JPH11106891A - 金属溶射法 - Google Patents
金属溶射法Info
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- JPH11106891A JPH11106891A JP9274041A JP27404197A JPH11106891A JP H11106891 A JPH11106891 A JP H11106891A JP 9274041 A JP9274041 A JP 9274041A JP 27404197 A JP27404197 A JP 27404197A JP H11106891 A JPH11106891 A JP H11106891A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 筒状(円筒状)製品の上端又は下端の溶射層
の密着強さを確保することができるようにしたシリンダ
やパイプ等の筒状製品の内面への金属溶射法を提供す
る。 【解決手段】 製品内面に溶射層5を形成する際に、円
筒上端部に円筒内径より小さい内径を持つ小径マスキン
グ部材3を設け、筒状製品の内面へ金属を溶射するよう
にした。
の密着強さを確保することができるようにしたシリンダ
やパイプ等の筒状製品の内面への金属溶射法を提供す
る。 【解決手段】 製品内面に溶射層5を形成する際に、円
筒上端部に円筒内径より小さい内径を持つ小径マスキン
グ部材3を設け、筒状製品の内面へ金属を溶射するよう
にした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダやパイプ
等の筒状製品の内面への金属溶射法に関する。
等の筒状製品の内面への金属溶射法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、金属又は金属酸化物の溶射材料を
加熱し、溶融状態にした溶射材料の微粉末等を相手素材
に吹き付けてコーテイングする各種の溶射法が提案され
ており、これら溶射法によって耐摩耗性などが要求され
る部品の素材表面に硬質層の溶射皮膜を形成することが
できる。ここで従来、シリンダやパイプ等の筒状(円筒
状)製品の内面に溶射層を形成する場合、図6に示すよ
うにマスキング部材31を製品35の上面に設けてい
る。このようなマスキング部材31は、例えばシリンダ
ブロックのような製品では上面(シリンダヘッドとの合
わせ面)に機械加工が行われるので、溶射の際にかかる
上面を保護する目的で設置される。
加熱し、溶融状態にした溶射材料の微粉末等を相手素材
に吹き付けてコーテイングする各種の溶射法が提案され
ており、これら溶射法によって耐摩耗性などが要求され
る部品の素材表面に硬質層の溶射皮膜を形成することが
できる。ここで従来、シリンダやパイプ等の筒状(円筒
状)製品の内面に溶射層を形成する場合、図6に示すよ
うにマスキング部材31を製品35の上面に設けてい
る。このようなマスキング部材31は、例えばシリンダ
ブロックのような製品では上面(シリンダヘッドとの合
わせ面)に機械加工が行われるので、溶射の際にかかる
上面を保護する目的で設置される。
【0003】このようにマスキング部材を設ける場合の
問題点として、溶射ガン31による溶射フレーム32に
よって溶射層34を形成した後、マスキング部材33に
付着した皮膜と、シリンダブロック35に付着した皮膜
とがつながってしまうことがあった(図6)。これによ
って、マスキング部材33を取り外す時に皮膜34が剥
離したり(図7)、上面にバリが出て、ホーニング等の
後加工の際に皮膜が欠け、又は剥離する等の問題が生じ
ることがあった(図8)。また、溶射前のブラスト処理
においても、上記したようなマスキング部材33を設け
るが、その時にブラスト処理部の端部と溶射層34の端
部がほぼ同じ位置になると、密着強さが不安定になり、
剥離の原因となり易い。さらに、上端、下端における加
工が適切でない場合には、皮膜の欠け等を確実に防止す
ることは難しかった。
問題点として、溶射ガン31による溶射フレーム32に
よって溶射層34を形成した後、マスキング部材33に
付着した皮膜と、シリンダブロック35に付着した皮膜
とがつながってしまうことがあった(図6)。これによ
って、マスキング部材33を取り外す時に皮膜34が剥
離したり(図7)、上面にバリが出て、ホーニング等の
後加工の際に皮膜が欠け、又は剥離する等の問題が生じ
