JPH10128334A - 水処理装置及び方法とそれに用いる複極式固定床型電極電解槽とアース電極の設置方法 - Google Patents

水処理装置及び方法とそれに用いる複極式固定床型電極電解槽とアース電極の設置方法

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JPH10128334A
JPH10128334A JP8289816A JP28981696A JPH10128334A JP H10128334 A JPH10128334 A JP H10128334A JP 8289816 A JP8289816 A JP 8289816A JP 28981696 A JP28981696 A JP 28981696A JP H10128334 A JPH10128334 A JP H10128334A
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electrolytic cell
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Takashi Murakami
隆 村上
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複極式固定床型電極電解槽を用いる被処理水
中の微生物等を電気化学的に処理する方法において、制
菌効率に優れ、流量低下が少なく、又耐久性に優れる電
解槽及び処理方法を提供する。 【解決手段】 複極式固定床型電極に被処理水を通過さ
せて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を
含む水処理装置において、該電解槽は入水系及び出水系
の2つの被処理水の通水口を有し、入水系の通水口と出
水系の通水口を切り替え、電解槽を通る被処理水の流れ
る方向を逆方向に通水することができることを特徴とす
る複極式固定床型電極電解槽を含む水処理装置及びその
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物を含有する
被処理水の殺菌及び被処理水中の不純物の回収・除去に
用いられる複極式固定床型電極電解槽に関し、処理効率
を向上させるとともに、電解による多孔質電極の閉塞を
防止・回復する方法、耐久性を向上させる方法などに関
する。
【0002】
【従来の技術】現在、我々が生活をする上で様々な種類
の水が使用されている。例えば、井戸水、水道水、工業
用水、純水、超純水、浴槽水、プール水などである。
又、使用された水は工業排水或いは生活排水となる。或
いは、各種産業においていろいろな物質を含有する水が
利用されている。これらの水溶液等は溶質が適度な養分
を提供し、或いは該水溶液の液温が繁殖に好ましい温度
であると、細菌等の微生物が繁殖し、前記水等の性能劣
化を起こしたり、様々な悪影響を及ぼすことが知られて
いる。また、工場排水などには様々な不純物が含まれて
おり、環境汚染防止のための不純物除去或いは有用物質
の回収が行われている。
【0003】例えば写真感光材料は画像露光の後、ペー
パー感光材料処理の場合は、発色現像、漂白定着、水洗
及び/又は安定化の処理工程を経て処理され次いで乾燥
される。そしてこのような写真処理工程においては、発
色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗
水等の各種写真処理液が使用されているが、前記感光材
料はゼラチン質を含有し微生物繁殖に適した環境を提供
するため、前記写真処理液中に混入した微生物が繁殖し
て感光材料処理の効率を低下させるとともに得られるプ
リントに色むらが生じたり黴発生等により画像が汚染す
るという欠点が生じている。
【0004】この微生物繁殖による写真処理液の劣化の
抑制は、従来から防黴剤の投入等により前記微生物を殺
菌して性能を賦活する方法が主流である。しかし、この
方法では添加する防黴剤が多量に必要となり、かつ該防
黴剤が写真処理液や前記感光材料中に残留し易くなり、
感光材料に悪影響を及ぼすことがある。又前記防黴剤の
多くは人体に対して無害とは言い難く、種々の法規制の
下に管理された状態でなければその使用が困難である。
又、このように選択した防黴剤も暫くするとその防黴剤
に対する抗菌が発生することがあり、再度この抗菌に対
して防黴剤を選択するという煩わしい問題が生ずる。
【0005】また、プールに使用される水には人体に有
害な細菌類等の微生物が数多く生息し、該プール水は利
用者の眼や傷などに直接接触して疾患を生じさせる可能
性が高いため、プール水には次亜塩素酸ソーダ等の薬剤
を投入して消毒を行って疾患の発生を防止している。し
かしながら塩素系試薬は分解するため永続使用すること
が出来ず毎日のようにプール水に添加を続ける必要があ
り、かつプールに使用される水の量は莫大なものである
ため、使用する薬剤のコストも大きな負担となってい
る。
【0006】また近年の情報化社会の進展により各種紙
類特に高質紙の需要が増大している。この紙類は製紙用
パルプから各種工程を経て製造されるが、この工程中に
製紙前のパルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程が
ある。該パルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分
を含むため、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や
細菌が多量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の
性能の劣化が生ずる。
【0007】従って、この洗浄工程で使用される莫大な
量の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最終製品
の性能劣化を極力防止するようにしている。しかしこの
方法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだけでな
く前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細菌類に
起因する性能劣化とは別の性能劣化を来すという問題点
がある。
【0008】更に近年におけるマンション等の集合住宅
或いは多数の企業が集合して形成されるビル等の建築物
の増加に伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設備
の設置台数も飛躍的に増加している。このような多数の
冷暖房設備が設置されているマンションやビル等では、
通常該冷暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えばクー
リングタワーがその屋上に設置されている。この熱交換
器設備の冷却水も長期間使用を継続すると黴やレジオネ
ラ菌など細菌類等の微生物が繁殖し、前記熱交換器の熱
交換面に析出して熱交換性能を悪化させたり、微生物が
塊状に発生して配管等を閉塞することもある。又、多量
に発生する微生物の廃棄物により配管や機器に腐食等の
重大な問題を引き起こすことがある。
【0009】更に近年の家庭用24時間風呂の普及や温
泉ブームから浴場水の使用量が増大しているが、該浴場
水は40℃前後の微生物が最も繁殖し易い温度であるた
め、入浴に使用せずに単に放置しておくだけでも微生物
が急速に繁殖して汚染され、使用を継続出来なくなり、
入浴を繰り返すと人体の垢等が浮遊してこの傾向はより
顕著になる。例えばレジオネラ菌などの有害な細菌や、
繁殖した微生物は微小であるため濾過操作では除去しに
くく、特に銭湯などではその使用量が膨大であるため、
汚染された浴場水の再生を簡単な処理操作で行うことが
出来れば大幅なコストダウンが可能になる。
【0010】更に各種魚類資源として海や川に繁殖して
いる天然の魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類
が注目され、養殖魚が市場に数多く供給されている。養
殖場におけるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に
含まれる細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、或いは魚
類に付着してその商品価値を低下させる等の悪影響を及
ぼす。これを抑制するために殺菌剤や防黴剤等、各種薬
剤が前記養魚用水へ多量に添加され、更に前記薬剤によ
る魚類の損傷を最小限に抑えるためにビタミン剤等の多
量の栄養剤が魚類に投与され、その上に餌が与えられ
る。従って養殖場等で飼育される魚類は餌の量に比較し
て人工的に投与される各種薬剤、ビタミン剤の添加量が
多く、防黴剤や殺菌剤が魚類の体内に蓄積して人体に有
害な各種薬剤で汚染された魚類が市場に供給されること
になる。
【0011】更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水され
た水を浄水場で消毒処理した後、各家庭や飲食店等に上
水道を通して供給される。飲料水の前記消毒は塩素によ
る処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料水の
消毒は比較的良好に行われる反面、カルキ臭のために天
然の水の有するまろやかさが損なわれるという欠点が生
ずる。又、最近クリプト菌、ジオディア菌などの原虫類
による汚染が課題となっている。
【0012】以上のような欠点のない水処理法として、
例えば、特開平3−224686号、同4−27488
号等に開示されている電気化学的に処理する方法があ
る。この方法によると、特殊な薬品等を使わず、大量の
水を処理することができる。しかし、これらの方法にお
いて、処理効率の向上及び炭素電極の閉塞を改善する方
法、通水停止中の菌の増殖防止が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、複極
式固定床型電極電解槽を用いる被処理水中の微生物を電
気化学的に処理する方法において、被処理水中の異物な
どによる電極の閉塞を改善し、耐久性も向上させる方法
を提供することを目的としている。
【0014】又、運転停止中の電解槽内の菌の増殖を防
止する方法を提供することを目的としている。
【0015】更に、微生物の除去・殺菌効率の高い複極
式固定床型電極電解槽及びそれを用いた水処理方法及び
装置を提供することを目的としている。
【0016】そして、複極式固定床型電極電解槽の被処
理水の処理可能な範囲を広くすることができる電解処理
方法を提供することも目的としている。
【0017】また、複極式固定床型電極電解槽の組立を
容易にするための方法を提供することも目的としてい
る。
【0018】さらに、複極式固定床型電極電解槽の耐圧
性及び耐久性を向上するための方法を提供することも目
的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0020】(1) 複極式固定床型電極に被処理水を
通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電
解槽を含む水処理装置において、該電解槽は入水系及び
出水系の2つの被処理水の通水口を有し、入水系の通水
口と出水系の通水口を切り替え、電解槽を通る被処理水
の流れる方向を逆方向に通水することができることを特
徴とする複極式固定床型電極電解槽を含む水処理装置。
【0021】(2) 複極式固定床型電極に被処理水を
通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電
解槽を含む水処理装置をもちいる水処理方法において、
該電解槽は入水系及び出水系の2つの被処理水の通水口
を有し、入水系の通水口と出水系の通水口を切り替え、
電解槽を通る被処理水の流れる方向を逆方向に通水する
ことができる複極式固定床型電極電解槽を含む水処理装
置を用い、該電解槽内の通水方向を定期的もしくは任意
に変更することを特徴とする水処理方法。
【0022】(3) 複極式固定床型電極に被処理水を
通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電
解槽を含む水処理装置が、該電解槽の被処理水の2つの
通水口を配管でループ状に接続し、この配管経路上に少
なくとも2つの3方弁もしくは3方コックを設け、該3
方弁もしくは3方コックの間に該ループ状配管から分岐
した出水系を設け、1つの送水手段より分岐した配管を
前記2つの3方弁もしくは3方コックへ各々接続させた
入水系を含むことを特徴とする(1)記載の複極式固定
床型電極電解槽を含む水処理装置。
