JP2005246279A - 電気化学的水処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の金属電極を使用する水処理では、金属電極にスケール成分が析出して有効電極面積が減少し、更に金属電極表面の電極物質が金属溶解性成分を有する被処理水中に溶解して金属電極の劣化を誘発していた。これらの欠点のない水処理方法を提供する。
【解決手段】 金属電極23を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部13、被処理水が流通する被処理水流通部14、前記電解部と前記被処理水流通部を区画する隔壁12、及び電解部の下流側で前記電解水が前記被処理水と接触する接触処理部29を、処理チャンバー11内に含む電気化学的水処理装置。前記被処理水を金属電極に接触させずに電解水を生成させることができるため、金属電極表面の電極物質が溶出したり、金属電極表面に硬度成分が析出することを完全に防止するか最小限に抑制できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属電極23を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部13、被処理水が流通する被処理水流通部14、前記電解部と前記被処理水流通部を区画する隔壁12、及び電解部の下流側で前記電解水が前記被処理水と接触する接触処理部29を、処理チャンバー11内に含む電気化学的水処理装置。前記被処理水を金属電極に接触させずに電解水を生成させることができるため、金属電極表面の電極物質が溶出したり、金属電極表面に硬度成分が析出することを完全に防止するか最小限に抑制できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、各種用水の電気化学的処理方法及び装置に関し、より詳細には金属電極を使用してスクラバー水等の多数の微生物を含む被処理水を処理して清澄化する際の前記金属電極の劣化を実質的に生じさせないか、生じても劣化を最小限に抑制しながら前記水処理を行うための方法及び装置に関する。
純水、工業用水、井戸水、風呂水、プ−ル水、冷却水、洗浄水、生活排水、工場排水等の各種用水には程度の差こそあれ細菌等の各種微生物が棲息し、またミネラル等の無機物質や有機物質が溶解している。これらの水溶液は適度な養分を含むことから、該水溶液が微生物の繁殖に適した温度条件下に置かれると、微生物が繁殖し、水質低下を起こしたり、前記各水溶液が流通する配管等の内壁に微生物が付着、蓄積して前記配管を有する機器の機能を損なうことが多い。これら各種の用水では必要とされる殺菌レベルは異なるが、いずれの用水でも水中微生物数を低減させて水質の改良を行うことが必要とされている。
このような各種用水を殺菌処理する方法として、薬剤処理、オゾン処理、活性炭処理、紫外線照射処理、加熱処理等の種々の処理法が被処理水の種類に応じて選択して用いられている。しかし、いずれの方法も処理効果、操作性、安全性および環境負荷等の問題を抱え、満足の得られる方法ではなかった。
例えば、各種用水中の微生物の繁殖を抑制するための主流技術である薬剤による殺菌処理法は、その毒性から法的にも使用が厳しく規制される状況にあり、薬剤を取り扱う作業者の安全性や薬剤を含む被処理水が系外に排出された場合の環境汚染の問題などを抱えている。
例えば、各種用水中の微生物の繁殖を抑制するための主流技術である薬剤による殺菌処理法は、その毒性から法的にも使用が厳しく規制される状況にあり、薬剤を取り扱う作業者の安全性や薬剤を含む被処理水が系外に排出された場合の環境汚染の問題などを抱えている。
紫外線照射による殺菌処理法は一過性の殺菌で色度を有する水や多量のSSを含む水の殺菌には不十分であることが多い。
このように従来より用いられている殺菌処理法では処理効率の問題または安全性の問題があり、満足できる結果は得られなかった。
このように従来より用いられている殺菌処理法では処理効率の問題または安全性の問題があり、満足できる結果は得られなかった。
このような従来技術の欠点を解消するための薬剤等を使用しない新規な水処理方法として、多孔性金属電極を使用する電気化学的な水処理装置が提案されている。
この水処理装置に使用される電極として数種のタイプのものが提案されているが、最も効率的な電極は、チタン金網(ラス)等の複数の多孔性金属電極をドーナツ状又は額縁状のスペーサーを介して積層して構成した電極構造体であり、該電極構造体を筒状等の電解槽内に収容し、被処理水を該電解槽内に供給して前記金属電極に接触させて酸化あるいは還元作用により水の殺菌等の水の改質を行うようにしている。
この水処理装置に使用される電極として数種のタイプのものが提案されているが、最も効率的な電極は、チタン金網(ラス)等の複数の多孔性金属電極をドーナツ状又は額縁状のスペーサーを介して積層して構成した電極構造体であり、該電極構造体を筒状等の電解槽内に収容し、被処理水を該電解槽内に供給して前記金属電極に接触させて酸化あるいは還元作用により水の殺菌等の水の改質を行うようにしている。
この水処理法は、比較的多量の被処理水を循環処理でき、処理効率が不十分であれば、再度電解槽に供給して処理を行って被処理水の殺菌等を確実に行うことができるという利点を有している。
純水のような電気伝導率が低い被処理水の場合には、この従来の水処理装置で問題ないが、冷却水のように水が蒸発し濃縮された状態で循環利用される水系ではカルシウム、マグネシウム、シリカのようなスケール成分の濃度が高くなり、これらが金属電極表面へスケールとして析出し易くなるため、樹脂製ケースの中に金属電極を収納するタイプの電解槽では、チタン等の金属電極の開口部がこれらスケールによって閉塞し、通水抵抗が大きくなって通水量が低下すると共に、スケールが電気絶縁性であるため、電極部の電気抵抗が上がり、流れる電流値が次第に低下し、殺菌効率が悪化することがある。
純水のような電気伝導率が低い被処理水の場合には、この従来の水処理装置で問題ないが、冷却水のように水が蒸発し濃縮された状態で循環利用される水系ではカルシウム、マグネシウム、シリカのようなスケール成分の濃度が高くなり、これらが金属電極表面へスケールとして析出し易くなるため、樹脂製ケースの中に金属電極を収納するタイプの電解槽では、チタン等の金属電極の開口部がこれらスケールによって閉塞し、通水抵抗が大きくなって通水量が低下すると共に、スケールが電気絶縁性であるため、電極部の電気抵抗が上がり、流れる電流値が次第に低下し、殺菌効率が悪化することがある。
ビル冷房用や工場生産冷却水用として広く使用されている冷却塔は水の蒸発潜熱を冷却用に利用するもので、開放型と密閉型があり、いずれの方式も空気中から溶け込んだ栄養分が豊富で、通常屋外設置で直接日光を浴び、水温も含めて微生物の繁殖条件が揃っている。
このような冷却水中の微生物の繁殖を抑制するために、前述のように金属電極による電気化学的水処理が採用され、それらは被処理水を電気化学的水処理装置に供給して処理を行う通水型と被処理水中に電気化学的水処理装置を浸漬して処理を行う浸漬型に大別される。
特開2001−310187号公報
特開2001−314862号公報
このような冷却水中の微生物の繁殖を抑制するために、前述のように金属電極による電気化学的水処理が採用され、それらは被処理水を電気化学的水処理装置に供給して処理を行う通水型と被処理水中に電気化学的水処理装置を浸漬して処理を行う浸漬型に大別される。
いずれの方式の電解槽でもカルシウム等のスケール成分が電極表面に析出して電流値が低下し、殺菌効率が悪化する。
従来は定期的にスケールが析出した金属電極を塩酸水溶液等で洗浄し、前記スケールを溶解し除去していた。洗浄頻度は被処理水中のスケール成分の濃度によって異なるが、1年間に1〜6回程度が必要であった。この洗浄には危険物である塩酸等が必要であり、作業性や安全管理上も問題であった。
従来は定期的にスケールが析出した金属電極を塩酸水溶液等で洗浄し、前記スケールを溶解し除去していた。洗浄頻度は被処理水中のスケール成分の濃度によって異なるが、1年間に1〜6回程度が必要であった。この洗浄には危険物である塩酸等が必要であり、作業性や安全管理上も問題であった。
金属電極による電気化学的水処理法において、金属電極(陰極)でのカルシウムやマグネシウムから成るスケールの析出を抑えるために、一定時間ごとに極性を反転し、陽極で生成される酸(H+)の作用で金属表面に析出したスケールを溶解し、その成長を抑える方法が一般に採用されているが、被処理水中のスケール成分濃度が高い場合には長期にわたりスケール化を有効に抑えることは難しい。その他金属電極へのスケールの析出を抑制するために、被処理水中に水溶性ポリマーやホスホン酸等のスケール防止剤を添加する方法(特許文献1参照)や硬度除去手段(イオン交換、逆浸透膜、晶析、電解)を用いて被処理水の硬度を低減させる方法(特許文献2参照)などが提案されているが、被処理水中のスケール成分濃度が高くなるようなケースでは、処理効果が低下したり、処理コストの増加やメンテナンスの増大をもたらすといった問題を抱えている。また、前者のスケール防止剤を添加する方法では被処理水のCODなどの増加を招き、被処理水が最終的に系外に排出される場合に環境負荷を増大させるなど環境保全上の問題も抱えている。
更に前述の金属電極を使用する通水型や浸漬型による被処理水の処理では、前記金属電極としてチタン等の基材表面に白金族金属又はその酸化物を被覆した電極を使用することが多い。前記被処理水にはチタンや白金族金属又はその酸化物を溶解する不純物が含有されていることがあり、このような被処理水が前記金属電極に接触することによりチタンや白金族金属又はその酸化物が溶解して被処理水を汚染するとともに金属電極の寿命を短縮することになる。
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、金属電極の劣化を実質的に抑制し、あるいは劣化が生じてもそれを最小限に抑制しながら被処理水の電気化学的な処理を行うための方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明方法は、金属電極で原料水を電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させ、この電解水により被処理水を接触処理する電気化学的水処理方法において、単一装置内で、前記原料水と前記被処理水を接触させずに前記電解水を生成させること、あるいは前記被処理水を前記金属電極に接触させずに前記電解水を生成させることを特徴とする電気化学的水処理方法である。
