JPH1157723A - 電気化学的水処理方法及び装置 - Google Patents

電気化学的水処理方法及び装置

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JPH1157723A
JPH1157723A JP22882597A JP22882597A JPH1157723A JP H1157723 A JPH1157723 A JP H1157723A JP 22882597 A JP22882597 A JP 22882597A JP 22882597 A JP22882597 A JP 22882597A JP H1157723 A JPH1157723 A JP H1157723A
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JP
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water
treated
electrode
electrolytic cell
electrodes
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JP22882597A
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Norio Koike
紀夫 小池
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SHIKISHIMA KIKI KK
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  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の水処理電解槽では必要とする処理済水
の量の増減に対して、対応することが簡単でなかった。
本発明は、電解槽を交換したり大幅に改造することな
く、電極の枚数を容易に増減できる電解方法及び水処理
用電解槽を提供することを目的とする。 【構成】 給電棒17を接続した複数の穴開き電極15を電
解槽本体11の外部から各電極15毎に給電可能とした電解
槽。電極の枚数が増減しても各電極毎に給電できるた
め、電解槽の構造や給電機構に変化が及ばず、必要最小
限の手間で必要とする処理済水の量の増減に対応でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理水の電気化学的
処理方法及びその装置に関し、より詳細には、微生物や
有害不純物を含有する各種被処理水の該微生物等に起因
する各種性能劣化を抑制する電気化学的殺菌方法及び装
置、更にはカルキ臭やカビ臭成分を有する家庭用及び業
務用飲料水から前記カルキ臭やカビ臭成分を除くための
電気化学的殺菌方法及び装置、更には微量農薬を含有す
る被処理水から電気化学的に農薬を分解除去する電気化
学的水処理方法及びその装置、アンモニア等の有害不純
物を含有する被処理水から前記アンモニア等を分解除去
する電気化学的水処理方法及びその装置、被処理水のp
Hを調整する電気化学的水処理方法及びその装置、隔膜
無しに酸性水及びアルカリ水を製造する電気化学的水処
理方法及びその装置、着色被処理水の色を薄くする電気
化学的水処理方法及び装置に関する。
【0002】更に詳細には、本発明は日常生活用、産業
活動の多くの分野で広く使用することができ、具体的な
例としては工業用水、水道水、井戸水、雨水、回収水、
排水、海水、池の水、プール水、飲料水、風呂水、ガス
吸収塔水、冷却水、水耕栽培水、噴水、写真現像液、養
魚用水、水エマルジョン、製紙用水、温泉水、砂糖液、
果汁、染料インク、酒、牛乳、お茶、豆乳、各種化学物
質含有水溶液を挙げることができる。
【0003】
【従来の技術】例えば、純水、水道水、工業用水、井戸
水、風呂水、プ−ル水、洗浄水、生活排水、工場排水等
の水には程度の差こそあれ細菌等の各種微生物が棲息し
