JPH1087381A - 多孔性炭素質電極の処理方法、炭素質固定床型三次元電極電解槽及び水処理方法 - Google Patents

多孔性炭素質電極の処理方法、炭素質固定床型三次元電極電解槽及び水処理方法

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JPH1087381A
JPH1087381A JP9167104A JP16710497A JPH1087381A JP H1087381 A JPH1087381 A JP H1087381A JP 9167104 A JP9167104 A JP 9167104A JP 16710497 A JP16710497 A JP 16710497A JP H1087381 A JPH1087381 A JP H1087381A
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electrolytic cell
carbonaceous
electrode
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Takashi Murakami
隆 村上
Tatsuya Namiki
達也 並木
Tonari Saito
登成 齊藤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素質固定床型三次元電極電解槽を用いる被
処理水中の微生物等を電気化学的に処理する方法におい
て、制菌効率に優れ、流量低下が少ない電解槽及び処理
方法の提供。 【解決手段】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極を
通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三次
元電極電解槽において、該電解槽に用いられる多孔性炭
素質電極が100〜130℃の水蒸気雰囲気下で処理し
たものであることを特徴とする炭素質固定床型三次元電
極電解槽及び該電解槽を用いた水処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物を含有する被
処理水の殺菌効率及び被処理水中の不純物の回収・除去
効率を向上させるとともに、電解による多孔性炭素質電
極の崩壊及び処理水中の異物及び/又は電極の崩壊によ
る炭素微粉による閉塞を防止・回復する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、我々が生活をする上で様々な種類
の水が使用されている。例えば、井戸水、水道水、工業
用水、純水、超純水、浴槽水、プール水などである。
又、使用された水は工業排水或いは生活排水となる。或
いは、各種産業においていろいろな物質を含有する水が
利用されている。これらの水溶液等は溶質が適度な養分
を提供し、或いは該水溶液の液温が繁殖に好ましい温度
であると、細菌等の微生物が繁殖し、前記水等の性能劣
化を起こしたり、様々な悪影響を及ぼすことが知られて
いる。また、工場排水などには様々な不純物が含まれて
おり、環境汚染防止のための不純物除去或いは有用物質
の回収が行われている。
【0003】例えば写真感光材料は画像露光の後、ペー
パー感光材料処理の場合は、発色現像、漂白定着、水洗
及び/又は安定化の処理工程を経て処理され次いで乾燥
される。そしてこのような写真処理工程においては、発
色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗
水等の各種写真処理液が使用されているが、前記感光材
料はゼラチン質を含有し微生物繁殖に適した環境を提供
するため、前記写真処理液中に混入した微生物が繁殖し
て感光材料処理の効率を低下させるとともに得られるプ
リントに色むらが生じたり黴発生等により画像が汚染す
るという欠点が生じている。この微生物繁殖による写真
処理液の劣化の抑制は、従来から防黴剤の投入等により
前記微生物を殺菌して性能を賦活する方法が主流である
が、この方法では添加する防黴剤が多量に必要となり、
かつ該防黴剤が写真処理液や前記感光材料中に残留し易
くなり、感光材料に悪影響を及ぼすことがある。又前記
防黴剤の多くは人体に対して無害とは言い難く、種々の
法規制の下に管理された状態でなければその使用が困難
である。又このように選択した防黴剤も暫くするとその
防黴剤に対する抗菌が発生することがあり、再度この抗
菌に対して防黴剤を選択するという煩わしい問題が生ず
る。
【0004】また、プールに使用される水には人体に有
害な細菌類等の微生物が数多く生息し、該プール水は利
用者の眼や傷などに直接接触して疾患を生じさせる可能
性が高いため、プール水には次亜塩素酸ソーダ等の薬剤
を投入して消毒を行って疾患の発生を防止している。し
かしながら前記薬剤として殺菌効果の強い次亜塩素酸や
液体塩素等の塩素系試薬が使用され、該塩素系試薬はそ
れ自体或いは分解物が刺激性を有し、該試薬により殺菌
等の効果が生じても、該試薬による眼の痛みや皮膚のか
ぶれ等の副作用が発生し、特に抵抗力の弱い幼児の場合
は大きな問題となっている。又塩素系試薬は分解するた
め永続使用することが出来ず毎日のようにプール水に添
加を続ける必要があり、かつプールに使用されるプール
水の量は莫大なものであるため、使用する薬剤のコスト
も大きな負担となっている。
【0005】また近年の情報化社会の進展により各種紙
類特に高質紙の需要が増大している。この紙類は製紙用
パルプから各種工程を経て製造されるが、この工程中に
製紙前のパルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程が
ある。該パルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分
を含むため、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や
細菌が多量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の
性能の劣化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される
莫大な量の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最
終製品の性能劣化を極力防止するようにしている。しか
しこの方法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだ
けでなく前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細
菌類に起因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことが
あるという問題点がある。
【0006】更に近年におけるマンション等の集合住宅
或いは多数の企業が集合して形成されるビル等の建築物
の増加に伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設備
の設置台数も飛躍的に増加している。このような多数の
冷暖房設備が設置されているマンションやビル等では、
通常該冷暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えばクー
リングタワーがその屋上に設置されている。この熱交換
器設備の冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌類等
の微生物が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出して熱
交換性能を悪化させたり、微生物が塊状に発生して配管
等を閉塞することもある。又多量に発生する微生物の廃
棄物により配管や機器に腐食等の重大な問題を引き起こ
すことがある。
【0007】更に近年の家庭用浴槽の普及や温泉ブーム
から浴場水の使用量が増大しているが、該浴場水は40
℃前後の微生物が最も繁殖し易い液温を有するため、入
浴に使用せずに単に放置しておくだけでも微生物が急速
に繁殖して汚染され、使用を継続出来なくなり、入浴を
繰り返すと人体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著に
なる。繁殖した微生物は微小であるため濾過操作では除
去しにくく、特に銭湯などではその使用量が膨大である
ため、汚染された浴場水の再生を簡単な処理操作で行う
ことが出来れば大幅なコストダウンが可能になる。
【0008】更に各種魚類資源として海や川に繁殖して
いる天然の魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類
が注目され、養殖魚が市場に数多く供給されている。養
殖場におけるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に
含まれる細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、或いは魚
類に付着してその商品価値を低下させる等の悪影響を抑
制するために殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微生
物を死滅させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量に
添加され、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に抑
えるためにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与さ
れ、その上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育さ
れる魚類は餌の量に比較して人工的に投与される各種薬
剤、ビタミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類の
体内に蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚類