本発明装置は、第1に、金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、被処理水が流通する被処理水流通部、前記電解部と前記被処理水流通部を区画する隔壁、及び電解部の下流側で前記電解水が前記被処理水と接触する接触処理部を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置、第2に、金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、該電解部の下流側に連設され前記電解部出口から前記電解水が更に前記電解部以外から被処理水がそれぞれ供給されて互いに接触する接触処理部を含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置、第3に、金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、及び該電解部の下流側に位置し、被処理水が供給されるともに、前記電解水が供給されて互いに接触する接触処理部を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置である。
本発明装置は、第1に、金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、被処理水が流通する被処理水流通部、前記電解部と前記被処理水流通部を区画する隔壁、及び電解部の下流側で前記電解水が前記被処理水と接触する接触処理部を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置、第2に、金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、該電解部の下流側に連設され前記電解部出口から前記電解水が更に前記電解部以外から被処理水がそれぞれ供給されて互いに接触する接触処理部を含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置、第3に、金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、及び該電解部の下流側に位置し、被処理水が供給されるともに、前記電解水が供給されて互いに接触する接触処理部を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明では、従来のように硬度成分や金属を溶解する不純物を含有することのある被処理水を直接金属電極に接触させるのではなく、実質的にこれ等の有害不純物を溶解しない原料水を金属電極で電解し、殺菌能力を有する次亜塩素酸イオン等の活性種を含有する電解水を生成させるが、この際に電解部に供給される原料水が処理前の被処理水に接触しないようにし、換言すると被処理水を金属電極に接触させることなく電解水を生成させ、更に生成した電解水が前記金属電極より下流側の接触処理部で被処理水と接触して該被処理水の殺菌処理が行われるように電解装置を設計する。
これにより白金族金属やその酸化物等の高価な電極物質が被覆された金属電極が硬度成分や金属溶解性不純物を含有することのある被処理水に接触することが実質的になくなり、従って金属電極表面にスケールが析出したり、金属電極表面の電極物質が溶出したりすることがなくなるかあるいは少なくなる。従ってスケール析出による有効電極面積の低下やスケール除去のための運転中止が防止できあるいは低下の程度が少なくなり又は運転中止の回数を少なくすることができ、水処理効率が大幅に向上する。しかも電極物質の消耗が大幅に抑制されて電極の長寿命化が達成できる。
本発明では、従来のように硬度成分や金属を溶解する不純物を含有することのある被処理水を直接金属電極に接触させるのではなく、実質的にこれ等の有害不純物を溶解しない原料水を金属電極で電解し、殺菌能力を有する次亜塩素酸イオン等の活性種を含有する電解水を生成させるが、この際に電解部に供給される原料水が処理前の被処理水に接触しないようにし、換言すると被処理水を金属電極に接触させることなく電解水を生成させ、更に生成した電解水が前記金属電極より下流側の接触処理部で被処理水と接触して該被処理水の殺菌処理が行われるように電解装置を設計する。
これにより白金族金属やその酸化物等の高価な電極物質が被覆された金属電極が硬度成分や金属溶解性不純物を含有することのある被処理水に接触することが実質的になくなり、従って金属電極表面にスケールが析出したり、金属電極表面の電極物質が溶出したりすることがなくなるかあるいは少なくなる。従ってスケール析出による有効電極面積の低下やスケール除去のための運転中止が防止できあるいは低下の程度が少なくなり又は運転中止の回数を少なくすることができ、水処理効率が大幅に向上する。しかも電極物質の消耗が大幅に抑制されて電極の長寿命化が達成できる。
本発明における金属電極とは、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン等の耐食性金属基体上に、金属系の触媒、例えば白金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム、鉛、ニッケル又はそれらの酸化物や導電性ダイヤモンドを単独又は混合物又は合金(例えばステンレス)として被覆した電極を意味する。
本発明の電気化学的水処理では、前記金属電極として液抜けを良くするため及び接触効率を向上させるため多孔性金属電極を使用することが望ましく、この他に設置状況に応じて平板状電極などを使用しても良い。
この場合の「多孔」とは、電解水(活性種含有水)の流通に対する抵抗が殆ど零である程度の開口を有することを意味し、金網状、エクスパンドメッシュ状、パンチングメタル状、格子状等の形状がある。例えばエクスパンドメッシュを使用する場合、その開口サイズは短径が1.0〜6.0mm、長径が2.0〜12mm程度になるように調節することが好ましい。多孔性電極は平板状電極に比べて表面積が大きく活性種生成効率が高くなる。
本発明の電気化学的水処理では、前記金属電極として液抜けを良くするため及び接触効率を向上させるため多孔性金属電極を使用することが望ましく、この他に設置状況に応じて平板状電極などを使用しても良い。
この場合の「多孔」とは、電解水(活性種含有水)の流通に対する抵抗が殆ど零である程度の開口を有することを意味し、金網状、エクスパンドメッシュ状、パンチングメタル状、格子状等の形状がある。例えばエクスパンドメッシュを使用する場合、その開口サイズは短径が1.0〜6.0mm、長径が2.0〜12mm程度になるように調節することが好ましい。多孔性電極は平板状電極に比べて表面積が大きく活性種生成効率が高くなる。
該金属電極は、それぞれの開口部表面積の総和を、該電極の表面積総和と開口部表面積の総和を加えた電極全面積で除した値の百分率で定義される開口率が10〜80%であることが好ましい。開口率が10%未満であると圧力損失が大きくかつ目詰まりが起こりやすくなるからであり、80%を超えると電極強度に支障が生じ変形や破損が生ずることがあり、又金属電極と電解水の接触が不十分になることがあるからであり、目詰まり及び接触効率の両者を勘案して適切な開口率を設定することが望ましい。
本発明で使用可能な電解部は、複数枚の金属電極をスペーサーを介して積層し、各金属電極及び各スペーサーをこれらを通る電気絶縁性締着材、通常はボルト及びナットにより締着し、各金属電極相互を連結して電極構造体として有することが好ましい。複数の金属電極とスペーサーから成るこの電極構造体は、金属電極の枚数を変えることにより、供給する原料水の量や電解部内のスペースの状況により比較的自由にその厚さを増減させることができる。その増減はボルト及びナットを使用することが最適である電気絶縁性締着材により容易に行うことができ、例えば樹脂フレームの場合のように内厚の異なる多数の樹脂フレームを準備する等の必要がなくなる。金属電極の枚数を変えて金属電極本体の厚さを変えるだけでなく、金属電極自体又はスペーサーの厚さを変えることが望ましいこともあり、この場合も同様に電気絶縁性締着材の着脱により容易に目的を達成できる。
積層された各金属電極への給電は、単一電源又は複数の電源を使用して各金属電極へ並列又は直列になるように接続して通電する。
使用するスペーサーは隣接する金属電極間の電気絶縁を確保するためのもので、該電気絶縁性が保証されればその形状は制限されないが、原料水又は電解水と金属電極の接触効率を向上させるためにはその面積はできるだけ小さい方が良く、例えば額縁状又はドーナツ状とすることが好ましい。なお該スペーサーの厚さは1〜10mm程度であることが望ましい。金属電極が多孔板例えばチタンラスの場合は前記スペーサーは金属電極の強度補強の役割も果たす。このスペーサーは隣接する金属電極を電気的に絶縁するとともに、電解により生ずることのある酸素ガスや水素ガスのガス抜けを良好にする機能を有する。金属電極表面で生成する前記ガスは電解水が前記金属電極表面に接触することを阻害し、かつ各金属電極への通電効率を低下させる。しかしスペーサーの存在により生成ガスが隣接する金属電極間の空間から金属電極本体の周囲へ容易に移動して活性種生成効率を上昇させる。なお本発明はガス発生を伴う処理に限定されるものではなく、更に前記金属電極は単一枚で使用しても良い。更に本発明装置の構造や設置状況によっては、多孔性電極ではなく平板状電極を使用しても良い。
使用するスペーサーは隣接する金属電極間の電気絶縁を確保するためのもので、該電気絶縁性が保証されればその形状は制限されないが、原料水又は電解水と金属電極の接触効率を向上させるためにはその面積はできるだけ小さい方が良く、例えば額縁状又はドーナツ状とすることが好ましい。なお該スペーサーの厚さは1〜10mm程度であることが望ましい。金属電極が多孔板例えばチタンラスの場合は前記スペーサーは金属電極の強度補強の役割も果たす。このスペーサーは隣接する金属電極を電気的に絶縁するとともに、電解により生ずることのある酸素ガスや水素ガスのガス抜けを良好にする機能を有する。金属電極表面で生成する前記ガスは電解水が前記金属電極表面に接触することを阻害し、かつ各金属電極への通電効率を低下させる。しかしスペーサーの存在により生成ガスが隣接する金属電極間の空間から金属電極本体の周囲へ容易に移動して活性種生成効率を上昇させる。なお本発明はガス発生を伴う処理に限定されるものではなく、更に前記金属電極は単一枚で使用しても良い。更に本発明装置の構造や設置状況によっては、多孔性電極ではなく平板状電極を使用しても良い。
