JP2000254496A - アクリル酸製造用の触媒 - Google Patents

アクリル酸製造用の触媒

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JP2000254496A JP11062488A JP6248899A JP2000254496A JP 2000254496 A JP2000254496 A JP 2000254496A JP 11062488 A JP11062488 A JP 11062488A JP 6248899 A JP6248899 A JP 6248899A JP 2000254496 A JP2000254496 A JP 2000254496A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロパンの気相接触酸化によるアクリル酸の
製造において高収率が得られる触媒であって、且つ耐摩
耗性に優れる金属酸化物触媒の提供。 【解決手段】 Mo、Vi、Sb、A(但しAはNbま
たはTaである)および所望によりその他の金属からな
る金属酸化物触媒であって、下記工程(1)および工程
(2)をへて製造されるプロパンの気相接触反応による
アクリル酸製造用の触媒。 工程(1):水性媒体中で、Mo+6の存在下にV+5およ
びSb+3を70℃以上の温度で反応させ、該反応の間ま
たは終了後に、反応液中に分子状酸素または該酸素を含
むガスを吹き込む工程 工程(2):前記工程(1)で得られる反応生成物に、
上記Aを構成元素とする化合物を含む溶液、および硝酸
または硝酸アンモニウム水溶液を加えて均一に混合し、
得られる混合物を焼成する工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロパンまたはプ
ロピレン等のC3の炭化水素の気相接触酸化によるアク
リル酸の製造に用いられる金属酸化触媒に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】一般にアクリル酸は、触媒の存在下にプロ
ピレンと酸素を接触反応させてアクロレインを製造し、
さらにこれを酸素と接触反応させる二段酸化により製造
されている。一方、近年プロパンとプロピレンの価格差
または二段酸化に伴う工程の複雑さ等の理由で、プロパ
ンを出発原料として一段階でアクリル酸を製造する方法
が検討されており、その際に使用される触媒に関する提
案が多数なされている。代表例としては、〔V、P、T
e〕系の触媒[キャタリシス ツディー(Catal.
Today)、13,679(1992)]、AgBi
VMoO(特開平2−83348号公報)、BiMo12
5 Nb0.5 SbKOn (USP第5198580
号)、〔Mo、Te、V、Nb〕系(特開平6ー279
351号公報)および〔Mo、Sb、V、Nb〕系(特
開平9−316023号、特開平10−137585号
公報)の触媒等が挙げられる。さらに、特開平10−2
30164号公報には、上記特開平9−316023号
または特開平10−137585号公報に開示のアクリ
ル酸製造用触媒の改良手段、すなわち水性溶媒中でMo
+6の存在下にV+5およびSb+3を70℃以上の温度で反
応させ、該反応の間または反応の終了後、反応液中に分
子状酸素または該酸素を含むガスを吹き込むという第一
工程と、それによって得られる反応混合物にNb化合物
を加えて混合した後に焼成するという第二工程からなる
〔Mo、Sb、V、Nb〕系酸化物触媒の製造方法が開
示されている。
【0003】しかしながら、上記の触媒では、目的生成
物であるアクリル酸の収率が不十分であったり、また触
媒自体の寿命が短いという問題があった。たとえば、前
記の特開平6−279351号公報で提案されている
〔Mo、Te、V、Nb〕系の触媒によれば、高収率で
アクリル酸が得られるが、Teが蒸散し易いため触媒の
活性が経時的に損なわれ易い。また、特開平9−316
023号公報または特開平10−230164号公報に
開示された〔Mo、Sb、V、Nb〕系触媒もアクリル
酸の収率の面や触媒製造の再現性の面で改良の余地があ
り、さらにこれらの触媒を流動層反応用の触媒として使