ることがあった(図8)。また、溶射前のブラスト処理
においても、上記したようなマスキング部材33を設け
るが、その時にブラスト処理部の端部と溶射層34の端
部がほぼ同じ位置になると、密着強さが不安定になり、
剥離の原因となり易い。さらに、上端、下端における加
工が適切でない場合には、皮膜の欠け等を確実に防止す
ることは難しかった。
【0004】従来、シリンダやパイプ等の筒状(円筒
状)製品の内面に溶射層を形成する場合、該筒状製品の
上端や下端等の溶射層が上記のようにして途切れる際、
このような部分の密着強さが不安定になり易かった。そ
して、皮膜が剥離する原因は、このような密着強さの不
安定に起因することが多かった。すなわち、このような
部分の密着強さを確保できれば、ほとんどの皮膜剥離を
防止することができるようになる。
状)製品の内面に溶射層を形成する場合、該筒状製品の
上端や下端等の溶射層が上記のようにして途切れる際、
このような部分の密着強さが不安定になり易かった。そ
して、皮膜が剥離する原因は、このような密着強さの不
安定に起因することが多かった。すなわち、このような
部分の密着強さを確保できれば、ほとんどの皮膜剥離を
防止することができるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術の問題点を解消し、筒状(円筒状)製品の上端又は
下端の溶射層の密着強さを確保することができるように
したシリンダやパイプ等の筒状製品の内面への金属溶射
法を提供することを目的とする。
技術の問題点を解消し、筒状(円筒状)製品の上端又は
下端の溶射層の密着強さを確保することができるように
したシリンダやパイプ等の筒状製品の内面への金属溶射
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的を達
成するため、請求項1の発明は、筒状製品の内面への金
属溶射法であって、製品内面に溶射層を形成する際に、
円筒上端部に円筒内径より小さい内径を持つ小径マスキ
ング部材を設け、筒状製品の内面へ金属を溶射するよう
にしたことを特徴とする。請求項2の発明は、請求項1
の金属溶射法において、溶射前のブラスト処理の際、円
筒上端部に円筒内径以上の内径を持つ大径マスキング部
材を設け、ブラスト処理後、上記小径マスキング部材に
変更して同様に溶射を行うことを特徴とする。請求項3
の発明は、請求項1又は2の金属溶射法において、予め
溶射フレームに対する角度が60°以上になるように上
端部をC面取り及び/又はR面取りを行った筒状製品に
溶射を行うようにしたことを特徴とする。請求項4の発
明は、請求項1から請求項3のいずれかの金属溶射法に
おいて、下端部を予め溶射フレームに対する角度が0°
以上になるようにC面取り及び/又はR面取りを行った
筒状製品に溶射を行うようにしたことを特徴とする。
成するため、請求項1の発明は、筒状製品の内面への金
属溶射法であって、製品内面に溶射層を形成する際に、
円筒上端部に円筒内径より小さい内径を持つ小径マスキ
ング部材を設け、筒状製品の内面へ金属を溶射するよう
にしたことを特徴とする。請求項2の発明は、請求項1
の金属溶射法において、溶射前のブラスト処理の際、円
筒上端部に円筒内径以上の内径を持つ大径マスキング部
材を設け、ブラスト処理後、上記小径マスキング部材に
変更して同様に溶射を行うことを特徴とする。請求項3
の発明は、請求項1又は2の金属溶射法において、予め
溶射フレームに対する角度が60°以上になるように上
端部をC面取り及び/又はR面取りを行った筒状製品に
溶射を行うようにしたことを特徴とする。請求項4の発
明は、請求項1から請求項3のいずれかの金属溶射法に
おいて、下端部を予め溶射フレームに対する角度が0°
以上になるようにC面取り及び/又はR面取りを行った
筒状製品に溶射を行うようにしたことを特徴とする。
【0007】本発明では、円筒上端部に円筒内径より小
さい内径を持つ小径マスキング部材を設け、筒状製品の
内面へ金属を溶射するようにすることにより(請求項
1)、シリンダ上端部でのバリの発生及びそれに伴う皮
膜の欠け、剥離を防止でき、特にマスキング部材取り外
しの際のバリの発生及びそれに伴う皮膜の欠けを防止す
ることができる。また、溶射前のブラスト処理の際、円
筒上端部に円筒内径以上の内径を持つ大径マスキング部
材を設け、ブラスト処理後、上記小径マスキング部材に
変更して同様に溶射を行うことにより(請求項2)、溶
射層(皮膜)の形成される部分に必ずブラスト処理が行