電解部での活性種生成は、安全面の理由で直流電圧42V以下で通電することが望ましく、又電流密度が0.1〜2.0A/dm2 程度になるようにすると最適の生成効率が得られる。これは0.1A/dm2 未満では充分な活性種生成が行われないことがあり、2.0A/dm2 を越えると電極寿命が短くなることがあるからである。
前記電解部の金属電極にガス発生が生じる電流を供給すると、生成ガスは活性種含有電解水中に対流を生じさせ、この対流により電解水全体を万遍なく金属電極表面に接触させて活性種生成効率を高めることができる。
本発明で使用する原料水としては、硬度成分が低く、より具体的にはCaCO3換算の全硬度で200mg/L以下で有害不純物(例えばフッ酸、シアン、酢酸等の有機物)を実質的に含まない水道水、工業用水、地下水、イオン交換水、純水、雨水などを意味するがこれらに限定されない。有害不純物を含まないクーリングタワー等の濃縮水の場合には、全硬度が200mg/L以下になるよう、原料水と被処理水を混合して使用することも可能である。更に本発明では処理対象の被処理水中の不純物濃度が小さく、硬度成分の析出量が小さく、電極物質の溶出も小さいと予測される場合等は、原料水を使用せず、被処理水を隔壁を迂回させて電解部に供給するようにしても良い。
本発明で生成する活性種の種類は、処理すべき被処理水に応じて決定すれば良く、例えば次亜塩素酸イオン、オゾン、過酸化水素及び活性酸素等が含まれる。次亜塩素酸イオンを製造するためには、塩素イオン濃度の高い水道水、工業用水、地下水等には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化水素等の塩素含有化合物の添付無しでも可能であるが、塩素イオン濃度の低い水道水、工業用水、地下水、雨水、河川水、イオン交換水、純水等の場合には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化水素等の塩素含有化合物を添加することにより、効率良い製造が可能である。
前記電解部の金属電極にガス発生が生じる電流を供給すると、生成ガスは活性種含有電解水中に対流を生じさせ、この対流により電解水全体を万遍なく金属電極表面に接触させて活性種生成効率を高めることができる。
本発明で使用する原料水としては、硬度成分が低く、より具体的にはCaCO3換算の全硬度で200mg/L以下で有害不純物(例えばフッ酸、シアン、酢酸等の有機物)を実質的に含まない水道水、工業用水、地下水、イオン交換水、純水、雨水などを意味するがこれらに限定されない。有害不純物を含まないクーリングタワー等の濃縮水の場合には、全硬度が200mg/L以下になるよう、原料水と被処理水を混合して使用することも可能である。更に本発明では処理対象の被処理水中の不純物濃度が小さく、硬度成分の析出量が小さく、電極物質の溶出も小さいと予測される場合等は、原料水を使用せず、被処理水を隔壁を迂回させて電解部に供給するようにしても良い。
本発明で生成する活性種の種類は、処理すべき被処理水に応じて決定すれば良く、例えば次亜塩素酸イオン、オゾン、過酸化水素及び活性酸素等が含まれる。次亜塩素酸イオンを製造するためには、塩素イオン濃度の高い水道水、工業用水、地下水等には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化水素等の塩素含有化合物の添付無しでも可能であるが、塩素イオン濃度の低い水道水、工業用水、地下水、雨水、河川水、イオン交換水、純水等の場合には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化水素等の塩素含有化合物を添加することにより、効率良い製造が可能である。
オゾン水製造も同様にして行えば良いが、無隔膜型電解の場合、陽極酸化により生成するオゾンが対極である陰極に接触すると分解しやすく生成効率が低下することがある。これを防止するためには、例えば金属電極を縦方向に設置して生成ガスを対極への接触を最小限に抑制しながら金属電極間を浮上させるよう構成しても良い。
過酸化水素水も同様にして製造すれば良いが、無隔膜型電解の場合、陰極還元により生成する過酸化水素が対極である陽極に接触すると分解しやすく生成効率が低下することがあり、この場合も同様に、陰極表面で生成した過酸化水素を陽極表面に可能な限り接触させずに接触処理部へ導くようにすれば良い。
過酸化水素水も同様にして製造すれば良いが、無隔膜型電解の場合、陰極還元により生成する過酸化水素が対極である陽極に接触すると分解しやすく生成効率が低下することがあり、この場合も同様に、陰極表面で生成した過酸化水素を陽極表面に可能な限り接触させずに接触処理部へ導くようにすれば良い。
電解部で生成される電解水中の活性種濃度は1mg/L以上、100mg/L以下が望ましい。1mg/L未満であると被処理水の殺菌等が不十分になり、100mg/Lを超えると経済的でなくなるからである。又接触処理部における被処理水の平均滞留時間(電解水と被処理水との平均接触時間)は1分以上、30分以下であることが望ましい。1分未満であると被処理水の殺菌等が不十分になり、30分を超えてもより以上の殺菌能力の向上は殆どないからである。
本発明に使用する金属電極を含む電解部は長期間の運転に耐え洗浄は殆ど必要ないが、洗浄を行う場合には過酸化水素、キレート剤、無機酸や有機酸を用いたpH3以下の酸性水、pH9以上のアルカリ水のいずれかを単独で又は交互に流しても良い。
本発明に使用する金属電極を含む電解部は長期間の運転に耐え洗浄は殆ど必要ないが、洗浄を行う場合には過酸化水素、キレート剤、無機酸や有機酸を用いたpH3以下の酸性水、pH9以上のアルカリ水のいずれかを単独で又は交互に流しても良い。
このように金属電極を装着した電解部で生成した活性種は、電解水に溶解されて該電解部から接触処理部へ導入される。この接触処理部へは被処理水も導入され、この被処理水が前記活性種含有水と接触して、次亜塩素酸イオン、オゾン、過酸化水素及び活性酸素等の活性種により、少なくとも被処理水中の微生物等の殺菌が行われ、その他に酸化又は還元によるスケール成分の安定化、漂白、農薬の分解等の水質改善処理が行われることがある。前記微生物としては、細菌(バクテリア)、糸状菌(黴)、酵母、変性菌、単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれ、水質改善には、アンモニア等の不純物の分解などが含まれる。
本発明の被処理水には、白金族金属やその酸化物を溶解するシアンイオン含有メッキ用水、白金族金属やその酸化物、及びチタン等を溶解するフッ酸を含有するスクラバー水、白金族金属やその酸化物を溶解する酢酸等の有機物を含有する洗浄水、硬度成分が多いクーリングタワー濃縮水、各種不純物を含有する浄化処理前の工場循環水等が主たる対象として含まれるが、これらに限定されず、例えば次の用水が含まれる。
本発明の被処理水には、白金族金属やその酸化物を溶解するシアンイオン含有メッキ用水、白金族金属やその酸化物、及びチタン等を溶解するフッ酸を含有するスクラバー水、白金族金属やその酸化物を溶解する酢酸等の有機物を含有する洗浄水、硬度成分が多いクーリングタワー濃縮水、各種不純物を含有する浄化処理前の工場循環水等が主たる対象として含まれるが、これらに限定されず、例えば次の用水が含まれる。
自然環境中の淡水や海水、人工的に作製された水溶液、希釈用水等、更に具体的な例としては工業用水、水道水、浄水、井戸水、雨水、回収水、加湿水、排水、側溝水、貯水、海水(微生物の制菌と貝殻、藻類、水母等の殺菌)、池の水、プール水、ボイラー水、高架水槽、飲料水、風呂水、ガス吸収塔水、冷却水、温水、水耕栽培水、噴水、写真現像液、養魚用水(鑑賞魚、養殖魚)、鑑賞動物及び養殖鳥用水、水エマルジョン、製紙用水、温泉水、砂糖液、果汁希釈水、染料インク希釈水、水溶性塗料希釈水、水溶性化粧品希釈水、酒希釈水、牛乳希釈水、ジュース希釈水、お茶希釈水、豆乳希釈水、入れ歯保管制菌水、コンタクトレンズ保管制菌水、歯ブラシ保管制菌水、各種化学物質含有水溶液、火力又は原子力発電所用水等、更に水中微生物個数をゼロにすることが必要又は好ましい食品用水、医薬品用水、磁気記録用ハードディスク洗浄用水、半導体洗浄用水、自動販売機水等も含まれ、更に岸壁、パイプや各種取水の殺菌用水の前処理用にも使用できる。
前述の通り、本発明では、原料水と被処理水を接触させずに原料水を電解して電解水を製造する。具体的には単一装置内に電解部と接触処理部を形成し、電解部で製造した電解水を前記接触処理部に供給するとともに、該接触処理部に被処理水を供給することにより、前記電解水と前記被処理水を接触させ、前記電解水中の活性種により前記被処理水中の微生物の殺菌等を行う。
単一装置内に電解部と接触処理部を形成するための最も簡便な手法は、前記装置内を隔壁で2分割して分割された一方の空間を電解部、他方の空間を被処理水流通部とすることであり、この隔壁は、原料水が電解部で電解されて活性種を含有する電解水が生成する前に、前記装置内に供給される原料水と被処理水が接触しないように設置する必要がある。
単一装置内に電解部と接触処理部を形成するための最も簡便な手法は、前記装置内を隔壁で2分割して分割された一方の空間を電解部、他方の空間を被処理水流通部とすることであり、この隔壁は、原料水が電解部で電解されて活性種を含有する電解水が生成する前に、前記装置内に供給される原料水と被処理水が接触しないように設置する必要がある。
そのためには、少なくとも装置内の原料水が供給されるポイントから電解部の最も下流側のポイントまでに隔壁を設置して、電解部と被処理水流通部に分割する。前記隔壁は液透過を防止できるように無孔性であることが望ましいが、電解部内の水圧の方が被処理水流通部の水圧より高く、被処理水流通部から電解部への液透過が起き難い場合には微孔を有していても良い。
