JP2971571B2 - 三次元電極式電解槽 - Google Patents

三次元電極式電解槽

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JP2971571B2 JP34113990A JP34113990A JP2971571B2 JP 2971571 B2 JP2971571 B2 JP 2971571B2 JP 34113990 A JP34113990 A JP 34113990A JP 34113990 A JP34113990 A JP 34113990A JP 2971571 B2 JP2971571 B2 JP 2971571B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、各種電解反応に使用できる炭素電極を使用
する電解槽に関し、より詳細には微生物を含有する各種
被処理水の該微生物に起因する各種性能劣化を抑制する
ために電気化学的処理を行い、あるいはカルキ臭を有す
ることがある上水道から家庭用及び業務用等として供給
される飲料水の電気化学的処理を行って前記カルキ臭を
除くために使用される炭素電極を使用する三次元電極式
電解槽に関する(以下炭素電極を使用する三次元電極式
電解槽を炭素電極式電解槽と呼ぶことがある)。更に詳
細には本発明に係わる炭素電極式電解槽は、発色現像処
理、漂白処理、漂白定着処理、定着処理、安定化処理及
び水洗処理等の写真感光材料処理工程において使用され
る写真処理液、あるいはプール水、製紙洗浄水、熱交換
器冷却水、飲料水、養魚用水及び浴場水等の微生物を含
有する各種被処理水を電気化学的に処理することにより
前記各被処理水中の微生物の滅菌を効果的に行うため
に、あるいは前記飲料水の味覚の改質を行うために使用
される炭素電極式電解槽に関する。
(従来技術) 従来から各種用途に多種類の水溶液や他の物質を溶解
していない単独の水が使用されている。これらの水溶液
等は溶質が適度な養分を提供し、あるいは該水溶液の液
温が繁殖に好ましい比較的高温度であると、細菌等の微
生物が繁殖して該微生物は前記水溶液等に必要な本来の
性能の劣化を起こしたり処理装置内に浮遊したり蓄積し
たりして処理装置の機能を損なうことが多い。
例えば写真感光材料は画像露光の後、ペーパー感光材
料処理の場合は、発色現像、漂白定着、水洗及び/又は
安定化の処理工程を経て処理され次いで乾燥される。そ
してこのような写真処理工程においては、発色現像液、
漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗水等の各種
写真処理液が使用されているが、前記感光材料はゼラチ
ン質や各種無機塩類を含有し微生物繁殖に適した環境を
提供するため、前記写真処理液中に混入した微生物が繁
殖して感光材料処理の効率を低下させるとともに得られ
るプリントに色むらが生じたり黴発生等により画像が汚
染するという欠点が生じている。この微生物繁殖による
写真処理液の劣化の抑制は、従来から殺菌剤や防黴剤の
投入等により前記微生物を滅菌して性能を賦活する方法
が主流であるが、この方法では添加する防黴剤が多量に
必要となり、かつ該防黴剤が写真処理液や前記感光材料
中に残留し易くなり、感光材料に悪影響を及ぼすことが
ある。又前記防黴剤の多くは人体に対して無害とは言い
難く、種々の法規制の下に管理された状態でなければそ
の使用が困難である。又このように選択した防黴剤も暫
くするとその防黴剤に対する抗菌が発生することにな
り、再度この抗菌に対して防黴剤を選択するという煩わ
しい問題が生ずる。
更に夏季スポーツとして最も一般的な水泳の人気は衰
えることなく、幅広い年齢層の人々に親しまれており、
水泳を楽しむために都市部ではプールが多く利用されて
いる。
このプールに使用されるプール水には人体に有害な大
腸菌や細菌類等の微生物が数多く生息し、該プール水は
利用者の眼や傷などに直接接触して疾患を生じさせるこ
とがあるため、プール水には次亜塩素酸ソーダ等の薬剤
を投入して事前に滅菌を行って疾患の発生を防止してい
る。しかしながら前記薬剤として滅菌効果の強い次亜塩
素酸や液体塩素等の塩素系試薬が使用され、該塩素系試
薬はそれ自体あるいは分解物が刺激性を有し、該試薬に
より殺菌等の効果が生じても、該試薬による眼の痛みや
皮膚のかぶれ等の副作用が発生し、特に抵抗力の弱い幼
児の場合は大きな問題となっている。又塩素系試薬は分
解するため永続使用することができず毎日のようにプー
ル水に添加を続ける必要があり、かつプールに使用され
るプール水の量は莫大なものであるため、使用する薬剤
のコストも大きな負担となっている。
更に近年の情報化社会の進展により各種紙類特に高質
紙の需要が増大している。この紙類は製紙用パルプから
各種工程を経て製造されるが、この工程中に製紙前のパ
ルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程がある。該パ
ルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分を含むた
め、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や細菌が多
量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の性能の劣
化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される莫大な量
の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最終製品の
