JPH1098220A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JPH1098220A
JPH1098220A JP8249437A JP24943796A JPH1098220A JP H1098220 A JPH1098220 A JP H1098220A JP 8249437 A JP8249437 A JP 8249437A JP 24943796 A JP24943796 A JP 24943796A JP H1098220 A JPH1098220 A JP H1098220A
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ferromagnetic
ferromagnetic layer
spin
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JP8249437A
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Atsushi Maeda
篤志 前田
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より高いMR変化を示すことができる新
規な磁気抵抗効果素子の素子構造を得る。 【解決手段】 一対の強磁性層4,6の間に非磁性導電
層5が挟まれた積層構造を有する積層膜3と、積層膜3
に検出電流を流す一対の電極7,8と、一対の強磁性層
4,6の少なくとも一方の強磁性層と電極7,8との間
に設けられ、強磁性層4,6にスピン偏極した電子を与
えるための強磁性体からなるフィルタ層1,2とを備
え、スピン偏極した電子が与えられる強磁性層4,6中
の電子の移動の距離がスピン拡散長よりも短くなるよう
に設定されていることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素子
に関するものであり、特にいわゆる巨大磁気抵抗効果を
示す素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果素子(MR素子)は、磁界
の変化により電気抵抗が変化する磁気抵抗効果を利用
し、磁界の変化を検出する素子である。このような磁気
抵抗効果素子は、検出感度が高いことから、ハードディ
スクなどの磁気記録媒体の再生ヘッドとしての利用が期
待されている。ハードディスクにおいては、記録の高密
度化が進められており、磁気抵抗効果素子をより高密度
に記録された記録媒体の再生ヘッドとして用いるために
は、より高い感度が要求されている。磁気抵抗効果素子
をより高感度にするためには、磁気抵抗効果素子のMR
比を高くする必要がある。このようなことから、高いM
R比を示す磁気抵抗効果素子として、強磁性層と非磁性
導電層とを積層した構造の磁気抵抗効果膜を用いた巨大
磁気抵抗効果素子(GMR素子)が検討され、これまで
種々のGMRの素子構造が提案されている。例えば、互
いに異なる保磁力を有する一対の強磁性層の間に非磁性
導電層が挟まれた構造を有する保磁力差型GMR素子、
非磁性導電層を挟む一対の強磁性層の一方に反強磁性層
が積層されてスピン止めされたスピンバルブ型GMR素
子、及び強磁性層と非磁性導電層とを複数の周期で繰り
返し積層した人工格子型GMR素子などが知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、さらに
高い記録密度を実現するためには、より高いMR比を有
することが必要であり、さらにはトラック幅を狭くする
ことができるGMR素子の開発が要望されている。
【0004】本発明の目的は、このような従来からの要
望を満たそうとするものであり、従来より高いMR比を
示すことができる新規な磁気抵抗効果素子の素子構造を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗効果素
子は、一対の強磁性層の間に非磁性導電層が挟まれた積
層構造を有する積層膜と、積層膜に検出電流を流すため
の一対の電極と、一対の電極のうちの正極と一対の強磁
性層のうちの一方の強磁性層との間に設けられ、強磁性
層にスピン偏極した電子を与えるための強磁性体からな
るフィルタ層とを備え、強磁性層中の電子の移動の距離
がスピン拡散長より短くなるように設定されていること
