JPH11108289A - 断熱器物の輻射熱遮断用金属箔の取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 断熱器物の断熱層部に配設する輻射熱遮断用
金属箔の配置位置調整の作業性の向上と的確な固定配置
状態を歩留まり良く確保する輻射熱遮断用金属箔の取り
付け構造の提供。 【解決手段】 断熱器物の壁部に配置する平板状の断熱
層部１を形成している容器２の器壁面に沿って設ける輻
射熱遮断用金属箔３に、少なくとも１個の孔４を穿孔し
て設け、該金属箔３を所定器壁面に接着剤や接着テープ
を未配置の状態で載置し、配置位置を所望状態に自由に
調整した後、前記孔４を介して現出する器壁面と孔４の
周辺部の金属箔３とを接着テープ５等で貼着して固定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、魔法瓶、クーラー
ボックス、保温弁当箱等の家庭用断熱容器や断熱機器に
使用する断熱材を含む断熱器物の断熱性能の保持・向上
を図るため、熱絶縁の手段である輻射熱遮断用の金属箔
を断熱器物に取り付ける構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】魔法瓶特に金属製魔法瓶、クーラーボッ
クス、保温弁当箱等の家庭用断熱容器や冷蔵庫等の断熱
機器等は、保温のための断熱手段として、真空断熱や発
泡ウレタンの如き固体断熱材を使用したものや、クリプ
トン、キセノン、アルゴンガス等の低熱伝導率のガス、
更には空気を器壁に介在せしめた断熱層部が用いられて
いる。そしてこれらはいずれも、保温のための断熱性能
向上のために、伝熱の一因子である輻射熱による熱損失
を減少せしめるよう、例えばアルミニウム、銅、ニッケ
ル等の熱反射率の高い金属を用いて、断熱層部を形成す
る器壁にメッキ層を形成したり、前記金属を箔状にして
これを断熱層部の器壁の面に配設せしめている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記メッキ
層を形成する方法においては、その作業性が煩雑である
ばかりか、加工費用が嵩む不都合があった。このような
ことから上記金属の箔を断熱層部の器壁の面に配設する
方法が加工処理作業上において容易で、かつ加工処理費
用が安価であって、より有利であることより多く用いら
れてきている。しかしながらこの方法では、箔を断熱層
部の器壁面に固定する場合、金属箔の裏面に両面接着テ
ープや接着剤を配してこれにより固定していて、貼着時
に接着テープや接着剤が箔の裏に隠れて作業者の目に入
らないので、接着テープの状態、接着テープとこれを貼
着する器壁面の位置の関係等を確認することが困難とな
っていた。このため予め前もって細緻に亙って配置状態
の計画や貼着の予行作業を試みる必要があった。またそ
の上、一度貼着したら、予測貼着位置が狂ったからとし
て、これを剥がして再度貼着をやり直すことは、薄くて
破傷し易い箔では、これを破傷することなく行うことは
極めて困難であった。

