JP3056523B2 - 微生物を含む被処理水の電気化学的処理方法 - Google Patents

微生物を含む被処理水の電気化学的処理方法

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JP3056523B2 JP2341137A JP34113790A JP3056523B2 JP 3056523 B2 JP3056523 B2 JP 3056523B2 JP 2341137 A JP2341137 A JP 2341137A JP 34113790 A JP34113790 A JP 34113790A JP 3056523 B2 JP3056523 B2 JP 3056523B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、微生物を含有する各種被処理水の該微生物
に起因する各種性能劣化を抑制するために前記被処理水
を電気化学的に処理するための方法に関し、より詳細に
は発色現像処理、漂白処理、漂白定着処理、定着処理、
安定化処理及び水洗処理等の写真感光材料処理工程にお
いて使用される写真処理液、あるいはプール水、製紙洗
浄水、熱交換器冷却水、飲料水、養魚用水及び浴場水等
の微生物を含有する各種被処理水を固定床型三次元電極
電解槽を使用して電気化学的に処理することにより前記
各被処理水中の微生物の滅菌を効果的に行うための方法
に関する。
(従来技術) 従来から各種用途に多種類の水溶液や他の物質を溶解
していない単独の水が使用されている。これらの水溶液
等は溶質が適度な養分を提供し、あるいは該水溶液の液
温が繁殖に好ましい比較的高温度であると、細菌等の微
生物が繁殖して該微生物は前記水溶液等の性能劣化を起
こしたり処理装置内に浮遊したり蓄積して処理装置の機
能を損なうことが多い。
例えば写真感光材料は画像露光の後、ペーパー感光材
料処理の場合は、発色現像、漂白定着、水洗及び/又は
安定化の処理工程を経て処理され次いで乾燥される。そ
してこのような写真処理工程においては、発色現像液、
漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗水等の各種
写真処理液が使用されているが、前記感光材料はゼラチ
ン質を含有し微生物繁殖に適した環境を提供するため、
前記写真処理液中に混入した微生物が繁殖して感光材料
処理の効率を低下させるとともに得られるプリントに色
むらが生じたり黴発生等により画像が汚染するという欠
点が生じている。この微生物繁殖による写真処理液の劣
化の抑制は、従来から防黴剤の投入等により前記微生物
を滅菌して性能を賦活する方法が主流であるが、この方
法では添加する防黴剤が多量に必要となり、かつ該防黴
剤が写真処理液や前記感光材料中に残留し易くなり、感
光材料に悪影響を及ぼすことがある。又前記防黴剤の多
くは人体に対して無害とは言い難く、種々の法規制の下
に管理された状態でなければその使用が困難である。又
このように選択した防黴剤も暫くするとその防黴剤に対
する抗菌が発生することになり、再度この抗菌に対して
防黴剤を選択するという煩わしい問題が生ずる。
更に夏季スポーツとして最も一般的な水泳の人気は衰
えることなく、幅広い年齢層の人々に親しまれており、
水泳を楽しむために都市部ではプールが多く利用されて
いる。
このプールに使用されるプール水には人体に有害な細
菌類等の微生物が数多く生息し、該プール水は利用者の
眼や傷などに直接接触して疾患を生じさせることがある
ため、プール水には次亜塩素酸ソーダ等の薬剤を投入し
て事前に滅菌を行って疾患の発生を防止している。しか
しながら前記薬剤として滅菌効果の強い次亜塩素酸や液
体塩素等の塩素系試薬が使用され、該塩素系試薬はそれ
自体あるいは分解物が刺激性を有し、該試薬により殺菌
等の効果が生じても、該試薬による眼の痛みや皮膚のか
ぶれ等の副作用が発生し、特に抵抗力の弱い幼児の場合
は大きな問題となっている。又塩素系試薬は分解するた
め永続使用することか出来ず毎日のようにプール水に添
加を続ける必要があり、かつプールに使用されるプール
水の量は莫大なものであるため、使用する薬剤のコスト
も大きな負担となっている。
更に近年の情報化社会の進展により各種紙類特に高質
紙の需要が増大している。この紙類は製紙用パルプから
各種工程を経て製造されるが、この工程中に製紙前のパ
ルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程がある。該パ
ルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分を含むた
め、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や細菌が多
量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の性能の劣
化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される莫大な量
の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最終製品の
性能劣化を極力防止するようにしている。しかしこの方
法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだけでなく
前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細菌類に起
因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことがあるとい
う問題点がある。
更に近年におけるマンション等の集合住宅あるいは多
数の企業が集合して形成されるビル等の建築物の増加に
伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設備の設置台
数も飛躍的に増加している。このような多数の冷暖房設
備が設置されているマンションやビル等では、通常該冷
暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えばクーリングタ
ワーがその屋上に設置されている。この熱交換器設備の
冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌類等の微生物
が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出して熱交換性能
を悪化させたり、微生物が塊状に発生して配管等を閉塞
することもある。又多量に発生する微生物の排棄物によ
り配管や機器に腐食等の重大な問題を引き起こすことが
ある。
更に近年の家庭用浴槽の普及や温泉ブームから浴場水
の使用量が増大しているが、該浴場水は40℃前後の微生
物が最も繁殖し易い液温を有するため、入浴に使用せず
に単に放置しておくだけでも微生物が急速に繁殖して汚
染され、使用を継続出来なくなり、入浴を繰り返すと人
体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著になる。繁殖し
た微生物は微小であるため濾過操作では除去しにくく、
特に銭湯などではその使用量が膨大であるため、汚染さ
れた浴場水の再生を簡単な処理操作で行うことが出来れ
ば大幅なコストダウンが可能になる。
更に各種魚類資源として海や川に繁殖している天然の
魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類が注目さ
れ、養殖魚が市場に数多く供給されている。養殖場にお
けるこれら魚類の飼育の際には養魚用水中に含まれる細
菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、あるいは魚類に付着
してその商品価値を低下させる等の悪影響を抑制するた
めに殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微生物を死滅
させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量に添加さ