が市場に供給されることになる。
【0009】更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水され
た水を浄水場で消毒処理した後、各家庭や飲料店等に上
水道を通して供給される。飲料水の前記消毒は塩素によ
る処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料水の
消毒は比較的良好に行われる反面、カルキ臭のために天
然の水の有するまろやかさが損なわれるという欠点が生
ずる。
【0010】以上のような欠点のない、水処理法とし
て、例えば、特開平3−224686号、同4−274
88号等に開示されている、電気化学的に処理する方法
がある。この方法によると、特殊な薬品等を使わず、大
量の水を処理することができる。しかし、これらの方法
において、処理効率の向上及び炭素電極の崩壊防止及び
閉塞を改善する方法が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固定
床型三次元電極電解槽を用いる被処理水中の微生物を電
気化学的に処理する方法において、微生物の除去・殺菌
効率の高い固定床型三次元電極電解槽及び処理方法を提
供することにある。
【0012】更に、金属補助電極と固定床との密着性を
改善し、かつ電極の陽極酸化による崩壊が抑えられる固
定床型三次元電極電解槽の提供を目的とする。
【0013】また、被処理水中の異物或いは炭素質固定
床の崩壊によって生じる炭素微粒子による閉塞を改善す
る方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0015】(1) 被処理水を炭素質固定床型三次元
電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床
型三次元電極電解槽に用いる多孔性炭素質電極を、10
0〜130℃の水蒸気雰囲気下で処理することを特徴と
する多孔性炭素質電極の処理方法。
【0016】(2) 被処理水を炭素質固定床型三次元
電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床
型三次元電極電解槽において、該電解槽に用いられる多
孔性炭素質電極が100〜130℃の水蒸気雰囲気下で
処理したものであることを特徴とする炭素質固定床型三
次元電極電解槽。
【0017】(3) 被処理水を炭素質固定床型三次元
電極電解槽を通過させて、電気化学的に処理する際に印
加電圧の極性を反転させる水処理方法において、電解槽
に印加する第1の電解電圧の極性が反転する工程に、第
1の電解電圧の反転周期より短い反転周期を有する第2
の印加電圧を印加することを特徴とする水処理方法。
【0018】(4) 被処理水を炭素質固定床型三次元
電極電解槽を通過させて、電気化学的に処理する水処理
装置において、電解槽に印加する第1の電解電圧の極性
反転する過程に、第1の電解電圧の反転周期より短い反
転周期を有する第2の印加電圧を印加する電解電圧発生
装置を有する水処理装置。
【0019】(5) 被処理水を炭素質固定床型三次元
電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床
型三次元電極電解槽による水処理方法おいて、処理水に
アルカリ金属のハロゲン化物を添加して処理することを
特徴とする水処理方法。
【0020】(6) 処理槽内の被処理水を炭素質固定
床型三次元電極電解槽を通過させて電気化学的に処理す
る水処理方法において、0.005〜0.5%のアルカ
リ金属のハロゲン化物を含有する処理水を電解槽で処理
し、これを処理槽内に戻すことを特徴とする水処理方
法。
【0021】(7) 炭素質固定床に孔径が0.3〜3
mmの複数の貫通孔を有することを特徴とする前記6記
載の水処理方法に用いる炭素質固定床型三次元電極電解
槽。
【0022】(8) 被処理水を炭素質固定床型三次元
電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床
型三次元電極電解槽の組み立て方法において、炭素質固
定床に接触している金属製補助電極が凸となるように歪
んでいる場合、該金属製補助電極を該炭素質固定床の略
中央で接触するように該金属製補助電極を配置し、該金
属製補助電極周辺部を弾性体ガスケットで押さえつける
ことを特徴とする炭素質固定床型三次元電極電解槽の組
み立て方法。
【0023】(9) 前記8記載の組み立て方法により
組み立てられたことを特徴とする炭素質固定床型三次元
電極電解槽。
【0024】(10) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽の組み立て方法において、炭素質
固定床に接触している金属製補助電極が不規則に歪んで
いる場合、該金属製補助電極を、該炭素質固定床の周辺
部で接触するように配置し、該金属製補助電極の周辺部
は弾性体ガスケットで、略中央はガスケットと一体とな
った或いは分離したスペーサーで押さえつけ、該金属製
補助電極が該炭素質固定床に対し、ほぼ平行になるよう
配置することを特徴とする炭素質固定床型三次元電極電
解槽の組み立て方法。
【0025】(11) 前記10記載の組み立て方法に
より組み立てられたことを特徴とする炭素質固定床型三
次元電極電解槽。
【0026】(12) 電解槽の最も上流側の炭素質固
定床の上流側に微細孔を有する板を設けたことを特徴と
する炭素質固定床型三次元電極電解槽。
【0027】(13) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽に用いられる炭素質固定床の処理
方法において、炭素質固定床が気密容器の壁面の一部を
構成し、かつ、該炭素質固定床と気密容器との隙間から
の流体のリークが略無視できるように配置された該炭素
質固定床を、水又は水性溶媒で濡らし、気密容器内に空
気又は不活性ガスを送り込み加圧することにより該炭素
質固定床内の異物を外部へ取り出すことを特徴とする炭
素質固定床の処理方法。
【0028】(14) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽に用いられる炭素質固定床内の異
物を外部へ取り出す装置において、炭素質固定床が気密
容器の壁面の一部を構成し、かつ、該炭素質固定床と気
密容器との隙間からの流体のリークが略無視できるよう
に配置された該炭素質固定床を、水又は水性溶媒で濡ら
し、気密容器内に空気又は不活性ガスを送り込み加圧す
ることを特徴とする炭素質固定床内の異物を外部へ取り
出す装置。
【0029】(15) 処理槽内の被処理水を炭素質固
定床型三次元電極電解槽を通過させて電気化学的に処理
する炭素質固定床型三次元電極電解槽において、少なく
とも上流側の給電用電極が弾性体で隣接する炭素質固定
床に押さえつけられていることを特徴とする炭素質固定
床型三次元電極電解槽。
【0030】(16) 上記上流側の給電用電極を押さ
えつける弾性体が、板バネ又は圧縮コイルバネであるこ
とを特徴とする前記15記載の炭素質固定床型三次元電
極電解槽。
【0031】(17) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽において、耐熱性容器内に炭素質
固定床型三次元電極を配置するとともに、電解槽容器
内、及び/又は電解槽よりも上流側の通水路上、及び/
又は電解槽の外側に接して、電解槽内の液体を70〜1
00℃へ加熱するための熱源を配置したことを特徴とす
る炭素質固定床型三次元電極電解槽。
【0032】(18) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽において、電解槽が耐熱性容器か
らなり、その耐熱性容器の外側を断熱材で被覆し、耐熱
性容器内に加熱用熱源を配置し、自動もしくは手動操作
で電極再生のための70〜100℃への加熱が行われ、
加熱中、被処理水の流量が電解槽の通水断面積1cm2
あたり0.05リットル/分以下となるように被処理水
の流量を調節する機能を有することを特徴とする炭素質
固定床型三次元電極電解槽。
【0033】(19) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽を含む水処理装置において、該電
解槽が耐熱性容器からなり、前記炭素質固定床型三次元
電極を加熱するための手段を循環経路上に配置し、自動
的あるい手動操作で、電極再生のための70〜100℃
への電極板の加熱が行われ、加熱処理終了後に、前記循
環経路上の加熱された水は流路が切り替えられて系外に
排出する機能を有することを特徴とする水処理装置。
【0034】(20) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽を含む水処理装置の電極再生方法
において、該電解槽が耐熱性容器からなり、前記炭素質
固定床型三次元電極を加熱するための手段を循環経路上
に配置し、自動的あるい手動操作で、電極再生のための
70〜100℃への電極板の加熱が行われ、加熱処理終
了後に、前記循環経路上の加熱された水は流路が切り替
えられて系外に排出することを特徴とする電極再生方
法。
【0035】(21) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽に用いられる炭素質電極が、有機
質バインダーを使用して積層・圧縮した複数の繊維性シ
ートを熱処理し、炭化及びグラファイト化したもので、
この成型体を切削加工して、処理水の流通方向と前記繊
維性シートの積層面とのなす角が10〜80゜となるよ
うに加工したことを特徴とする炭素質電極。
【0036】(22) 被処理水を炭素質固定床型三次
元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽において、前記21記載の炭素質
電極を使用することを特徴とする炭素質固定床型三次元
電極電解槽。
【0037】以下本発明を詳細に説明する。本発明の固
定床型三次元電極電解槽は一対の給電用板状電極好まし
くはメッシュ状の電極間に1以上好ましくは3〜15の
多孔質の固定床を配置し、前記の一対の給電用電極に直
流電圧を印加することによって、多孔質固定床を分極さ