性能劣化を極力防止するようにしている。しかしこの方
法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだけでなく
前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細菌類に起
因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことがあるとい
う問題点がある。
更に近年におけるマンション等の集合住宅あるいは多
数の企業が集合して形成されるビル等の建築物の増加に
伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設備の設置台
数も飛躍的に増加している。このような多数の冷暖房設
備が設置されているマンションやビル等では、通常該冷
暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えばクーリングタ
ワーがその屋上に設置されている。この熱交換器設備の
冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌類等の微生物
が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出して熱交換性能
を悪化させたり、微生物が塊状に発生して配管等を閉蓋
したり熱交換能力を低下させることもある。又多量に発
生する微生物の排棄物により配管や機器に腐食等の重大
な問題を引き起こすことがある。
更に近年の家庭用浴槽の普及や温泉ブームから浴場水
の使用量が増大しているが、該浴場水は40℃前後の微生
物が最も繁殖し易い液温を有するため、入浴に使用せず
に単に放置しておくだけでも微生物が急速に繁殖して汚
染され、使用を継続できなくなり、入浴を繰り返すと人
体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著になる。繁殖し
た微生物は微小であるため濾過操作では除去しにくく、
特に銭湯などではその使用量が膨大であるため、汚染さ
れた浴場水の再生を簡単な処理操作で行うことができれ
ば大幅なコストダウンが可能になる。
更に各種魚類資源として海や川に繁殖している天然の
魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類が注目さ
れ、養殖魚が市場に数多く供給されている。養殖場にお
けるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に含まれる
細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、あるいは魚類に付
着してその商品価値を低下させる等の悪影響を抑制する
ために殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微生物を死
滅させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量に添加さ
れ、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に抑えるた
めにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与され、そ
の上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育される魚
類は餌の量に比較して人工的に投与される各種薬剤、ビ
タミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類の体内に
蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚類が市場
に供給されることになる。
更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水された水を浄水
場で滅菌処理した後、各家庭や飲食店等に上水道を通し
て供給される。飲料水の前記滅菌は塩素ガスによる処理
が一般的であるが、該塩素処理によると飲料水の滅菌は
比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響により処理
された飲料水に異物質が混和したような違和感が生じて
天然の水の有するまろやかさが損なわれるという欠点が
生ずる。
飲料水は人間の健康に直結するもので、それに含有さ
れる細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つまり微生物の死滅除
去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方法としては前述の
塩素による方法が主流である。しかし都市部の水道滅菌
はその原水となる河川水、湖水等が各種有機物等で汚染
され微生物の死滅に必要な量以上の塩素を添加するた
め、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオン及び残留塩素
等の有効塩素成分を生起するという弊害を生じている。
該塩素法による前記欠点を解消するために、塩素法以外
の殺菌方法が提案されている。
例えば前記飲料水をオゾン添加処理や活性炭吸着処理
することにより改質する方法が提案されているが、処理
すべき飲料水が例えば浄水場の水である場合には処理量
が莫大である。又浄水場で処理しても水道管末端の蛇口
に至るまでに再度微生物が繁殖するという問題がある。
