JP2001122625A - ニオブ含有複合金属酸化物の製造方法 - Google Patents
ニオブ含有複合金属酸化物の製造方法Info
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Abstract
能の複合金属酸化物を調製する。 【解決手段】 ニオブ以外の金属を含有する溶液にニオ
ブを含有する溶液を添加して、該ニオブ以外の金属とニ
オブとを含有する析出物を含むスラリーを形成させ、こ
のスラリーから溶媒を除去して得た固形物を焼成して複
合金属酸化物を調製するに際し、析出物が生成する以前
に、ニオブを含有する溶液の80%以上をニオブ以外の
金属を含有する溶液に添加する。
Description
酸化物の製造方法に関するものである。特に本発明はモ
リブデン、バナジウム、テルル及びニオブを含有する複
合金属酸化物の製造方法に関するものである。本発明方
法により得られる複合金属酸化物は、アルカンのアンモ
オキシデーションによるニトリルの製造、特にプロパン
からのアクリロニトリル製造の触媒として有用である。
酸化反応の触媒として検討されている。例えばモリブデ
ン、バナジウム、テルル及びニオブから成る複合金属酸
化物が、アルカンのアンモオキシデーションによるニト
リルの製造、特にプロパンのアンモオキシデーションに
よるアクリロニトリルの製造に優れた触媒能を発揮する
ことが知られている(特開平2−257号公報参照)。
この複合金属酸化物の触媒としての性能は、その製法に
より変化するので、従来から高性能の触媒を目指してそ
の製法の改良が進められている(特開平5−20813
6、特開平6−285372、特開平7−14413
2、特開平7−289907、特開平7−31584
2、特開平8−141401及び特開平11−4759
8号公報参照)。
によれば、先ずモリブデン、バナジウム及びテルルを含
有する溶液と、ニオブを含有する溶液とをそれぞれ別個
に調製し、前者の溶液に後者の溶液を混合する。次い
で、生成した混合物から溶媒を除去して固形物を取得
し、この固形物を焼成して複合金属酸化物とする。特開
平7−315842号公報には、両者の溶液を混合し、
混合物から析出物が生成する前に混合物を溶媒除去工程
に供することが提案されているが、一般的には両者の溶
液を混合すると、これらの金属を含む析出物がすみやか
に生成してスラリーが形成されるので、このスラリーを
溶媒除去工程に供している。
デン、バナジウム及びテルルを含有する溶液に、ニオブ
を含有する溶液を添加してスラリーを形成させ、次いで
これから溶媒を除去して固形物を取得する方法で調製し
た複合金属酸化物を触媒として、プロパンのアンモオキ
シデーションによるアクリロニトリルの製造を行うと、
触媒の製造ロット毎に反応成績が変動し易いという問題
がある。従って本発明は、安定した反応成績を与える複
合金属酸化物の製造法を提供しようとするものである。
以外の金属を含有する溶液にニオブを含有する溶液を添
加して、該ニオブ以外の金属とニオブとを含有する析出
物を含むスラリーを形成させ、このスラリーから溶媒を
除去して得た固形物を焼成して、ニオブ含有複合金属酸
化物を製造する方法において、該ニオブ以外の金属とニ
オブとを含有する析出物が生成する以前に、ニオブを含
有する溶液の80%以上をニオブ以外の金属を含有する
溶液に添加することにより、触媒として高性能の複合金
属酸化物を得ることができる。
属を含有する溶液と、ニオブを含有する溶液とをそれぞ
れ別個に調製する。その調製は公知の方法に従って行え
ばよい。例えばニオブ以外の金属を含有する溶液が、モ
リブデン、バナジウム及びテルルを含む溶液である場合
には、それぞれの金属を含む溶液を調製して混合しても
よく、また溶媒、通常は水、にそれぞれの金属を含む化
合物を順次添加して溶解してもよい。溶液の調製に用い
る金属化合物としては、前述の文献に記載されているよ
うな複合金属酸化物の調製に常用されているものを用い
ればよい。例えばニオブ化合物としてはシュウ酸ニオブ
やシュウ酸ニオブアンモニウムなどのようなシュウ酸を
含むものが好んで用いられる。モリブデン化合物として
はパラモリブデン酸アンモニウムが、バナジウム化合物
としてはメタバナジン酸アンモニウムが、テルル化合物
としてはテルル酸が、それぞれ好んで用いられる。モリ
ブデン、バナジウム及びテルルを含有する溶液の組成
は、この溶液とニオブを含有する溶液との混合物が、所
望の金属組成となるようにする。混合物の原子組成はモ
リブテンを1とするとき、バナジウムは0.01〜1.