せ、この固定床に処理水を通して細菌、ウィルス、原虫
などの微生物の除去・殺菌する水処理装置である。或い
は被処理水中の金属成分の回収や不純物の電気化学的分
解除去にも利用できるものである。
【0038】本発明は、固定床型三次元電極電解槽を用
いる被処理水中の微生物を電気化学的に処理する方法に
おいて、用いる炭素質固定床を100〜130℃の水蒸
気雰囲気下で処理することで炭素質表面を活性化するこ
とによって、被処理水中の微生物を効率的に除去・殺菌
するものである。即ち、本発明の炭素質固定床型三次元
電極電解槽で被処理水中の微生物を除去する場合、一旦
炭素質固定床に微生物が吸着し、これが電極上で電解処
理されて殺菌されていると考えられており、本発明の処
理によって微生物の電極上への吸着がしやすくなるため
除去・殺菌効率が向上したと推定される。この炭素質固
定床の処理は多孔質炭素電極板のみを処理してもよい
が、多孔質炭素電極板、金属補助電極及びガスケットか
らなる炭素質固定床として処理してもよい。或いは電解
槽内に配置された状態で電解槽容器ごと処理することも
可能である。この場合、予め電解槽容器に通水して多孔
質炭素電極板を水で濡らしておくと効果的である。この
処理は、市販の滅菌用オートクレーブが利用できる。そ
の場合、120℃,2atm、20分の処理が好まし
い。この処理は新品の多孔質炭素電極板でも効果がある
が、特に使用済みで微生物の吸着力が低下した多孔質炭
素電極板に著しい効果を発揮する。使用済みの多孔質炭
素電極板を再生する場合はアルカリ洗浄及び/又は酸洗
浄(例えば0.05〜5N NaOH、0.05〜5N
HClを通水、浸漬して有機物、無機物を除去する)
と組み合わせて行うとより効果的である。
【0039】本発明の別の態様は、被処理水を電気化学
的に処理する際に、炭素質固定床型三次元電極電解槽に
印加する電解電圧の極性を反転させる処理方法におい
て、電解槽に印加する第1の電解電圧の極性が反転する
際に、第1の電解電圧よりも低くかつ極性が逆の第2の
電圧を印加することを特徴とする処理方法である。即
ち、これは電解電圧の極性を反復反転させると殺菌効率
が向上するという事実に基づいている。そのメカニズム
は明らかではないが、前述のように炭素質固定床型三次
元電極電解槽で被処理水中の微生物を除去・殺菌する場
合、一旦炭素電極上に微生物を吸着させて、電解殺菌し
ている。殺菌された菌は自然に剥離するものもあるが、
電解電圧の極性を反復反転させることによって一旦吸着
した菌が剥離しやすくなると推察される。これによっ
て、新たな微生物が炭素質電極上に吸着しやすくなって
いると考えられる。電解電圧の印加は通常定期的に極性
を反転させている。これは被処理水中に含まれているC
a,Mg,Siなどの成分が電解によって析出するた
め、これを再度溶解させて電極や電解槽が閉塞すること
を防いでいる。通常15〜60分間隔で極性を反転させ
ている。本発明では、電解処理のための第1の印加電圧
の極性反転に加えて、電極再生のための第2の印加電圧
の反復反転を行う。具体的には、第1の印加電圧を+E
1又は−E1とし、電極再生のための第2の印加電圧を
+E2又は−E2とすると、従来は15〜60分間隔で
+E1→−E1→+E1もしくは−E1→+E1→−E
1と反転させていたが、本発明ではこれに電極再生のた
めの第2の印加電圧の反復反転工程を加える。第2の印
加電圧の反復反転工程は第1の印加電圧の電圧印加過程
のどこに挿入してもよいが、第1の印加電圧の極性が反
転する際に挿入することが望ましい。即ち、+E1→
(−E2→+E2)n→−E1→(+E2→−E2)m
→+E1もしくは+E1→−E1→(+E2→−E2)
l→+E1である。
【0040】ここで、好ましくは+E1と−E1は略等
しい時間印加し、印加時間は1回15〜60minであ
る。又、n又はm又はlは1以上の整数で特に使用して
いる電解槽の固定床の数以上であることが望ましい。+
E2と−E2は略等しい時間印加し、印加時間は1回5
〜60秒であることが望ましい。又、印加電圧E1と印
加電圧E2は同じ電圧でも良いが、印加電圧E2は印加
電圧E1より低い又は高い電圧でもよい。これによっ
て、長期間にわたって、高い殺菌効率が得られるように
なった。
【0041】本発明の別の態様は被処理水を炭素質固定
床型三次元電極を通過させて、電気化学的に処理する炭
素質固定床型三次元電極電解槽において、処理水にアル
カリ金属のハロゲン化物を添加して処理する方法であ
る。この方法は特に被処理水中に多量の有機物を含む場
合に効果的である。例えば、食用鶏肉の加工工場では内
臓を取り出した鶏肉を最終的に包装する前に冷水の入っ
た処理槽内で洗浄している。このような洗浄水には多量
の肉片、血液成分が含まれているため細菌が繁殖しやす
い環境となっている。このように被処理水中に多量の有
機物を含む場合、処理水にアルカリ金属のハロゲン化物
を添加して処理することによって極めて効率的に殺菌が
行えることが判明した。具体的には、被処理水に0.0
05〜0.5%となるようにNaCl、或いはKClな
どを添加して処理する。この場合、次亜塩素酸などの持
続性のある殺菌成分が生成されるため、前述の殺菌メカ
ニズムとの相乗効果でより高い殺菌効率が得られる。特
にこの方法は貯水タンク或いは処理水槽などの水を本装
置で処理した後、貯水タンク或いは処理水槽に戻すとい
った循環処理を行う際に著しい効果が得られる。この時
に使用される多孔質炭素質電極には孔径が0.3〜3m
mの複数の貫通孔を設けることによって、連続運転時の
流量の低下が抑制され、処理効率が向上することが明ら
かとなった。貫通孔の数は任意に設けることが可能であ
るが、複数の貫通孔の開孔面積の総和が炭素質電極の通
水断面積の1〜10%であることが望ましい。
【0042】ところで、炭素質固定床型三次元電極電解
槽では炭素質電極の陽極酸化による崩壊が問題となって
いる。これを防止するために金属製などの補助電極によ
って炭素質電極をサンドイッチし、水の電解による酸素
の発生を主にこの金属電極上で行わせることによって炭
素電極の崩壊を防止している。しかしながら、金属製の
補助電極と炭素電極が離れてしまうと著しい炭素電極の
崩壊が発生するという問題があった。通常金属製の補助
電極はメッシュ状のものが利用されており、厚みが1m
m程度のものが用いられている。そのため外力によって
歪みやすく、一度歪んでしまうと完全に平面に戻すのは
困難であり、無理に戻そうとするとかえって凸凹に歪ん
でしまう。
【0043】図2により説明すると、本発明の炭素質固
定床型三次元電極電解槽〔図2(g)〕は、図2(a)
で示すように、多孔性炭素電極(炭素質固定床)1を、
金属補助電極2、2′でサンドイッチし、全体をガスケ
ット3で包んでいる炭素質固定床型三次元電極を複数個
重ね合わせたものから構成される。炭素質固定床型三次
元電極の斜視図を図2(b)に示す。正常の場合は、図
2(c)に示すように、金属補助電極は平面であり、炭
素質固定床と全体で接触している。しかし、上述したよ
うに、金属補助電極が歪んだ場合、歪んだ電極を用いる
と部分的に炭素電極と接触しない部分が生じ、その部分
で電極崩壊が進行するという問題があった。
【0044】そこで本発明の別の態様では、これを防止
するための組み立て方法を提供する。即ち、被処理水を
炭素質固定床型三次元電極を通過させて、電気化学的に
処理する炭素質固定床型三次元電極電解槽において、炭
素質固定床に接触している金属製補助電極が湾曲してい
る場合、図2(f)に示したように接する炭素電極に対
しその略中央で接触するように金属製補助電極を配置す
る炭素質固定床型三次元電極電解槽の組み立て方法であ
る。この場合、周辺部を弾性体からなるガスケットによ
って押さえつけることが望ましい。こうすることによっ
て、電解槽に組み込んだときに周辺部はガスケットによ
って押さえつけられて金属製補助電極と炭素電極はほぼ
密着し、更に周辺部はガスケットによって覆われている
ため、分極が抑えられており陽極酸化の影響も少ない。
【0045】もう1つは、図2(d)或いは(e)に示
したように、炭素電極に対しその周辺部で金属補助電極
と接触するように金属製補助電極を配置する炭素質固定
床型三次元電極電解槽の組み立て方法である。この場
合、電解槽内の隣接する金属補助電極間の略中央にガス
ケットと一体となった或いは分離したスペーサーを設け
る。このようにすることによってガスケット及び/又は
スペーサーを介して各炭素電極及び金属補助電極間に通
水方向に力が加わったとき、それぞれがきちんと接触し
て陽極酸化による炭素電極の崩壊を防止することがで
き、電極の消耗を減らすことができた。
【0046】又、長期間の電解槽の運転によって、最も
上流側に配置された炭素電極の上流面が下流側の他の炭
素電極よりも崩壊し易いことが判明した。そのため、こ
の問題を解決するため鋭意検討を行った結果、電解槽の
最も上流側の固定床の上流側に微細孔を有する板を設け
ることによって解決することを見出した。具体的には、
図10(b)に示すように、給電用電極の外側或いは給
電用電極と隣接する炭素電極との間に通水性で多孔質の
板を配置した。多孔質の板はガラス、セラミック、樹
脂、繊維、不織布などが好ましく、厚みは0.5〜5m
mで平均孔径50〜200μmのものが好ましく用いら
れる。これによって最も上流側に配置された炭素電極が
他よりも崩壊し易いという問題は解決した。
【0047】又、本発明の別の態様では、多孔性炭素質
電極内にある炭素微粉などの異物を除く方法を提供す
る。即ち、被処理水を炭素質固定床型三次元電極を通過
させて電気化学的に処理する炭素質固定床型三次元電極
電解槽に用いられる炭素電極において、あらかじめ濡ら
した電極板に空気を送り込むことによって、内部の異物
や炭素微粉を効率的に取り除くことができることが判明
した。具体的には、図3(a)に示したように炭素質固
定床型三次元電極17又は多孔性炭素電極(炭素質固定
床)1の外径より大きい内径を有する筒14に、炭素質
電極の側面部と筒との隙間の部分の流体のリークを防止
するようにして、かつ炭素電極を水又は水性溶媒で濡ら
し、これを一方が弾性体の蓋15で略閉じられた前記の
筒に略水平状態で挿入することによって、炭素質固定床
内の異物を外部へ取り出す方法である。図3(a)のよ
