JPH11124361A - 不飽和ニトリルを製造する方法 - Google Patents

不飽和ニトリルを製造する方法

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JPH11124361A
JPH11124361A JP10237956A JP23795698A JPH11124361A JP H11124361 A JPH11124361 A JP H11124361A JP 10237956 A JP10237956 A JP 10237956A JP 23795698 A JP23795698 A JP 23795698A JP H11124361 A JPH11124361 A JP H11124361A
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一幸 浜田
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悟 駒田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モリブデン、テルル、バナジウムおよびニオ
ブを含有する酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソ
ブタンの気相接触アンモ酸化反応を行い、高収率で長期
に亘って安定的にアクリロニトリルまたはメタクリロニ
トリルを製造する方法を提供する。 【解決手段】 モリブデン、テルル、バナジウムおよび
ニオブを含有する酸化触媒の存在下、プロパンまたはイ
ソブタンの気相接触アンモ酸化反応を行うに当たり、反
応時にテルル化合物と、任意に、モリブデン化合物を賦
活剤として添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動床反応器を用
いて、10〜60重量%のシリカに担持されたモリブデ
ン、テルル、バナジウムおよびニオブを含有する酸化物
触媒の存在下、テルル化合物と、任意に、モリブデン化
合物を賦活剤として該反応器に添加しながら、プロパン
またはイソブタンを気相接触アンモ酸化させてアクリロ
ニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】プロピレンまたはイソブチレンをアンモ
酸化してアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを
製造する方法はよく知られている。近年、プロピレンま
たはイソブチレンに替わってプロパンまたはイソブタン
を気相接触アンモ酸化してアクリロニトリルまたはメタ
クリロニトリルを製造する方法が注目されており、その
方法に用いられる触媒が多数提案されている。中でも、
テルルを含有する酸化物触媒が着目されている。
【0003】例えば、Mo−Te−V−Nb系酸化物触
媒が、特許公報第2608768号公報、特開平5−1
48212号公報、特開平5−279313号公報、特
開平6−285372号公報、特開平7−144132
号公報、特開平7−232071号公報、特開平7−2
89907号公報、特開平7−315842号公報、特
開平8−57319号公報、特開平8−141401号
公報等に開示されている。
【0004】また、Mo−Te系酸化物触媒が特開平7
−215926号公報に、Mo−Te−Cr系酸化物触
媒が米国特許第5、171、876号公報に、W−Te
−V系酸化物触媒が特開平6−228073号公報に、
V−Sb−Te系酸化物触媒が特開平1−268668
号公報、特開平4−275266号公報等に開示されて
いる。上記の公報に開示されたテルルを含有する酸化物
触媒は、アンモ酸化反応の経過と共に触媒が劣化して、
アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの収率が低
下することが認められている。一方、賦活効果を有する
化合物を用いて劣化触媒を賦活する方法が提案されてい
る。
【0005】例えば、特開昭58−139745号公
報、特公平1−41135号報公報は、有機化合物の酸
化反応、アンモ酸化反応または酸化脱水素反応におい
て、テルルを含有する酸化物触媒の存在下、テルル化合
物またはテルル化合物とモリブデン化合物を添加して、
劣化した触媒を賦活する方法を開示している。しかし、
これらの公報は、メタノールのアンモ酸化反応、プロピ
レンのアンモ酸化反応、トルエンのアンモ酸化反応およ
びブテンの酸化脱水素反応の実施例を記載するに留ま
り、本発明で用いる、シリカに担持されたモリブデン、
テルル、バナジウムおよびニオブを含有する酸化物触媒
について具体的記載はなく、また、実施例にもこの触媒
を用いたプロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応の
記載はない。
【0006】特公昭58−57422号公報、独国特許
第3、331、521号公報、WO97/33863A
1号公報等は、モリブデンを含有する酸化物触媒の存在
下、モリブデン化合物を賦活剤として添加しながら、プ
ロピレンまたはイソブチレンからアクリロニトリルまた
はメタクリロニトリルを製造する方法を開示している。
しかし、これらの公報は、いずれもプロパンまたはイソ
ブタンを気相接触アンモ酸化してアクリロニトリルまた
はメタクリロニトリルを製造するに当たって、テルルを
含有する酸化物触媒を使用することについては何ら言及
していない。すなわち、従来技術においては、テルルを
含有する酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタ
ンを気相接触アンモ酸化してアクリロニトリルまたはメ
タクリロニトリルを製造する際に、アンモ酸化反応の経
過と共に触媒が劣化することによるアクリロニトリルま
たはメタクリロニトリルの収率低下を解決できる具体策
は提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、モリブデ
ン、テルル、バナジウムおよびニオブを含有する酸化物
触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンの気相接触ア
ンモ酸化反応を行い、高収率で長期に亘って安定的にア
クリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する方
法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プロパン
またはイソブタンを気相接触アンモ酸化してアクリロニ
トリルまたはメタクリロニトリルを製造するために用い
る、テルルを含有する種々の酸化物触媒に関して、該ア
ンモ酸化反応時、テルル化合物を添加することによる該
触媒の賦活法について鋭意研究し、モリブデン、テル
ル、バナジウムおよびニオブを含有する酸化物触媒にお
いて特異的に賦活効果が発現することを見出し、本発明
をなすに至った。
【0009】すなわち、本発明は、次のとおりである。 (1)流動床反応器を用いて、シリカに担持されたモリ
ブデン、テルル、バナジウムおよびニオブを含有する酸
化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンをアンモ
ニアおよび分子状酸素と気相接触させてアクリロニトリ
ルまたはメタクリロニトリルを製造するに当たり、該反
応時、テルル化合物と、任意に、モリブデン化合物を賦
活剤として該反応器に添加することを特徴とするアクリ
ロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
【0010】(2)触媒が、10〜60重量%のシリカ
に担持された、下記一般式で表現される成分組成を有す
ることを特徴とする上記(1)に記載のアクリロニトリ
ルまたはメタクリロニトリルの製造方法。 Mo1 Tea b Nbc d n (上式において、XはTa、W、Cr、Ti、Zr、S
b、Bi、Sn、Hf、Mn、Fe、Ru、Co、R
h、Ni、Pd、Pt、Zn、Al、Ga、In、T
l、Pおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも
1種以上の元素であり、a、b、c、dおよびnはMo
1原子当たりの原子比を表し、aは0.01≦a≦1.
