JPH11114572A - 電気化学的水処理方法 - Google Patents

電気化学的水処理方法

Info

Publication number
JPH11114572A
JPH11114572A JP29956497A JP29956497A JPH11114572A JP H11114572 A JPH11114572 A JP H11114572A JP 29956497 A JP29956497 A JP 29956497A JP 29956497 A JP29956497 A JP 29956497A JP H11114572 A JPH11114572 A JP H11114572A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
treated
electrolytic cell
microorganisms
sterilization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29956497A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Koike
紀夫 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHIKISHIMA KIKI KK
Original Assignee
SHIKISHIMA KIKI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHIKISHIMA KIKI KK filed Critical SHIKISHIMA KIKI KK
Priority to JP29956497A priority Critical patent/JPH11114572A/ja
Publication of JPH11114572A publication Critical patent/JPH11114572A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気化学的に被処理水を処理する際に被処理
水中の微生物数にばらつきがあると、同一電解条件で水
処理を行なっても処理後の被処理水の水質が一定せず、
所望の処理済水が得られないことがある。本発明はこの
ような処理前の被処理水の水質にかかわらず、ほぼ同一
水質の処理済水が得られる電気化学的水処理方法を提供
することを目的とする。 【構成】 電解槽本体1の被処理水取出口3から取り出
される被処理水中に含まれる遊離残留塩素濃度が0.1 mg
/リットル以上となるように、前記電解槽に流す直流電
流値を0.1 〜5.0 A/dm2 の範囲で調整しながら電解を行
なう。このように水処理を行なうと、電解による殺菌と
塩素含有物質による殺菌が相乗的に合算されて効果的な
電気化学的水処理を行なえる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理水の電気化学的
水処理方法に関し、より詳細には、微生物や有害不純物
を含有する各種被処理水の該微生物等に起因する各種性
能劣化を抑制する電気化学的殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、水道水、工業用水、井戸水、風
呂水、プ−ル水、洗浄水、生活排水、工場排水等の水に
は程度の差こそあれ細菌等の各種微生物が棲息しあるい
は溶質を溶解している。そしてこれらの水溶液は前記溶
質が適度の養分を提供し、あるいは該水溶液の温度が微
生物の繁殖に適した温度であると、前記微生物が繁殖し
て前記水溶液の性能劣化を起こしたり、前記各水溶液が
流通する配管等の内壁に付着蓄積して前記配管を有する
機器の機能を損なうことが多い。従ってこれらの水質の
改良には水中に棲息する各種微生物を殺菌する必要があ
る。例えば写真感光材料は画像露光の後、ペーパー感光
材料処理の場合には、発光現像、漂白定着、水洗及び/
又は安定化の各処理工程を経て処理され更に乾燥され
る。
【0003】このような写真処理工程では、発色現像
液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗水等の
各種写真処理液が使用されているが、前記感光材料はゼ
ラチン質を含有し、微生物繁殖に適した環境にあり、前
記写真処理液中で繁殖した微生物は感光材料の効率を低
下させるとともに得られるプリントに色むらが生じた
り、微生物による画像汚染が生じたりする。この微生物
繁殖による写真処理液劣化の抑制は、従来から殺菌剤の
投入によっているが、この方法では多量の殺菌剤が必要
になり前記写真処理液や感光材中に殺菌剤が残留し易く
なり悪影響を及ぼすことがある。又前記殺菌剤の多くは
人体に対して無害とは言いがたく、種々の法的規制のも
とで使用されている。又このような殺菌剤も同一殺菌剤
を使用し続けると、この殺菌剤では殺菌できない耐性菌
が発生し、再度この耐性菌に対する殺菌剤を選択すると
いう煩わしい問題が生ずる。更に近年の健康意識の高揚
を背景に、遊泳プールが全国津々浦々まで普及し、幅広
い年令層の人々に親しまれている。
【0004】このプールに使用されるプール水には人体
に有害な細菌等の微生物が数多く棲息し、利用者の眼や
