JP3178728B2 - 三次元電極式電解槽 - Google Patents

三次元電極式電解槽

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JP3178728B2 JP08360891A JP8360891A JP3178728B2 JP 3178728 B2 JP3178728 B2 JP 3178728B2 JP 08360891 A JP08360891 A JP 08360891A JP 8360891 A JP8360891 A JP 8360891A JP 3178728 B2 JP3178728 B2 JP 3178728B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的大径の三次元電
極を使用する場合でも各種電気化学反応を効率的かつ安
定して行うことのできる三次元電極式電解槽に関し、よ
り詳細には微生物を含有する各種被処理水の該微生物に
起因する各種性能劣化を抑制するために電気化学的処理
を行い、あるいはカルキ臭やカビ臭成分を有することが
ある上水道から家庭用及び業務用等として供給される飲
料水の電気化学的処理を行って前記カルキ臭やカビ臭成
分を除くために使用される三次元電極全体に効率良く電
流を供給できる三次元電極式電解槽に関する。更に詳細
には本発明は、発色現像処理、漂白処理、漂白定着処
理、定着処理、安定化処理及び水洗処理等の写真感光材
料処理工程において使用される写真処理液、あるいはプ
ール水、製紙洗浄水、熱交換器冷却水、飲料水、養魚用
水及び浴場水等の微生物を含有する各種被処理水を電気
化学的に処理することにより前記各被処理水中の微生物
の滅菌を効果的に行うために、あるいは前記飲料水の味
覚の改質を行うために使用される炭素電極式電解槽に関
する。
【0002】
【従来技術】従来から各種用途に多種類の水溶液や他の
物質を溶解していない単独の水が使用されている。これ
らの水溶液等は溶質が適度な養分を提供し、あるいは該
水溶液の液温が繁殖に好ましい比較的高温度であると、
細菌等の微生物が繁殖して該微生物は前記水溶液等に必
要な本来の性能の劣化を起こしたり処理装置内に浮遊し
たり蓄積したりして処理装置の機能を損なうことが多
い。
【0003】例えば写真感光材料は画像露光の後、ペー
パー感光材料処理の場合は、発色現像、漂白定着、水洗
及び/又は安定化の処理工程を経て処理され次いで乾燥
される。そしてこのような写真処理工程においては、発
色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗
水等の各種写真処理液が使用されているが、前記感光材
料はゼラチン質や各種無機塩類を含有し微生物繁殖に適
した環境を提供するため、前記写真処理液中に混入した
微生物が繁殖して感光材料処理の効率を低下させるとと
もに得られるプリントに色むらが生じたり黴発生等によ
り画像が汚染するという欠点が生じている。この微生物
繁殖による写真処理液の劣化の抑制は、従来から殺菌剤
や防黴剤の投入等により前記微生物を滅菌して性能を賦
活する方法が主流であるが、この方法では添加する防黴
剤が多量に必要となり、かつ該防黴剤が写真処理液や前
記感光材料中に残留し易くなり、感光材料に悪影響を及
ぼすことがある。又前記防黴剤の多くは人体に対して無
害とは言い難く、種々の法規制の下に管理された状態で
なければその使用が困難である。又このように選択した
防黴剤も暫くするとその防黴剤に対する抗菌が発生する
ことになり、再度この抗菌に対して防黴剤を選択すると
いう煩わしい問題が生ずる。
【0004】更に夏季スポーツとして最も一般的な水泳
の人気は衰えることなく、幅広い年齢層の人々に親しま
れており、水泳を楽しむために都市部ではプールが多く
利用されている。このプールに使用されるプール水には
人体に有害な大腸菌や細菌類等の微生物が数多く生息
し、該プール水は利用者の眼や傷などに直接接触して疾
患を生じさせることがあるため、プール水には次亜塩素
酸ソーダ等の薬剤を投入して事前に滅菌を行って疾患の
発生を防止している。しかしながら前記薬剤として滅菌
効果の強い次亜塩素酸や液体塩素等の塩素系試薬が使用
され、該塩素系試薬はそれ自体あるいは分解物が刺激性
を有し、該試薬により殺菌等の効果が生じても、該試薬
による眼の痛みや皮膚のかぶれ等の副作用が発生し、特
に抵抗力の弱い幼児の場合は大きな問題となっている。
又塩素系試薬は分解するため永続使用することができず
毎日のようにプール水に添加を続ける必要があり、かつ
プールに使用されるプール水の量は莫大なものであるた
め、使用する薬剤のコストも大きな負担となっている。
【0005】更に近年の情報化社会の進展により各種紙
類特に高質紙の需要が増大している。この紙類は製紙用
パルプから各種工程を経て製造されるが、この工程中に
製紙前のパルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程が
ある。該パルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分
を含むため、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や
細菌が多量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の
性能の劣化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される
莫大な量の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最
終製品の性能劣化を極力防止するようにしている。しか
しこの方法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだ
けでなく前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細