前記隔壁の下流側の端部が最も下流側の金属電極から余り離れていないと、被処理水流通部の被処理水の一部が隔壁の端部から電解部内に進入して金属電極に接触するおそれがある。このような場合には、隔壁の接触処理部側端部を電解部側に向けて傾斜させて、被処理水の電解部への進入を防止すれば良い。
前記隔壁の下流側の端部が最も下流側の金属電極から余り離れていないと、被処理水流通部の被処理水の一部が隔壁の端部から電解部内に進入して金属電極に接触するおそれがある。このような場合には、隔壁の接触処理部側端部を電解部側に向けて傾斜させて、被処理水の電解部への進入を防止すれば良い。
この隔壁は少なくともその一部を、好ましくは全体を電気絶縁材料で構成することが望ましい。この隔壁全体を金属等の導電性材料で構成すると、隔壁と金属電極間に微小ではあるにしても電流が流れ、この電流は活性種生成に寄与しないからである。しかし若干量の電流の損失が問題にならない場合は前記隔壁を導電性材料で構成しても良い。
更に現在の水処理用電解装置は、金属電極間と電解装置内壁間に電流が流れることを防止するために、電解装置全体を塩化ビニル(塩ビ)樹脂やアクリル樹脂等の電気絶縁材料製としている。しかし前記電解装置で処理される水量は徐々に増加する傾向にあり電解装置の大型化が要請されている。塩ビ樹脂等を使用して大型の電解装置を作製することは耐水圧の面から困難であり、金属製の大型電解装置が望ましいにもかかわらず、実用的な大型電解装置は実現していない。
更に現在の水処理用電解装置は、金属電極間と電解装置内壁間に電流が流れることを防止するために、電解装置全体を塩化ビニル(塩ビ)樹脂やアクリル樹脂等の電気絶縁材料製としている。しかし前記電解装置で処理される水量は徐々に増加する傾向にあり電解装置の大型化が要請されている。塩ビ樹脂等を使用して大型の電解装置を作製することは耐水圧の面から困難であり、金属製の大型電解装置が望ましいにもかかわらず、実用的な大型電解装置は実現していない。
電解装置を、少なくともその一部を電気絶縁材料とした隔壁を使用して2分割すると、好ましくは、電解部を隔壁で囲って電解部の周囲全体に被処理水流通部が形成されるようにすると、電解部と電解装置内壁間が実質的に電気絶縁されるため、電解装置本体を金属製とし大型化しても金属電極と電解装置内壁間に電流が実質的に流れることがなく、金属製の大型電解装置が実現できる。
前記隔壁は全体を電気絶縁材料で構成しても良いが、金属等の導電性材料で基材を構成し、この基材の金属電極を向く側の該金属電極に対応する箇所にのみ電気絶縁材料を貼り付けたり、前記基材の装置内壁を向く側全部に電気絶縁材料を貼り付けたりしても良い。そのような構成の場合でも金属電極と隔壁間、及び隔壁と装置内壁間の電流が遮断される。
前記隔壁は全体を電気絶縁材料で構成しても良いが、金属等の導電性材料で基材を構成し、この基材の金属電極を向く側の該金属電極に対応する箇所にのみ電気絶縁材料を貼り付けたり、前記基材の装置内壁を向く側全部に電気絶縁材料を貼り付けたりしても良い。そのような構成の場合でも金属電極と隔壁間、及び隔壁と装置内壁間の電流が遮断される。
本発明では、電解装置を隔壁で分割して電解部と被処理水流通部を形成することは必須ではなく、他の手法で電解装置内に電解部と接触処理部を形成しても良い。
例えば金属電極を有する既存の電解装置の出口側に、被処理水を供給できる接触処理用チャンバーを連設して、前記電解装置で生成させた電解水を前記接触処理用チャンバーに供給し、別途供給される前記被処理水を前記電解水で接触処理して前記被処理水中の微生物の殺菌等を行うことができる。この装置の場合には、電解装置出口に逆止弁を設置しておくと、接触処理チャンバーから電解装置への被処理水の進入が起こらず、更に確実に金属電極の保護が行える。
例えば金属電極を有する既存の電解装置の出口側に、被処理水を供給できる接触処理用チャンバーを連設して、前記電解装置で生成させた電解水を前記接触処理用チャンバーに供給し、別途供給される前記被処理水を前記電解水で接触処理して前記被処理水中の微生物の殺菌等を行うことができる。この装置の場合には、電解装置出口に逆止弁を設置しておくと、接触処理チャンバーから電解装置への被処理水の進入が起こらず、更に確実に金属電極の保護が行える。
更に電解装置の金属電極と電解水出口間の距離を大きく取り、前記電解装置の金属電極と十分離れた箇所に被処理水を供給して、金属電極からの電解水で前記被処理水の殺菌処理等を行っても良い。被処理水供給ポイントと金属電極との距離を大きく取っているため、供給された被処理水が逆方向に流れて金属電極まで達することが殆どなく、金属電極が保護される。しかしながら被処理水供給ポイントと金属電極との距離を大きく取っても被処理水が金属電極に接触する場合には電解部と接触処理部間に開口を有する邪魔板等を設置すれば良い。
接触処理部は電解部の下流側に形成され、該接触処理部で電解水と被処理水が接触し、電解水中の活性種により被処理水の殺菌処理等が行われる。接触処理部と電解部間には明確な境界は存在しなくても良い。
接触処理部で処理された被処理水は処理水として取り出され、放流を含めた任意の用途に使用される。
接触処理部は電解部の下流側に形成され、該接触処理部で電解水と被処理水が接触し、電解水中の活性種により被処理水の殺菌処理等が行われる。接触処理部と電解部間には明確な境界は存在しなくても良い。
接触処理部で処理された被処理水は処理水として取り出され、放流を含めた任意の用途に使用される。
本発明では、これまで説明した態様に加えて、被処理水が、電解装置の金属電極で電解され活性種を含有する電解水を生成する前の原料水に接触しない、換言すると、被処理水が実質的に金属電極に接触せずに電解水で処理される任意の構成を採用できる。
このように被処理水と電解水の接触により、被処理水の処理、つまり殺菌、酸化、還元あるいは漂白等が行われ、被処理水中には微生物の死骸、酸化、還元又は漂白された物質が残るが、これらは濾過等により容易に除去できる。例えば接触処理部の出口側の適所に異物除去用網を設置し、この網に前記死骸等を集めて系外に廃棄できる。
本発明では被処理水が金属電極に接触しないため、カルシウムイオン等の硬度成分が活性種含有水と接触した後の被処理水中に残存する。この硬度成分の除去が必要な場合には、前述した通り、硬度除去手段(イオン交換、逆浸透膜、晶析、電解)を用いて被処理水の硬度を低減させれば良い。
このように被処理水と電解水の接触により、被処理水の処理、つまり殺菌、酸化、還元あるいは漂白等が行われ、被処理水中には微生物の死骸、酸化、還元又は漂白された物質が残るが、これらは濾過等により容易に除去できる。例えば接触処理部の出口側の適所に異物除去用網を設置し、この網に前記死骸等を集めて系外に廃棄できる。
本発明では被処理水が金属電極に接触しないため、カルシウムイオン等の硬度成分が活性種含有水と接触した後の被処理水中に残存する。この硬度成分の除去が必要な場合には、前述した通り、硬度除去手段(イオン交換、逆浸透膜、晶析、電解)を用いて被処理水の硬度を低減させれば良い。
前記電解水は前述の通り、接触処理部で被処理水と混合されて、前記活性種による殺菌を初めとする被処理水の処理が行われる。
前記接触処理部では活性種の有する能力単独で被処理水処理を行っても十分な効果を生ずるが、前記処理を紫外線殺菌、オゾン殺菌、薬剤殺菌等と併用すると更に確実に短時間で被処理水の処理を行うことができる。
このように本発明によると、前述した被処理水に含まれる多種の微生物や有害不純物を効率良く殺菌又は分解するだけでなく、カルシウム、マグネシウム、シリコン、鉄等の金属イオンが酸化物、水酸化物、炭酸塩に変化し、シリカ等のコロイド粒子が大きくなることに依るスケール障害の防止、CODやBODの分解除去、更に微量農薬を含有する被処理水から農薬を分解除去し、着色被処理水の色を薄くするといった処理も可能である。
前記接触処理部では活性種の有する能力単独で被処理水処理を行っても十分な効果を生ずるが、前記処理を紫外線殺菌、オゾン殺菌、薬剤殺菌等と併用すると更に確実に短時間で被処理水の処理を行うことができる。
このように本発明によると、前述した被処理水に含まれる多種の微生物や有害不純物を効率良く殺菌又は分解するだけでなく、カルシウム、マグネシウム、シリコン、鉄等の金属イオンが酸化物、水酸化物、炭酸塩に変化し、シリカ等のコロイド粒子が大きくなることに依るスケール障害の防止、CODやBODの分解除去、更に微量農薬を含有する被処理水から農薬を分解除去し、着色被処理水の色を薄くするといった処理も可能である。
以上述べたように、金属電極で原料水を電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させ、この電解水により被処理水を接触処理する際に、単一装置内で、前記原料水と前記被処理水を接触させずに前記電解水を生成させると、不純物を含む被処理水が金属電極に接触しないため、電極物質の劣化やスケール付着を生じさせること無く、被処理水の処理を行うことが可能になる。
更に電気絶縁性の隔壁を使用すると、電解装置の大型化も達成可能になる。又電解部の処理チャンバー等の装置への着脱を容易にすることや電解部を軽量化することが可能で、電解部品数の増減に依る電解処理能力の調整が容易で、メンテナンス作業や運搬作業の合理化や安全性の改善も可能になる。
更に電気絶縁性の隔壁を使用すると、電解装置の大型化も達成可能になる。又電解部の処理チャンバー等の装置への着脱を容易にすることや電解部を軽量化することが可能で、電解部品数の増減に依る電解処理能力の調整が容易で、メンテナンス作業や運搬作業の合理化や安全性の改善も可能になる。
次いで本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電気化学的水処理装置の第1実施形態例を示す縦断正面図、図2は上蓋を取除いた図1の装置の平面図である。
図1は、本発明の電気化学的水処理装置の第1実施形態例を示す縦断正面図、図2は上蓋を取除いた図1の装置の平面図である。
図1の電気化学的水処理チャンバー11の内部は、角筒状で電気絶縁性の隔壁12により、中央の電解部13と、前記隔壁12と前記装置内壁間の被処理水流通部14に分割されている。隔壁12下部間を連結する底板15中央には、原料水供給管16が接続されるとともに、前記底板15は、中央下端に被処理水供給口17が設置された前記処理チャンバー11の湾曲した下蓋18に支持杆19により固定されている。
