JP2659064B2 - ダイヤモンド被覆切削工具 - Google Patents
ダイヤモンド被覆切削工具Info
- Publication number
- JP2659064B2 JP2659064B2 JP62208911A JP20891187A JP2659064B2 JP 2659064 B2 JP2659064 B2 JP 2659064B2 JP 62208911 A JP62208911 A JP 62208911A JP 20891187 A JP20891187 A JP 20891187A JP 2659064 B2 JP2659064 B2 JP 2659064B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diamond
- cutting
- thin film
- cutting edge
- cutting tool
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
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- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、極めて耐摩耗性に富み、しかもその特性
が安定に維持されるダイヤモンド被覆切削工具に関す
る。
が安定に維持されるダイヤモンド被覆切削工具に関す
る。
〔従来の技術〕 気相から炭化水素を分解して母材上にダイヤモンドを
合成、被覆するいわゆるダイヤモンド気相合成技術は、
従来の超高圧、高温を用いるダイヤモンド超高圧合成技
術に比して、コストが極めて安価であり、また、母材の
形状に対応した被覆が可能で形状設計の自由度が大きい
ことから、特に、切削工具の分野において注目を集めて
いる技術である。
合成、被覆するいわゆるダイヤモンド気相合成技術は、
従来の超高圧、高温を用いるダイヤモンド超高圧合成技
術に比して、コストが極めて安価であり、また、母材の
形状に対応した被覆が可能で形状設計の自由度が大きい
ことから、特に、切削工具の分野において注目を集めて
いる技術である。
ダイヤモンドは、現存する物質の中では最も硬度が高
く、かつ、鉄系金属以外の物質とは化学的に極めて反応
しづらいことから、軟質金属、特にAl合金の切削には最
適の工具材料と云われている。そこで、発明者等は一般
的に最も多用されている超硬合金を母材とし、その表面
に気相合成技術による５μｍ程度の厚みのダイヤモンド
を被覆した工具を使って実際にAl−Si合金を切削したと
ころ、確かに、ダイヤモンドが超硬合金母材に被覆され
ている間は、ほとんど摩耗が進行しなかった。ところ
が、この実験を繰り返えしているうちに、母材から部分
的にダイヤモンド膜が剥離する事態が起こり、それ以降
は、ダイヤモンドの被覆効果が全く生かされないことが
判った。
く、かつ、鉄系金属以外の物質とは化学的に極めて反応
しづらいことから、軟質金属、特にAl合金の切削には最
適の工具材料と云われている。そこで、発明者等は一般
的に最も多用されている超硬合金を母材とし、その表面
に気相合成技術による５μｍ程度の厚みのダイヤモンド
を被覆した工具を使って実際にAl−Si合金を切削したと
ころ、確かに、ダイヤモンドが超硬合金母材に被覆され
ている間は、ほとんど摩耗が進行しなかった。ところ
が、この実験を繰り返えしているうちに、母材から部分
的にダイヤモンド膜が剥離する事態が起こり、それ以降
は、ダイヤモンドの被覆効果が全く生かされないことが
判った。
発明者等は、ダイヤモンド薄膜の予想外の剥離につい
て探究した結果、その原因の１つはポジティブレーキの
切刃をもつ母材上にそのまゝダイヤモンド薄膜を析出さ
せていることにあることを確認し、本願と同時にその解
決策を提案した。
て探究した結果、その原因の１つはポジティブレーキの
切刃をもつ母材上にそのまゝダイヤモンド薄膜を析出さ
せていることにあることを確認し、本願と同時にその解
決策を提案した。
しかしながら、ダイヤモンド薄膜の剥離現象は、先の
原因に勝るとも劣らない第２の大きな原因によっても引
き起こされている。
原因に勝るとも劣らない第２の大きな原因によっても引
き起こされている。
この発明の目的は、この第２の原因によるダイヤモン
ド薄膜の剥離を防止して耐摩耗効果を安定に維持し得る
ようにすることである。
ド薄膜の剥離を防止して耐摩耗効果を安定に維持し得る
ようにすることである。
発明者等は、切削に供したダイヤモンド被覆工具の損
傷状態を詳細に検討した結果、ダイヤモンド薄膜の剥離
は、実際に切り粉や被削材が接触するいわゆる工具の切
刃部ではなく、切り粉或いは被削材との接触がない切刃
周辺部で先ず剥離が起こり、次に、そこを起点にして剥
離が進展し、ついには切刃部に至ると云う過程を辿るケ
ースが非常に多いと云う全く予期せぬ知見を得た。そこ
で、切刃周辺部からの剥離が先行する理由は定かではな
いが、剥離防止のためには、上述の剥離形態において剥
離の発端となる切刃周辺部のダイヤモンド薄膜を最初か
ら無くしておくのが有効ではないかと考え、その考えが