れ、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に抑えるた
めにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与され、そ
の上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育される魚
類は餌の量に比較して人工的に投与される各種薬剤、ビ
タミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類の体内に
蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚類が市場
に供給されることになる。
又養魚用水中には通常の水と同様に約10ppm程度の溶
存酸素が存在し、魚類はこの酸素を摂取して成長してい
く。
更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水された水を浄水
場で滅菌処理した後、各家庭や飲食店等に上水道を通し
て供給される。飲料水の前記滅菌は塩素ガスによる処理
が一般的であるが、該塩素処理によると飲料水の滅菌は
比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響により処理
された飲料水に異物質が混和したような違和感が生じて
天然の水の有するまろやかさが損なわれるという欠点が
生ずる。
飲料水は人間の健康に直結するもので、それに含有さ
れる細菌の滅菌や黴の繁殖の防止つまり微生物の大部分
又は全部を死滅させることが不可欠であり、該滅菌等の
方法としては前述の塩素による方法が主流であるが、該
塩素法による前記欠点を解消するために塩素法以外の滅
菌方法が提案されている。
例えば前記飲料水をオゾン添加処理しあるいは活性炭
吸着処理して改質する方法が提案されているが、処理す
べき飲料水が例えば浄水場の水である場合には処理量が
莫大となる欠点がある。又浄水場で処理しても末端の蛇
口に至るまでに再度微生物が繁殖するという問題があ
り、今のところ塩素処理に優る方法はない。しかし都市
部の水道水滅菌では、その原水となる河川水や湖水等が
各種有機物等で汚染されているため、微生物の滅菌に必
要な量以上の塩素を添加することになり、有機ハロゲン
化物等を生成させるという弊害が生じている。
これらの現象を防止するために従来は防黴剤や沈澱抑
制剤等の各種薬剤を被処理水中に投入したり各種フィル
タを配管途中に設置したりしているが、前記薬剤投入は
前述の通り薬剤の残留による被処理水への悪影響や薬剤
使用のコスト面での問題点が指摘されている。更に添加
薬剤に対する抗菌が暫くすると発生し、次の薬剤を検討
する必要が生ずるという問題点を抱えている。
(発明が解決しようとする問題点) 前述した通り、殺菌剤や防黴剤等の薬剤投入による写
真処理液、プール水、製紙洗浄水、熱交換器冷却水、飲
料水、養魚場水及び浴場水等の滅菌処理では薬剤の残存
の問題が不可避で該残存薬剤により微生物がもたらす以
外の不都合が生ずることがあり、かつ使用する薬剤も高
価なものであることが多く特に大量処理の必要があるプ
ール水、製紙洗浄水及び浴場水等では経済的観点からも
しても、より簡便かつ安価に微生物を含有する被処理水
の滅菌処理を可能にする方法の出現が望まれている。
(発明の目的) 本発明は、前述の従来技術の欠点を解消し、薬剤を使
用することなく被処理水中の微生物を電気化学的に滅菌
する方法を提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、微生物を含む被処理水を固定床型三次元電
極電解槽に供給し、前記被処理水を電気化学的に処理す
ることを特徴とする被処理水の処理方法である。なお本
発明では電極表面上で実質的な酸化還元反応のような電
気化学反応を生起していないことがあるので本発明方法
に使用される槽は電気化学的処理装置というべきである
が、一般呼称に従って電解槽と称する。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、写真処理液等の各種被処理水を固定床型三
次元電極電解槽に供給し該電解槽に直流又は交流電圧を
印加し前記写真処理液等の被処理水中の微生物の滅菌を
行うことを特徴とするものである。本発明の微生物に
は、細菌(バクテリア)、糸状菌(黴)、酵母、変形
菌、単細胞の藻類、原生動物、ウイルス等が含まれる。
前記被処理水のうち写真処理液は適度の塩類、ゼラチ
ン等の栄養源を有しかつ適度な温度に維持されるので、
前記写真処理液中で黴や細菌等が繁殖し易く、又製紙洗
浄水も同様に適度の養分と適度の温度を有して微生物の
繁殖に最適な環境となっている。更に家庭用浴槽や銭湯
で使用される浴場水は最も微生物の繁殖に適した35〜45
℃の温度に維持されるため僅少量の微生物が短時間で莫
大な数に繁殖する。これら写真処理液等以外の被処理水
も微生物を含む雰囲気に接触して微生物が該被処理水内
に取り込まれ繁殖して、前述した通りの不都合が生ずる
ことになる。
前記被処理水を固定床型三次元電極電解槽に供給する
と、該被処理水中の微生物は液流動によって前記電解槽
の陽極や陰極あるいは後述する誘電体や固定床形成用粒
子等に接触しそれらの表面で強力な酸化還元反応を受け
たり高電位の電流に接触し、その活動が弱まったり自身
が死滅して滅菌が行われると考えられる。
従って本発明方法では、被処理水中の微生物が電圧が
印加された電極や誘電体や固定床形成用粒子等に接触す
れば充分であり、両極間に電流を流して水素及び酸素等
のガス発生を伴う実質的な電解反応を生起させることは
必須ではなく、むしろ実質的な電解反応が生じない低い
電位を電極表面に印加することが好ましい。これは実質
的な電解反応が生じた場合に被処理水成分にガス発生に
起因する化学的変化を与えてしまい、これにより複雑な
作用が写真処理液等の被処理液に起こることがあり、一
定の処理性能を常に維持することが難しくなるからであ
り、更に微生物を滅菌する以外のガス発生反応に無駄な
電力を使うことになり不経済でもある。特に多量の酸素
ガスや水素ガスの発生が生ずる電位では、これらガスに
よる酸化還元反応が例えば写真処理液との間で生じ、該
写真処理液の写真処理性能に著しい変化を与えてしまう
ことが多く、又それら発生ガスが電極表面上を覆ってし
まい微生物が電極表面と接触する効率も低下させ滅菌効
率を悪くする。
従って本発明においては、印加電位を陽極電位が実質
的な酸素発生を伴わない+0.2〜+1.2V(vs.SCE)、陰
極電位が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0V(vs.S
CE)となるようにすることが望ましいが、液中物質が酸
化還元反応を受けず液性の変化が生じない場合や又その
反応量がさほど問題にならない場合には、陽極電位を+
2.0V(vs.SHE)より卑な電位とし、陰極電位が−2.0V
(vs.SHE)より貴な電位とすることも出来る。
しかし被処理水として大量処理の必要があるプール水
や製紙洗浄水では、本発明方法による滅菌処理に必要な
電力量は処理コストの大部分を占めることが多い。電力
量は、〔電力〕=〔電圧〕×〔電流〕で表され、電流が
流れずガスが発生しない場合には電力量は零であるが、
ガス発生が生ずる程度の電流が流れると処理すべき水量
が莫大であるため消費電力量も莫大になる。従って消費
電力量を極力少なくするためには更に電圧値を減少させ
なければならない。処理すべき水量が僅かで流れる電流
も僅かな場合は電圧値の増減はさほど消費電力量には影
響しないが、本発明のように大量処理の場合には僅かな
電圧降下が大きく消費電力量を減少させる。通常の電解
槽における電解電圧は、〔陽極ターミナルと陽極間の抵
抗による電圧降下〕+〔陽極の理論電解電圧〕+〔陽極
の過電圧〕+〔溶液抵抗による電圧降下〕+〔陰極の理
論電解電圧〕+〔陰極の過電圧〕+〔陰極ターミナルと
陰極間の抵抗による電圧降下〕により表される。これら
のうち理論電解電圧と過電圧は電解反応の種類を変える
か、電極の材質や電流密度を変えなければ変化すること
がなく、ターミナルと電極間の抵抗も導線を太くすると
