JPH1087743A - 電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体、電気絶縁体用組成物、これらからなる電線用被覆材および電線 - Google Patents

電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体、電気絶縁体用組成物、これらからなる電線用被覆材および電線

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JPH1087743A
JPH1087743A JP24624896A JP24624896A JPH1087743A JP H1087743 A JPH1087743 A JP H1087743A JP 24624896 A JP24624896 A JP 24624896A JP 24624896 A JP24624896 A JP 24624896A JP H1087743 A JPH1087743 A JP H1087743A
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和幸 瀧本
Tetsuhiro Matsumoto
哲博 松本
Kenichi Morisono
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰返しインパルスによる破壊電圧の低下が改
良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパル
スの印加回数が延長された電気絶縁体用エチレン・芳香
族ビニル化合物共重合体、およびこの共重合体を被覆材
とする電線を提供する。 【解決手段】 エチレンと芳香族ビニル化合物との共重
合体であって、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単
位の含量が0.05〜3mol%、結晶化度が40%以
上である電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体、およびこの共重合体を被覆材とする電線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気絶縁体用のエチ
レン・芳香族ビニル化合物共重合体、この共重合体を含
む電気絶縁体用の組成物、これらを含む電線用被覆材お
よびこの被覆材で被覆された電線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電線用被覆材などの電気絶縁体に
はポリエチレン、特に低密度ポリエチレンの架橋物が用
いられている。また、ポリオレフィンに芳香族ビニル化
合物共重合体を配合した電気絶縁用樹脂組成物も用いら
れている。しかし、これらの樹脂または樹脂組成物から
なる絶縁体は、繰返しインパルスにより絶縁破壊電圧が
低下するので、絶縁体として理想的なものとはいえな
い。
【0003】また特開昭60−158504号には、ス
チレン含量5重量%以上のスチレン・エチレン共重合体
およびポリエチレンのブレンド物を絶縁体とした電気絶
縁ケーブルが記載されている。しかし、上記スチレン・
エチレン共重合体はスチレン含量が多く、また非晶部分
が多いので、充分な電気絶縁性は得られない。
【0004】ところで特開平7−70223号には、ス
チレンから導かれる構造単位が2以上のメチレン基によ
り分離されているエチレン・スチレン共重合体が記載さ
れている。しかし上記公報には、エチレン・スチレン共
重合体の電気特性が改善されることは記載されていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来技術に伴う問題点を解決するため、繰返し
インパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しか
も絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数
が延長された電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合
物共重合体を提供することである。本発明の他の目的
は、上記共重合体を含む組成物であって、繰返しインパ
ルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁
破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長
された電気絶縁体用組成物を提供することである。本発
明の別の目的は、上記共重合体または組成物を含み、繰
返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、
しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加
回数が延長された電線用被覆材を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、上記電線用被覆材で被覆さ
れた電線であって、繰返しインパルスによる絶縁破壊電
圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰
返しインパルスの印加回数が延長され、長期間安定して
使用することができる電線を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電線に用い
る優れた絶縁材料を得るべく、鋭意研究を重ねた結果、
特定のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を用いる
ことにより、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低
下が改良された絶縁体が得られることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は次の電気絶縁体用エチレ
ン・芳香族ビニル化合物共重合体、この共重合体を含む
組成物、これらを含む電線用被覆材およびこの被覆材で
被覆された電線である。 (1)エチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体であ
って、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含量
が0.05〜3mol%、結晶化度が40%以上である
ことを特徴とする電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル
化合物共重合体。 (2)芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位が2以
上連続した連鎖構造を構成する構造単位の割合が、芳香
族ビニル化合物から導かれる全構造単位に対して1%以
下であることを特徴とする上記(1)記載の共重合体。 (3)芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴
とする上記(1)または(2)記載の共重合体。 (4)エチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレ
ン・芳香族ビニル化合物共重合体と、エチレン系重合体
とを含む組成物であって、エチレン・芳香族ビニル化合
物共重合体を構成する構造単位およびエチレン系重合体
を構成する構造単位の合計に占める芳香族ビニル化合物
から導かれる構造単位の含量が0.05〜3mol%で
あり、結晶化度が40%以上であることを特徴とする電
気絶縁体用組成物。 (5)エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、芳香
族ビニル化合物から導かれる構造単位が2以上連続した
連鎖構造を構成する構造単位の割合が、芳香族ビニル化
合物から導かれる全構造単位に対して1%以下のもので
あることを特徴とする上記(4)記載の組成物。 (6)芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴
とする上記(4)または(5)記載の組成物。 (7)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の共重
合体またはその架橋物を含むことを特徴とする電線用被
覆材。 (8)上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の組成
物またはその架橋物を含むことを特徴とする電線用被覆
材。 (9)上記(7)または(8)記載の電線用被覆材で被
覆されたことを特徴とする電線。
【0008】本発明の電気絶縁体用エチレン・芳香族ビ
ニル化合物共重合体(以下、単にエチレン・芳香族ビニ
ル化合物共重合体という場合がある)は、エチレンと芳
香族ビニル化合物との共重合体であって、芳香族ビニル
化合物から導かれる構造単位の含量(以下、芳香族ビニ
ル化合物含量という場合がある)が0.05〜3mol
%、好ましくは0.05〜1.3mol%、結晶化度が
40%以上、好ましくは45%以上の共重合体である。
なお芳香族ビニル化合物含量はNMR、結晶化度はDS
C(示差走査熱量計)より求められる値である。
【0009】このような共重合体の中でも、芳香族ビニ
ル化合物から導かれる構造単位が2以上連続した連鎖構
造(以下、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連
鎖構造という場合がある)を構成する構造単位の割合
(以下、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖
構造含量という場合がある)が、芳香族ビニル化合物か
ら導かれる全構造単位に対して1%以下、好ましくは
0.1%以下の共重合体が好ましい。なお芳香族ビニル
化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量は13CNMR
より求められる値である。
【0010】芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が