菌類に起因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことが
あるという問題点がある。
【0006】更に近年におけるマンション等の集合住宅
あるいは多数の企業が集合して形成されるビル等の建築
物の増加に伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設
備の設置台数も飛躍的に増加している。このような多数
の冷暖房設備が設置されているマンションやビル等で
は、通常該冷暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えば
クーリングタワーがその屋上に設置されている。この熱
交換器設備の冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌
類等の微生物が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出し
て熱交換性能を悪化させたり、微生物が塊状に発生して
配管等を閉塞したり熱交換能力を低下させることもあ
る。又多量に発生する微生物の排棄物により配管や機器
に腐食等の重大な問題を引き起こすことがある。
【0007】更に近年の家庭用浴槽の普及や温泉ブーム
から浴場水の使用量が増大しているが、該浴場水は40℃
前後の微生物が最も繁殖し易い液温を有するため、入浴
に使用せずに単に放置しておくだけでも微生物が急速に
繁殖して汚染され、使用を継続できなくなり、入浴を繰
り返すと人体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著にな
る。繁殖した微生物は微小であるため濾過操作では除去
しにくく、特に銭湯などではその使用量が膨大であるた
め、汚染された浴場水の再生を簡単な処理操作で行うこ
とができれば大幅なコストダウンが可能になる。
【0008】更に各種魚類資源として海や川に繁殖して
いる天然の魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類
が注目され、養殖魚が市場に数多く供給されている。養
殖場におけるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に
含まれる細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、あるいは
魚類に付着してその商品価値を低下させる等の悪影響を
抑制するために殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微
生物を死滅させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量
に添加され、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に
抑えるためにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与
され、その上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育
される魚類は餌の量に比較して人工的に投与される各種
薬剤、ビタミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類
の体内に蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚
類が市場に供給されることになる。
【0009】更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水され
た水を浄水場で滅菌処理した後、各家庭や飲食店等に上
水道を通して供給される。飲料水の前記滅菌は塩素ガス
による処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料
水の滅菌は比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響
により処理された飲料水に異物質が混和したような違和
感が生じて天然の水の有するまろやかさが損なわれると
いう欠点が生ずる。飲料水は人間の健康に直結するもの
で、それに含有される細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つま
り微生物の死滅除去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方
法としては前述の塩素による方法が主流である。しかし
都市部の水道滅菌はその原水となる河川水、湖水等が各
種有機物等で汚染され微生物の死滅に必要な量以上の塩
素を添加するため、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオ
ン及び残留塩素等の有効塩素成分を生起するという弊害
を生じている。該塩素法による前記欠点を解消するため
に、塩素法以外の殺菌方法が提案されている。例えば前
記飲料水をオゾン添加処理や活性炭吸着処理することに
より改質する方法が提案されているが、処理すべき飲料
水が例えば浄水場の水である場合には処理量が莫大であ
る。又浄水場で処理しても水道管末端の蛇口に至るまで
に再度微生物が繁殖するという問題がある。
【0010】このように飲料水等の従来の改質処理方法
は、主として塩素法によるものであり、該方法では次亜
塩素酸イオンが生成しあるいは塩素ガスが残留していわ
ゆるカルキ臭が生じ、処理後の飲料水等の味が悪くなる
という欠点があり、このカルキ臭を除去するに該カルキ
臭源である次亜塩素酸イオン(有効塩素)を活性炭等に
吸着させ、かつ活性炭の構成分子である炭素を酸化する
ことで有効塩素を還元処理する方法が使用されている。
しかしこの方法では、活性炭の吸着能力の限界があり、
しばらく使用すると有効塩素分解が生じなくなるという