いったことで減少させることができるが有効な方法では
なく、電解電圧を減少させるためには溶液抵抗を小さく
することがその効率が非常に大きく最も望ましい。溶液
抵抗を減少させる手段としては、溶液の導電率を上昇さ
せる、両電極間の距離を小さくするといった方法がある
が、プール水や製紙洗浄水や浴場水等に例えば食塩や硫
酸ナトリウム等を添加して導電率を上昇させることは現
実的ではない。従って両電極間の電極間距離を小さくし
て溶液抵抗を小さくすることが好ましいが、本発明のご
とく固定床型の三次元電極を使用する場合には両電極間
の極間距離を小さくして溶液抵抗を小さくするにも限界
があり、両電極が接触しない最低間隔距離は0.1mmであ
る。従って本発明の電気化学的処理においては好ましく
は実際に効率良く処理が行われていることを確認するた
めに最小限の電流を流し、僅少量のガスを発生させなが
ら電解処理することが望ましい。
プール水や製紙洗浄水のような大量処理の場合にガス
発生が伴うと、発生するガスつまり酸素ガスと水素ガス
は通常爆発限界内の混合比で発生し、爆発の危険を回避
するために空気等の不活性ガスで希釈することが望まし
く、例えば電解槽出口に発生する電解ガスの分離手段と
分離後の該電解ガスを空気で希釈して電解ガス濃度が5
容量%以下になるよう希釈する手段を設置することがで
きる。
大量処理が必要な被処理水の処理用に使用する電解槽
は、複極型固定床式三次元電極電解槽とすることが好ま
しい。これらの被処理水の場合、処理すべき水量は莫大
で例えば1時間当たり数トンとなるため、電解槽単位体
積当たりの処理能力の高い電解槽である複極型固定床式
電解槽の使用が望ましく、該電解槽の使用により処理す
べき被処理水との接触面積を増大させることができ、こ
れにより装置サイズを小さくし、かつ電解の効率を上げ
ることができる点で有利である。
更に水道水には前述の微生物以外にカルシウムイオン
やマグネシウムイオンが含有され水道水の配管の内壁へ
のこれらのイオンの析出による配管の閉塞は大きな問題
となっているが、多くの場合水道水を水源として使用す
る熱交換器用冷却水や飲料水中にもカルシウムイオンや
マグネシウムイオンが含有され、該イオンは熱交換器の
熱交換面に付着し易く付着すると冷却水と被冷却水間の
熱交換効率を低下させたり、あるいは飲料水に必要なま
ろやかさを失わせたりする。被処理水中の前記カルシウ
ムイオン及びマグネシウムイオンは、該被処理水を固定
床型三次元電極電解槽を使用して電気化学的に処理する
と該電解槽の陰極や三次元電極上でそれらの水酸化物と
して該陰極上等に析出したり例えば電解槽の液出口に設
置したフィルタ等に補集されて前記被処理水から除去さ
れ前記熱交換面に析出して熱交換効率を低下させたり飲
料水の味を悪くしたりすることがなくなる。
又通常の養魚用水には約10ppmの酸素しか溶存してい
ないが、本発明方法による電気化学的処理により酸素が
発生することがあり養魚用水中の溶存酸素量が増加して
魚類の酸素摂取量が増加することにより、魚類の運動量
が増加し餌を多量に摂取するようになり魚類の成長速度
が加速される。
本発明方法に使用する電解槽は、固定床型三次元電極
電解槽つまり固定床型単極式電解槽及び固定床式複極式
電解槽であり、これらの電解槽では該電解槽の三次元電
極が莫大な表面積を有するため電極表面と写真処理液等
の被処理水との接触面積を増大させることが出来、これ
により装置サイズを小さくし、かつ電気化学的処理の効
率を上げることができる点で有利である。
本発明の固定床型三次元電極電解槽における電極は一
般に三次元電極と給電用電極を含み、該三次元電極は前
述の使用する電解槽に応じた形状を有し、固定床型複極
式電解槽を使用する場合には、前記被処理水が透過可能
な多孔質材料、例えば粒状、球状、フェルト状、織布
状、多孔質ブロック状等の形状を有する活性炭、グラフ
ァイト、炭素繊維等の炭素系材料から、あるいは同形状
を有するニッケル、銅、ステンレス、鉄、チタン等の金
属材料、更にそれら金属材料に貴金属のコーティングを
施した材料から形成された複数個の好ましくは粒状、球
状、繊維状、フェルト状、織布状、多孔質ブロック状、
スポンジ状の誘電体を直流電場内に置き、両端に設置し
た平板状又はエキスパンドメッシュ状やパーフォレーテ
ィッドプレート状等の多孔板体から成る給電用電極間に
直流電圧あるいは交流電圧を印加して前記誘電体を分極
させ該誘電体の一端及び他端にそれぞれ陽極及び陰極を
形成させて成る三次元電極を収容した固定床型複極式電
解槽とすることが可能であり、この他に単独で陽極とし
てあるいは陰極として機能する三次元材料を交互に短絡
しないように設置しかつ電気的に接続して固定床型複極
式電解槽とすることができる。
前記誘電体として活性炭、グラファイト、炭素繊維等
の炭素系材料を使用しかつ陽極から酸素ガスを発生させ
ながら被処理水を処理する場合には、前記誘電体が酸素
ガスにより酸化され炭酸ガスとして溶解し易くなる。こ
れを防止するためには前記誘電体の陽分極する側にチタ
ン等の基材上に酸化イリジウム、酸化ルテニウム等の白
金族金属酸化物を被覆し通常不溶性金属電極として使用
される多孔質材料を接触状態で設置し、酸素発生が主と
して該多孔質材料上で生ずるようにすればよい。
又他のタイプの固定床型複極式電解槽として、例えば
円筒状の電解槽本体内に給電用陽極及び陰極を設置し、
該給電用両極間に、三次元電極として機能する多数の導
電性固定床形成用粒子と該固定床形成用粒子より少数の
電気絶縁性の合成樹脂等から成る絶縁粒子とをほぼ均一
に混在させた電解槽がある。該電解槽では両給電用電極
間に通電して電位を印加すると、固定床形成用粒子が前
記誘電体と同様に分極しその一端が正に又他端が負に帯
電して各固定床形成用粒子に電位が生じ、各粒子に被処
理水中の微生物を滅菌する機能が付与される。なお前記
絶縁粒子は、前記両給電用電極が導電性の前記固定床形
成用粒子により電気的に接続されて短絡することを防止
する機能を有する。
又単極式固定床型電解槽を使用する場合には、前記し
た誘電体又は単独で陽極としてあるいは陰極として機能
する三次元材料各1個を隔膜を介してあるいは介さずに
電解槽内に設置するようにする。
いずれの形態の電極を使用する場合でも、処理すべき
被処理水が流れる電解槽内に液が電極や誘電体や微粒子
に接触せずに流通できる空隙があると被処理水の処理効
率が低下するため、電極等は電解槽内の被処理水の流れ
がショートパスしないように配置することが望ましい。
前記電解槽内を隔膜で区画して陽極室と陰極室を形成
しても、隔膜を使用せずにそのまま通電を行うこともで
きるが、隔膜を使用せずかつ電極の極間距離あるいは誘
電体と電極、又は誘電体相互の間隔を狭くする場合には
短絡防止のため電気絶縁性のスペーサとして例えば有機
高分子材料で作製した網状スペーサ等を両極間あるいは
前記誘電体間等に挿入することができる。又隔膜を使用
する場合には流通する被処理水の移動を妨害しないよう
に多孔質例えばその開口率が10%以上95%以下好ましく
は20%以上80%以下のものを使用することが望ましく、
該隔膜は少なくとも前記被処理水が透過できる程度の孔
径の微細孔を有していなければならない。
このような構成から成る電解槽は、例えば写真処理液
中の微生物の滅菌用として使用する場合には、発色現像
槽、漂白槽、漂白定着槽、水洗工程槽や安定化工程槽等
の写真処理工程の一部又は全部の槽に接続して、前記各
処理槽中の写真処理液を前記電解槽に供給し循環して処
理を行う。前記電解槽に供給される写真処理液の流量
は、該写真処理液が効率的に電極等の表面と接触できる
ように規定すればよく、完全な層流であると横方向の移
動が少なく電極、誘電体及び微粒子表面との接触が少な
くなるため、乱流状態を形成するようにすることが好ま
しく、500以上のレイノルズ数を有する乱流とすること
が特に好ましい。又その際の電極電位は前述の通り陽極
電位を+1.2V(vs.SHE)より卑で+0.2V(vs.SHE)より
貴である値とし、陰極電位を−1.0V(vs.SHE)より貴で
ある値とすることが望ましい。この電位範囲では両極に
おける通常の電解反応により生ずる酸素ガス及び水素ガ
スの発生が殆ど認められず、前記微生物の滅菌に寄与す