このように飲料水等の従来の改質処理方法は、主とし
て塩素法によるものであり、該方法では次亜塩素酸イオ
ンが生成しあるいは塩素ガスが残留していわゆるカルキ
臭が生じ、処理後の飲料水等の味が悪くなるという欠点
があり、このカルキ臭を除去するに該カルキ臭源である
次亜塩素酸イオン(有効塩素)を活性炭等に吸着させ、
かつ活性炭の構成成分である炭素を酸化することで有効
塩素を還元処理する方法が使用されている。
しかしこの方法では、活性炭の吸着能力の限界があ
り、しばらく使用すると有効塩素分解が生じなくなると
いう寿命の点で致命的な欠点があり、又活性炭の交換と
いった煩雑な操作とコストが必要であるとともに、完全
なカルキ臭の除去が達成できないことがある。
従って前述の通り人体に有害な有機塩素化合物や飲料
水の味を損ない易い次亜塩素酸イオン等を生じさせ易い
塩素処理に代わり得る人体に害がなくかつ天然水に近い
味を有する飲料水の処理方法が要請されている。
これらの現象を防止するために従来は防黴剤や沈澱抑
制剤等の各種薬剤を被処理水中に投入したり各種フィル
タを配管途中に設置したりしているが、前記薬剤投入は
前述の通り薬剤の残留による被処理水への悪影響や薬剤
使用のコスト面での問題点が指摘されている。更に添加
薬剤に対する抗菌が暫くすると発生し、次の薬剤を検討
する必要が生ずるという問題点を抱えている。
このような従来技術の欠点を解消するために、本出願
人は前記各被処理水を電気化学的に処理することにより
該被処理水の滅菌やカルキ臭の除去を行う方法を提案し
た(特願平1−326846号、特願平2−236723号)。この
方法による電気化学的処理では薬剤等の被処理水中への
残存を生じさせることなく確実に被処理水の改質を行う
ことができる。この電気化学的処理では使用する電極は
特に限定されないが、人体に有害な物質を含まず、安価
であり、細菌類が吸着し易くかつ過電圧が高く酸素発生
等の不必要な反応を抑制する等の理由から炭素電極を使
用することが望ましい。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、該炭素電極はこれらの有利な点を有す
る反面、酸素発生により消耗し易いという欠点を有し、
長期間使用を継続すると徐々に消耗して極間距離が増加
して電圧が増大したり崩壊した炭素粒子が処理液中に流
出するなどの問題が生じ、最終的には交換しなければな
らなくなる。この電極の交換は一般的に電解槽全体を分
解して行うことが必要であり、非常に煩雑な操作となり
作業性が著しく低下する。
(発明の目的) 本発明は、前述の従来技術の欠点を解消し、炭素電極
の長所を生かしながら炭素電極の有する耐消耗性を最大
限に向上させた炭素電極式電解槽を提供することを目的
とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、固定床型多孔質三次元炭素電極を使用する
電解槽において、該炭素電極の少なくとも陽分極する部
分に接触させて該炭素電極より過電圧の低い材料から成
りその開孔率が80%以下である補助電極を設置したこと
を特徴とする三次元電極式電解槽である。なお本発明で
は電極表面上で実質的な酸化還元反応のような電気化学
反応を生起していないことがあるので本発明に係わる槽
は電気化学的処理装置というべきであるが、一般呼称に
従って電解槽と称する。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明による電解槽で電解液の電解や被処理水処理を
行うためには該電解液あるいは被処理水が電極と可能な
限り接触することが必要であり、これを達成するために
は電解液又は被処理水の前記電極内の滞留時間をなるべ
く長く、換言すると被処理水が可能な限り前記電極の内
部に浸透しかつ透過することが必要である。電解液や被
処理水を電極内に浸透させ電気化学的反応を生起させる
ためには、該電極材料の導体抵抗が小さくかつ広い範囲
で電解反応を生起させるためにその電解反応の過電圧が
高いことが望ましい。つまり導体抵抗が小さいと電流が
電極全体に均一に分散でき、過電圧が大きいと表面だけ
でなく内部でも所定の反応が生じ易くなるのである。過
電圧が低いと対極に面した電極表面のみで反応が生ずる
ため多孔質電極を使用してその反応表面積を広げる意味
が減殺される。
本発明の電解槽の炭素電極を構成する炭素系材料はこ
の要件つまり導体抵抗が小さく過電圧が高いという要件
を満足する材料である。更に該炭素系材料は毒性が全く
なくかつイオンやその水酸化物を形成しないため飲料水
等の体内に摂取される被処理水の処理用として望まし
い。又表面積が莫大であり電解質や微生物あるいは有効
塩素成分が接触する機会が非常に大きくなるとともに吸
着能力も作用して処理効率が大幅に上昇する。更に炭素
系材料は安価であり、他の金属材料極と異なり電解を停
止しても腐食が生じないため、経済的にも操作性の面か
らも有利である。
本発明に係わる電解槽は、炭素材料の有する通常の耐
消耗性で支障の生じない各種電解反応例えば陽極におい
て過激な酸素ガス発生が起こらない電解反応に使用する
ことができる。この電解槽は特に被処理水の滅菌や飲料
水中のカルキ臭除去に有効であり、写真処理液等の各種
被処理水やカルキ臭を有する飲料水を前記炭素電極を使
用する三次元電極式電解槽に供給し該電解槽に直流又は
交流電圧を印加し前記被処理水中の微生物の滅菌処理や
飲料水中のカルキ臭成分の分解を行うことができる。な
お上記微生物には、細菌(バクテリア)、黴、酵母、変
形菌、単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれ、