0、好ましくは0.1〜0.6であり、テルルは0.0
1〜1.0、好ましくは0.05〜0.4であり、ニオ
ブは0.01〜1.0、好ましくは0.01〜0.6な
ので、この原子組成となるようにモリブデン、バナジウ
ム及びテルルを含有する溶液の組成、及びこの溶液とニ
オブを含有する溶液との混合比率を決定すればよい。ま
た、それぞれの溶液の金属化合物の濃度は、溶媒除去の
負担を軽減するため、5重量%以上とするのが好まし
く、さらには10重量%以上とするのがより好ましい。
リブデン、バナジウム及びテルルを含有する溶液に、ニ
オブを含有する溶液を添加して、混合液からこれらの金
属を含む析出物を生成させてスラリーを形成する。前者
は赤色の透明な溶液であり、後者は無色透明な溶液なの
で、混合物は混合直後は赤色であるが、間もなく析出物
が生成して橙色になる。従って析出物の生成は肉眼で容
易に判断できる。この析出物はニオブと他の金属とを含
んでいるが、その生成母体である混合液の組成とは異な
ると考えられ、この析出物と残余の混合液中の金属成分
とが一体となって最終的な複合金属酸化物が形成される
ものと考えられる。
ニオブを含有する溶液の80%以上をニオブ以外の金属
を含有する溶液に添加する。好ましくは析出物が生成す
る以前にニオブを含有する溶液の90%以上を添加すべ
きであり、全量を添加するのが最も好ましい。このよう
にすることにより最終的に得られる複合金属酸化物を高
性能の触媒とすることができる。一般的に一方の溶液中
に他方の溶液を添加する場合には、撹拌下に徐々に添加
して、均一な組成の混合液を生成させるのが通常の操作
である。これに加えて、本発明のように工業的規模で複
合金属酸化物を製造する場合には、1回に添加するニオ
ブを含有する溶液の量が大量、例えば5kg以上にもな
るので、操作の安全性などの点からしても、添加開始か
ら終了までに相当の時間を要するのが常である。従って
添加に要する時間は、専ら操作上の諸条件により決定さ
れるものとして取扱われるのが常であり、これが最終的
に得られる複合金属酸化物の触媒としての性能に影響す
ることは驚くべきことといわなければならない。
最終的に得られる複合金属酸化物の触媒としての性能が
向上する理由は不明であるが、この方法によれば析出物
が全量一時に析出するので、微細で均質な析出物が生成
することが一因と考えられる。これに反して析出物が存
在する混合液中にニオブを含有する溶液を添加していく
と、添加されたニオブの一部は新たな析出物の生成に用
いられるが、残部は既に存在している析出物の成長に用
いられ、その結果、析出物が不均一となるものと考えら
れる。析出物の生成は温度が高いほど早いので、ニオブ
を含有する溶液の添加は、生成する混合液が60℃以
下、好ましくは50℃以下となる条件下で行うのが好ま
しい。また、形成されたスラリーは、次いで溶媒除去に
より溶媒を除去して固形物とするが、溶媒除去に供する
までにスラリーの性状が実質的に変化しないようにする
のが好ましい。スラリーを高温で保存したのちに溶媒除
去に供すると、最終的に得られる複合金属酸化物の触媒
としての性能が低下する。
以下で行うのが好ましい。逆に保存温度が低過ぎても最