ることのない発生ガスに配慮することなく、更にそれら
発生ガスによる処理液との酸化還元反応により処理液成
分が変化することなく、又電解電力を被処理水滅菌以外
の無駄な電解ガス発生に使用することなく、前記被処理
水の滅菌処理を行うことができる。
更に本発明に使用する電解槽は、ビルやマンションの
屋上等に設置された熱交換器に近接して設置し、熱交換
器内の冷却水の一部を循環させて前記電解槽等で殺菌等
の処理を行った後に前記熱交換器に戻すようにして使用
することが出来る。
又熱交換器用冷却水には配管内を流れる間に固形の不
純物が混入することがあり、上記した電気化学的処理の
他に該不純物を除去するために熱交換器の前後好ましく
は前にフィルターを設置することが望ましい。
更に本発明に使用する電解槽は、プールに近接させ、
あるいは製紙工程の要所に設置して、プール水の一部を
循環させて前記電解槽で滅菌処理した後にプールに戻
し、あるいは製紙洗浄水の全部又は一部を前記電解槽で
処理した後に前記製紙工程の洗浄水として使用するよう
にすることが出来る。
更に本発明に使用する電解槽は、養殖場や釣堀等に近
接して設置し、該養殖場等の養魚用水の一部を循環させ
て前記電解槽で電気化学的に滅菌等の処理を行った後に
前記養殖場に戻すようにして使用することが出来、更に
家庭用の観賞魚等の水槽に隣接して設置し、該水槽の養
魚用水を循環させて滅菌等の処理を行うことが出来る。
このときに陽極において酸素が発生する電圧を印加する
と養魚用水中の溶存酸素量が増加して前述の通り魚類の
成長速度が増大する。
更に本発明に使用する電解槽は、浄水場の貯留ライン
中あるいは家庭や飲食店の水道の蛇口に近接させて設置
し、飲料水の全部又は一部を前記電解槽に導入し電気化
学的に処理することにより、該飲料水の滅菌処理を行う
ことが出来る。
更に本発明に使用する電解槽は、銭湯や温泉等の営業
用浴場や家庭用の浴槽に近接して設置し、浴場内の浴槽
や家庭用浴槽の浴場水の全部又は一部を前記電解槽に導
入し電気化学的に処理することにより、前記浴場水の滅
菌処理を行うことが出来、これにより浴場水の清浄化が
達成され、必要に応じてフィルタにより不溶性物質を濾
過することにより溶性及び不溶性の不純物をほぼ完全に
除去して使用済の浴場水を廃棄することなく長期に亘っ
て使用して使用水量及びと燃料の節約を達成することが
出来る。
なお、本発明方法に使用する電解槽では該電解槽に漏
洩電流が生じ該漏洩電流が電解槽から写真処理液等の被
処理水を通して他の部材例えば写真処理槽に流れ込み、
該写真処理槽中で好ましくない電気化学反応を誘起した
り、写真処理槽の壁面を電気化学的に腐食させ壁面構成
材料を溶出させることがあるため、電解槽内の陽陰極が
相対しない電極背面部及び/又は前記電解槽の出入口配
管内に、前記被処理液より導電性の高い部材をその一端
を接地可能なように設置して前記漏洩電流を遮断するこ
とができる。
次に添付図面に基づいて本発明に使用できる電解槽の
好ましい例を説明するが、本発明方法に使用されあるい
は本発明装置を構成する電解槽は、この電解槽に限定さ
れるものではない。
第1図は、本発明方法の電解槽として使用可能な固定
床型複極式電解槽の一例を示す概略縦断面図である。
上下にフランジ1を有する円筒形の電解槽本体2の内
部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の給電
用陽極ターミナル3と給電用陰極ターミナル4が設けら
れている。電解槽本体2は、長期間の使用又は再度の使
用にも耐え得る電気絶縁材料で形成することが好まし
く、特に合成樹脂であるポリエピクロルヒドリン、ポリ
ビニルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化エチレン、フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂等が好ましく使用できる。正の直
流電圧を与える前記陽極ターミナル3は、例えば炭素材
(例えば活性炭、炭、コークス、石炭等)、グラファイ
ト材(例えば炭素繊維、カーボンクロス、グラファイト
等)、炭素複合材(例えば炭素に金属を粉状で混ぜ焼結
したもの等)、活性炭素繊維不織布(例えばKE−1000フ
ェルト、東洋紡株式会社)、又はこれに白金、白金、パ
ラジウムやニッケルを担持させた材料、更に寸法安定性
電極(白金族酸化物被覆チタン材)、白金被覆チタン
材、ニッケル材、ステンレス材、鉄材等から形成され
る。又陽極ターミナル3に対向し負の直流電圧を与える
陰極ターミナル4は、例えば白金、ステンレス、チタ
ン、ニッケル、銅、ハステロイ、グラファイト、炭素
材、軟鋼あるいは白金族金属をコーティングした金属材
料等から形成されている。
前記両電極ターミナル3、4間には複数個の図示の例
では3個のスポンジ状の固定床5が積層され、かつ該固
定床5間及び該固定床5と前記両電極ターミナル3、4
間に4枚の多孔質の隔膜あるいはスペーサー6が挟持さ
れている。各固定床5は電解槽本体2の内壁に密着し固
定床5の内部を通過せず、固定床5と電解槽本体2の側
壁との間を流れる写真処理液の漏洩流がなるべく少なく
なるように配置されている。隔膜を使用する場合には該
隔膜として織布、素焼板、粒子焼結ブラスチック、多孔
板、イオン交換膜等が用いられ、スペーサーとして電気
絶縁性材料で製作された織布、多孔板、網、棒状材等が
使用される。
このような構成から成る電解槽に下方から矢印で示す
ように例えば写真処理工程の水洗工程からの水洗水を供
給しながら通電を行うと、前記各固定床5が図示の如く
下面が正に上面が負に分極して固定床5内及び固定床5
間に電位が生じ、該電解槽内を流通する水洗水はこの電
位を有する固定床5に接触してその中に含有される黴や
細菌の滅菌等の改質処理が行われて該電解槽の上方から
取り出され、該水洗水は再度水洗工程へ循環供給され再
度水洗水として使用される。
他の現像処理液、漂白液、漂白定着液、定着液等では
各処理槽の写真処理液を被処理水として電解槽に導き、
電気化学的処理を施した後に、再び該被処理水を写真処
理液として処理槽に戻るように循環させながら電解処理
することにより本発明の目的が達成される。
又フィルムプロセッサーを運転停止した後、再スター
トさせるときの処理槽の温調スタートと同時に本発明の
電気化学的処理を始めることが好ましい。
第1図に示した電解槽は、写真処理液の他に、前述の
プール水をはじめとする他の被処理水についても同様に
して使用することが出来る。
第2図は、本発明に使用できる複極型固定床式電解槽
の他の例を示すもので、該電解槽は第1図の電解槽の固
定床5の給電用陰極4に向かう側つまり陽分極する側に
メッシュ状の不溶性金属材料7を密着状態で設置したも
のであり、他の部材は第1図と同一であるので同一符号
を付して説明を省略する。
直流電圧が印加された固定床5はその両端部において
最も大きく分極が生じ、ガス発生が伴う場合には該両端
部において最も激しくガス発生が生ずる。従って最も強
く陽分極するつまり最も激しく酸素ガスが発生する固定
床5の給電用陰極4に向かう端部には最も速く溶解が生
じる。図示の通りこの部分に不溶性金属材料7を設置し
ておくと、該不溶性金属材料7の過電圧が固定床5を形
成する炭素系材料の過電圧より低いため殆どの酸素ガス
が前記不溶性金属材料7から発生し固定床5は殆ど酸素
ガスと接触しなくなるため、前記固定床5の溶解は効果
的に抑制される。又該電解槽2に供給された被処理水は
第1図の場合と同様に処理され殺菌が行われる。
第3図は、本発明に使用できる複極型固定床式電解槽
の他の例を示すものである。
上下にフランジ11を有する円筒形の電解槽本体12の内
部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の給電
用陽極13と給電用陰極14が設けられている。電解槽本体
12は、長期間の使用又は再度の使用にも耐え得る電気絶
縁材料特に合成樹脂で形成することが好ましい。
前記両給電用電極13、14間には、導電性材料例えば炭
素系材料で形成された多数の固定床形成用粒子15と該固
定床形成用粒子15より少数の例えば合成樹脂製の絶縁粒
子18とがほぼ均一に混在している。該絶縁粒子18は、前