用する場合、触媒性能以外に耐摩耗性も要求されるが、
その点の性能が今一歩であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、前記特開平10−
230164号公報に開示されたアクリル酸製造用の金
属酸化物触媒の製造方法における第二工程において、N
b化合物と共に、硝酸または硝酸アンモニウム水溶液を
加えることにより、耐摩耗性に優れしかもアクリル酸収
率の高い触媒が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明における第一発明は、M
o、Vi、Sb、A(但しAはNbまたはTaである)
および所望によりその他の金属からなる金属酸化物触媒
であって、下記工程(1)および工程(2)をへて製造
されるプロパンの気相接触反応によるアクリル酸製造用
の触媒であり、また第二発明は、前記工程(1)におけ
る反応液中に分子状酸素または該酸素を含むガスを吹き
込む操作に代えて、工程(1)における反応液中に過酸
化水素を加えるという操作が採用された前記アクリル酸
製造用の触媒である。 工程(1):水性媒体中で、Mo+6の存在下にV+5およ
びSb+3を70℃以上の温度で反応させ、該反応の間ま
たは終了後に、反応液中に分子状酸素または該酸素を含
むガスを吹き込む工程 工程(2):前記工程(1)で得られる反応生成物に、
上記Aを構成元素とする化合物を含む溶液、および硝酸
または硝酸アンモニウム水溶液を加えて均一に混合し、
得られる混合物を焼成する工程 以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0005】本発明における前記工程(1)において
は、Sb+3、V+5およびMo+6の三者間で、水性媒体中
で70℃以上の温度で酸化還元反応が起こる。この反応
は、70℃以上の加熱下でないと進行せず、好ましい反
応温度は、水性媒体の沸点付近であり、反応時間として
は5〜15時間程度が好ましい。上記反応における主な
素反応は次式(イ)および式(ロ)で表される。 V+5 + Sb+3 → V+3 + Sb+5 (イ) V+3 + Mo+6 → V+4 + Mo+5 (ハ) 上記反応中または反応終了後の反応液に、酸素ガスを吹
き込むかまたは過酸化水素を加えることによって、反応
(ハ)によって生成するMo+5を再びMo+6に転換する
ことによりMo+5の濃度を適切に制御することができ
る。それによってアクリル酸収率の高い触媒の製造が可
能となる。
【0006】上記反応に用いられるV+5を構成元素とす
るV+5化合物としては、メタバナジン酸アンモンニウム
または五酸化バナジウムが好ましく、Sb+3を構成元素
とするSb+3化合物としては、三酸化アンチモンまたは
酢酸アンチモンが好ましく、またMo+6を構成元素とす
るMo+6化合物としては、モリブデン酸アンモニウム、
酸化モリブデンまたはモリブデン酸等が挙げられ、好ま
しくは、水溶性である点で、モリブデン酸アンモニウム
である。
【0007】酸化還元反応におけるMo+6化合物、V+5
化合物およびSb+3化合物の好ましい使用割合は、目的
とする触媒においてそれを構成するMo、VおよびSb
の原子比が以下の組成式となる割合である。MoViS
bj(式中、iおよびjは0.01〜1.5である。) より好ましいiおよびjは、0.1〜1である。上記組
成式におけるiおよびjが、0.01未満であるかまた
は1.5を越えると、アクリル酸製造反応においてプロ
パンの転化率およびアクリル酸選択率が劣る。また、V
+5化合物およびSb+3化合物の好ましい使用割合は、原
子比でSb+3:V+5=(0.3〜1):1である。Sb+3
の割合が、0.3未満であるとアクリル酸選択率が低
く、一方1を越えるとプロパンの転化率が低い。
【0008】水性媒体における上記金属化合物の好まし
い仕込み量は、水100重量部当たり、3種の金属化合
物の合計量3〜30重量部である。3種の金属化合物の
合計量が、30重量部を越えるとV化合物またはMo化
合物の一部が不溶解物となり、酸化還元反応が不完全に
なり易い。
【0009】反応の進行度は、反応液における5価のS
bを定量分析し、その量と最初に仕込んだ3価のSbの
量との対比により分かる。すなわち、得られた反応液