終的に得られる複合金属酸化物の触媒としての性能は低
下する。スラリーを低温で保存しているとモリブデンに
富む無色の大きな析出物が生成するので、これが悪影響
を及ぼすものと考えられる。従ってスラリーの保存は1
0℃以上、特に30℃以上で行うのが好ましい。
触媒製造の常法に従い、最終的に生成する複合金属酸化
物の強度向上、比重調整、触媒活性の制御などの目的
で、不活性な固体を含有させてもよい。このような不活
性な固体としては、触媒製造で常用されているアルミ
ナ、シリカ、アルミノシリケート、チタニア、ジルコニ
ア等の担体やアルミナゾル、シリカゾルなどのバインダ
ー等が用いられる。これらの不活性な固体は、通常の触
媒製造における場合と同じく、活性成分であるニオブ含
有複合金属酸化物の形成には与らずに、最終製品中では
この複合金属酸化物と共存しているものと考えられる。
不活性な固体は、通常は最終的に得られる製品中に占め
る比率が、酸化物として1〜70重量%となるようにス
ラリー中に含有させる。これらの不活性な固体は、いず
れかの溶液に含有させておいてもよく、また形成された
スラリーに添加してもよい。
えばよい。最終的に得られる複合金属酸化物を流動触媒
として用いる場合には、噴霧乾燥するのが好ましい。噴
霧乾燥法によれば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装
置で測定して、平均粒径40〜60μm程度の、流動触
媒として好適な球状触媒を容易に得ることができる。噴
霧乾燥は常法に従って行えばよく、例えば入口ガス温度
は100〜400℃、出口ガス温度は80〜250℃程
度が採用される。溶媒除去により得られた固形物は、常
法により焼成して複合金属酸化物とする。好ましくは2
00〜350℃で熱分解してアンモニアや炭酸ガス等を
放出させ、次いで350〜700℃で焼成して複合金属
酸化物とする。この熱分解及び焼成は、酸素が実質的に
存在しない雰囲気中で行うのが好ましい。特に後段の高
温での焼成は酸素が実質的に存在しない雰囲気中で行う
べきである。また、特開平6−285372号公報に記
載されているように焼成後に粉砕したり、特開平7−2
89907号公報に記載されているように焼成後に冷却
して酸素と接触させたのち酸素の実質的不存在下にもう
一度高温で焼成するのも好ましい。
は、アルカンのアンモオキシデーションによるニトリル
の製造、特にプロパンのアンモオキシデーションによる
アクリロニトリルの製造に優れた触媒能を発揮する。プ
ロパンのアンモオキシデーションによるアクリロニトリ
ルの製造は、大きな発熱を伴うので流動床反応器を用い
て行うのが好ましい。反応は常法に従って行えばよく、
反応温度は通常340〜480℃であるが、特に400
〜450℃が好ましく、またガス空間速度は通常100
〜10000hr-1であるが、300〜5000hr-1
が好ましい。供給するプロパンに対するアンモニアの比
率は0.05〜10倍モル、特に0.1〜3倍モルが好
ましい。またプロパンに対する酸素の比率は25倍モル
以下、特に0.3〜18倍モルが好ましい。
説明する。
4水塩7.09kg、メタバナジン酸アンモニウム1.