寿命の点で致命的な欠点があり、又活性炭の交換といっ
た煩雑な操作とコストが必要であるとともに、完全なカ
ルキ臭の除去が達成できないことがある。
【0011】従って前述の通り人体に有害な有機塩素化
合物や飲料水の味を損ない易い次亜塩素酸イオン等を生
じさせ易い塩素処理に代わり得る人体に害がなくかつ天
然水に近い味を有する飲料水の処理方法が要請されてい
る。これらの現象を防止するために従来は防黴剤や沈澱
抑制剤等の各種薬剤を被処理水中に投入したり各種フィ
ルタを配管途中に設置したりしているが、前記薬剤投入
は前述の通り薬剤の残留による被処理水への悪影響や薬
剤使用のコスト面での問題点が指摘されている。更に添
加薬剤に対する抗菌が暫くすると発生し、次の薬剤を検
討する必要が生ずるという問題点を抱えている。
【0012】このような従来技術の欠点を解消するため
に、本出願人は前記各被処理水を電気化学的に処理する
ことにより該被処理水の滅菌やカルキ臭の除去を行う方
法を提案した(特願平1−326846号、特願平2-236723
号)。この方法による電気化学的処理では薬剤等の被処
理水中への残存を生じさせることなく確実に被処理水の
改質を行うことができる。この電気化学的処理では使用
する電極は特に限定されないが、人体に有害な物質を含
まず、安価であり、細菌類が吸着し易くかつ過電圧が高
く酸素発生等の不必要な反応を抑制する等の理由から炭
素電極を使用することが望ましい。
【0013】
【発明が解決しようとする問題点】電解生成物を得るこ
とを目的とする通常の電解反応では電流が不均一に供給
されても前記電解生成物の収率が低下する程度でさほど
問題は生じないが、例えば殺菌を目的とする飲料水等の
被処理水の電気化学的処理では電流が十分に供給されて
いない電極部分にのみ前記被処理水が接触すると十分に
殺菌されていない被処理水が飲料水として供給されるた
め、前記被処理水に電気化学的処理を施す意味が減殺さ
れる。又殺菌等を目的とする電気化学的処理でも通常の
電解処理でも使用する三次元電極の重量が大きいと荷重
が支持部材に集中し、該支持部材は給電用電極であるこ
とが多く、荷重集中による撓みや破損が生じて給電能力
に支障が起こり、正常な処理を継続できなくなることが
ある。
【0014】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の欠点を解消
し、電気化学的処理における電流の均一給電を達成しか
つ該給電を行う給電用電極の給電能力を正常に維持でき
るようにした三次元電極式電解槽を提供することを目的
とする。
【0015】
【問題点を解決するための手段】本発明は、1対の給電
用電極間に固定床型三次元電極を設置し前記両給電用電
極間に通電しかつ被処理水を通液して該被処理水の電気
化学的処理を行う三次元電極式電解槽において、少なく
とも一方の前記両給電用電極のほぼ中心に位置する給電
部から、その長さが該給電用電極の直径の長さの2分の
1以上である給電用リブを設置したことを特徴とする三
次元電極式電解槽である。なお本発明では電極表面上で
実質的な酸化還元反応のような電気化学反応を生起して
いないことがあるので本発明に係わる槽は電気化学的処
理装置というべきであるが、一般呼称に従って電解槽と
称する。
【0016】以下本発明を詳細に説明する。本発明によ
る電解槽で電解液の電解や被処理水処理を行うためには
該電解液あるいは被処理水が三次元電極と可能な限り接
触し、更に前記電極に十分に電流が供給されていること
が必要である。1対の給電用電極間に少なくとも1個の
固定床型三次元電極を設置し前記両給電用電極間に通電
して電気化学的処理を行う三次元電極式電解槽では前記
三次元電極の有効表面積を大きくするために該三次元電
極を直径の大きい薄肉の円板状としそれに応じて該三次
元電極に電流を供給する給電用電極の直径も前記三次元
電極の直径に応じて大きくなり該三次元電極の直径とほ
ぼ同径となるようにしている。
【0017】電解槽への通常の通電方法では、前記給電
用電極のほぼ中央に給電用ロッドを接続し、該ロッドに
電流を供給することにより前記給電用電極を通して三次
元電極へ給電するようにしている。この方法では前記給
電用電極及び三次元電極の径が小さい場合には前記給電
用ロッドから前記給電用電極にまんべんなく電流が供給
され該給電用電極とほぼ同径の三次元電極にもまんべん
なく電流が供給され、従って該三次元電極に接触して処
理される被処理水全体が電気化学的に処理される。しか
しながら前述の通り被処理水の処理量が大きい場合には
三次元電極の径を大きくして該三次元電極による処理量
を増加させる必要があり、その場合には該三次元電極と
ほぼ同径の給電用電極の中央の給電用ロッドのみでは不
十分になり該給電用ロッドから遠い前記給電用電極の周
縁部には十分に電流が供給されず従って前記三次元電極
の周縁部にも十分に通電されず、該三次元電極の周縁部
を通る被処理水は電気化学的に処理されずに電解槽を通
過して細菌等が残存する飲料水等として家庭や飲食店に
供給されることになる。
【0018】本発明ではこの不都合特に被処理水の改質
処理等における不十分な改質処理により生ずる不都合を
解消するために、前記給電用電極の前記三次元電極との
反対面の給電部に、導電性の給電用リブを前記給電用に
密接する状態で接続して前記給電用ロッド等からの電流
を前記給電用リブを通して前記給電用電極全体にまんべ
んなく供給し、これにより該給電用電極から前記電流を
三次元電極全体にまんべんなく供給することを意図して
いる。
【0019】更に三次元電極電解槽では前記1対の給電
用電極の下方の給電用電極が前記三次元電極を支持する
機能を有することが多くかつ該給電用電極はメッシュ状
の比較的強度の小さい材料により形成されている。本発
明に係わる三次元電極式電解槽では下方の給電用電極に
設置される前記給電用リブが該下方の給電用電極を支持
し、三次元電極の荷重が増加しても前記給電用電極の撓
みや破損を防止して安定な処理操作を継続することを可