記給電用陽極13及び給電用陰極14が完全に短絡すること
を防止する機能を有している。
このような構成から成る電解槽に下方から矢印で示す
ように被処理水を供給しながら通電を行うと、前記各固
定床形成用粒子15が給電用陽極13側が負に又給電用陰極
14側が正に分極して表面積が莫大な三次元電極として機
能し、第1図及び第2図の電解槽と同様にして前被処理
水中の黴や細菌等の微生物の滅菌等の改質処理が行われ
て該電解槽の上方から取り出される。
第4図は、本発明に使用できる単極型固定床式電解槽
を例示するものである。
上下にフランジ21を有する円筒形の電解槽本体22の内
部上端近傍及び下端近傍にはそれぞれメッシュ状の給電
用陽極23と給電用陰極24が設けられている。電解槽本体
22は、長期間の使用又は再度の使用にも耐え得る電気絶
縁材料特に合成樹脂で形成することが好ましい。
前記両給電用電極23、24間には、隔膜26を挟んで導電
性材料例えば炭素繊維をフェルト状に成形した1対の固
定床25が陽極室内及び陰極室内に充填され、前記陽極室
内及び陰極室内のフェルト状炭素繊維はそれぞれ前記給
電用陽極23と給電用陰極24に電気的に接続され、陽極室
内の固定床は正に陰極室内の固定床は負に帯電されてい
る。
この電解槽に下方から矢印で示すように被処理水を供
給しながら通電を行うと、第1図から第3図の場合と同
様に固定床25が表面積が莫大な三次元電極として機能し
て被処理水中の黴や細菌等の微生物の滅菌等の改質処理
が行われて該電解槽の上方から取り出される。
(実施例) 以下に本発明方法による写真処理液等の被処理水処理
の実施例を記載するが、該実施例は本発明方法を限定す
るものではない。
実施例1 第1図に示した電解槽3槽(E−1、E−2、E−
3)を発色現像槽(CD)、漂白槽(BL)、定着槽(ST)
及び水洗槽から成るフィルムプロセッサー(ノーリツ鋼
機製QSF−450 Lフィルムプロセッサー)の水洗槽と水洗
水補充配管途中に水洗水循環ポンプ51を介して第5図に
示すよう配置し、第1表に示すように補充水洗水量を変
化させた。処理後の写真感光材料を一定期間保存した後
のステイン上昇とシアン色素の画像安定性を比較し、更
に電解槽E−1通過前の写真処理液中及び通過後の写真
処理液中の1ml当たりの黴及び細菌の数を測定した。
各電解槽E−1、E−2、E−3は、塩化ビニル製の
高さ100mm、内径50mmのフランジ付円筒形であり、該円
筒体の内部に開孔率60%の炭素繊維から成る直径50mm、
厚さ10mmの固定床3個を、開口率85%で直径50mm及び厚
さ1.5mmのポリエチレン樹脂製隔膜4枚で挟み込み、上
下両端の隔膜にそれぞれ白金をその表面にメッキしたチ
タン製である直径48mm厚さ1.0mmのメッシュ状陽極ター
ミナル及び陰極ターミナルを接触させて設置した。各電
解槽E−1、E−2、E−3の循環水量は3.5/分と
した。
第5図に示すように、補充水洗水槽53の水洗水を水洗
槽へ供給するための水洗水補充ポンプ52の出口にE−10
電解槽を設置して、補充する水洗水も電解処理した。E
−10電解槽は、塩化ビニル製の高さ150mm、内径50mmの
フランジ付円筒形であり、該円筒体の内部に開孔率60%
の炭素繊維から成る直径50mm、厚さ10mmの固定床5個
を、開口率85%で直径50mm及び厚さ1.5mmのポリエチレ
ン樹脂製隔膜6枚で挟み込み、上下両端の隔膜にそれぞ
れ白金をその表面にメッキしたチタン製である直径48mm
厚さ1.0mmのメッシュ状陽極ターミナル及び陰極ターミ
ナルを接触させて設置したものである。
写真感光材料としては、市販のコニカカラーGX100を
常法の段差露光処理したものを使用したが、第1表に示
す結果は他の写真感光材料(市販のコニカカラーGX II1
00、GX400、GX3200、フジカラースーパーHR100、200、4
00、1600、スーパーHR II100、1600、スーパーHG200、4
00、イーストマンコダック社製コダカラーVRG100、20
0、400、VR1000、VR・Gold100、200、400、エクター(E
kta)25、1000、Ektapress400、1600)でも実質的に同
様であった。
又写真感光材料の処理プロセスとしては、プロセスC
−41RA(コダック社製)の基準処理をこの現像機に使用
した。
前記フィルムプロセッサーの水洗工程に水洗水を補充
しながら各電解槽を次の電極電位条件で運転した。
E−1、2、3の陽極電位 +0.85〜+0.88V(vs.SH
E) E−1、2、3の陰極電位 −0.46〜−0.40V(vs.SH
E) E−10電解槽の陽極電位 +0.83V(vs.SHE) E−10電解槽の陰極電位 −0.45V(vs.SHE) 本実施例で現像処理した感光材料を80℃、65%RHで10
日間暗所保存したものの、イエローステイン濃度増加
と、最大シアン濃度低下を光学濃度計PDA−65(コニカ
(株)製)で測定した結果及び黴及び細菌数を第1表に
纏めた。なお細菌数の測定用サンプルは電解開始後30分
後にサンブリングした。
第1表から明らかなように、水洗水を電気化学的に処
理する水洗工程を有する現像処理は、有しない現像設備
での現像処理に比較してイエローステイン増加、シアン
濃度低下ともに改良され、黴及び細菌数も大幅に減少し
ていることが判る。この効果は水洗水量を少なくできる
直接的経済効果は勿論のこと廃液排出量も少なくなりか
つ写真処理工程に有害な防黴剤を添加することなく細菌
数を一定値以下に維持でき、その効果は驚くべきも のである。
実施例2 本実施例では電解槽の設置位置の最適状態を検討する
ために試験を行った。各電解槽は実施例1で使用したも
のと同じものを実施例1と同一電位条件で運転し、第2
表に示すように電解槽E−1、E−2、E−3及びE−
10を運転しあるいは停止させながら電解処理を行った。
その場合の最大シアン濃度変化と、イエローステインの
増加を測定し、更に写真処理液の電解槽E−1通過前後
の細菌数を測定しその結果を第2表に示した。使用した
写真感光材料及び処理プロセスは実施例1と同様とし
て、細菌数の測定用サンプルは電解開始後30分後にサン
プリングした。
第2表から、電解槽は各水洗処理槽に各々設置すると
好結果が得られるが、水洗水補充位置に設置しても効果
があることが判る。又両方に設置されることが最も設置
効果が他界ことが判る。この実施例2の試験を同じ要領
で、補充水洗水量を2/m2、1/m2、500ml/m2、50ml
/m2と変化 させて行ったが、実質的に同一の効果が得られた。
実施例3 第1図に示した電解槽E−1、E−2及びE−3を、
第6図に示すようにプリンタプロセッサー(ノーリツ鋼
機製QSS−901プリンタプロセッサー)の写真処理工程の
安定化処理槽(ST)の途中の安定液補充配管中に安定液
循環ポンプ54とともに設置し、安定液を前記電解槽に循
環させて第3表に示すように安定液補充量を変化させな
がら該安定液の改質処理を行った。処理後の写真感光材
料を一定期間保存した後、そのステイン濃度上昇とシア
ン色素の画像安定性を比較し、更に電解槽E−1通過前
後の写真処理液中の細菌数を比較した。各電解槽は実施
例1で使用したものと同一仕様のものを使用し、各安定
化処理槽に取り付けた前記電解槽E−1、E−2及びE
−3に、3.6/分で安定液を循環させた。なお補充安
定液槽55の安定液を安定槽へ供給するための安定液補充
ポンプ56の出口にE−10電解槽を設置して、補充する安
定液も電解処理した。
又細菌数の測定用サンプルは、電解開始30分後にサン
プリングした。
このプリンタプロセッサーで現像処理する感光材料と
しては、市販のコニカカラーQAペーパータイプ−Aを常
法の段差露光処理したものを使用したが、後述する第3
表及び第4表に示す結果は他の感光材料(コニカカラー
QAペーパータイプA−2、コダックエクタカラー2001ペ
ーパー、フジカラーペーパースーパーSA)でも実質的に
同様であった。又写真感光材料の処理プロセスは、プロ
セスRA−4(コダック社製)の基準処理をこの現像機に
使用した。
前記プリンタプロセッサーの安定化処理工程に安定化
を補充しながら各電解槽を次の電極電位条件で運転し
た。
E−1、2及び3の陽極電位 +0.81〜+0.85V(vs.
