JPH11116344A - β−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材の製造方法及びβ−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材並びにβ−炭化ケイ素成形体 - Google Patents

β−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材の製造方法及びβ−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材並びにβ−炭化ケイ素成形体

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JPH11116344A
JPH11116344A JP9285728A JP28572897A JPH11116344A JP H11116344 A JPH11116344 A JP H11116344A JP 9285728 A JP9285728 A JP 9285728A JP 28572897 A JP28572897 A JP 28572897A JP H11116344 A JPH11116344 A JP H11116344A
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純 東條
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Motoaki Akiyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CVR法を実施して実質100%SiC成形
体を得るの最適の原料である黒鉛基材そのもの及び当該
黒鉛基材を効率良く製造できる方法を提供すると共に、
半導体分野向け素材として十分適用できる極めて高純度
のSiC成形体そのものを提供する。 【解決手段】 黒鉛基材原料を粉砕した後混練し、次い
で成形,焼成,黒鉛化の各処理を順次行なってβ−Si
C成形体用の黒鉛基材を製造する方法において、特に前
記黒鉛基材原料を高温で(2000℃以上で)熱処理し
た後粉砕し、得られた粉砕品を分級して、少なくとも粒
径が3〜100μmとなるように粒度調整したものを混
練処理する構成により、嵩密度1.50Mg/m3 以下
及び平均ポアー半径1.5μm以上の物性を有し、かつ
真密度が1.8Mg/m3 以下という特徴あるβ−炭化
ケイ素成形体を得るようにした。また、得られた特徴あ
る黒鉛基材をCVR法によりSiC化してなるSiC成
形体は、不純物濃度(Fe,Al濃度)が少なくともF
e:0.5ppm以下、Al:0.1ppm以下で灰分
が10ppm以下の極めて高純度レベルのものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はβ−炭化ケイ素成形
体用黒鉛基材の製造方法及びβ−炭化ケイ素成形体用黒
鉛基材並びにβ−炭化ケイ素成形体に関し、さらに詳し
くは高純度で複雑な形状にも容易に適用可能なβ−炭化
ケイ素成形体の製造に適した原料たる黒鉛基材そのもの
及び当該黒鉛基材の製造方法並びにこの黒鉛基材を用い
て製造した極めて高純度のSiC成形体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】炭化ケイ素(以下「SiC」と略記す
る。)は、高温での強度,伝導性,耐酸化性に優れたセ
ラミックであり、例えば高温ガス処理装置,電子部品用
熱処理装置等に使用されている。特に純度の高いもの
は、IC製造プロセス中半導体ウェハーを熱処理するた
めに使用されている。このようなSiC成形体の製法と
して、従来では基本的に次の〜のいずれかが採用さ
れていた。 SiC粉体に熱圧処理を施して直接SiC粉体を焼結
する方法。 SiC粉体を炭素質バインダーを用いて成形し、これ
を熱処理し、さらにSiを含浸して炭化したバインダー
をSiC化させる再結晶方法。 炭素基材に直接Si源を導入し、SiC化する方法。
【0003】しかし、上記の製法にはいずれも問題が存
在していた。つまり,の製法では不純物の混入によ