【０００４】また、金属箔を断熱層部の器壁面に配置す
る場合、配置する器壁面が例えば平行な平面や円筒側壁
面であればよいが、球面とか円錐陵面の如き一様な平行
面でない器壁面に配置する場合には、配置する金属箔は
場所的に余剰面が発生し、この余剰面を重ね合わせた
り、切り欠いたりして、金属箔を一様に貼着するために
煩雑な加工処理作業や設計管理が必要であった。そして
細緻に亙る設計管理や加工処理作業にも拘わらず、上記
した一様でない器壁面に、所望するような一様に配置さ
れた状態に金属箔を貼着固定することは極めて困難であ
った。本発明はこのようなことより、上記不都合を解消
し、輻射熱遮断のために断熱層部の器壁面に配置する金
属箔の貼着作業を容易にして、作業性を向上せしめると
ともに、貼着面に常に均一に貼着することを可能とし
た、断熱器物の断熱層部の器壁に輻射熱遮断用金属箔を
取り付ける構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記不都合を解消し、目
的を達成するため本発明の請求項１では、断熱器物の断
熱層部の器壁に沿って配設する輻射熱遮断用金属箔に少
なくとも１つの孔を穿孔してなり、かつ該孔を介して器
壁に前記輻射熱遮断用金属箔を固定してなることを特徴
とする断熱器物の輻射熱遮断用金属箔の取り付け構造と
し、請求項２では、輻射熱遮断用金属箔に穿孔する少な
くとも１つの孔のうちの１つは、輻射熱遮断用金属箔を
配設する断熱層部の器壁のほぼ中央に相当する位置に穿
孔されてなることを特徴とする請求項１に記載の断熱器
物の輻射熱遮断用金属箔の取り付け構造としたものであ
り、そして請求項３では、輻射熱遮断用金属箔を配設す
る断熱器物が球面状壁または非平行な側壁を有する器物
であって、該器物の断熱層部の器壁に配設する金属箔
が、周方向に沿って蛇腹状に形成された側壁を有する容
器形状でなることを特徴とする請求項１または請求項２
のいずれか１項に記載の断熱器物の輻射熱遮断用金属箔
の取り付け構造としたものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の断熱器物の輻射熱遮断用
金属箔の取り付け構造の実施の形態について説明する。
本発明は魔法瓶、クーラーボックス、保温弁当箱、断熱
コップ等の家庭用の断熱食器類や冷蔵庫等の断熱器物の
断熱層部として熱絶縁の一因子である輻射熱による伝熱
を遮断するため、熱反射率の高い金属の箔を断熱層部の
器壁に取り付けるにあたって、その取り付け配置位置の
調整を自由になし得て、的確な配置位置に作業性良く配
設し固定し得る取り付け構造としたものである。

【０００７】対象とする断熱器物の壁に配置する断熱層
部を形成し、該断熱層内部に断熱材が充填されていた
り、真空排気された空間を形成していたり、空気あるい
は低熱伝導率ガスが充填されている合成樹脂製やステン
レス鋼製等の容器の内壁あるいは外壁等の器壁に、輻射
熱遮断用の金属箔を配置固定し取り付けるものである。
そしてこの取り付けにあたって、金属箔に少なくとも１
個の孔を穿孔して設けて、これを断熱層部の器壁の所定
位置に載置し、前記金属箔に穿孔した孔を介して現出す
る前記断熱層部の器壁面と孔周部の金属箔とを貼着手段
により結着して固定し取り付けるものである。これによ
り貼着固定にあたり、金属箔の貼着面に接着剤を前もっ
て塗布または配置しておくことの必要がなくなり、それ
故接着剤のない状態で金属箔の貼着位置の位置決めの調
整を的確に行って、その位置に配置した状態にした後に
貼着固定するので、配置の失敗が低減し的確な配置によ
る固定が可能となる。

【０００８】そして、前記金属箔に穿孔する少なくとも
１個の孔のうちの１つを、金属箔を貼着する断熱層部面
のほぼ中央に相当する位置に設けることにより、断熱層
部を形成する容器の器壁面とこれに配設する金属箔との
間での、金属箔と器壁面との相対的位置の位置決めの基
準となり、配置位置の調整作業を容易にするとともに、
配置位置の的確な位置決めを可能とする。

【０００９】更に、断熱器物が椀状の如き球面を有する
器物の断熱層部を形成する容器の器壁面が曲面であった
り、開口飲み口が拡径されているコップ状の断熱器物の
如き器物の断熱層部の容器の器壁面が非平行である場
合、該器壁に配設する金属箔を、周方向に沿って蛇腹状
に形成された側壁を有する容器形状とすることにより、
曲面や非平行な器壁を形成している断熱層部の器壁への
金属箔の取り付けは、一様な平面ではないにも拘わら
ず、断熱層部の容器の器壁面に緊密に配置して取り付け
ることが可能となるとともに、配置作業が極めて容易と
なり作業性が向上する。更に金属箔に少なくとも１個の
孔を穿孔して設け、そして該孔を介して表面上に現出す
る断熱層部の容器の器壁面と金属箔の孔の周囲部とを貼
着して結合固定するようにしたので、配置作業を接着剤
の未配置の状態で配置位置を自由に調整し得る。