前記範囲内にある場合、繰返しインパルスによる絶縁破
壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまで
の繰返しインパルスの印加回数が延長されたエチレン・
芳香族ビニル化合物共重合体が得られる。芳香族ビニル
化合物含量および結晶化度が前記範囲内にある共重合体
の中でも、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連
鎖構造含量が前記範囲内にある場合、繰返しインパルス
による絶縁破壊電圧の低下が特に改良され、しかも絶縁
破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が大幅
に延長されたエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体が
得られる。
【0011】また、本発明のエチレン・芳香族ビニル化
合物共重合体は、13C NMRスペクトルおよび下記の
式から求められるB値が0.90〜1.50、好ましく
は0.95〜1.20、さらに好ましくは1.00〜
1.15であるものが好ましい。
【0012】 B値=[PSE]/(2・[PE]・[PS]) (式中、[PE]はエチレン・芳香族ビニル化合物共重
合体中のエチレンから導かれる構造単位の含有モル分
率、[PS]はエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体
中の芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含有モ
ル分率、[PSE]はエチレン・芳香族ビニル化合物共重
合体における全ダイアド(dyad)連鎖数に対する芳香族
ビニル化合物・エチレン連鎖数の割合である。)
【0013】上記式で求められるB値は、共重合体中に
おけるエチレンと芳香族ビニル化合物との分布状態を表
わす指標であり、J. C. Randall(Macromolecules, 15,3
53(1982))、J. Ray(Macromolecules, 10, 773(1977))ら
の報告に基づいて求めることができる。
【0014】上記のB値が大きいほど、エチレンまたは
芳香族ビニル化合物のブロック的連鎖が短くなり、エチ
レンおよび芳香族ビニル化合物の分布が一様であること
を示している。なおB値が1.00よりも小さくなるほ
どエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の分布が一様
でなく、ブロック的連鎖が長くなることを示している。
【0015】また本発明のエチレン・芳香族ビニル化合
物共重合体は、デカリン中、135℃で測定した極限粘
度[η]が0.1〜10dl/g、好ましくは0.2〜
8dl/gであるものが好ましい。
【0016】前記芳香族ビニル化合物としてはスチレ
ン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレ
ン等のモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシス
チレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安
息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシ
スチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能
基含有スチレン誘導体;3−フェニルプロピレン、4−
フェニルブテンなどがあげられる。
【0017】本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体は、エチレンおよび芳香族ビニル化合物の他に、
本発明の目的を損なわない範囲で、炭素数3〜20のα
−オレフィン、シクロオレフィン、極性基含有モノマ
ー、非共役ポリエンなどが共重合されていてもよい。
【0018】上記α−オレフィンとしては、エチレン、
プロピレン、1-ブテン、1−ペンテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1−デセンなどがあ
げられる。また上記シクロオレフィンとしては、シクロ
ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオク
テンなどがあげられる。また上記極性基含有モノマーと
しては、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エチル、
メタクリル酸、メタクリル酸エチル、マレイン酸、無水
マレイン酸などがあげられる。また上記非共役ポリエン
としては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、
シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデ
ンノルボルネンなどがあげられる。
【0019】本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体は、例えばメタロセン触媒(A)の存在下に、エ
チレンと芳香族ビニル化合物とを共重合することにより
製造することができる。
【0020】上記メタロセン触媒(A)としては、シン
グルサイト触媒として従来より用いられているメタロセ
ン系触媒、ならびにこれらに類似するメタロセン系触媒
が制限なく用いられるが、特に遷移金属のメタロセン化
合物(遷移金属化合物)(B)と、有機アルミニウムオ
キシ化合物(C)および/またはイオン化イオン性化合
物(D)とからなる触媒が好ましく用いられる。
【0021】メタロセン化合物(B)としては、IUP
AC無機化学命名法改定版(1989)による族番号1
〜18で表示される元素の周期表(長周期型)の4族か
ら選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、具体的には下
記一般式(1)で表されるメタロセン化合物があげられ
る。 MLx …(1) 式(1)中、Mは周期表の4族から選ばれる遷移金属で
あり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウ
ムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0022】Lは遷移金属に配位する配位子であり、こ
れらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよ
い。
【0023】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
としては、例えば、シクロペンタジエニル基、メチルシ
クロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル
基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、
i-、sec-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシ
ルシクロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエ
ニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチル
シクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジ
エニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチ
ルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシク
ロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニ
ル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチル
ベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロ
ペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニ
ル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基な
どのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジ
エニル基、さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロ
インデニル基、フルオレニル基などがあげられる。
【0024】これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキ
ルシリル基などで置換されていてもよい。これらの中で
は、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好まし
い。
【0025】式(1)で示されるメタロセン化合物
(B)が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有
する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシク
ロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プ
ロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフ
ェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基ま
たはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチ
ルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介し
て結合されていてもよい。
【0026】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アル
コキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO
31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1
アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、ア
リール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換さ
れたアリール基である。)などがあげられる。
【0027】炭素数1〜12の炭化水素基としては、ア
ルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル
基などがあげられ、より具体的には、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソ
ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのア
ルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの
シクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリー
ル基、ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基が
あげられる。
【0028】また、アルコキシ基としては、メトキシ
基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、
n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブ
トキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基
などがあげられる。アリーロキシ基としては、フェノキ
シ基などがあげられる。
【0029】スルホン酸含有基(−SO31)として
は、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、ト
リフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスル
ホナト基などがあげられる。ハロゲン原子としては、フ
ッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
【0030】前記式(1)で表されるメタロセン化合物
(B)は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、よ
り具体的には下記一般式(2)で表される。 R2 k3 l4 m5 nM …(2)
【0031】式(2)中、Mは式(1)の遷移金属と同
様の遷移金属、好ましくはジルコニウムまたはチタンで
あり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配
位子)であり、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシ
クロペンタジエニル骨格を有する基または前記一般式
(1)中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以
外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l
+m+n=4である。
【0032】以下に、Mがジルコニウムであり、かつシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2
個含むメタロセン化合物(B)を例示する。ビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイ
ドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニ
ウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムフェノキシモノクロリド、ビス(メチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(エチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-
プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムビス(メタンスルホナト)、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、ビス
(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジク
ロリド、ビス(1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-プロピ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど
を例示することができる。
【0033】また本発明では、上記の1,3−位置換シ
クロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジ
エニル基に置換えたメタロセン化合物(B)を用いるこ
ともできる。また前記式(2)において、R2、R3、R
4およびR5の少なくとも2個すなわちR2およびR3がシ
クロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、
この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレ
ン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結
合されているブリッジタイプのメタロセン化合物(B)
を例示することもできる。このときR4およびR5はそれ
ぞれ独立に式(1)中で説明したシクロペンタジエニル
骨格を有する配位子以外のLと同様である。
【0034】このようなブリッジタイプのメタロセン化
合物(B)としては、エチレンビス(インデニル)ジメチ
ルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ビス(トリフルオロメタンスルホナト)などがあげられ
る。
【0035】本発明では、メタロセン化合物(B)とし
て下記一般式(3)で示されるメタロセン化合物を用い
ることもできる。
【化1】
【0036】式(3)中、M1は周期表の4、5、6族
の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウ
ム、ハフニウムなどである。R6およびR7は、それぞれ
独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭
化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケ
イ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基ま
たはリン含有基を示し、具体的には、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキ
ル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのア
ルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロ
ピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジ
メチルフェニル、ナフチル、メチルナフチルなどのアリ
ール基などの炭素数1から20の炭化水素基;前記炭化
水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素
基;
【0037】メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ
炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリ
ルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、ト
リエチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、トリメ
チルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリル
エーテル、トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換ア
ルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換
アリール基、などのケイ素含有基;ヒドロオキシ基、メ
トキシ、エトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メ
チルフェノキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキ
シ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基など
の酸素含有基;前記酸素含有基の酸素がイオウに置換し
た置換基などのイオウ含有基;アミノ基、メチルアミ
ノ、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニル
アミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基
またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;ジ
メチルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含
有基である。
【0038】これらの中では、R6は炭化水素基である
ことが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素