り高純度のSiC成形体が得られず、しかも目的とする
形状の付与はSiC成形体とした後の加工により行うた
め、SiCが非常に硬くて機械加工が困難なため、複雑
な形状のSiC成形体が得られないという問題があり、
またの製法では炭素基材のかなりの部分がSiC化さ
れずに残ってしまうという問題があった。
【0004】そこで、本出願人はこれらの問題を一挙に
解消し、高純度で複雑な形状にも容易に適用可能なβ−
SiC成形体を開発すべく鋭意研究を行った結果十分な
成果が得られたので、先に「β−炭化珪素成形体及びそ
の製造法」として特許出願を行った(特開平1−264
969号)。即ち、先の発明は、複雑な形状にも容易に
適用可能でかつ高純度のβ−SiC成形体(以下単に
「SiC成形体」という。)の提供を目的とし、そのた
めに出発原料として比較的加工を行いやすい黒鉛基材を
採用し、予め製品形状に加工した黒鉛基材(黒鉛成形
体)とSiOガスとを直接接触させて化学反応を起こさ
せることにより、所定の(製品)形状を有する黒鉛基材
(黒鉛成形体)の表面から内部中心に亘る全容積領域を
SiC化し、高純度のSiC成形体を得るようにしたも
のである。言い換えれば、特有のCVR法(化学気相反
応法)を利用して、種々の形状が付与された後の黒鉛基
材(黒鉛成形体)の内部中心部まで実質100%SiC
化することにより、SiCの一元組成体に転化して、複
雑な形状を有しながらも高純度であるSiC成形体の提
供を可能としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先の発
明に係るSiC成形体(製品)は比較的高価であるた
め、製品のコスト低減を図るためには生産性を大きく向
上させる必要があり、そのためにはCVR法の円滑実施
に適した原料である特定範囲の物性をもつ黒鉛基材、つ
まり少なくとも嵩密度1.50Mg/m3 以下及び平均
ポアー半径1.5μm以上の物性を有する黒鉛基材(以
下「CVR用黒鉛基材」と略称することがある。)を効
率良く調達できることが一つの条件となる。また、Si
C成形体(製品)を半導体等の分野に適用しようとする
場合、不純物の濃度、特に問題となりやすいFe濃度が
少なくとも1.0ppm程度以下(好ましくは0.5p
pm以下)で、Al濃度が少なくとも0.3ppm程度
以下(好ましくは0.1ppm以下)で灰分が10pp
m程度以下あることが求められる。そこで、本発明は、
CVR用黒鉛基材として最も適した黒鉛基材そのもの及
びその製造方法を提供すると共に、この黒鉛基材を使用
して製造した、半導体等の分野向け素材として十分適用
できる極めて高純度のSiC成形体そのものを提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明(請求項1記載の発明)は、黒鉛基材原料を粉砕し
た後混練し、次いで成形,焼成,黒鉛化の各処理を順次
行なってSiC成形体用の黒鉛基材を製造する方法にお
いて、前記黒鉛基材原料を高温で(好ましくは2000
℃以上で)熱処理した後粉砕し、得られた粉砕品を分級
して、少なくとも粒径が3〜100μmとなるように粒
度調整したものを混練処理することを特徴とする。
【0007】この方法によれば、黒鉛化処理後の黒鉛基
材として、すべて嵩密度が1.50Mg/m3 以下で平
均ポアー半径が1.5μm以上且つ真密度が1.8Mg
/m 3 以下のものが得られる。しかも、黒鉛基材原料の
熱処理により原料中の不純物を効果的に除くことがで
き、この結果、シルバースポット現象(不純物が黒鉛化
の際に触媒的に機能し、部分的により黒鉛化が進んで外
側表面に銀白色の斑点が浮き出る現象)の発生を防止
し、黒鉛基材の表面から中心に亘る全容積領域において
偏ることなく上記の物性が均一に付与された黒鉛基材と
することができる。従って、このような黒鉛基材に対し
てCVR法を施すことにより、先の発明に係るSiC成
形体(製品)の効率的な量産化が可能となり、製品のコ
スト低減化を図ることができる。しかも、後述するよう
に、そのSiC成形体(製品)の純度レベルを著しく高
めることができる。
【0008】また他の発明(請求項2記載の発明)は、
黒鉛基材原料を粉砕した後混練し、次いで成形,焼成,