傷などに直接接触して疾患を生じさせることがあるた
め、プールには次亜塩素酸ソーダ等の薬剤を投入して滅
菌を行ない疾患の発生を防止している。しかしながら、
薬剤として使用されている次亜塩素酸ソーダや液体塩素
等はそれ自体あるいはその分解物が刺激性を有し、殺菌
効果はあるものの眼の痛みや皮膚のかぶれ等の副作用が
発生し、特に抵抗力の弱い幼児の場合には大きな問題と
なっている。又塩素系薬剤は分解するため毎日プールに
添加し続ける必要があり、使用する薬剤コストも大きな
負担となっている。又プールに使用される水量は膨大で
あり、天候不純に起因する水不足の際にはプール閉鎖に
追い込まれることもあり、プールの節水は重要な社会的
課題となっている。
【0005】更に近年の家庭風呂の普及や温泉ブームか
ら浴場水の使用量が増大しているが、該浴場水は40℃前
後の微生物が最も繁殖し易い液温を有するため、入浴に
使用せずに単に放置しておくだけでも微生物が急速に繁
殖して汚染され、使用を継続できなくなり、入浴を繰り
返すと人体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著にな
る。繁殖した微生物は微小であるため濾過操作では除去
しにくく、特に銭湯などではその使用量が膨大であるた
め、汚染された浴場水の再生を簡単な処理操作で行うこ
とができれば大幅なコストダウンが可能になる。又高齢
化社会を迎え、いつでも入浴できる24時間風呂が各家庭
に急速に普及しつつある。しかし24時間風呂は微生物が
最も繁殖し易い液温を有するため、市販されている24時
間風呂は浄化機能は優れているものの、殺菌性能に改善
課題を有しており、新規な殺菌装置の出現が嘱望されて
いる。
【0006】更に近年の情報化社会の進展により各種紙
類特に高質紙の需要が増大している。この紙類は製紙用
パルプから各種工程を経て製造されるが、この工程中に
製紙前のパルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程が
ある。該パルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分
を含むため、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や
細菌が多量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の
性能の劣化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される
莫大な量の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最
終製品の性能劣化を極力防止するようにしている。しか
しこの方法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだ
けでなく前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細
菌類に起因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことが
あるという問題点がある。
【0007】更に近年におけるマンション等の集合住宅
あるいは多数の企業が集合して形成されるビル等の建築
物の増加に伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設
備の設置台数も飛躍的に増加している。このような多数
の冷暖房設備が設置されているマンションやビル等で
は、通常該冷暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えば
クーリングタワーがその屋上に設置されている。この熱
交換器設備の冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌
類等の微生物が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出し
て熱交換性能を悪化させたり、微生物が塊状に発生して
配管等を閉塞することもある。又多量に発生する微生物
の排棄物により配管や機器に腐食等の重大な問題を引き
起こすことがある。更に同一薬剤を使用し続けるとその
薬剤では殺菌できない耐性菌が発生し、更に強力な薬剤
に変更する必要があるという厄介な問題が知られてい
る。又微生物を殺菌する薬剤が人間に無害とは言いがた
く、法的規制のもとで薬剤の種類や厳密な濃度管理が必
要で、環境安全意識の高い工場、病院、ホテル等では脱
薬剤の気運が急速に高まりつつある。
【0008】更に各種魚類資源として海や川に繁殖して
いる天然の魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類
が注目され、養殖魚が市場に数多く供給されている。養
殖場におけるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に
含まれる細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、あるいは
魚類に付着してその商品価値を低下させる等の悪影響を