正しいことを実験で確かめて以下の工具、即ち、第１及
び第２図に示すように、気相合成によって母材１上に析
出させるダイヤモンド薄膜２の被覆を、被削材或いは切
り粉との接触を生じる切刃３の近辺部にのみ存在せし
め、その存在域を、すくい面側、逃け面側とも奥行きが
0.66mm以内、切刃コーナからの幅が4.5mm以内に制限し
た構成のダイヤモンド被覆切削工具を完成するに至った
のである。
傷状態を詳細に検討した結果、ダイヤモンド薄膜の剥離
は、実際に切り粉や被削材が接触するいわゆる工具の切
刃部ではなく、切り粉或いは被削材との接触がない切刃
周辺部で先ず剥離が起こり、次に、そこを起点にして剥
離が進展し、ついには切刃部に至ると云う過程を辿るケ
ースが非常に多いと云う全く予期せぬ知見を得た。そこ
で、切刃周辺部からの剥離が先行する理由は定かではな
いが、剥離防止のためには、上述の剥離形態において剥
離の発端となる切刃周辺部のダイヤモンド薄膜を最初か
ら無くしておくのが有効ではないかと考え、その考えが
正しいことを実験で確かめて以下の工具、即ち、第１及
び第２図に示すように、気相合成によって母材１上に析
出させるダイヤモンド薄膜２の被覆を、被削材或いは切
り粉との接触を生じる切刃３の近辺部にのみ存在せし
め、その存在域を、すくい面側、逃け面側とも奥行きが
0.66mm以内、切刃コーナからの幅が4.5mm以内に制限し
た構成のダイヤモンド被覆切削工具を完成するに至った
のである。
なお、ダイヤモンド薄膜２を部分的に存在させる方法
としては、気相合成時にマスキングを行なって必要個所
にのみ薄膜を析出するのが高率的であるが、被覆後に不
要部を研磨除去すると云った他の手法を採用しても差し
支えない。
としては、気相合成時にマスキングを行なって必要個所
にのみ薄膜を析出するのが高率的であるが、被覆後に不
要部を研磨除去すると云った他の手法を採用しても差し
支えない。
また、母材の切刃に予めチャンファーホーニングや丸
ホーニング処置を施し、その後母材上にダイヤモンドを
被覆することは、ダイヤモンド切刃の欠けに起因した薄
膜の剥離防止に効果があり、従って、かゝる処理を上記
の構成と組合せておくことも、耐摩耗性の維持効果を高
める上で有効なことゝ云える。
ホーニング処置を施し、その後母材上にダイヤモンドを
被覆することは、ダイヤモンド切刃の欠けに起因した薄
膜の剥離防止に効果があり、従って、かゝる処理を上記
の構成と組合せておくことも、耐摩耗性の維持効果を高
める上で有効なことゝ云える。
〔作用〕 上述した構成とすると、ダイヤモンド薄膜の剥離を誘
発する因子が無くなるので、優れた耐摩耗性が安定に維
持され、工具寿命が大巾に延びる。
発する因子が無くなるので、優れた耐摩耗性が安定に維
持され、工具寿命が大巾に延びる。
ここで、ダイヤモンド薄膜の存在域について、数値限
定を加えたのは、その領域が狭過ぎると薄膜の設置効果
が充分に発揮されず、逆に広過ぎると余分な領域からの
薄膜剥離が起こる。ところが、この領域の適正サイズは
切削条件（送り及び切込み）によって変わり、一定して
いない。そこで、使用率の高い切削条件（送り0.3mm/re
v、切込み3mm）を選び、この条件での被覆範囲の適正サ
イズとして奥行き0.66mm、幅4.5mmを選んだ。
定を加えたのは、その領域が狭過ぎると薄膜の設置効果
が充分に発揮されず、逆に広過ぎると余分な領域からの
薄膜剥離が起こる。ところが、この領域の適正サイズは
切削条件（送り及び切込み）によって変わり、一定して
いない。そこで、使用率の高い切削条件（送り0.3mm/re
v、切込み3mm）を選び、この条件での被覆範囲の適正サ
イズとして奥行き0.66mm、幅4.5mmを選んだ。
添付図面の母材１にISO Ｋ−10超硬合金（型番VPG43
3）を用い、その母材の切刃３近辺にのみ気相合成技術
に基づいてダイヤモンド薄膜２を５μｍの厚さに被覆し
た。この薄膜の被覆範囲は、すくい面側の奥行きａが送
り速度の2.2陪程度、逃げ面側の奥行きｂが経験的にａ
と同一寸法、幅ｃは切込み深さの1.5陪程度が好ましい
ことが判明しており、従ってその好ましい寸法に合わせ
た。
3）を用い、その母材の切刃３近辺にのみ気相合成技術
に基づいてダイヤモンド薄膜２を５μｍの厚さに被覆し
た。この薄膜の被覆範囲は、すくい面側の奥行きａが送
り速度の2.2陪程度、逃げ面側の奥行きｂが経験的にａ
と同一寸法、幅ｃは切込み深さの1.5陪程度が好ましい
ことが判明しており、従ってその好ましい寸法に合わせ
た。
以上のようにして得られたこの発明のダイヤモンド被
覆切削工具を用いて、AC4C（T6処理品）のφ350mmの自
動車用アルミホイールの外周部倣い切削を実施した。こ
のときの切削条件は、切削速度1500m/min、送り0.3mm/r
ev、切込み3mmであった。その結果、この発明の工具
は、600ヶ／切削後もダイヤモンド薄膜が一切剥離して
おらず、また、フランク摩耗も0.02mm以下に抑えられて
いた。これに対し、比較のために全面に同一厚みのダイ
ヤモンドを被覆した工具は、240ヶ切削時点で第１図に