【0023】(4) 複極式固定床型電極に被処理水を
通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電
解槽を含む水処理装置を用いる水処理方法において、該
電解槽の被処理水の2つの通水口を配管でループ状に接
続し、この配管経路上に少なくとも2つの3方弁もしく
は3方コックを設け、該3方弁もしくは3方コックの間
に該ループ状配管から分岐した出水系を設け、1つの送
水手段より分岐した配管を前記2つの3方弁もしくは3
方コックへ各々接続させた入水系を含む複極式固定床型
電極電解槽を含む水処理装置を用い該2つの3方コック
を略同時に切り換えて、該電解槽内の通水方向を定期的
もしくは任意に変更することを特徴とする(2)記載の
水処理方法。
【0024】(5) 被処理水を固定床型電極を通過さ
せて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
を含む水処理装置において、該複極式固定床型電極電解
槽の2つの被処理水の通水口(A側、B側)を配管でル
ープ状に接続し、この配管経路上に少なくとも1つの4
方弁もしくは4方コックを設け、該4方弁もしくは4方
コックは、入水系、出水系及び該電解槽の被処理水の2
つの通水口へ接続されており、入水系からの被処理水を
該電解槽のA側(入口)に送水し、かつ該電解槽のB側
(出口)からの被処理水を出水系へと送水するような状
態1と入水系からの被処理水を該電解槽のB側(入口)
に送水し、かつ該電解槽のA側(出口)からの被処理水
を出水系へと送水するような状態2に変更できるように
配置したことを特徴とする(1)記載の複極式固定床型
電極電解槽を含む水処理装置。
【0025】(6) 被処理水を固定床型電極を通過さ
せて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
を含む水処理装置が、該複極式固定床型電極電解槽の2
つの被処理水の通水口(A側、B側)を配管でループ状
に接続し、この配管経路上に少なくとも1つの4方弁も
しくは4方コックを設け、該4方弁もしくは4方コック
は、入水系、出水系及び該電解槽の被処理水の2つの通
水口へ接続されており、入水系からの被処理水を該電解
槽のA側(入口)に送水し、かつ該電解槽のB側(出
口)からの被処理水を出水系へと送水するような状態1
と、入水系からの被処理水を該電解槽のB側(入口)に
送水し、かつ該電解槽のA側(出口)からの被処理水を
出水系へと送水するような状態2に変更できるように配
置した水処理装置をもちい、該4方弁もしくは4方コッ
クを切り換えて、該電解槽内の通水方向を定期的にもし
くは任意に変更することを特徴とする(2)記載の水処
理方法。
【0026】(7) 前記3方弁もしくは3方コックと
送水手段との間に前段フィルターを設け、2つの該3方
弁もしくは3方コックの間から分岐した出水系上に後段
フィルターを設けたことを特徴とする(3)記載の水処
理装置。
【0027】(8) 前記4方弁もしくは4方コックと
送水手段との間に前段フィルターを設け、該4方弁もし
くは4方コックからの出水系上に後段フィルターを設け
たことを特徴とする(5)記載の水処理装置。
【0028】(9) 被処理水の処理中の電解槽通過水
の流量もしくは電解槽の圧力損失を測定し、流量の低下
もしくは圧力損失の上昇が検出されたときに、通水方向
を変更することを特徴とする(4)又は(6)記載の水
処理方法。
【0029】(10) 前記通水方向を変更した際に、
電解槽の下流側に設けたバルブから、被処理水を排水す
ることを特徴とする(4)、(6)又は(9)記載の水
処理方法。
【0030】(11) 被処理水を複極式固定床型電極
を通過させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電
極電解槽において、固定床に銀担持炭素電極を用いるこ
とを特徴とする複極式固定床型電極電解槽。
【0031】(12) 被処理水を複極式固定床型電極
を通過させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電
極電解槽において、1つの固定床が複数の積層された炭
素電極からなり、少なくともその中央に配置した炭素電
極に銀担持炭素電極を用いたことを特徴とする複極式固
定床型電極電解槽。
【0032】(13) 被処理水を複極式固定床型電極
を通過させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電
極電解槽において、固定床に銀担持炭素電極を用いるこ
とを特徴とする水処理方法。
【0033】(14) 一対の給電用電極間に、1つ以
上の貫通孔を有する複数の非多孔質電極板を有し、被処
理水を電解処理する複極式固定床型電極電解槽におい
て、非多孔質電極板の貫通孔が中心からはずれた位置に
あり、電解槽内に隣接されて配置された該非多孔質電極
板の貫通孔どうしの間隔が該電極板の直径の1/3以上
離れた位置にくるように配置されていることを特徴とす
る複極式固定床型電極電解槽。
【0034】(15) 1つ以上の貫通孔を有する複数
の非多孔質電極板を有し、被処理水を電解処理する複極
式固定床型電極電解槽において、略中央部に1つ以上の
貫通孔が設けられた非多孔質電極板と、周辺部に複数の
貫通孔が設けられた非多孔質電極板が隣接して交互に配
置された構造を含むことを特徴とする複極式固定床型電
極電解槽。
【0035】(16) 貫通孔の開口率が非多孔質電極
板の面積の0.5〜25%であることを特徴とする(1
4)又は(15)記載の複極式固定床型電極電解槽。
【0036】(17) (14)、(15)又は(1
6)記載の複極式固定床型電極電解槽を用い10mg/
l〜50g/lの塩素もしくは塩素イオンを含む被処理
水を処理することを特徴とする水処理方法。
【0037】(18) 被処理水を固定床型電極を通過
させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
槽において、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電
極及び多孔質電極を使用することを特徴とする複極式固
定床型電極電解槽。
【0038】(19) 被処理水を固定床型電極を通過
させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
槽において、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電
極及び多孔質電極を使用し、貫通孔を有する非多孔質電
極が多孔質電極の上流側に位置することを特徴とする
(18)記載の複極式固定床型電極電解槽。
【0039】(20) 被処理水を固定床型電極を通過
させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
槽において、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電
極及び多孔質電極を使用し、多孔質電極1段に対し、貫
通孔を有する非多孔質電極が0.1〜10段の割合で収
容されていることを特徴とする(18)記載の複極式固
定床型電極電解槽。
【0040】(21) 被処理水を固定床型電極を通過
させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
槽において、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電
極及び多孔質電極を使用し、貫通孔を有する非多孔質電
極と多孔質電極が略交互に配置されていることを特徴と
する(18)記載の複極式固定床型電極電解槽。
【0041】(22) 被処理水を複極式固定床型電極
を通過させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電
極電解槽を用いた水処理方法において、(14)、(1
5)又は(16)記載の複極式固定床型電極電解槽を用
いて、遊泳用プールの水を循環処理することを特徴とす
る水処理方法。
【0042】(23) (14)、(15)又は(1
6)記載の複極式固定床型電極電解槽を用いて、被処理
水を処理する水処理方法において、被処理水に海水を適
宜添加して処理することを特徴する水処理方法。
【0043】(24) 複極式固定床型電極に被処理水
を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
電解槽を含む水処理装置を用いた水処理方法において、
あらかじめ設定された電圧で定電圧電解処理を行い、水
質などの変動に応じて電流値が設定値を越えた場合、電
圧を低下させて電解処理を継続することを特徴する水処
理方法。
【0044】(25) 複極式固定床型電極に被処理水
を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
電解槽を含む水処理装置を用いた水処理方法において、
あらかじめ設定された電圧で定電圧電解処理を行う際、
電極板の断面積あたりの電流密度が100〜2000m
A/dm2となるように電圧値を設定することを特徴す
る(24)記載の水処理方法。
【0045】(26) 断面積200cm2以上の複極
式固定床型電極に2.0kgf/cm2以上の水圧で被
処理水を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床
型電極電解槽において、固定床電極を絶縁離間させるス
ペーサーに非弾性体を使用し、該固定床電極端部に弾性
体からなるガスケットを用いることを特徴とする複極式
固定床型電極電解槽。
【0046】(27) 複極式固定床型電極に被処理水
を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
電解槽において、一対の給電用電極の付近にそれぞれア
ース用電極を設置する際に、アース用電極を給電用電極
間に設置されている各固定床間の距離の総和の3倍以上
離れた位置に設置することを特徴とするアース電極の設
置方法。
【0047】(28) 複極式固定床型電極に被処理水
を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
電解槽において、一対の給電用電極の付近にそれぞれア
ース用電極を設置する際に、2つのアース用電極からの
配線上に抵抗を設け、これを接続してアースすることを
特徴とするアース電極の設置方法。
【0048】(29) 複極式固定床型電極に被処理水
を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
電解槽において、被処理水の出口及び入口の配管を導電
性素材とし、該配管を給電用電極と電気的に接続し、該
配管に電圧を印加することにより、電解することを特徴
とする複極式固定床型電極電解槽。
【0049】(30) 複極式固定床型電極に被処理水
を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
電解槽において、ガスケットで端部のリークを防止しつ
つ固定床電極を収容する電解槽容器の内壁面を旋盤で加
工して平滑度を低くし、この電解槽容器を用いて組み立
てたことを特徴とする複極式固定床型電極電解槽。
【0050】以下本発明を詳細に説明する。
【0051】本発明の複極式固定床型電極電解槽は一対
の給電用板状電極好ましくはメッシュ状の電極間に1以
上好ましくは3〜15の多孔質電極もしくは通水可能な
1つ以上の貫通孔を有する非多孔質電極からなる固定床
を配置し、前記の一対の給電用電極に直流電圧又は10
Hz以下の交流を印加することによって、固定床を分極
させ、この固定床に被処理水を通して、電解処理するこ
とにより細菌、ウィルス、原虫などの微生物の除去・殺
菌を行う水処理装置である。或いは被処理水中の金属成
分の回収や不純物の電気化学的分解除去にも利用できる
ものである。多孔質電極としてはポーラスカーボングラ
ファイト、貫通孔を有する非多孔質電極としては黒鉛
板、グラシーカーボン、あるいは金属板などが好ましく
用いられる。
【0052】従来の複極式固定床型電極電解槽は主に多
孔質の電極板を用いるために、目詰まりしやすいという
問題があった。そこで、この点を改善するため鋭意検討
を進め、本発明を完成するに至った。
【0053】すなわち本発明は、固定床型三次元電極に
被処理水を通過させて電気化学的に処理する複極式固定
床型電極電解槽を含む水処理装置において、該電解槽の
2つの被処理水の通水口(入口と出口)を配管でループ
状に接続し、この配管経路上に少なくとも2つの3方弁
もしくは3方コックを設け、該3方弁もしくは3方コッ
クの間に該ループ状配管から分岐させた出水系を設け、