あるいは溶質を溶解している。そしてこれらの水溶液は
前記溶質が適度の養分を提供し、あるいは該水溶液の温
度が微生物の繁殖に適した温度であると、前記微生物が
繁殖して前記水溶液の性能劣化を起こしたり、前記各水
溶液が流通する配管等の内壁に付着蓄積して前記配管を
有する機器の機能を損なうことが多い。従ってこれらの
水質の改良には水中に棲息する各種微生物を殺菌する必
要がある。例えば写真感光材料は画像露光の後、ペーパ
ー感光材料処理の場合には、発光現像、漂白定着、水洗
及び/又は安定化の各処理工程を経て処理され更に乾燥
される。
【0004】このような写真処理工程では、発色現像
液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、水洗水等の
各種写真処理液が使用されているが、前記感光材料はゼ
ラチン質を含有し、微生物繁殖に適した環境にあり、前
記写真処理液中で繁殖した微生物は感光材料の効率を低
下させるとともに得られるプリントに色むらが生じた
り、微生物による画像汚染が生じたりする。この微生物
繁殖による写真処理液劣化の抑制は、従来から殺菌剤の
投入によっているが、この方法では多量の殺菌剤が必要
になり前記写真処理液や感光材中に殺菌剤が残留し易く
なり悪影響を及ぼすことがある。又前記殺菌剤の多くは
人体に対して無害とは言いがたく、種々の法的規制のも
とで使用されている。又このような殺菌剤も同一殺菌剤
を使用し続けると、この殺菌剤では殺菌できない耐性菌
が発生し、再度この耐性菌に対する殺菌剤を選択すると
いう煩わしい問題が生ずる。更に近年の健康意識の高揚
を背景に、遊泳プールが全国津々浦々まで普及し、幅広
い年令層の人々に親しまれている。
【0005】このプールに使用されるプール水には人体
に有害な細菌等の微生物が数多く棲息し、利用者の眼や
傷などに直接接触して疾患を生じさせることがあるた
め、プールには次亜塩素酸ソーダ等の薬剤を投入して滅
菌を行ない疾患の発生を防止している。しかしながら、
薬剤として使用されている次亜塩素酸ソーダや液体塩素
等はそれ自体あるいはその分解物が刺激性を有し、殺菌
効果はあるものの眼の痛みや皮膚のかぶれ等の副作用が
発生し、特に抵抗力の弱い幼児の場合には大きな問題と
なっている。又塩素系薬剤は分解するため毎日プールに
添加し続ける必要があり、使用する薬剤コストも大きな
負担となっている。又プールに使用される水量は膨大で
あり、天候不純に起因する水不足の際にはプール閉鎖に
追い込まれることもあり、プールの節水は重要な社会的
課題となっている。
【0006】更に近年の家庭風呂の普及や温泉ブームか
ら浴場水の使用量が増大しているが、該浴場水は40℃前
後の微生物が最も繁殖し易い液温を有するため、入浴に
使用せずに単に放置しておくだけでも微生物が急速に繁
殖して汚染され、使用を継続できなくなり、入浴を繰り
返すと人体の垢等が浮遊してこの傾向はより顕著にな
る。繁殖した微生物は微小であるため濾過操作では除去
しにくく、特に銭湯などではその使用量が膨大であるた
め、汚染された浴場水の再生を簡単な処理操作で行うこ
とができれば大幅なコストダウンが可能になる。又高齢
化社会を迎え、いつでも入浴できる24時間風呂が各家庭
に急速に普及しつつある。しかし24時間風呂は微生物が
最も繁殖し易い液温を有するため、市販されている24時
間風呂は浄化機能は優れているものの、殺菌性能に改善
課題を有しており、新規な殺菌装置の出現が嘱望されて
いる。
【0007】更に近年の情報化社会の進展により各種紙
類特に高質紙の需要が増大している。この紙類は製紙用
パルプから各種工程を経て製造されるが、この工程中に
製紙前のパルプを洗浄して不要な成分を洗い流す工程が
ある。該パルプは適度な温度に維持されかつ適度な養分
を含むため、黴や細菌等の微生物が繁殖し易くこの黴や
細菌が多量に最終製品中に残存すると、紙類の褪色等の
性能の劣化が生ずる。従ってこの洗浄工程で使用される