うに、上部にセットした多孔性炭素電極1は、ピストン
16により、下方に押され、図3(b)まで降ろされ
る。多孔性炭素電極1内部にある炭素微粉などの異物
は、下方の圧縮された空気の圧力により、矢印のように
上方に吹き出される。ピストン16の代わりに手で押し
てもよく、又弾性体の蓋15の代わりに別の炭素質固定
床型三次元電極17を筒内に設置し、略密封空間を形成
してもよい。
【0048】或いは、炭素質固定床型三次元電極17又
は多孔性炭素電極(炭素質固定床)1が気密容器の一部
の壁面を構成するように配置し、該炭素電極側面部又は
端部と気密容器との隙間からの流体のリークが略無視で
きるようにガスケットなどを利用して配置する。この場
合、図4(a)で示すように、下方の空気導入口19か
ら圧縮空気が送られて来るので、多孔性炭素電極1がず
れないように、気密容器に支持体18を設置しておく。
多孔性炭素電極1の上部(気密空間の外側)の面に水又
は水性溶媒を入れ電極を濡らすか、予め電極を濡らして
おく。その後、気密容器内に空気又は不活性ガスを送り
込んで加圧することによって、炭素電極内の異物が外部
へ取り出される。もし、上部に水又は水性溶媒が貯えら
れていると、異物はこの水又は水性溶媒の中に出てくる
ので、この水又は水性溶媒を異物と一緒に廃棄する。こ
の処理は図4(a)のように、1枚ずつでもいいが、図
4(c)に示すように、多数枚でもよい。図4(c)に
おいて、炭素質固定床型三次元電極17がそれぞれ接触
せず、かつ、給水排水がスムースに行えるように、リン
グ状のスペーサー9を使用する。
【0049】また原理、構成は略同一であるが、図4
(b)に示すように、水又は洗浄液を霧吹きの要領で、
気密容器内に空気を送り込んで加圧すると同時に気密容
器内側に水や洗浄液を噴霧したり、逆に気密容器外側を
水或いは洗浄液に浸しておくと効果的である。
【0050】ところで、炭素質固定床型三次元電極電解
槽に被処理水を水圧2kg/cm2以上で送水すると炭
素質固定床が水圧で下流側に動いてしまうため給電用電
極と炭素質固定床との間隔或いは炭素質電極と金属補助
電極が離れてしまうため陽極酸化による炭素電極の崩壊
が起きるという問題があった。そこで、本発明の別の態
様では、処理槽内の被処理水を炭素質固定床型三次元電
極電解槽を通過させて電気化学的に処理する炭素質固定
床型三次元電極電解槽において、少なくとも上流側の給
電用電極が弾性体で隣接する炭素質固定床に押さえつけ
られていることを特徴とする電解槽によってこの問題を
解決することができた。具体的には、図5(b)又は
(e)に示すようにバネを金属製バネ21又は金属製の
板バネ21′として給電用電極への配線の一部として利
用することもできる。板バネ21′を用いる場合、板バ
ネの形状は、電解槽の直径が小さい場合は、図11
(a)に示すように片側のみの板バネでもよいが、電解
槽の直径が大きくなると、バネ圧も高く、また羽の数も
図11(b)、図11(c)のように、多くする。板バ
ネの形状は任意でよく、羽の数も任意である。又、板バ
ネは金属製であるが、チタンが好ましく、白金メッキさ
れたチタンが最も好ましい。
【0051】図12(a)に、金属製の板バネ21′を
用い、図12(b)に圧縮コイルバネ41を用いた炭素
質固定床型三次元電極電解槽の構成を示す。図13に、
図12(b)の下部の分解図を示すが、電極4′の中心
に熔接された金属棒39に圧縮コイルバネ41がはめら
れ、金属製の導電棒40により支えられている。外部か
らの電力は、導電棒40と金属棒39により電極4′に
与えられるので、圧縮コイルバネ41は導電性のあるも
のでも、ないものでもよい。
【0052】更に、図5(a)のように、樹脂などの非
導電性の素材を使用したバネ20を用いて、別途給電用
電極への配線をワイヤーとすることも可能である。或い
は図5(c)に示すように、球状、柱状のゴムなどの弾
性体22を利用することもできる。
【0053】又、本発明の電解槽は長期間連続で運転を
続けると次第に制菌性能が低下するという問題があっ
た。そこでこの問題を解決するために鋭意検討を続けた
結果、定期的に電解槽を加熱処理することによって制菌
性能が再生することが明らかとなった。その理由は明ら
かにされていないが、連続運転で低下した炭素電極への
菌の吸着力が再生するためではないかと推測される。本
発明の電解槽は例えばポリカーボネート樹脂或いはテフ
ロン樹脂などの耐熱性素材からなる容器からなる。使用
するガスケット、スペーサーもEPDM(エチレンプロ
ピレンゴム)などの耐熱性の高い素材が好ましい。例え
ば、図6に示すように、電解槽の中には、加熱手段とし
てヒーター24が設置されている。このヒーター24は
導線25により外部から通電して、加熱する。又、電解
槽は外側が断熱材23で覆われていることが望ましい。
加熱温度は70℃以上であり、70℃以上で数分〜1時
間、好ましくは10〜30分間処理すると効果的であ
る。
【0054】これらの加熱手段は電解槽の上流側に設け
られていることが望ましく、加熱処理中は電解槽内の処
理水の流量はゼロないし、通水断面積1cm2あたり
0.05リットル/分以下であることが望まれる。加熱
処理中は電解は停止することができる。加熱処理中或い
は処理終了後に電解槽から排出される加熱された水は排
出系に排出されるように流路が切り替えられるようにな
っていることが望ましい。
【0055】更に、図7(a)に示したように熱源を循
環系に設置して、電解槽の処理だけでなくフィルター・
配管全てを加熱処理することが好ましい。図7(a)に
おいて、計測系は破線で、制御系は点線で示し、自動制
御循環システムを示している。処理する水は水供給口2
7から導入され循環水槽28に溜められるが、液面セン
サー29から信号が制御装置に入り、所定の量になると
バルブ31を閉じ、水の供給を止める。循環水槽28に
入った水は、3方コック30、ポンプ35、圧力計3
3、10μmのフィルター34をへて、電解槽本体26
に導入され、水処理された後、流量計32をへて、採水
される。制菌性能が低下し、循環を幾度も繰り返すよう
になると、ヒーター24をONにし、循環水槽28から
3方コック30、ポンプ35、圧力計33、10μmの
フィルター34をへて、電解槽本体26に導入される
が、水量は上述したように、通水断面積1cm2あたり
0.05リットル/分以下にし、水が70℃以上に加熱
されるようにする。電解槽を通過した水は、3方コック
30を操作し排水部へ導かれ外部に排出される。あるい
は、系全体を加熱処理することもでき、処理水がバルブ
31を通るように3方コック30を動かし、採水と排水
の間の経路を水が循環するようにして、加熱処理された
水を系内で循環させる。加熱処理終了後、流量を0.0
5リットル/分以上(好ましくは通常運転時の50〜1
00%の流量)に増やし、一定時間(例えば1〜30分
間)は排出系に排水した後、流路を切り替えて通常運転
に復帰することができる。これらの操作は制御装置によ
って自動的にバルブの切り替え、ポンプの駆動、ヒータ
ーのON/OFFなどを制御することができる。
【0056】また、図7(b)のようにラインの補助水
槽36にヒーターを設置し、ここで加熱された処理水を
電解槽に送水して処理することもできる。更に、補助水
槽36に洗浄のための酸、アルカリなどを添加し、これ
を系内に循環供給することもでき、熱処理と別に又は同
時に行うこともできる。なお、図7(b)において、図
7(a)で示した自動制御装置及び制御系、計測系のラ
インの図示は同一であるので省略した。
【0057】本発明の電解槽は運転中の任意のタイミン
グで手動或いは自動で加熱処理することができる。好ま
しくは予め設定された間隔で、例えば1日〜1ヶ月間隔
で自動的に加熱処理されることが望ましい。
【0058】本発明の炭素質固定床型複極式電解槽は、
複数個の炭素質固定床を収容する筒状体の下方の開口部
の一部に支持体を設置することにより前記筒状体からの
前記複数の炭素質固定床の離脱を容易に防止するように
した炭素質固定床型複極式電解槽である。本発明に係わ
る該炭素質固定床型複極式電解槽は被処理水の改質処理
や水溶液中の銀イオンなどの金属イオン回収等に使用す
ることができる。
【0059】写真処理液、飲料水、プール水、熱交換器
用冷却水、浴場水及び養魚用水等の被処理水を本発明に
係わる電解槽で処理することにより被処理水殺菌等の改
質が行われ、又被処理水が低濃度銀イオン含有溶液であ
る該溶液から銀イオンが金属銀として回収される。
【0060】又、本発明の電解槽により、被処理水中、
細菌(バクテリア)、糸状菌(黴)、酵母、変形菌、単
細胞の藻類、原生動物、ウィルス等の微生物の殺菌が行
われその水質が改善される。
【0061】即ち、被処理水を炭素質固定床型三次元電
極電解槽に供給すると、該被処理水中の微生物は液流動
によって前記電解槽の炭素質固定床や給電用電極ターミ
ナル等に接触・吸着しそれらの表面で強力な酸化還元反
応を受けたり高電位の電極に接触し、その活動が弱まっ
たり自身が死滅して殺菌が行われると考えられる。
【0062】本電解槽を被処理水の改質処理に使用する
場合には、印加電位を陽極電位が実質的な酸素発生を伴
わない+0.2〜+1.2V(vs.SCE)、陰極電
位が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0V(v
s.SCE)となるようにすることが望ましいが、液中
物質が酸化還元反応を受けず液性の変化が生じない場合
や又その反応量がさほど問題にならない場合にはより高
い陽極電位を印加することができる。例えば厚さ9mm
の多孔性炭素質電極の両側に白金メッキした厚さ1mm
のチタン製メッシュ電極を設けこれらを8段重ねて各々
隣接するチタン製メッシュ電極間隔を1mmとし、8枚
重ねた両端のチタン製メッシュ電極と給電用電極の間隔
を1mmとした電解槽の場合、20〜50Vの電圧を該
給電用電極に印加することができる。同じ条件で11段
重ねとした場合は30〜70Vの電圧を該給電用電極に
印加することができる。又本電解槽を銀や金などの金属
回収用として使用する場合には電極上で金属イオンの還
元が生ずるに十分な電位を印加すればよい。
【0063】被処理水の改質の場合、特にプール水や製
紙洗浄水のような大量処理の場合にガス発生が伴うと、
発生するガスつまり酸素ガスと水素ガスは通常爆発限界