われることとなり、皮膜の密着強さが安定する。
さい内径を持つ小径マスキング部材を設け、筒状製品の
内面へ金属を溶射するようにすることにより(請求項
1)、シリンダ上端部でのバリの発生及びそれに伴う皮
膜の欠け、剥離を防止でき、特にマスキング部材取り外
しの際のバリの発生及びそれに伴う皮膜の欠けを防止す
ることができる。また、溶射前のブラスト処理の際、円
筒上端部に円筒内径以上の内径を持つ大径マスキング部
材を設け、ブラスト処理後、上記小径マスキング部材に
変更して同様に溶射を行うことにより(請求項2)、溶
射層(皮膜)の形成される部分に必ずブラスト処理が行
われることとなり、皮膜の密着強さが安定する。
【0008】さらに、予め溶射フレームに対する角度が
60°以上になるように上端部をC面取り及び/又はR
面取りを行った筒状製品に溶射を行うようにすることに
より(請求項3)、筒状製品の例えばシリンダの上端部
における皮膜の欠け及び剥離をより効果的に防止するこ
とができる。またさらに、下端部を予め溶射フレームに
対する角度が0°以上になるようにC面取り及び/又は
R面取りを行った筒状製品に溶射を行うようにすること
により(請求項4)、筒状製品の例えばシリンダ下端部
における皮膜の欠け及び剥離をより効果的に防止するこ
とができる。
60°以上になるように上端部をC面取り及び/又はR
面取りを行った筒状製品に溶射を行うようにすることに
より(請求項3)、筒状製品の例えばシリンダの上端部
における皮膜の欠け及び剥離をより効果的に防止するこ
とができる。またさらに、下端部を予め溶射フレームに
対する角度が0°以上になるようにC面取り及び/又は
R面取りを行った筒状製品に溶射を行うようにすること
により(請求項4)、筒状製品の例えばシリンダ下端部
における皮膜の欠け及び剥離をより効果的に防止するこ
とができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明にかかる金属溶射方
法について、添付図面に示した実施の形態を参照しなが
ら説明する。図1は、本発明にかかる筒状製品の内面へ
の金属溶射法であって、シリンダブロックに本発明を適
用した実施の形態を示す。本実施の形態では、シリンダ
ブロック5の内面に溶射層(皮膜)4を形成する際に、
シリンダブロック5の上端部にシリンダ内径より小さい
内径を持つ小径マスキング部材3を設け、シリンダ5の
内面へ金属を溶射するようにしている。この実施の形態
では、シリンダブロック5の上端部では、小径マスキン
グ部材3の影になり、図示のように皮膜4が形成されな
い部分ができる。また、溶射ガン1からの溶射フレーム
2は、ある程度の幅を持っているため、図示のように影
の部分の膜厚は徐々減少することになる。マスキング部
材3とシリンダブロック5との内径の差(段差)は、マ
スキング部材3とシリンダブロック5に形成される皮膜
4がつながらないように設定されなければならないた
め、半径で内面に形成される膜厚の1.5倍以上必要で
ある。上限は特に定められないが、あまり皮膜がない部
分が多くなると本来の目的に反するため、最大でも段差
は1.5mm以下が好ましい範囲である。これにより、
シリンダブロック5の上端部では、上面にバリが出る等
の不具合やマスキング部材取り外しの際の皮膜の欠け、
剥離等を生じることがなくなる。
法について、添付図面に示した実施の形態を参照しなが
ら説明する。図1は、本発明にかかる筒状製品の内面へ
の金属溶射法であって、シリンダブロックに本発明を適
用した実施の形態を示す。本実施の形態では、シリンダ
ブロック5の内面に溶射層(皮膜)4を形成する際に、
シリンダブロック5の上端部にシリンダ内径より小さい
内径を持つ小径マスキング部材3を設け、シリンダ5の
内面へ金属を溶射するようにしている。この実施の形態
では、シリンダブロック5の上端部では、小径マスキン
グ部材3の影になり、図示のように皮膜4が形成されな
い部分ができる。また、溶射ガン1からの溶射フレーム
2は、ある程度の幅を持っているため、図示のように影
の部分の膜厚は徐々減少することになる。マスキング部
材3とシリンダブロック5との内径の差(段差)は、マ
スキング部材3とシリンダブロック5に形成される皮膜
4がつながらないように設定されなければならないた
め、半径で内面に形成される膜厚の1.5倍以上必要で
ある。上限は特に定められないが、あまり皮膜がない部
分が多くなると本来の目的に反するため、最大でも段差