に、その液の10倍以上の1N蓚酸水溶液を加えてSb
のみを沈降分離させた後、沈澱物を沃化水素酸にて滴定
することにより、5価のSbを定量分析できる。反応液
中のMoおよびVの原子価は、電子スピン共鳴スペクト
ルの測定等により求められる。
【0010】本発明の工程(1)においては、前記のと
おり、上記酸化還元反応液に酸素ガスまたは該酸素ガス
を含むガス(酸素含有ガスと総称する)を吹き込む。酸
素含有ガスの酸化還元反応液への吹き込みは、酸化還元
反応の進行中または反応終了後のいずれでもよい。酸素
含有ガスの吹き込み中は、反応液を攪拌することが好ま
しい。酸素含有ガスにおける好ましい酸素ガス濃度は、
0.5vol %以上であり、さらに好ましくは、1〜20
vol %であり、特に好ましくは、2〜15vol %(以下
%と略す)である。酸素含有ガスにおける酸素ガス濃度
が、0.5%未満であると、最終的に得られる触媒の活
性が低いことがある。
【0011】好ましい吹き込み速度(流量)は、酸化還
元反応液の反応液量に依存するが、反応液量が200ml
〜500ml程度であれば、3〜12リットル/Hrが好まし
い。上記酸素含有ガスの反応液中への吹き込み時間は、
4時間以上が好ましい。さらに好ましい吹き込み時間
は、5〜10時間である。酸素含有ガスの吹き込み時間
が4時間未満であると、得られる触媒の活性が低いこと
がある。
【0012】前記酸素含有ガスの吹き込みに代えて、過
酸化水素を前記酸化還元反応液に添加する場合〔第2発
明の工程(3)〕、過酸化水素の添加方法としては、過
酸化水素を含有する化合物ならいずれも使用でき、具体
的には、純過酸化水素または過酸化水素水等が挙げられ
る。好ましくは過酸化水素水であり、さらに好ましくは
過酸化水素濃度が0.01〜35%の過酸化水素水であ
る。過酸化水素の最適添加量については、原料中のSb
化合物の使用量によって変化し、モル比でSbを1とし
たときの過酸化水素の好ましい使用量は、0.2〜1.
2である。過酸化水素の酸化還元反応液への添加は、酸
化還元反応の進行中または反応終了後のいずれでも良い
が、特に反応終了後が好ましい。
【0013】本発明の工程(2)または第2発明の工程
(4)においては、上記反応の反応生成物であるMo、
VおよびSbを含む分散液またはその蒸発乾固物に、N
b化合物またはTa化合物を加えて均一に混合する。N
b化合物またはTa化合物としては、酸化ニオブ、ニオ
ブ酸、酸化タンタルおよびタンタル酸等が挙げられる。
Nb化合物またはTa化合物は、これらを水に分散させ
た形で使用しても良いが、蓚酸等を併用した蓚酸塩の水
溶液の形で用いることがさらに好ましい。Nb化合物ま
たはTa化合物を蓚酸塩の水溶液として加える場合、蓚
酸の使用量は金属NbまたはTaに対して、モル比で4
〜12が好ましい。さらに本発明においては、工程
(1)の反応生成物に対して、上記Nb化合物またはT
a化合物以外に硝酸または硝酸アンモニウム水溶液を加
える。それらを加える順序は、同時でも良いしまた硝酸
または硝酸アンモニウム水溶液の添加を後にしても良
い。それらを同時に加える場合には、NbまたはTaの
蓚酸塩の水溶液に硝酸または硝酸アンモニウムを溶解し
たものを、前記工程(1)の反応生成物と混合すればよ
い。
【0014】Nb化合物またはTa化合物の好ましい使
用量は、得られる触媒における金属の原子比で、Moを
1としたとき、NbまたはTaが0.001〜3.0と
なる量である。触媒におけるMoを1としたときのNb
またはTaの割合が、0.001未満であると触媒の劣
化が起こり、一方3.0を越えると触媒が低活性とな
り、プロパンの転換率に劣る。硝酸または硝酸アンモニ
ウムの好ましい使用量は、工程(2)に供されるSbに
対して、モル比で0.5〜2.1であり、さらに好まし
くは1.0〜1.6である。硝酸または硝酸アンモニウ
ムの作用は、微細な一次粒子を均一に形成することと推
測され、微細な一次粒子が均一に形成される結果、耐摩
耗性の良好な触媒が再現性よく調製される。硝酸の添加
量が、Sbに対しモル比で0.5未満であると、触媒活性
の再現性および耐摩耗性に劣り、一方2.1を越えると
触媒が過剰に酸化されることによりその活性が低下し易
い。