1つの送水手段より分岐した配管を前記2つの3方弁も
しくは3方コックへ各々接続させた入水系を設けたこと
を特徴とする複極式固定床型電極電解槽を含む水処理装
置である。
【0054】一例を示すと、図1(1−1,1−2)に
示したような水処理装置である。すなわち、貯水タンク
100からポンプPで送水された被処理水は途中分岐さ
れて2つの3方弁もしくは3方コックV3,V4へと導
かれる構造となっている。図1の1−1ではV3を通過
した被処理水が電解槽ECのA側から入り、B側を出て
3方弁もしくは3方コックV4を通って、出水系へと導
かれる。ここで、前記2つの3方弁もしくは3方コック
V3,V4を切り換えることによって、電解槽内の被処
理水の通水方向を逆転させることができるのである。図
1の1−2ではV4を通過した被処理水が電解槽ECの
B側から入り、A側を出て3方弁もしくは3方コックV
3を通って、出水系へと導かれている。このように2つ
の3方弁もしくは3方コックを切り換えるだけで、電解
槽内の通水方向を逆転させることができ、電解槽内特に
最上流側に目詰まりしていた異物を逆洗によって除去す
ることが可能になり、これによって目詰まりが著しく減
少させることができるのである。
【0055】通水方向の逆転はタイマー等を利用して定
期的に反転させることが目詰まり防止には有効である
が、経路上に設置された圧力計PGによる水圧の上昇、
あるいは流量計FRによる流量の低下を検出したとき逆
転させると効果的である。逆転は手動で行っても良い
が、自動的に行なうことが望ましい。そのため、3方弁
もしくは3方コックは電磁弁で自動的に切り換えられる
ことが望ましい。又、3方弁もしくは3方コックの切り
換え時の瞬間的な水圧上昇を防止するため、切り換え時
にポンプPの送水能力を落とすあるいは、別途排水弁を
設けて水圧上昇を防止することが望ましい。
【0056】もちろん、本発明は図1に示されてるよう
な貯水タンク100の被処理水を1回もしくは複数回処
理する方法だけでなく、例えば水道水などの既に加圧さ
れている水をポンプを使用することなく、電解槽ECへ
と送水して処理することもできる。
【0057】通水方向を逆転させる時間間隔は水質に応
じて、及び10分〜10日間隔に1回の間隔で任意に設
定できるが、好ましくは1時間〜1日に1回の間隔で通
水方向を逆転させることが望ましい。
【0058】本発明の水処理装置の一例を図1に示した
が、好ましくは、入水系の分岐の前に前段フイルターF
1、出水系に後段フィルターF2を配置し、目詰まりし
ていた異物を除去できるようにする。さらに、この後段
フィルターの前に排水用3方弁もしくは3方コックV2
を設け、通水方向を逆転させた直後の水を系外に排出し
て、目詰まりしていた異物を系外に取り出すことが望ま
しい。V5は、系外に水を排出する別の弁又はコックて
ある。
【0059】本発明の別の態様では、2つの3方弁もし
くは3方コックの代わりに1つの4方弁もしくは4方コ
ックを用いることができる。その一例を図2(2−1,
2−2)に示した。すなわち、被処理水を固定床型電極
を通過させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電
極電解槽を含む水処理装置において、該複極式固定床型
電極電解槽の2つの被処理水の通水口(入口、出口)を
配管でループ状に接続し、この配管経路上に少なくとも
1つの4方弁もしくは4方コックV1を設け、該4方弁
もしくは4方コックは、入水系、出水系及び該電解槽E
Cの被処理水の2つの通水口へ接続されており、入水系
からの被処理水を該電解槽ECのA側(入口)に送水
し、かつ該電解槽のB側(出口)からの被処理水を出水
系へと送水するような状態1(2−1)と入水系からの
被処理水を該電解槽ECのB側(入口)に送水し、かつ
該電解槽のA側(出口)からの被処理水を出水系へと送
水するような状態2(2−2)に変更できるように配置
したことを特徴とする複極式固定床型電極電解槽を含む
水処理装置である。
【0060】2つの3方弁もしくは3方コックが1つの
4方弁もしくは4方コックでよいため、切り換え操作が
容易となる上に、メンテナンスも簡単で、部品数も少な
くなるが、基本的に、2つの3方弁もしくは3方コック
を用いた場合と同じである。
【0061】本発明の水処理装置及び水処理方法によっ
て、目詰まりの問題を著しく改善することができた。
【0062】本発明の別の態様は、固定床に銀担持炭素
電極を用いることを特徴とする複極式固定床型電極電解
槽である。すなわち、本発明の電解槽では主に固定床に
多孔質炭素電極(ポーラスカーボングラファイト)が用
いられている。これまで通水停止中にポーラスカーボン
グラファイト電極内部で細菌が増殖しやすく、制菌性能
が低下するという問題があった。そこで、この問題を解
決するために鋭意検討を行った結果、固定床に用いられ
ている電極板に銀を担持させることによって細菌の増殖
が抑制されることを確認した。銀は電極表面だけでなく
内部にも担持されていることが望ましく、特に1つの固
定床が複数の電極板を重ねてできている場合はその中央
に配置されている電極板に担持されていることが望まし
い。銀の担持方法は特に限定されないが、電解でメッキ
する方法、銀鏡反応を利用する方法、蒸着する方法、炭
素電極を銀化合物溶液に浸漬し、これを焼成もしくは還
元して作製する方法などが利用できる。
【0063】電解でメッキする方法及び蒸着する方法で
は主に電極表面に銀が担持されるため、この方法で担持
した電極板を複数枚積層して1つの固定床とすることが
望ましい。
【0064】一方、銀鏡反応で銀担持炭素電極を調製す
る場合、銀鏡反応の反応液を多孔質炭素電極内部に送液
することによって、多孔質炭素電極内部にも銀を担持さ
せることができる。
【0065】電解による銀の溶出が望ましくない場合
は、固定床を複数の炭素電極板で構成し、その中央部分
(厚み方向の略1/3〜2/3に相当する部分)にのみ
銀担持電極を用いることができる。
【0066】図3に本発明の銀担持電極を用いた固定床
型電極1の代表例を示した。
【0067】 3−1 銀担持カーボングラファイト(主に電極表面) 3−2 銀担持カーボングラファイト(全体) 3−3 銀担持カーボングラファイト(主に電極表面)を3層構成 3−4 銀担持カーボングラファイトを3層構成の中央のみに配置 3−5 銀担持カーボングラファイトを3層構成 電極板に担持されている銀は電解処理によって徐々に溶
解していくが、電極内部やガスケットなどで覆われてい
る電極端部や側面部、スペーサーが設置されている部分
などの分極が少ないあるいは分極していない部分は溶解
しにくく、長期間効果を発揮する(図4参照)。分極が
少ないあるいは分極していない部分はもともと電気的な
殺菌効果が低い部分であるため、銀の担持はそれを補う
ことができる極めて有効な方法であり、特に通水停止中
の電解槽内での細菌の増殖防止に有効である。
【0068】本発明の別の態様は、一対の給電用電極間
に、1つ以上の貫通孔を有する複数の非多孔質電極板を
有し、被処理水を電解処理する複極式固定床型電解槽に
おいて、非多孔質電極板の貫通孔が中心からはずれた位
置にあり、電解槽内に隣接されて配置された該非多孔質
電極板の各々の貫通孔の間隔が該電極板の直径の1/3
以上離れた位置にくるように配置されていることを特徴
とする電解槽である。
【0069】従来、多孔質炭素電極を使用した複極式固
定床型電極電解槽は被処理水中の異物による電極板の目
詰まりや、電極板の陽極酸化による崩壊による微細な炭
素粉の発生が問題であった。そこで、この問題を解決す
るため検討を重ねた結果、非多孔質電極板が有効である
ことが判明した。従来の多孔質電極を使用した複極式固
定床型電極電解槽では、被処理水中の微生物を電極に接
触あるいは吸着させ、次いで電解によって殺菌している
と考えられている。
【0070】非多孔質電極板では、主に被処理水中の塩
素イオンを殺菌性を有する次亜塩素酸などに変換し、こ
れによって殺菌していると考えられる。検討の結果次亜
塩素酸などの生成効率は多孔質炭素電極よりも非多孔質
電極板の方が高いことが判明した。特に、被処理水中の
塩素又は塩素イオン濃度が10mg/l〜50g/lが
好ましく、特に好ましくは50mg/l〜1g/lのと
き効率的に処理できる。例えば、100mg/mlの塩
化ナトリウム水溶液を処理すると電解槽通過後総残留塩
素2ppm以上の処理水を得ることができる。
【0071】ここでいう非多孔質電極板は、非多孔質
で、導電性を有する黒鉛やグラシーカーボンなどの炭素
材が好ましく利用できる。厚みは任意に選定できるが、
1mm〜10mmが使いやすい。又、陽極酸化による炭
素電極板の消耗を減らすために、炭素電極板の両面に金
属製の補助電極を設けることが望ましい。補助電極はチ
タンに白金等を被覆したものが好ましく用いられ、網状
もしくは穴を有する板状のものが好ましく用いられる。
【0072】複極式固定床型電極電解槽に非多孔質の炭
素電極板を用いる場合、筒状の電解槽容器の両端部に一
対の給電用電極を配置し、この間に複数の固定床となる
該炭素電極板を離間して設置する。ここで給電用電極に
電圧を印加することによって、各々の炭素電極板が分極
し、電気化学的反応によって殺菌性成分が生成される。
このとき、各炭素電極板で形成されている各電解室に被
処理水を通すため、炭素電極板には貫通孔を設ける必要
がある。流量を確保するためには、ある程度の開口率は
必要であるが、開口率が大きすぎると電解電流が流れに
くくなり、殺菌成分の生成が少なくなる。
【0073】貫通孔の開口率は黒鉛板の電極の場合、面
積の0.5〜25%が好ましく、特に1〜10%が望ま
しい。貫通孔の直径は任意に設定できるが、0.5〜5
mm程度が望ましい。特に、電極板の貫通孔が中心から
はずれた位置にあり、電解槽内に隣接されて配置された
該黒鉛板どうしが該黒鉛板の貫通孔の間が黒鉛板の直径
の1/3以上離れた位置にくるように配置されていると
効率的に被処理水を処理できる。
【0074】例えば、図5に示したように、円盤状の非
多孔質電極1″に1コの通水孔20を設け、この通水孔
が電解槽内で隣接して設置された非多孔質電極1″で互
い違いとなるように配置したものである。これによっ
て、効率的に被処理水を処理できることが明らかとなっ
た。
【0075】あるいは、図6に示したように中心部に1
つ以上の通水孔20が設けられた非多孔質電極1″と、
周辺部に複数の通水孔20が設けられた非多孔質電極
1″が隣接して交互に配置された構造の電解槽ECとす
ることもできる。こちらの電解槽ECは組立の際に位置
合わせなどの手間がかからない点で優れている。
【0076】その他の電解槽構成例として図7は、多孔
質電極のみによるもの、図8は銀担持多孔質電極を用い
たもの、図9には、2枚の多孔質電極とで銀担持多孔質
電極をサンドイッチした固定床型電極を用いた電解槽E
Cの例を示した。
【0077】本発明の電解槽ECは多量の水を処理する
ことが可能であり、被処理水の水質にもよるが得られる
処理水はpHは中性付近(pH5.5〜8.5)で、大
きな物性変化もなく、様々な用途に利用できる。特に遊
泳用プールの衛生管理に有用である。遊泳用プールでは
病原菌を殺すために高濃度の塩素剤を添加している。例
えば、遊泳用のプールでは衛生管理のために、遊離残留
塩素は0.4ppm以上(総残留塩素では1.0ppm
以上)であり、また1.0ppm以下が望ましいとされ
ている。この薬剤コストは大きな負担となっている。本
発明の電解槽を用いることによって、塩素剤が分解して
生成した塩素イオンから残留塩素を効率的に再生するこ
とができる。又、プールに限ったことではないが、被処
理水中の塩素イオン濃度が不足した場合、別途塩化物を
添加することも可能である。例えば被処理水に塩化物を
添加する場合、塩化物としては塩化ナトリウム(食塩)
が好ましい。地理的に海水が容易に入手できる場所で
は、海水を適宜濾過して添加することもでき、さらにコ
ストを低く抑えることが可能になる。あるいは他の塩化
物、塩酸あるいは、これらの混合物も好ましく用いられ
る。塩素イオン濃度や電解条件を制御することで、必要
な残留塩素濃度を容易に得ることができる。
【0078】図10に本発明の電解槽を遊泳用プール1
01に設置した例を示した。ここでは、メンテナンスの
ために2台の電解槽が設置されており、同時にあるいは
交互に運転できるようになっている。この場合は、本願
発明の装置では除去出来ない、土砂、人毛、その他のゴ
ミを除去するため、集毛器102、砂濾過器103、カ
ートリッジフィルター104も付いた構成を示した。
【0079】本発明の別の態様は、被処理水を複極式固
定床型電極を通過させて、電気化学的に処理する複極式
固定床型電極電解槽において、固定床型電極に貫通した
通水孔を有する非多孔質電極及び多孔質電極を使用する