イで示す主切刃の後方においてダイヤモンド薄膜の剥離
が発生し、285ヶ切削時点でその剥離がロの点まで進展
し、さらに、292ヶ切削時点では切刃先端のハの点まで
剥離が進んで被削材の仕上げ面性状が悪化し始めた。ま
た、参考迄に未被覆の超硬合金母材そのもので切削した
ところ、28ヶ切削時点から被削材の仕上面粗度の悪化が
認められた。
覆切削工具を用いて、AC4C（T6処理品）のφ350mmの自
動車用アルミホイールの外周部倣い切削を実施した。こ
のときの切削条件は、切削速度1500m/min、送り0.3mm/r
ev、切込み3mmであった。その結果、この発明の工具
は、600ヶ／切削後もダイヤモンド薄膜が一切剥離して
おらず、また、フランク摩耗も0.02mm以下に抑えられて
いた。これに対し、比較のために全面に同一厚みのダイ
ヤモンドを被覆した工具は、240ヶ切削時点で第１図に
イで示す主切刃の後方においてダイヤモンド薄膜の剥離
が発生し、285ヶ切削時点でその剥離がロの点まで進展
し、さらに、292ヶ切削時点では切刃先端のハの点まで
剥離が進んで被削材の仕上げ面性状が悪化し始めた。ま
た、参考迄に未被覆の超硬合金母材そのもので切削した
ところ、28ヶ切削時点から被削材の仕上面粗度の悪化が
認められた。
以上述べたように、この発明の切削工具は、ダイヤモ
ンド薄膜の被覆層を被削材或いは切り粉との接触が起こ
る切刃近辺部の限定された領域にのみ存在せしめて剥離
を誘発する原因を取り除いたものであるから、転削、旋
削、穿孔け等の分野で、特にAl、或いはAl合金の加工に
用いると優れた耐摩耗性が長時間安定に維持されると云
う効果が得られる。
ンド薄膜の被覆層を被削材或いは切り粉との接触が起こ
る切刃近辺部の限定された領域にのみ存在せしめて剥離
を誘発する原因を取り除いたものであるから、転削、旋
削、穿孔け等の分野で、特にAl、或いはAl合金の加工に
用いると優れた耐摩耗性が長時間安定に維持されると云
う効果が得られる。
第１図は、この発明の切削工具の一具体例を示す平面
図、第２図はその側面図である。 １……母材、２……ダイヤモンド薄膜、３……切刃。
図、第２図はその側面図である。 １……母材、２……ダイヤモンド薄膜、３……切刃。
Claims (1)
- 【請求項１】母材の表面上に、気相合成法によるダイヤ
モンド薄膜の被覆層を設けた切削工具において、上記ダ
イヤモンド薄膜を被削材或いは切り粉との接触を生じる
切刃近辺部にのみ存在せしめ、かつ、その薄膜の存在域
を、すくい面側の奥行きａ、逃げ面側の奥行きｂが共に
0.66mm以内、すくい面側、逃げ面側とも切刃コーナから
の幅ｃが4.5mm以内に制限したことを特徴とするダイヤ
モンド被覆切削工具。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62208911A JP2659064B2 (ja) | 1987-08-20 | 1987-08-20 | ダイヤモンド被覆切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62208911A JP2659064B2 (ja) | 1987-08-20 | 1987-08-20 | ダイヤモンド被覆切削工具 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6451203A JPS6451203A (en) | 1989-02-27 |
| JP2659064B2 true JP2659064B2 (ja) | 1997-09-30 |
Family
ID=16564160
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62208911A Expired - Lifetime JP2659064B2 (ja) | 1987-08-20 | 1987-08-20 | ダイヤモンド被覆切削工具 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2659064B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH04201102A (ja) * | 1990-11-30 | 1992-07-22 | Nachi Fujikoshi Corp | ダイヤモンド被覆スローアウェイチップ |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60207703A (ja) * | 1984-03-30 | 1985-10-19 | Mitsubishi Metal Corp | 人工ダイヤモンド被覆工具部材 |
-
1987
- 1987-08-20 JP JP62208911A patent/JP2659064B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6451203A (en) | 1989-02-27 |
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