0、bは0.1≦b≦1.0、cは0.01≦c≦1.
0、dは0≦d≦1.0、nは構成金属元素の原子価に
よって決まる酸素の原子比である。)
【0011】(3)テルル化合物が金属テルル、無機テ
ルル化合物および有機テルル化合物から選ばれる少なく
とも一種であり、モリブデン化合物がヘプタモリブデン
酸アンモニウム、モリブデン酸、二酸化モリブデンおよ
び三酸化モリブデンから選ばれる少なくとも一種である
上記(1)または(2)に記載のアクリロニトリルまた
はメタクリロニトリルの製造方法。
【0012】(4)無機テルル化合物がテルル酸、二酸
化テルルおよび三酸化テルルから選ばれる少なくとも一
種であり、有機テルル化合物がメチルテルロールとジメ
チルテルロキシドから選ばれる少なくとも一種である上
記(3)に記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニ
トリルの製造方法。 (5)テルル化合物がテルル酸であり、モリブデン化合
物がヘプタモリブデン酸アンモニウムである上記(1)
または(2)に記載のアクリロニトリルまたはメタクリ
ロニトリルの製造方法。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。プロパン
またはイソブタンのアンモ酸化によるアクリロニトリル
またはメタクリロニトリルを製造する本発明の方法にお
いて、プロパンまたはイソブタンは、流動床反応器を用
いて、シリカに担持されたモリブデン、テルル、バナジ
ウムおよびニオブを含有する酸化物触媒の存在下、賦活
剤を該反応器に添加しながらアンモニアおよび分子状酸
素と気相接触させる。本発明のプロセスにおいて、上記
の賦活剤の添加は、本発明の効果を達成する上で極めて
重要である。具体的には、本発明のプロセスにおいて、
アンモ酸化反応で劣化した触媒を、賦活剤を添加するこ
とにより容易に賦活することができる。したがって、
(メタ)アクリロニトリルの製造を、高い収率を保持し
ながら長期に亘って安定に行うことができる一方、プロ
パンまたはイソブタンのアンモ酸化を、本発明で定義し
た触媒の存在下、上記の賦活剤を添加せずに行う場合
は、触媒が短期間に劣化して、(メタ)アクリロニトリ
ルの収率が低下する不利が生じる。
【0014】本発明のプロセスに用いられる触媒は、シ
リカに担持されたモリブデン、テルル、バナジウムおよ
びニオブを含む酸化物であり、好ましくは10〜60重
量%のシリカに担持されたモリブデン、テルル、バナジ
ウムおよびニオブを含む酸化物であり、さらに詳しく
は、下記の一般組成式で表現される酸化物である。 Mo1 Tea b Nbc d n (上式において、XはTa、W、Cr、Ti、Zr、S
b、Bi、Sn、Hf、Mn、Fe、Ru、Co、R
h、Ni、Pd、Pt、Zn、Al、Ga、In、T
l、Pおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも
1種以上の元素であり、a、b、c、dおよびnはMo
1原子当たりの原子比を表し、aは0.01≦a≦1.