ことを特徴とする複極式固定床型電極電解槽である。す
なわち、従来の多孔質電極と通水孔を有する非多孔質電
極を組み合わせることによって微生物の殺菌効率が向上
することが判明した。すなわち、多孔質電極では主に微
生物を吸着させた後に、電気化学的に殺菌するのに対
し、通水孔を有する非多孔質電極では主に水に含まれる
塩素イオンから次亜塩素酸などの殺菌性成分を生成し、
これによって微生物を殺菌するのである。両者を組み合
わせることによって単独で処理する以上に効率的に殺菌
できることが判明した。具体的には、1つの電解槽内に
通水孔を有する非多孔質電極からなる固定床と多孔質電
極からなる固定床を有する複極式固定床型電解槽であ
る。殺菌効率が向上する理由は明らかになっていない
が、通水孔を有する非多孔質電極からは次亜塩素酸など
の殺菌性成分が効率的に生成され、多孔質電極では微生
物の吸着と電気的な殺菌が行われる。そのため、電極上
での殺菌に加えてより効率的に殺菌できるものと推測で
きる。
【0080】通水孔を有する非多孔質電極は貫通孔を有
する黒鉛板やグラシーカーボンなどが好ましく用いら
れ、従来の多孔質炭素電極(ポーラスカーボングラファ
イト)を置き換える形で設置することができ、1つの電
解槽において、多孔質炭素電極1段に対し、通水孔を有
する非多孔質電極を1〜10段の割合で収容しているこ
とが望ましい。通水孔を有する非多孔質電極を設置する
位置は、多孔質電極が設置されている位置の上流側が望
ましい(図11参照)。これは非多孔質の炭素電極上で
生成した殺菌性成分が多孔質炭素電極上に吸着されてい
る微生物に接触するため、より多孔質炭素電極上での殺
菌効率が向上するものと思われる。あるいは、非多孔質
の炭素電極と多孔質の炭素電極を略交互に設置してもよ
い。特に本発明の水処理方法のように電解槽内の通水方
向を定期的に逆転させる場合には有効である(図12参
照)。
【0081】本発明の上記態様によってより効率的に被
処理水中の微生物を殺菌することができた。
【0082】本発明の別の態様では、被処理水の適用範
囲の広い水処理方法を提供する。すなわち、固定床型電
極に被処理水を通過させて電気化学的に処理する複極式
固定床型電解槽を含む水処理装置を用いた水処理方法に
おいて、あらかじめ設定された電圧で定電圧電解処理を
行い、水質などの変動に応じて電流値が制限値を越えた
場合、電圧を低下させて電解処理を継続する水処理方法
である。
【0083】従来の電圧印加方法は定電圧電解であり、
水質(電気伝導度、水温)によっては電流が流れすぎて
しまい、激しい電解ガスの発生や、著しい電極板の腐食
が起こり、さらに回路に著しく負担をかけてしまう、あ
るいは電源回路保護のためにブレーカーが落ちてしまう
という問題があった。一方、定電流電解の場合は、制御
装置が複雑になり、被処理水の電気伝導度が低くなると
印加電圧が著しく上昇してしまうなどの問題が生じる。
【0084】そこで、本発明ではあらかじめ設定された
電圧値(Vinitial)で定電圧電解し、被処理水の水質
等の変動によって電流値Iが設定値Ilimit1を越えた場
合、電圧を落として電解を継続する手段を設けた。水質
の変動が一過性のものであれば一時的に電圧を低く設定
することによって処理を継続することができる。あらか
じめ設定された電圧(Vinitial)で定電圧電解処理を
行う際、電極板の断面積あたりの電流密度が100〜2
000mA/dm2となるように電圧値を設定すること
が望ましい。又、電解槽に用いられている固定床の段数
に応じて、印加電圧は異なり、通常固定床1段あたり2
〜6Vの電圧を印加することができる。使用する電極の
面積から、電流値を求め、これを基準として実際の印加
電圧を決定する。
【0085】電圧変更などの作業は管理者が手動で実施
してもよいが、被処理水の処理は無人で行うこともあ
り、急激な水質の変動があった場合に迅速に対処できな
いことが多い。そのような場合、自動的に電圧を制御し
て電解を継続し、その間アラームなどで警告を出して、
管理者に注意を喚起し、水質の変動が一過性のものであ
れば、もとの処理条件に自動もしくは手動で復帰するこ
とができるものが望ましい。又、このような電圧変更が
自動的に行われることを記録する記録手段を有するとさ
らに好ましい。
【0086】図13に本発明の一例をフローチャートで
示した。すなわち、初期印加電圧Vinitialとし、電流
が上限値Ilimit1を越えた場合に変更する第2の印加電
圧をV2、さらに電流が上限値Ilimit1を越えた場合の
第3の印加電圧をV3とする。印加電圧の絶対値は|V3
|<|V2|<|Vinitial|である。ここで使用する電
流値I,Ilimit1,Ilimit2は、通常被処理水の処理中
に印加電圧の極性反転を行っているため、絶対値にて比
較している。ここでは一例として第3の印加電圧までの
例を示したが、さらに第4、第5と増やすこともできる
し、逆に第2までとして簡略化することもできる。ま
た、電圧低下中(V2,V3のとき)は、電流値が電流判
定値Ilimit2以下になっていないか判定し、Ilimit2
下となっている場合は印加電圧をV3→V2さらにV2
initialと戻し、再度電流IがIlimit1以下(好まし
くはさらにIlimit2以上)となっていることを確認する
ことが望ましい。
【0087】図14では被処理水の電気伝導度がA→B
→C→B→A(電気伝導度はA<B<C)と変動したと
きの印加電圧と電流の関係を示した。ここでは被処理水
の電気伝導度に応じて、それぞれの電圧電流の関係が示
されており、図13のフローチャートに従えば、被処理
水の電気伝導度が一時的に上昇しても印加電圧を調整す
ることによって、処理を継続できることがわかる。本発
明によって水質が変動してもより安定して水処理を継続
することができるようになった。
【0088】本発明の別の態様は、断面積200cm2
以上の固定床型電極に2.0kgf/cm2以上の水圧
で被処理水を通過させて電気化学的に処理する複極式固
定床型電極電解槽において、固定床電極を絶縁離間させ
るスペーサーに非弾性体を使用し、固定床電極端部に弾
性体からなるガスケットを用いることを特徴とする複極
式固定床型電極電解槽である。従来、断面積200cm
2以上の固定床型電極に2.0kgf/cm2以上の水圧
で被処理水を通過させて電気化学的に処理する場合、水
圧によって電極板が移動するため、炭素電極が陽極酸化
防止用の補助電極と離れてしまい、著しく炭素電極表面
が腐食されることがあった。この現象は特に最も上流側
の炭素電極で顕著であり、これを改善するために鋭意検
討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
【0089】すなわち、本発明の電解槽は図15に示し
たように非弾性体スペーサー21と弾性体ガスケット2
2からなり、非弾性体スペーサー21は主に隣接する固
定床型電極を絶縁離間させるために配置され、導電性が
低い素材からなり、樹脂あるいはセラミックスなどが好
ましく用いられる。例えば、アクリル樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリ塩化ビニル、テフロン樹脂などが好ましく
用いられる。弾性体ガスケット22は主に電極周辺部と
電解槽容器との隙間からの被処理水のリークを防止する
ために設置される。例えば、クロロプレンゴム、エチレ
ンプロピレンゴム、シリコンゴムその他のゴムが好まし
く用いられる。ガスケットやスペーサーが絶縁性のた
め、これらに挟まっている部分は分極しづらくなってお
り、また、電解槽内に設置されたガスケットと電解槽内
壁との隙間で微生物が繁殖することがある。これを防止
するため、ガスケットやスペーサーあるいは電解槽容器
に抗菌剤を含有させるとよく、特に銀担持ゼオライトな
どの無機抗菌剤が好ましく用いられる。
【0090】本発明によって、断面積200cm2以上
の複極式固定床型電極に2.0kgf/cm2以上の水
圧で被処理水を通過させて電気化学的に処理する場合で
も、電極板の移動が少ないため、補助電極と炭素電極の
密着性が損なわれることがなく、炭素電極の腐食も少な
いため、耐久性を向上させることができたのである。
【0091】本発明の別の態様はアースの設置方法に関
するものである。すなわち、固定床型電極に被処理水を
通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電
解槽において、給電用電極の付近にアース用電極を設置
する際に、給電用電極間に設置されている各固定床間の
距離の総和の3倍以上離れた位置にアース電極23を設
置する方法である。図17に示したように本発明の電解
槽には一対の給電用電極4、4′があり、この間に炭素
電極などからなる固定床型電極が配置されている。アー
ス電極23はこの電解槽からの漏れ電流によって被処理
水が配管上に設置されている他の機器に影響を与えない
ようにするために設置されており、好ましくは電解槽の
上流側と下流側にアース電極を設置することが望まし
い。上流側と下流側に設置されたアース電極は一度配線
で結ばれた後、アースへ接地される。
【0092】しかし、上記態様において運転中にこのア
ース電極が腐食するという問題が発生した。鋭意検討を
重ねた結果、上流側と下流側に設置されたアース電極間
に流れる微弱な漏れ電流が原因であり、アース用電極を
給電用電極間に設置されている各固定床間の間隔の総和
(Stotal)の3倍以上離れた位置にアース電極23を
設置することによってアース電極の腐食が防止できるこ
とが判明した(図16)。
【0093】すなわち、全ての固定床間の間隔の総和S
total、アース電極と最も近い給電用電極との間隔をA
としたとき、3×Stotal≦Aとなる位置にアース電極
を設置するのである。アース電極の材質はステンレスニ
ッケル製もしくは白金などの貴金属で被覆されたチタン
製が好ましい。
【0094】本発明の方法では水道水レベルの電気伝導
度の被処理水(約300μS/cm以下)を対象とした
場合は極めて有効であるが、電気伝導度の高い被処理水
では効果が乏しくなる。そこで、本発明の別の態様で
は、固定床型電極に被処理水を通過させて電気化学的に
処理する複極式固定床型電極電解槽において、一対の給
電用電極の付近にそれぞれアース用電極を設置する際
に、アース用電極間の配線上に抵抗を設け、これを接地
してアースをとることを特徴とするアース用電極を設置
する方法を提供する。すなわち、図18に示したように
アース電極23の配線上に抵抗24を配置することによ
って、アース電極23の腐食を著しく減らすことができ
た。挿入する抵抗は10kΩ〜5MΩが好ましい。この
方法は電気伝導度が高い水(約300μS/cm以上)
を処理する場合に特に効果的である。
【0095】本発明の上記態様によってアース用電極が
腐食するという問題は著しく改善された。
【0096】本発明の別の態様では簡単な構造の電解槽
を提供する。すなわち、固定床型電極に被処理水を通過
させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
において、被処理水の出口及び入口の配管を導電性素材
とし、該配管を給電用電極と電気的に接続し、該配管に
電圧を印加して被処理水を処理することを特徴とする複
極式固定床型電極電解槽である。電源からは給電用電極
の略中央部から通電することが望ましく、また被処理水
も略中央部から供給することが好ましい。その一例を図
19に示した。導電性のパイプ25を用いた本構成の電
解槽は両者を満足させるとともに、部品点数を減らすこ
とができ、簡単な構造にすることができる。
【0097】本発明の複極式固定床型電解槽は、筒状の
容器内に一対の給電用電極の間に離間して配置された複
数個の固定床を収容されている構造からなる。
【0098】本発明に係わる該複極式固定床型電極電解
槽は被処理水の改質処理や水溶液中の銀イオンなどの金
属イオン回収等に使用することができる。すなわち、写
真処理液、飲料水、プール水、熱交換器用冷却水、浴場
水及び養魚用水等の被処理水を本発明の電解槽で処理す
ることにより被処理水の殺菌等の改質が行われ、あるい
は銀イオンなどの貴金属を含有する被処理水から金属銀
として回収することができる。
【0099】あるいは、スケールやスライム等の発生も
防止することが出来る。
【0100】本発明の電解槽により、被処理水中、細菌
(例えば一般細菌、レジオネラ菌、大腸菌等)、糸状菌
(黴)、酵母、変形菌、単細胞の藻類、原生動物、ウィ
ルス原虫(クリプト菌、シオディア菌)等の微生物の殺
菌が行われその水質が改善される。
【0101】即ち、被処理水を複極式固定床型電極電解
槽に供給すると、該被処理水中の微生物は液流動によっ
て前記電解槽の固定床や給電用電極ターミナル等に接触