を特徴としている。
【0006】本発明において、スピン拡散長とは、スピ
ン偏極した電子が拡散し移動し得る平均距離を意味して
いる。本発明においては、スピン偏極した電子が与えら
れる強磁性層中の電子の移動の距離がスピン拡散長より
短くなるように設定されているので、強磁性層中を移動
する電子は、スピン偏極した状態で移動し得る。
【0007】また本発明において、正極とは、一対の電
極のうちの電子を与える電極をいう。本発明において
は、正極と、正極側の強磁性層との間に少なくともフィ
ルタ層が設けられておればよいが、より好ましい実施形
態においては、負極と、負極側の強磁性層との間にもフ
ィルタ層が設けられる。
【0008】以下、本発明の磁気抵抗効果素子が、従来
の磁気抵抗効果素子よりも高いMR比を示す原理につい
て説明する。図1は、本発明に従う一実施例の磁気抵抗
効果素子を示す断面図である。基板9の中央部の上に
は、第1の強磁性層4、非磁性導電層5、及び第2の強
磁性層6を積層した積層膜3が設けられている。第1の
強磁性層4は、例えばNiFeなどから形成され、第2
の強磁性層6は、例えばCoなどから形成され、互いに
保磁力の異なる強磁性層材料から形成されている。非磁
性導電層5は、例えばCuなどから形成されている。従
って、積層膜3は、保磁力差型のGMR積層膜を構成し
ている。
【0009】積層膜3の両側の基板上には、フィルタ層
1及び2がそれぞれ積層膜3と接するように形成されて
いる。フィルタ層1及び2は、例えばFeなどの強磁性
体から形成されている。フィルタ層1及び2の上には、
それぞれAuなどからなる電極7及び8が設けられてい
る。積層膜3中を流れる検出電流は、この電極7及び8
から供給される。また、積層膜3の端部間の電圧を読み
取る電極は、この電極7及び8を兼用させてもよいし、
別に設けてもよい。
【0010】図1に示す実施例の磁気抵抗効果素子にお
いては、積層膜3の第1の強磁性層4及び第2の強磁性
層6の両側の側方端部にフィルタ層1及び2が接するよ
うに設けられている。従来の磁気抵抗効果素子において
は、このフィルタ層1及び2の位置に、電極またはバイ
アス層などが設けられている。
【0011】図15及び図16は、従来の磁気抵抗効果
素子における各層の電子のスピンの偏極状態を示す図で
ある。図15(a)に示すように、従来の磁気抵抗効果
素子においては、GMR積層膜3の両側には、電極また
はバイアス層などの導電層17及び18が設けられてい
る。従って、GMR積層膜3に流れる電子は、導電層1
7または18を通りGMR積層膜3に与えられる。
【0012】図15(b)は、図15(a)に示す各層
の電子のスピンの偏極状態を示している。スピン偏極状
態14、15及び16は、それぞれ第1の強磁性層4、
非磁性導電層5、及び第2の強磁性層6のスピン偏極状
態に対応している。またスピン偏極状態19及び20
は、それぞれ導電層17及び18のスピン偏極状態に対
応している。
【0013】図15は、第1の強磁性層4の磁化方向
と、第2の強磁性層6の磁化方向とが平行であるときの
状態を示している。図15(b)に示すように、GMR
積層膜3中の非磁性導電層5及び導電層17及び18に
おける電子はスピン偏極していない状態にある。これに
対し、第1の強磁性層4及び第2の強磁性層6における
電子はスピン偏極した状態にある。また第1の強磁性層
4及び第2の強磁性層6のフェルミ電子は同一方向にス
ピン偏極している。
【0014】GMR積層膜3を通る電子の伝導パスは、
表1に示すように6通り考えられる。ここで、第1の強
磁性層4の伝導パスをF1とし、非磁性導電層5の伝導
パスをCとし、第2の強磁性層6の伝導パスをF2とし
ている。また、第1の強磁性層4の抵抗をR1、非磁性
導電層5の抵抗をRc、第2の強磁性層6の抵抗をR2
とすると、各伝導パスの抵抗は、表1のように表され
る。
【0015】
【表1】
【0016】表1に示す伝導パスのうち、3つの層を流
れるNo.3の伝導パスが最も抵抗が低く、実際の伝導
を支配している。
【0017】図16は、第2の強磁性層6の磁化方向が
反転し、第1の強磁性層4と第2の強磁性層6の磁化方
向が反平行状態となったときのスピン偏極の状態を示し
ている。図16(a)に示すように、第2の強磁性層6
の磁化方向が、第1の強磁性層4の磁化方向に対し反平
行状態となっている。このような状態においては、図1