0、好ましくは0.05≦a≦0.5、bは0.1≦b
≦1.0、好ましくは0.2≦b≦0.6、cは0.0
1≦c≦1.0、好ましくは0.05≦c≦0.5、d
は0≦d≦1.0、好ましくは0≦d≦0.1、nは構
成金属元素の原子価によって決まる酸素の原子比であ
る。)
【0015】本発明で定義した上記触媒以外の触媒を用
いるアンモ酸化反応において本発明の賦活剤を用いる場
合は、上記の卓越した効果を得ることはできない。本発
明で定義した上記触媒以外の触媒とは、例えば、活性成
分としてMoとTeのみを含む酸化物触媒、活性成分と
してMo、TeおよびCrのみを含む酸化物触媒、さら
には、活性成分としてV、SbおよびTeのみを含む酸
化物触媒である。本発明のプロセスに用いられる賦活剤
はテルル化合物と、任意に、モリブデン化合物からな
る。モリブデン化合物は補助的賦活剤として用いられ
る。モリブデン化合物を補助的賦活剤として用いる場合
は、モリブデン化合物はテルル化合物とは分離して、ま
たはテルル化合物と混合して反応器に添加することがで
きる。
【0016】本発明において、テルル化合物は、プロパ
ンまたはイソブタンのアンモ酸化反応条件下にテルル酸
化物に転換される化合物であることが好ましい。テルル
化合物の具体例としては、金属テルル;無機テルル化合
物、例えば、テルル酸、二酸化テルルおよび三酸化テル
ル;そして、有機テルル化合物、例えば、メチルテルロ
ールとジメチルテルロキシドが挙げられる。これらの中
で、テルル酸が好ましい。本発明において、モリブデン
化合物を補助的賦活剤として用いる場合は、使用される
モリブデン化合物は、プロパンまたはイソブタンのアン
モ酸化反応条件下にモリブデン酸化物に転換される化合
物であることが好ましい。
【0017】モリブデン化合物の具体例としては、ヘプ
タモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、二酸化モ
リブデンおよび三酸化モリブデンが挙げられる。これら
の中で、ヘプタモリブデン酸アンモニウムが好ましい。
これらの賦活剤は、担体に担持しないで用いることが望
ましい。例えば、シリカに担持した二酸化テルルを賦活
剤として用いる場合は、一時的な賦活効果はあるが、長
期に亘って(メタ)アクリロニトリルの収率を安定に維
持することは困難である。
【0018】本発明において、流動床反応器に賦活剤を
添加する方法に関しては特に制限はない。反応器に賦活
剤を添加する方法の具体例として、アンモ酸化反応の原
料ガスを供給する配管とは別に準備した、反応器に結合
した賦活剤添加用の配管を用いて添加する方法を挙げる
ことができる。この方法においては、粉末状の賦活剤
を、配管を通して空気、窒素等の気流と共に反応器内へ
圧送して行うことができる。この場合、賦活剤を流動床
反応器の濃厚層部に圧送することによって、触媒と賦活
剤の良好な混合接触を達成することができる。
【0019】本発明において、賦活剤の添加は連続的に
も、間歇的にも行うことができる。賦活剤の添加から賦
活効果が発現するまでの期間は、一般的に2〜10時間
である。賦活剤の添加の頻度と賦活剤の添加量に関して
は特に制限はない。例えば、この頻度と量は、簡便に
は、賦活剤を少量ずつ添加しながらアンモ酸化反応の成
績を追跡して決定することができる。
【0020】本発明のプロセスにおいては、賦活剤の添
加の頻度は本発明の効果が得られる限り特に制限はな
い。しかし、例えば、本発明のプロセスの商業的実施に
おいては、賦活剤の添加は1〜30日に1回、好ましく
は1〜7日に1回行われる。本発明のプロセスにおいて
は、テルル化合物の添加量は、1回当たりの添加による
触媒中のテルル成分の増分が20重量%相当以下、好ま
しくは10重量%相当以下である。本発明のプロセスに
おいては、モリブデン化合物の添加量は、1回当たりの
添加による触媒中のモリブデン成分の増分が10重量%
相当以下、好ましくは5重量%相当以下である。
【0021】補助的賦活剤としてのモリブデン化合物の
添加は、例えば、触媒からのモリブデンの損失が生じた
場合に行うことができる。触媒からのモリブデンの損失
は、例えば、触媒サンプルを蛍光X線分析することによ
って検出することができる。テルルを含有する酸化物触
媒の劣化の機構は、いまだ、十分には明らかになってい
ない。一般に、テルルを含有する酸化物触媒の存在下、
プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化によってアクリ
ロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造が行われる
時に、触媒のテルル含量は、反応の経過と共に次第に減
少し、目的の不飽和ニトリルの収率も、触媒からのテル
ル損失量に応じて低下する。しかし、そのようなアンモ
酸化反応において、アンモ酸化反応の初期に触媒のテル
ル含量が減少するにも拘わらず、アクリロニトリルまた
はメタクリロニトリルの収率が向上することが観察され
る場合もある。したがって、テルルを含有する酸化物触
媒を用いるアンモ酸化反応でのアクリロニトリルまたは
メタクリロニトリルの収率の低下は、単純に触媒からの
テルルの損失によっては説明し得ない。
【0022】本発明のプロセスに用いる賦活剤が、モリ
ブデン、テルル、バナジウムおよびニオブを含有する酸