カルキ臭の主成分は通常塩素又は次亜塩素酸塩である有
効塩素成分である。
前記被処理水のうち写真処理液は適度の塩類、ゼラチ
ン等の栄養源を有しかつ適度な温度に維持されるので、
前記写真処理液中で黴や細菌等が繁殖し易く、又製紙洗
浄水も同様に適度の養分と適度の温度を有して微生物の
繁殖に最適な環境となっている。更に家庭用浴槽や銭湯
で使用される浴場水は最も微生物の繁殖に適した35〜45
℃の温度に維持されるため僅少量の微生物が短時間で莫
大な数に繁殖する。これら写真処理液等以外の被処理水
も微生物も含む雰囲気に接触して微生物が該被処理水内
に取り込まれ繁殖して、前述した通りの不都合が生ずる
ことになる。
前記被処理水を前記炭素電極式電解槽に供給すると、
該被処理水中の微生物は液流動による拡散及び移動によ
って前記電解槽の陽極や陰極に接触しそれらの表面で強
力な酸化還元反応を受けたり高電位の電流に接触し、そ
の活動が弱まったり自身が死滅して滅菌が行われると考
えられる。
この被処理水が有効塩素成分を含む飲料水であると、
該飲料水が炭素電極に十分接触することにより前記有効
塩素成分が前記炭素電極に接触して電気化学的に還元分
解されて前記飲料水からカルキ臭が除去される。
つまり炭素電極との接触により被処理水中の有効塩素
成分の主成分である次亜塩素酸イオンは次の式に従って
塩素イオンと水に分解される。
ClO-+2H++2e-→Cl-+H2O 更に被処理水中の残留塩素は炭素電極に接触し次の式
に従って塩素イオンに還元される。
Cl2+2e-→2Cl- 本発明の電解槽により好適にカルキ臭が除去される被
処理水としては人体に摂取される飲料水や食品処理水が
あり、飲料水は上水道を流れて家庭や飲食店等の水道の
蛇口から抽出される水道水等を含み、食品処理水として
は生鮮食品の洗浄水や豆腐等の含水食品に含有される水
等が含まれる。
本発明に係わる炭素電極式電解槽は、固定床型三次元
電極電解槽つまり固定床型単極式電解槽及び固定床式複
極式電解槽であり、これらの電解槽では該電解槽の多孔
質三次元炭素電極が莫大な表面積を有するため電極表面
と写真処理液等の被処理水との接触面積を増大させるこ
とができ、これにより装置サイズを小さくし、かつ電気
化学的処理の効率を上げることができる点で有利であ
る。
本発明の炭素電極式電解槽のうち固定床型複極式電解
槽における電極は一般に多孔質三次元炭素電極、補助電
極及び給電用電極を含み、該炭素電極は前述の使用する
電解槽に応じた形状を有している。前記炭素電極は、前
記被処理水が透過可能な多孔質炭素材料、例えばフェル
ト状、織布状、多孔質ブロック状等の形状を有する活性
炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素系材料、あるいは
該炭素系材料に貴金属のコーティングを施した材料から
形成されることができ、このような材料から成る1個又
は複数個の誘電体を直流又は交流電場内に置き、両端に
設置した平板状又はエキスパンドメッシュ状やパーフォ
レーティッドプレート状等の多孔板体から成る給電用電
極間に直流電圧あるいは交流電圧を印加して前記誘電体
を分極させ該誘電体の一端及び他端にそれぞれ陽極及び
陰極を形成させて成る三次元電極を収容した固定床型複
極式電解槽とすることが可能である、この他に単独で陽
極としてあるいは陰極として機能する三次元材料を交互
に短絡しないように設置しかつ電気的に接続して固定床
型複極式電解槽とすることができる。なお炭素電極を分
極させて使用する場合の炭素質材料(誘電体)はその誘
電率が高いほど分極度が高いので有効に陽陰極が生成
し、被処理水の処理を効率良く行うことができる。従っ
て固定床として使用する炭素質材料はその体積抵抗率が
1×10-6Ω・cmより大きな材料が好ましい。
前記誘電体として活性炭、グラファイト、炭素繊維等
の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸素ガスを発生させ
ながら被処理水を処理する場合には、前記誘電体が酸素
ガスにより酸化され炭酸ガスとして溶出し易くなる。本
発明の電解槽で使用する補助電極はこの誘電体の溶解を
防止するためのものであり、該誘電体の陽分極する側に
例えばチタン等の基材上に白金、酸化イリジウム、酸化
ルテニウム等の白金族金属又はその酸化物を被覆し通常
不溶性金属電極として使用され炭素系材料より過電圧特
に酸素発生に対する過電圧の低い多孔質材料から成る補
助電極を接触又は近接状態で設置し、酸素発生が主とし
て該補助電極上で生ずるようにて炭素電極である誘電体
の溶出を抑制する。
又固定床型単極式電解槽を使用する場合には、単独で
陽極としてあるいは陰極として機能する炭素系材料が少
なくとも陽極又は陰極のいずれかとして機能するように
隔膜を介してあるいは介さずに電解槽内に設置し、好ま
しくは陽極として機能する側の炭素電極の表面に接触あ
るいは近接状態で前述の補助電極を設置して前記炭素電
極の溶出を同様にして防止する。
この補助電極の開孔率が大きすぎると十分な溶出抑制
効果が発現されないため該補助電極の開孔率は80%以下
として前記炭素電極の溶出による劣化を防止する。又開
孔率が小さすぎると圧力損失が大きくなり被処理水の円
滑な流通が阻害されるため、補助電極の開孔率は10%以
上とすることが望ましい。
前記補助電極は炭素電極と密着させて好ましくは加圧
密着させて使用することが望ましく、例えば0.1kg/cm2
以上の接触圧が生ずるよう加圧する。これにより炭素電
極と補助電極が電気的に接続され、例えば水電解による
陽極上での酸素ガス発生が過電圧の低いつまり酸素ガス
が発生し易い補助電極上で生じ炭素電極上では殆ど生じ