抑制するために殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微
生物を死滅させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量
に添加され、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に
抑えるためにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与
され、その上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育
される魚類は餌の量に比較して人工的に投与される各種
薬剤、ビタミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類
の体内に蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚
類が市場に供給されることになる。
【0009】更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水され
た水を浄水場で滅菌処理した後、各家庭や飲食店等に上
水道を通して供給される。飲料水の前記滅菌は塩素ガス
による処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料
水の滅菌は比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響
により処理された飲料水に異物質が混和したような違和
感が生じて天然の水の有するまろやかさが損なわれると
いう欠点が生ずる。飲料水は人間の健康に直結するもの
で、それに含有される細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つま
り微生物の死滅除去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方
法としては前述の塩素による方法が主流である。しかし
都市部の水道滅菌はその原水となる河川水、湖水等が各
種有機物等で汚染され微生物の死滅に必要な量以上の塩
素を添加するため、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオ
ン及び残留塩素等の有効塩素成分を生起するという弊害
を生じている。該塩素法による前記欠点を解消するため
に、塩素法以外の殺菌方法が提案されている。
【0010】例えば前記飲料水をオゾン添加処理や活性
炭吸着処理することにより改質する方法が提案されてい
るが、処理すべき飲料水が例えば浄水場の水である場合
には処理量が莫大である。又浄水場で処理しても水道管
末端の蛇口に至るまでに再度微生物が繁殖するという問
題がある。このように飲料水等の従来の改質処理方法
は、主として塩素法によるものであり、該方法では次亜
塩素酸イオンが生成しあるいは塩素ガスが残留していわ
ゆるカルキ臭が生じ、処理後の飲料水等の味が悪くなる
という欠点があり、このカルキ臭を除去するに該カルキ
臭源である次亜塩素酸イオン(有効塩素)を活性炭等に
吸着させる方法が使用されている。しかしこの方法で
は、活性炭の吸着能力の限界があり、しばらく使用する
と有効塩素分解が生じなくなるという寿命の点で致命的
な欠点があり、又活性炭の交換といった煩雑な操作が必
要であるとともに、完全なカルキ臭の除去が達成できな
いことがある。
【0011】従って前述の通り人体に有害な有機塩素化
合物や飲料水の味を損ない易い次亜塩素酸イオン等を生
じさせ易い塩素処理に代わり得る人体に害がなくかつ天
然水に近い味を有する飲料水の処理方法が要請されてい
る。これらの現象を防止するために従来は防黴剤や沈澱
抑制剤等の各種薬剤を被処理水中に投入したり各種フィ
ルタを配管途中に設置したりしているが、前記薬剤投入
は前述の通り薬剤の残留による被処理水への悪影響や薬
剤使用のコスト面での問題点が指摘されている。更に前
述の冷却水の場合と同様に、添加薬剤に対する抗菌が暫
くすると発生し、次の薬剤を検討する必要が生ずるとい
う問題点を抱えている。
【0012】前記薬剤添加の他に、オゾン殺菌や紫外線
殺菌、あるいは酸性水を使用する殺菌も行なわれてい
る。オゾン殺菌は劇的な殺菌効果があり耐性菌の発生も
ないが、エネルギーコストオゾン設備費が高く、人体に
有害で濃度管理等の運転に厳重な注意が必要である。又
酸化作用が強力で、タンク、配管、ポンプ等の接液部は
高価な耐腐食性材料が必要になる。この悪影響を回避す
るためにオゾン殺菌装置の後にオゾン分解装置を設置す
ることもあるが、設備費が高く、管理維持費も嵩み、実
用化の妨げになっている。
【0013】紫外線殺菌も広く利用されているが、紫外
線の透過を妨害する固形分や色度のある水の殺菌は困難
で、殺菌可能な被処理水の種類に制約がある。又紫外線
ランプの寿命は短く定期的な交換が必要で、消費電力量
も多い。更に紫外線ランプ内面は常に清浄に管理するこ
とも殺菌性能維持のために必要で、特に停電休止時の紫
外線ランプ内面の清浄維持管理は煩雑である。このよう
な従来技術の欠点を解消するための水処理方法として、
複極固定床式水処電解槽が発表されている(例えば、特