前記底板15上には、1対の脚部20上に設置された、額縁状の上部枠21と額縁状の下部枠22の間に、チタン等の多孔性基材に白金族金属やその酸化物を被覆した2枚の多孔性金属電極23を1枚の額縁状のスペーサー24を介して積層することにより構成された金属電極構造体25が計6台積層されている。
前記下蓋18のフランジには円筒形のチャンバー本体26の下端が連結され、更に該チャンバー本体26の上端フランジには、中央上端に処理水取出口27を有する上蓋28が連結され、隔壁12上端部と上蓋28下面間に接触処理部29が形成されている。なお30は原料水供給管29に設けられた食塩水等塩素含有水溶液の供給部である。
前記底板15上には、1対の脚部20上に設置された、額縁状の上部枠21と額縁状の下部枠22の間に、チタン等の多孔性基材に白金族金属やその酸化物を被覆した2枚の多孔性金属電極23を1枚の額縁状のスペーサー24を介して積層することにより構成された金属電極構造体25が計6台積層されている。
前記下蓋18のフランジには円筒形のチャンバー本体26の下端が連結され、更に該チャンバー本体26の上端フランジには、中央上端に処理水取出口27を有する上蓋28が連結され、隔壁12上端部と上蓋28下面間に接触処理部29が形成されている。なお30は原料水供給管29に設けられた食塩水等塩素含有水溶液の供給部である。
食塩等塩素含有水溶液の供給部30で食塩等の塩素化合物を添加された原料水を原料水供給管16から、被処理水を被処理水供給口17からそれぞれ供給しながら、前記上部枠21と下部枠22間に通電すると、各金属電極23は分極し、例えば上面が陽分極し下面が陰分極する。原料水に溶解している食塩は各金属電極23の陽分極面で酸化され、活性種である次亜塩素酸イオンが生成して電解水となり、次亜塩素酸イオンを活性種として有する電解水が隔壁12内方に形成された電解部13から接触処理部29に向けて上昇する。
被処理水供給口17からチャンバー11内に供給された被処理水は隔壁12とチャンバー11側壁間の空間を上昇して前記上蓋28の下の接触処理部29に達し、この接触処理部29で活性種を有する前記電解水と接触して、被処理水中の微生物の殺菌や他の処理が行われて処理水取出口27から系外に取り出され、所定の用途に使用される。
被処理水供給口17からチャンバー11内に供給された被処理水は隔壁12とチャンバー11側壁間の空間を上昇して前記上蓋28の下の接触処理部29に達し、この接触処理部29で活性種を有する前記電解水と接触して、被処理水中の微生物の殺菌や他の処理が行われて処理水取出口27から系外に取り出され、所定の用途に使用される。
この実施形態例では、隔壁12が存在するため、チャンバー11内に供給された被処理水は、チャンバー11内の前記隔壁12内方に形成された電解部13で生成する活性種を有する電解水が隔壁12上端から接触処理部29に到達するまで、前記電解水に接触できない。つまり被処理水は隔壁12上端を越えて、電解水の流れに抗して隔壁12内部を下降しない限り、金属電極23には接触できない。従って被処理水は実質的に金属電極23に接触することがなく、被処理水に含まれる不純物が金属電極の電極物質を溶出させたり、被処理水中の硬度成分が金属電極に析出して電解効率を低下させることがなくなるか、あるいは前記溶出又は析出を最小限に抑えることができる。
従って従来の電解装置では例えば1年に1回必要であったメンテナンスが3〜5年に1回で済むことになる。更に隔壁12が電気絶縁性で金属電極23とチャンバー11内壁間の漏洩電流が防止できるため、チャンバー11を金属製とすることができ、電解装置の大型化を容易に達成できる。
金属電極23の交換等は、前記上蓋28を取除くことにより容易に行うことができる。
なお図示の実施形態では、処理水取出口27から取り出された処理水をタンクに貯留後、原料水として原料水供給管16から電解部13に供給したり、再度被処理水供給口17から被処理水流通部14に供給して、更に殺菌処理等を繰り返し行っても良い。
金属電極23の交換等は、前記上蓋28を取除くことにより容易に行うことができる。
なお図示の実施形態では、処理水取出口27から取り出された処理水をタンクに貯留後、原料水として原料水供給管16から電解部13に供給したり、再度被処理水供給口17から被処理水流通部14に供給して、更に殺菌処理等を繰り返し行っても良い。
図3は、本発明の電気化学的水処理装置の第2実施形態例を示す縦断正面図である。
図3の電気化学的水処理チャンバー41の内部は、角筒状で金属製の隔壁本体42により隔壁本体42内の電解部43と、前記隔壁42と前記チャンバー内壁間の被処理水流通部44に分割されている。チャンバー41の底板45中央には、原料水供給管46が接続されるとともに、前記底板45の前記隔壁本体42より外側には左右1対の被処理水供給口47が設置されている。
前記隔壁本体42の内方には、1対の平板状枠48間に、5枚の平板状金属電極49を4枚の額縁状のスペーサー50を介して積層することにより構成された1台の金属電極構造体51が金属電極49が上下方向を向くように設置されている。
前記隔壁本体42の金属電極49側の面には金属電極49の上下位置に対応するように、塩ビ樹脂等の電気絶縁性材料52が貼り付けられ、前記隔壁本体42のチャンバー41内壁側の面にはそのほぼ全長に亘って電気絶縁性材料53が貼り付けられている。
前記チャンバー41の天板54の上面中央には処理水取出口55が形成され、前記チャンバー41内の隔壁本体42の上縁部と天板54下面間に接触処理部56が構成されている。
前記隔壁本体42の内方には、1対の平板状枠48間に、5枚の平板状金属電極49を4枚の額縁状のスペーサー50を介して積層することにより構成された1台の金属電極構造体51が金属電極49が上下方向を向くように設置されている。
前記隔壁本体42の金属電極49側の面には金属電極49の上下位置に対応するように、塩ビ樹脂等の電気絶縁性材料52が貼り付けられ、前記隔壁本体42のチャンバー41内壁側の面にはそのほぼ全長に亘って電気絶縁性材料53が貼り付けられている。
前記チャンバー41の天板54の上面中央には処理水取出口55が形成され、前記チャンバー41内の隔壁本体42の上縁部と天板54下面間に接触処理部56が構成されている。
この実施形態例でも、第1実施形態例と同じように、食塩等を添加された原料水を原料水供給管46から、被処理水を被処理水供給口47からそれぞれ供給しながら、両平板状枠48間に通電すると、各金属電極49は分極し、活性種である次亜塩素酸イオン等を含有する電解水となり、この電解水が隣接する金属電極49間の空間を上昇する。この際に生成した次亜塩素酸イオンは対極に接触する頻度は少なくその分解は最小限に抑制される。
接触処理部56に達した電解水は、被処理水供給口47から被処理水流通部44を通って接触処理部56に達した被処理水と接触し、被処理水中の微生物の殺菌や他の処理が行われて処理水取出口55から系外に取り出される。
この実施形態例でも、被処理水が金属電極と接触することによる金属電極の短寿命化が防止され、更に電解装置の大型化が可能になる。
接触処理部56に達した電解水は、被処理水供給口47から被処理水流通部44を通って接触処理部56に達した被処理水と接触し、被処理水中の微生物の殺菌や他の処理が行われて処理水取出口55から系外に取り出される。
この実施形態例でも、被処理水が金属電極と接触することによる金属電極の短寿命化が防止され、更に電解装置の大型化が可能になる。
図4は、本発明の電気化学的水処理装置の第3実施形態例を示す縦断正面図である。
図4の電気化学的水処理チャンバー61の内部は、平板状で樹脂製の隔壁62により隔壁62左方(図4の)の電解部63と、右方の被処理水流通部64に分割され、前記隔壁62は、上端やや下方から電解部63側に向けて傾斜している。
前記電解部63内の底板のやや上方から前記傾斜部のやや下方に向けて隔膜65が設置され、該隔膜65のチャンバー61内壁側にはチタン等の基材に白金族金属やその酸化物を被覆した平板陽極66が、又隔壁62側にはニッケル等を被覆した平板陰極67が浸漬されている。
チャンバー61の天板68の上面中央には処理水取出口69が形成され、前記チャンバー61内の隔壁62の上端部と天板68下面間に接触処理部70が構成されている。なお71はチャンバー61の電解部63側面の原料水供給口、72は被処理水流通部64側面の被処理水供給口である。
前記電解部63内の底板のやや上方から前記傾斜部のやや下方に向けて隔膜65が設置され、該隔膜65のチャンバー61内壁側にはチタン等の基材に白金族金属やその酸化物を被覆した平板陽極66が、又隔壁62側にはニッケル等を被覆した平板陰極67が浸漬されている。
チャンバー61の天板68の上面中央には処理水取出口69が形成され、前記チャンバー61内の隔壁62の上端部と天板68下面間に接触処理部70が構成されている。なお71はチャンバー61の電解部63側面の原料水供給口、72は被処理水流通部64側面の被処理水供給口である。
この実施形態例でも、前記実施形態例と同じように、原料水を原料水供給管71から、被処理水を被処理水供給口72からそれぞれ供給しながら、陽極66及び陰極67間に通電すると、条件に応じて活性種が生成して電解水となり、この電解水が電解部63を、先端が傾斜した隔壁62に沿って上昇して接触処理部70に到達する。この際前記陽極66及び陰極67が隔膜65により隔てられているため、生成した活性種が対極に接触して分解することを実質的に防止できる。
更に前記隔壁62が電解部63方向に傾斜し隔壁62先端近傍の電解水の上昇速度が速いため、被処理水供給口72から供給されて接触処理部70に到達した被処理水は、電解部63内に進入できず、電極66、67が被処理水と接触することが防止できる。
更に前記隔壁62が電解部63方向に傾斜し隔壁62先端近傍の電解水の上昇速度が速いため、被処理水供給口72から供給されて接触処理部70に到達した被処理水は、電解部63内に進入できず、電極66、67が被処理水と接触することが防止できる。
図5は、本発明の電気化学的水処理装置の第4実施形態例を示す縦断正面図である。
図5の角筒形で水平方向に設置された電気化学的水処理チャンバー81の内部は、平板状で樹脂製の隔壁82により下段の電解部83と、上段の被処理水流通部84に分割され、前記隔壁62は、先端のやや右方から電解部63側に向けて傾斜している。