6(b)のスピン偏極状態14及びスピン偏極状態16
に示されるように、第1の強磁性層4のフェルミ電子の
偏極状態と、第2の強磁性層6のフェルミ電子のスピン
偏極状態とが異なっている。このような状態において
は、表2に示すように、3つの層を通るNo.3の伝導
パスを電子が流れなくなる。
【0018】
【表2】
【0019】従って、GMR積層膜3の抵抗が増大す
る。以上のように、従来の磁気抵抗効果素子において
は、一対の強磁性層の一方の磁化方向が反平行となるこ
とにより、3つの層を流れる伝導パスが電子伝導に寄与
できなくなる。従って、従来の磁気抵抗効果素子は、こ
れによる抵抗変化を用いて磁界の変化を検出している。
【0020】図2及び図3は、図1に示す本発明の実施
例の磁気抵抗効果素子におけるスピン偏極状態を示して
いる。図2(b)に示すように、第1の強磁性層4と第
2の強磁性層6の磁化方向が平行であるときには、第1
の強磁性層4のスピン偏極状態14と、第2の強磁性層
6のスピン偏極状態16とがほぼ同様の偏極状態にあ
り、各層のフェルミ電子のスピンの偏極が同一方向であ
る。またGMR積層膜3の両側にそれぞれ設けられてい
る強磁性体からなるフィルタ層1及び2のそれぞれのス
ピン偏極状態11及び12もほぼ同様の偏極状態であ
り、各層のフェルミ電子のスピンは同一方向に偏極して
いる。このような状態においては、図15に示す従来の
磁気抵抗効果素子と同様に、表3に示すような6通りの
伝導パスが考えられ、これらの中でも3層を通過するN
o.3の伝導パスが最も抵抗が低く、実際の電子の伝導
を支配している。
【0021】
【表3】
【0022】図3は、第2の強磁性層6の磁化方向が、
第1の強磁性層4の磁化方向と反平行になったときの状
態を示している。図3(b)に示すように、第2の強磁
性層6のスピン偏極状態16は、第1の強磁性層4のス
ピン偏極状態14並びにフィルタ層1及び2のそれぞれ
のスピン偏極状態11及び12と異なる状態となってい
る。従って、第2の強磁性層6のフェルミ電子のスピン
偏極と、フィルタ層1及び2のフェルミ電子のスピン偏
極及び第1の強磁性層4のフェルミ電子のスピン偏極が
異なる方向となっている。このため、フィルタ層1また
は2から第2の強磁性層6に対し電子が流れるなくな
る。この結果、表4に示すように、第2の強磁性層6の
伝導パスF2に関連した3つの伝導パスNo.1−C、
No.2−B、及びNo.3が閉じ、抵抗が従来よりも
大幅に増大する。
【0023】
【表4】
【0024】以上のように、本発明に従えば、スピン偏
極した電子が一方の強磁性層に与えられるため、この強
磁性層のフェルミ電子のスピン偏極が、フィルタ層のス
ピン偏極と異なる方向になると、大幅に抵抗が増大し、
従来よりも大きなMR変化を得ることできる。このよう
に、本発明においては、強磁性層中のスピン偏極した電
子の移動を利用するものであるため、上述のように、フ
ィルタ層と接しスピン偏極した電子が与えられる強磁性
層中の電子の移動の距離は、スピン拡散長よりも短くな
るように設定される。具体的には、強磁性層の電子の移
動方向の幅を所定の範囲となるように設定する。本発明
におけるスピン拡散長は、磁気抵抗効果素子の使用温度
におけるスピン拡散長を意味する。スピン拡散長は強磁
性層の材質や薄膜形成条件等により異なるので、これら
の条件を考慮して強磁性層の幅を決定する。この強磁性
層の電子移動の距離は、感磁部の幅に相当する。また本
発明の磁気抵抗効果素子を磁気抵抗効果ヘッド(MRヘ
ッド)に用いた場合には、MRヘッドのトラック幅に相
当する。本発明では、このように感磁部の幅をスピン拡
散長よりも短くなるように設定するので、MRヘッドと
して用いた場合、トラック幅を短くすることができ、高
密度記録の再生に適したMRヘッドとすることができ
る。このような感磁部の幅、すなわち強磁性層中の電子
の移動の距離は、一般には1μm〜0.05μm程度の
範囲内で設定される。
【0025】本発明において、強磁性層を構成する磁性
体としては、GMR積層膜の磁性体として用いることが
できるものであればよく、例えば、NiFe、Fe、C
o及びこれらの合金などが用いられる。また非磁性導電
層としては、Cu、Agなどが用いられる。
【0026】また本発明において、フィルタ層として用
いられる強磁性体は、室温以上にキューリー点を有する
強磁性体であれば、特に限定されるものではない。具体