SHE) E−1、2、3の陰極電位 −0.40〜−0.38V(vs.SH
E) E−10電解槽の陽極電位 +0.84V(vs.SHE) E−10電解槽の陰極電位 −0.38V(vs.SHE) このように現像処理した感光材料を、80℃、65%RHで
10日間暗所保存したものの、イエローステイン濃度増加
と最大シアン濃度低下を光学濃度計PDA−65(コニカ
(株)製)で測定した結果及び電解槽通過前後の細菌数
を第1表に纏めた。
第3表から明らかなように、安定液を電気化学的に処
理する安定処理工程を有する現像処理は、有しない現像
処理と比較して、イエローステイン増加、シアン濃度低
下がともに改良されていることが判る。これにより安定
液補充量を少なくでき、かつ廃液排出量も少なくなり、
驚くべき改質効果ということができる。更に第3表から
判るように写真処理液が電解槽を通過することにより該
写真処理液中の細菌数は大幅に減少する。
又第4表に示すように、補充安定液量を一定にし、各
電解槽の運転状況を変化させて、同一条件で安定液の処
理を行った。その結果を第4表に纏めた。
第4表から電解槽は各安定化処理槽に各々設置 することが好結果を生じさせるが、補充配管中に設置し
ても効果がある。そして両方に設置することが最も効果
が高いことが判る。
第4表に示した条件と同一条件で、補充安定液量を1
/m2、500ml/m2、250ml/m2、50ml/m2、25ml/m2と変化
させて同じ操作を行ったが、実質的に同一の効果が得ら
れた。
実施例4 実施例1で使用したフィルムプロセッサーの水洗工程
の代わりに安定化処理工程を導入し、第7図に示すよう
に実施例1の仕様の電解槽E−1、E−2、E−3及び
E−10を設置し、かつ安定液循環ポンプ54、安定液補充
ポンプ56及び補充安定液槽55もそれぞれ図示の通り設置
し、各電解槽を実施例1と同様に運転して安定液の電気
化学的処理効果を検討した。なお本試験には次の組成の
安定液を使用した。
酢酸(90%) 0.5ml 1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン 0.1g ポリビニルピロリドン 0.1g トリエタノールアミン 1.3g C8H17−C6H4−O(CH2CH2O)nH 0.4g 水を加えて1としてアンモニア水及び50%酢酸を用
いてpH7.5に調整した。
試験の結果、実施例1、実施例2及び実施例3と同様
に電気化学的処理を行っている安定液で処理を行った感
光材料は、イエローステイン濃度上昇、最大シアン濃度
低下が少なく、画像保存性に優れ、かつ前記安定液中の
細菌数は電解槽を通過させることにより大幅に減少する
ことが判った。
実施例5 実施例3で使用したペーパープロセッサーの安定化処
理工程の代わりに水洗工程を導入して第8図に示すよう
に実施例1の仕様の電解槽E−1、E−2、E−3、E
−4及びE−10を設置し、かつ水洗水循環ポンプ51、水
洗水補充ポンプ52及び補充水洗水槽53もそれぞれ図示の
通り設置し、各電解槽を実施例3と同様に運転して水洗
水の電気化学的処理効果を検討した。試験の結果、実施
例1、2及び3と同様に、水洗水を電気化学的処理を行
っている現像機で処理した感光材料は、イエローステイ
ン濃度上昇、最大シアン濃度低下が少なく、画像保存性
に優れ、かつ前記安定液中の細菌数は電解槽を通過させ
ることにより大幅に減少することが判った。
実施例6 実施例1に示した電解槽及びプロセッサーを使用して
その電解槽の陽極電位及び陰極電位を変えて、その状態
で処理される感光材料の画像保存性、電解槽からのガス
発生量及び電解槽通過前後の細菌数を比較検討した。な
お画像保存試験に用いる試料となる感光材料は、電気化
学的処理を始めて6時間経過した時点で処理したものを
使用した。その結果を第5表に纏めた。なお、各水洗水
槽に取り付けた電解槽の循環水量は3.5/分とし、補
充水洗水量は200ml/m2として試験した。なお細菌数の測
定用サンプルは電解開始30分後にサンプリングした。
第5表の結果から陽極電位が+0.2V(vs.SHE)以下で
は、処理液の改質効果はなく、又+1.2V(vs.SHE)以上
では電解ガスの発生が多くなり、無駄な電力消費が生ず
ると共に水洗液が酸化還元反応を受け、若干沈澱物の生
成があり、更に発生ガスの処理を行う必要があるが、E
−1電解槽出口の細菌数はいずれの電位でも減少するこ
とが判った。
実施例7 第1図に示した電解槽と同一の電解槽E−20を第9図
に示すようにプリンタプロセッサー(ノーリツ鋼機製QS
S−901プリンタプロセッサー)の発色現像処理槽に設置
し、該発色現像槽内の発色現像液を発色現像液循環ポン
プ57を使用して循環させながら、感光材料を発色現像処
理して、そのY、M、C最大発色濃度(反射濃度)及び
細菌減少量を比較検討した。発色現像槽に取り付けたE
−20電解槽は循環液量3.5/分で電気化学的処理を行
った。感光材料としては市販のコニカカラーQAペーパー
タイプAを段差露光処理したものを使用し、処理プロセ
スとしてはプロセスRA−4(コダック社製)の基準処理
を用いた。E−20電解槽は、陽極電位+0.82V(vs.SH
E)、陰極電位−0.38V(vs.SHE)で運転した。現像処理
後の感光材料試料をPDA−65(コニカ(株)製)を用い
て試料のDmaxをオレンジ光にて分光反射濃度を用いて測
定し更にE−20を運転した場合及びしない場合の該電解
槽通過前後の発色現像液中の細菌数を比較した。その結
果を第6表に纏めた。
第6表から明らかなように、本電解槽による電気化学
的処理を行うことにより発色現像処理工程の反応を活性
化できかつ細菌数が減少することが判明した。
他の感光材料(コニカカラーQAペーパータイプA−
2、コダックエクタカラー2001ペーパー、フジカラーペ
ーパースーパーSA)を使用して試験を行ったが、実質的
に同じ効果を得た。
実施例8 第1図に示した電解槽と同一の電解槽E−21を第10図
に示すようにフィルムプロセッサー(ノーリツ鋼機製QS
F−450 Lフィルムプロセッサー)の定着処理槽に設置
し、該定着槽内の定着液を定着液循環ポンプ58を使用し
て循環させながら、感光材料を現像処理して、感光材料
からの脱銀性を比較検討した。感光材料としては市販の
コニカカラーGX100を曝射露光したものを使用し、処理
プロセスとしてはプロセスC−41RA(コダック社製)の
基準処理を使用した。設置した電解槽は、陽極電位+0.
71V(vs.SHE)、陰極電位−0.33V(vs.SHE)で運転し、
電解槽と定着槽間の循環液量は3.3/分とした。現像
処理後の感光材料試料の曝射露光部の残留銀濃度を螢光
X線法で分析し次の結果を得た。
定着槽に電解槽を取り付けた現像処理 ……0.1mg/100cm2 定着槽に電解槽を取り付けない現像処理 ……0.5mg/100cm2 この結果が示す通り、定着槽に本電解槽を取り付けた
現像処理では定着性能が高まる。他の感光材料(実施例
1と同一)を使用して同様の試験を行った結果、実質的
に同じ結果を得た。
又電解槽E−21通過前後の細菌数は共に0個であっ
た。
実施例9 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ400mm、内径6
00mmのフランジ付円筒形である第1図に示した電解槽2
を第11図に示すように、建築物61屋上の熱交換器62に近
接してフィルタ63とともに設置した。該建築物61の各階
には所定の冷暖房設備が設置され、前記熱交換器62のフ
ィン64に接触して冷却された熱交換器用冷却水は冷却水
供給配管65を通して前記冷暖房設備に供給されて該設備
に使用される循環水を冷却した後、ポンプ66により冷却
水回収配管67を通して屋上に循環されフィルター63を通
って固体状不純物が除去された後、前記電解槽2に供給
されるようにした。
前記電解槽内には、炭素繊維から成る直径600mm、厚
さ10mmの固定床15個を、開口率80%で直径600mm及び厚
さ1.2mmのポリエチレン樹脂製隔膜16枚で挟み込み、上
下両端の隔膜にそれぞれ白金をその表面にメッキしたチ
タン製である直径580mm厚さ1.0mmのメッシュ状給電用陽
極及び給電用陰極を接触させて設置した。
熱交換器用冷却水を10トン/の速度で前記電解槽に
給電し、かつ前記給電用電極間に第7表に示す電解電圧
を印加して前記冷却水の処理を行った。該処理操作にお
ける肉眼観察による発生ガスの有無、電解槽通過前後の
冷却水のカルシウム及びマグネシウムイオン濃度、細菌
数及び消費電力量を第7表に纏めた。
第7表から熱交換器用冷却水は電解槽で処理されるこ
とによりカルシウム及びマグネシウムイオン濃度及び細