内の混合比で発生し、爆発の危険を回避するために空気
等の不活性ガスで希釈することが望ましく、例えば電解
槽出口に発生する電解ガスの分離手段と分離後の該電解
ガスを空気で希釈して電解ガス濃度が4容量%以下にな
るよう希釈する手段を設置することができる。
【0064】プール水等の被処理水の場合、処理すべき
水量は莫大で例えば1時間当たり数トンとなるため、処
理能力の大きい本発明の炭素質固定床型複極式電解槽の
使用が望ましく、該電解槽の使用により処理すべき被処
理水との接触面積を増大させることができ、これにより
装置サイズを小さくし、かつ電気化学的処理の効率を上
げることができる点で有利である。
【0065】本発明の固定床型三次元電極電解槽におけ
る電極は、好ましくは一般に炭素質固定床型三次元電極
と給電用電極を含み、該質固定床型三次元電極は前述の
使用する電解槽に応じた形状を有し、前記被処理水が透
過可能な多孔質材料、例えば粒状、球状、フェルト状、
織布状、多孔質ブロック状等の形状を有する活性炭、グ
ラファイト、炭素繊維等の炭素系材料から選択すること
ができる。
【0066】本発明の炭素質固定床は、平均孔径20〜
100μmのポーラスカーボングラファイトが好まし
い。これらは例えば、有機物バインダーを使用して積層
した複数の植物繊維製シート例えば和紙などを不活性ガ
ス雰囲気中で1000℃以上の温度で熱処理して炭化さ
せ更に加熱処理してグラファイト化した多孔質炭素電極
板である。より好ましくは、複数の合成繊維製シートを
有機物バインダーを使用して積層・プレスし、これを熱
処理して炭化させ更に加熱処理してグラファイト化した
多孔質炭素電極板が不純物も少なく気孔径の制御も容易
なため好ましい。特に目的の気孔径に対して気孔径分布
の幅がせまくシャープになるため、目詰まりが起こりに
くくなる。このような用途に用いられる有機物バインダ
ーにはフェノール樹脂やエポキシ樹脂などが利用できる
が特にこれらに限定されるものではない。合成繊維製シ
ートは布状に織ったものでもよいが、不繊布でもよい。
布或いは紙などを積層・プレス後、焼成して作成した炭
素電極は、繊維の長軸が横方向に伸びているため、繊維
の伸びている方向には水が流れ易い。電極板を作成する
際に、繊維の長軸方向と未処理水の流通方向を一致させ
るように加工することによって、通水し易い電極板が得
られるが、これだと積層した層間で剥離し易く、曲げ強
度が低下するという問題が生じる。そのため電極板内の
未処理水の流通方向に対し、プレスした面とのなす角度
が斜め(10〜80゜好ましくは30〜60℃)になる
ように加工することによって繊維の方向も斜めになる。
このような電極板を用いることによって通水抵抗が少な
く、目詰まりしにくい、曲げ強度の低下も少ない電極板
を得ることができる。
【0067】即ち、従来の炭素電極は、図8(a)に示
すように、繊維の長軸が横方向(積層面上)に伸びてい
るため、繊維の伸びている方向には水が流れ易い。電極
板を作成する際に、図8(b)に示すように、繊維の長
軸方向と未処理水の流通方向を一致させるように加工す
ることによって、通水し易い電極板が得られるが、積層
した層間で剥離し易いため、曲げ強度が低下するという
問題が生じる。そのためこの問題を解決するために鋭意
検討を重ねた結果、図8(c)に示すように、電極板内
の未処理水の流通方向と繊維の積層面とのなす角度αが
斜め(10〜80゜好ましくは30〜60℃)になるよ
うに加工することによって繊維の方向も斜めになる。こ
のような電極板を用いることによって通水抵抗が少な
く、目詰まりしにくい、曲げ強度の低下も少ない電極板
を得ることができた。
【0068】これらの炭素電極板は1つのガスケットの
中に複数枚配置することも可能である。例えば厚さ9m
m孔径50μmのポーラスグラファイト1枚でもいい
し、厚さ3mm孔径50μmのものを3枚重ねて用いて
もよい。更に、孔径や厚さは任意に変更することもで
き、例えば中央に孔径100μm、その両側に孔径50
μmのポーラスグラファイトをサンドイッチして設置
し、この3枚重ねたものを1つの固定床とすることもで
きる。
【0069】これら複数の積層された炭素質固定床は上
下両端が開口する筒状体に収容する。該筒状体は、長期
間の使用又は再度の使用にも耐え得る電気絶縁材料で形
成することが好ましく、特に合成樹脂であるポリエピク
ロルヒドリン、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化エチレ
ン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ABS樹脂、
アクリル樹脂、ポリカーボネート等が使用できる。更に
透明又は半透明な材料で成形すると、前記炭素質固定床
の消耗状態を視認できるためより好都合である。
【0070】この筒状体に収容された前記複数の炭素質
固定床はその直径が前記筒状体の内径よりも同等かやや
小径であるため、該筒状体のみを把持して前記炭素質固
定床の交換等の操作を行うと該炭素質固定床が下方の開
口部から離脱して所定数の炭素質固定床を筒状体内に収
容できなくなる。
【0071】従って本発明に係わる電解槽では、前記筒
状体の下方或いは上部の開口部の一部を閉塞するように
支持体を設置して前記炭素質固定床の離脱つまり筒状体
からの落下等を防止することが好ましい。該支持体の形
状は前記複数の炭素質固定床の移動を抑制するだけの強
度を有すれば特に限定されず、前記筒状体の下端部にド
ーナツ状体を該ドーナツ状体が開口部の一部を塞ぐよう
に溶接や接着等により固定したり、或いはこれと同一形
状の部材を一体成型したり、十字型の部材を筒状体の下
端の円周部分に跨がるよう接着等により固定したり、或
いは網状体を同様に前記閉口部内に設置したりすること
ができる。又前記ドナーツ状体及び筒状体にネジを刻設
して両部材をネジ止めして相互に固定することもでき
る。又開口部の上部も同様にネジ止めにより支持体を設
置することができ、これらより前記炭素質固定床をより
安定な状態で前記筒状体内に収容することができる。
【0072】なお該支持体の被処理水の流れ方向に垂直
方向の断面積は、開口部の開口面積の3〜50%とする
ことが望ましく、3%未満であると強度不足による該支
持体の筒状体からの離脱が生じ易くなり、又50%を越
えると被処理水の流通を阻害するとともに電解電圧の上
昇を招き易くなる。
【0073】該炭素質固定床を直流又は交流電場内に置
き、両端に設置した平板状又はエキスパンドメッシュ状
やパーフェレーティッドプレート状等の多孔板体から成
る給電用電極ターミナル間に直流電圧或いは交流電圧を
印加して前記炭素質固定床を分極させ該炭素質固定床の
一端及び他端にそれぞれ陽極及び陰極を分極により形成
させて成る三次元電極を収容した炭素質固定床型複極式
電解槽とすることが可能であり、この他に単独で陽極と
して或いは陰極として機能する三次元材料を交互に短絡
しないように設置しかつ電気的に接続して炭素質固定床
型複極式電解槽とすることができる。
【0074】前記給電用陽極ターミナルの材質として
は、例えばカーボングラファイト材(炭素繊維、カーボ
ンクロス、グラファイト等)、グラシーカーボン、炭素
複合材(炭素に金属を粉状で混ぜ焼結したもの等)、活
性炭素繊維不織布(例えばKE−1000フェルト、東
洋紡株式会社)又はこれに白金、パラジウムやニッケル
等を担持させた材料、更に寸法安定性電極(白金族酸化
物被覆チタン材)、白金被覆チタン材、ニッケル材、ス
テンレス材、鉄材等から形成される材質がある。又該給
電用陽極ターミナルに対向し負の直流電圧を与える給電
用陰極ターミナルは、例えば白金、ステンレス、チタ
ン、ニッケル、銅、ハステロイ、グラファイト、炭素
材、軟銅或いは白金族金属を被覆した金属材料等から形
成されることができる。
【0075】前記炭素質固定床として活性炭、グラファ
イト、炭素繊維等の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸
素ガスを発生させながら被処理水を処理する場合には、
前記炭素質固定床が酸素ガスにより酸化され炭酸ガスと
して溶解し易くなる。これを防止するためには前記炭素
質固定床の陽分極する側にチタン等の基材上に酸化イリ
ジウム、酸化ルテニウム等の白金族金属酸化物を被覆し
補助電極として使用される多孔質材料又は網状材料を接
触状態で設置し、酸素発生が主として該材料上で生ずる
ようにすることが望まれる。前記金属を用いた補助電極
のかわりに、表面開孔率が10〜80%となるようにΦ
0.1〜3mmの複数の通水用細孔を有するグラッシー
カーボンなどの炭素材(厚さ0.5〜2.0mm)を前
記ポーラスカーボングラファイトなどの炭素電極に電気
的に密着させて使用することもできる。
【0076】処理すべき被処理水が流れる電解槽内に液
が炭素質電極材料に接触せずに流通できる空隙があると
被処理水の処理効率が低下するため、炭素質固定床等は
電解槽内の被処理水の流れがショートパスしないように
配置することが重要である。そのため、炭素質電極材料
の周辺部及び側面部を一つのガスケットで覆うことによ
って、このリーク流を防止することができる。このよう
な電解槽を組み立てる場合の例を示す。即ち、予めガス
ケットに炭素質電極材料及び金属補助電極を組み込んだ
固定床を作製する。ガスケットはゴム等の弾力性のある
素材からできているため、炭素質電極材料或いは金属補
助電極の実際の寸法よりもやや小さめに作製しておき、
引き伸ばしながらはめ込んでやると密着性の点で好まし
い。また、炭素質電極材料の側面部のガスケットが通水
時の水圧によって広がり、ここからリークすることを防
止するため、固定床を収容する容器内径よりやや大きい
外径の突起を設けることが好ましい。又、金属補助電極
は炭素質電極材料とともにはさみこんでもよいし、炭素
質電極材料の上にそえてもよい。
【0077】前述のリーク防止のために電極と電解槽容
器との隙間に樹脂を充填する方法もある。このような樹
脂に熱硬化性樹脂やシリコンシーラントなどが用いられ
る。或いは電極板を熱収縮チューブに詰めて加熱処理し
てもよい。ただし、一度樹脂で固めてしまうと分解が容
易ではなくなるという欠点がある。
【0078】補助電極と炭素電極を導電性樹脂で接着す