化物触媒の活性を賦活する機構も、いまだ、十分には明
らかでない。モリブデン、テルル、バナジウムおよびニ
オブを含有する酸化物触媒の存在下での流動床アンモ酸
化反応時、賦活剤(通常、微粉の形で用いられる)が触
媒粒子表面、あるいは蒸気相を形成して触媒粒子内部と
接触し、賦活剤と触媒粒子の間のかかる相互作用が、本
発明のプロセスに用いる触媒に固有の還元分解による結
晶構造の変質を修復することが考えられる。
【0023】事実、本発明のプロセスを実施した時の触
媒のX線回折図を、賦活剤の添加の前後において比較す
るとき、触媒の結晶構造の変質部分が一部修復されるこ
とが観察される場合がある。しかし、多くの場合、触媒
の活性が賦活剤の添加によって賦活されるのにも拘わら
ず、これらのX線回折図の間に顕著な差異は認められな
い。したがって、本発明のプロセスにおける触媒の賦活
効果発現の機構は、X線回折図の測定によって観察され
る結晶構造の修復のみによっては説明できない。 以下
に、本発明のプロセスに用いる触媒の製法について説明
する。
【0024】本発明のプロセスに用いるアンモ酸化触媒
の成分金属の原料は特に制限はないが、代表的には、モ
リブデンの原料はヘプタモリブデン酸アンモニウムを、
テルルの原料はテルル酸を、バナジウムの原料はメタバ
ナジン酸アンモニウムを、ニオブの原料はニオブ酸を好
適に用いることができる。Ta、W、Cr、Ti、Z
r、Sb、Bi、Sn、Hf、Mn、Fe、Ru、C
o、Rh、Ni、Pd、Pt、Zn、Al、Ga、I
n、Tl、Pおよびアルカリ土類金属の原料としては、
これらの金属の硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化
物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩等を用いることが
できる。シリカの原料は、シリカゾルを好適に用いるこ
とができる。本発明のプロセスに用いる触媒は、公知の
方法によって製造することができる。例えば、下記の原
料調合、乾燥および焼成の3つの工程を経て製造するこ
とができる。
【0025】(原料調合工程)ヘプタモリブデン酸アン
モニウム、テルル酸およびメタバナジン酸アンモニウム
を水に溶解して混合水溶液(A)を調製する。一方、ニ
オブ酸とシュウ酸を水に溶解して混合水溶液(B)を調
製する。Ta、W、Cr、Ti、Zr、Sb、Bi、S
n、Hf、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、P
d、Pt、Zn、Al、Ga、In、Tl、Pおよびア
ルカリ土類金属を用いる場合は、これらの金属の硝酸
塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニ
ウム塩、炭酸塩等を水に溶解して混合水溶液(C)を調
製する。混合水溶液(A)に、混合水溶液(B)、混合
水溶液(C)およびシリカゾルを添加して原料調合液を
得る。混合水溶液(A)に、混合水溶液(B)、混合水
溶液(C)およびシリカゾルを添加する順序は、適宜変
更することができる。
【0026】(乾燥工程)得られた原料調合液を噴霧乾
燥して微小球状の乾燥粉体を得る。噴霧化は遠心方式、
二流体ノズル方式または高圧ノズル方式を用いて行うこ
とができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーター等に
よって加熱された空気を用いることができる。熱風の乾
燥器入口温度は150〜300℃が好ましい。乾燥は、
次の焼成工程で得られる触媒の粒子径が5から120μ
の間に分布し、平均粒子径が約50μになるように噴霧
化条件を選ぶことが望ましい。
【0027】(焼成工程)得られた乾燥粉体を焼成する
ことによって酸化物触媒を得る。焼成は実質的に酸素を
含まない窒素等の不活性ガス雰囲気下、好ましくは不活
性ガスを流通させながら500〜700℃、好ましくは
550〜650℃の条件下で実施される。焼成時間は
0.5〜20時間、好ましくは1〜8時間である。焼成
は回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用いて
行うことができる。焼成の前に大気雰囲気下または空気
流通下、200〜400℃で1〜5時間前焼成すること
ができる。
【0028】本発明のプロセスにおいて、流動床反応器
を用いて、このようにして製造された触媒の存在下、プ
ロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化してアク
リロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造すること
ができる。プロパン、イソブタンおよびアンモニアの供
給原料は、必ずしも高純度である必要はなく、工業グレ
ードのガスを用いることができる。供給酸素源として空
気、酸素を富化した空気または純酸素を用いることがで
きる。希釈ガスとしてヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、
水蒸気、窒素等を供給してもよい。
【0029】本発明のプロセスにおいて、プロパンまた
はイソブタンのアンモ酸化反応は、以下の条件下に行う
ことができる。プロパンまたはイソブタンに対するアン
モニアと酸素の供給モル比は1:0.3〜1.5:0.