菌数が大幅に減少することが判る。
30日経過後に通電を停止し電解槽を解体して固定床の
状態を観察したところ変化は見られなかった。
実施例10 実施例9の電解槽本体及び給電用陽陰極を使用し、該
給電用電極間に、粒径5〜10mmのグラファイト粒子と硬
質ポリ塩化ビニル樹脂製で粒径5〜10mmの絶縁粒子を重
量比4:1で均一に混合した混合粒子を充填し、第3図に
示す電解槽を構成した。
この電解槽を実施例1と同様にクーリングタワーに近
接させて設置し、同様の条件で熱交換器クーリングタワ
ー用冷却水の処理を行い、該処理操作における肉眼観察
による発生ガスの有無、電解槽通過前後の冷却水のカル
シウム及びマグネシウムイオン濃度、細菌数及び消費電
力量のそれぞれ結果を第8表に纏めた。
第8表から熱交換器用冷却水のカルシウム及びマグネ
シウムイオン濃度及び細菌数は電解槽で処理されること
により大幅に減少することが判る。
実施例11 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ600mm、内径5
00mmのフランジ付円筒形である第1図に示した電解槽を
プール水を濾過清浄して返送する設備の前に設置した。
該電解槽内には、炭素繊維から成る直径500mm、厚さ10m
mの固定床30個を、開口率80%で直径500mm及び厚さ1.2m
mのポリエチレン樹脂製隔膜31枚で挟み込み、上下両端
の隔膜にそれぞれ白金をその表面にメッキしたチタン製
である直径480mm厚さ1.0mmのメッシュ状給電用陽極及び
給電用陰極を接触させて設置した。
プール水を5トン/分の速度で前記電解槽に供給し、
電極間に第9表に示す電解電圧を印加して前記プール水
の処理を行った。該処理操作における肉眼観察による発
生ガスの有無、電解槽通過前後のプール水の細菌数及び
消費電力量を第9表に纏めた。
第9表から電解電圧の大小にかかわらずプール水中の
細菌数は電解槽で処理されることにより大幅に減少する
ことが判る。又1槽当たりの電解電 圧が2V程度であると微量のガス発生があり消費電力量も
さほど大きくならないことが判る。
30日経過後に通電を停止し電解槽を解体して固定床の
状態を観察したところ電解槽には変化は見られなかっ
た。
実施例12 実施例11の電解槽本体及び給電用陽陰極を使用し、該
給電用電極間に、粒径5〜10mmのグラファイト粒子と硬
質ポリ塩化ビニル樹脂製で粒径5〜10mmの絶縁粒子を重
量比4:1で均一に混合した混合粒子を充填し、第3図に
示す電解槽を構成した。
この電解槽を製紙工程に近接させて設置し、使用前の
製紙洗浄水を実施例11と同一条件で該電解槽に供給し
て、実施例11の場合と同様に、該処理操作における肉眼
観察による発生ガスの有無、電解槽通過前後の製紙洗浄
水中の細菌数及び消費電力量を測定しそれぞれ結果を第
10表に纏めた。
第10表から電解電圧の大小にかかわらず製紙洗浄水中
の細菌数は電解槽で処理されることにより大幅に減少す
ることが判る。又1槽当たりの電解電圧が2V程度である
と微量のガス発生があり消費電力量もさほど大きくなら
ないことが判る。
実施例13 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ400mm、内径1
00mmのフランジ付円筒形である第1図に示した電解槽を
河川から導いた河川水の水槽にポンプとともに設置し
た。該電解槽内には、炭素繊維から成る直径100mm、厚
さ10mmの固定床25個を、開口率80%で直径100mm及び厚
さ1.2mmのポリエチレン樹脂製隔膜26枚で挟み込み、上
下両端の隔膜にそれぞれ白金をその表面にメッキしたチ
タン製である直径98mm厚さ1.0mmのメッシュ状給電用陽
極及び給電用陰極を接触させて設置した。該電解槽の上
下の開口部は蓋体により閉塞し、下方の蓋体の飲料水供
給口に1対のフランジを形成し、該フランジ間に他端が
接地されその表面が白金メッキされたステンレス製のメ
ッシュ体を挟持させた。
塩素処理を行っていない河川水を5/分の速度で前
記電解槽に供給し、かつ前記給電用電極間に第11表に示
す電解電圧を印加して前記河川水の処理を行った。該処
理操作における肉眼観察による発生ガスの有無、電解槽
通過前後の河川水のカルシウム及びマグネシウムイオン
濃度、細菌数及び消費電力量を第11表に纏めた。
第11表から河川水は電解槽で処理されることによりカ
ルシウム及びマグネシウムイオン濃度及び細菌数が大幅
に減少することが判る。
30日経過後に通電を停止し電解槽を解体して電解槽の
河川水供給口及び被処理液取出口内部を肉眼で観察した
が、変化はみられなかった。
実施例14 透明な硬質ポリ塩化ビニル樹脂製の高さ100mm、内径5
0mmのフランジ付円筒形である第1図に示した電解槽
を、金魚を飼育している水槽の養魚水循環系にフィルタ
ー及びポンプとともに設置した。該電解槽内には、炭素
繊維から成る直径50mm、厚さ10mmの固定床5個を、開口
率80%で直径50mm及び厚さ1.2mmのポリエチレン樹脂製
隔膜6枚で挟み込み、上下両端の隔膜にそれぞれ白金を
その表面にメッキしたチタン製である直径48mm厚さ1.0m
mのメッシュ状給電用陽極及び給電用陰極を接触させて
設置した。
水槽の養魚用水を0.5/分の速度で前記電解槽に給
電し、かつ前記給電用電極間に第12表及び第13表に示す
陽極及び陰極電位を印加して前記養魚用水の処理を行っ
た。電解槽通過前後の養魚用水中の細菌数及び溶存酸素
濃度を第12表及び第13表に纏めた。第12表は陰極電位を
一定にした場合の、又第13表は陽極電位を一定にした場
合のそれぞれの結果を示すものである。
30日経過後に通電を停止し電解槽を解体して固定床の
状態を観察したところ電解槽に変化は見られなかった。
第12表から養魚用水は電解槽で処理されることにより
細菌数が大幅に減少し、更に発生酸素ガスが多くなるほ
ど溶存酸素濃度が高くなることが判る。
又第12表から陽極電位が高くなればガス発生量が増加
し、それにつれて消費電力量も大きくなることが判る。
従って陽極電位は+2.0V(vs.SHE)より卑で、より好
ましくは+1.2V(vs.SHE)であることが無駄な電力を消
費しないための好適な電位であることが判る。
又第13表から陰極電位がより低くなればガス発生量が
増加し、それにつれて溶存酸素量が減少す ると共に、消費電力量が増加することが判る。
従って好ましい陰極電位は−2.0V(vs.SHE)、より好
ましくは−1.0V(vs.SHE)であることが判る。
実施例15 実施例14の電解槽をポンプとともに浴槽に近接させて
設置した。
41℃の浴場水を5/分の速度で前記電解槽に供給
し、かつ前記給電用電極間に第14表に示す陽極及び陰極
電圧を印加して前記浴場水の電気化学的処理を行った。
該処理操作における肉眼観察による発生ガスの有無、電
解槽通過前後の前記浴場水中の細菌数及び消費電力を第
14表に纏めた。
実施例16 固定床を形成する物質を変えたこと以外は、実施例15
の電解槽を使用して実施例15と同一の電解条件で細菌の
個数が1825個/mlとなるように調製した被処理水の処理
を行った。なお電解槽の上下に被処理水の供給口と排出
口を設置した。
前記被処理水を2/分の速度で前記電解槽に 供給し、かつ前記給電用電極間に陽極電位+1.0V(vs.S
HE)及び陰極電位−0.6V(vs.SHE)の電圧を印加して前
記被処理水の電気化学的処理を行った。該処理操作にお
ける肉眼観察による発生ガスの有無、電解槽通過後の前
記被処理水中の細菌数及び消費電力を第15表に纏めた。
第15表から明らかなように、固定床としての耐性を有
する物質は微生物の滅菌効果が顕著なことが判る。
(発明の効果) 本発明方法は、写真処理液をはじめとする各種被処理
水を固定床型三次元電極電解槽に供給し、前記被処理水
を電気化学的に処理する方法である(請求項1)。
本発明は種々の被処理水を対象とするが、例示した被
処理水のうち写真処理液は適度の塩類、ゼラチン等の栄
養源を有しかつ適度な温度に維持されるので、前記写真
処理液中で微生物が繁殖し易く、又製紙洗浄水も微生物
の繁殖に最適な環境となっている。更に浴場水は最も微
生物の繁殖に適した35〜45℃の温度に維持されるため僅
少量の微生物が短時間で莫大な数に繁殖する。これら以
外の被処理水も微生物を含む雰囲気に接触して微生物が
該被処理水内に取り込み易い環境にあり、取り込んだ微
生物が繁殖すると、前述した通りの不都合が生ずる。
前記被処理水を固定床型三次元電極電解槽に供給する
と、該被処理水中の微生物は電位を与えられた陽極や陰
極あるいは誘電体や固定床形成用粒子等に接触しそれら
の表面で強力な酸化還元反応を受けたり高電位の電流に