【００１０】そして配置調整作業を接着剤の未配置の状
態で行うことが出来るので、作業中に接着剤による不意
の貼着が生ずることがないので貼着作業の失敗がほとん
どなくなり、配置貼着する位置決めが的確にできて極め
て歩留まり良く貼着作業を遂行し得る。その上貼着作業
が容易となり、作業性が向上する効果を奏する。また、
金属箔に穿孔する少なくとも１個の孔のうちの１つを、
貼着する断熱層部の容器の底部のほぼ中央に対応して、
容器形状の金属箔の底面のほぼ中央の位置に設けること
により、断熱層部を形成する容器壁面に貼着する金属箔
との間での、金属箔と容器壁面との相対的位置の位置合
わせの基準となり、配置位置の調整作業を容易にすると
ともに、配置位置の的確な位置決めを可能とするもので
ある。しかも配置作業が極めて容易であるにもかかわら
ず、アルミ箔の蛇腹の山の部分を容器に規則的に巻き付
けて配することができ、容器にアルミ箔を均一に覆うこ
とができる。その上山の部分を断熱層を越えて箔を巻き
付けていない他方の容器に接触せしめることが無く、更
に部分的に積層断熱効果を奏することができ、保温性能
が向上する。

【００１１】

【実施例】次ぎに、本発明の断熱器物の輻射熱遮断用金
属箔の取り付け構造の実施例について図面を参照して説
明する。 ［実施例１］図１は本発明の輻射熱遮断用金属箔の取り
付け構造の一例を説明する断熱層部の斜視図である。符
号１は断熱器物（図示せず）の器壁の間に配設せしめる
平板状の断熱層部である。該平板状の断熱層部１の例と
しては、例えばエチレンビニルアルコール共重合体の如
き合成樹脂製やステンレス鋼の如き金属製よりなる容器
２内にパーライト等の粉末断熱材を充填した上、真空に
保持して平板状の断熱層部１を形成していたり、同様に
合成樹脂製容器２内にクリプトン、キセノン、アルゴン
等の低熱伝導率ガスあるいは空気を充填封入して平板状
の断熱層部１としていたり、また断熱器物それ自体の器
壁を合成樹脂、あるいは金属製の内外容器を空間部を介
して配置して二重壁構造とし、この二重壁構造の空間部
内を真空排気して真空空間を平板状の断熱層部１とした
もの、更に発泡スチロールやウレタンの如きそのものだ
けで平板状の断熱層部１を形成しているもの等がある。

【００１２】このような平板状の断熱層部１の容器２の
器壁には、輻射熱遮断用の金属箔３が配設せしめられて
いる。この金属箔３の金属としては、熱線の反射率の高
いアルミニウム、ニッケル、銅等の金属が有効に使用し
得る。そして金属箔には少なくとも１個の孔４が穿孔さ
れている。この穿孔する孔４の数はこれを配設せしめる
平板状の断熱層部１の表面積の大きさにより適宜選択し
て所望数設ければよい。そしてこれらの孔４…のうち、
１個はその形状の上で、ほぼ中心の位置に孔４ａを穿孔
することが、後工程での配置位置決め時に、的確な位置
決め配置を可能とし、作業性を向上せしめる。また孔の
大きさは、使用される平板状の断熱層部１の大きさによ
り適宜選択して穿孔されるものであり、とりたててその
大きさを特定するものではない。