ることも可能であり、陽極酸化による炭素電極の崩壊を
抑制するために有効である。
【0079】又、これらの電解槽は被処理水中の異物や
陽極酸化によって生じる炭素微粉末のために目詰まりを
起こしやすいという問題があった、そのため、炭素質電
極材料の被処理水流入側に複数の非貫通の孔をあけた炭
素質電極材料を用いることによって、異物や炭素微粒子
による目詰まりが著しく抑制されることが判明した。孔
の深さは炭素質電極材料の1/4から3/4が好まし
く、孔径は0.5〜4.0mmが好ましい。孔の部分の
面積は炭素質電極材料の5〜25%が好ましい。
【0080】又前記電解槽に供給される被処理水の流量
は、該被処理水が効率的に電極等の表面と接触できるよ
うに規定すればよく、完全な層流であると横方向の移動
が少なく炭素質固定床表面との接触が少なくなるため、
乱流状態を形成するようにすることが好ましく、500
以上のレイノルズ数を有する乱流とすることが特に好ま
しい。
【0081】このような構成から成る電解槽は、例えば
写真処理液中の微生物の殺菌用として使用する場合に
は、発色現像槽、漂白槽、漂白定着槽、水洗工程槽や安
定化工程槽等の写真処理工程の一部又は全部の槽に接続
して、前記各処理槽中の写真処理液を前記電解槽に供給
し循環して処理を行う。又写真処理液からの銀回収用と
して使用する場合も同様に写真処理槽に近接させて設置
し、銀イオンを含む定着液等を前記電解槽に供給しなが
ら通電して銀を回収することができる。
【0082】更に本発明の電解槽は、ビルやマンション
の屋上等に設置された熱交換器、或いはプール、或いは
製紙工程、更に養殖場や釣堀等、浄水場の貯留ライン或
いは家庭や飲食店の水道の蛇口、又は銭湯や温泉等の営
業用浴場や家庭用の浴槽に設置して、それぞれの被処理
水を前記電解槽に導入し電気化学的に処理することによ
り、前記被処理水の殺菌等の改質処理を行うことができ
る。
【0083】なお、本発明の電解槽では該電解槽に漏洩
電流が生じ該漏洩電流が電解槽から写真処理液等の被処
理水を通して他の部材例えば写真処理槽に流れ込み、該
写真処理槽中で好ましくない電気化学反応を誘起した
り、写真処理槽の壁面を電気化学的に腐食させ壁面構成
材料を溶出させることがあるため、電解槽内の陽陰極が
相対しない電極背面部及び/又は前記電解槽の出入口配
管内に、前記被処理液より導電性の高い部材をその一端
を接地可能なように設置して前記漏洩電流を遮断するこ
とができる。これは、他の被処理水に対しても有効であ
る。
【0084】次に添付図面に基づいて本発明に係わる炭
素質固定床型三次元電極電解槽の好ましい例を説明する
が、本発明の電解槽は、この電解槽に限定されるもので
はない。
【0085】各図において、例えばポーラスカーボング
ラファイト電極の炭素質固定床1が積層され、その炭素
質固定床は、金属補助電極(例えば白金メッキされたチ
タンメッシュ)2及び2′でサンドウィッチされる。炭
素質固定床と補助電極は弾性のあるガスケット(例えば
ゴム製)3により保持され、電解槽の内面に密着する。
電解槽の入り口(IN)から被処理水が0.5〜5kg
f/cm2の圧力で送水され、電極4及び4′に外部よ
り電圧をかけることにより、被処理水は、殺菌され、上
部の(OUT)から取り出される。
【0086】図1は、比較の炭素質固定床型三次元電極
電解槽の断面図である。上部の入り口(IN)から導入
された被処理水は、電解槽の内筒5と外筒6の間のスペ
ース7(被処理水導入路)を通り電極内を通過してOU
Tに到達する。矢印に従って被処理水が通過する際に、
外部から、電極ターミナル11、11′をへて電極4、
4′から電力が供給され、金属補助電極2、2′に挟ま
れた炭素質固定床炭素電極1を通過する際に、被処理水
中に含まれる細菌の殺菌或いは銀などの回収が行われ
る。炭素質固定床は金属補助電極2、2′に挟まれ積層
されているので、下部から上部に亙り分極している。そ
れぞれの、炭素質固定床1と金属電極2、2′は側部か
ら被処理水がリークしないように、ガスケット3で封鎖
されている。これらの組がセットされるように、上蓋1
0と外筒6はネジで組み立てられている。洗浄の際に、
内部の水を排出する水ぬき栓13と最初に被処理水がス
ムースに導入されるように、空気ぬき栓12が設けられ
ている。
【0087】
【実施例】次に本発明を実施例に基づき説明するが、本
発明の実施態様はこれに限定されない。
【0088】実施例1 合成繊維を骨材とし、有機物バインダーで重ねあわせて
200kgf/cm2の圧力で成型し、この成型物を熱
処理し、厚さ9mmのポーラスカーボングラファイトを
作成した。気孔率60%、平均気孔径51μmであっ
た。これを比較の多孔性炭素電極とした。更に、このポ
ーラスカーボングラファイトを水で濡らし、オートクレ
ーブにて120℃、2atm,20min処理し、本発
明の多孔性炭素電極を得た。
【0089】本発明の多孔性炭素電極だけを用いて、図
1に示した電解槽を作成した。又、同様に比較の多孔性
炭素電極を用いて電解槽を作成した。
【0090】固定床はポーラスカーボングラファイトで
厚み9mm、直径76mmである。
【0091】金属補助電極として白金で被覆されたチタ
ンメッシュ(厚み1mm)を用いて、前記ポーラスカー
ボングラファイトをサンドイッチした。本電解槽には給
電用電極端子に直流34Vを印加し、30分間隔で極性
を反転させた。本電解槽の場合、電圧は20〜50Vの
範囲で任意に変更できる。
【0092】制菌性能試験はPseudomonas
diminutaを液体培地(普通ブイヨン培地、栄研
化学製)を用いて1日間培養し、菌体を5000rpm
にて遠心分離した後、純水で洗浄し、再度遠心分離し
た。これを予めためておいた水道水(残留塩素濃度が
0.01ppm以下)に添加し被処理水とした。これを
本発明の多孔性炭素電極を用いた電解槽及び比較の多孔
性炭素電極を用いた電解槽に1.2kg/cm2の圧力
で送水し、電解槽通過前後の被処理水を採水し、これに
含まれる生菌数を普通寒天培地(栄研化学製)を用いた
寒天平板法にて測定した。その結果を表1に示す。被処
理水は、生菌数の異なる2種類、1及び2を用いた。制
菌率は下記の式から算出した。
【0093】
【数1】
【0094】
【表1】
【0095】表1から、本発明の多孔性炭素電極を用い
た電解槽の方が明らかに制菌効率に優れていることが判
明した。
【0096】実施例2 実施例1で使用した比較の電解槽と同じ電解槽を用意し
た。これらの給電用電極に各々下記表2に示すパターン
の電圧をくり返し印加した。
【0097】
【表2】
【0098】各電圧印加方法について、下記の方法で制
菌性能を比較した。実施例1と同様の方法でPseud
omonas diminuta(約105CFU/m
l)を含む被処理水を各20リットル調整し、水槽に用
意した。図9に示した装置で、実施例1の比較の電解槽
に該被処理水を2リットル/分の圧力で送水し、電解槽
通過後の被処理水を再度水槽に戻してくり返し処理を行
った。処理開始時及び処理開始3時間後に水槽内の被処
理水を採水し、これに含まれる生菌数を普通寒天培地
(栄研化学製)を用いた寒天平板法にて測定した。その
結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】表3から本発明の電圧印加方法が制菌性能
に優れていることが確認された。
【0101】実施例3 実施例1で使用した比較の電解槽と同じ電解槽を用意
し、これらを、図9に示した循環処理システムの電解槽
としてそれぞれ設置した。
【0102】制菌性能試験はEscherichia
coliを液体培地(普通ブイヨン培地、栄研化学製)
を用いて16時間培養し、菌体を5000rpmにて遠
心分離した後、純水で洗浄し、再度遠心分離した。これ
を予めためておいた水道水(残留塩素濃度が0.01p
pm以下)に添加し、更に異なる濃度のNaClを添加
して被処理水とした。
【0103】この被処理水20リットルをそれぞれ図9
に示した循環水槽28に入れた。電解槽には34Vを印
加し15分ごとに極性を反転させ、ポンプで1リットル
/minの流量で30分間循環処理を行った。処理前及
び処理後の被処理水を採水し、含まれる生菌数をデソキ
シコーレート寒天培地(栄研化学製)を用いて測定し
た。被処理水に何も加えない場合を比較例41、ハロゲ
ン化アルカリを加えた場合を本発明例41〜43とし、
結果を表4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】表4から本発明の被処理水の処理方法が制
菌性能に優れていることが確認された。
【0106】実施例4 実施例1のポーラスカーボングラファイト多孔性炭素電
極にΦ1mm及び3mmの貫通孔を設け、それぞれの貫
通孔を有するポーラスカーボングラファイトからなる電
解槽を2つ作成した。孔がない比較の多孔性炭素電極を
用いて電解槽を作成し、図9に示したような循環処理シ
ステムを用意した。
【0107】実施例1と同様の方法でPseudomo
nas diminuta(約104CFU/ml)を
含む被処理水を調整し、これにNaClを0.04%と
なるように添加し、これを水槽に30リットル用意し
た。各々の電解槽ごとに該被処理水を3リットル/分の
流量で送水し、電解槽通過後の被処理水を再度水槽に戻
してくり返し処理を行った。処理開始時及び処理開始1
週間後及び2週間後の流量(水圧1.2kg/cm2
送水)と水槽内の被処理水の生菌数を普通寒天培地(栄
研化学製)を用いた寒天平板法にて測定した。孔がない
多孔性炭素電極を用いて電解槽を用いた比較例51、5
2とΦ1mm及び3mmの貫通孔を有するポーラスカー
ボングラファイトからなる電解槽を用いた本発明例5
1、52の結果を表5に示す。
【0108】
【表5】
【0109】循環開始後、ポータブル残留塩素計(ハッ
ク社製)で全残留塩素を測定したところ、比較例51で
は0.04ppmであり、比較例52では0.6ppm
であった。本発明例51で2ppm、本発明の例52で
1.8ppmであり、運転開始後短時間で濃度の上昇が
認められた。
【0110】本発明の貫通孔を有する電解槽でアルカリ
金属のハロゲン化物を添加した被処理水を循環処理する
ことによって、連続運転時の流量の低下が抑制され、処
理効率が向上することが明らかとなった。