黒鉛化の各処理を順次行なってSiC成形体用の黒鉛基
材を製造する方法において、前記黒鉛基材原料を高温で
(好ましくは2000℃以上で)熱処理した後1次粉砕
し、さらに混練りした後2次粉砕し、次いで得られた2
次粉砕品を分級して、少なくとも粒径が3〜100μm
となるように粒度調整したものを成形処理することを特
徴とする。
【0009】この方法によっても、黒鉛化処理後の黒鉛
基材として、すべて嵩密度が1.50Mg/m3 以下、
平均ポアー半径が1.5μm以上で且つ真密度が1.8
Mg/m3 以下のものであって、しかもシルバースポッ
ト現象の全くないものを得ることができる。従って、請
求項1記載の発明と同様、このような黒鉛基材に対して
CVR法を施すことにより、先の発明に係るSiC成形
体(製品)の効率的な量産化が可能となり、またSiC
成形体(製品)の純度レベルを著しく高めることができ
る。さらに、この方法は原料の粉砕を2段階で行う点に
特徴があり、特に1次粉砕により多様な原料の使用が可
能となる。従って、その分だけ原料コストを節約できる
ので、請求項1記載の発明に比べて黒鉛基材製造コスト
ひいてはSiC成形体(製品)コストの一層の低減化が
可能となる。
【0010】また、上記の方法(請求項1又は請求項2
に記載の発明)により製造された黒鉛基材に対しCVR
法を施すことにより、SiC成形体として、不純物濃度
(Fe,Al濃度)が少なくともFe:0.5ppm以
下、Al:0.1ppm以下で、灰分が10ppm以下
であるもの(請求項6記載の発明)を得ることができる
ので、かかるSiC成形体であれば、極めて高純度が要
求される半導体等の分野にも素材として十分適用するこ
とができる。
【0011】以下、本発明を詳しく説明する。 (1)本発明者らは、まず、CVR用黒鉛基材(少なく
とも嵩密度1.50Mg/m3 以下及び平均ポアー半径
1.5μm以上の黒鉛基材の物性を有し、かつより純度
レベルの高いもの)を効率良く製造するためには、以下
〜の条件を満足する手段を見い出す必要があると考
えた。 CVR反応性は、基本的に黒鉛基材内部へのSiO
ガスの拡散性の善し悪しによって左右されるため、少な
くとも成形前の原料段階における炭素質粉末が適切な物
性(特に粒径分布と開気孔率)を有することが必要であ
る。 また、CVR反応性はこれに止まらず、さらに黒鉛
基材粒子内部へのSiの固溶拡散性の善し悪しによって
も左右されるため、その粒子内のミクロポア(真密度)
を適切な範囲にする必要がある。 さらに、上記炭素質粉末中の不純物の含有量によっ
ては、その不純物が黒鉛化の際に触媒として作用し部分
的に黒鉛化が進むことになるが、これではその部分が緻
密質になりすぎ、CVR用黒鉛基材として適合しなくな
るため、そのような触媒的作用が起こらない程度に灰分
が少ない炭素質粉末にしておく必要がある。
【0012】そして、上記〜の条件を同時に満足し
うる手段(具体的構成)を見い出すべく、鋭意実験検討
を重ねた。その結果、最終的に、「黒鉛基材原料を粉砕
した後混練し、次いで成形,焼成,黒鉛化の各処理を順
次行なってβ−炭化ケイ素成形体用の黒鉛基材を製造す
る方法において、前記黒鉛基材原料を高温で(好ましく
は2000℃以上で)熱処理した後粉砕し、さらに該粉
砕により生じた粉末品を分級して、少なくとも粒径が3
〜100μmとなるように粒度調整したものを混練処理
する」という特有の基本的構成を具備した本発明に係る
CVR用黒鉛基材の製造方法を完成したものである。そ
して、この方法に基づき、「嵩密度1.50Mg/m3
以下及び平均ポアー半径1.5μm以上の物性を有し、
かつ真密度が1.8Mg/m3 以下」という特有の構成
に係る本発明のβ−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材が得ら
れたものである。
【0013】さらに、得られた黒鉛基材を実際に使用し
てCVR法によりSiC成形体を製造し、その純度レベ
ルを分析したところ、不純物としてのFe,Al濃度が
極めて低くなっていることを知見し、さらに検討の末、
最終的に「不純物としてのFe,Al濃度が少なくとも
Fe:0.5ppm以下、Al:0.1ppm以下で、