5〜10、好ましくは1:0.8〜1.2:1〜5であ
る。反応温度は350〜500℃、好ましくは380〜
470℃である。反応圧力は0.5〜5atm、好まし
くは1〜3atmである。接触時間は0.1〜10se
c・g/cc、好ましくは0.5〜5sec・g/cc
である。
【0030】本発明のプロセスにおいては、プロパンま
たはイソブタンのアンモ酸化反応の接触時間は、下記の
式1によって定義される。
【数1】 但し、Wは流動床反応器内の触媒量(g)、Fは標準状
態(0℃,1atm )での原料ガス供給量(Ncc/sec )、
Tはアンモ酸化反応温度(℃)である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を、触媒の調製例
とプロパンの気相接触アンモ酸化によるアクリロニトリ
ルの製造例によって説明するが、本発明は、その要旨を
越えない限りこれら実施例に限定されるものではない。
プロパンのアンモ酸化反応の成績は、下記の式2で定義
されるプロパンの転化率、アクリロニトリルの選択率お
よびアクリロニトリルの収率を指標として評価した。
【0032】
【数2】
【0033】
【実施例1】(触媒の調製)25重量%のSiO2 に担
持された、組成式がMo1 Te0.230.31Nb0.11n
で表現される触媒を、次のようにして調製した。水48
40gに、攪拌下、ヘプタモリブデン酸アンモニウム
〔(NH4 6 Mo7 24・4H2 O〕1173.9
g、テルル酸〔H6 TeO6 〕352.2gおよびメタ
バナジン酸アンモニウム〔NH4 VO3 〕241.9g
を順次加えて、約60℃で溶解して混合水溶液(A)を
得た。1190gの水に、攪拌下、126.0gのニオ
ブ酸(Nb2 5 として76.6重量%)と274.7
gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を順
次加えて、約60℃で溶解して混合水溶液(B)を得
た。
【0034】得られた混合液(A)に、攪拌下、混合水
溶液(B)と1667gのシリカゾル(SiO2 として
30重量%)を順次添加して原料調合液を得た。得られ
た原料調合液を遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微
小球状の乾燥粉体を得た。乾燥器の入口温度は240
℃、出口温度は145℃であった。得られた乾燥粉体を
大気雰囲気下、250℃で2時間前焼成して酸化物を得
た。得られた酸化物700gを直径2インチのSUS管
に充填し、600Ncc/minの窒素ガス流通下、6
00℃で2時間焼成した。新たに酸化物700gについ
て、この焼成を反復して触媒を得た。
【0035】(プロパンのアンモ酸化反応)16メッシ
ュの金網を1cm間隔で12枚内蔵した、内径82mm
の流動床型SUS製反応管に、得られた触媒800gを
充填した。反応温度430℃、反応圧力常圧下に、プロ
パン:アンモニア:空気=1:1.2:14のモル比の
混合ガスを、104Ncc/secの流速で反応管下部
から供給してアンモ酸化反応を開始した。接触時間は
3.0sec・g/ccであった。反応開始から、約2
時間後の反応成績は、転化率が86.5%、選択率が6
0.5%、収率が52.3%であった。反応開始から2
日目と6日目の反応成績を表1に示す。反応開始から7
日目に反応時、賦活剤として粉末状のテルル酸〔H6
eO6 〕10gを、窒素気流と共に配管を通して反応器
に圧入した。
【0036】賦活剤添加から約2時間後には反応成績が
向上し始めて、約5時間後には、転化率が86.8%、
選択率が60.5%、収率が52.5%であった。以
降、反応を継続して、反応開始から15日目、20日
目、26日目および32日目に、テルル酸〔H6 TeO
6 〕を、それぞれ、8g、6g、7gおよび7gずつ、
上記と同様にして反応器に添加した。この間、収率は5
0〜53%であった。反応開始から38日目に、テルル
酸〔H6 TeO6 〕6gとヘプタモリブデン酸アンモニ
ウム〔(NH4 6 Mo7 24・4H2 O〕10gを混
合した粉末状の賦活剤を、上記と同様にして反応器に添
加した。反応開始から40日目の反応成績は、転化率が
87.0%、選択率が60.2%、収率が52.4%で
あった。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例2】 (プロパンのアンモ酸化反応)実施例1で得られた触媒
を用いて、プロパンのアンモ酸化反応の劣化と賦活の加
速試験を次のように行った。16メッシュの金網を1c
m間隔で8枚内蔵した、内径25mmの流動床型バイコ
ールガラス反応管に、実施例1で得られた触媒45gを
充填した。反応温度430℃、反応圧力常圧下に、プロ
パン:アンモニア:空気=1:1.2:14のモル比の
混合ガスを、5.83Ncc/secの流速で反応管下
部から供給してアンモ酸化反応を開始した。接触時間は
3.0sec・g/ccであった。
【0039】反応開始から約2時間後の反応成績は、転
化率が87.1%、選択率が60.3%、収率が52.