開平2−306242号公報、特開平3−224684号公報、特開
平4− 18980号公報、特開平4− 108592 号公報、特開
平4−114785号公報、特開平4−114787号公報)。
【0014】
【発明が解決しようとする問題点】前記複極固定床式水
処理電解槽は固定床として多孔質電極を使用するため、
固形質や有機物更にイオン質の閉塞性物質を含有する被
処理水の処理が困難で、電解槽内通水に伴う圧力損失が
大きく、大容量の給水ポンプが必要でエネルギーコスト
が高く、多孔質電極の使用枚数にも制約がある。又被処
理水の閉塞性物質含有量が少ない場合でも、長期間の使
用中に殺菌性能の低下が起きるという問題点もある。更
に前記多孔質電極として炭素電極が使用され、該炭素電
極は、消耗し易いという欠点を有し、長期間使用を継続
すると徐々に消耗して極間距離が増加して電圧が増大
し、最終的には交換しなければならなくなる。この電極
の交換は一般的に電解槽全体を分解して行うことが必要
であり、非常に煩雑な操作となり作業性が著しく低下す
る。このような欠点を解消するために、本出願人は金属
電極を使用する水処理方法を提案した(特願平8−3572
30号)。
【0015】前述の複極固定床式水処理電解槽又前記金
属電極を装着した電解槽のいずれを使用するにしても、
被処理水の種類によって殺菌効率が異なる(処理前の被
処理水中の微生物数が異なり、又処理後に必要とされる
最大許容微生物数のレベルが異なる)ことが多く、単純
に同一電解槽を同一条件で使用するだけでは過度の電流
が流れたり、あるいは必要な殺菌レベルの被処理水が得
られなくなるという欠点がある。個々の被処理水毎に必
要な電解条件を設定し、その条件で運転を行なうことも
一法ではあるが、特に被処理水の種類を頻繁に代えて電
解処理を行なう場合又は同じ種類の被処理水でも微生物
数等にばらつきがある場合などは条件設定に伴う作業性
の低下が電力コスト等を上回って、必要量の殺菌レベル
の被処理水を得にくくなることがある。本発明は、前述
の従来技術の欠点を解消し、特に被処理水の種類や微生
物数等のばらつきにかかわらずほぼ一定の殺菌効率、つ
まり100 %に近い殺菌効率が得られる水処理方法を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、触媒を担持した電極基体を配置し、被処理
水導入口から被処理水を導入し、前記電極基体に接触さ
せて前記被処理水の処理を行ない、処理後の被処理水を
被処理水取出口から取り出すようにした水処理用電解槽
を使用する電気化学的水処理方法において、前記取出口
から取り出される被処理水中に含まれる遊離残留塩素濃
度が0.1 mg/ リットル以上となるように、前記電解槽に
流す直流電流値を0.1 〜5.0 A/dm2 の範囲で調整しなが
ら電解を行なうことを特徴とする電気化学的水処理方法
である。なお本発明では電極表面上で実質的な酸化還元
反応のような電気化学反応を生起していないことがある
ので本発明に係わる槽は電気化学的処理装置というべき
であるが、一般呼称に従って電解槽と称する。以下本発
明を詳細に説明する。
【0017】本発明者は、電気化学的水処理装置、つま
り水処理用電解槽の被処理水取出口に残留する微量の遊
離残留塩素が殺菌効率と密接な関係にあり、前記被処理
水取出口の遊離残留塩素濃度値を一定範囲内に維持でき
るように前記電解槽の電流値を管理することにより一定
の殺菌効率を確保できることを見出し、本発明に到達し
たものである。例えば半導体スクラバー水の水質は、前
記工場から排出されるガスの種類や量、あるいは補給水
の水量及び水質により時々刻々と変化する。従って電流
値や電圧値等の条件を一定に維持しても、処理後の被処
理水中の微生物数等の殺菌レベルが一定に維持される保
証はなく、比較的狭い範囲内ではあるが、処理後の被処
理水の殺菌レベルにばらつきが生ずる。
【0018】一方前述の通り、処理後の被処理水中に一
定量の遊離残留塩素が残存していると、微生物殺菌効率
が上昇してほぼ一定値に維持され、換言すると100 %に
近い殺菌効率が得られる。本発明で使用される「遊離残
留塩素濃度」とは、厚生省等の水質基準に定めるもので
ある。本発明では電解槽処理水の遊離残留塩素濃度を一
定値以上に維持して微生物殺菌効率を最大限のほぼ一定
値に維持する。被処理水の種類によっては塩素イオンが
含有されていないことがあるが、その場合にはNaCl、HC
l 等塩素イオンを含有する物質を添加した後に本発明に
従って処理すれば良い。又処理後の被処理水の用途によ
っては遊離塩素が残存していると不都合が生ずることが
ある。その場合には、活性炭吸着、煮沸等により遊離塩
素を除去すれば良い。
【0019】本発明に使用する電極(又は電極基体)の
種類や形状は特に限定されないが、穴開き金属電極を使
用することが好ましい。この場合の「穴開き」とは、被
処理水の流通に対する抵抗が殆ど零である程度の開口を
有することを意味し、網状、エクスパンドメッシュ状、
パンチングメタル状、格子状等の形状を有している。前
記穴開き金属電極は、基体上に、白金、イリジウム、ル
テニウム、パラジウム等の白金族金属やその酸化物を被
覆した貴金属電極とすることが望ましい。本発明ではこ
のような金属電極を1枚で使用しても良いが、処理能力