接触し、その活動が弱まったり自身が死滅して滅菌が行
われる。
従って本発明方法では、被処理水中の微生物が電圧印
加部分に接触すれば充分であり、両極間に電流を流して
水素及び酸素等のガス発生を伴う実質的な電解反応を生
起させることは必須ではなく、むしろ実質的な電解反応
が生じない低い電位を電極表面に印加することが好まし
く、これは実質的なガス発生が生じると被処理水成分に
ガス発生に起因する化学的変化を与えてしまい、これに
より複雑な作用が写真処理液等の被処理液に起こること
があり、一定の処理性能を常に維持することが難しくな
るからである。更に微生物を滅菌することに役立たない
ガス発生反応に無駄な電力を使うことになり不経済でも
ある。特に多量の酸素ガスや水素ガスの発生が生ずる電
位では、これらガスによる酸化還元反応が例えば写真処
理液との間で生じ、該写真処理液の写真処理性能に著し
い変化を与えてしまうことが多く、又それら発生ガスが
電極表面上を覆ってしまい微生物が電極表面と接触する
効率も低下させ滅菌効率を悪くする。
従って本発明においては、印加電位を陽極電位が実質
的な酸素発生を伴わない+0.2〜+1.2V(vs.SCE)、陰
極電位が実質的に水素発生を伴わない0〜−1.0V(vs.S
CE)となるようにすることが望ましいが(請求項3)、
液中物質が酸化還元反応を受けず液性の変化が生じない
場合や又その反応量がさほど問題にならない場合には、
陽極電位を+2.0V(vs.SHE)より卑な電位とし、陰極電
位が−2.0V(vs.SHE)より貴な電位とすることも出来る
(請求項2)。
本発明方法では表面積の大きい三次元電極を有する固
定床型三次元電極電解槽を使用するため、処理される被
処理水が十分に前記三次元電極と接触し、効率的に滅菌
等の処理が行われるが、三次元電極の中でも特に表面積
の大きい複極式固定床型三次元電極電解槽を使用すると
(請求項4)、処理効率が一層向上する。
前記固定床型三次元電極電解槽の固定床を構成する材
料として、グラファイト、炭素系材料、活性炭等を使用
することが出来(請求項5)、これらの物質は比較的安
価で表面積が大きいため、本発明方法に使用される固定
床として有効である。
更に該固定床を複数個使用すると(請求項6)表面積
がより増大して処理効率が上昇する。
被処理水として写真処理液を選択し(請求項7)、本
発明に従って処理を行うと、栄養分に富み微生物の繁殖
に適した温度の写真処理液中から微生物をほぼ完全に除
去することが出来、これらの微生物がプリントや画像へ
の悪影響を及ぼすことがない。
更に被処理水として熱交換器用冷却水を選択し(請求
項8)、本発明方法により、熱交換器内の冷却水の一部
を循環させて電気化学的に処理すると電解槽で該冷却水
の滅菌処理が行われ、かつ配管等に悪影響を及ぼすカル
シウムやマグネシウムの除去も行うことが出来る。
被処理水として養魚用水を選択すると(請求項9)す
ると、殺菌剤や防黴剤を使用することなく細菌類や黴類
を殺菌することができ、防黴剤等のコストを節約出来る
だげでなく、飼育される魚類中に人体に無害とはいえな
い防黴剤等が蓄積していない、味が好く健康に悪影響を
及ぼすことのない魚類を市場に供給することが可能にな
る。
更に養魚用水には魚類の成育に必須な溶存酸素が含有
されるが、酸素を発生するよう電位を掛けながら養魚用
水の処理を行うと養魚用水中の溶存酸素濃度が上昇して
飼育すべき魚類が該溶存酸素により活動度が上昇して成
育が促進され、商品価値の高いサイズの大きな養殖魚類
を市場に提供することが可能になる。
又被処理水として飲料水を選択し(請求項10)、浄水
場や蛇口の飲料水に本発明に関わる処理を行うと、飲料
水から微生物が除去され、人体に直接影響を与える飲料
水の改質を行うことが出来る。
又被処理水として浴場水を選択し(請求項11)、銭湯
や温泉等の営業用浴場や家庭用の浴槽に近接して設置
し、浴場内の浴槽や家庭用浴槽の浴場水の全部又は一部
を前記電解槽に導入し電気化学的に処理すると、微生物
の繁殖に適した液温の前記浴場水の滅菌処理を行うこと
が出来、これにより浴場水の清浄化が達成され、必要に
応じてフィルタにより不溶性物質を濾過することにより
溶性及び不溶性の不純物をほぼ完全に除去して使用済の
浴場水を廃棄することなく長期に亘って使用して使用水
量及びと燃料の節約を達成することが出来る。
又被処理水として製紙洗浄水を選択し(請求項12)、
製紙洗浄水の全部又は一部を前記電解槽で処理した後に
前記製紙工程の洗浄水として使用するようにすること製
造される紙類中に防黴剤等の薬剤が存在することがな
く、色や艶の優れた紙類を提供出来る。
又被処理水としてプール水を選択し(請求項13)、本
発明方法によりにより処理すると、塩素が飲料水中に残
留する従来の塩素法にほぼ匹敵する滅菌効果を生じさせ
ることができ、塩素と微生物がほぼ完全に除去されたク
リーンなプール水を供給することが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図、第3図及び第4図は、それぞれ本発明
方法に使用出来る固定床型三次元電極電解槽を例示する
ものであり、第5図から第10図は、本発明を写真処理液
の処理に使用した実施例の写真処理槽の配置を例示する
概略図であり、第11図は、本発明を熱交換器の冷却水の
処理に使用する際の電解槽の設置状態を示す概略図であ
る。 2……電解槽本体、3、4……給電ターミナル 5……固定床、6……スペーサー 7……不溶性金属電極、12……電解槽本体 13、14……給電用電極、15……固定床形成粒子 18……絶縁粒子、22……電解槽本体 23、24……給電用電極、25……固定床 E−1、2、3、4、10、20、21……電解槽 61……建築物、62……熱交換器 63……フィルタ、64……フィン 65……冷却水供給用配管、66……ポンプ 67……冷却水回収用配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−39255(JP,A) 特開 平1−99684(JP,A) 特開 昭60−97089(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46 - 1/467

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微生物を含む被処理液を固定床型三次元電
    極電解槽に供給し、前記被処理水を電気化学的に処理す
    る被処理水の処理方法において、固定床型三次元電極電
    解槽が、給電用陽陰極間に、陽陰極に分極する複数個の
    固定床を設置した電解槽であることを特徴とする被処理
    水の処理方法。
  2. 【請求項2】固定床型三次元電極電解槽の陽極電位が+
    2.0V(vs.SHE)より卑で、陰極電位が−2.0V(vs.SHE)
    より貴である請求項1に記載の処理方法。
  3. 【請求項3】固定床型三次元電極電解槽の陽極電位が+
    1.2V(vs.SHE)より卑で+0.2V(vs.SHE)より貴であ
    り、陰極電位が−1.0V(vs.SHE)より貴である請求項1
    に記載の処理方法。
  4. 【請求項4】固定床型三次元電極電解槽が、電圧の印加
    により陽陰極に分極する固定床内を被処理水が流通する
    複極式固定床型三次元電極電解槽である請求項1から3
    までのいずれかに記載の処理方法。
  5. 【請求項5】固定床型三次元電極電解槽の固定床がグラ
    ファイト、炭素系材料、活性炭及び金属から成る群から
    選択される材料で構成される請求項1から4までのいず
    れかに記載の処理方法。
  6. 【請求項6】被処理水が写真処理液である請求項1から
    5までのいずれかに記載の処理方法。
  7. 【請求項7】被処理水が熱交換器冷却水である請求項1
    から5までのいずれかに記載の処理方法。
  8. 【請求項8】被処理水が養魚用水である請求項1から5
    までのいずれかに記載の処理方法。
  9. 【請求項9】被処理水が飲料水である請求項1から5ま
    でのいずれかに記載の処理方法。
  10. 【請求項10】被処理水が浴場水である請求項1から5
    までのいずれかに記載の処理方法。
  11. 【請求項11】被処理水が製紙洗浄水である請求項1か
    ら5までのいずれかに記載の処理方法。
  12. 【請求項12】被処理水がプール水である請求項1から
    5までのいずれかに記載の処理方法。
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