【0111】実施例5 図2(f)又は(e)に示した金属補助電極と炭素電極
及びガスケット或いは更にスペーサーからなる炭素質固
定床を組み立て、これを用いて図2(g)に示した電解
槽を作成し、本発明の電解槽(61)、(62)とし
た。又、図2(d)に示したような歪んだ金属補助電極
と炭素電極及びガスケット或いは更にスペーサーからな
る炭素質固定床を組み立てこれを用いて図1に示した電
解槽を作成し比較の電解槽(61)とした。また参考例
として図2(c)に示したような実質的に歪みのない金
属補助電極と炭素電極及びガスケット或いは更にスペー
サーからなる炭素質固定床を組み立てこれを用いて図1
に示した電解槽(61)を作成し、これを参考例とし
た。これらの電解槽には、以下の炭素電極及び金属補助
電極を用いた。
【0112】炭素電極:ポーラスカーボングラファイト Φ76mm×厚み9mm、平均気孔径60μm、気孔率
65% 金属補助電極:白金被覆チタンメッシュ厚み1mm 電解槽:炭素電極8枚、極間1mm 電解条件:DC50V、30minごとに極性反転 各々の電解槽を図9のように設置し、水槽に水道水(電
気伝導度300μS/cm)50リットルを用意し、ポ
ンプにて1.2kgf/cm2の水圧で送水し、96時
間電解を行った。炭素電極の陽極酸化崩壊率は72時間
電解後の重量減少率をその指標とした。それぞれの結果
は、対応する例として表6に示す。
【0113】
【表6】
【0114】このように湾曲した補助電極を用いても、
本発明の組み立て方法でつくった電解槽は炭素電極の陽
極酸化による崩壊が少なく優れていることが確認され
た。
【0115】実施例6 図10(a)に示した電解槽を比較例71とし、これに
図10(b)に示したように炭素電極の上流側に平均孔
径50μm厚さ3mmの多孔質板37を設け、これを本
発明例71の電解槽とした。これらの電解槽には、以下
の炭素電極及び金属補助電極を用いた。
【0116】炭素電極:ポーラスカーボングラファイト Φ76mm×厚み9mm、平均気孔径50μm、気孔率
61% 金属補助電極:白金被覆チタンメッシュ厚み1mm 電解槽:炭素電極8枚、極間1mm 電解条件:DC50V、30minごとに極性反転 各々の電解槽を図9のように循環系に設置し、水槽に水
道水(電気伝導度310μS/cm)30リットルを用
意し、ポンプにて1.2kgf/cm2の水圧で送水
し、96時間電解を行った。炭素電極の陽極酸化崩壊率
は72時間電解後の最も上流側の炭素電極の重量減少率
をその指標とした。その結果を表7に示す。
【0117】
【表7】
【0118】このように本発明の電解槽では最も上流側
の炭素電極の陽極酸化による崩壊が少なく優れているこ
とが確認された。
【0119】実施例7 実施例1で使用した比較の電解槽と同様の電解槽を用意
し、図9に示した循環系を組んだ。炭素電極には下記の
ものを使用した。
【0120】炭素電極:ポーラスカーボングラファイト Φ76mm×厚み9mm、平均気孔径42μm、気孔率
60% 電解槽には実施例2の比較の電圧印加方法で電圧を印加
した。
【0121】水道水20リットルを水槽に用意した。該
被処理水を2リットル/分の流量で送水し、電解槽通過
後の被処理水を再度水槽に戻してくり返し処理を行っ
た。3週間循環処理した後、電解槽を分解した。分解
後、流水で15分間洗浄し、このとき炭素電極から出て
きた炭素微粉などの異物を採取し、採取された異物の重
量を測定し比較例81とした。
【0122】この炭素電極を濡らした状態で図3に示し
た装置の円筒に押し込み、図3に示すように、ピストン
16を押して〔図3(a)→図3(b)〕炭素電極内に
エアを送り込むことによって内部の異物を取り出した。
この操作を10回繰り返し本発明例81とした。
【0123】別の操作として、図4(a)に示した装置
にセットし10分間炭素電極内にエアを送り込むことに
よって内部の異物を取り出し本発明例82とした。更に
洗浄後の電極で再度電解槽を組み立て1.2kgf/c
2で送水したときの流量をそれぞれ測定した。表8に
それぞれの方法で採取された異物の炭素電極1枚あたり
の重量と洗浄後の電極で再度電解槽を組み立て1.2k
gf/cm2で送水したときの流量を示した。
【0124】
【表8】
【0125】本発明例81又は82が電極内の異物の除
去に有効であり、これによって電極の閉塞が改善され流
量が改善されることが確認された。
【0126】実施例8 図5(a)及び図5(e)に示した電解槽を用意した。
即ち、上流側の給電用電極をバネで支持し、隣接する炭
素電極に密着させたものである。これをそれぞれ本発明
の電解槽とした。また、図5(d)に示した電解槽を比
較例とした。
【0127】これらの電解槽には、以下の炭素電極及金
属補助電極を用いた。
【0128】炭素電極:ポーラスカーボングラファイト Φ76mm×厚み9mm、平均気孔径51μm、気孔率
60% 金属補助電極:白金被覆チタンメッシュ厚み1mm 電解槽:炭素電極8枚、極間1mm 電解条件:DC45V、30minごとに極性反転 各々の電解槽を図9のように設置し、循環水槽28に水
道水(電気伝導度310μS/cm)30リットルを用
意し、ポンプにて2.8kgf/cm2の水圧で送水
し、1週間電解を行った。炭素電極の陽極酸化崩壊率は
最も上流側の炭素電極の重量減少率をその指標とした。
その結果を表9に示す。
【0129】
【表9】
【0130】このように本発明の電解槽では最も上流側
の炭素電極の陽極酸化による崩壊が少なく優れているこ
とが確認された。
【0131】実施例9 本発明の電解槽として、図6に示した電解槽を組み立
て、図7(a)に示した循環システムを組んだ。図1の
電解槽を図9の循環システムに組み込んでこれを比較例
とした。
【0132】実施例1と同様の方法でPseudomo
nas diminuta (約105CFU/ml)
を含む被処理水を各50リットル調整し、水槽に用意し
た。本発明の電解槽に該被処理水を1.2kgf/cm
2の圧力で送水し、電解槽通過後の被処理水を再度水槽
に戻してくり返し処理を行った。処理開始時及び処理開
始3日ごとに、下記表10に示す加熱処理を実施した。
【0133】
【表10】
【0134】運転開始1ヶ月後に本発明の電解槽の制菌
性能試験を実施例1の方法で行った。
【0135】同様に、比較の電解槽に被処理水を1.2
kgf/cm2の圧力で送水し、電解槽通過後の被処理
水を再度水槽に戻してくり返し処理を行った。運転開始
1ヶ月後に比較の電解槽の制菌性能試験を実施例1の方
法で行った。
【0136】その結果を表11に示す。
【0137】
【表11】
【0138】このように本発明の電解槽及び再生方法を
施した電解槽は長期間にわたって高い制菌性能が維持さ
れることが確認された。
【0139】実施例10 図8(c)のポーラスカーボングラファイト(角度α=
60゜)を用いて、図1の電解槽を組み立て本発明の電
解槽とした。また、図8(a)のポーラスカーボングラ
ファイトを用いて、図1の電解槽を組み立て比較の電解
槽とした。
【0140】炭素電極には下記のものを使用した。
【0141】炭素電極:ポーラスカーボングラファイト Φ76mm×厚み9mm、平均気孔径42μm、気孔率
61% 金属補助電極:白金被覆チタンメッシュ厚み1mm 電解条件:DC40V、30minごとに極性反転 各々の電解槽を用いて、実施例1の方法で制菌性能を試
験した。更に、図9に示した循環系を組み、1.2kg
/cm2の水圧で送水して1ヶ月間連続運転を行い、そ
の間の流量を測定した。その結果を表12に示す。
【0142】
【表12】
【0143】本発明の炭素電極を用いた電解槽は制菌性
能に優れ、流量低下も少なく優れていることが確認され
た。
【0144】
【発明の効果】本発明により、炭素質固定床型三次元電
極電解槽を用いる被処理水中の微生物等を電気化学的に
処理する方法において、制菌効率に優れ、流量低下が少
ない電解槽及び処理方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素質固定床型三次元電極電解槽の断面図であ
る。
【図2】本発明の炭素質固定床型三次元電極の組み立て
方法の説明図である。
【図3】本発明の炭素質固定床型三次元電極から異物を
取り除く方法を示す図である。
【図4】本発明の炭素質固定床型三次元電極から異物を
取り除く別の方法を示す図である。
【図5】本発明の炭素質固定床型三次元電極電解槽の異
なった構成を示す断面図である。
【図6】本発明の炭素質固定床型三次元電極電解槽にヒ
ーターを組み込んだ1例を示す断面図である。
【図7】本発明の水処理方法における炭素質電極の再生
システムを含む循環処理システムを示す図である。
【図8】炭素質電極の断面図である。
【図9】本発明の水処理方法における循環処理システム
を示す図である。
【図10】本発明の炭素質固定床型三次元電極電解槽の
異なった構成を示す断面図である。
【図11】本発明の炭素質固定床型三次元電極電解槽の
上流側の給電用電極を支持する金属製の板バネの代表例
の2面図である。
【図12】本発明の炭素質固定床型三次元電極電解槽の
上流側の給電用電極を支持する異なった構成を示す断面
図である。
【図13】本発明の炭素質固定床型三次元電極電解槽の
上流側の給電用電極を支持する圧縮コイルバネを中心と
した分解図である。
【符号の説明】
1 多孔性炭素電極(炭素質固定床) 2 金属補助電極 2′ 金属補助電極 3 ガスケット 4 電極(外部から電力供給用) 4′ 電極(外部から電力供給用) 5 内筒 6 外筒 7 被処理水導入路 8 導線 9 スペーサー 10 上蓋 11 電極ターミナル 11′ 電極ターミナル 12 空気抜き栓 13 水抜き栓 14 筒 15 弾性体の蓋 16 ピストン 17 炭素質固定床型三次元電極 18 支持体 19 空気導入口 20 バネ 21 金属製バネ 21′ 金属製の板バネ 22 弾性体 23 断熱材 24 ヒーター 25 ヒーター用の導線 26 電解槽本体 27 水供給口 28 循環水槽 29 液面センサー 30 3方コック 31 バルブ 32 流量計 33 圧力計 34 フィルター 35 ポンプ 36 補助水槽 37 多孔質板 38 電解槽容器 39 金属棒 40 導電棒 41 圧縮コイルバネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25B 11/12 C25B 11/12 15/00 302 15/00 302A