莫大な量の洗浄水中には、防黴剤や殺菌剤が含有され最
終製品の性能劣化を極力防止するようにしている。しか
しこの方法では、防黴剤や殺菌剤のコストが高くなるだ
けでなく前記防黴剤や殺菌剤が製品中に残存して黴や細
菌類に起因する性能劣化とは別の性能劣化を来すことが
あるという問題点がある。
【0008】更に近年におけるマンション等の集合住宅
あるいは多数の企業が集合して形成されるビル等の建築
物の増加に伴い、該建築物等に設置される各種冷暖房設
備の設置台数も飛躍的に増加している。このような多数
の冷暖房設備が設置されているマンションやビル等で
は、通常該冷暖房設備の冷却水の熱交換器用設備例えば
クーリングタワーがその屋上に設置されている。この熱
交換器設備の冷却水も長期間使用を継続すると黴や細菌
類等の微生物が繁殖し前記熱交換器の熱交換面に析出し
て熱交換性能を悪化させたり、微生物が塊状に発生して
配管等を閉塞することもある。又多量に発生する微生物
の排棄物により配管や機器に腐食等の重大な問題を引き
起こすことがある。更に同一薬剤を使用し続けるとその
薬剤では殺菌できない耐性菌が発生し、更に強力な薬剤
に変更する必要があるという厄介な問題が知られてい
る。又微生物を殺菌する薬剤が人間に無害とは言いがた
く、法的規制のもとで薬剤の種類や厳密な濃度管理が必
要で、環境安全意識の高い工場、病院、ホテル等では脱
薬剤の気運が急速に高まりつつある。
【0009】更に各種魚類資源として海や川に繁殖して
いる天然の魚類の他に最近では養殖場における養殖魚類
が注目され、養殖魚が市場に数多く供給されている。養
殖場におけるこれら魚類の飼育の際には、養魚用水中に
含まれる細菌や黴等の微生物が魚類を汚染し、あるいは
魚類に付着してその商品価値を低下させる等の悪影響を
抑制するために殺菌剤や防黴剤等の全部又は大部分の微
生物を死滅させるための各種薬剤が前記養魚用水へ多量
に添加され、更に前記薬剤による魚類の損傷を最小限に
抑えるためにビタミン剤等の多量の栄養剤が魚類に投与
され、その上に餌が与えられる。従って養殖場等で飼育
される魚類は餌の量に比較して人工的に投与される各種
薬剤、ビタミン剤の添加が多く、防黴剤や殺菌剤が魚類
の体内に蓄積して人体に有害な各種薬剤で汚染された魚
類が市場に供給されることになる。
【0010】更に飲料水は、貯水池等の水源に貯水され
た水を浄水場で滅菌処理した後、各家庭や飲食店等に上
水道を通して供給される。飲料水の前記滅菌は塩素ガス
による処理が一般的であるが、該塩素処理によると飲料
水の滅菌は比較的良好に行われる反面、残留塩素の影響
により処理された飲料水に異物質が混和したような違和
感が生じて天然の水の有するまろやかさが損なわれると
いう欠点が生ずる。飲料水は人間の健康に直結するもの
で、それに含有される細菌の殺菌や黴の繁殖の防止つま
り微生物の死滅除去は不可欠であり、該殺菌や防黴の方
法としては前述の塩素による方法が主流である。しかし
都市部の水道滅菌はその原水となる河川水、湖水等が各
種有機物等で汚染され微生物の死滅に必要な量以上の塩
素を添加するため、有機ハロゲン化物、次亜塩素酸イオ
ン及び残留塩素等の有効塩素成分を生起するという弊害
を生じている。該塩素法による前記欠点を解消するため
に、塩素法以外の殺菌方法が提案されている。
【0011】例えば前記飲料水をオゾン添加処理や活性
炭吸着処理することにより改質する方法が提案されてい
るが、処理すべき飲料水が例えば浄水場の水である場合
には処理量が莫大である。又浄水場で処理しても水道管
末端の蛇口に至るまでに再度微生物が繁殖するという問
題がある。このように飲料水等の従来の改質処理方法
は、主として塩素法によるものであり、該方法では次亜
塩素酸イオンが生成しあるいは塩素ガスが残留していわ
ゆるカルキ臭が生じ、処理後の飲料水等の味が悪くなる
という欠点があり、このカルキ臭を除去するに該カルキ
臭源である次亜塩素酸イオン(有効塩素)を活性炭等に
吸着させる方法が使用されている。しかしこの方法で