は1.5mm以下が好ましい範囲である。これにより、
シリンダブロック5の上端部では、上面にバリが出る等
の不具合やマスキング部材取り外しの際の皮膜の欠け、
剥離等を生じることがなくなる。
【0010】図2は、図1の実施の形態において、溶射
前のブラスト処理の際、シリンダブロック5上端部にシ
リンダ内径以上の内径を持つ大径マスキング部材7を設
け、ブラストガン6でのブラスト粒子8によるブラスト
処理後、上記小径マスキング部材3に変更して図1につ
いて説明したのと同様に溶射を行うこととした実施の形
態を示す。この実施の形態においては、ブラスト処理部
が必ず溶射層(皮膜)の端部より外側になるので、溶射
層の端部における皮膜の剥離をさらに防止できる。この
場合、マスキング部材7とシリンダブロック5の内径の
差は、半径で0より大きく1.5mm以下の範囲が好ま
しい。なお、ブラスト処理は、アンカー効果を増すため
に、溶射皮膜の密着強さを向上させるために、素材表面
を粗面化するために行う処理である。ブラスト処理とし
ては、サンドブラスト処理、機械加工法等がある。
前のブラスト処理の際、シリンダブロック5上端部にシ
リンダ内径以上の内径を持つ大径マスキング部材7を設
け、ブラストガン6でのブラスト粒子8によるブラスト
処理後、上記小径マスキング部材3に変更して図1につ
いて説明したのと同様に溶射を行うこととした実施の形
態を示す。この実施の形態においては、ブラスト処理部
が必ず溶射層(皮膜)の端部より外側になるので、溶射
層の端部における皮膜の剥離をさらに防止できる。この
場合、マスキング部材7とシリンダブロック5の内径の
差は、半径で0より大きく1.5mm以下の範囲が好ま
しい。なお、ブラスト処理は、アンカー効果を増すため
に、溶射皮膜の密着強さを向上させるために、素材表面
を粗面化するために行う処理である。ブラスト処理とし
ては、サンドブラスト処理、機械加工法等がある。
【0011】図3は、先行する実施の形態において、予
め溶射フレーム2に対する角度が60°以上になるよう
に上端部をC面取り5Aを行ったシリンダブロックに溶
射を行うようにした実施の形態を示す。この実施の形態
においては、シリンダブロック5の上端部では、皮膜4
の上端部が外側に回り込むので、後加工のホーニングの
際に砥石の進行方向と皮膜を剥す方向(母材と平行)が
一致せず、皮膜の欠け、剥離等を防止することができ
る。面取りの角度は、溶射フレームに対して60゜以上
になるようにすることが必要で、できるだけ90゜に近
いことが望ましい。これは、溶射角度が90゜に近いほ
ど皮膜の密着強さが増大することと、60゜以下になる
と、急速に密着強さが低下することによる。特に、シリ
ンダ内面に対して小さい角度で溶射を行う場合(45゜
等)、面取りによる効果は大きく、皮膜の欠け、剥離が
激減する。なお、本発明において、溶射フレームに対す
る角度とは、溶射フレーム(溶射フレームの中心軸)と
面取りを行った面のなす角度(図中のθ)をいう。
め溶射フレーム2に対する角度が60°以上になるよう
に上端部をC面取り5Aを行ったシリンダブロックに溶
射を行うようにした実施の形態を示す。この実施の形態
においては、シリンダブロック5の上端部では、皮膜4
の上端部が外側に回り込むので、後加工のホーニングの
際に砥石の進行方向と皮膜を剥す方向(母材と平行)が
一致せず、皮膜の欠け、剥離等を防止することができ
る。面取りの角度は、溶射フレームに対して60゜以上
になるようにすることが必要で、できるだけ90゜に近
いことが望ましい。これは、溶射角度が90゜に近いほ
ど皮膜の密着強さが増大することと、60゜以下になる
と、急速に密着強さが低下することによる。特に、シリ
ンダ内面に対して小さい角度で溶射を行う場合(45゜
等)、面取りによる効果は大きく、皮膜の欠け、剥離が
激減する。なお、本発明において、溶射フレームに対す
る角度とは、溶射フレーム(溶射フレームの中心軸)と
面取りを行った面のなす角度(図中のθ)をいう。
【0012】他の実施の形態 上記説明した実施の形態では、シリンダブロックについ
て実施しているが、他の円筒状の製品であっても本発明
を適用することができる。図3の実施の形態では、C面
取り5Aを行っているが、代わりにR面取りを行うこと
もできる。また、これらの双方を実施することもできる
(図4)。ただし、R面取りは、C(コーナー)面取り
を行った面取りの終点にできる角部にR面取りを行なう
こと(図4)が好ましい。また、上記のような金属溶射