灰分が10ppm以下あるSiC成形体」という特有の
構成に係る本発明のSiC成形体に到達したものであ
る。
【0014】(2)次に、上記のCVR用黒鉛基材の製
造方法を具体的に説明する。ヤシ殻炭や備長炭等の原料
をまず高温で熱処理する。これにより、原料中のFe,
Al,Si等の不純物を効果的に揮散させることができ
るので、黒鉛化終了後の黒鉛基材にシルバースポットが
発生するのを抑制することができる。特に2000℃以
上で熱処理することにより、不純物レベルを灰分1.5
%程度以下にまで小さくすることができ、この場合はシ
ルバースポットの発生を確実に防止することができる。
【0015】原料の採択に際しては、以下の基準によれ
ばよい。即ち、本来、CVR法における反応性は、前述
したように黒鉛基材内部へのSiOガスの拡散性の善し
悪しに大きく左右される訳であるが、これに止まらず、
さらに黒鉛基材粒子内部へのSiの固溶拡散性の善し悪
しによっても左右される。本発明者らは、この点を考慮
し、Siの固溶拡散性を良好にするために適切なミクロ
ポア(真密度)を調べるべく実験を行った結果、1.8
0Mg/m3 程度以下であれば有効であることを見い出
した。しかしながら、炭素CからSiCへと反応すると
きに約17%の体積膨張が生ずるので、結局、原料とし
ては、真密度が1.90(Mg/m3 )程度以下のもの
でも適用可能と言える。従って、当初の原料として非常
にSiC化しやすいものだけを採択する場合にはヤシ殻
炭や備長炭等が好適であるが、もちろんこれらに限定さ
れるものではない。
【0016】ところで、非常にSiC化しやすい原料炭
だけを使用しようとすると、入手できる原料炭の範囲が
狭められ、その結果原料コストの上昇につながるという
マイナス面が無視できなくなってくる。そこで、当初の
原料中に、真密度が1.90Mg/m3 程度以上のSi
C化しにくい原料炭を加えても、同様の効果が得られる
ようにするための対策について種々検討した結果、混合
原料をまず高温で(好ましくは2000℃で)熱処理し
た後、一旦粉砕して混練りすることにより多様な原料炭
が組織的に均一な状態となし、この混練り後の原料に対
して引き続き後述の本発明に係る特徴ある粒度調整操作
を施せばよいことが確認できた。
【0017】上述の通り、原料中の灰分を1.5%程度
以下にまで抑制しようとする場合には、熱処理温度を2
000℃以上に設定する必要があるが、加熱時にフロ
ン,塩素等のハロゲン系ガスを流す場合には、熱処理温
度が1800〜2000℃でも灰分を1.5%程度にま
で落とすことは可能である。但し、温度操作だけで不純
物レベルを低下させる方が、コストの低減化という観点
からは望ましい。また、熱処理を減圧下で行うことも可
能であり、この場合は、不純物がより揮散しやすくなる
ので、次の工程である粉砕処理の開始を早められる利点
がある。
【0018】次に、上記の熱処理を終えた原料を粉砕処
理した後、得られた粉砕品をさらに分級機にかけて、〜
10μm程度の微粒,1〜100μm程度の中間粒,2
0〜500μm程度の粗粒の3種類に区分けする。次
に、これらの3種類の粉砕品のうち粗粒だけもしくは中
間粒だけ又は粗粒と中間粒との混合品を取り出し、その
いずれにおいても、物性として粒径が3〜100μm好
ましくは5〜30μmの範囲内に収まるように粒度調整
を行う。
【0019】粒度調整済原料の粒径の下限を3μmとし
たのは、分級機の性能を考慮したためであり、好ましく
は製造コストの点から5μmとすべきである。上限を1
00μmとしたのは、CVR反応効率を考慮したためで
あり、好ましくは30μmとすべきである。なお、混合
品の場合における粗粒と中間粒との比率(重量比)は、
上記物性範囲を確保できる限り任意に設定することがで
きる。
【0020】上述のように、当初の黒鉛基材原料を、一
旦原料中の不純物レベルを抑制した後、好ましくは灰分
1.5%程度にまで少なくした後粉砕して、粒径が3〜
100μmとなるように粒度調整された原料とすること
により、この粒度調整済原料に対し引き続き常法に従っ
て混練り,900℃での焼成,2500℃での黒鉛化処
理を順次行えば、黒鉛化終了後の基材として、すべて嵩
密度が1.50Mg/m3 以下で平均ポアー半径が1.