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極を
    通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三次
    元電極電解槽に用いる多孔性炭素質電極を、100〜1
    30℃の水蒸気雰囲気下で処理することを特徴とする多
    孔性炭素質電極の処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極を
    通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三次
    元電極電解槽において、該電解槽に用いられる多孔性炭
    素質電極が100〜130℃の水蒸気雰囲気下で処理し
    たものであることを特徴とする炭素質固定床型三次元電
    極電解槽。
  3. 【請求項3】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極電
    解槽を通過させて、電気化学的に処理する際に印加電圧
    の極性を反転させる水処理方法において、電解槽に印加
    する第1の電解電圧の極性が反転する工程に、第1の電
    解電圧の反転周期より短い反転周期を有する第2の印加
    電圧を印加することを特徴とする水処理方法。
  4. 【請求項4】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極電
    解槽を通過させて、電気化学的に処理する水処理装置に
    おいて、電解槽に印加する第1の電解電圧の極性反転す
    る過程に、第1の電解電圧の反転周期より短い反転周期
    を有する第2の印加電圧を印加する電解電圧発生装置を
    有する水処理装置。
  5. 【請求項5】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極を
    通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三次
    元電極電解槽による水処理方法おいて、処理水にアルカ
    リ金属のハロゲン化物を添加して処理することを特徴と
    する水処理方法。
  6. 【請求項6】 処理槽内の被処理水を炭素質固定床型三
    次元電極電解槽を通過させて電気化学的に処理する水処
    理方法において、0.005〜0.5%のアルカリ金属
    のハロゲン化物を含有する処理水を電解槽で処理し、こ
    れを処理槽内に戻すことを特徴とする水処理方法。
  7. 【請求項7】 炭素質固定床に孔径が0.3〜3mmの
    複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項6記載の
    水処理方法に用いる炭素質固定床型三次元電極電解槽。
  8. 【請求項8】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極を
    通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三次
    元電極電解槽の組み立て方法において、炭素質固定床に
    接触している金属製補助電極が凸となるように歪んでい
    る場合、該金属製補助電極を該炭素質固定床の略中央で
    接触するように該金属製補助電極を配置し、該金属製補
    助電極周辺部を弾性体ガスケットで押さえつけることを
    特徴とする炭素質固定床型三次元電極電解槽の組み立て
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の組み立て方法により組み
    立てられたことを特徴とする炭素質固定床型三次元電極
    電解槽。
  10. 【請求項10】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽の組み立て方法において、炭素質固定床
    に接触している金属製補助電極が不規則に歪んでいる場
    合、該金属製補助電極を、該炭素質固定床の周辺部で接
    触するように配置し、該金属製補助電極の周辺部は弾性
    体ガスケットで、略中央はガスケットと一体となった或
    いは分離したスペーサーで押さえつけ、該金属製補助電
    極が該炭素質固定床に対し、ほぼ平行になるよう配置す
    ることを特徴とする炭素質固定床型三次元電極電解槽の
    組み立て方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組み立て方法により
    組み立てられたことを特徴とする炭素質固定床型三次元
    電極電解槽。
  12. 【請求項12】 電解槽の最も上流側の炭素質固定床の
    上流側に微細孔を有する板を設けたことを特徴とする炭
    素質固定床型三次元電極電解槽。
  13. 【請求項13】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽に用いられる炭素質固定床の処理方法に
    おいて、炭素質固定床が気密容器の壁面の一部を構成
    し、かつ、該炭素質固定床と気密容器との隙間からの流
    体のリークが略無視できるように配置された該炭素質固
    定床を、水又は水性溶媒で濡らし、気密容器内に空気又
    は不活性ガスを送り込み加圧することにより該炭素質固
    定床内の異物を外部へ取り出すことを特徴とする炭素質
    固定床の処理方法。
  14. 【請求項14】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽に用いられる炭素質固定床内の異物を外
    部へ取り出す装置において、炭素質固定床が気密容器の
    壁面の一部を構成し、かつ、該炭素質固定床と気密容器
    との隙間からの流体のリークが略無視できるように配置
    された該炭素質固定床を、水又は水性溶媒で濡らし、気
    密容器内に空気又は不活性ガスを送り込み加圧すること
    を特徴とする炭素質固定床内の異物を外部へ取り出す装
    置。
  15. 【請求項15】 処理槽内の被処理水を炭素質固定床型
    三次元電極電解槽を通過させて電気化学的に処理する炭
    素質固定床型三次元電極電解槽において、少なくとも上
    流側の給電用電極が弾性体で隣接する炭素質固定床に押
    さえつけられていることを特徴とする炭素質固定床型三
    次元電極電解槽。
  16. 【請求項16】 上記上流側の給電用電極を押さえつけ
    る弾性体が、板バネ又は圧縮コイルバネであることを特
    徴とする請求項15記載の炭素質固定床型三次元電極電
    解槽。
  17. 【請求項17】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽において、耐熱性容器内に炭素質固定床
    型三次元電極を配置するとともに、電解槽容器内、及び
    /又は電解槽よりも上流側の通水路上、及び/又は電解
    槽の外側に接して、電解槽内の液体を70〜100℃へ
    加熱するための熱源を配置したことを特徴とする炭素質
    固定床型三次元電極電解槽。
  18. 【請求項18】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽において、電解槽が耐熱性容器からな
    り、その耐熱性容器の外側を断熱材で被覆し、耐熱性容
    器内に加熱用熱源を配置し、自動もしくは手動操作で電
    極再生のための70〜100℃への加熱が行われ、加熱
    中、被処理水の流量が電解槽の通水断面積1cm2あた
    り0.05リットル/分以下となるように被処理水の流
    量を調節する機能を有することを特徴とする炭素質固定
    床型三次元電極電解槽。
  19. 【請求項19】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽を含む水処理装置において、該電解槽が
    耐熱性容器からなり、前記炭素質固定床型三次元電極を
    加熱するための手段を循環経路上に配置し、自動的ある
    い手動操作で、電極再生のための70〜100℃への電
    極板の加熱が行われ、加熱処理終了後に、前記循環経路
    上の加熱された水は流路が切り替えられて系外に排出す
    る機能を有することを特徴とする水処理装置。
  20. 【請求項20】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽を含む水処理装置の電極再生方法におい
    て、該電解槽が耐熱性容器からなり、前記炭素質固定床
    型三次元電極を加熱するための手段を循環経路上に配置
    し、自動的あるい手動操作で、電極再生のための70〜
    100℃への電極板の加熱が行われ、加熱処理終了後
    に、前記循環経路上の加熱された水は流路が切り替えら
    れて系外に排出することを特徴とする電極再生方法。
  21. 【請求項21】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽に用いられる炭素質電極が、有機質バイ
    ンダーを使用して積層・圧縮した複数の繊維性シートを
    熱処理し、炭化及びグラファイト化したもので、この成
    型体を切削加工して、処理水の流通方向と前記繊維性シ
    ートの積層面とのなす角が10〜80゜となるように加
    工したことを特徴とする炭素質電極。
  22. 【請求項22】 被処理水を炭素質固定床型三次元電極
    を通過させて、電気化学的に処理する炭素質固定床型三
    次元電極電解槽において、請求項21記載の炭素質電極
    を使用することを特徴とする炭素質固定床型三次元電極
    電解槽。
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