41kg及びテルル酸2.12kgを溶解して、モリブ
デン、バナジウム及びテルルを含有する水溶液を調製
し、この水溶液にシリカ含有量が20重量%のシリカゾ
ル5kgを添加した。温水8.66Lにシュウ酸ニオブ
アンモニウム2.16kgを溶解して水溶液を調製し、
これを上記で調製したシリカゾルを含む溶液に1分間で
添加した。添加直後の混合物の液温は約50℃であり、
添加から約5分後に析出物が生成してスラリーとなっ
た。このスラリーの金属組成は、原子比でMo:V:T
e:Nb=1:0.3:0.15:0.12である。こ
のスラリーを20〜50℃で16時間保持したのち、こ
の温度で噴霧乾燥した。噴霧乾燥は入口ガス温220
℃、出口ガス温160℃で行った。
にアンモニア臭が無くなるまで250℃で熱分解したの
ち、窒素ガス流通下に600℃で2時間焼成した。次い
で室温に冷却して空気と接触させたのち再び窒素ガス流
通下に600℃で2時間焼成することを反復し、合計し
て600℃で6時間の焼成を行い、複合金属酸化物を得
た。このものの平均粒径は約50μmであった。
ル及びシリカゾルを含有する溶液と、ニオブを含有する
溶液とを調製し、前者の溶液に後者の溶液を80分間か
けてほぼ一定速度で添加した。この間、液温は45〜5
0℃であり、添加開始から約5分後に析出物が生成して
スラリーとなった。このスラリーを実施例1と全く同様
に噴霧乾燥、熱分解及び焼成して複合金属酸化物を得
た。このものの平均粒径は約50μmであった。
化物100mgを管式反応器に充填し、これにモル比で
プロパン:アンモニア:空気=1.0:0.3:4.0
の混合ガスを導入して、420℃でアクリロニトリルを
生成させた。また、プロパンの供給量は1.57Nml
/分とした。反応開始から1〜3時間の反応成績は次の
通りであった。
Claims (8)
- 【請求項1】 ニオブ以外の金属を含有する溶液にニオ
ブを含有する溶液を添加して、該ニオブ以外の金属とニ
オブとを含有する析出物を含むスラリーを形成させ、こ
のスラリーから溶媒を除去して得た固形物を焼成してニ
オブ含有複合金属酸化物を製造する方法において、該ニ
オブ以外の金属とニオブとを含有する析出物が生成する
以前に、ニオブを含有する溶液の80%以上をニオブ以
外の金属を含有する溶液に添加することを特徴とする方
法。 - 【請求項2】 該ニオブ以外の金属とニオブとを含有す
る析出物が生成する以前に、ニオブを含有する溶液の9
0%以上をニオブ以外の金属を含有する溶液に添加する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 該ニオブ以外の金属とニオブとを含有す
る析出物が生成する以前に、ニオブを含有する溶液の全
量をニオブ以外の金属を含有する溶液に添加することを
特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 ニオブ以外の金属を含有する溶液が、モ
リブデン、バナジウム及びテルルを含有していることを
特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 ニオブ以外の金属を含有する溶液の組
成、及びこの溶液に対するニオブを含有する溶液の添加
比率を、生成する混合物のモリブデン、バナジウム、テ
ルル及びニオブの原子比率が、モリブデンを1とすると
き、バナジウムが0.01〜1.0、テルルが0.01
〜1.0、ニオブが0.01〜1.0となるようにする
ことを特徴とする請求項4記載の方法。 - 【請求項6】 ニオブ以外の金属を含有する溶液の組
成、及びこの溶液に対するニオブを含有する溶液の添加
比率を、生成する混合物のモリブデン、バナジウム、テ
ルル及びニオブの原子比率が、モリブデンを1とすると
き、バナジウムが0.1〜0.6、テルルが0.05〜
0.4、ニオブが0.01〜0.6となるようにするこ
とを特徴とする請求項4記載の方法。 - 【請求項7】 ニオブ以外の金属を含有する溶液及びニ
オブを含有する溶液の少なくとも一方が、不活性な固体
を含有していることを特徴とする請求項1ないし6のい
ずれかに記載の方法。 - 【請求項8】 ニオブ以外の金属を含有する溶液にニオ
ブを含有する溶液を添加して生成させたスラリーを、溶
媒除去に供するまでの間、スラリーの性状が実質的に変
化しないように保持することを特徴とする請求項1ない
し7のいずれかに記載の方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30342899A JP4696331B2 (ja) | 1999-10-26 | 1999-10-26 | ニオブ含有複合金属酸化物の製造方法 |
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
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JP2001122625A true JP2001122625A (ja) | 2001-05-08 |
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