・吸着しそれらの表面で強力な酸化還元反応を受けたり
高電位の電極に接触し、その活動が弱まったり自身が死
滅して殺菌が行われると考えられる。
【0102】本電解槽を被処理水の改質処理に使用する
場合には、印加電位を陽極電位が実質的な酸素発生を伴
わない+0.2〜+1.2V(vs.SCE)、陰極電
位が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0V(v
s.SCE)となるようにすることが望ましい。液中物
質が酸化還元反応を受けず液性の変化が生じない場合
や、その反応量がさほど問題にならない場合にはより高
い陽極電位を印加することができる。例えば固定床1段
あたり2〜6V相当の電圧を印加することができる。例
として厚さ9mmの多孔質炭素質電極の両側に白金メッ
キした厚さ1mmのチタン製メッシュ電極を設け固定床
とし、これらを8段重ねて各々隣接するチタン製メッシ
ュ電極間隔を1mmとし、両端のチタン製メッシュ電極
と給電用電極の間隔を1mmとした電解槽の場合、15
〜50Vの電圧を該給電用電極に印加することができ
る。同じ条件で11段重ねとした場合は25〜70Vの
電圧を該給電用電極に印加することができる。又本電解
槽を銀や金などの金属回収用として使用する場合には電
極上で金属イオンの還元が生ずるに十分な電位を印加す
ればよい。
【0103】被処理水の改質の場合、特にプール水や製
紙洗浄水のような大量処理の場合にガス発生が伴うと、
発生するガスつまり酸素ガスと水素ガスは通常爆発限界
内の混合比で発生し、爆発の危険を回避するために空気
等の不活性ガスで希釈することが望ましく、例えば電解
槽出口に発生する電解ガスの分離手段と分離後の該電解
ガスを空気で希釈して電解ガス濃度が4容量%以下にな
るよう希釈する手段を設置することができる。
【0104】プール水等の被処理水の場合、処理すべき
水量は莫大で例えば1時間当たり数トンとなるため、処
理能力の大きい本発明の複極式固定床型電極電解槽の使
用が望ましく、該電解槽の使用により処理すべき被処理
水との接触面積を増大させることができ、これにより装
置サイズを小さくし、かつ電気化学的処理の効率を上げ
ることができる点で有利である。
【0105】本発明の複極式固定床型電極電解槽におけ
る電極は、好ましくは炭素質固定床型電極と給電用電極
を含み、該固定床型電極の多孔質電極は使用する電解槽
に応じた形状を有し、前記被処理水が透過可能な多孔質
材料、例えば粒状、球状、フェルト状、織布状、多孔質
ブロック状等の形状を有する活性炭、グラファイト、炭
素繊維等の炭素系材料から選択することができる。
【0106】本発明の多孔質電極は、平均孔径20〜1
00μmのポーラスカーボングラファイトが好ましい。
これらは例えば、有機物バインダーを使用して積層した
複数の植物繊維製シート例えば和紙などを不活性ガス雰
囲気中で、1000℃以上の温度で熱処理して炭化さ
せ、更に加熱処理してグラファイト化した多孔質炭素電
極板である。このような用途に用いられる有機物バイン
ダーにはフェノール樹脂やエポキシ樹脂などが利用でき
るが特にこれらに限定されるものではない。例えば、特
開平8−173972号や特開平8−126888号に
記載されているものも本発明の多孔質電極として利用で
きる。
【0107】これらの炭素電極板は1つのガスケットの
中に複数枚配置することも可能である。例えば厚さ9m
m、平均孔径50μmのポーラスグラファイト1枚でも
いいし、厚さ3mm、平均孔径50μmのものを3枚重
ねて用いてもよい。更に、孔径や厚さは任意に変更する
こともでき、例えば中央に、平均孔径100μm、その
両側に平均孔径50μmのポーラスグラファイトをサン
ドイッチして設置し、この3枚重ねたものを1つの固定
床とすることもできる。
【0108】これらの炭素質固定床は上下両端が開口す
る筒状体に収容するのが好ましい。該筒状体は、長期間
の使用又は再度の使用にも耐え得る電気絶縁材料で形成
することが好ましく、特に合成樹脂であるポリエピクロ
ルヒドリン、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化エチレ
ン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ABS樹脂、
アクリル樹脂、ポリカーボネート、テフロン樹脂等が好
ましく使用できる。更に透明又は半透明な材料で成形す
ると、前記炭素質固定床の消耗状態あるいは、組立て状
態を視認できるためより好都合である。好ましくはポリ
カーボネート樹脂などの耐熱性の高い素材が好ましい。
これにより、熱水を電解槽に通すことが可能となり、必
要に応じ装置内の殺菌消毒が容易に行える。
【0109】また、電極を収容する筒の内壁面は平滑度
が低い方が、組立が容易である。すなわち、固定床型電
極に被処理水を通過させて電気化学的に処理する複極式
固定床型電極電解槽において、電極を収容する電解槽容
器の内壁面を旋盤などで薄く削るなどの加工により、壁
面をやや粗くすると、ガスケットの挿入が容易になる。
具体的には、内筒内壁面に深さ0.03〜0.5mmの
溝を設ける。この溝は縦より横溝が好ましく、組込まれ
る固定床に対しほぼ水平なスパイラル状の溝でもよい。
特に電極板の端部と周辺部をコの字型に覆うガスケット
ではリークを防止するため、電解槽内径よりガスケット
外径がほとんど同じかやや大きめに設計されているた
め、ガスケット挿入の際に周辺がめくれあがるなどの問
題もあり、作業に熟練を要した。しかしながら、筒の内
壁面の平滑度を落とすことにより、ガスケットの挿入が
スムースとなり容易に組立てすることができるようにな
った。しかもこれによる水もれはほとんどなく、電解槽
の組立てが容易にできるようになった。
【0110】以下に本発明の電解槽についてさらに説明
する。
【0111】本発明に係わる電解槽では、図20,図2
1に示されているように前記筒状体の下方或いは上部の
開口部の一部を閉塞するように支持体を設置して、前記
炭素質固定床の離脱つまり筒状体からの落下等を防止す
ることが好ましい。該支持体の形状は前記複数の炭素質
固定床の移動を抑制するだけの強度を有すれば特に限定
されず、前記筒状体の下端部にドーナツ状体を該ドーナ
ツ状体が開口部の一部を塞ぐように溶接や接着等により
固定したり、或いはこれと同一形状の部材を一体成型し
たり、十字型の部材を筒状体の下端の円周部分に跨がる
よう接着等により固定したり、或いは網状体を同様に前
記閉口部内に設置したりすることができる。
【0112】図20,21において、2、2′は補助電
極、3はガスケット、4、4′は給電用電極、5は内
筒、6は外筒、7は被処理水導入路、8は導線、10は
上蓋、11、11′は電極ターミナル、12は空気抜き
栓、13は水抜き栓である。又、前記ドナーツ状体及び
筒状体にネジを刻設して両部材をネジ止めして相互に固
定することもできる。又開口部の上部も同様にネジ止め
により支持体を設置することができ、これらより前記炭
素質固定床をより安定な状態で前記筒状体内に収容する
ことができる。
【0113】炭素質固定床の断面積が200cm2を越
える場合は、円周部分だけで支えることは多孔質炭素電
極板の圧縮による崩壊が起こるなど困難となるため、筒
状体の両端部に設ける蓋体に電極板支持のための放射状
に配置したリブを設けることが好ましい。
【0114】なお該支持体の被処理水の流れ方向に垂直
方向の断面積は、開口部の開口面積の3〜50%とする
ことが望ましく、3%未満であると強度不足による該支
持体の筒状体からの離脱が生じ易くなり、又50%を越
えると被処理水の流通を阻害するとともに電解電圧の上
昇を招き易くなる。
【0115】該炭素質固定床を直流又は交流電場内に置
き、両端に設置した平板状又はエキスパンドメッシュ状
やパーフェレーティッドプレート状等の多孔板体から成
る給電用電極ターミナル間に直流電圧或いは交流電圧を
印加して前記炭素質固定床を分極させ該炭素質固定床の
一端及び他端にそれぞれ陽極及び陰極を分極により形成
させて成る固定床電極を収容した複極式固定床型電解槽
とすることが可能であり、この他に単独で陽極として或
いは陰極として機能する固定床電極を交互に短絡しない
ように設置しかつ電気的に接続して複極式固定床型電解
槽とすることができる。使用する直流は交流を半波整流
もしくは全波整流したものでもよい。
【0116】前記給電用陽極ターミナルの材質として
は、例えばカーボングラファイト材(炭素繊維、カーボ
ンクロス、グラファイト等)、グラシーカーボン、炭素
複合材(炭素に金属を粉状で混ぜ焼結したもの等)、活
性炭素繊維不織布(例えばKE−1000フェルト、東
洋紡株式会社)又はこれに白金、パラジウムやニッケル
等を担持させた材料、更に寸法安定性電極(白金族酸化
物被覆チタン材)、白金被覆チタン材、ニッケル材、ス
テンレス材、鉄材等から形成される材質がある。又該給
電用陽極ターミナルに対向し負の直流電圧を与える給電
用陰極ターミナルは、例えば白金、ステンレス、チタ
ン、ニッケル、銅、ハステロイ、グラファイト、炭素
材、軟銅或いは白金族金属を被覆した金属材料等から形
成されることができる。
【0117】前記多孔質電極として活性炭、グラファイ
ト、炭素繊維等、非多孔質電極として黒鉛、グラシーカ
ーボン等の炭素系材料を使用し、特に陽極から酸素ガス
の発生を伴いながら被処理水を処理する場合には、前記
炭素質固定床が酸素ガスにより酸化され炭酸ガスとして
溶解し易くなる。これを防止するためには前記炭素質電
極の陽分極する側にチタン等の基材上に酸化イリジウ
ム、酸化ルテニウム等の白金族金属酸化物を被覆し補助
電極として使用される多孔質材料又は網状材料を接触状
態で設置し、酸素発生が主として該材料上で生ずるよう
にすることが望まれる。
【0118】処理すべき被処理水が流れる電解槽内に液
が炭素質電極材料に接触せずに流通できる空隙があると
被処理水の処理効率が低下するため、炭素質固定床等は
電解槽内の被処理水の流れがショートパスしないように
配置することが重要である。そのため、炭素質電極材料
の周辺部及び側面部を一つのガスケットで覆うことによ
って、このリーク流を防止することができる。このよう
な電解槽を組み立てる場合の例を示す。即ち、予めガス
ケットに炭素質電極材料及び金属補助電極を組み込んだ
固定床を作製する。ガスケットはゴム等の弾力性のある
素材からできているため、炭素質電極材料或いは金属補
助電極の実際の寸法よりもやや小さめに作製しておき、
引き伸ばしながらはめ込んでやると密着性の点で好まし
い。また、炭素質電極材料の側面部のガスケットが通水
時の水圧によって広がり、ここからリークすることを防
止するため、固定床を収容する容器内径よりやや大きい
外径の突起を設けることが好ましい。又、金属補助電極
は炭素質電極材料とともにガスケット内にはさみこんで
もよいし、炭素質電極材料の上にそえてもよい。
【0119】前述のリーク防止のために電極と電解槽容
器との隙間に樹脂を充填する方法もある。このような樹
脂に熱硬化性樹脂やシリコンシーラントなどが用いられ
る。或いは電極板を熱収縮チューブに詰めて加熱処理し
てもよい。ただし、一度樹脂で固めてしまうと容易に分
解できなくなるという欠点がある。
【0120】補助電極と炭素電極を導電性樹脂で接着す
ることも可能であり、陽極酸化による炭素電極の崩壊を
抑制するために有効である。
【0121】又、これらの電解槽は被処理水中の異物や
陽極酸化によって生じる炭素微粉末のために目詰まりを
起こしやすいという問題があった、そのため、多孔質炭
素質電極材料の被処理水流入側に複数の非貫通の孔をあ
けた多孔質炭素質電極を用いることによって、異物や炭
素微粒子による目詰まりが著しく抑制される。孔の深さ
は多孔質炭素質電極の1/4から3/4が好ましく、孔
径は0.5〜4.0mmが好ましい。孔の部分の面積は
多孔質炭素質電極の5〜25%が好ましい。
【0122】又、前記電解槽に供給される被処理水の流
量は、該被処理水が効率的に電極等の表面と接触できる
ように規定すればよく、完全な層流であると横方向の移
動が少なく炭素質固定床表面との接触が少なくなるた
め、乱流状態を形成するようにすることが好ましく、5
00以上のレイノルズ数を有する乱流とすることが特に
好ましい。
【0123】このような構成から成る電解槽は、例えば
写真処理液中の微生物の殺菌用として使用する場合に
は、発色現像槽、漂白槽、漂白定着槽、水洗工程槽や安
定化工程槽等の写真処理工程の一部又は全部の槽に接続
して、前記各処理槽中の写真処理液を前記電解槽に供給
し循環して処理を行う。又写真処理液からの銀回収用と
して使用する場合も同様に写真処理槽に近接させて設置
し、銀イオンを含む定着液等を前記電解槽に供給しなが
ら通電して銀を回収することができる。
【0124】更に本発明の電解槽は、ビルやマンション