は、活性炭の吸着能力の限界があり、しばらく使用する
と有効塩素分解が生じなくなるという寿命の点で致命的
な欠点があり、又活性炭の交換といった煩雑な操作が必
要であるとともに、完全なカルキ臭の除去が達成できな
いことがある。
【0012】従って前述の通り人体に有害な有機塩素化
合物や飲料水の味を損ない易い次亜塩素酸イオン等を生
じさせ易い塩素処理に代わり得る人体に害がなくかつ天
然水に近い味を有する飲料水の処理方法が要請されてい
る。これらの現象を防止するために従来は防黴剤や沈澱
抑制剤等の各種薬剤を被処理水中に投入したり各種フィ
ルタを配管途中に設置したりしているが、前記薬剤投入
は前述の通り薬剤の残留による被処理水への悪影響や薬
剤使用のコスト面での問題点が指摘されている。更に前
述の冷却水の場合と同様に、添加薬剤に対する抗菌が暫
くすると発生し、次の薬剤を検討する必要が生ずるとい
う問題点を抱えている。
【0013】前記薬剤添加の他に、オゾン殺菌や紫外線
殺菌、あるいは酸性水を使用する殺菌も行なわれてい
る。オゾン殺菌は劇的な殺菌効果があり耐性菌の発生も
ないが、エネルギーコストオゾン設備費が高く、人体に
有害で濃度管理等の運転に厳重な注意が必要である。又
酸化作用が強力で、タンク、配管、ポンプ等の接液部は
高価な耐腐食性材料が必要になる。この悪影響を回避す
るためにオゾン殺菌装置の後にオゾン分解装置を設置す
ることもあるが、設備費が高く、管理維持費も嵩み、実
用化の妨げになっている。
【0014】紫外線殺菌も広く利用されているが、紫外
線の透過を妨害する固形分や色度のある水の殺菌は困難
で、殺菌可能な被処理水の種類に制約がある。又紫外線
ランプの寿命は短く定期的な交換が必要で、消費電力量
も多い。更に紫外線ランプ内面は常に清浄に管理するこ
とも殺菌性能維持のために必要で、特に停電休止時の紫
外線ランプ内面の清浄維持管理は煩雑である。このよう
な従来技術の欠点を解消するための水処理方法として、
複極固定床式水処電解槽が発表されている(例えば、特
開平2−306242号公報、特開平3−224684号公報、特開
平4− 18980号公報、特開平4− 108592 号公報、特開
平4−114785号公報、特開平4−114787号公報)。
【0015】しかしながら、前記複極固定床式水処電解
槽は固定床として多孔質電極を使用するため、固形質や
有機物更にイオン質の閉塞性物質を含有する被処理水の
処理が困難で、電解槽内通水に伴う圧力損失が大きく、
大容量の給水ポンプが必要でエネルギーコストが高く、
多孔質電極の使用枚数にも制約がある。又被処理水の閉
塞性物質含有量が少ない場合でも、長期間の使用中に殺
菌性能の低下が起きるという問題点もある。更に前記多
孔質電極として炭素電極が使用され、該炭素電極は、消
耗し易いという欠点を有し、長期間使用を継続すると徐
々に消耗して極間距離が増加して電圧が増大し、最終的
には交換しなければならなくなる。この電極の交換は一
般的に電解槽全体を分解して行うことが必要であり、非
常に煩雑な操作となり作業性が著しく低下する。本出願
人は、前述の従来技術の欠点を解消し、特に閉塞性物質
含有被処理水を使用する場合にも使用する電極に目詰ま
りを生じさせず、かつ給水ポンプを使用しないかあるい
は極小量の電力消費費で前記ポンプを使用することを可
能にできる電気化学的水処理方法及び装置を提案した
(特願平8−357230号)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】この発明の電解槽は、
図1に示すように、電気絶縁性材料で形成された円筒状
の電解槽本体1の底板には被処理水導入口2が、又該本
体1の天板には処理済水取出口3が、同じくその側板に
は処理済水取出口4a、4bが形成されるように構成さ
れている。この電解槽本体1内には、1対の金属端子電
極ペア5a、5bと2対の金属中間電極ペア6a、6b
が収容され、上方の金属端子電極5aにはプラスの電圧
が印加され、下方の金属端子電極5bにはマイナスの電