を上昇させるために、複数の電極基体を、ガスケットを
介して複数枚配置しても良い。この他に本発明では、炭
素質電極を電極として有する複極固定床式電解槽を使用
しても良い。
【0020】本発明による微生物の殺菌機構は次のよう
であると推測できる。第1に、微生物が帯電した特にプ
ラスに帯電した穴開き金属電極等の表面つまり陽極表面
に衝突して死滅する。第2に前記穴開き金属電極等の表
面で被処理水に含まれる微量塩素が酸化されて次亜塩素
酸が発生し、又水電解により活性酸素が発生する。これ
らの次亜塩素酸や活性酸素により被処理水中の微生物が
殺菌され、微量不純物も分解する。本発明による微生物
殺菌効率が高いのは、陽極表面への微生物の衝突死滅や
活性酸素に依る殺菌に加え、電解槽内部での酸化還元の
繰り返しの後、電解槽出口水に僅かに見出される遊離残
留塩素濃度を一定以上に管理することにより、電解槽内
部での次亜塩素酸殺菌を相乗的に合算されるからと推測
される。
【0021】本発明による方法を使用すると、被処理水
中の微生物の殺菌や他の水質改善を達成できる。前記微
生物としては、細菌(バクテリア)、糸状菌(黴)、酵
母、変形菌、単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含
まれ、水質改善には、農薬の分解が含まれる。本発明の
対象となる被処理水は特に限定されないが、例えば工業
用水、水道水、井戸水、雨水、回収水、排水、海水、池
の水、プール水、飲料水、風呂水、ガス吸収塔水、冷却
水、水耕栽培水、噴水、写真現像液、養魚用水、水エマ
ルジョン、製紙用水、温泉水、砂糖液、果汁、染料イン
ク、酒、牛乳、お茶、豆乳、各種化学物質含有水溶液が
ある。又農薬を溶解した水を処理して農薬分解を行なう
こともできる。
【0022】本発明に係わる電気化学的処理では薬剤を
使用しなくても良いため、人体に無害であるとともに、
耐性菌が発生することがない。更に腐食性の物質の使用
や発生がなく、設備費及び運転管理費とも安価である。
又本発明方法は該方法単独で実施しても十分な効果が生
ずるが、該方法を紫外線殺菌、オゾン殺菌、薬剤殺菌等
と併用すると更に確実に短時間で被処理水の処理を行な
うことができる。
【0023】次に本発明に係わる電気化学的水処理方法
に使用可能な電解槽の具体例を添付図面に基づいて説明
する。図1は本発明方法で使用可能な電解槽の一実施例
を例示する縦断面図、図2は図1の電解槽を使用する水
処理の一例を示すフローシートである。図1に示すよう
に、電気絶縁性材料(合成樹脂)で形成された円筒状の
電解槽本体1の底板には被処理水導入口2が、又該本体
1の天板には被処理水取出口3が形成されている。前記
本体1内部には、計8枚の多孔状の金属電極4と該金属
電極4の上下に隣接する正の端子電極5と負の端子電極
6が計9枚のドーナツ状のガスケット7を介して離間
し、かつ電解槽本体1の内壁に密着するように設置され
ている。
【0024】前記正の端子電極5にはプラスのチタン製
給電棒8が、又前記負の端子電極6にはマイナスのチタ
ン製給電棒9がそれぞれ接続され、両端子電極5、6間
に電圧を印加して、各金属電極4の上面を負に、下面を
正にそれぞれ分極するようにしている。この電解槽本体
1を図2に示すように、貯水タンク10→循環ポンプ11→
フィルター12→電解槽本体1→貯水タンク10と被処理水
が循環されるように設置する。前記タンク10に貯水され
た被処理水はガス吸収塔(スクラバー)の洗浄用等とし
て使用され、微生物の繁殖が一定値以上に達したとき
に、ポンプ11によりフィルター12に給水して不純物を除
去した後に、電解槽本体1へ供給される。
【0025】被処理水導入口2を通して供給された被処
理水は前記正に分極した金属電極4の下面に接触して微
生物の殺菌(酸化)等が行なわれ、かつ負に分極した金
属電極4の上面に接触してカルキ臭の除去(還元)等が
行なわれて、被処理水取出口3から取り出される。この
ときに該取出口3から取り出される被処理水中の遊離残
留塩素濃度を継続的に検出し、該濃度が0.1 mg/ リット
ル以上であるときは、電解用電流値をそのままに維持
し、前記濃度が0.1 mg/ リットル未満に低下した際には
前記電流値を0.1 〜5.0 A/dm2 の範囲で調節して前記濃
度を0.1 mg/ リットル以上に維持すると、前記取出口3
から取り出される被処理水中の微生物数を所定値未満に
抑えられ、所望の高純度の被処理水を得ることができ
る。残留塩素濃度の管理範囲は必要とする殺菌レベルに
よって決まり、上限値は腐食、異臭等の塩素障害を発生
しないレベル以下に抑える必要がある。このように電気
化学的に処理された被処理水は、前記貯水タンク10に循
環して貯留される。
【0026】
【実施例】本発明に係わる電気化学的水処理方法による
被処理水処理の比較例及び実施例を記載するが、これら
は本発明を限定するものではない。
【0027】
【比較例1】図1に示した電解槽を使用しかつ図2に示
すフローシートに従って被処理水(半導体スクラバー
水)の電気化学的処理を行なった。両端子電極及び8枚
の金属電極とも、開口短径1.5 mm、開口長径2.0 mm、線
幅1.5 mm、厚さ1mm、直径200 mmのチタン金網とし、こ
の表面に白金とイリジウムを担持して表面処理を行な