【００１３】上記した如き金属箔３は、平板状の断熱層
部１の容器２の壁に以下の如き方法で取り付けられる。
まず配置すべき平板状の断熱層部１の容器２の器壁面積
の寸法、形状に合わせて裁断し、これを所定の平板状の
断熱層部１の容器２の器壁面に載置し、配置位置の場所
的的確性を適宜調整した後、別途用意した接着テープ５
により孔４の上面より、その配置を目視して確認しなが
ら、この孔４を塞ぐようにして貼着する。 この結果金
属箔３の孔４より透視し得る平板状の断熱層部１の器壁
面と金属箔３の孔４部の周部が接着テープ５により結着
されて、金属箔３は平板状の断熱層部１の所定位置の器
壁に貼着固定される。なお、接着テープ５による貼着
は、位置決めを的確に行うために、金属箔３を配置する
平板状の断熱層部１の器壁のほぼ中央部に相当する位置
に穿孔した孔４ａ部を先ず貼着固定すると以後の作業を
容易にする。なおまた、接着テープ５は片面テープで勿
論よく、材質としては金属箔３と共通する金属箔状テー
プを用いると輻射熱遮断効果をより一層助長する。ま
た、接着テープ５に限定されるものでなく、接着剤によ
る固定でも良いことは勿論である。

【００１４】この実施例１では平板状の断熱層部１を合
成樹脂製または金属製の容器２で構成されている場合に
ついて説明したが、上記した如き発泡スチロール、ウレ
タン等の如きその材料自体が平板状の断熱層部１を形成
している場合も同様であり、上記容器２の器壁面に代え
て断熱材料の材料面と読み代えればよく、これによりこ
れらの取り付け構造に共通性が存することが十分理解し
得るものである。また、上記実施例１では、平板状の断
熱層部１の外表面に輻射熱遮断用金属箔３を配設した例
について説明したが、内表面に配設せしめることも同様
に実施し得、同様な効果を奏することは勿論である。こ
の場合平板状の断熱層部１を組み立てる前に、容器２の
内表面に配設位置の位置決めを調整して貼着すればよ
い。

【００１５】以上のように、本発明の輻射熱遮断用の金
属箔３の平板状の断熱層部１への取り付けは、平板状の
断熱層部１の容器２の器壁面に取り付けるのに、金属箔
３に孔４を穿孔して設け、そして該孔４を介して表面上
に現出する平板状の断熱層部１の容器２の器壁面と金属
箔３の孔４の周囲部とを貼着して結合固定するようにし
たので、配置作業を接着剤の未配置の状態で配置位置を
自由に調整し得る。それ故接着剤による不意の貼着が生
ずることがないので貼着作業の失敗がほとんどなくな
り、配置貼着する位置決めが的確にできて極めて歩留ま
り良く貼着作業を遂行し得る。その上貼着作業が容易と
なり、作業性が向上する効果を奏する。

【００１６】［実施例２］次に本発明の別の実施例とし
て、断熱器物が椀状あるいはドンブリ状の如く曲面を有
する器壁や、コップの如く開口口元部が底部より拡がり
を有する、いわゆる軸心を中心として相対面する側壁が
非平行な器壁を有する器物の断熱層部に輻射熱遮断用金
属箔を取り付ける構造について、図２を参照して説明す
る。なお、図１で示した実施例１の構成と共通する構成
部は同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【００１７】図２は椀状断熱器物の断熱層部への輻射遮
断用金属箔の取り付け組立図である。符号１１は椀状の
断熱器物（図示せず）の器壁に配置される断熱層部であ
る。この椀状の断熱層部１１は、これが配置される椀状
の断熱器物の形状に整合された球状の曲面を有する例え
ば合成樹脂製、あるいは金属製の容器１２よりなってい
て、容器１２内にクリプトン、キセノン、アルゴン等の
低熱伝導率ガスあるいは空気を充填し封入して椀状の断
熱層部１１としていたり、また断熱器物それ自体の器壁
を空間部を挟んだ内外壁の二重壁構造とし、この二重壁
構造の空間部内を真空排気して真空空間を椀状の断熱層
部１１としたもの、更にまた発泡スチロールやウレタン
の如きそのものだけで椀状の断熱層部１１を形成してい
るもの等がある。