ないため炭素電極の溶出が抑制されて長期間に亘って炭
素電極を消耗させることなく電解あるいは電気化学的処
理を継続することが可能になる。
いずれの形態の電極を使用する場合でも、処理すべき
被処理水が流れる電解槽内に液が電極や誘電体や微粒子
に接触せずに流通できる空隙があると被処理水の処理効
率が低下するため、電極等は電解槽内の被処理水の流れ
がショートパスしないように配置することが望ましい。
前記電解槽内を隔膜で区画して陽極室と陰極室を形成
しても、隔膜を使用せずにそのまま通電を行うこともで
きるが、隔膜を使用せずかつ電極の極間距離あるいは誘
電体と電極、又は誘電体相互の間隔を狭くする場合には
短絡防止のため電気絶縁性のスペーサとして例えば有機
高分子材料で作製した網状スペーサ等を両極間あるいは
前記誘電体間等に挿入することができる。又隔膜を使用
する場合には流通する被処理水の移動を妨害しないよう
に多孔質例えばその開口率が10%以上95%以下好ましく
は20%以上80%以下のものを使用することが望ましく、
該隔膜は少なくとも前記被処理水が透過できる程度の孔
径の微細孔を有していなければならない。
本発明の電解槽を被処理水の滅菌や被処理水中のカル
キ臭除去に使用する場合には、被処理水中の微生物ある
いは有効塩素成分を含む被処理水が電圧が印加された炭
素電極に接触すれば充分であり、両極間に電流を流して
水素及び酸素等のガス発生を伴う実質的な電解反応を生
起させることは必須ではなく、むしろ実質的な電解反応
が生じない低い電位を電極表面に印加することが好まし
い。これは第1に酸素ガス発生により炭素電極の消耗が
促進されるからであり、又第2に実質的な電解反応が生
じた場合に被処理水成分にガス発生に起因する化学的変
化を与えてしまい、これにより複雑な作用が写真処理液
等の被処理液に起こることがあり、一定の処理性能を常
に維持することが難しくなるからである。更に第3の微
生物の滅菌等以外のガス発生反応に無駄な電力を使うこ
とになり不経済でだからであり、又それら発生ガスが電
極表面上を覆ってしまい微生物等が電極表面と接触する
効率も低下させ滅菌効率を悪くすることがある。
従って本発明の電解槽を使用して電気化学的処理を行
う場合には、印加電位を陽極電位が実質的な酸素発生を
伴わず、実際に効率良く処理が行われていることを確認
するために最小限の電流を流し、僅少量のガスを発生さ
せることのできる+0.2〜+1.2V(vs.SCE)、陰極電位
が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0V(vs.SCE)と
なるようにすることが望ましく、炭素電極は僅少量の発
生酸素ガスによっても消耗するため前記補助電極を設置
してこの消耗を抑制する。
このような電解槽を使用して被処理水の処理を行う
と、多くの場合該電解槽を1回通化させるのみでつまり
一過性処理(ワンパス処理)で十分被処理水の処理を行
うことができ、操作効率が向上する。
なお、本発明に係わる炭素電極式電解槽では、該電解
槽に漏洩電流が生じ該漏洩電流が電解槽から写真処理液
等の被処理水を通して他の部材例えば写真処理槽に流れ
込み、該写真処理槽中で好ましくない電気化学反応を誘
起したり、写真処理槽の壁面を電気化学的に腐食させ壁
面構成材料を溶出させることがあるため、電解槽内の陽
陰極が相対しない電極背面部及び/又は前記電解槽の出
入口配管内に、前記被処理水より導電性の高い部材をそ
の一端を接地可能なように接地して前記漏洩電流を遮断
することができる。
前述の説明では本発明の電解槽を主として滅菌用及び
有効塩素成分除去用として説明したが、本電解槽の用途
はこれらの限定されるものではなく通常の電解反応にも
使用することができる。
次に添付図面に基づいて本発明に係わる炭素電極式電
解槽の好ましい例を説明するが、本発明の電解槽は、こ
れらの電解槽に限定されるものではない。
第1図は、本発明に係わる炭素電極式電解槽である固
定床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
上下にフランジ1を有する円筒形の電解槽本体2の内
部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の給電
用陽極ターミナル3と給電用陰極ターミナル4が設けら
れている。電解槽本体2は、長期間の使用又は再度の使
用にも耐え得る電気絶縁材料で形成することが好まし
く、特に合成樹脂であるポリエピクロルヒドリン、ポリ
ビニルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化エチレン、フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂等が好ましく使用できる。正の直
流電圧を与える前記陽極ターミナル3は、例えば炭素材
(例えば活性炭、炭、コークス、石炭等)、グラファイ
ト材(例えば炭素繊維、カーボンクロス、グラファイト
等)、炭素複合材(例えば炭素に金属を粉状で混ぜ焼結
したもの等)、活性炭素繊維不織布(例えばKE−1000フ
ェルト、東洋紡株式会社)、又はこれに白金、白金、パ
ラジウムやニッケルを担持させた材料、更に寸法安定性
電極(白金族酸化物被覆チタン材)、白金被覆チタン
材、ニッケル材、ステンレス材、鉄材等から形成され
る。又陽極ターミナル3に対向し負の直流電圧を与える
陰極ターミナル4は、例えば白金、ステンレス、チタ
ン、ニッケル、銅、ハステロイ、グラファイト、炭素
材、軟鋼あるいは白金族金属をコーティングした金属材
料等から形成されている。
前記両電極ターミナル3、4間には複数個の図示の例