前記電解部63には、金属電極構造体25が1台設置されている。この金属電極構造体25は、金属電極23の枚数が4枚でスペーサー24の枚数が3枚であること以外は図1の金属電極構造体と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
85は電解部83の右端側壁に形成された原料水供給口、86は被処理水流通部84の右端側壁に形成された被処理水供給口である。
チャンバー81左端側壁板87の上端近傍には処理水取出口88が形成され、前記隔壁82先端と前記左端側壁板87間には接触処理部89が形成されている。
前記電解部63には、金属電極構造体25が1台設置されている。この金属電極構造体25は、金属電極23の枚数が4枚でスペーサー24の枚数が3枚であること以外は図1の金属電極構造体と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
85は電解部83の右端側壁に形成された原料水供給口、86は被処理水流通部84の右端側壁に形成された被処理水供給口である。
チャンバー81左端側壁板87の上端近傍には処理水取出口88が形成され、前記隔壁82先端と前記左端側壁板87間には接触処理部89が形成されている。
この実施形態例でも、前記実施形態例と同じように、原料水を原料水供給管85から、被処理水を被処理水供給口86からそれぞれ供給しながら、金属電極23に通電すると、条件に応じて活性種が生成して電解水となり、この電解水が先端が傾斜した隔壁82から接触処理部89に到達する。この際隔壁82が電解部83方向に傾斜し隔壁82先端近傍の電解水の上昇速度が速いため、被処理水は電解部83内に進入できず、金属電極23が被処理水と接触することが防止できる。
図6は、本発明の電気化学的水処理装置の第5実施形態例を示す縦断正面図である。
図6の電気化学的水処理チャンバー91の内部は、電解部92として機能し、該電解部92には、金属電極構造体25が2台積層されている。各金属電極構造体25は、図5の金属電極構造体と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
前記チャンバー91の底板93の中央には原料水供給口94が、又天板95中央には電解水管96がそれぞれ形成され、該電解水管96の配管には逆止弁97が設置されている。
前記天板95には接触処理チャンバー98が溶接で連設され、該接触処理チャンバー98には、前記電解部92から電解水管96を通って電解水が、更に前記接触処理チャンバー98の下部側面の被処理水供給口99から被処理水がそれぞれ供給される。
前記接触処理チャンバー98内は接触処理部100として機能し、前記被処理水が前記電解水と接触して殺菌処理等が行われる。この電解装置では、電解部92の電解水を接触処理チャンバー98に供給しかつ逆止弁97を閉じた後、攪拌翼101を回転させて被処理水と電解水を十分に接触させることも可能であり、処理後の処理水は接触処理チャンバー98の天板102に形成された処理水取出口103から系外に取り出される。
前記チャンバー91の底板93の中央には原料水供給口94が、又天板95中央には電解水管96がそれぞれ形成され、該電解水管96の配管には逆止弁97が設置されている。
前記天板95には接触処理チャンバー98が溶接で連設され、該接触処理チャンバー98には、前記電解部92から電解水管96を通って電解水が、更に前記接触処理チャンバー98の下部側面の被処理水供給口99から被処理水がそれぞれ供給される。
前記接触処理チャンバー98内は接触処理部100として機能し、前記被処理水が前記電解水と接触して殺菌処理等が行われる。この電解装置では、電解部92の電解水を接触処理チャンバー98に供給しかつ逆止弁97を閉じた後、攪拌翼101を回転させて被処理水と電解水を十分に接触させることも可能であり、処理後の処理水は接触処理チャンバー98の天板102に形成された処理水取出口103から系外に取り出される。
図7は、本発明の電気化学的水処理装置の第6実施形態例を示す縦断正面図である。
図7の電気化学的水処理チャンバー111には、金属電極構造体25が2台積層されている。各金属電極構造体25は、図6の金属電極構造体と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
前記チャンバー111の底板112の中央には原料水供給口113が、又天板114中央には処理水取出管115が、側壁上端近傍には被処理水供給口116がそれぞれ形成されている。上方の金属電極構造体25のやや上方には、中央に向けて上向き傾斜し、中央に開口部117を有する邪魔板118が設置され、邪魔板118と天板114間が接触処理部119として機能し、当該接触処理部119に供給される被処理水が、電解部から開口部117を通して供給される電解水と接触して処理が行われる。
この実施形態例では邪魔板118を設置して被処理水が金属電極23と接触することを防止したが、金属電極23と被処理水供給口116間の距離を十分大きく取れば、邪魔板なしでも被処理水が金属電極に接触することを防止できることがある。
前記チャンバー111の底板112の中央には原料水供給口113が、又天板114中央には処理水取出管115が、側壁上端近傍には被処理水供給口116がそれぞれ形成されている。上方の金属電極構造体25のやや上方には、中央に向けて上向き傾斜し、中央に開口部117を有する邪魔板118が設置され、邪魔板118と天板114間が接触処理部119として機能し、当該接触処理部119に供給される被処理水が、電解部から開口部117を通して供給される電解水と接触して処理が行われる。
この実施形態例では邪魔板118を設置して被処理水が金属電極23と接触することを防止したが、金属電極23と被処理水供給口116間の距離を十分大きく取れば、邪魔板なしでも被処理水が金属電極に接触することを防止できることがある。
図8は、本発明の電気化学的水処理装置の第7実施形態例を示す縦断正面図である。
図8の電気化学的水処理装置は、図1及び2に示した第1実施形態の改良であり、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。本実施形態の装置は、被処理水の純度が高く、被処理水が金属電極に接触しても硬度成分の析出や電極物質の溶出がさほど問題にならない場合に好適に使用できる。
図8の処理チャンバー121は、図1の処理チャンバーの場合と異なり、底板15中央から下蓋18に達する原料水供給管が設けられていない。
従って被処理水供給口17から供給された被処理水が隔壁12と処理チャンバー装置内壁間の被処理水流通部14を通って接触処理部29に達する。
電解部13内には当初から被処理水を満たしておいてもより純度の高い原料水を満たしておいても良い。電解部13では第1実施形態の場合と同様に活性種を含有する電解水が生成して、この電解水が電解部を浮上して前記接触処理部29に達して被処理水の殺菌処理を行う。
図8の処理チャンバー121は、図1の処理チャンバーの場合と異なり、底板15中央から下蓋18に達する原料水供給管が設けられていない。
従って被処理水供給口17から供給された被処理水が隔壁12と処理チャンバー装置内壁間の被処理水流通部14を通って接触処理部29に達する。
電解部13内には当初から被処理水を満たしておいてもより純度の高い原料水を満たしておいても良い。電解部13では第1実施形態の場合と同様に活性種を含有する電解水が生成して、この電解水が電解部を浮上して前記接触処理部29に達して被処理水の殺菌処理を行う。
例えば当初から純度の高い原料水を電解部13に満たしておくと、当該電解開始当初は原料水が電解されて純度の高い電解水が生成する。しかしこの実施形態では原料水の追加は行わないため、電解で原料水が消耗して徐々に量が減少し、減少分の被処理水が隔壁12の上縁から電解部13に進入して金属電極23に接触することがある。この場合に硬度成分の析出や電極物質の溶出が生じるが、不純物の少ない被処理水を処理対象としているため、前記析出や溶出の量が僅かで金属電極の寿命にさほど影響を及ぼさない。
更にこの実施形態では、電解部での水の動きが少なく、活性種の生成効率は高くなり、かつ金属電極に硬度成分が析出しても当初から水の動きが少ないため、影響が小さく、殺菌効果が安定する。
更にこの実施形態では、電解部での水の動きが少なく、活性種の生成効率は高くなり、かつ金属電極に硬度成分が析出しても当初から水の動きが少ないため、影響が小さく、殺菌効果が安定する。
次に本発明に係わる電気化学水処理方法の実施例を説明するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1]
熱交換器から循環する冷却塔内の冷却塔水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)冷却塔装置
冷却能力:300冷凍トン
循環水量:230t/hr
保有水量:3t
(2)冷却水の平均水質
pH:8.7
電気伝導率:900μs/cm
酸消費量(pH4.8):250mgCaCO3/L
全硬度:420mgCaCO3/L
カルシウム濃度:190mgCaCO3/L
シリカ濃度:150mgSiO2/L
塩素イオン濃度:58mgCl-/L
総菌数:約106個/ml
熱交換器から循環する冷却塔内の冷却塔水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)冷却塔装置
冷却能力:300冷凍トン
循環水量:230t/hr
保有水量:3t
(2)冷却水の平均水質
pH:8.7
電気伝導率:900μs/cm
酸消費量(pH4.8):250mgCaCO3/L
全硬度:420mgCaCO3/L
カルシウム濃度:190mgCaCO3/L
シリカ濃度:150mgSiO2/L
塩素イオン濃度:58mgCl-/L
総菌数:約106個/ml
(3)電解装置
図1の活性種製造用電解装置を使用した。金属電極は、厚さ1mm、幅500mm、長さ600mmの多孔性チタン板(チタンラス)の表面を酸化イリジウムと白金で被覆(被覆厚さ1μm)した電極4枚を使用し、4枚の金属電極は3枚の厚さ2mmの額縁状スペーサーで電気絶縁し、金属電極構造体とした。この金属電極構造体2台を処理チャンバー中に積層した。
隔壁は厚さ5mmの塩ビ樹脂製とし、縦80cm、横80cm、高さ100cmの角筒状に成形して前記金属電極構造体を囲むようにした。
冷却塔内の冷却塔水を被処理水供給口から5t/hrで電解装置に供給した。