い、この計10枚の電極を内径200 mmの電解槽内に計9枚
の厚さ2mmのドーナツ状のガスケットを介して積層し
た。
【0028】本比較例で使用した被処理水である半導体
スクラバー水の処理前の水質は一定せず、この被処理水
を直流電源の出力直流電圧を50V、出力直流電流を1A
にセットして1時間当たり3トンの被処理水を循環しな
がら通電し、9日間運転を行なった。なお、貯水タンク
の貯水量は2.5 トン、スクラバーの循環水量は300 トン
/時とした。被処理水導入口と被処理水取出口でそれぞ
れ被処理水をサンプリングし、培養法で総菌数を測定
し、取出口での被処理水中の総菌数から導入口での総菌
数を差し引いた値を導入口での被処理水中の総菌数で除
した値の百分率を殺菌効率とした。0〜9日目の殺菌効
率は図3に示す通り、それぞれ87、91、89、93、96、9
0、86、87、91、90%であった。この殺菌効率のばらつ
きは、被処理水の水質変動に起因するものと考えられ
る。
【0029】
【実施例1】比較例1における電解開始後9日めに、電
解槽の前記被処理水取出口に遊離塩素濃度計を設置し、
該取出口における被処理水中の遊離塩素の出口濃度が0.
2 mg/リットル近傍に維持されるように、最大直流電流
10A、最大直流電圧100 Vの範囲内で前記両端子電極に
印加される電圧を調節して引き続き20日間運転を継続し
たが、図3に示すように、殺菌効率は常に99.5%以上に
維持された。
【0030】
【発明の効果】本発明は、触媒を担持した電極基体を配
置し、被処理水導入口から被処理水を導入し、前記電極
基体に接触させて前記被処理水の処理を行ない、処理後
の被処理水を被処理水取出口から取り出すようにした水
処理用電解槽を使用する電気化学的水処理方法におい
て、前記取出口から取り出される被処理水中に含まれる
遊離残留塩素濃度が0.1 mg/ リットル以上となるよう
に、前記電解槽に流す直流電流値を0.1 〜5.0 A/dm2
範囲で調整しながら電解を行なうことを特徴とする電気
化学的水処理方法(請求項1)である。
【0031】本発明方法によりかなり高い効率で被処理
水処理が行なえるのは、従来の電解による水処理による
殺菌効果と比較的高濃度で残存する塩素含有物質の殺菌
効果が相乗的に合算されるからと推測される。含有され
る微生物数にばらつきを有する同一被処理水を単一の電
解槽で処理したり、含有される微生物の種類や数にばら
つきを有する異なる種類の被処理水を同一の電解槽で処
理しなければならないことも多く、微生物の測定に長時
間を必要とし、微生物の変動毎に運転条件を変動させる
ことは実際的でない。
【0032】一方本発明によると電解槽の被処理水取出
口の遊離残留塩素濃度を一定値以上に維持するという比
較的容易な操作のみで被処理水の種類や微生物含有量に
かかわらず、かなりの高効率で被処理水の処理を行なう
ことが可能になり、その効果は水処理の分野では画期的
なものである。又本発明では、基体上に触媒を被覆した
複数の電極基体を、電解槽内にガスケットを介して複数
枚配置することもでき(請求項2)、このような構成で
は処理能力が向上するため、更に好ましい水処理を行な
うことができる。電極に担持する触媒としては、白金、
イリジウム、ルテニウムから選択される貴金属又はそれ
らの合金又は酸化物が望ましく(請求項3)、これらの
触媒のときに電極活性は最大になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用可能な電解槽の一実施例を例示す
る縦断面図。
【図2】図1の電解槽を使用する水処理の一例を示すフ
ローシート。
【図3】実施例及び比較例における殺菌効率と経過日数
の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1・・・電解槽本体 2・・・被処理水導入口 3・・
・被処理水取出口 4・・・金属電極 5、6・・・端
子電極 7・・・ガスケット 8、9・・・給電棒 10
・・・貯水タンク 11・・・循環ポンプ 12・・・フィ
ルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/50 560 C02F 1/50 560F

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒を担持した電極基体を配置し、被処
    理水導入口から被処理水を導入し、前記電極基体に接触
    させて前記被処理水の処理を行ない、処理後の被処理水
    を被処理水取出口から取り出すようにした水処理用電解
    槽を使用する電気化学的水処理方法において、前記取出
    口から取り出される被処理水中に含まれる遊離残留塩素
    濃度が0.1 mg/ リットル以上となるように、前記電解槽
    に流す直流電流値を0.1 〜5.0 A/dm2 の範囲で調整しな
    がら電解を行なうことを特徴とする電気化学的水処理方
    法。
  2. 【請求項2】 基体上に触媒を被覆した複数の電極基体
    を、ガスケットを介して複数枚配置し、被処理水導入口
    から被処理水を導入し、前記電極体に接触させて前記被
    処理水の処理を行ない、処理後の被処理水を被処理水取