5μm以上且つ真密度が1.8Mg/m3 以下のもので
あって、しかもシルバースポット現象が全く発生してい
ないものを得ることができる。
【0021】従って、このような物性を有する黒鉛基材
に対してCVR法を施すことにより、先の発明に係るS
iC成形体(製品)の効率的な量産化が可能となり、製
品SiC成形体のコスト低減化を図ることができる。さ
らには、不純物濃度(Fe,Al濃度)が少なくともF
e:0.5ppm以下、Al:0.1ppm以下で灰分
が10ppm以下であるSiC成形体、即ち極めて高純
度が要求される半導体等の分野の素材として十分適用可
能であるSiC成形体とすることができる。
【0022】
【実験例】次に、実験例により本発明を更に詳細に説明
する。 (実験例1〜8)本発明の一つの要件となる原料の純度
レベル上昇化手段の有意性を確認するための実験を行っ
た。原料としてスリランカ産ヤシガラ炭(灰分4.0〜
5.0%)を使用し、温度条件を変えてそれぞれ熱処理
を行った後粉砕を行い、それぞれの粉砕品を常法に従っ
て混練りし、次いで成形,900℃焼成,2500℃黒
鉛化処理を行って黒鉛基材を得た。また、同一の原料を
使用し、フロンガスを流しつつ温度条件を変えてそれぞ
れ熱処理を行った後粉砕を行い、それぞれの粉砕品に対
して同様の一連の処理を施すことにより黒鉛基材を得
た。
【0023】得られた黒鉛基材について、シルバースポ
ット発生の有無を調べ、外観で評価した。その結果につ
いては、熱処理温度及び熱処理後粉砕品の灰分と併せて
表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1から明らかなように、熱処理温度を2
000℃以上にすると灰分が1.5%程度に低下し、シ
ルバースポットの発生が無くなっていることが分かる。
また、フロンガスを併用する場合は、熱処理温度が18
00℃程度でも同様の効果が得られることが分かる。
【0026】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 (実施例1)原料としてスリランカ産ヤシガラ炭(灰分
4.0〜5.0%)を使用し、まず2000℃で熱処理
を行った後粉砕して平均粒径が12μmの粉砕品とな
し、この粉砕品を分級機にかけて、平均粒径3μmの微
粒,平均粒径7μmの中間粒,平均粒径28μmの粗粒
の3種類を、それぞれ重量比で61:28:11の割合
で得た。さらに、粗粒と中間粒とを粗粒:中間粒が6
9:31(重量比)の割合で混合した粉砕品(平均粒径
20μm)も用意した。これらのうち微粒を除く3種類
の粉砕品のそれぞれについて、適量のコールタールピッ
チを加えて混練りし、引き続き常法に従って成形,90
0℃焼成,2500℃黒鉛化処理を行い、黒鉛基材を得
た。
【0027】得られた黒鉛基材から10×10×40
(mm)の大きさの試験片を作製し、この試験片を18
30℃,150Torrの下に12時間SiOガスと反
応させてSiC成形体に転化させた。得られた黒鉛基材
の物性、SiC成形体のCVR化率及び不純物濃度と、
使用した黒鉛基材の原料となったヤシガラ炭粉砕品の特
性(区分,平均粒径)をまとめて表2に示す。
【0028】(実施例2)実施例1と同じ原料ヤシガラ
炭を使用し、まず2000℃で熱処理を行った後粉砕
(1次粉砕)して平均粒径が12μmの粉砕品となし、
この粉砕品に適量のコールタールピッチを加えて混練り
した後、2次粉砕して平均粒径が30μmの粉砕品を得
た。次に、この粉砕品を分級機にかけて、平均粒径3μ
mの微粒,平均粒径17μmの中間粒,平均粒径96μ
mの粗粒の3種類を、それぞれ重量比で59:38:3
の割合で得た。さらに、粗粒と中間粒とを粗粒:中間粒
が60:40(重量比)の割合で混合した粉砕品(平均
粒径20μm)も用意した。これらのうち微粒を除く3
種類の粉砕品のそれぞれについて、引き続き常法に従っ