(4)電気化学的水処理条件
直流電源を使用し、最大出力電流DC24A、最大出力電圧40Vとなるように極性を反転させながら通電し、通電時間はプラス、マイナス共25分とした。
前記電解装置に供給される原料水は、市販の精製塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解(0.1g/L)し、1L/分で供給した。
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、6ヶ月後、及び12ケ月後の総菌数を測定したところ、開始前は106個/ml、それ以外は102個/ml以下であった。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。又取り出された処理水中の白金及びイリジウム含有量はゼロであった。更に電解装置内の金属電極表面へのスケール析出量もゼロであった。
図1の活性種製造用電解装置を使用した。金属電極は、厚さ1mm、幅500mm、長さ600mmの多孔性チタン板(チタンラス)の表面を酸化イリジウムと白金で被覆(被覆厚さ1μm)した電極4枚を使用し、4枚の金属電極は3枚の厚さ2mmの額縁状スペーサーで電気絶縁し、金属電極構造体とした。この金属電極構造体2台を処理チャンバー中に積層した。
隔壁は厚さ5mmの塩ビ樹脂製とし、縦80cm、横80cm、高さ100cmの角筒状に成形して前記金属電極構造体を囲むようにした。
冷却塔内の冷却塔水を被処理水供給口から5t/hrで電解装置に供給した。
(4)電気化学的水処理条件
直流電源を使用し、最大出力電流DC24A、最大出力電圧40Vとなるように極性を反転させながら通電し、通電時間はプラス、マイナス共25分とした。
前記電解装置に供給される原料水は、市販の精製塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解(0.1g/L)し、1L/分で供給した。
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、6ヶ月後、及び12ケ月後の総菌数を測定したところ、開始前は106個/ml、それ以外は102個/ml以下であった。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。又取り出された処理水中の白金及びイリジウム含有量はゼロであった。更に電解装置内の金属電極表面へのスケール析出量もゼロであった。
[比較例1]
隔壁を設けなかったこと以外は実施例1と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後の総菌数を測定したところ、開始前は106個/ml、1ヶ月後及び2ヶ月後は102個/mlであったが、3ヶ月後には103個/mlに上昇していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。
3ヶ月経過後に運転を停止し、金属電極に付着した硬度成分量を測定したところ、230g(乾燥総重量)であった。
隔壁を設けなかったこと以外は実施例1と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後の総菌数を測定したところ、開始前は106個/ml、1ヶ月後及び2ヶ月後は102個/mlであったが、3ヶ月後には103個/mlに上昇していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。
3ヶ月経過後に運転を停止し、金属電極に付着した硬度成分量を測定したところ、230g(乾燥総重量)であった。
[実施例2]
温泉水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)原泉
原泉貯水タンクの貯水量:100t
平均使用量:20t/hr
(2)原泉の水質
pH:7.8
電気伝導率:1464μs/cm
酸消費量(pH4.8):555mgCaCO3/L
全硬度:380mgCaCO3/L
カルシウム濃度:190mgCaCO3/L
シリカ濃度:66mgSiO2/L
塩素イオン(Cl-)濃度:141mg/L
鉄濃度:0.08mg/L
温泉水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)原泉
原泉貯水タンクの貯水量:100t
平均使用量:20t/hr
(2)原泉の水質
pH:7.8
電気伝導率:1464μs/cm
酸消費量(pH4.8):555mgCaCO3/L
全硬度:380mgCaCO3/L
カルシウム濃度:190mgCaCO3/L
シリカ濃度:66mgSiO2/L
塩素イオン(Cl-)濃度:141mg/L
鉄濃度:0.08mg/L
(3)電解装置
金属電極構造体を3台使用したこと以外は、実施例1と同じ電解装置を使用した。
(4)電気化学的水処理条件
直流電源を使用し、電解部3台は直列に電気配線し、最大出力電流DC24A、最大出力電圧40Vとなるように極性を反転させながら通電し、通電時間はプラス、マイナス共25分とした。
前記電解槽に供給される地下水には、市販の精製塩化ナトリウムを溶解(0.5g/L)し、10L/分で供給した。
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、浴槽給水の一般生菌数を、寒天培地培養JIS法で測定した結果、開始前は126個/mlで、開始後は菌は検出できなかった。1ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の測定でも同様に検出できなかった。又取り出された処理水中の白金及びイリジウム含有量はゼロであった。更に電解槽中の金属電極表面へのスケール析出量もゼロであった。
金属電極構造体を3台使用したこと以外は、実施例1と同じ電解装置を使用した。
(4)電気化学的水処理条件
直流電源を使用し、電解部3台は直列に電気配線し、最大出力電流DC24A、最大出力電圧40Vとなるように極性を反転させながら通電し、通電時間はプラス、マイナス共25分とした。
前記電解槽に供給される地下水には、市販の精製塩化ナトリウムを溶解(0.5g/L)し、10L/分で供給した。
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、浴槽給水の一般生菌数を、寒天培地培養JIS法で測定した結果、開始前は126個/mlで、開始後は菌は検出できなかった。1ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の測定でも同様に検出できなかった。又取り出された処理水中の白金及びイリジウム含有量はゼロであった。更に電解槽中の金属電極表面へのスケール析出量もゼロであった。
[比較例2]
隔壁を設けなかったこと以外は実施例2と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この結果、測定された一般生菌数は、開始前は126個/mlで、開始直後は27個/ml、1ヶ月後は36個/ml、6ヶ月後は18個/ml、12ヶ月後は24個/mlであった。
12ヶ月経過後に運転を停止し、金属電極に付着した硬度成分量を測定したところ、510g(乾燥総重量)であった。
隔壁を設けなかったこと以外は実施例2と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この結果、測定された一般生菌数は、開始前は126個/mlで、開始直後は27個/ml、1ヶ月後は36個/ml、6ヶ月後は18個/ml、12ヶ月後は24個/mlであった。
12ヶ月経過後に運転を停止し、金属電極に付着した硬度成分量を測定したところ、510g(乾燥総重量)であった。
[実施例3]
酢酸を含有する半導体スクラバーのタンク貯水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)スクラバー装置
保有水量:3t
循環水量:700L/min
補給水量:20L/min
(2)保有水の平均水質
pH:3.2
電気伝導率:761μs/cm
全硬度(CaCO3):185mg/L
塩化物イオン(Cl-):64mg/L
全リン(PO4 3-):2mg/L
酢酸:35mg/L
総菌数:約104個/ml
酢酸を含有する半導体スクラバーのタンク貯水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)スクラバー装置
保有水量:3t
循環水量:700L/min
補給水量:20L/min
(2)保有水の平均水質
pH:3.2
電気伝導率:761μs/cm
全硬度(CaCO3):185mg/L
塩化物イオン(Cl-):64mg/L
全リン(PO4 3-):2mg/L
酢酸:35mg/L
総菌数:約104個/ml
(3)電解装置
金属電極構造体を1台使用したこと以外は実施例1と同じ電解装置を使用した。
(4)電気化学的水処理条件
最大出力電流:30A
最大出力電圧:40V
原料水の種類:工業用水(NaClの添加無し)
原料水の流量:15L/min
タンク貯水の循環水量:4t/hr
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、6ヶ月後、及び12ケ月後の総菌数を測定したところ、開始前は104個/ml、それ以外は102個/ml以下であり、電解部を流れる電流は30Aで安定していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。
12ヶ月後に金属電極を取り出して観察したところ、使用前と同じイリジウム、白金の被覆色を呈し、被覆厚さは僅か10〜20%減少している程度であった。
金属電極構造体を1台使用したこと以外は実施例1と同じ電解装置を使用した。
(4)電気化学的水処理条件
最大出力電流:30A
最大出力電圧:40V
原料水の種類:工業用水(NaClの添加無し)
原料水の流量:15L/min
タンク貯水の循環水量:4t/hr
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、6ヶ月後、及び12ケ月後の総菌数を測定したところ、開始前は104個/ml、それ以外は102個/ml以下であり、電解部を流れる電流は30Aで安定していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。