能にしている。
【0020】本発明における三次元電極式電解槽は、そ
の三次元電極を給電用電極に接続してその電位を該給電
用電極と同一電位に維持する単極式電解槽としても、1
又は2以上の三次元電極(誘電体)を両給電用電極間に
絶縁状態で設置し両給電用電極間に通電することにより
前記三次元電極を分極させる複極式電解槽のいずれとし
てもよく、これらの電解槽ではその三次元電極が莫大な
表面積を有するため電極表面と写真処理液等の被処理水
との接触面積を増大させることができ、これにより装置
サイズを小さくし、かつ電気化学的処理の効率を上げる
ことができる点で有利である。
【0021】本発明の三次元電極式電解槽の電極は一般
に多孔質三次元電極好ましくは多孔質三次元炭素電極と
給電用電極を含み、これらの他に補助電極を設置しても
よい。三次元電極の材質は炭素系材料の他に、白金族金
属酸化物被覆チタン材(寸法安定性電極)、白金被覆チ
タン材、ニッケル、フェライト等を使用することができ
る。前記炭素系材料は、前記被処理水が透過可能な多孔
質炭素材料、例えばフェルト状、織布状、多孔質ブロッ
ク状等の形状を有する活性炭、グラファイト、炭素繊維
等の炭素系材料、あるいは該炭素系材料に貴金属のコー
ティングを施した材料から形成されることができる。前
述の通りこのような材料から成る例えば円板状の1個又
は複数個の誘電体を直流又は交流電場内に置き、両端に
設置した平板状又はエキスパンドメッシュ状やパーフォ
レーティッドプレート状等の多孔板体から成る給電用電
極間に直流電圧あるいは交流電圧を印加して前記誘電体
を分極させ該誘電体の一端及び他端にそれぞれ陽極及び
陰極を形成させて成る三次元電極を収容した固定床型複
極式電解槽とすることが可能である。なお炭素系材料を
分極させて使用する場合の該炭素系材料(誘電体)はそ
の誘電率が高いほど分極度が高いので有効に陽陰極が生
成し、被処理水の処理を効率良く行うことができる。従
って固定床として使用する炭素質材料はその体積抵抗率
が1×10-6Ω・cmより大きな材料が好ましい。
【0022】被処理水の電気化学的処理に際しては該被
処理水がこの三次元電極に可能な限り接触することが必
要である。これを達成するためには前記被処理水の前記
電極内の滞留時間をなるべく長く、換言すると被処理水
が可能な限り前記電極の内部に浸透しかつ透過すること
が必要である。被処理水を電極内に浸透させ電気化学的
反応を生起させるためには、該電極材料の導体抵抗が小
さくかつ広い範囲で電解反応を生起させるためにその電
解反応の過電圧が高いことが望ましい。つまり導体抵抗
が小さいと電流が電極全体に均一に分散でき、過電圧が
大きいと表面だけでなく内部でも所定の反応が生じ易く
なるのである。過電圧が低いと対極に面した電極表面の
みで反応が生ずるため多孔質電極を使用してその反応表
面積を広げる意味が減殺される。
【0023】本発明の電解槽の三次元電極を構成する材
料は特に限定されず、従来使用されている任意の電極材
料の使用できるが、炭素系材料を使用することが最も望
ましい。該炭素系材料は前記要件つまり導体抵抗が小さ
く過電圧が高いという要件を満足する材料である。更に
該炭素系材料は毒性が全くなくかつイオンやその水酸化
物を形成しないため飲料水等の体内に摂取される被処理
水の処理用として望ましい。又表面積が莫大であり電解
質や微生物あるいは有効塩素成分が接触する機会が非常
に大きくなるとともに吸着能力も作用して処理効率が大
幅に上昇する。更に炭素系材料は安価であり、他の金属
材料極と異なり電解を停止しても腐食が生じないため、
経済的にも操作性の面からも有利である。
【0024】三次元電極に電流を供給するための給電用
電極は液流を阻害しないために前述のメッシュ状である
ことが好ましく、貴金属めっきチタンや前記寸法安定性
電極等を使用することができる。本発明の電解槽におけ
る給電用リブは、前記給電用電極の前記三次元電極と反
対側のほぼ中央において該給電用電極に接続している給
電用ロッド等と前記給電用電極との給電部から、前記給
電用電極に接触するように該給電用電極の周縁部に向か
って設置する。この給電用リブは前記両給電用電極とも
に設置することが望ましいが、いずれか一方特に下方の
給電用電極のみに設置してもよい。
【0025】この給電用リブの形状は給電の均一化及び
三次元電極の支持という面からは円板状とすることが望
ましいが、該給電用リブの給電用電極面に対する投影面
積が大きくなり過ぎると圧力損失が生じて被処理水の流
通を阻害するため、前記形状は平面視で4個の互いに垂
直方向に延びるリブが十字状になるように、あるいは3
個あるいは5個以上のリブが放射状に延びるようにする
ことが望ましく、円板状の給電用リブを使用する場合で
も孔を有する円板状として被処理水の流通を円滑にする
ことが望ましい。いずれにしても給電用リブの給電用電
極面に対する投影面積は30%以下に維持すると被処理水
の流通の実質的な阻害を生ずることなく被処理水の処理
を行うことができる。
【0026】該給電用リブの材質は導電性を有する任意
の材料から選択できるが、耐蝕性を考慮すると貴金属被
覆チタン材を好ましく使用することができる。又該給電
用リブの長さは前記給電部から給電用電極端までの長さ
の2分の1以上とする。これはこの長さが2分の1未満
であると三次元電極への給電の均一化が達成し難くなる
からであり、長さが2分の1に達するとほぼ給電の均一
化が完全に達成される。
【0027】本発明に係わる電解槽は、電極材料好まし
くは炭素材料の有する通常の耐消耗性で支障の生じない
各種電解反応や電気化学的処理例えば陽極において過激
な酸素ガス発生が起こらない電解反応に使用することが
できる。この電解槽は特に被処理水の滅菌や飲料水中の
カルキ臭除去に有効であり、写真処理液等の各種被処理
水やカルキ臭を有する飲料水を前記炭素電極を使用する
三次元電極式電解槽に供給し該電解槽に直流又は交流電
圧を印加し前記被処理水中の微生物の滅菌処理や飲料水
中のカルキ臭成分の分解を行うことができる。なお上記