5%であった。反応開始から約5時間後に反応温度を4
30℃から490℃に上げ、この過酷条件下に反応を約
10時間継続した後、反応温度を430℃に戻した。こ
のとき反応成績は、転化率が60.3%、選択率が4
4.2%、収率が26.7%であった。
【0040】次いで、実施例1と同様にして、テルル酸
〔H6 TeO6 〕1.0gを反応器に添加した。この添
加から約2時間後の反応成績は、転化率が80.1%、
選択率が53.2%、収率が42.6%であった。この
結果は、アンモ酸化反応の成績が回復傾向にあることを
示している。さらに、テルル酸〔H6 TeO6 〕0.7
gと0.3gを約5時間毎に添加した。最後の添加から
約5時間後の反応成績は、転化率が88.5%、選択率
が58.9%、収率が52.1%であった。上記の結果
を表2と3に記載した。
【0041】
【比較例1】 (触媒の調製)特開昭58−139745号公報の実施
例1に記載されている触媒Fe10Sb250.25Te1.0
67.8(SiO2 30を、次のように調製した。水70
0gに、攪拌下、硝酸第二鉄〔Fe(NO3 3 ・9H
2 O〕636.5gを加えて、溶解して溶液(A)を得
た。水350gに、攪拌下、パラタングステン酸アンモ
ニウム〔(NH4 101241・5H2 O〕10.2g
とテルル酸〔H2 TeO6 〕36.2gを順次加えて、
約95℃で溶解して混合水溶液(B)を得た。
【0042】得られた溶液(A)に、攪拌下、混合水溶
液(B)、568.9gの粉末状三酸化アンチモン〔S
2 3 〕および937gのシリカゾル(SiO2 とし
て30重量%)を順次添加し、次いで、15重量%のア
ンモニア水をpHが2になるまで添加して原料調合液を
得た。得られた原料調合液を、実施例1と同じ条件下に
噴霧乾燥して乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体を大気
雰囲気下、500℃で4時間、次いで、さらに850℃
で1時間焼成して触媒を得た。
【0043】(プロパンのアンモ酸化反応)得られた触
媒について、実施例2の装置・方法を用いて、プロパン
のアンモ酸化反応時の触媒の劣化と賦活の加速試験を、
次のように行った。得られた触媒45gを用いて、反応
温度を500℃、接触時間を5.0sec・g/ccと
した以外は、実施例2の方法に従って反応を開始した。
反応開始から、約2時間後の反応成績は、転化率が3
1.4%、選択率が27.4%、収率が8.6%であっ
た。
【0044】反応開始から約5時間後に反応温度を50
0℃から550℃に上げ、この過酷条件下に反応を約1
0時間継続した後、反応温度を500℃に戻した。この
とき反応成績は、転化率が23.2%、選択率が18.
0%、収率が4.2%であった。次いで、テルル酸〔H
6 TeO6 〕0.3gを反応器に添加した。この添加か
ら約5時間後に反応成績は、転化率が25.0%、選択
率が16.8%、収率が4.2%であった。最初の添加
から約10時間後に再度、テルル酸〔H6TeO6〕0.
2gを添加し反応を追跡したが、成績の向上はなかっ
た。上記の結果を表2と3に記載した。
【0045】
【比較例2】 (触媒の調製)特開昭58−139745号公報の実施
例2に記載されている触媒Fe10Sb25Cu3 Mo0.5
0.3 Te1.5 73.4(SiO2 60を、次のように調
製した。水520gに、攪拌下、硝酸第二鉄〔Fe(N
3 3 ・9H2 O〕468.9gと硝酸銅〔Cu(N
3 2 ・3H2 O〕84.1gを順次加え、溶解して
溶液(A)を得た。水300gに、攪拌下、ヘプタモリ
ブデン酸アンモニウム〔(NH4 6 Mo7 24・4H
2 O〕10.2g、パラタングステン酸アンモニウム
〔(NH4 1012415H2 O〕9.0gおよびテル
ル酸〔H2 TeO6 〕40.0gを順次加えて、約95
℃で溶解し混合水溶液(B)を得た。
【0046】得られた溶液(A)に、攪拌下、混合水溶
液(B)、419.1gの粉末状三酸化アンチモン〔S
2 3 〕および1381gのシリカゾル(SiO2
して30重量%)を順次添加し、次いで、15重量%の
アンモニア水をpHが2になるまで添加して原料調合液
を得た。得られた原料調合液を、実施例1と同じ条件下
に噴霧乾燥して乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体を大
気雰囲気下、500℃で4時間、次いで、850℃で1
時間焼成して触媒を得た。
【0047】(プロパンのアンモ酸化反応)得られた触
媒について、実施例2の装置・方法を用いて、プロパン
のアンモ酸化反応時の触媒の劣化と賦活の加速試験を、
次のように行った。得られた触媒45gを用いて、反応
温度を500℃、接触時間を5.0sec・g/ccと
した以外は、実施例2の方法に従って反応を開始した。
反応開始から約2時間後の反応成績は、転化率が32.