【００１８】このような椀状の断熱層部１１の容器１２
の器壁には、輻射熱遮断用の容器形状の金属箔１３が配
設せしめらる。この金属箔１３の金属としては、熱線の
反射率の高いアルミニウム、ニッケル、銅等の金属が有
効に使用し得る。そしてこの金属箔１３は、円形状に裁
断した金属箔１３ａの中心部１３ｂを底部として、これ
を配設する椀状の断熱層部１１の容器１２の底部１２ｂ
の形状、大きさに合わせて区画し、この区画縁端１３ｃ
に沿って円形の周部１３ｄを上方に立ち上げる。その結
果、底部１３ｂを有し、前記周部１３ｄを側壁とする容
器形状の金属箔１３を得る。それとともに、立ち上げた
周部１３ｄにより形成される側壁には、上下に向けて延
びる山１３ｅ…と谷１３ｆ…が側壁１３ｄの周壁に沿っ
て交互に連続して形成され、蛇腹１６状の側壁１３ｄを
有する容器形状の金属箔１３となって得られる。

【００１９】このようにして形成して得られた容器形状
の金属箔１３には少なくとも１個の孔１４が穿孔されて
いる。この穿孔する孔１４の数はこれを配設せしめる椀
状の断熱層部１１の表面積の大きさにより適宜選択して
所望数設ければよい。そしてこれらの孔１４…のうち、
１個はその形状の上から、ほぼ中心の位置に穿孔するこ
とが、後工程での配置位置決め時に、的確な位置決め配
置を可能とし、作業性を向上せしめる。図示した如き容
器形状の場合には、椀状の断熱層部１１の容器１２の底
部１２ｂの中心位置に対応して、容器形状の金属箔１３
の底部（中心部）１３ｂの中心位置に孔１４ａを穿孔す
ることによって、後工程の配置位置の調整時に配置位置
の的確性と位置決め作業の容易さ等の好結果をもたら
す。また孔１４の大きさ並びに孔の数は、使用される椀
状の断熱層部１１の大きさに応じて、これに固定するの
に必要な接着（粘着）強度により適宜選択して穿孔され
るものであり、とりたててその大きさを特定するもので
はない。

【００２０】上記した如き側壁が蛇腹１６状である容器
形状の金属箔１３内に、配置すべき椀状の断熱層部１１
の容器１２を底部１２ｂより挿入する。そして椀状の断
熱層部１１の直径等の大きさが増大していく場合は、そ
の位置に位置する蛇腹１６が拡がり、椀状の断熱層部１
１の容器１２の器壁と金属箔１３とは極めて緊密に接触
して係合する。しかも容器形状の金属箔１３の側壁１３
ｄが蛇腹１６状に形成されているので、この蛇腹１６で
金属箔１３の側壁１３ｄは中心に向けての収縮力が付与
されていて、金属箔１３は椀状の断熱層部１１の容器１
２の器壁に緊密に係合し装着される。なお、椀状の断熱
層部１１の容器１２の直径方向の寸法の増大について
は、上記した如く形成せしめた蛇腹１６により、その伸
縮の許容範囲内で増大寸法を吸収し得る。

【００２１】このようにして、容器形状の金属箔１３を
所定の椀状の断熱層部１１の容器１２の器壁面に装着
し、配置位置の場所的的確性を適宜調整した後、別途用
意した接着テープ５や接着剤により孔１４の上面より、
その配置状態の適否を目視して確認しながら、この孔１
４を塞ぐようにして貼着する。 この結果金属箔１３に
穿孔した孔１４より透視し得る椀状の断熱層部１１の容
器１２の器壁面と金属箔１３の孔１４部の周部が接着テ
ープ５により結着されて、金属箔１３は椀状の断熱層部
１１の所定位置の器壁に貼着固定される。なお、接着テ
ープ５による貼着は、位置決めを的確に行うために、金
属箔３を配置する椀状の断熱層部１１の容器１２の底部
１２ｂの器壁のほぼ中央部に相当する位置に穿孔した孔
１４ａ部を先ず貼着固定すると、以後の配置位置の調整
作業を容易にする。なおまた、接着テープ５は片面テー
プで勿論よく、材質としては金属箔１３と共通する熱の
反射率の高い金属の箔状テープを用いると輻射熱遮断効
果をより一層助長する。また、接着テープ５に限定され
るものでなく、接着剤による固定でも良いことは勿論で
ある。