微生物には、細菌(バクテリア)、黴、酵母、変形菌、
単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれ、カルキ
臭の主成分は通常塩素又は次亜塩素酸塩である有効塩素
成分である。
【0028】前記被処理水のうち写真処理液は適度の塩
類、ゼラチン等の栄養源を有しかつ適度な温度に維持さ
れるので、前記写真処理液中で黴や細菌等が繁殖し易
く、又製紙洗浄水も同様に適度の養分と適度の温度を有
して微生物の繁殖に最適な環境となっている。更に家庭
用浴槽や銭湯で使用される浴場水は最も微生物の繁殖に
適した35〜45℃の温度に維持されるため僅少量の微生物
が短時間で莫大な数に繁殖する。これら写真処理液等以
外の被処理水も微生物を含む雰囲気に接触して微生物が
該被処理水内に取り込まれ繁殖して、前述した通りの不
都合が生ずることになる。
【0029】前記被処理水を前記三次元電極式電解槽に
供給すると、該被処理水中の微生物は液流動による拡散
及び移動によって前記電解槽の陽極や陰極に接触しそれ
らの表面で強力な酸化還元反応を受けたり高電位の電流
に接触し、その活動が弱まったり自身が死滅して滅菌が
行われると考えられる。この被処理水が有効塩素成分を
含む飲料水であると、該飲料水が三次元電極に十分接触
することにより前記有効塩素成分が前記三次元電極に接
触して電気化学的に還元分解されて前記飲料水からカル
キ臭が除去される。
【0030】つまり三次元電極との接触により被処理水
中の有効塩素成分の主成分である次亜塩素酸イオンは次
の式に従って塩素イオンと水に分解される。 ClO- + 2 H + + 2 e - → Cl - + H2O 更に被処理水中の残留塩素は三次元電極に接触し次の式
に従って塩素イオンに還元される。 Cl2 + 2 e- → 2 Cl- 本発明の電解槽により好適にカルキ臭が除去される被処
理水としては人体に摂取される飲料水や食品処理水があ
り、飲料水は上水道を流れて家庭や飲食店等の水道の蛇
口から注出される水道水等を含み、食品処理水としては
生鮮食品の洗浄水や豆腐等の含水食品に含有される水等
が含まれる。
【0031】本発明の電解槽を被処理水の滅菌や被処理
水中のカルキ臭除去に使用する場合には、被処理水中の
微生物あるいは有効塩素成分を含む被処理水が電圧が印
加された炭素電極に接触すれば充分であり、両極間に電
流を流して水素及び酸素等のガス発生を伴う実質的な電
解反応を生起させることは必須ではなく、むしろ実質的
な電解反応が生じない低い電位を電極表面に印加するこ
とが好ましい。これは第1に酸素ガス発生により炭素電
極の消耗が促進されるからであり、又第2に実質的な電
解反応が生じた場合に被処理水成分にガス発生に起因す
る化学的変化を与えてしまい、これにより複雑な作用が
写真処理液等の被処理液に起こることがあり、一定の処
理性能を常に維持することが難しくなるからである。更
に第3に微生物の滅菌等以外のガス発生反応に無駄な電
力を使うことになり不経済でだからであり、又それら発
生ガスが電極表面上を覆ってしまい微生物等が電極表面
と接触する効率も低下させ滅菌効率を悪くすることがあ
る。
【0032】従って本発明の電解槽を使用して電気化学
的処理を行う場合には、印加電位を陽極電位が実質的な
酸素発生を伴わず、実際に効率良く処理が行われている
ことを確認するために最小限の電流を流し、僅少量のガ
スを発生させることのできる+0.2 〜+1.2 V(vs.SC
E)、陰極電位が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0
V(vs.SCE)となるようにすることが望ましく、炭素電極
は僅少量の発生酸素ガスによっても消耗するため前記補
助電極を設置してこの消耗を抑制する。このような電解
槽を使用して被処理水の処理を行うと、多くの場合該電
解槽を1回通過させるのみでつまり一過性処理(ワンパ
ス処理)で十分被処理水の処理を行うことができ、操作
効率が向上する。
【0033】前記誘電体として活性炭、グラファイト、
炭素繊維等の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸素ガス
を発生させながら被処理水を処理する場合には、前記誘
電体が酸素ガスにより酸化され炭酸ガスとして溶出し易
くなる。前述の補助電極はこの誘電体の溶解を防止する
ためのものであり、該誘電体の陽分極する側に例えばチ
タン等の基材上に白金、酸化イリジウム、酸化ルテニウ
ム等の白金族金属又はその酸化物を被覆し通常不溶性金
属電極として使用され炭素系材料より過電圧特に酸素発
生に対する過電圧の低い多孔質材料から成る補助電極を
接触又は近接状態で設置し、酸素発生が主として該補助
電極上で生ずるようにして炭素電極である誘電体の溶出
を抑制する。
【0034】又固定床型単極式電解槽を使用する場合に
は、単独で陽極としてあるいは陰極として機能する炭素
系材料が少なくとも陽極又は陰極のいずれかとして機能
するように隔膜を介してあるいは介さずに電解槽内に設
置し、好ましくは陽極として機能する側の炭素電極の表
面に接触あるいは近接状態で前述の補助電極を設置して
前記炭素電極の溶出を同様にして防止することができ
る。いずれの形態の電極を使用する場合でも、処理すべ
き被処理水が流れる電解槽内に液が電極や誘電体や微粒
子に接触せずに流通できる空隙があると被処理水の処理
効率が低下するため、電極等は電解槽内の被処理水の流
れがショートパスしないように配置することが望まし
い。
【0035】前記電解槽内を隔膜で区画して陽極室と陰
極室を形成しても、隔膜を使用せずにそのまま通電を行
うこともできるが、隔膜を使用せずかつ電極の極間距離
あるいは誘電体と電極、又は誘電体相互の間隔を狭くす
る場合には短絡防止のため電気絶縁性のスペーサとして
例えば有機高分子材料で作製した網状スペーサ等を両極
間あるいは前記誘電体間等に挿入することができる。又
隔膜を使用する場合には流通する被処理水の移動を妨害