法において、筒状の製品の下端部を予め溶射フレーム2
(の中心軸)に対する角度θ2 が0°以上になるように
C面取り5A及び/又はR面取りを行うようにすること
ができる(図5(a))。すなわち、面取りを行った面
が溶射フレーム2に対し、影にならないようにする。角
度θ2 が0°未満であると図5(b)のように影となっ
てしまう。図5(c)のように角度θ2 が0°以上であ
ると影にならない。この場合においても図3又は図4と
同様に、皮膜の端部が外側に回り込むことでホーニング
の際の欠け、剥離等を防止することができる。面取りを
行った面が溶射フレームに対して影になる場合には、皮
膜の回り込みは起こらないため、溶射フレームに対して
0゜以上の角度を取ることが必要である。面取りの形状
は、前記した実施の形態と同様に、C面取り又R面取
り、又は両方の組み合わせのいずれでも良い。
て実施しているが、他の円筒状の製品であっても本発明
を適用することができる。図3の実施の形態では、C面
取り5Aを行っているが、代わりにR面取りを行うこと
もできる。また、これらの双方を実施することもできる
(図4)。ただし、R面取りは、C(コーナー)面取り
を行った面取りの終点にできる角部にR面取りを行なう
こと(図4)が好ましい。また、上記のような金属溶射
法において、筒状の製品の下端部を予め溶射フレーム2
(の中心軸)に対する角度θ2 が0°以上になるように
C面取り5A及び/又はR面取りを行うようにすること
ができる(図5(a))。すなわち、面取りを行った面
が溶射フレーム2に対し、影にならないようにする。角
度θ2 が0°未満であると図5(b)のように影となっ
てしまう。図5(c)のように角度θ2 が0°以上であ
ると影にならない。この場合においても図3又は図4と
同様に、皮膜の端部が外側に回り込むことでホーニング
の際の欠け、剥離等を防止することができる。面取りを
行った面が溶射フレームに対して影になる場合には、皮
膜の回り込みは起こらないため、溶射フレームに対して
0゜以上の角度を取ることが必要である。面取りの形状
は、前記した実施の形態と同様に、C面取り又R面取
り、又は両方の組み合わせのいずれでも良い。
【0013】
【実施例】実施例1 シリンダブロック(φ72)に溶射を行う際に、溶射及
びブラスト処理時のマスキング部材の内径を下の表1の
ように組み合わせて皮膜を形成し、溶射後の皮膜の欠け
及び剥離の発生確率を調べた。膜厚は、300μmとし
た。
びブラスト処理時のマスキング部材の内径を下の表1の
ように組み合わせて皮膜を形成し、溶射後の皮膜の欠け
及び剥離の発生確率を調べた。膜厚は、300μmとし
た。
【0014】
【表1】
【0015】以上の結果によって溶射用のマスキング部
材の内径をシリンダブロック内径より小さくすること
で、皮膜の欠け及び剥離の発生を防ぐことができること
がわかる。また、ブラスト処理時のマスキング部材の内
径をシリンダブロック内径より大きくすることを同時に
行うとさらに密着強さが安定することがわかる。
材の内径をシリンダブロック内径より小さくすること
で、皮膜の欠け及び剥離の発生を防ぐことができること
がわかる。また、ブラスト処理時のマスキング部材の内
径をシリンダブロック内径より大きくすることを同時に
行うとさらに密着強さが安定することがわかる。
【0016】実施例2 シリンダブロック上端及び下端部の面取りを行ったもの
と行わなかったものについて、その内面に溶射皮膜を形
成した。このシリンダブロックをホーニングを行った後
に下端部における皮膜の欠け及び剥離の発生確率を調べ
た。その結果、面取りを行ったものは皮膜の不具合を生
じたものはなかったが、面取りを行わなかったものは、
上端では5%、下端では19%のシリンダブロックで欠
けが見られた。これにより、上下端部の面取りによって
ホーニング後の皮膜の欠けが防止できることがわかっ
た。
と行わなかったものについて、その内面に溶射皮膜を形
成した。このシリンダブロックをホーニングを行った後
に下端部における皮膜の欠け及び剥離の発生確率を調べ
た。その結果、面取りを行ったものは皮膜の不具合を生
じたものはなかったが、面取りを行わなかったものは、
上端では5%、下端では19%のシリンダブロックで欠
けが見られた。これにより、上下端部の面取りによって
ホーニング後の皮膜の欠けが防止できることがわかっ
た。
【0017】
【発明の効果】上記したところから明かなように、本発
明によれば、筒状(円筒状)製品の上端又は下端の溶射