【００２２】この実施例２では椀状の断熱層部１１を合
成樹脂製または金属製の容器で構成されている場合につ
いて説明したが、上記した如き発泡スチロール、ウレタ
ン等の断熱材料の如きその材料自体が椀状の断熱層部１
１を形成している場合も同様であり、上記容器１２の器
壁面に代えて断熱材料の材料面と読み代えればよく、こ
れらはいずれも共通する作用効果が存し、同様にして金
属箔１３を取り付けることができる。また、実施例２で
は、椀状の断熱層部１１の容器１２の外表面に輻射熱遮
断用の容器形状金属箔１３を配設した例について説明し
たが、容器１２の内表面に配設せしめることも同様に実
施し得、同様な効果を奏することは勿論である。この場
合椀状の断熱層部１１を組み立てる前に、予め容器１２
の内表面に配設位置の位置決めを調整した後に、同様に
孔を介して貼着固定すればよい。

【００２３】以上のように、この実施例２の輻射熱遮断
用の金属箔１３は、容器状の形状とし、そしてその周部
（側壁）１３ｄに沿って上下に延びる山１３ｅと谷１３
ｆを交互に連続して配した蛇腹１６を設けた構造とした
ので、曲面や非平行な器壁を形成する椀状の断熱層部１
１の容器１２への金属箔１３の取り付けは、一様な平面
ではないにも拘わらず、椀状の断熱層部１１の容器１２
の器壁面に一様に、かつ緊密に配置して取り付けること
が可能となる。しかも配置作業が極めて容易であるとと
もに、アルミ箔の蛇腹の山の部分を容器に規則的に巻き
付けて配することができ、容器にアルミ箔を均一に覆う
ことができる。その上山の部分を断熱層を越えて箔を巻
き付けていない他方の容器に接触せしめることが無く、
更に部分的に積層断熱効果を奏することができ、保温性
能が向上する。

【００２４】なお更に、金属箔１３に孔１４を穿孔して
設け、そして該孔１４を介して表面上に現出する椀状の
断熱層部１１の容器１２の器壁面と金属箔１３の孔１４
の周囲部とを貼着して結合固定するようにしたので、金
属箔１３の配置位置決め作業を接着剤の未配置の状態で
配置位置を自由に調整し得る。また接着剤による不意の
貼着が生ずることがないので貼着作業の失敗がほとんど
なくなり、配置貼着する位置決めが的確にできて極めて
歩留まり良く貼着作業を遂行し得る。その上貼着作業が
容易となり、作業性が向上する効果を奏する。

【００２５】

【発明の効果】本発明の断熱器物の輻射熱遮断用金属箔
の取り付け構造は上記の通りの構造よりなり、実施され
るので、以下の如き効果を奏する。輻射熱遮断用の金属
箔を断熱器物の壁部に配設する断熱層部への取り付け
は、断熱層部を形成する容器の器壁面に取り付けるにあ
たり、金属箔に少なくとも１個の孔を穿孔して設け、そ
して該孔を介して表面上に現出する断熱層部の容器の器
壁面と金属箔の孔の周囲部とを貼着して結合固定するよ
うにしたので、配置作業を接着剤の未配置の状態で配置
位置を自由に調整し得る。それ故接着剤による不意の貼
着が生ずることがないので貼着作業の失敗がほとんどな
くなり、配置貼着する位置決めが的確にできて極めて歩
留まり良く貼着作業を遂行し得る。その上貼着作業が容
易となり、作業性が向上する効果を奏する。そして少な
くとも１個の孔のうちの１個はその形状のほぼ中心の位
置に穿孔することにより、金属箔を断熱層部の容器壁に
配置する時に、的確な位置決め配置を可能とし、より一
層作業性を向上せしめる。