しないように多孔質例えばその開口率が10%以上95%以
下好ましくは20%以上80%以下のものを使用することが
望ましく、該隔膜は少なくとも前記被処理水が透過でき
る程度の孔径の微細孔を有していなければならない。又
多数の粒状の固定床形成用粒子(誘電体)を両給電用電
極間に充填して被処理水の処理を行う場合には絶縁性材
料から成る粒状の絶縁粒子を前記固定床形成用粒子中に
均一に分散させて前記両給電用電極間の短絡を防止する
ことが望ましい。
【0036】なお、本発明に係わる炭素電極式電解槽で
は、該電解槽に漏洩電流が生じ該漏洩電流が電解槽から
写真処理液等の被処理水を通して他の部材例えば写真処
理槽に流れ込み、該写真処理槽中で好ましくない電気化
学反応を誘起したり、写真処理槽の壁面を電気化学的に
腐食させ壁面構成材料を溶出させることがあるため、電
解槽内の陽陰極が相対しない電極背面部及び/又は前記
電解槽の出入口配管内に、前記被処理水より導電性の高
い部材をその一端を接地可能なように設置して前記漏洩
電流を遮断することができる。前述の説明では本発明の
電解槽を主として滅菌用及び有効塩素成分除去用として
説明したが、本電解槽の用途はこれらの限定されるもの
ではなく通常の電解反応にも使用することができる。
【0037】次に添付図面に基づいて本発明に係わる三
次元電極式電解槽の好ましい例を説明するが、本発明の
電解槽は、これらの電解槽に限定されるものではない。
図1は、本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図、図2は、
図1の底面図である。
【0038】上下にフランジ1を有する円筒形の電解槽
本体2の内部下端近傍及び上端近傍にはそれぞれメッシ
ュ状の給電用陽極3と給電用陰極4が設けられている。
電解槽本体2は、長期間の使用又は再度の使用にも耐え
得る電気絶縁材料で形成することが好ましく、特に合成
樹脂であるポリエピクロルヒドリン、ポリビニルメタク
リレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化エチレン、フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂等が好ましく使用できる。正の直流電圧を与える
前記陽極3は、例えば炭素材(例えば活性炭、炭、コー
クス、石炭等)、グラファイト材(例えば炭素繊維、カ
ーボンクロス、グラファイト等)、炭素複合材(例えば
炭素に金属を粉状で混ぜ焼結したもの等)、活性炭素繊
維不織布、又はこれに白金、白金、パラジウムやニッケ
ルを担持させた材料、更に寸法安定性電極 (白金族酸化
物被覆チタン材) 、白金被覆チタン材、ニッケル材、ス
テンレス材、鉄材等から形成される。又前記給電用陽極
3に対向し負の直流電圧を与える給電用陰極4は、例え
ば白金、ステンレス、チタン、ニッケル、銅、ハステロ
イ、グラファイト、炭素材、軟鋼あるいは白金族金属を
コーティングした金属材料等から形成されている。
【0039】前記両給電用電極3、4間には複数個の図
示の例では3個のスポンジ状の固定床5が積層され、か
つ該固定床5間及び該固定床5と前記両給電用電極3、
4間に4枚のメッシュ状隔膜又はスペーサー6が挟持さ
れている。各固定床5は電解槽本体2の内壁に密着し固
定床5の内部を通過せず、固定床5と電解槽本体2の側
壁との間を流れる被処理水の漏洩流がなるべく少なくな
るように配置されている。隔膜を使用する場合には該隔
膜として織布、素焼板、粒子焼結ブラスチック、多孔
板、イオン交換膜等が用いられ、スペーサーとして電気
絶縁性材料で製作された織布、多孔板、網、棒状材等が
使用される。
【0040】前記給電用陽極3の上面のほぼ中央及び給
電用陰極4の下面のほぼ中央のそれぞれには方形片から
成る給電部7が接続され、該給電部7から前後左右に計
4本のリブ8が平面視十字状を形成しかつそれぞれが給
電用陽極3の上面及び給電用陰極4の下面に接触するよ
うに延びている。又前記両給電部7にはそれぞれ給電用
ロッド9が垂直方向に接続されている。
【0041】このような構成から成る電解槽に下方から
矢印で示すように被処理水を供給しながら両給電用電極
3、4間に電圧を掛けると、電流が、上方の給電用ロッ
ド9→上方の給電部7→上方のリブ8→給電用陽極3→
3個の固定床5→給電用陰極4→下方のリブ8→下方の
給電部7→下方の給電用ロッド9の順に流れ、前記各固
定床5が図示の如く下面が正に上面が負に分極して各固
定床5の上面に多孔質三次元陽極が形成され、前記被処
理水はこの多孔質三次元陽極に接触して細菌類の滅菌が
行われ、あるいはカビ臭成分が分解又は他の化合物に変
換され除去されて被処理水の改質が行われその後前記電
解槽の上方から取り出され、飲料水等として所定の用途
に使用される。そしてこの際に、上方の給電用ロッド9
により導かれる電流は上方のリブ8により給電用陽極3
の全面にほぼ均一に分散した後、各固定床5に供給さ
れ、かつ各固定床5から流れ出る電流は下方のリブ8が
給電用陰極4の周縁部近くまで延びているため、最下方
の固定床5の全体をほぼ均一に流れた後、下方のリブ8
から取り出される。従って各固定床5内を電流が均一に
流れ該固定床5が十分に分極するため、該固定床5のど
の部分を浸透する被処理水も均一かつ十分に電気化学的
に処理されて該被処理水中に含有される細菌等をほぼ完
全に滅菌し、あるいはカルキ臭やカビ臭成分の除去等を
行うことができる。
【0042】図3は、本発明に使用できる複極型固定床
式電解槽の他の例を示すもので、該電解槽は図1の電解
槽の固定床5の給電用陰極4に向かう側つまり陽分極す
る側にメッシュ状の不溶性金属材料10を密着状態で設置
したものであり、他の部材は図1と同一であるので同一
符号を付して説明を省略する。直流電圧が印加された固
定床5はその両端部において最も大きく分極が生じ、ガ
ス発生が伴う場合には該両端部においてガス発生が生じ
易い。従って最も強く陽分極するつまり最も激しく酸素