    出口から取り出すようにした水処理用電解槽を使用する
    電気化学的水処理方法において、前記取出口から取り出
    される被処理水中に含まれる遊離残留塩素濃度が0.1 mg
    / リットル以上となるように、前記電解槽に流す直流電
    流値を0.1 〜5.0 A/dm2 の範囲で調整しながら電解を行
    なうことを特徴とする電気化学的水処理方法。
  3. 【請求項3】 触媒が、白金、イリジウム、ルテニウム
    から選択される貴金属又はそれらの合金又は酸化物であ
    る請求項2に記載の方法。
JP29956497A 1997-10-16 1997-10-16 電気化学的水処理方法 Pending JPH11114572A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29956497A JPH11114572A (ja) 1997-10-16 1997-10-16 電気化学的水処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29956497A JPH11114572A (ja) 1997-10-16 1997-10-16 電気化学的水処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11114572A true JPH11114572A (ja) 1999-04-27

Family

ID=17874268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29956497A Pending JPH11114572A (ja) 1997-10-16 1997-10-16 電気化学的水処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11114572A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012152510A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Tech Corporation:Kk 小型古紙再生装置における洗浄水及び被洗浄物の除菌方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012152510A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Tech Corporation:Kk 小型古紙再生装置における洗浄水及び被洗浄物の除菌方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005246279A (ja) 電気化学的水処理方法及び装置
JPH11114571A (ja) 電気化学的水処理装置及び方法
JP2004132592A (ja) 電気化学的水処理方法及び水処理システム
JP2005224691A (ja) 電気化学的水処理方法
JPH08164390A (ja) 被処理水の電気化学的処理方法
JP3206819B2 (ja) 被処理水の電気化学的処理方法
JPH11114572A (ja) 電気化学的水処理方法
JP2000233185A (ja) 電気化学的水処理装置
JPH11347556A (ja) 電気化学的水処理装置及び方法
JP3180319B2 (ja) 被処理水の電気化学的処理方法
JP2005279417A (ja) 電気化学的水処理装置
JPH11197669A (ja) 電気化学的水処理用装置
JP3020553B2 (ja) 固定床型三次元電極式電解槽
JPH11128942A (ja) 水質浄化方法及びその機構
JPH10180258A (ja) 電気化学的水処理方法及び装置
JPH11267647A (ja) 電気化学的水処理装置
JPH1157721A (ja) 電気化学的水処理装置
JP3150355B2 (ja) 複極型三次元電極式電解槽
JP3178728B2 (ja) 三次元電極式電解槽
JPH1157723A (ja) 電気化学的水処理方法及び装置
JP2922255B2 (ja) 微生物を含む被処理水の電気化学的処理方法
JPH09253652A (ja) 流動床型電解槽および水処理方法
JPH04118090A (ja) 被処理水の電解処理方法
JPH09314149A (ja) 固定床型三次元電極電解槽用ガスケット、固定床型三次元電極電解槽および水処理方法
JP2971571B2 (ja) 三次元電極式電解槽

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040616

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20060210

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060223

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060629

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02