て成形,900℃焼成,2500℃黒鉛化処理を行い、
黒鉛基材を得た。
【0029】得られた黒鉛基材から実施例1と同様の試
験片を作製し、同様のCVR反応によりSiC成形体に
転化させた。得られた黒鉛基材の物性、SiC成形体の
CVR化率及び不純物濃度と、使用した黒鉛基材の原料
となったヤシガラ炭2次粉砕品の特性(区分,平均粒
径)を表2に併せて示す。
【0030】(比較例1)原料としてピッチコークス
(灰分0.3〜0.7%)を使用し、熱処理することな
く粉砕(一次粉砕)して平均粒径が15μmの粉砕品を
得た。この粉砕品に適量のコールタールピッチを加えて
混練りした後、2次粉砕して平均粒径20μmの2次粉
砕品を得た。この2次粉砕品を分級機にかけて平均粒径
3μmの微粒,平均粒径21μm中間粒,平均粒径11
0μmの粗粒の3種類を、それぞれ重量比で49:5
0:1の割合で得た。さらに、粗粒と中間粒とを粗粒:
中間粒が49:50(重量比)の割合で混合した粉砕品
(平均粒径46μm)も用意した。これらのうち微粒を
除く3種類の2次粉砕品のそれぞれについて、引き続き
常法に従って成形,900℃焼成,2500℃黒鉛化処
理を行い、黒鉛基材を得た。
【0031】得られた黒鉛基材から実施例1と同様の試
験片を作製し、同様のCVR反応によりSiC成形体に
転化させた。得られた黒鉛基材の物性、SiC成形体の
CVR化率及び不純物濃度と、使用した黒鉛基材の原料
となったピッチコークス粉砕品の特性(粒径区分,平均
粒径)をまとめて表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2から明らかなように、本発明の要件を
満たす実施例1,実施例2ではいずれも、CVR用黒鉛
基材(嵩密度1.50Mg/m3 以下、平均ポアー半径
1.5μm以上及び真密度が1.8Mg/m3 以下の黒
鉛基材)が確実に得られており、SiC成形体のSiC
化率もほぼ100%であることが分かる。一方、本発明
の要件を満たさない比較例1では、SiC成形体として
SiC化率が70%以下のものしか得られていないた
め、比較例1で得られた黒鉛化終了後の黒鉛基材は、C
VR用黒鉛基材として全く適していないものであること
が分かる。
【0034】また、実施例1,実施例2ではいずれも、
SiC成形体として、不純物濃度(Fe,Al濃度)が
少なくともFe:0.5ppm以下、Al:0.1pp
m以下で灰分が10ppm以下あるものが得られてお
り、極めて高純度が要求される半導体分野向け素材とし
て十分適用できるSiC成形体となっているのに対し、
比較例1のSiC成形体では、純度レベルの点から、半
導体向け素材には不適であることが分かる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1記載の発明の製造方法によれば、請求項5記載の発
明のSiC成形体用黒鉛基材を確実に得ることができ
る。即ち、SiC成形体用黒鉛基材として、すべて嵩密
度が1.50(Mg/m3 )以下、平均ポアー半径が
1.5μm以上で且つ真密度が1.8Mg/m3 以下の
ものが得られる。しかも、黒鉛基材原料の熱処理により
原料中の不純物を効果的に除くことができ、この結果、
シルバースポット現象の発生を有効に防止し、黒鉛基材
の表面から中心に亘る全容積領域において偏ることなく
上記の物性が均一に付与された黒鉛基材とすることがで
きる。
【0036】従って、このような請求項5記載の発明に
係る黒鉛基材に対してCVR法を施すことにより、先の
発明に係るSiC成形体(複雑な形状にも容易に適用可
能でかつ純度の良いSiC成形体)の効率的な量産化が
可能となり、製品SiC成形体のコスト低減化を図るこ
とができ、またそのSiC成形体(製品)の純度レベル
を著しく高めることができる。
【0037】また、他の発明(請求項2記載の発明)
