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、表面粗さRa=0.20〜0.30
μmのめっき原板を用いた場合、そのめっき原板の少な
くとも片面にNiめっき層、その上にSnめっき層を形成し
たNi−Snめっき鋼板であって、Niめっき層のNi付着量x
(mg/m2)と、Snめっき層のSn付着量y(g/m2)が下記
の関係式を満足し、リフロー処理してなる溶接缶用光沢
Ni−Snめっき鋼板とするものである。
x≧−5.0y+15 … x≦−7.5y+21.5 … 0.5≦y≦2.0 … また原板の表面粗さRa=0.31〜0.45μmのめっき原板
を用いた場合、そのめっき原板の少なくとも片面にNiめ
っき層、その上にSnめっき層を形成したNi−Snめっき鋼
板であって、Niめっき層のNi付着量x(mg/m2)と、Sn
めっき層のSn付着量y(g/m2)が下記の関係式を満足
し、リフロー処理してなる溶接缶用光沢Ni−Snめっき鋼
板とするものである。
x≧−4.7y+14 … x≦−8.2y+24.5 … 0.5≦y≦2.0 … めっき原板の表面粗さについては、一般にユーザーの
要請によるものが多く、ブライト仕上げ(主としてRa=
0.20〜0.30μm)と、粗面仕上げ(主としてRa=0.31〜
0.45μm)のものが多く用いられている。
本発明ではユーザーの要請に対応出来る上記表面粗さ
の原板を対象とするものである。本発明は上記関係式
、で限定するように、Snめっき層のSn付着量は0.5
〜2.0(g/m2)の範囲に限定するものである。Sn付着量
が0.5(g/m2)未満では、リフロー処理、通常行なわれ
る塗装焼付け時の加熱によって、Ni皮膜とSnめっき金
属、もしくは、Ni皮膜とSnめっき金属と地鉄が大量に合
金化されて、フリーのSnがほとんど無くなり、溶接性が
損なわれる。2.0(g/m2)を超えた場合には、Snめっき
量が多く、初期の目的を達成出来ない。
なお、本発明ではめっきした後にリフロー処理を行な
うことを必要とするものである。これによって所定の光
沢を形成するものである。
[作用] 本発明は、上記のような構成であり、Ra=0.20〜0.30
μmの原板を用いた場合は第1図に示すように、関係式
、、で限定される範囲を対象とするものである。
この範囲を外れた場合には、溶接性を満足しても、所定
の光沢のあるNi−Snめっき鋼板を得ることが出来ない。
また、Ra=0.31〜0.45μmの原板を用いた場合は第2図
に示すように、関係式、、で限定される範囲を対
象とするものである。
この範囲を外れた場合には、溶接性を満足しても、所
定の光沢のあるNi−Snめっき鋼板を得ることが出来な
い。
[実施例] 以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1) ここでは鋼板については冷延鋼板(0.20×803mm)を
用い、ブライト仕上げをして、表面粗さRa=0.20〜0.30
μmのめっき原板とした。その原板の少なくとも片面に
Niめっき層、その上にSnめっき層を形成したNi−Snめっ
き鋼板を対象として、試験No.1〜試験No.34について実
験し、Niめっき層のNi付着量(mg/m2)と、Snめっき層
のSn付着量(g/m2)との関係を、リフロー処理したNi−
Sn(片面当たり)めっき鋼板の光沢と、溶接性について
検討した。その結果を下記の第1表に示す。更に、この
値を第1図にプロットし、それらからNi付着量(mg/
m2)(片面当たり)をxとし、Snめっき層のSn付着量
(g/m2)(片面当たり)をyとして、それらの関係を求
め、関係式、、を導いた。図中記号、、は
そのまま関係式の式番とした。
x≧−5.0y+15 … x≦−7.5y+21.5 … 0.5≦y≦2.0 … 即ち第1表ではRa=0.20〜0.30μmの範囲の原板を用
いて、Niめっき層のNi付着量(mg/m2)と、Snめっき層
のSn付着量を変化させ、その場合のリフロー処理した後
のNi−Snめっき鋼板の外観と、溶接性について実験した
結果を示したものである。
ここにおいて×印は光沢悪、良○印は光沢良、△印は
光沢過剰を示す。また、溶接性については、×印は溶接
性悪、○印は溶接性良、△印は溶接性が×印と○印の中
間を示す。第1図では本発明のRa=0.20〜0.30μmの原
板を用いた場合のNiめっき量とSnめっき量との適性な範
囲を実線で囲んで示した。図において×印は光沢悪、良
○印は光沢良、△印は光沢過剰を示す。図から明らかな
ように、Snめっき量の増加に伴い、Niめっき量は減少す