【0015】本発明においては、前述の金属と共に、例
えばAg、Zn、Sn、Pb、Cu、Se、Tl、Na、K 、Rb、Mg、C
a、Ba、Cr、W 、Fe、Ru、CoおよびNi等の他の金属を使
用することもできる。これらの金属(以下所望金属とい
うことがある)は1種または2種以上組み合わせて、前
記金属すなわちMo、Vi、SbおよびA(但しAはN
bまたはTaである)(以下必須金属ということがあ
る)と併用できる。所望金属の好ましい使用量は、Mo
に対する原子比で、0.0001〜0.05である。所望金
属を構成元素とする化合物を必須金属化合物と混合する
タイミングとしては、焼成前であれば良く、具体的には
前記工程(1)または工程(2)のいずれでも良い。液
状媒体の共存下に混合することが、均一な混合物が得ら
れる点で好ましい。
【0016】上記操作によって得られる金属化合物の混
合物は、必要により蒸発乾固または噴霧乾燥等の方法に
より乾燥した後、焼成処理を加えることにより、本発明
の触媒として用いられる特定な結晶構造を持つ金属酸化
物に変換される。本発明において焼成は、酸素存在下で
温度250〜350℃、好ましくは280〜320℃で
2〜20時間(さらに好ましくは4〜10時間)の条件
での焼成と、引き続く酸素不在下で温度500〜660
℃、好ましくは570〜620℃で1〜3時間の条件で
の焼成とを組み合わせることが好ましい。上記焼成によ
り得られる金属酸化物の中の金属元素の含有量の確認
は、螢光X線分析によって行うことができる。
【0017】以上に述べた工程(1)および工程
(2)、または工程(3)および工程(4)の操作によ
って製造されたアクリル酸製造用触媒は、適当な粒度に
まで粉砕して、表面積を増大させることが好ましく、粉
砕方法としては、乾式粉砕法または湿式粉砕法のいずれ
の方法も使用でき、粉砕装置としては、乳鉢、ボールミ
ル等が挙げられる。湿式粉砕の場合に、粉砕の助剤とし
て使用される溶媒の種類は水、アルコール類などが挙げ
られる。かかる溶媒の好ましい使用量は、触媒に対して
重量比で0.3〜3である。本触媒の好ましい粒度は、
20μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下であ
る。得られた触媒につき、以下の粒度保持試験によって
耐摩耗性を評価した。 ○試験法 16〜30メッシュに粉砕された触媒2.0gを径2.
5mmのスチール製ボール5.0gとともに、ネジ蓋付
きの300mlのベッセル容器(ボールミル粉砕用容
器)に入れる。蓋を閉じ、ボールミルのローラ上に置
き、105rpm(回転/ 分)の速度で30分程度回転
させた。16メッシュと30メッシュの2個の篩を重ね
たものの16メッシュ側に上記ベッセルの内容物を載
せ、スチールボールと微粉を除いき、16〜30メッシ
ュの粒子を分離した。得られた16〜30メッシュの粒
子を秤量し、元の触媒の重量に対する百分率を粒度保持
率と定義する。
【0018】本発明におけるアクリル酸製造用触媒は、
無担体の状態でも使用できるが、適当な粒度を有するシ
リカ、アルミナ、シリカアルミナおよびシリコンカーバ
イド等の担体に担持させた状態で使用することもでき
る。本発明の触媒は、プロパン、プロピレンまたはアク
ロレインの酸化によるアクリル酸の合成に適用できる
が、好ましくはプロパンの酸化への適用である。アクリ
ル酸製造の原料であるプロパンおよび酸素ガスは、別々
に反応器に導入して反応器内で混合させてもよく、また
予め両者を混合させた状態で反応器に導入してもよい。
また、反応管に挿入する多孔性のセラッミクスチューブ
の壁(一方非開口)を介在して酸素ガスを供給しても好
ましく使用できる。酸素ガスとしては、純酸素ガスまた
は空気、ならびにこれらを窒素、スチームまたは炭酸ガ
スで希釈したガスが挙げられる。プロパンおよび空気を
使用する場合、空気のプロパンに対する使用割合は、容
積比率で30倍以下が好ましく、さらに好ましくは、
0.2〜20倍の範囲である。反応器の出口から得られ
る未反応の原料であるプロパンや、中間生成物のプロピ
レンはそのまま燃料として使うこともできるが、生成物
の中の他の成分と分離させてから反応器へ導入して再利
用することもできる。好ましい反応温度は300〜60