の屋上等に設置された熱交換器、或いはプール、或いは
製紙工程、更に養殖場や釣堀等、浄水場の貯留ライン或
いは家庭や飲食店の水道の蛇口、又は銭湯や温泉等の営
業用浴場や家庭用の浴槽に設置して、それぞれの被処理
水を前記電解槽に導入し電気化学的に処理することによ
り、前記被処理水の殺菌等の改質処理を行うことができ
る。
【0125】本発明の電解槽・水処理装置は水耕栽培の
養液内の病原菌や病原性ウィルスの殺菌にも有効であり
有効成分の変質もない。具体的には、水耕栽培の養液に
は鉄のEDTAなどのキレート塩が含まれているが、紫
外線殺菌装置ではこれが分解してしまうのに対し、本発
明の電解槽ではほとんど影響を与えない。
【0126】なお、本発明の電解槽では該電解槽に漏洩
電流が生じ該漏洩電流が電解槽から写真処理液等の被処
理水を通して他の部材例えば写真処理槽に流れ込み、該
写真処理槽中で好ましくない電気化学反応を誘起した
り、写真処理槽の壁面を電気化学的に腐食させ壁面構成
材料を溶出させることがあるため、電解槽内の陽陰極が
相対しない電極背面部及び/又は前記電解槽の出入口配
管内に、前記被処理液より導電性の高い部材をその一端
を接地可能なように設置して前記漏洩電流を遮断するこ
とができる。これは、他の被処理水に対しても有効であ
る。
【0127】次に添付図面に基づいて本発明に係わる炭
素質固定床型三次元電極電解槽の好ましい例を説明する
が、本発明の電解槽は、この電解槽に限定されるもので
はない。
【0128】図20及び21において、例えばポーラス
カーボングラファイトからなる固定床型電極1が積層さ
れ、その固定床は、補助電極(例えば白金メッキされた
チタンメッシュ)2及び2′でサンドイッチされる。固
定床型電極と補助電極は弾性のあるガスケット(例えば
ゴム製)3により保持され、電解槽の内面に密着する。
電解槽の入り口(IN)から被処理水が0.5〜5kg
f/cm2の圧力で送水され、給電用電極4及び4′に
外部より電圧をかけることにより、被処理水は、殺菌さ
れ、上部の(OUT)から取り出される。
【0129】電解槽容器はウォーターハンマーに耐える
だけの十分な強度を持つことが望まれる。
【0130】図21は、複極式固定床型電極電解槽の縦
断面図である。上部の入り口(IN)から導入された被
処理水は、電解槽の内筒5と外筒6の間のスペース(被
処理水導入路7)を通り電極内を通過してOUTに到達
する。矢印に従って被処理水が通過する際に、外部か
ら、電極ターミナル11、11′をへて給電用電極4、
4′から電力が供給され、補助電極2、2′に挟まれた
固定床型電極1を通過する際に、被処理水中に含まれる
細菌の殺菌或いは金属などの回収が行われる。固定床型
電極は補助電極2、2′に挟まれ積層されているので、
下部から上部に亙り分極している。それぞれの、固定床
型電極1と補助電極2、2′は側部から被処理水がリー
クしないように、ガスケット3で封鎖されている。これ
らの組がセットされるように、上蓋10と外筒6はネジ
で組み立てられている。洗浄の際に、内部の水を排出す
る水ぬき栓13と最初に被処理水がスムースに導入され
るように、空気ぬき栓12が設けられている。
【0131】
【実施例】次に本発明を実施例に基づき説明するが、本
発明の実施態様はこれに限定されない。
【0132】実施例1 植物繊維の骨材と樹脂バインダーを使用して、これらを
積層して加圧成型し、この成型物を焼成して作製したポ
ーラスカーボングラファイト(気孔率64%,平均気孔
径44μm)を多孔質電極とし、図7に示した電解槽を
作製した。ポーラスカーボングラファイトは直径76m
m、厚み9mmを8枚使用した。補助電極には、白金で
被覆されたチタンメッシュ(厚み1mm)を用いて、前
記ポーラスカーボングラファイトをサンドイッチした。
電解槽の各電極端子には直流30Vを印加し、2分間隔
で各電極端子にかかる印加電圧の極性を反転させた。
【0133】この電解槽を使用して、図1の水処理装置
を作製した。水槽に池の水70リットル(一般細菌数
3×105CFU/ml)を用意して、ポンプで2.6
kgf/cm2の圧力で送水し、循環処理を行った。前
段フィルターは孔径10μmのカートリッジフィルター
を使用し、後段にも孔径10μmのカートリッジフィル
ターを使用した。1日2回、2つの三方弁V3,V4を
切り換えて、図1の1−1状態→1−2状態又は1−2
状態→1−1状態とし、電解槽内の通水方向を逆転させ
た。約1ヶ月間運転を継続し、その間の流量を測定し
た。これを本発明の例−1とする。
【0134】さらに、電解槽内の通水方向を逆転させた
直後に図1のV2から約1リットルの水を系外に排出さ
せた。約1ヶ月間運転を継続し、その間の流量を測定し
た。これを本発明の例−2とする。
【0135】比較例として、図1の水処理装置で、通水
方向を逆転させずに同様に試験を実施した。その結果を
下表に示す。
【0136】
【表1】
【0137】同じ電解槽を用意して、図2の水処理装置
を作製した。水槽に池の水70リットル(一般細菌数
1×105CFU/ml)を用意して、ポンプで2.6
kgf/cm2の圧力で送水し、循環処理を行った。1
時間間隔で4方弁V1を切り替え、通水方向を逆転させ
た。約1ヶ月間運転を継続し、その間の流量を測定し
た。
【0138】これを本発明の例−3とする。
【0139】
【表2】
【0140】このように本発明の水処理装置を用いた水
処理方法は目詰まりが起こりにくく、長期間の運転が可
能であることがわかった。
【0141】実施例2 銀担持炭素電極は銀鏡反応を利用して、下記の手順で作
製した。
【0142】多孔質炭素電極(ポーラスカーボングラフ
ァイト 気孔率61%,平均気孔径42μm)直径76
mm、厚み9mm 重さ約50g/枚)8枚を水洗、乾
燥させた後、8枚を電解槽容器に収容し、10ppmの
塩化第一錫を含む水溶液500mlをペリスタポンプで
送液し、電極内部まで液を浸透させて、ゆっくりと循環
させた。次いで、硝酸銀16gと28%アンモニア水2
00mlを含む水溶液1リットルと水酸化ナトリウム
4.8gを含む水溶液1リットルを混合して得た第一液
2リットルと蔗糖10gを含む水溶液100mlに65
%硝酸0.5mlを加え、色が黄変するまで煮沸し放冷
した液48mlを、水に加えて全量を2リットルとした
第2液を調整した。前記の塩化第一錫を含む水溶液を排
液し、前記第一液2リットルと第2液2リットルを混合
した液を調整し、電解槽容器に収容した炭素電極へ送液
し、電極内部まで液を浸透させて、20℃にて約10分
間循環させて銀を析出させた。次いで、銀を析出させた
炭素電極を十分に水洗し、110℃で2時間熱風乾燥さ
せて銀担持炭素電極を得た。
【0143】この銀担持炭素電極を用いて、図8の電解
槽を組み立て本発明の電解槽−1とした。
【0144】又、多孔質炭素電極(ポーラスカーボング
ラファイト 気孔率61%,平均気孔径42μm)直径
76mm、厚み3mm 重さ約50g/枚)8枚を同様
の方法で処理し、銀担持炭素電極を得た。この銀担持炭
素電極を銀を担持していない2枚の多孔質炭素電極でサ
ンドイッチして、図9の電解槽を組み立て本発明の電解
槽−2とした。又、多孔質炭素電極(ポーラスカーボン
グラファイト 気孔率61%,平均気孔径42μm)を
用いて図7の電解槽を組み立て比較の電解槽とした。各
々の電解槽は、補助電極として白金で被覆されたチタン
メッシュ(厚み1mm)を用いた。さらに各電解槽には
給電用電極端子に直流30Vを印加し、1分間隔で極性
を反転させた。
【0145】Pseudomonas diminut
aを液体培地(普通ブイヨン培地、栄研化学製)を用い
て2日間培養し、菌体を5000rpmにて遠心分離し
た後、純水で洗浄し、再度遠心分離した。これを予めた
めておいた水道水(残留塩素濃度が0.01ppm以
下)に添加し被処理水とした。これを図23に示した試
験装置の水槽内に入れ、本発明の電解槽−1に1.2k
g/cm2の圧力で送水し、電解槽通過前後の被処理水
を採水し、これに含まれる生菌数を普通寒天培地(栄研
化学製)を用いた寒天平板法にて測定した。約40リッ
トルを通水後、ポンプを18時間停止した。18時間後
再度ポンプで送液を開始し、電解槽通過前後の被処理水
を採水し、これに含まれる生菌数を測定した。
【0146】同様に本発明の電解槽−2及び比較の電解
槽についても測定を行った。その結果を表3に示した。
【0147】
【表3】
【0148】本発明の電解槽は通水を停止後、処理を再
開しても制菌性能が低下しないことがわかる。
【0149】実施例3 直径76mm、厚み9mmの黒鉛板に、中心から30m
mのところに直径5mmの貫通孔を1つ設け、この黒鉛
板8枚を用いて、図5に示されている電解槽を作製し、
本発明の電解槽−3とした。補助電極として白金で被覆
されたチタンメッシュ(厚み1mm)を用いた。さらに
各電解槽には給電用電極端子に直流35Vを印加し、1
分間隔で極性を反転させた。
【0150】制菌性能試験はEscherichia
coliを液体培地(普通ブイヨン培地、栄研化学製)
を用いて16時間培養し、菌体を5000rpmにて遠
心分離した後、純水で洗浄し、再度遠心分離した。これ
を予めためておいた水道水(残留塩素濃度が0.01p
pm以下、電気伝導度300μS/cm)に添加して被
処理水とした。これを図23に示した試験装置にセット
し、本発明の電解槽−3に1.2kg/cm2の圧力で
送水し、電解槽通過前後の被処理水を採水し、これに含
まれる生菌数をデソキシコーレート寒天培地(栄研化学
製)を用いて測定した。
【0151】その結果を表4に示した。
【0152】
【表4】
【0153】本発明の電解槽−3は制菌性能に優れてい
ることがわかる。
【0154】同様に、Pseudomonas dim
inutaを液体培地(普通ブイヨン培地、栄研化学
製)を用いて1日間培養し、菌体を5000rpmにて
遠心分離した後、純水で洗浄し、再度遠心分離した。こ
れを異なる濃度の塩化ナトリウム水溶液に添加し被処理
水とした。これを図23に示した試験装置にセットし、
それぞれの被処理水を本発明の電解槽−3に1.2kg
/cm2の圧力で送水し、電解槽通過前後の被処理水を
採水し、これに含まれる生菌数を普通寒天培地(栄研化
学製)を用いた寒天平板法にて測定した。又、図23の
排水バルブV5を切り替えて被処理水をタンクに戻し、
被処理水30リットルを30分間循環で処理し、タンク
内の被処理水を採水し、これに含まれる生菌数を測定し
た。その結果を表5に示す。
【0155】
【表5】
【0156】本発明の電解槽−3は制菌性能に極めて優
れていることがわかる。
【0157】実施例4 直径196mm、厚み9mmの黒鉛板に、直径3mmの
貫通孔を均等に300コ設け、この黒鉛板11枚を用い
て、電解槽を2台作製し、本発明の電解槽−4とした。
補助電極として白金で被覆されたチタンメッシュ(厚み
1mm)を用いた。さらに各電解槽には給電用電極端子
に直流60Vを印加し、2分間隔で極性を反転させた。
これを図10に示したように小型プールに設置した。
【0158】これに水道水を満たし、濾過した海水を3
00倍に希釈するように添加した。本発明の電解槽−3
に3kg/cm2の圧力で送水し、小型プール内の総残
留塩素をポータブル残留塩素計(ハック社製、DPD
法)で測定した。
【0159】その結果を表6に示した。
【0160】
【表6】
【0161】本発明の電解槽−4は遊泳用プールの衛生
管理に必要とされる総残留塩素濃度を容易に維持するこ
とが可能であり、被処理水に添加する塩素イオン源とし
て海水を利用すればさらにコストが安くできることが確
認された。
【0162】実施例5 直径76mm、厚み9mmの黒鉛板に、中心から30m
mのところに直径5mmの貫通孔を1つ設けたもの(G
Hと略す)とポーラスカーボングラファイト(PCと略
す)、気孔率60%,平均気孔径51μmを用いて下表
に示した電解槽を作製した。本発明の電解槽−6は図1
1、本発明の電解槽−8は図12に示したが、他の電解
槽も電極板8枚の構成が異なる以外はこれらに準じて作
製した。
【0163】
【表7】
【0164】補助電極として白金で被覆されたチタンメ
ッシュ(厚み1mm)を用いた。それぞれの電解槽には
給電用電極端子に直流35Vを印加し、1分間隔で極性
を反転させた。
【0165】Pseudomonas diminut
aを液体培地(普通ブイヨン培地、栄研化学製)を用い
て2日間培養し、菌体を5000rpmにて遠心分離し
た後、純水で洗浄し、再度遠心分離した。これを予めた
めておいた水道水(残留塩素濃度が0.01ppm以
下、電気伝導度300μS/cm)に添加して1×10
5CFU/mlの濃度とし被処理水とした。これを図2
2に示した試験装置にセットし、被処理水をそれぞれの
電解槽に1.2kg/cm2の圧力で送水し、被処理水
40リットルを循環処理した。一定時間ごとに電解槽通