層の密着強さを確保することができるようにしたシリン
ダやパイプ等の筒状製品の内面への金属溶射法が提供さ
れる。
明によれば、筒状(円筒状)製品の上端又は下端の溶射
層の密着強さを確保することができるようにしたシリン
ダやパイプ等の筒状製品の内面への金属溶射法が提供さ
れる。
【図1】本発明にかかる金属溶射法の一実施の形態を説
明する概念的断面図である。
明する概念的断面図である。
【図2】本発明にかかる金属溶射法の他の実施の形態で
あって、ブラスト加工のために大径のマスキング部材を
用いたものを説明する概念的断面図である。
あって、ブラスト加工のために大径のマスキング部材を
用いたものを説明する概念的断面図である。
【図3】本発明にかかる金属溶射法のさらに他の実施の
形態であって、C面取りをシリンダブロック上端に施し
たものを説明する概念的断面図である。
形態であって、C面取りをシリンダブロック上端に施し
たものを説明する概念的断面図である。
【図4】本発明にかかる金属溶射法のさらに他の実施の
形態を説明するシリンダブロックの概念的断面図であ
る。
形態を説明するシリンダブロックの概念的断面図であ
る。
【図5】本発明にかかる金属溶射法のさらに他の実施の
形態であって、シリンダブロクの下端にC面取りを施し
たものを説明する概念的断面図である。
形態であって、シリンダブロクの下端にC面取りを施し
たものを説明する概念的断面図である。
【図6】従来の金属溶射法を説明する概念的断面図であ
る。
る。
【図7】従来の金属溶射法を実施した後、マスキング部
材を分離した状態を説明する概念的断面図である。
材を分離した状態を説明する概念的断面図である。
【図8】従来の金属溶射法を実施した後、マスキング部
材を分離した状態の他の態様を説明する概念的断面図で
ある。
材を分離した状態の他の態様を説明する概念的断面図で
ある。
1、31 溶射ガン 2、32 溶射フレーム 3、31 マスキング部材 4、34 溶射層 5、35 シリンダブロック 5A C面取り 5B R面取り 6 ブラストガン 7 大径マスキング部材 8 ブラスト粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 春彦 静岡県浜松市高塚町300番地 スズキ株式 会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 筒状製品の内面への金属溶射法であっ
て、製品内面に溶射層を形成する際に、円筒上端部に円
筒内径より小さい内径を持つ小径マスキング部材を設
け、筒状製品の内面へ金属を溶射するようにしたことを
特徴とする金属溶射法。 - 【請求項2】 請求項1の金属溶射法において、溶射前
のブラスト処理の際、円筒上端部に円筒内径以上の内径
を持つ大径マスキング部材を設け、ブラスト処理後、上
記小径マスキング部材に変更して同様に溶射を行うこと
を特徴とする金属溶射法。 - 【請求項3】 請求項1又は2の金属溶射法において、
予め溶射フレームに対する角度が60°以上になるよう
に上端部をC面取り及び/又はR面取りを行った筒状製
品に溶射を行うようにしたことを特徴とする金属溶射
法。 - 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかの金属
溶射法において、下端部を予め溶射フレームに対する角
度が0°以上になるようにC面取り及び/又はR面取り
を行った筒状製品に溶射を行うようにしたことを特徴と
する金属溶射法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9274041A JPH11106891A (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 金属溶射法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9274041A JPH11106891A (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 金属溶射法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11106891A true JPH11106891A (ja) | 1999-04-20 |
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