は、原料の粉砕を2段階で行う点に特徴があり、特に1
次粉砕により多様な原料の使用を可能としたものであ
る。従って、その分だけ原料コストを節約できるので、
請求項1記載の発明に比べて黒鉛基材製造コストひいて
はSiC成形体(製品)コストの一層の低減化を図るこ
とができる。
【0038】また、請求項3記載の発明によれば、原料
中の不純物レベルを確実に灰分1.5%以下に抑制して
シルバースポットの発生を皆無にできるので、請求項1
又は請求項2に記載の発明の効果を一層確実、顕著なも
のとすることができる。
【0039】また、請求項4記載の発明によれば、原料
中の不純物が揮散しやすくなるので、それに続く一連の
処理が早まり黒鉛基材の生産性が上がるので、その生産
性の向上に応じた一層のコスト低減化が期待できる。
【0040】さらに、請求項6記載の発明によれば、不
純物濃度(Fe,Al濃度)が少なくともFe:0.5
ppm以下、Al:0.1ppm以下で灰分が10pp
m以下であるSiC成形体、即ち極めて高純度が要求さ
れる半導体等の分野の素材として十分適用可能なSiC
成形体を提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛基材原料を粉砕した後混練し、次い
    で成形,焼成,黒鉛化の各処理を順次行なってβ−炭化
    ケイ素成形体用の黒鉛基材を製造する方法において、前
    記黒鉛基材原料を高温で熱処理した後粉砕し、得られた
    粉砕品を分級して、少なくとも粒径が3〜100μmと
    なるように粒度調整したものを混練処理することを特徴
    とするβ−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材の製造方法。
  2. 【請求項2】 黒鉛基材原料を粉砕した後混練し、次い
    で成形,焼成,黒鉛化の各処理を順次行なってβ−炭化
    ケイ素成形体用の黒鉛基材を製造する方法において、前
    記黒鉛基材原料を高温で熱処理した後1次粉砕し、さら
    に混練りした後2次粉砕し、次いで得られた2次粉砕品
    を分級して、少なくとも粒径が3〜100μmとなるよ
    うに粒度調整したものを成形処理することを特徴とする
    β−炭化ケイ素成形体用黒鉛基材の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱処理の温度が2000℃以上である請
    求項1又は請求項2に記載のβ−炭化ケイ素成形体用黒
    鉛基材の製造方法。
  4. 【請求項4】 熱処理を減圧下で行うものである請求項
    1乃至請求項3のいずれか一項に記載のβ−炭化ケイ素
    成形体用黒鉛基材の製造方法。
  5. 【請求項5】 嵩密度1.50Mg/m3 以下及び平均
    ポアー半径1.5μm以上の物性を有し、かつ真密度が
    1.8Mg/m3 以下であることを特徴とするβ−炭化
    ケイ素成形体用黒鉛基材。
  6. 【請求項6】 黒鉛基材全体が100%β−炭化ケイ素
    化され、β−炭化ケイ素の一元組成体に転化され、かつ
    不純物レベルが、含有量にしてFe≦0.5ppm、A
    l≦0.1ppmで、灰分が10ppm以下であること
    を特徴とするβ−炭化ケイ素成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010248072A (ja) * 2000-12-18 2010-11-04 Toyo Tanso Kk 低窒素濃度黒鉛材料、及び、その保管方法
KR101231437B1 (ko) * 2011-01-31 2013-02-07 엘지이노텍 주식회사 탄화 규소 소결체 및 이의 제조 방법

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