0%、選択率が28.3%、収率が9.1%であった。
反応開始から約5時間後に反応温度を500℃から55
0℃に上げ、この過酷条件下に反応を約10時間継続し
た後、反応温度を500℃に戻した。このとき反応成績
は、転化率が24.1%、選択率が21.2%、収率が
5.1%であった。
【0048】次いで、テルル酸〔H6 TeO6 〕0.3
gを反応器に添加した。この添加から約5時間後に反応
成績は、転化率が25.8%、選択率が19.4%、収
率が5.0%であった。最初の添加から約10時間後に
再度、テルル酸〔H6 TeO0.2gを添加し反応を追
跡したが、成績の向上はなかった。上記の結果を表2と
3に記載した。
【0049】
【比較例3】 (触媒の調製)特開平7−215926号公報の実施例
4に記載された組成物Mo1 Te0.5 Al8.0 n を2
0重量%のSiO2 に担持した触媒を、次のように調製
した。水2200gに、攪拌下、ヘプタモリブデン酸ア
ンモニウム〔(NH )6 Mo7 24・4H2 O〕22
2.3gとテルル酸〔H6 TeO6 〕145.0gを順
次加えて、60℃で溶解して混合水溶液(A)を得た。
【0050】1100gの水に、攪拌下、硝酸アルミニ
ウム〔Al(NO3 3 ・9H2 O〕3752.2gを
加えて、約60℃で溶解して水溶液(B)を得た。得ら
れた混合液(A)に、攪拌下、667gのシリカゾル
(SiO2 として30量%)と水溶液(B)を順次添加
して原料調合液を得た。得られた原料調合液を、実施例
1と同じ条件下に噴霧乾燥して乾燥粉体を得た。得られ
た乾燥粉体を大気雰囲気下、650℃で3時間焼成して
触媒を得た。
【0051】(プロパンのアンモ酸化反応)得られた触
媒について、実施例2の装置・方法を用いて、プロパン
のアンモ酸化反応時の触媒の劣化と賦活の加速試験を、
次のように行った。得られた触媒45gを用いて、反応
温度を500℃、接触時間を7.6sec・g/ccと
した以外は、実施例2の方法に従って反応を開始した。
反応開始から、約2時間後の反応成績は転化率が77.
6%、選択率が37.9%、収率が29.4%であっ
た。
【0052】反応開始から約5時間後に反応温度を50
0℃から550℃に上げ、この過酷条件下に反応を約1
0時間継続した後、反応温度を500℃に戻した。この
とき反応成績は、転化率が54.0%、選択率が22.
8%、収率が12.3%であった。次いで、テルル酸
〔H6 TeO6 〕1.0gを反応器に添加した。この添
加から約5時間後に反応成績は、転化率が56.2%、
選択率が22.2%、収率が12.5%であった。最初
の添加から約10時間後に再度、テルル酸〔H6 TeO
6 〕0.7gを添加し反応を追跡したが、成績の向上は
なかった。上記の結果を表2と3に記載した。
【0053】
【比較例4】 (触媒の調製)米国特許第5、171、876号公報の
実施例1に記載された触媒、25重量%のSiO2 と2
5重量%のAl2 3 に担持されたMo1 Te0.5 Cr
0.5 Mg0.5 n を、次のように調製した。水3100
gに、攪拌下、ヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(N
4 6 Mo7 24・4H2 O〕306.6gとテルル
酸〔H6 TeO6 〕199.9gを順次加えて、60℃
で溶解して混合水溶液(A)を得た。1500gの水
に、攪拌下、硝酸クロム〔Cr(NO3 3 ・9H
2 O〕345.4gと硝酸マグネシウム〔Mg(N
3 2 ・6H2 O〕222.8gを順次加えて、約6
0℃で溶解して混合水溶液(B)を得た。
【0054】得られた混合水溶液(A)に、攪拌下、混
合水溶液(B)、833gのシリカゾル(SiO2 とし
て30重量%)および1250gのアルミナゾル(Al
23として20重量%)を順次添加して原料調合液を得
た。得られた原料調合液を実施例1と同じ条件下に噴霧
乾燥して乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体を大気雰囲
気下、290℃で3時間、425℃で3時間、そして最
後に、610℃で3時間焼成して触媒を得た。
【0055】(プロパンのアンモ酸化反応)得られた触
媒について、実施例2の装置・方法を用いて、プロパン
のアンモ酸化反応時の触媒の劣化と賦活の加速試験を、
次のように行った。得られた触媒45gを用いて、反応
温度を470℃とした以外は、実施例2の方法に従って
反応を開始した。反応開始から約2時間後の反応成績
は、転化率が15.0%、選択率が60.2%、収率が
9.0%であった。
【0056】反応開始から約5時間後に反応温度を47
0℃から520℃に上げ、この過酷件下に反応を約10
時間継続した後、反応温度を470℃に戻した。このと
き反応成績は、転化率が12.5%、選択率が28.8
%、収率が3.6%であった。次いで、テルル酸〔H6
TeO6 〕1.4gを反応器に添加した。この添加から
約5間後に反応成績は、転化率が14.0%、選択率が
25.1%、収率が3.5%であった。最初の添加から
約10時間後に再度、テルル酸〔H6 TeO6〕0.7
gを添加し反応を追跡したが、成績の向上はなかった。
上記の結果を表2と3に記載した。
【0057】
【比較例5】 (触媒の調製)特開平6−228073号公報の実施例
1に記載された組成物W1 0.3 Te0.23Nb0.12n
を25重量%のSiO2 に担持した触媒を、次のように
調製した。水4000gに、攪拌下、パラタングステン
酸アンモニウム〔(NH4 101241・5H2 O〕3
11.5g、テルル酸〔H6 TeO6 〕63.4gおよ
びメタバナジン酸アンモニウム〔NH4 VO3 〕42.