的には、NiFe、Fe、Co及びこれらの合金などが
挙げられる。好ましくは、フィルタ層が接する、すなわ
ちスピン偏極した電子が与えられる強磁性層のフェルミ
準位と、フィルタ層のフェルミ準位との差が、±1eV
の範囲内となるようにフィルタ層の強磁性体材料が選ば
れている。さらに好ましくは、強磁性層のフェルミ準位
との差が、±0.5eVの範囲内となるように選ばれ
る。また、フィルタ層は、一対の強磁性層のうちの他方
の強磁性層と同一の強磁性体材料から構成されてもよ
い。本発明においてフィルタ層は、スピン偏極した一方
のスピン状態の電子を抽出し、強磁性層に与えるフィル
タの役割を果たしている。
【0027】本発明における積層膜は、一対の強磁性層
の間に非磁性導電層が挟まれた積層構造を有するもので
あれば特に限定されるものではない。例えば、一対の強
磁性層が互いに異なる保磁力を有する保磁力差型磁気抵
抗効果膜であってもよいし、一対の強磁性層の一方に反
強磁性層が積層されているスピンバルブ型磁気抵抗効果
膜であってもよい。スピンバルブ型磁気抵抗効果膜の場
合、強磁性層の一方に積層される反強磁性層としては、
FeMn、NiMn、IrMn、NiO、CoO、Ni
CoOなどが挙げられる。
【0028】また、本発明における積層膜は、強磁性層
と非磁性導電層とを複数の周期で繰り返し積層する人工
格子型磁気抵抗効果膜であってもよい。このような人工
格子型磁気抵抗効果膜としては、例えば強磁性層として
のCo層と非磁性導電層としてのCu層を交互に繰り返
し積層した積層膜が知られている。
【0029】本発明の磁気抵抗効果素子においては、図
1に示す実施例のようにフィルタ層が積層膜の各層の側
方端部と接するように設けられていてもよいし、一対の
強磁性層の一方の強磁性層のみと接するように設けられ
ていてもよい。さらには、キャリア電子を注入する側に
のみフィルタ層を設け、反対側には任意の導体層を設け
てもよい。
【0030】さらには、フィルタ層が、一対の強磁性層
の一方の強磁性層と接し、かつ他方の強磁性層と一体的
になるように形成されていてもよい。すなわち、フィル
タ層と一対の強磁性層の他方の強磁性層が同一材料で連
続して形成されていてもよい。
【0031】
【発明の実施の形態】図1は、上述のように、本発明に
従う一実施例の磁気抵抗効果素子を示す断面図である。
図4〜図6は、図1に示す磁気抵抗効果素子を製造する
工程を示す断面図である。図4(a)を参照して、Si
などからなる非磁性の基板9の上に、第2の強磁性層6
としてのCo層(膜厚5nm)、非磁性導電層5として
のCu層(膜厚2nm)、及び第1の強磁性層4として
のNi80Fe20層(膜厚5nm)を順次イオンビームス
パッタリング(IBS)法により形成する。
【0032】次に、図4(b)を参照して、第1の強磁
性層4の上にレジスト膜10を形成し、図4(c)に示
すようにフォトレジスト法を用いてパターニングする。
次に、パターニングにしたレジスト膜10をマスクとし
てイオンビームエッチング(IBE)法により、第1の
強磁性層4、非磁性導電層5及び第2の強磁性層6をエ
ッチング除去し、図4(d)に示すように素子形状に微
細加工する。
【0033】次に、図5(e)を参照して、レジスト膜
21を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用い
て、図5(f)に示すように、積層膜の上にのみレジス
ト膜21を残す。次に、図5(g)に示すように、フィ
ルタ層として用いるFe層22(膜厚12nm)をIB
S法により全面に形成する。次に、図5(h)に示すよ
うに、積層膜上のレジスト膜21をリフトオフすること
により、この上に形成されたFe層22を除去する。積
層膜の両側に形成されたFe層はフィルタ層1及び2と
なる。
【0034】次に、図6(i)に示すように、全面に再
びレジスト膜23を形成した後、図6(j)に示すよう
に、フォトリソグラフィ法により中央部にのみレジスト
膜23を残すようにパターニングする。次に、図6
(k)に示すように、全面に電極となるAu層24(1
00nm)をIBS法により形成する。次に、図6
(l)に示すように、レジスト膜23をリフトオフによ
り除去することにより、両側にAu層を残し、これらを
電極7及び8とする。
【0035】本実施例においては、積層膜部分の幅、す
なわちフィルタ層間の距離を500nmとなるように各