ガスが発生する固定床5の給電用陰極4に向かう端部に
は最も速く溶解が生じる。図示の通りこの部分に不溶性
金属材料10を設置しておくと、該不溶性金属材料10の過
電圧が固定床5を形成する炭素系材料の過電圧より低い
ため殆どの酸素ガスが前記不溶性金属材料10から発生し
固定床5は殆ど酸素ガスと接触しなくなるため、前記固
定床5の溶解は効果的に抑制される。又該電解槽2に供
給された被処理水は図1の場合と同様に処理され細菌の
滅菌やカビ臭成分やカビ臭成分の除去が行われる。
【0043】図4は、本発明に係わる三次元電極式電解
槽である固定床型複極式電解槽の他の例を示す概略縦断
面図、図5は、図4の底面図である。上下にフランジ11
を有する円筒形の電解槽本体12の内部下端近傍及び上端
近傍にはそれぞれメッシュ状の給電用陽極13と給電用陰
極14が設けられている。電解槽本体12は、長期間の使用
又は再度の使用にも耐え得る電気絶縁材料特に合成樹脂
で形成することが好ましい。
【0044】前記両給電用電極13、14間には、導電性材
料例えば炭素系材料で形成された多数の固定床形成用多
孔質粒子15と該固定床形成用粒子15より少数の例えば合
成樹脂製の絶縁粒子16とがほぼ均一に混在している。該
絶縁粒子16は、前記給電用陽極13及び給電用陰極14が完
全に短絡することを防止する機能を有している。前記給
電用陽極13の上面のほぼ中央及び給電用陰極14の下面の
ほぼ中央のそれぞれには方形片から成る給電部17が接続
され、該給電部17には4個の扇状の切欠18を有する円板
状のリブ19がそれぞれが給電用陽極13の上面及び給電用
陰極14の下面に接触するように延びている。又前記両給
電部17にはそれぞれ給電用ロッド20が垂直方向に接続さ
れている。
【0045】このような構成から成る電解槽に下方から
矢印で示すように被処理水を供給しながら両給電用電極
13、14間に電圧を掛けると、図1の電解槽の場合と同様
に、電流が、上方の給電用ロッド20→上方の給電部17→
上方のリブ19→給電用陽極13→固定床形成粒子15→給電
用陰極14→下方のリブ19→下方の給電部17→下方の給電
用ロッド20の順に流れ、前記固定床形成粒子15が下面が
正に上面が負に分極して、前記被処理水はこの分極した
固定床形成粒子15に接触して滅菌等が行われる。そして
この電解槽の場合でも、リブ19の存在により電解槽本体
12内を電流が均一に流れ、前記固定床形成粒子15が十分
に分極するため、本体12内のどの部分を流れる被処理水
も均一かつ十分に電気化学的に処理されて該被処理水中
に含有される細菌等をほぼ完全に滅菌し、あるいはカル
キ臭やカビ臭成分の除去等を行うことができる。
【0046】図6は、本発明に係わる三次元電極式電解
槽である固定床型単極式電解槽の一例を示す概略縦断面
図である。上下にフランジ21を有する円筒形の電解槽本
体22の内部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ
状の給電用陽極23と給電用陰極24が設けられている。電
解槽本体22は、長期間の使用又は再度の使用にも耐え得
る電気絶縁材料特に合成樹脂で形成することが好まし
い。前記両給電用電極23、24間には、隔膜26を挟んで導
電性材料例えば炭素繊維をフェルト状に成形した1対の
固定床25が陽極室内及び陰極室内に充填され、前記陽極
室内及び陰極室内のフェルト状炭素繊維はそれぞれ前記
給電用陽極23と給電用陰極24に電気的に接続され、陽極
室内の固定床は正に陰極室内の固定床は負に帯電されて
いる。
【0047】前記給電用陽極23の上面のほぼ中央及び給
電用陰極24の下面のほぼ中央のそれぞれには方形片から
成る給電部27が接続され、該給電部27には図5の場合と
同様に4個の扇状の切欠28を有する円板状のリブ29がそ
れぞれが給電用陽極23の上面及び給電用陰極24の下面に
接触するように延びている。又前記両給電部27にはそれ
ぞれ給電用ロッド30が垂直方向に接続されている。この
電解槽に下方から矢印で示すように被処理水を供給しな
がら通電を行うと図4の場合と同様に固定床25が表面積
が莫大な三次元電極として機能しかつ電流が固定床25全
体を均一に流れて被処理水中の黴や細菌等の微生物の滅
菌等の改質処理が行われて該電解槽の上方から取り出さ
れる。
【0048】
【実施例】以下に本発明に係わる炭素電極式電解槽を使
用する被処理水処理の実施例を記載するが、該実施例は
本発明を限定するものではない。
【0049】実施例1 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ50mm、内径50
mmの図3に示した電解槽を使用して試験用被処理水の
処理を行った。該電解槽内には、炭素繊維から成る開孔
率60%で直径49mm、厚さ10mmの固定床3個を、各固
定床の下面に直径49mm、厚さ1mmでチタン板に白金
を被覆して成る補助電極を密着設置した状態で収容し
た。この固定床を、開孔率85%で直径50mm、厚さ1m
mのポリエチレン樹脂製スペーサ4枚で挟み込んだ。最
上方のスペーサの上面及び最下方のスペーサの下面にそ
れぞれ接触するように直径49mmで白金被覆したメッシ
ュ状の2枚のチタン板を設置し(給電用陽極及び給電用
陰極)、両チタン板の中央に厚さ2mmで1.0 cm四方
の正方形の給電部を設置し、更に該給電部に長さ1.5c
m(2本のリブと給電部の長さの合計の給電用電極の直
径に対する割合は60%である)で2.0 mm四方の正方形
断面を有する白金被覆したチタン棒から成るリブを接続
し、かつ前記給電部に垂直に給電用ロッドを接続した。
【0050】前記試験用被処理水は水道水に細菌を添加
して細菌数が約3800個/ミリリットルとなるように調製
した。被処理水供給量を2.5 リットル/分に、初期電圧
値を20.0Vに、電流値を60mAにそれぞれ固定し、該電
解条件下で被処理水処理を行い、電解槽から取り出され
た被処理水中の細菌数を測定したところ表1に示す通
り、約2630個/ミリリットルに減少していた。次に使用