0℃であり、より好ましくは350〜500℃である。
また、ガス空間速度(以下SVという)としては、30
0〜5000/hrが適当である。
【0019】以下、実施例および比較例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。なお、各例で得られた触
媒は、その1.5ml(約2.22g)を10mmφの
石英製の反応管に充填した。反応管は420℃に加温
し、そこにプロパン4.4容積%、酸素7.0容積%、
窒素26.3容積%および水蒸気62.3容積%の混合
ガスを2400/ hrの速度で供給することにより、ア
クリル酸を合成した。反応生成物に基づき、以下の転化
率および選択率を算出し、それらの値により使用した触
媒の性能を評価し、その結果は、後記の表1に記載し
た。転化率、選択率および収率の算出方法は以下ののと
おりである(いずれもモル数により計算)。 ・プロパン転化率(%)=(供給プロパン−未反応プロ
パン)÷供給プロパン ・アクリル酸選択率(%)=生成アクリル酸÷(供給プ
ロパン−未反応プロパン) ・アクリル酸収率(%)=プロパン転化率×アクリル酸
選択率
【0020】
【実施例1】300mlのガラス製フラスコ内の蒸留水
130ml中にメタバナジン酸アンモニウム6.15g
を加え、撹拌下で加熱溶解させた後、三酸化アンチモン
6.35gおよびモリブデン酸アンモニウム30.5を
加えた。さらに、上記フラスコ内に大量の窒素ガスを流
通させて十分に窒素置換した。上記成分からなる混合液
を360回転/分の速度で攪拌機を回転させながら、該
液中に酸素ガス濃度が15%の空気/窒素の混合ガスを
100ml/minの流量で吹き込みかつ92℃に昇温
して、5時間反応させる。得られる青いコロイド分散液
状の分散液を室温まで冷却し、そこに蓚酸13.15
g、ニオブ酸3.25gおよび60%の濃硝酸6.0を
90mlの蒸留水に溶解した常温の水溶液を加えた。得
られた混合液を30分間激しく攪拌した後、加熱濃縮
し、さらに120℃で蒸発乾固させた。得られた固体、
空気中、300℃で5時間焼成した後、窒素ガス流通中
において600℃で2時間焼成することにより特定な結
晶系の触媒を得た。得られた触媒を打錠成形し、さらに
16〜30メッシュに粉砕して、アクリル酸製造反応に
使用した。この触媒の原子比は、Mo/V/Sb/Nb
=1.0/0.3/0.25/0.10であった。ま
た、この触媒の粒度保持試験結果は、粒度保持率92.
4%であった。本触媒を使用してアクリル酸合成試験を
行った結果は、表1に示すとおりである。なお表1中、
AAはアクリル酸である。
【0021】
【実施例2】蓚酸13.15gおよびニオブ酸3.25
gおよび90ml蒸留水で作った溶液に硝酸の6.0g
代わりに、硝酸アンモニウム5.0gを加え、実施例1
と同じ方法で触媒を調製した。本触媒を使用してアクリ
ル酸合成試験を行った結果は、表1に示すとおりであ
る。なお、この触媒の粒度保持試験結果は、粒度保持率
91.5%であった。
【0022】
【実施例3】300mlのガラス製フラスコ内の蒸留水
130ml中にメタバナジン酸アンモニウム6.15g
を加え、撹拌下で加熱溶解させた後、三酸化アンチモン
5.87gおよびモリブデン酸アンモニウム30.9を
加えた。さらに、上記フラスコ内に大量の窒素ガスを流
通させて十分に窒素置換した。上記成分からなる混合物
を360回転/分の速度で撹拌機を回転させながら、窒
素ガス雰囲気下、16時間加熱還流し、反応させた。さ
らに加熱撹拌しながら、該液中に1.54重量%の過酸
化水素水40gを5時間かけて滴下した。得られた青い
コロイド分散液状の分散液を室温まで冷却し、そこに蓚
酸8.82g、ニオブ酸2.33gおよび60%の濃硝
酸6.0を75mlの蒸留水に溶解した常温の水溶液を
加えた。得られた混合液を、窒素ガス雰囲気下30分間
激しく撹拌した後、加熱濃縮し、さらに120℃で蒸発
乾固させた。得られた固体を空気中300℃で5時間焼
成した後、窒素ガス気流中において600℃で2時間焼
成することにより、金属酸化物の触媒を得た。得られた
触媒を打錠成形し、さらに16〜30メッシュに粉砕し
て、アクリル酸製造反応に使用した。この触媒の原子比