層を形成している。このような保磁力差型のGMR膜に
おいて、第1の強磁性層4及び第2の強磁性層6の一般
的な膜厚は、例えば10〜100Åであり、非磁性導電
層5の一般的な膜厚は、例えば10〜50Åである。以
上のようにして図1に示す実施例の磁気抵抗効果素子を
得ることができる。
【0036】図7は、本発明に従う他の実施例の磁気抵
抗効果素子を示す断面図である。図7を参照して、本実
施例の積層膜3は、Cuなどの非磁性導電層25とCo
などの強磁性層26を複数の周期で繰り返して積層する
ことにより構成される人工格子型のGMR膜である。そ
の他の構成は、図1に示す実施例と同様にして構成され
ている。非磁性導電層25は、例えば10〜50Åの膜
厚で形成され、強磁性層26は、例えば10〜100Å
の膜厚で形成される。また非磁性導電層25と強磁性層
26の繰り返し周期は、例えば5〜30Åの周期で繰り
返され積層される。
【0037】図8は、本発明に従うさらに他の実施例の
磁気抵抗効果素子を示す断面図である。本実施例では、
積層膜3として、スピンバルブ型GMR膜が形成されて
いる。第1の強磁性層27としては、Ni80Fe20
(膜厚5nm)とCo層(膜厚2nm)を積層した膜が
形成されている。非磁性導電層28としては、Cu層
(膜厚3nm)が形成されている。第2の強磁性層29
としては、Co層(膜厚2nm)とNi80Fe20層(膜
厚5nm)を積層した膜が形成されている。第1の強磁
性層27及び第2の強磁性層29において、Co層はそ
れぞれCu層に近い側に設けられている。第1の強磁性
層27の上には、反強磁性層30としてのFe50Mn50
層(膜厚15nm)が形成されている。またフィルタ層
1及びフィルタ層2として、Fe層(膜厚15nm)が
形成されている。従って、フィルタ層1及び2は、第1
の強磁性層27、非磁性導電層28及び第2の強磁性層
29の側方の端面と接するように形成されている。この
ようなスピンバルブ型のGMR膜において、反強磁性層
30の一般的な膜厚は、例えば50〜500Åであり、
第1の強磁性層27及び第2の強磁性層29の一般的な
膜厚は、例えば10〜100Åであり、非磁性導電層2
8の一般的な膜厚は、例えば10〜50Åである。本実
施例においては、積層膜部分の幅、すなわちフィルタ層
間の距離を500nmとなるように各層を形成してい
る。
【0038】図9は、本発明に従うさらに他の実施例を
示す断面図である。本実施例においては、バイアス層が
設けられている。基板9の上には、図1に示す実施例と
同様に第1の強磁性層4、非磁性導電層5及び第2の強
磁性層6からなる積層膜3が形成されている。この積層
膜3の両側の端面に接するように、例えばCoCrPt
などからなるバイアス層31及び32が形成されてい
る。このように積層膜3に直接接するようにバイアス層
が設けられている場合には、図9に示すように、例えば
第1の強磁性層4の上に所定の間隔を隔てて一対のフィ
ルタ層1及び2を形成し、これらフィルタ層1及び2の
上に、それぞれAuなどからなる電極7及び8を形成す
る。このような構成にすることにより、フィルタ層1ま
たは2を介して第1の強磁性層4に電子を与えることが
でき、スピン偏極した電子を第1の強磁性層4に与える
ことができる。本発明においては、本実施例のように第
1の強磁性層4及び第2の強磁性層6の双方に接するよ
うにフィルタ層を設ける必要はなく、フィルタ層はいず
れか一方の強磁性層に接して設けられればよい。さらに
は、電子を与える側にのみフィルタ層が設けられておれ
ばよく、必ずしも強磁性層の両側の端部のそれぞれにフ
ィルタ層が設けられる必要はない。なお、本実施例で
は、強磁性層4中の電子の移動の距離、すなわちフィル
タ層1とフィルタ層2の間の距離を500nmとなるよ
うに設定している。
【0039】図10は、本発明に従うさらに他の実施例
を示す断面図である。本実施例においてもバイアス層3
1及び32が設けられている。本実施例においては、図
1に示す実施例と同様に、基板9の中央部に第1の強磁
性層4、非磁性導電層5及び第2の強磁性層6からなる
積層膜3が設けられており、この積層膜3の両側に接す
るようにFeなどからなるフィルタ層1及び2がそれぞ
れ設けられている。本実施例では、さらにフィルタ層1
及び2の外側に、CoCrPtなどからなるバイアス層
31及び32がそれぞれ設けられている。電極7及び8