圧が印加され、かつ上方の金属中間電極6aペアにはマ
イナスの電圧が印加され、下方の金属中間電極6bペア
にはプラスの電圧が印加されるように電源が接続されて
いる。
【0017】この電解槽本体に被処理水を供給して処理
を行なうと、被処理水の殺菌やカルキ臭除去が行なわれ
るとともに、上方の金属中間電極6a間に酸性水が、又
下方の金属中間電極6b間にアルカリ水が生成し、それ
ぞれ側板側の処理済水取出口4a、4bから酸性水及び
アルカリ水として取り出すことができる。この電解槽は
被処理水を効率良く電気化学的に処理して処理済水を製
造できるが、処理済水はその使用目的に応じて必要量が
増減し、その量に応じて電解槽の処理能力(処理済水製
造能力)も増減できることが望ましい。図1に示した電
解槽で処理済水の製造量を増加させるためには金属中間
電極ペアの数を増やすことが最も簡単であるが、金属中
間電極ペア6a、6bのそれぞれの間の空間を大きく取
る構造であるため、前記ペアの数を増やすと電解槽全体
が大きくなり、設置場所や運搬方法等において不都合が
生じやすい。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、被処理水導入口から被処理水を供給し、処
理済水取出口から処理済水を取出すようにした電気絶縁
性電解槽本体内に、電極物質を被覆した電極本体に給電
棒を接続した複数の金属電極を設置し、該金属電極毎に
通電して前記被処理水を電気化学的に処理することを特
徴とする水処理方法、及び被処理水導入口、処理済水取
出口、電極物質を被覆した電極本体に給電棒を接続しか
つ一端を外部の電源に接続した給電棒取付け部に固定し
た複数の金属電極を含んで成り、金属電極間に通電して
前記被処理水導入口から供給した被処理水を電気化学的
に処理し、前記処理済水取出口から処理済水を取り出す
ことを特徴とする水処理装置である。なお本発明では電
極表面上で実質的な酸化還元反応のような電気化学反応
を生起していないことがあるので本発明に係わる槽は電
気化学的処理装置というべきであるが、一般呼称に従っ
て電解槽と称することもある。
【0019】以下本発明を詳細に説明する。本発明によ
る方法あるいは装置を使用して被処理水の電気化学的処
理を行なうためには、電極として金属電極、好ましくは
穴開き金属電極を使用する。この穴開き金属電極は主と
して給電を担当する給電棒と、主として被処理水処理を
担当する電極本体に区分でき、本発明では好ましくは平
板多孔状の金属電極を複数枚、上下に離間させて設置す
ることにより必要量の増減に対応できる。つまり必要と
する処理済水の量に応じて金属電極の枚数を調節するこ
とにより、所定量の処理済水を必要量だけ製造できる。
本発明では、給電棒を接続した複数の電極を電解槽本体
の外部から各電極毎に給電可能としてある。従って電極
の枚数が増減しても、電解槽の構造や給電機構に変化が
及ばず、必要最小限の手間で必要とする処理済水の量の
増減に対応できる。
【0020】本発明における金属電極の電極本体は電極
自身が穴開き電極である必要はなく、一旦電極に接触し
た被処理水が該電極本体と電解槽本体の内壁間の空間を
通る板状電極等としても良いが、穴開き状であることが
好ましく、この穴開き電極本体の「穴開き」とは、被処
理水の流通に対する抵抗が殆ど零である程度の開口を有
することを意味し、網状、エクスパンドメッシュ状、パ
ンチングメタル状、格子状等の形状がある。例えばエク
スパンドメッシュを使用する場合、その開口サイズは短
径が0.5 〜2.0 mm、長径が1.0 〜4.0 mm程度になるよう
に調節することが好ましい。前記穴開き電極本体は、チ
タン等の耐食性金属基体上に、白金族金属やその酸化
物、例えば白金、イリジウム、ルテニウムやそれらの混
合物を被覆して電極性能を向上させることが望ましい。
【0021】前記電極本体は、それぞれの開口部表面積
の総和を、該金属電極の表面積総和と開口部表面積の総
和を加えた電極本体全面積で除した値の百分率で定義さ