過後の被処理水を採水し、これに含まれる生菌数を普通
寒天培地(栄研化学製)を用いた寒天平板法にて測定し
た。下式から制菌率を算出した。
【0166】制菌率(%)=(1−M/N)×100 M:一定時間処理後の被処理水中の生菌数 N:初期の処理後の被処理水中の生菌数 その結果を表8に示す。
【0167】
【表8】
【0168】表8にしめされるように本発明の電解槽は
特に循環処理での制菌性能に優れていることがわかる。
【0169】実施例6 直径196mm、厚み9mmのポーラスカーボングラフ
ァイト(気孔率65%,平均気孔径51μm)11枚を
用いて、電解槽を作製した。補助電極として白金で被覆
されたチタンメッシュ(厚み1mm)を用いた。これを
図22に示されているような水処理装置にセットした。
【0170】水槽には水道水200リットルを満たし、
ポンプで3kgf/cm2の圧力で送水し、循環させて
連続的に処理を行った。下記の条件で、図13のフロー
チャートに従って印加電圧を制御した。これを本発明の
水処理方法−3とする。比較例として、印加電圧を一定
にして処理を行った。
【0171】
【表9】
【0172】連続で処理を継続した結果、比較の水処理
方法は処理開始6時間後にポンプの発熱による被処理水
の温度上昇によって電流が3Aを越えて、ブレーカーが
落ち、運転が停止した。しかしながら、本発明の水処理
方法−3は自動的に印加電圧を落としたため、電流が少
なくなり運転が継続された。
【0173】このように本発明の水処理方法によれば水
温の変動、電解質濃度の変動などによる電流の一時的な
上昇に際しても、突然装置が停止することなく、処理が
継続されることが確認された。
【0174】実施例7 直径196mm、厚み9mmのポーラスカーボングラフ
ァイト(気孔率65%,平均気孔径51μm)8枚を用
いて、図15に示されている電解槽を作製した。補助電
極として白金で被覆されたチタンメッシュ(厚み1m
m)を用いた。電極側面部には水のリークを防止するた
めのガスケットを使用し、隣接するチタンメッシュ間に
は厚み1mmのテフロン製(非弾性体)リングスペーサ
ーを設けた。これを本発明の電解槽−11とする。又、
該テフロン製(非弾性体)リングスペーサーの代わりに
EPDMゴム製のリングスペーサーを設けた。これを比
較の電解槽とする。これらの電解槽を図22の水処理装
置にセットし、3kgf/cm2の圧力で送水し、35
Vの電圧を印加して循環で処理を実施した。運転開始時
に電解槽内部を観察したところ、比較の電解槽では水圧
で電極板が押し上げられていることが確認された。一
方、本発明の電解槽−11は電極板が大きく動くことは
なかった。10日間運転を行った後、最も上流部のポー
ラスカーボングラファイトの表面を観察したところ、比
較の電解槽ではポーラスカーボングラファイトから補助
電極が部分的に離れたことが原因と推測される陽極酸化
による電極の崩壊が観察されたが、本発明の電解槽−1
1ではそのような電極の崩壊は認められなかった。従っ
て、本発明の電解槽は耐久性が向上していることが確認
された。
【0175】実施例8 直径196mm、厚み9mmのポーラスカーボングラフ
ァイト(気孔率65%,平均気孔径51μm)11枚を
用いて、図16に示されている電解槽を作製した。すな
わち、アースと隣接する給電用電極との間隔Aを各々1
0cmとした。これを本発明の電解槽−12とする。図
17に示されているアースと隣接する給電用電極との間
隔Aを各々1cmとした電解槽を作製し、これを比較の
電解槽とした。又、図18に示したように設置されたア
ース電極間の配線上に100kΩの抵抗24を入れた本
発明の電解槽−13を作製した。それぞれの電解槽に
は、補助電極として白金で被覆されたチタンメッシュ
(厚み1mm)を用いて、ポーラスカーボングラファイ
トをサンドイッチし、隣接するチタンメッシュ電極の間
隔は1mmとした。これらの電解槽をそれぞれ図22の
水処理装置にセットし、3kgf/cm2の圧力で送水
し、60Vの電圧を印加して循環で水道水(250μS
/cm)200リットルを処理した。10日間運転を行
った後、アース電極(ステンレス製)を取り外して観察
したところ、本発明の電解槽−12及び13に設置され
ていたものはほとんど腐食されていなかったが、比較の
電解槽に設置されていたものは表面が酸化鉄の褐色を呈
し、著しく腐食していることが確認された。従って、本
発明のアース電極を設置する方法で作製した電解槽のア
ース電極は腐食が少なく優れていることがわかる。
【0176】実施例9 直径76mm、厚み9mmのポーラスカーボングラファ
イト(気孔率65%,平均気孔径51μm)2枚を用い
て、図19に示されている電解槽を作製した。すなわ
ち、被処理水の出口及び入口の配管を金属製(ステンレ
ス)とし、該配管を給電用電極と電気的に接続し、該配
管に電圧を印加して被処理水を処理することを特徴とす
る複極式固定床型電極電解槽である。電源からは給電用
電極の略中央部から通電することが望ましく、また被処
理水も略中央部から供給することが、電極板全体を有効
に利用する上で好ましい。本構成の電解槽は両者を満足
させるとともに、部品点数を減らすことができ、簡単な
構造にすることができた。
【0177】実施例10 図20及び図21に示したポリカーボネート製電解槽容
器を作製した。内筒5の内壁面は樹脂押し出し成形で得
られたものを旋盤でうすく削り取り、平滑度を落とし
た。この内筒5の中にガスケット3内に配置された電極
(炭素電極1と2枚の補助電極2,2′)を下部から挿
入して電解槽を組み立てた。内筒5の内壁面を旋盤でう
すく削り取り約0.1mmの深さの溝をスパイラル状に
設けて、平滑度を低くしたため、ガスケット外周と内筒
5の内壁面とのすべりがよくなり、ガスケットがゆがん
だりめくれたりすることなく極めて簡単に組み立てるこ
とができた。これに対し、内筒5の内壁面の平滑度を落
とす前の状態では、ガスケットがゆがんだりめくれたり
することがあり、その度に組み立てをやり直さなければ
ならなかった。内壁面を旋盤でうすく削り取るなどの方
法で平滑度を低くしても実質的にガスケットと内筒間の
水漏れはなく、この方法によって組立てが極めて容易に
できることがわかった。
【0178】
【発明の効果】本発明により、下記の効果を得ることが
出来る。
【0179】(1)複極式固定床型電極電解槽を用いる
被処理水中の微生物を電気化学的に処理する方法におい
て、被処理水中の異物などによる電極の閉塞を改善し、
耐久性も向上させる方法を提供する。
【0180】(2)運転停止中の電解槽内の菌の増殖を
防止する方法を提供する。
【0181】(3)微生物の除去・殺菌効率の高い複極
式固定床型電極電解槽及び処理方法を提供する。
【0182】(4)複極式固定床型電極電解槽の被処理
水の処理可能な水質の範囲を広くすることができる電解
処理方法を提供する。
【0183】(5)複極式固定床型電極電解槽の組立を
容易にするための方法を提供する。
【0184】(6)複極式固定床型電極電解槽の耐圧性
及び耐久性を向上する方法を提供する。
【0185】これらにより複極式固定床型電極電解槽を
用いる被処理水中の微生物等を電気化学的に処理する方
法において、制菌効率に優れ、流量低下が少なく、又耐
久性に優れる電解槽及び処理方法を提供することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水処理装置の説明図である。
【図2】本発明の水処理装置の説明図である。
【図3】本発明の銀担持炭素質固定床型電極を示す図で
ある。
【図4】本発明の銀担持炭素質固定床型電極から電解に
よって銀が溶出した状態を示す図である。
【図5】本発明の貫通孔を有する非多孔質電極からなる
電解槽を示す断面図である。
【図6】本発明の貫通孔を有する非多孔質電極からなる
電解槽を示す断面図である。
【図7】多孔質電極からなる固定床型電極電解槽を示す
断面図である。
【図8】本発明の銀担持多孔質電極からなる固定床型電
極電解槽を示す断面図である。
【図9】本発明の銀担持多孔質電極と多孔質電極からな
る固定床型電極電解槽を示す断面図である。
【図10】本発明の電解槽を用いてプールの水を処理す
る水処理装置を示す図である。
【図11】本発明の貫通孔を有する非多孔質電極及び多
孔質電極からなる電解槽を示す断面図である。
【図12】本発明の貫通孔を有する非多孔質電極及び多
孔質電極からなる電解槽を示す断面図である。
【図13】本発明の印加電圧の制御方法を示すフローチ
ャートである。
【図14】被処理水の電気伝導度が変化したときに、本
発明の印加電圧の制御方法に従って印加電圧を制御した
場合の電圧と電流の関係を示した図である。
【図15】本発明の固定床を絶縁離間させるスペーサー
に非弾性体を使用し、端部に弾性体からなるガスケット
を用いる電解槽を示す断面図である。
【図16】本発明のアース電極を設置する方法に従っ
て、アース用電極を給電用電極間に設置されている各固
定床間の距離の総和の3倍以上離れた位置にアース電極
を設置した電解槽を示す断面図である。
【図17】従来のアース電極を設置する方法に従って、
アース電極を設置した電解槽を示す断面図である。
【図18】本発明のアース電極を設置する方法に従っ
て、アース用電極間に抵抗を配置した電解槽を示す断面
図である。
【図19】本発明の、被処理水の出口及び入口の配管を
導電性素材とし、該配管を給電用電極と電気的に接続
し、該配管に電圧を印加できる電解槽を示す断面図であ
る。
【図20】電解槽を示す斜視図である。
【図21】図20の電解槽の断面図である。
【図22】電解槽を用いた水処理方法を示す図である。
【図23】電解槽を用いた水処理方法を示す図である。
【符号の説明】
1 固定床型電極(多孔質電極もしくは通水孔を有する
非多孔質電極) 1′ 多孔質電極 1″ 通水孔を有する非多孔質電極 1″″ 銀を担持した多孔質電極 2 補助電極 2′ 補助電極 3 ガスケット 4 給電用電極(外部から電力供給用) 4′給電用電極(外部から電力供給用) 5 内筒 6 外筒 7 被処理水導入路 8 導線 10 上蓋 11 電極ターミナル 11′ 電極ターミナル 12 空気抜き栓 13 水抜き栓 20 通水孔 21 非弾性体スペーサー 22 弾性体ガスケット 23 アース電極 24 抵抗 25 導電性のパイプ 26 電解槽容器 27 電極ターミナル 28 弾性体スペーサー 29 リング状スペーサー 30 複数の電解槽ECを切換えて通水するための三方
コック 31 電力供給装置 32 樹脂性リングスペーサー 33 支持体 34 ゴム栓 100 貯水タンク 101 遊泳用プール 102 集毛器 103 砂濾過器 104 カートリッジフィルター

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複極式固定床型電極に被処理水を通過さ
    せて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を
    含む水処理装置において、該電解槽は入水系及び出水系
    の2つの被処理水の通水口を有し、入水系の通水口と出
    水系の通水口を切り替え、電解槽を通る被処理水の流れ
    る方向を逆方向に通水することができることを特徴とす
    る複極式固定床型電極電解槽を含む水処理装置。
  2. 【請求項2】 複極式固定床型電極に被処理水を通過さ
    せて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を
    含む水処理装置をもちいる水処理方法において、該電解
    槽は入水系及び出水系の2つの被処理水の通水口を有
    し、入水系の通水口と出水系の通水口を切り替え、電解
    槽を通る被処理水の流れる方向を逆方向に通水すること
    ができる複極式固定床型電極電解槽を含む水処理装置を
    用い、該電解槽内の通水方向を定期的もしくは任意に変
    更することを特徴とする水処理方法。
  3. 【請求項3】 複極式固定床型電極に被処理水を通過さ
    せて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を
    含む水処理装置が、該電解槽の被処理水の2つの通水口
    を配管でループ状に接続し、この配管経路上に少なくと
    も2つの3方弁もしくは3方コックを設け、該3方弁も
    しくは3方コックの間に該ループ状配管から分岐した出
    水系を設け、1つの送水手段より分岐した配管を前記2
    つの3方弁もしくは3方コックへ各々接続させた入水系
    を含むことを特徴とする請求項1記載の複極式固定床型
    電極電解槽を含む水処理装置。
  4. 【請求項4】 複極式固定床型電極に被処理水を通過さ