は、それぞれバイアス層31及びフィルタ層1とバイア
ス層32及びフィルタ層2の上に設けられている。本実
施例においては、積層膜部分の幅、すなわちフィルタ層
間の距離を500nmとなるように各層を形成してい
る。
【0040】図11は、本発明に従うさらに他の実施例
を示す断面図である。本実施例においては、フィルタ層
1及びフィルタ層2がそれぞれ磁性体層1aと1b及び
磁性体層2aと2bを交互に積層することにより形成さ
れている。他の構成は、図10に示す実施例と同様にし
て構成されている。このように、本発明においては、異
なる磁性体層を積層することによりフィルタ層を構成さ
せてもよい。本実施例においては、積層膜部分の幅、す
なわちフィルタ層間の距離を500nmとなるように各
層を形成している。
【0041】図12は、本発明に従うさらに他の実施例
を示す断面図である。本実施例においては、第1の強磁
性層とフィルタ層が連続して一体的に形成されている。
すなわち、基板9の中央部には、第2の強磁性層6及び
非磁性導電層5が形成されており、非磁性導電層5の上
には、第1の強磁性層部分33aを有する強磁性体層3
3が形成されている。強磁性体層33は非磁性導電層5
及び第2の強磁性層6の外側部分にも延び、フィルタ層
部分33bを形成している。従って、第2の強磁性層6
の両側の端部側面においては、この強磁性体層33のフ
ィルタ層部分33bが接している。従って、強磁性体層
33の第1の強磁性層部分33aが第1の強磁性層とし
て機能し、フィルタ層部分33bが本発明のフィルタ層
として機能する。このように、本発明においては、一対
の強磁性層のうちの一方がフィルタ層と連続して一体的
に形成されていてもよい。
【0042】本実施例においては、積層膜部分の幅、す
なわちフィルタ層間の距離を500nmとなるように各
層を形成している。本実施例では、強磁性体層33のフ
ィルタ層部分33bからスピン偏極された電子が第2の
強磁性層6に与えられ、上述のような本発明の作用機構
により大きなMR変化を得ることができる。
【0043】図13及び図14は、図12に示す実施例
を製造する工程を示す断面図である。図13(a)を参
照して、基板9の上の、積層膜を形成する領域の両側の
部分にレジスト膜34をパターニングにして形成する。
次に、図13(b)に示すように、第2の強磁性層6及
び非磁性導電層5を基板9の上方の全面に形成する。次
に、図13(c)に示すように、レジスト膜34をリフ
トオフすることにより、基板9上の中央部にのみ第2の
強磁性層6及び非磁性導電層5を残す。次に、図13
(d)に示すように、基板9の上方の全面に強磁性体層
33を形成し、非磁性導電層5の上の部分を第1の強磁
性層部分33aとし、非磁性導電層5及び第2の強磁性
層6の両側部分をフィルタ層部分33bとする。第2の
強磁性層6は例えばCo層から形成し、非磁性導電層5
は例えばCu層から形成し、強磁性体層33は例えばN
80Fe20層から形成する。
【0044】次に、図14(e)に示すように、強磁性
体層33の上の中央部分にレジスト膜34をパターニン
グにして形成する。次に、図14(f)に示すように、
全面にAu層35を形成する。次に、レジスト膜34を
リフトオフすることにより、図14(g)に示すよう
に、両側にのみAu層を残し、それぞれ電極7及び8と
する。
【0045】以上のようにして、図12に示す本発明に
従う実施例の磁気抵抗効果素子を製造することができ
る。
【0046】
【発明の効果】本発明に従えば、従来よりも高いMR変
化を得ることができ、より高感度な磁気抵抗効果素子と
することができる。従って、本発明の磁気抵抗効果素子
は、例えば高密度記録に適したMRヘッドとして用いる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例の磁気抵抗効果素子を示
す断面図。
【図2】本発明の磁気抵抗効果素子において一対の強磁
性層の磁化方向が互いに平行であるときの各層のスピン
偏極状態を示す図。
【図3】本発明の磁気抵抗効果素子において一対の強磁
性層の磁化方向が互いに反平行であるときの各層のスピ
ン偏極状態を示す図。
【図4】図1に示す実施例を製造する工程を示す断面
図。
【図5】図1に示す実施例を製造する工程を示す断面
図。
【図6】図1に示す実施例を製造する工程を示す断面
図。