は、Mo/V/Sb/Nb=1.0/0.3/0.23
/0.08であった。また、この触媒の粒度保持試験結
果は、粒度保持率90%であった。本触媒を使用してア
クリル酸合成試験を行った結果は、表1に示すとおりで
ある。
【0023】
【比較例1】蓚酸13.15gおよびニオブ酸3.25
gおよび90ml蒸留水で作った溶液に硝酸を加えない
こと以外に、実施例1と同じ方法で触媒を調製した。本
触媒を使用してアクリル酸合成試験を行った結果は、表
1に示すとおりである。この触媒の粒度保持試験結果
は、粒度保持率70.5%であった。
【0024】
【比較例2】蓚酸8.82g、ニオブ酸2.33gおよ
び75ml蒸留水で作った溶液に硝酸を加えないこと以
外に、実施例3と同じ方法で触媒を調製した。本触媒を
使用してアクリル酸合成試験を行った結果は、表1に示
すとおりである。この触媒の粒度保持試験結果は、粒度
保持率62.5%であった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明のアクリル酸製造用の触媒によれ
ば、プロパンからの気相接触反応によりアクリル酸を高
収率で合成することができ、しかも耐摩耗性に優れるた
めに長期間に渡って使用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新妻 裕志 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 Fターム(参考) 4G069 AA02 AA08 BB06A BB06B BB12A BB12B BC26A BC26B BC54A BC54B BC55A BC55B BC56A BC56B BC59A BC59B BD01A BD01B BD02A BD02B CB07 DA05 FC04 FC08 4H006 AA02 AC12 AC46 BA12 BA13 BA14 BA30 BA81 BC13 BE30 BS10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mo、Vi、Sb、A(但しAはNbま
    たはTaである)および所望によりその他の金属からな
    る金属酸化物触媒であって、下記工程(1)および工程
    (2)をへて製造されるプロパンの気相接触反応による
    アクリル酸製造用の触媒。 工程(1):水性媒体中で、Mo+6の存在下にV+5およ
    びSb+3を70℃以上の温度で反応させ、該反応の間ま
    たは終了後に、反応液中に分子状酸素または該酸素を含
    むガスを吹き込む工程 工程(2):前記工程(1)で得られる反応生成物に、
    上記Aを構成元素とする化合物を含む溶液、および硝酸
    または硝酸アンモニウム水溶液を加えて均一に混合し、
    得られる混合物を焼成する工程
  2. 【請求項2】 Mo、Vi、Sb、A(但しAはNbま
    たはTaである)および所望によりその他の金属からな
    る金属酸化物触媒であって、下記工程(3)および工程
    (4)をへて製造されるプロパンの気相接触反応による
    アクリル酸製造用の触媒。 工程(3):水性媒体中で、Mo+6の存在下にV+5およ
    びSb+3を70℃以上の温度で反応させ、該反応の間ま
    たは終了後に、反応液中に過酸化水素を加える工程 工程(4):前記工程(3)で得られる反応生成物に、
    上記Aを構成元素とする化合物を含む溶液、および硝酸
    または硝酸アンモニウム水溶液を加えて均一に混合し、
    得られる混合物を焼成する工程
  3. 【請求項3】 上記工程(2)または工程(4)におい
    て用いられる硝酸または硝酸アンモニウムの量が、該工
    程(2)または工程(4)に供される金属Sbに対する
    モル比で0.5〜2.1である請求項1または2記載の
    アクリル酸製造用の触媒。
  4. 【請求項4】 プロパンの気相接触酸化によりアクリル
    酸を製造するに際し、請求項1、2または3記載の触媒
    を用いることを特徴とするアクリル酸の製造方法。
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