では3個のスポンジ状で活性炭、グラファイト、炭素繊
維等の炭素系材料から成る固定床5が積層され、かつ該
固定床5間及び該固定床5と前記両電極ターミナル3、
4間に4枚の多孔質の隔膜あるいはスペーサー6が挟持
され、かつ前記固定床5の前記陰極ターミナル4側つま
り陽分極する側つまり最も激しく酸素ガスが発生する箇
所にチタン等の基材上に白金族金属酸化物を被覆した不
溶性金属材料から成る補助電極7が密着状態で設置され
ている。
このような構成から成る電解槽に下方から矢印で示す
ように例えば写真処理工程の水洗工程からの水洗水を供
給しながら通電を行うと、前記各固定床5が図示の如く
下面が正に上面が負に分極して固定床5内及び固定床5
間に電位が生じ、該電解槽内を流通する水洗水はこの電
位を有する固定床5に接触してその中に含有される黴や
細菌の滅菌等の改質処理が行われて該電解槽の上方から
取り出され、該水洗水は再度水洗工程へ循環供給され再
度水洗水として使用される。そして前記補助電極7の過
電圧が固定床5を形成する炭素系材料の過電圧より低い
ため殆どの酸素ガスが補助電極7から発生し固定床5は
殆ど酸素ガスと接触しなくなるため、前記固定床5の溶
解は効果的に抑制される。
第1図に示した電解槽は、写真処理液の他に、前述の
プール水をはじめとする他の被処理水についても同様に
して使用することができる。
第2図は、本発明に係わる炭素電極式電解槽である固
定床型単極式電解槽の第1の例を示す概略縦断面図であ
る。
底板中央に被処理水供給口11を、又天板中央に被処理
水取出口12をそれぞれ有する円筒状の電解槽本体13内の
下部には、炭素質材料から形成される短寸円柱形の多孔
質固定床型炭素陰極14が前記本体13の内壁と僅かな間隙
を形成するように収容され、該陰極14の上面には密着状
態で多孔質の補助電極15が設置され、更に該補助電極15
の上方には若干の間隔を介して例えばメッシュ状の白金
族金属酸化物被覆チタン材から成る陽極16が収容されて
いる。
このような構成から成る電解槽本体13は例えば水道配
管の途中や水道の蛇口に設置され、該本体13にその被処
理水供給口11から、次亜塩素酸イオン等の有効塩素成分
を含有する飲料水を供給すると、該飲料水は多孔質陰極
14の下面に接触し、更に該陰極14内を透過しその間に十
分に次亜塩素酸イオンや塩素イオン等の有効塩素成分が
分解あるいは還元されて塩素イオンに変換されカルキ臭
が除去された後、前記被処理水取出口12から槽外へ取り
出される。なお本電解槽では液流が上向きであるため、
電解反応によって微量発生する水素ガスや酸素ガスが容
易に液流とともに電解槽外へ排出される。
この場合に飲料水中の次亜塩素酸イオン等は十分に陰
極13と接触しかつ前記分解又は還元反応は電気化学の法
則に従って進行する。そして前述の通り水電解により陰
極16で発生する酸素ガスは殆どの場合陰極13と接触する
ことはない。しかしこの電解槽では陽陰極を逆転させて
通電を行うことがありその場合図示の陰極13が陽極とし
て機能して酸素ガスの発生が生ずることがあり、その場
合には前記補助電極15の過電圧が高いため前記酸素ガス
の殆どが補助電極15から発生し炭素電極の溶出が防止さ
れる。
第3図は、本発明に係わる炭素電極式電解槽である固
定床型単極式電解槽の第2の例を示す概略縦断面図であ
る。
上面が開口する円筒箱型の電解槽本体21の内部中央に
は棒状の陽極22が設置され、かつ該陰極22の周囲には間
隙を介してドーナツ状の炭素系材料から成る陰極23が、
前記本体21の内下面とOリング24を介して接触するよう
に収容されている。この陰極23の前記陽極22方向を向く
内周面には多孔質の不溶性金属材料等から成る補助電極
25が密着状態で設置されている。前記本体21の側面上外
端部には螺部26が形成され、該螺部26には周縁部が下向
きに折曲された円板状蓋体27の前記折曲部内面に形成さ
れた螺部が螺合されかつ前記本体21の側面上部及び蓋体
27内面間に配設されたOリング28により密封状態を形成
している。前記蓋体27の上面中央には被処理水取出口29
が又該蓋体27の該取出口29のやや円周側には被処理水供
給口30が設置され、該蓋体27下面と前記陰極23上面間に
はOリング31が配設されている。
このような構成から成る電解槽本体21にその被処理水
供給口30から、飲料水等の被処理水を供給すると、該被
処理水は前記陰極23の周囲から該陰極23を透過して有効
塩素成分の分解又は還元あるいは微生物の滅菌等が行わ
れた後、該ドーナツ状陰極23の内部に達し、該空間を上
昇して前記被処理水取出口29から槽外に取り出される。
この電解槽でも第2図の電解槽と同様に、酸素ガスが
発生する場合でもその殆どが補助電極25面で発生し、炭
素系材料から成る電極23から発生しないため該電極23の
溶出を抑制して長寿命化を図ることができる。
第4図は、本発明に係わる炭素電極式電解槽である固
定床型単極式電解槽の第3の例を示す概略縦断面図であ
る。
底板中央に被処理水供給口41を、又天板中央に被処理
水取出口42をそれぞれ有する円筒状でその内壁面が陽極
としての機能を有する電解槽本体43内の内部には、その
上面に邪魔板44が該本体43の内上面との間に若干の間隙
が形成されるように一体的に設置されかつその周囲に不
溶性金属材料等から成る多孔質の補助電極45が密着状態
で設置された円柱形の炭素系材料から成る陰極46が収容
され、該陰極46にはその下面中央から切込み47が切設さ
れ該切込み47は前記邪魔板44の若干下方に達している。
該陰極46の下面と前記本体43の内下面との間にはOリン
グ48が設置されて被処理水の該間隙への漏入を防止して
いる。