れる開口率が10〜80%であることが好ましい。開口率が
10%未満であると目詰まりが起こりやすくなるからであ
り、80%を超えると電極強度に支障が生ずることがある
からである。前述した給電棒は電解槽外から前記電極本
体に通電するための部材で、該給電棒は十分な導電性と
被処理水に対する耐性がある金属であれば特にその材質
は限定されないが、耐性の面からチタンを使用すること
が好ましい。両者の接続は通常の電気部品の接続のよう
にハンダ付け等が利用される。
【0022】本発明による微生物の殺菌機構は次のよう
であると推測できる。第1に、微生物が帯電した特にプ
ラスに帯電した穴開き電極本体表面つまり陽極表面に衝
突して死滅する。第2に前記穴開き電極本体表面で被処
理水に含まれる微量塩素が酸化されて次亜塩素酸が発生
し、又水電解により活性酸素が発生する。これらの次亜
塩素酸や活性酸素により被処理水中の微生物が殺菌さ
れ、微量不純物も分解する。穴開き電極本体は平板無穴
電極に比べて表面積が大きく酸化効率が高くなるととも
に、被処理水が多孔を通過する際に乱流が発生し、これ
が被処理水を攪拌し、電極との接触効率を高めていると
推測できる。本発明の電解槽(水処理装置)の形状は、
特に限定されず、箱型、円筒状等の各種形状が使用さ
れ、通常は前記穴開き電極の形状を電解槽の形状特に水
平方向の断面形状に合わせるような形状に形成すること
が望ましい。
【0023】本発明による方法あるいは装置を使用する
と、被処理水中の微生物の殺菌や他の水質改善を達成で
きる。前記微生物としては、細菌(バクテリア)、糸状
菌(黴)、酵母、変形菌、単細胞の藻類、原生動物、ウ
イルス等が含まれ、水質改善には、カルキ臭や有効塩素
成分の分解等が含まれる。本発明の対象となる被処理水
は特に限定されないが、例えば工業用水、水道水、井戸
水、雨水、回収水、排水、海水、池の水、プール水、飲
料水、風呂水、ガス吸収塔水、冷却水、水耕栽培水、噴
水、写真現像液、養魚用水、水エマルジョン、製紙用
水、温泉水、砂糖液、果汁、染料インク、酒、牛乳、お
茶、豆乳、各種化学物質含有水溶液がある。又農薬を溶
解した水を処理して農薬分解を行なうこともできる。
【0024】本発明に係わる電気化学的処理では薬剤を
使用しなくても良いため、被処理水の塩素濃度が高くな
ることがなく、人体に無害であるとともに、耐性菌が発
生することがない。更に腐食性の物質の使用や発生がな
く、設備費及び運転管理費とも安価である。更に目詰ま
りを起こしやすくかつ崩落による損傷も考慮しなければ
ならない炭素電極を使用しないため、長期間連続して使
用しても、交換する必要がなく、かつ被処理水の汚染
(TOC濃度の悪化)等の水質劣化を防止できる。
【0025】更に本発明装置では隔膜を使用することな
く、隣接する金属電極にプラス又はマイナスのみの電圧
を印加できる。従って酸性水及びアルカリ水を無隔膜電
解により製造することができる。本発明装置は長期間の
運転に耐え洗浄は殆ど必要ないが、洗浄を行なう場合に
は過酸化水素、オゾン水、次亜塩素酸、pH3以下の酸
性水、pH9以上のアルカリ水のいずれかを単独で又は
交互に流しても良い。又本発明方法は該方法単独で実施
しても十分な効果が生ずるが、該方法を紫外線殺菌、オ
ゾン殺菌、薬剤殺菌等と併用すると更に確実に短時間で
被処理水の処理を行なうことができる。
【0026】例えば本発明の電解槽の電圧及び電流を所
定値に保ち、被処理水を通すと電解槽内部の電気化学的
作用により被処理水中に棲息する微生物は殺菌される。
しかし電解条件や菌種によっては若干量の微生物は殺菌
されずに電解槽出口から排出されることがある。この排
出された処理済水を紫外線殺菌装置により処理すると1
パスで100 %の殺菌効率が得られる。この殺菌効率は電
気化学的処理単独では得にくく、かつ紫外線殺菌装置単
独では絶対に得られない効率である。電気化学的処理と
紫外線処理によるほぼ完全な殺菌効果の原因は明確では
ないが、次のように推測できる。紫外線殺菌装置は微生