するリブの長さを表1に示す通り変化させたこと以外は
前記条件と同一条件で被処理水処理を行い、電解槽から
取り出された被処理水中の細菌数を測定したところそれ
ぞれ表1に示す通りであった。
【0051】比較例1 リブを設置しなかったこと以外は実施例1と同様の操作
で試験用被処理水の処理を行ったところ、電解槽から取
り出された被処理水中の細菌数は3460個/ミリリットル
であった。実施例1と比較例1の結果から、電解槽で電
気化学的処理された後、取り出された被処理水中の細菌
数は、リブを設置することにより減少することが判る。
又リブと給電部の長さの合計の給電用電極の直径に対す
る割合が2分の1に達するまではリブの長さが長くなる
につれ細菌数が減少するのに対し、前記割合が2分の1
を越えると、リブの長さが長くなっても細菌数はほぼ一
定に維持されることが判る。
【表1】
【0052】実施例2 実施例1で使用した電解槽の十字状のリブに代えて、図
4及び図5に示す切欠を有する直径4.0 cmの円板状リ
ブを使用したこと以外は実施例1と同一条件で試験用被
処理水の電気化学的処理を行い、電解槽から取り出され
た被処理水中の細菌数と圧力損失をそれぞれを測定し
た。各電気化学処理は、前記円板状リブの切欠の大きさ
を変化させて、該リブの給電用電極に対する投影面積の
比が表2に示す値になるよう調節して行った。各投影面
積比における細菌数と圧力損失は表2に示す通りであっ
た。表2から、投影面積比を変化させても被処理水中の
細菌数には殆ど影響はないが、投影面積比が0.3 を越え
ると圧力損失が大きくなり過ぎることが判った。
【0053】
【発明の効果】本発明の三次元電極式電解槽は、三次元
電極に通電するための給電用電極の少なくとも一方に接
触するように、その長さが該給電用電極の直径の長さの
2分の1以上である給電用リブを設置したことを特徴と
する三次元電極式電解槽である(請求項1)。
【0054】本発明の三次元電極式電解槽では、このリ
ブにより電解槽に供給される電流が給電用電極全体にほ
ぼ均一に分散した後、前記三次元電極に供給されるた
め、三次元電極のどの部分にも均一電流が流れる。従っ
て本発明の三次元電極式電解槽によると、被処理水が電
解槽のどの部分を流れるかを問わず、被処理水全体を均
一処理することが可能になる。この効果はリブの実質的
長さが給電用電極の直径の2分の1以上の場合に顕著に
生ずる。
【0055】従来の三次元電極式電解槽では給電部から
遠い三次元電極の部分には十分に電流が供給されず前記
三次元電極の分極等が不十分になることがあった。特に
細菌の滅菌やカビ臭成分やカルキ臭除去等を目的とする
被処理水の改質処理の場合には例えば固定床の分極が不
十分で、分極していない固定床部分を被処理水が透過し
てしまうと、滅菌等が完全に行われず細菌がかなり残存
する被処理水のみしか得られなくなる。前述の通り本発
明に係わる三次元電極式電解槽では前記リブの存在によ
り電流が三次元電極全体を均一に流れ、被処理水の完全
な処理を達成することができる。
【0056】しかも両給電用電極のうち下方の給電用電
極は三次元電極の全荷重を支持する機能も合わせ持つこ
とが多く、該給電用電極にリブを接触状態で設置するこ
とにより、該リブが前記荷重を支持し給電用電極の撓み
や破損を防止して長期間に亘って安定した被処理水の処
理を行うことを可能にしている。しかしリブを設置する
と被処理水の流れを阻害して圧力損失を生じさせること
があり、該圧力損失はリブの給電用電極に対する投影面
積が30%を越えると顕著になる。従ってリブの給電用電
極は30%以下として(請求項2)、実質的な圧力損失が
生じないように被処理水の処理を行うことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の底面図である。
【図3】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の他の例を示す概略縦断面図である。
【図4】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型複極式電解槽の更に他の例を示す概略縦断面図であ
る。
【図5】図4の底面図である。
【図6】本発明に係わる三次元電極式電解槽である固定
床型単極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
2・・・電解槽本体 3・・・給電用陽極 4・・・給
電用陰極 5・・・固定床(三次元電極) 7・・・給
電部 8・・・リブ 9・・・給電用ロッド 10・・・不溶性金属材料 12・・・電解槽本体 13・・
・給電用陽極 14・・・給電用陰極 15・・・固定床形
成粒子 17・・・給電部 19・・・リブ 20・・・給電
用ロッド 22・・・電解槽本体 23・・・給電用陽極
24・・・給電用陰極 25・・・固定床(三次元電極)
27・・・給電部 29・・・リブ 30・・・給電用ロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46 C25B 9/02 C25B 9/04 C25B 11/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1対の円板状の給電用電極間に固定床型
    三次元電極を設置し前記両給電用電極間に通電しかつ被
    処理水を通液して該被処理水の電気化学処理を行う三次
    元電極式電解槽において、少なくとも一方の前記両給電
    用電極のほぼ中心に位置する給電部から、その長さが該
    給電用電極の直径の長さの2分の1以上である給電用リ
    ブを設置したことを特徴とする三次元電極式電解槽。
  2. 【請求項2】 給電用リブの給電用電極面に対する投影
    面積を30%以下とした請求項1に記載の三次元電極式電
    解槽。
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