【００２６】また、断熱器物が椀状器物の如き球面を有
する器物の断熱層部や、開口飲み口が拡径されているコ
ップ状の断熱器物の如き器物の断熱層部の容器の器壁面
が非平行である場合、これに配設する金属箔を周方向に
沿って蛇腹を形成した側壁を有する容器形状とすること
により、配設面が一様な平面ではないにも拘わらず、断
熱層部の容器の器壁面に金属箔を緊密に配置して取り付
けることが可能となる。そして配置作業が極めて容易と
なり作業性が向上するとともに、金属箔の蛇腹の山の部
分を容器壁に規則的に巻き付けて配することができ、そ
の結果金属箔を容器に均一に覆って配置することができ
る。その上、箔の山の部分を、該箔を間に介在せしめて
いて箔を巻き付けていない他方の容器に、接触せしめる
ことが無く、更に部分的に積層断熱効果を奏することと
なり、保温性能を向上せしめる。

【００２７】更に金属箔に少なくとも１個の孔を穿孔し
て設け、そして該孔を介して表面上に現出する断熱層部
の容器の器壁面と金属箔の孔の周囲部とを貼着して結合
固定するようにしたので、配置作業を接着剤の未配置の
状態で配置位置を自由に調整し得て、的確な配置を作業
性良く行うことができる。しかも、これらの構造は極め
て簡単で容易に穿孔処理することができる上、貼着作業
も簡単で容易であり、その上更に上記した如く歩留まり
が向上したこと等により、製作コストが低減され安価で
性能の良い断熱器物を提供し得る効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の輻射熱遮断用金属箔の取り付け構造
の一例を説明する断熱層部の斜視図である。

【図２】 椀状断熱器物の断熱層部への輻射遮断用金属
箔の取り付け組立図である。

【符号の説明】

１…平板状の断熱層部、 ２…断熱層部の容器、 ３…
金属箔、 ４…孔、５…接着テープ、 １１…椀状の断
熱層部、 １２…断熱層部の容器、１３…容器形状の金
属箔、 １３ａ…円形状金属箔、１３ｂ…円形状金属箔
の中心部（容器形状の金属箔の底部）、１３ｃ…円形状
金属箔の中心部（容器形状の金属箔の底部）の区画縁
端、１３ｄ…円形状金属箔の周部（容器形状の金属箔の
側壁）、１３ｅ…蛇腹の山、 １３ｆ…蛇腹の谷、 １
４…孔、 １６…蛇腹

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 篤彦 東京都港区西新橋一丁目16番７号 日本酸 素株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断熱器物の断熱層部の器壁に沿って配設
   する輻射熱遮断用金属箔に少なくとも１つの孔を穿孔し
   てなり、かつ該孔を介して器壁に前記輻射熱遮断用金属
   箔を固定してなることを特徴とする断熱器物の輻射熱遮
   断用金属箔の取り付け構造。
2. 【請求項２】 輻射熱遮断用金属箔に穿孔する少なくと
   も１つの孔のうちの１つは、輻射熱遮断用金属箔を配設
   する断熱層部の器壁のほぼ中央に相当する位置に穿孔さ
   れてなることを特徴とする請求項１に記載の断熱器物の
   輻射熱遮断用金属箔の取り付け構造。
3. 【請求項３】 輻射熱遮断用金属箔を配設する断熱器物
   が球面状壁または非平行な側壁を有する器物であって、
   該器物の断熱層部の器壁に配設する金属箔が、周方向に
   沿って蛇腹状に形成された側壁を有する容器形状でなる
   ことを特徴とする請求項１または請求項２のいずれか１
   項に記載の断熱器物の輻射熱遮断用金属箔の取り付け構
   造。