このような構成から成る電解槽本体43にその被処理水
供給口41から、被処理水を供給すると、該飲料水は前記
Oリング48により本体43内下面と陰極46下面間の間隙を
通過することが抑止されるため、前記切込み47内を上昇
した後、前記陰極46を透過して該陰極46の外周面に達し
更に上昇して前記邪魔板44の上面の間隙を通って前記被
処理水取出口42から槽外に取り出される。
この電解槽でも第2図及び第3図の電解槽と同様に、
酸素ガスが発生する場合でもその殆どが補助電極45面で
発生し、炭素系材料から成る電極46から発生しないため
該電極46の溶出を抑制して長寿命化を図ることができ
る。
第5図は、本発明に係わる炭素電極式電解槽である固
定床型単極式電解槽の第4の例を示す概略縦断面図であ
る。
有底円筒形の電解槽本体51の底板52中央に穿設された
通孔53を通して給電用ボルト54が螺合され、該給電用ボ
ルト54には前記底板52上の絶縁体55を介して陽極基部56
が螺合され、更に該陽極基部56の上周縁部には、メッシ
ュ状円筒形の陽極57が溶接等により固定されている。前
記底板52には、前記通孔53の他に2個の通孔58が前記通
孔53から等間隔で穿設され、該通孔58にはそれぞれ給電
用長寸ボルト59が螺合されている。前記底板52上には、
前記通孔53を中心としかつ前記両通孔58を通るように短
寸ドーナツ状の絶縁体60が配置され、該絶縁体60上には
平面形状が該絶縁体60と同一である炭素系材料から成る
長寸ドーナツ状の陰極61が設置され、該陰極61は前記絶
縁体60とともに前記給電用長寸ボルト59により前記底板
52に締着され、かつ前記陰極61の周囲に不溶性金属材料
等から成る多孔質の補助電極62が密着状態で設置されて
いる。なお63は電解槽本体51の側面下部に横向きに形成
された被処理水取出口である。
前記装置本体51の上周縁部には内向き膨出部64が形成
され該膨出部64の上面にはパッキング65が配置され、か
つ中央上面に被処理水供給口66が上向きに形成された円
板状の蓋体67の周縁部と前記膨出部64とがねじ68により
締着されている。前記蓋体67下面及び陰極61上面の対向
箇所にはそれぞれ平面視円周形のV字溝69が刻設され、
両V字溝69間にはOリング70が配設されている。
このような構成から成る電解槽本体51の両極57、61間
に通電しながら被処理水供給口66から飲料水等の被処理
水を供給すると、該被処理水は中央の前記メッシュ状陽
極57を通過した後、前記陰極61の内周面に達し、該陰極
61内を通過する際に十分に改質処理が行われて該陰極61
の外周面に達し、前記被処理水取出口63から槽外に取り
出される。
この電解槽でも同様に炭素系材料から成る電極61の溶
出が効果的に抑制される。
(実施例) 以下に本発明に係わる炭素電極式電解槽を使用する被
処理水処理の実施例を記載するが、該実施例は本発明を
限定するものではない。
実施例1 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ50mm、内径50
mmの第1図に示した電解槽を使用して試験用被処理水の
処理を行った。該電解槽内には、炭素繊維から成る開孔
率60%で直径49mm、厚さ10mmの固定床3個を、各固定床
の下面に直径49mm、厚さ1mmでチタン板に白金を被覆し
て成る補助電極を密着設置した状態で収容した。この固
定床を開孔率85%で直径50mm、厚さ1mmのポリエチレン
樹脂製スペーサ4枚で挟み込んだ。通電開始前の前記4
個の固定床の乾燥時の平均重量は78.5gであった。前記
試験用被処理水は水道水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液
を添加して有効塩素成分濃度が5ppmとなるように調製し
た。
被処理水供給量を2.5/分に、初期電圧値を20.0V
に、電流値を60mAにそれぞれ固定し、該電解条件下で被
処理水処理を行い、電圧値の経時変化を測定したところ
第1表に示す結果が得られた。
通電開始後、600時間で通電を停止した電解槽を分解
して4個の固定床を取り出して乾燥後重量を 測定したところ、平均重量は78.4gで殆ど変化はなかっ
た。又各固定床を肉眼で観察したが変化は見られなかっ
た。
比較例1 補助電極を設置しながったこと以外は実施例1と同様
の操作で試験用被処理水の処理を行った。該操作におけ
る電圧の経時変化を第1表に示す。
又実施例1と同様にして測定した乾燥後の固定床の平
均重量は62.7gで、各固定床の陽分極する面に溶出によ
ると思われる凹凸が形成されていた。
実施例1と比較例1との比較により、補助電極を使用
すると炭素系材料から成る固定床の陽分極側の溶出が抑
制され、長期間に亘って低い電解電圧で安定した操業を
行えることが判る。
実施例2 補助電極と多孔質三次元電極(固定床)の接触圧の違
いによる導体抵抗の相違を検討した。
試験装置として第6図に示す装置を使用した。基台71
上に載置された縦5cm、横5cm、厚さ2cmの多孔質グラフ
ァイト板72(東洋カーボン株式会社製、G−50グラファ
イト)の上部に、縦4cm、横4cm、厚さ1mmの補助電極73
(孔の長径8mm、孔の短径4mm、厚さ1mmのチタン製エク
スパンドメッシュ)を重ね、更にその上に塩化ビニル製
樹脂板74を介して分銅74を置き、この分銅74を重さを変
えることにより、前記グラファイト板72と補助電極73の
接触圧を変化させた。
第6図に示すように前記グラファイト板72と補助電極
73を整流器76の正負端子に接続し、定電流0.5Aが流れる
際の電圧値を電圧計77を用いて各々の荷重時に測定し、
第7図のグラフに纏めた。