    せて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を
    含む水処理装置を用いる水処理方法において、該電解槽
    の被処理水の2つの通水口を配管でループ状に接続し、
    この配管経路上に少なくとも2つの3方弁もしくは3方
    コックを設け、該3方弁もしくは3方コックの間に該ル
    ープ状配管から分岐した出水系を設け、1つの送水手段
    より分岐した配管を前記2つの3方弁もしくは3方コッ
    クへ各々接続させた入水系を含む複極式固定床型電極電
    解槽を含む水処理装置を用い該2つの3方コックを略同
    時に切り換えて、該電解槽内の通水方向を定期的もしく
    は任意に変更することを特徴とする請求項2記載の水処
    理方法。
  5. 【請求項5】 被処理水を固定床型電極を通過させて、
    電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を含む
    水処理装置において、該複極式固定床型電極電解槽の2
    つの被処理水の通水口(A側、B側)を配管でループ状
    に接続し、この配管経路上に少なくとも1つの4方弁も
    しくは4方コックを設け、該4方弁もしくは4方コック
    は、入水系、出水系及び該電解槽の被処理水の2つの通
    水口へ接続されており、入水系からの被処理水を該電解
    槽のA側(入口)に送水し、かつ該電解槽のB側(出
    口)からの被処理水を出水系へと送水するような状態1
    と入水系からの被処理水を該電解槽のB側(入口)に送
    水し、かつ該電解槽のA側(出口)からの被処理水を出
    水系へと送水するような状態2に変更できるように配置
    したことを特徴とする請求項1記載の複極式固定床型電
    極電解槽を含む水処理装置。
  6. 【請求項6】 被処理水を固定床型電極を通過させて、
    電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽を含む
    水処理装置が、該複極式固定床型電極電解槽の2つの被
    処理水の通水口(A側、B側)を配管でループ状に接続
    し、この配管経路上に少なくとも1つの4方弁もしくは
    4方コックを設け、該4方弁もしくは4方コックは、入
    水系、出水系及び該電解槽の被処理水の2つの通水口へ
    接続されており、入水系からの被処理水を該電解槽のA
    側(入口)に送水し、かつ該電解槽のB側(出口)から
    の被処理水を出水系へと送水するような状態1と、入水
    系からの被処理水を該電解槽のB側(入口)に送水し、
    かつ該電解槽のA側(出口)からの被処理水を出水系へ
    と送水するような状態2に変更できるように配置した水
    処理装置をもちい、該4方弁もしくは4方コックを切り
    換えて、該電解槽内の通水方向を定期的にもしくは任意
    に変更することを特徴とする請求項2記載の水処理方
    法。
  7. 【請求項7】 前記3方弁もしくは3方コックと送水手
    段との間に前段フィルターを設け、2つの該3方弁もし
    くは3方コックの間から分岐した出水系上に後段フィル
    ターを設けたことを特徴とする請求項3記載の水処理装
    置。
  8. 【請求項8】 前記4方弁もしくは4方コックと送水手
    段との間に前段フィルターを設け、該4方弁もしくは4
    方コックからの出水系上に後段フィルターを設けたこと
    を特徴とする請求項5記載の水処理装置。
  9. 【請求項9】 被処理水の処理中の電解槽通過水の流量
    もしくは電解槽の圧力損失を測定し、流量の低下もしく
    は圧力損失の上昇が検出されたときに、通水方向を変更
    することを特徴とする請求項4又は6記載の水処理方
    法。
  10. 【請求項10】 前記通水方向を変更した際に、電解槽
    の下流側に設けたバルブから、被処理水を排水すること
    を特徴とする請求項4、6又は9記載の水処理方法。
  11. 【請求項11】 被処理水を複極式固定床型電極を通過
    させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
    槽において、固定床に銀担持炭素電極を用いることを特
    徴とする複極式固定床型電極電解槽。
  12. 【請求項12】 被処理水を複極式固定床型電極を通過
    させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
    槽において、1つの固定床が複数の積層された炭素電極
    からなり、少なくともその中央に配置した炭素電極に銀
    担持炭素電極を用いたことを特徴とする複極式固定床型
    電極電解槽。
  13. 【請求項13】 被処理水を複極式固定床型電極を通過
    させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
    槽において、固定床に銀担持炭素電極を用いることを特
    徴とする水処理方法。
  14. 【請求項14】 一対の給電用電極間に、1つ以上の貫
    通孔を有する複数の非多孔質電極板を有し、被処理水を
    電解処理する複極式固定床型電極電解槽において、非多
    孔質電極板の貫通孔が中心からはずれた位置にあり、電
    解槽内に隣接されて配置された該非多孔質電極板の貫通
    孔どうしの間隔が該電極板の直径の1/3以上離れた位
    置にくるように配置されていることを特徴とする複極式
    固定床型電極電解槽。
  15. 【請求項15】 1つ以上の貫通孔を有する複数の非多
    孔質電極板を有し、被処理水を電解処理する複極式固定
    床型電極電解槽において、略中央部に1つ以上の貫通孔
    が設けられた非多孔質電極板と、周辺部に複数の貫通孔
    が設けられた非多孔質電極板が隣接して交互に配置され
    た構造を含むことを特徴とする複極式固定床型電極電解
    槽。
  16. 【請求項16】 貫通孔の開口率が非多孔質電極板の面
    積の0.5〜25%であることを特徴とする請求項14
    又は15記載の複極式固定床型電極電解槽。
  17. 【請求項17】 請求項14、15又は16記載の複極
    式固定床型電極電解槽を用い10mg/l〜50g/l
    の塩素もしくは塩素イオンを含む被処理水を処理するこ
    とを特徴とする水処理方法。
  18. 【請求項18】 被処理水を固定床型電極を通過させ
    て、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽に
    おいて、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電極及
    び多孔質電極を使用することを特徴とする複極式固定床
    型電極電解槽。
  19. 【請求項19】 被処理水を固定床型電極を通過させ
    て、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽に
    おいて、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電極及
    び多孔質電極を使用し、貫通孔を有する非多孔質電極が
    多孔質電極の上流側に位置することを特徴とする請求項
    18記載の複極式固定床型電極電解槽。
  20. 【請求項20】 被処理水を固定床型電極を通過させ
    て、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽に
    おいて、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電極及
    び多孔質電極を使用し、多孔質電極1段に対し、貫通孔
    を有する非多孔質電極が0.1〜10段の割合で収容さ
    れていることを特徴とする請求項18記載の複極式固定
    床型電極電解槽。
  21. 【請求項21】 被処理水を固定床型電極を通過させ
    て、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽に
    おいて、固定床型電極に貫通孔を有する非多孔質電極及
    び多孔質電極を使用し、貫通孔を有する非多孔質電極と
    多孔質電極が略交互に配置されていることを特徴とする
    請求項18記載の複極式固定床型電極電解槽。
  22. 【請求項22】 被処理水を複極式固定床型電極を通過
    させて、電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解
    槽を用いた水処理方法において、請求項14、15又は
    16記載の複極式固定床型電極電解槽を用いて、遊泳用
    プールの水を循環処理することを特徴とする水処理方
    法。
  23. 【請求項23】 請求項14、15又は16記載の複極
    式固定床型電極電解槽を用いて、被処理水を処理する水
    処理方法において、被処理水に海水を適宜添加して処理
    することを特徴する水処理方法。
  24. 【請求項24】 複極式固定床型電極に被処理水を通過
    させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
    を含む水処理装置を用いた水処理方法において、あらか
    じめ設定された電圧で定電圧電解処理を行い、水質など
    の変動に応じて電流値が設定値を越えた場合、電圧を低
    下させて電解処理を継続することを特徴する水処理方
    法。
  25. 【請求項25】 複極式固定床型電極に被処理水を通過
    させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
    を含む水処理装置を用いた水処理方法において、あらか
    じめ設定された電圧で定電圧電解処理を行う際、電極板
    の断面積あたりの電流密度が100〜2000mA/d
    2となるように電圧値を設定することを特徴する請求
    項24記載の水処理方法。
  26. 【請求項26】 断面積200cm2以上の複極式固定
    床型電極に2.0kgf/cm2以上の水圧で被処理水
    を通過させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極
    電解槽において、固定床電極を絶縁離間させるスペーサ
    ーに非弾性体を使用し、該固定床電極端部に弾性体から
    なるガスケットを用いることを特徴とする複極式固定床
    型電極電解槽。
  27. 【請求項27】 複極式固定床型電極に被処理水を通過
    させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
    において、一対の給電用電極の付近にそれぞれアース用
    電極を設置する際に、アース用電極を給電用電極間に設
    置されている各固定床間の距離の総和の3倍以上離れた
    位置に設置することを特徴とするアース電極の設置方
    法。
  28. 【請求項28】 複極式固定床型電極に被処理水を通過
    させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
    において、一対の給電用電極の付近にそれぞれアース用
    電極を設置する際に、2つのアース用電極からの配線上
    に抵抗を設け、これを接続してアースすることを特徴と
    するアース電極の設置方法。
  29. 【請求項29】 複極式固定床型電極に被処理水を通過
    させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
    において、被処理水の出口及び入口の配管を導電性素材
    とし、該配管を給電用電極と電気的に接続し、該配管に
    電圧を印加することにより、電解することを特徴とする
    複極式固定床型電極電解槽。
  30. 【請求項30】 複極式固定床型電極に被処理水を通過
    させて電気化学的に処理する複極式固定床型電極電解槽
    において、ガスケットで端部のリークを防止しつつ固定
    床電極を収容する電解槽容器の内壁面を旋盤で加工して
    平滑度を低くし、この電解槽容器を用いて組み立てたこ
    とを特徴とする複極式固定床型電極電解槽。
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