物のDNAを破壊することにより殺菌すると言われ、電
気化学的処理と紫外線処理の殺菌原理が異なり、該殺菌
原理の組合せによる相乗効果とも考えられる。しかし、
本発明者が電気化学的処理後の水中に棲息する微生物の
存在状態を培養法で調べたところ、処理前と比較して処
理後の培養斑点のサイズが小さく均一に分散しており、
電気化学的処理により、紫外線殺菌装置で殺菌され易い
状態に微生物の状態が変化していることも殺菌効率向上
の一因となっていると考えられる。
【0027】次に本発明に係わる電気化学的水処理装置
の具体例を添付図面に基づいて説明する。図2は本発明
の電気化学的水処理装置の一実施例を例示する平面図、
図3は同じく正面図、図4は同じく側面図、図5は図2
〜4の水処理装置で使用可能な穴開き電極を示す概略図
で、図5aはその平面図、図5bはその正面図である。
図示の通り、電気絶縁性材料(合成樹脂)で形成された
箱型の電解槽本体11の底板には被処理水導入口12が、又
該本体11の天板には処理済水取出口13が形成され、該箱
型電解槽本体11の図2及び図3における右端の右側壁は
A−A′線に沿って分離可能となっている。この電解槽
本体11の内壁の周縁には電極保持用凹部14が形成され、
該凹部14には、図示の例では計4枚の穴開き電極15が隣
接する該電極15間に額縁状のスペーサー16を介して積層
された該穴開き電極15が係合されている。
【0028】該穴開き電極15の他端側(図2及び図3の
右端側)には、チタン等から成るL字状の給電棒17の一
辺が電気的に接続され、他辺は側方に延びて電解槽本体
11外に達している。該チタン製給電棒17の側方に延びた
端部はその近傍で電解槽本体11外壁の給電棒取付け部18
に漏水防止管19を使用して取付けられ、かつ該防止管19
の先端は固定キャップ20で固定されている。前記計4枚
の穴開き電極15に接続された給電棒17の電解槽本体11外
に延びた計4本の端部には電源(図示略)のプラス及び
マイナス極が接続され、図示の通り上部の2枚の電極15
及び下部の2枚の電極15で電極ペアが構成され、各電極
15毎に通電するようにされている。この電解槽本体11に
被処理水導入口12から微生物を含有する被処理水を供給
し、かつ隣接する穴開き電極15間に通電すると、被処理
水はまずマイナスに帯電した前記電極15に接触し次いで
プラスに帯電した電極15に接触し、更に上方の電極ペア
で同様に電気化学的に処理された後に処理済水取出口13
から取り出される。この水処理装置において、その水処
理能力を増減させる際には、A−A′線に沿って電解槽
本体11の右側壁を分解し、増加させる際には電極15−給
電棒17−給電棒取付け部18−漏水防止管19−固定キャッ
プ20一式を揃えて電解槽本体11に取り付ければ良い。こ
の際に、電極15が板状であり設置に要する上下方向の空
間が僅かで良いため、電解槽本体11を交換したり改造し
たりする必要がなく、又前記一式毎に給電できるため、
給電機構の変更も不要になる。
【0029】図6は、本発明の電気化学的水処理装置の
他の実施例を例示する平面図であるが、該実施例は図2
〜5の実施例の改良であり、同一部材には同一符号を付
して説明を省略する。円筒形の電解槽本体11′はB−
B′線に沿って給電棒取付け部18等を有するパーツと残
りのパーツに分割できる構成であり、該電解槽本体11′
は円形の穴開き電極15′が収容されている。この電解槽
でも、同様に水処理を行なうことができ、前述の実施例
と同様に水処理能力の増減を容易に行なうことが可能に
なる。
【0030】
【発明の効果】本発明に係わる水処理方法は、被処理水
導入口から被処理水を供給し、処理済水取出口から処理
済水を取出すようにした電気絶縁性電解槽本体内に、電
極物質を被覆した電極本体に給電棒を接続した複数の金
属電極を設置し、該金属電極毎に通電して前記被処理水
を電気化学的に処理することを特徴とする水処理方法
(請求項1)である。前述の通り、本発明では、電解槽