第7図のグラフからグラファイト板72と補助電極73と
の接触圧が0.1kg/cm2未満では接触圧の上昇ルテニウム
従って電圧が減少するが0.1kg/cm2以上では電圧に殆ど
影響しないことが判った。
実施例3 実施例1で使用した電解槽を使用し、設置する補助電
極の開孔率を第2表に示すように変化させ試験用被処理
水として水道水を使用したこと以外は同様の条件で試験
用被処理水の処理を行い、200時間運転後の固定床の炭
素繊維の消耗、50mAの電流値を得るための電解電圧値及
び電解槽通過の際の圧力損失をそれぞれ測定した。その
結果を第2表に示した。
第2表から補助電極の開孔率が10%未満であると圧力
損失が大きくなり、又80%を越えると炭素繊維の消耗が
生じ始めることが判る。
(発明の効果) 本発明の炭素電極式電解槽は、固定床型多孔質三次元
炭素電極の少なくとも陽分極する部分に該炭素電解槽よ
り酸素発生反応における過電圧の小さい材料から成りそ
開孔率が80%以下である補助電極を接触状態で設置した
ことを特徴とする三次元電極式電解槽である(請求項
1)。
飲料水等の被処理水を本発明の電解槽により処理する
と、該被処理水中に含有される微生物や有効塩素成分等
が炭素電極表面に十分接触して滅菌、分解又は還元され
て微生物や有効塩素成分がほぼ完全に除去されて微生物
や有効塩素成分を殆ど含まない被処理水を得ることがで
きる。
防黴剤添加や活性炭処理を主とする従来の被処理水処
理と異なり、本発明では電気化学の法則を利用している
ため、確実に微生物を滅菌しあるいは有効塩素成分を分
解あるいは還元して無味無臭の塩素イオンに変換するこ
とができ、しかも電解槽内の部材の消耗が殆ど無く、長
期間に亘って被処理水の処理を継続することができる。
特に本発明では炭素電極を使用し、該炭素質材料から
成る電極は、前述の通り表面積が莫大であり有効塩素成
分が接触する機会が非常に大きくなるだけでなく、導体
抵抗が小さく電極の広い範囲で電解反応を生起させるた
めのその電解反応の過電圧が大きいという要件を満足す
るため、被処理水の電極内部への浸透を促進し多孔質陰
極の全面で被処理水の処理を行うことを可能にするため
他の材料と比較して処理効率が大幅に向上する。更に該
炭素系材料は毒性が全くなくかつイオンやその水酸化物
を形成しないため飲料水等の体内に摂取される被処理水
の処理用として好ましい。又炭素系材料は安価であり、
他の金属材料極と異なり電解を停止しても腐食が生じな
いため、経済的にも操作性の面からも有利である。
本発明の電解槽ではこのような特性を有する炭素電極
に密着させてあるいは僅少の距離を隔てて前記炭素電極
の過電圧より低い過電圧を有する不溶性金属材料から成
る補助電極を設置しているため、酸素ガス等の発生があ
る場合でも前記補助電極上で選択的にガス発生が起こり
酸素ガス等に対する耐消耗性に劣る炭素電極の溶出によ
る劣化を防止することができ、該炭素電極の有する電解
特性を最大限活かしながらその欠点である耐消耗性を最
小限に抑制したまま被処理水を処理を行うことが可能に
なる。前記炭素電極の溶出を十分に抑制するために前記
補助電極の開孔率は80%以下とする。又被処理水の円滑
な流通を確保するため該開孔率は10%以上とすることが
望ましい。
前記補助電極は炭素電極に加圧状態で好ましくは0.1k
g/cm2以上で接触圧で密着させると(請求項2)有効に
炭素電極上で前記処理を行うことができる。
前述の通り補助電極は過電圧が炭素電極の過電圧より
低い耐消耗性に優れた材料であり、このような材料とし
ては例えばチタン等の基材上に白金族金属やその酸化物
を被覆した不溶性金属がある(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係わる炭素電極式電解槽の固定床複
極式電解槽の一例を示す概略縦断面図、第2図、第3
図、第4図及び第5図は、それぞれ本発明に係わる炭素
電極式電解槽の固定床単極式電解槽の第1、第2、第3
及び第4の例を示す概略縦断面図、第6図は実施例2で
使用した測定装置の概略図、第7図は第6図の測定装置
で測定された接触圧と電圧の関係を示すグラフである。 2……電解槽本体、3……給電ターミナル 4……給電ターミナル、5……固定床 7……補助電極、11……被処理水供給口 12……被処理水取出口、13……電解槽本体 14……炭素陰極、15……補助電極 16……陽極、21……電解槽本体 22……陽極、23……炭素陰極 25……補助電極、29……被処理水取出口 30、41……被処理水供給口 42……被処理水取出口、43……電解槽本体 45……補助電極、46……炭素陰極 51……電解槽本体、57……陽極 61……炭素陰極、62……補助電極 63……被処理水取出口、66……被処理水供給口 72……グラファイト板、73……補助電極 75……分銅、76……整流器 77……電圧計

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定床型多孔質三次元炭素電極を使用する
    電解槽において、該炭素電極の少なくとも陽分極する部
    分に接触させて該炭素電極より過電圧の低い材料から成
    りその開孔率が80%以下である補助電極を設置したこと
    を特徴とする三次元電極式電解槽。
  2. 【請求項2】補助電極と炭素電極の接触圧が0.1kg/cm2
    以上である請求項1に記載の三次元電極式電解槽。
  3. 【請求項3】補助電極を構成する材料が不溶性金属電極
    である請求項1又は2に記載の三次元電極式電解槽。
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