12ヶ月後に金属電極を取り出して観察したところ、使用前と同じイリジウム、白金の被覆色を呈し、被覆厚さは僅か10〜20%減少している程度であった。
[比較例3]
隔壁を設けず、原料水を流さなかったこと以外は実施例3と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、2ヶ月、3ケ月後の装置出口の総菌数を測定したところ、開始前は104個/ml、1ヶ月後は103個/ml、2ヵ月後及び3ヶ月後は共に104個/mlに上昇していた。
電解部を流れる電流は開始時は30Aであったが、1ケ月後には20A、2ケ月後には9A、3ケ月後には5Aに低下していた。
3ヶ月後に電解部を取り出し金属電極を取り出して観察したところ、開始時のイリジウム、白金色はほとんど認められず、チタン基材の色を呈していた。念の為、被覆厚さを測定したところ、ほとんどゼロであった。
隔壁を設けず、原料水を流さなかったこと以外は実施例3と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、2ヶ月、3ケ月後の装置出口の総菌数を測定したところ、開始前は104個/ml、1ヶ月後は103個/ml、2ヵ月後及び3ヶ月後は共に104個/mlに上昇していた。
電解部を流れる電流は開始時は30Aであったが、1ケ月後には20A、2ケ月後には9A、3ケ月後には5Aに低下していた。
3ヶ月後に電解部を取り出し金属電極を取り出して観察したところ、開始時のイリジウム、白金色はほとんど認められず、チタン基材の色を呈していた。念の為、被覆厚さを測定したところ、ほとんどゼロであった。
[実施例4]
シアンを含有するメッキ用回収純水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)回収純水
平均水量:10t/hr
(2)回収純水の水質
pH:7.9
電気伝導率:16μs/cm
シアン濃度:23mg/L
(3)電解装置
金属電極枚数2枚、スペーサー枚数1枚、スペーサー厚さ1mmの電極構造体1台とした以外は実施例1と同じ電解装置を使用した。
(4)電気化学的水処理条件
直流電源を使用、最大出力電流を15Aに、最大出力電圧を80Vになるように極性を反転させながら通電し、通電時間はプラス、マイナス共60分とした。
前記電解装置に供給される原料水はシアンイオンを含まない平均電気伝導率が10μs/cmの回収純水を5t/hrで供給した。この原料水にはNaClを添加しなかった。
シアンを含有するメッキ用回収純水の殺菌処理を次の条件で行った。
(1)回収純水
平均水量:10t/hr
(2)回収純水の水質
pH:7.9
電気伝導率:16μs/cm
シアン濃度:23mg/L
(3)電解装置
金属電極枚数2枚、スペーサー枚数1枚、スペーサー厚さ1mmの電極構造体1台とした以外は実施例1と同じ電解装置を使用した。
(4)電気化学的水処理条件
直流電源を使用、最大出力電流を15Aに、最大出力電圧を80Vになるように極性を反転させながら通電し、通電時間はプラス、マイナス共60分とした。
前記電解装置に供給される原料水はシアンイオンを含まない平均電気伝導率が10μs/cmの回収純水を5t/hrで供給した。この原料水にはNaClを添加しなかった。
(5)結果
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、6ヶ月後、12ケ月後の総菌数を測定したところ、開始前は103個/mlであったが、1ケ月後、6ヶ月後、12ケ月後は共に102個/ml以下に低下していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。電解部に流れる電流は15Aで安定していた。
12ヶ月後に金属電極を取り出して観察したところ、使用前と同じイリジウム、白金の被覆色を呈し、被覆厚さはほとんど変化が認められなかった。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、6ヶ月後、12ケ月後の総菌数を測定したところ、開始前は103個/mlであったが、1ケ月後、6ヶ月後、12ケ月後は共に102個/ml以下に低下していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。電解部に流れる電流は15Aで安定していた。
12ヶ月後に金属電極を取り出して観察したところ、使用前と同じイリジウム、白金の被覆色を呈し、被覆厚さはほとんど変化が認められなかった。
[比較例4]
隔壁を設けず、原料水を流さなかったこと以外は実施例4と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、2ヶ月、3ケ月後の装置出口の総菌数を測定したところ、開始前は103個/ml、1ヶ月後は102個/mlに低下したが、2ヵ月後、3ヶ月後は103個/mlに上昇していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。
電解部を流れる電流は開始時は15Aであったが、1ヵ月後には12Aに、2ヵ月後には6Aに、3ヵ月後には2Aに低下していた。
3ヶ月後に電解部を取り出し金属電極を取り出して観察したところ、開始時のイリジウム、白金色はほとんど認められず、チタン基材の色を呈していた。念の為、被覆厚さを測定したところ、ゼロであった。
隔壁を設けず、原料水を流さなかったこと以外は実施例4と同じ条件で被処理水の電気化学的処理を行った。
この条件で被処理水の電気化学的処理を行い、開始前、開始後1ケ月後、2ヶ月、3ケ月後の装置出口の総菌数を測定したところ、開始前は103個/ml、1ヶ月後は102個/mlに低下したが、2ヵ月後、3ヶ月後は103個/mlに上昇していた。なお一般生菌数の測定は寒天培地培養JIS法に依った。
電解部を流れる電流は開始時は15Aであったが、1ヵ月後には12Aに、2ヵ月後には6Aに、3ヵ月後には2Aに低下していた。
3ヶ月後に電解部を取り出し金属電極を取り出して観察したところ、開始時のイリジウム、白金色はほとんど認められず、チタン基材の色を呈していた。念の為、被覆厚さを測定したところ、ゼロであった。
11 電気化学的水処理チャンバー
12 隔壁
13 電解部
14 被処理水流通部
16 原料水供給管
17 被処理水供給口
23 金属電極
24 スペーサー
25 金属電極構造体
26 チャンバー本体
27 処理水取出口
29 接触処理部
12 隔壁
13 電解部
14 被処理水流通部
16 原料水供給管
17 被処理水供給口
23 金属電極
24 スペーサー
25 金属電極構造体
26 チャンバー本体
27 処理水取出口
29 接触処理部
Claims (13)
- 金属電極で原料水を電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させ、この電解水により被処理水を接触処理する電気化学的水処理方法において、単一装置内で、前記原料水と前記被処理水を接触させずに前記電解水を生成させることを特徴とする電気化学的水処理方法。
- 金属電極で原料水を電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させ、この電解水により被処理水を接触処理する電気化学的水処理方法において、単一装置内で、前記被処理水を前記金属電極に接触させずに前記電解水を生成させることを特徴とする電気化学的水処理方法。
- 活性種が、次亜塩素酸イオン、オゾン、過酸化水素及び活性酸素から選択される少なくとも一種である請求項1又は2記載の電気化学的水処理方法。
- 被処理水が、スクラバー水、クーリングタワー水、洗浄水、温泉水、漁業用水及び工場循環水から選択される少なくとも一種である請求項1から3までのいずれか1項に記載の電気化学的水処理方法。
- 金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、被処理水が流通する被処理水流通部、前記電解部と前記被処理水流通部を区画する隔壁、及び電解部の下流側で前記電解水が前記被処理水と接触する接触処理部を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置。
- 隔壁の少なくとも一部が電気絶縁性材料により形成された請求項5に記載の電気化学的水処理装置。
- 処理チャンバーが導電性材料で形成された請求項6に記載の電気化学的水処理装置。
- 金属電極を隔壁で囲み、該隔壁内部に電解部を、前記隔壁と処理チャンバー内壁間に被処理水流通部を形成した請求項5から7までのいずれか1項に記載の電気化学的水処理装置。
- 処理チャンバー内を平板状の隔壁で2分割し、一方に電解部を他方に被処理水流通部を形成した請求項5から7までのいずれか1項に記載の電気化学的水処理装置。
- 隔壁の接触処理部側端部を電解部側に向けて傾斜させた請求項5から9までのいずれか1項に記載の電気化学的水処理装置。
- 金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、該電解部の下流側に連設されかつ前記電解部出口から前記電解水が供給され更に前記電解部以外から被処理水が供給されて互いに接触する接触処理部を含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置。
- 金属電極を有し、供給される原料水を前記金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、及び該電解部の下流側に位置し、被処理水が供給されるともに、前記電解水が供給されて互いに接触する接触処理部を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置。
- 金属電極を有し水を当該金属電極により電解して殺菌能力を有する活性種を含有する電解水を生成させる電解部、被処理水が流通する被処理水流通部、電解部の下流側で前記電解水が前記被処理水と接触する接触処理部、及び前記電解部と前記被処理水流通部を区画しかつ前記接触処理部側に開口する隔壁を、処理チャンバー内に含んで成ることを特徴とする電気化学的水処理装置。
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