本体内に複数の金属電極を上下方向に積層するように収
容してあるため、使用目的等により必要とされる処理済
水の量が増減する際に、容易に電極の枚数の増減を行な
って前記必要水量に対応できる。その際に、給電棒を接
続した複数の電極に電解槽本体の外部から各電極毎に給
電棒を介して給電可能としているため、電極の枚数を増
減しても電解槽の構造や給電機構に変化が及ばず、必要
最小限の手間で必要とする処理済水の量の増減に対応で
きる。従って例えば半導体洗浄用等の比較的少量の処理
済水を必要とする用途から、風呂用あるいはプール水用
等の大量の処理済水を必要に変換する際にも、必要最小
限の手間と時間で即応できる。換言すると、従来大型の
電解槽が必要であった大量の処理済水を必要とする用途
にも比較的小型の電解槽で対応できることになる。
【0031】次に本発明に係わる水処理装置は、被処理
水導入口、処理済水取出口、電極物質を被覆した電極本
体に給電棒を接続しかつ一端を外部の電源に接続した給
電棒取付け部に固定した複数の金属電極を含んで成り、
金属電極間に通電して前記被処理水導入口から供給した
被処理水を電気化学的に処理し、前記処理済水取出口か
ら処理済水を取り出すことを特徴とする水処理装置(請
求項2)である。本発明装置でも、同様に、処理済水の
量が増減する際に、容易に電極の枚数の増減を行なって
前記必要水量に対応できる。又前記装置における電極物
質は、白金、イリジウム、ルテニウム及び/又はそれら
の混合物等の白金族金属又はその酸化物であることが望
ましく(請求項3)、これらの電極物質を使用すると処
理能力はほぼ最大となる。又電解槽本体は、給電棒取付
け部を有するパーツと残りのパーツに分割可能にしてお
くことが望ましく(請求項4)、これにより電極の枚数
の増減を更に容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の水処理装置の一例を示す縦断面図。
【図2】本発明の電気化学的水処理装置の一実施例を例
示する平面図
【図3】同じく正面図。
【図4】同じく側面図。
【図5】図2〜4の水処理装置で使用可能な穴開き電極
を示す概略図で、図5aはその平面図、図5bはその正
面図。
【図6】本発明の電気化学的水処理装置の他の実施例を
例示する平面図。
【符号の説明】 11、11′・・・電解槽本体 12・・・被処理水導入口
13・・・処理済水取出口 14・・・凹部 15・・・穴開
き電極 16・・・スペーサー 17・・・給電棒 18・・・給電棒取付け部 19・・・漏水防止管 20・・
・固定キャップ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理水導入口から被処理水を供給し、
    処理済水取出口から処理済水を取出すようにした電気絶
    縁性電解槽本体内に、電極物質を被覆した電極本体に給
    電棒を接続した複数の金属電極を設置し、該金属電極毎
    に通電して前記被処理水を電気化学的に処理することを
    特徴とする水処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理水導入口、処理済水取出口、電極
    物質を被覆した電極本体に給電棒を接続しかつ一端を外
    部の電源に接続した給電棒取付け部に固定した複数の金
    属電極を含んで成り、金属電極間に通電して前記被処理
    水導入口から供給した被処理水を電気化学的に処理し、
    前記処理済水取出口から処理済水を取り出すことを特徴
    とする水処理装置。
  3. 【請求項3】 電極物質が、白金、イリジウム、ルテニ
    ウム及び/又はそれらの混合物である請求項2に記載の
    水処理装置。
  4. 【請求項4】 電解槽本体を、給電棒取付け部を有する
    パーツと残りのパーツに分割可能にした請求項2に記載
    の水処理装置。
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