【図7】本発明に従う他の実施例の磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図8】本発明に従うさらに他の実施例の磁気抵抗効果
素子を示す断面図。
【図9】本発明に従うさらに他の実施例の磁気抵抗効果
素子を示す断面図。
【図10】本発明に従うさらに他の実施例の磁気抵抗効
果素子を示す断面図。
【図11】本発明に従うさらに他の実施例の磁気抵抗効
果素子を示す断面図。
【図12】本発明に従うさらに他の実施例の磁気抵抗効
果素子を示す断面図。
【図13】図12に示す実施例の磁気抵抗効果素子を製
造する工程を示す断面図。
【図14】図12に示す実施例の磁気抵抗効果素子を製
造する工程を示す断面図。
【図15】従来の磁気抵抗効果素子において一対の強磁
性層の磁化方向が互いに平行であるときの各層のスピン
偏極の状態を示す図。
【図16】従来の磁気抵抗効果素子において一対の強磁
性層の磁化方向が互いに反平行であるときの各層のスピ
ン偏極の状態を示す図。
【符号の説明】
1,2…フィルタ層 3…積層膜 4…第1の強磁性層 5…非磁性導電層 6…第2の強磁性層 7,8…電極 9…基板 25…非磁性導電層 26…強磁性層 27…第1の強磁性層 28…非磁性導電層 29…第2の強磁性層 30…反強磁性層 31,32…バイアス層 33…強磁性体層 33a…強磁性体層における第1の強磁性層部分 33b…強磁性体層におけるフィルタ層部分

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の強磁性層の間に非磁性導電層が挟
    まれた積層構造を有する積層膜と、 前記積層膜に検出電流を流すための一対の電極と、 前記一対の電極のうちの正極と前記一対の強磁性層のう
    ちの一方の強磁性層との間に設けられ、前記強磁性層に
    スピン偏極した電子を与えるための強磁性体からなるフ
    ィルタ層とを備え、 前記強磁性層中の電子の移動の距離がスピン拡散長より
    短くなるように設定されている磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記強磁性層中の電子の移動の距離が1
    μm〜0.05μmである請求項1に記載の磁気抵抗効
    果素子。
  3. 【請求項3】 前記フィルタ層のフェルミ準位と前記強
    磁性層のフェルミ準位との差が、±1eVの範囲内とな
    るように前記フィルタ層の強磁性体材料が選ばれる請求
    項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記積層膜が保磁力差型磁気抵抗効果膜
    であり、前記一対の強磁性層が互いに異なる保磁力を有
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果
    素子。
  5. 【請求項5】 前記積層膜がスピンバルブ型磁気抵抗効
    果膜であり、前記一対の強磁性層の一方に反強磁性層が
    積層されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁
    気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記積層膜が人工格子型磁気抵抗効果膜
    であり、前記強磁性層と前記非磁性導電層が複数の周期
    で繰り返し積層されている請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 前記フィルタ層が前記積層膜の各層と接
    するように設けられている請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 前記フィルタ層が、前記一対の強磁性層
    の一方の強磁性層のみと接するように設けられている請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 前記フィルタ層が、前記一対の強磁性層
    の一方の強磁性層と接し、かつ他方の強磁性層と一体的
    になるように形成されている請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の磁気抵抗効果素子。
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