る傾向(右下り)がある。
(実施例2) ここでは鋼板については冷延鋼板(0.20×803mm)を
用い、粗面仕上げをして、表面粗さRa=0.31〜0.45μm
のめっき原板とした。その原板の少なくとも片面にNiめ
っき層、その上にSnめっき層を形成したNi−Snめっき鋼
板を対象として、試験No.1〜試験No.33について実験
し、Niめっき層のNi付着量(mg/m2)と、Snめっき層のS
n付着量(g/m2)との関係を、リフロー処理したNi−Sn
めっき鋼板の光沢と、溶接性について検討した。その結
果を下記の第2表に示す。更に、この値を第2図にプロ
ットし、それらからNi付着量(mg/m2)をxとし、Snめ
っき層のSn付着量(g/m2)をyとして、それらの関係を
求め、関係式、、を導いた。図中記号、、
はそのまま関係式の式番とした。
x≧−4.7y+14 … x≦−8.2y+24.5 … 0.5≦y≦2.0 … 即ち第2表ではRa=0.31〜0.45μmの範囲の原板を用
いて、Niめっき層のNi付着量(mg/m2)と、Snめっき層
のSn付着量を変化させ、その場合のリフロー処理した後
のNi−Snめっき鋼板の外観と、溶接性について実験した
結果を示したものである。
ここにおいて×印は光沢悪、良○印は光沢良、△印は
光沢過剰を示す。また、溶接性については、×印は溶接
性悪、○印は溶接性良、△印は溶接性が×印と○印の中
間を示す。第2図では本発明のRa=0.31〜0.45μmの原
板を用いた場合のNiめっき量とSnめっき量との適性な範
囲を実線で囲んで示した。図において×印は光沢悪、良
○印は光沢良、△印は光沢過剰を示す。図から明かなよ
うに、Snめっき量の増加に伴い、Niめっき量は減少する
傾向(右下り)がある。しかし、Ra=0.20〜0.30μmの
原板を用いた場合よりも、その適性な範囲が広くなって
いる。
[発明の効果] 本発明の溶接缶用Ni−Snめっき鋼板はNiめっき量とSn
めっき量との適性な関係を有しており、ユーザーの要請
に対応出来る表面粗さの原板を用い、光沢を有し、且、
溶接性に優れている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のRa=0.20〜0.31μmの原板を用いた場
合のNiめっき量とSnめっき量との関係の一実施例を示す
図、第2図は本発明のRa=0.31〜0.45μmの原板を用い
た場合のNiめっき量とSnめっき量との関係の一実施例を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今岡 幹士 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 審査官 瀬良 聡機 (56)参考文献 特開 昭60−67676(JP,A) 特開 昭57−23091(JP,A) 特開 昭60−197884(JP,A) 特開 平1−136988(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面粗さRa=0.20〜0.30μmのめっき原板
    の両面にNiめっき層、その上にSnめっき層を形成したNi
    −Snめっき鋼板であって、Niめっき層のNi付着量x(mg
    /m2)(片面当たり)と、Snめっき層のSn付着量y(g/m
    2)(片面当たり)が下記の関係式を満足し、リフロー
    処理してなることを特徴とする光沢のある溶接缶用Ni−
    Snめっき鋼板。 x≧−5.0y+15 … x≦−7.5y+21.5 … 0.5≦y≦2.0 …
  2. 【請求項2】原板の表面粗さRa=0.31〜0.45μmのめっ
    き原板の両面にNiめっき層、その上にSnめっき層を形成
    したNi−Snめっき鋼板であって、Niめっき層のNi付着量
    x(mg/m2)(片面当たり)と、Snめっき層のSn付着量
    y(g/m2)(片面当たり)が下記の関係式を満足し、リ
    フロー処理してなることを特徴とする光沢のある溶接缶
    用Ni−Snめっき鋼板。 x≧−4.7y+14 … x≦−8.2y+24.5 … 0.5≦y≦2.0 …
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JPH01136988A (ja) * 1987-11-24 1989-05-30 Kawasaki Steel Corp ぶりき原板

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