1gを順次加えて、95℃で溶解して混合水溶液(A)
を得た。
【0058】240gの水に、攪拌下、24.8gのニ
オブ酸(Nb2 5 として76.6重量%)と54.0
gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を順
次加えて、約60℃で溶解して混合水溶液(B)を得
た。得られた混合液(A)に、攪拌下、417gのシリ
カゾル(SiO2 として30重量%)と混合水溶液
(B)を順次添加して原料調合液を得た。得られた原料
調合液を、実施例1と同じ条件下に噴霧乾燥して乾燥粉
体を得た。得られた乾燥粉体80gを直径1インチのS
US管に充填し、150Ncc/minの窒素ガス流通
下、600℃で2時間焼成して触媒を得た。
【0059】(プロパンのアンモ酸化反応)得られた触
媒について、実施例2の装置・方法を用いて、プロパン
のアンモ酸化反応時の触媒の劣化と賦活の加速試験を、
次のように行った。得られた触媒45gを用いて、反応
温度を450℃とした以外は、実施例2の方法に従って
反応を開始した。反応開始から約2時間後の反応成績
は、転化率が65.3%、選択率が21.0%、収率が
13.7%であった。
【0060】反応開始から約5時間後に反応温度を45
0℃から500℃に上げ、この過酷条件下に反応を約1
0時間継続した後、反応温度を450℃に戻した。この
とき反応成績は、転化率が36.6%、選択率が18.
6%、収率が6.8%であった。次いで、テルル酸〔H
6 TeO6 〕0.8gを反応器に添加した。この添加か
ら約5時間後に反応成績は、転化率が37.0%、選択
率が17.6%、収率が6.5%であった。最初の添加
から約10時間後に再度、テルル酸〔H6 TeO6
0.5gを添加し反応を追跡したが、成績の向上はなか
った。上記の結果を表2と3に記載した。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】本発明によって、モリブデン、テルル、
バナジウムおよびニオブを含有する酸化物触媒の存在
下、プロパンまたはイソブタンの気相接触アンモ酸化反
応を行うにあたって、高収率で長期に亘って安定的にア
クリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造するこ
とができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動床反応器を用いて、シリカに担持さ
    れたモリブデン、テルル、バナジウムおよびニオブを含
    有する酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタン
    をアンモニアおよび分子状酸素と気相接触させてアクリ
    ロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造するに当た
    り、該反応時、テルル化合物と、任意に、モリブデン化
    合物を賦活剤として該反応器に添加することを特徴とす
    るアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 触媒が、10〜60重量%のシリカに担
    持された、下記一般式で表現される成分組成を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のアクリロニトリルまた
    はメタクリロニトリルの製造方法。 Mo1 Tea b Nbc d n (上式において、XはTa、W、Cr、Ti、Zr、S
    b、Bi、Sn、Hf、Mn、Fe、Ru、Co、R
    h、Ni、Pd、Pt、Zn、Al、Ga、In、T
    l、Pおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも
    1種以上の元素であり、a、b、c、dおよびnはMo
    1原子当たりの原子比を表し、aは0.01≦a≦1.
    0、bは0.1≦b≦1.0、cは0.01≦c≦1.
    0、dは0≦d≦1.0、nは構成金属元素の原子価に
    よって決まる酸素の原子比である。)
  3. 【請求項3】 テルル化合物が金属テルル、無機テルル
    化合物および有機テルル化合物から選ばれる少なくとも
    一種であり、モリブデン化合物がヘプタモリブデン酸ア
    ンモニウム、モリブデン酸、二酸化モリブデンおよび三
    酸化モリブデンから選ばれる少なくとも一種である請求
    項1または2に記載のアクリロニトリルまたはメタクリ
    ロニトリルの製造方法。
  4. 【請求項4】 無機テルル化合物がテルル酸、二酸化テ
    ルルおよび三酸化テルルから選ばれる少なくとも一種で
    あり、有機テルル化合物がメチルテルロールとジメチル
    テルロキシドから選ばれる少なくとも一種である請求項
    3に記載のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 テルル化合物がテルル酸であり、モリブ
    デン化合物がヘプタモリブデン酸アンモニウムである請
    求項1または2に記載のアクリロニトリルまたはメタク
    リロニトリルの製造方法。
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