数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR7
は水素原子、炭化水素基であることが好ましく、特に水
素原子、またはメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜
3の炭化水素基であることが好ましい。
【0039】R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独
立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化
水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示
し、これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲ
ン化炭化水素基であることが好ましい。R8とR9、R9
とR10、R10とR11のうち少なくとも1組は、それらが
結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環
を形成していてもよい。
【0040】また芳香族環を形成する基以外の基は、炭
化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場
合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよ
い。なおR11が芳香族基以外の置換基である場合は、水
素原子であることが好ましい。
【0041】ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素
基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基の具体的な
ものとしては、前記R6およびR7と同様のものが例示で
きる。
【0042】X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素
数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基または
イオウ含有基を示す。ハロゲン原子、炭素数1〜20の
炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、
酸素含有基の具体的なものとしては、前記R6およびR7
と同様のものが例示できる。
【0043】またイオウ含有基としては、前記R6、R7
と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロ
メタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベン
ジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリ
メチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼ
ンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、
ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォ
ネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネ
ート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネ
ート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフル
オロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が
例示できる。
【0044】Y1は、炭素数1〜20の2価の炭化水素
基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2
価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価の
スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−
SO2−、−NR12−、−P(R12)−、−P(O)(R12)
−、−BR12−または−AlR12−(ただし、R12は水
素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、
炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0045】Y1の具体的なものとしては、メチレン、
ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチ
レン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シ
クロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレ
ン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレン
などのアリールアルキレン基などの炭素数1から20の
2価の炭化水素基;クロロメチレンなどの上記炭素数1
から20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン
化炭化水素基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジ
エチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロ
ピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチル
フェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)
シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキ
ルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリ
レン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニ
ル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキ
ルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2
価のケイ素含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素を
ゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;上
記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価の
スズ含有基置換基などであり、R12は、前記R6、R7
同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭
素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0046】これらの中では2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが
好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ま
しく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリー
ルシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0047】以下に前記式(3)で示されるメタロセン
化合物(B)の具体的な例を示す。rac-エチレン(2-メ
チル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロリド、rac
-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジル
コニウム-ジクロリド、rac-ジメチルシリレン(2-メチ
ル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジメチル、rac-ジ
メチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,
7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-イン
デニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレ
ン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニ
ル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチ
ル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウム
ジクロリドなど。
【0048】また本発明では、メタロセン化合物(B)
として下記一般式(4)で示されるメタロセン化合物を
用いることもできる。 L122 …(4) (式中、M2は周期表の4族またはランタニド系列の金
属であり、L1は、非局在化π結合基の誘導体であり、
金属M2活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、Z
は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または20
以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化
水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
【0049】このような式(4)で示されるメタロセン
化合物(B)の中では、下記一般式(5)で示されるメ
タロセン化合物が好ましい。
【化2】
【0050】式(5)中、M3はチタン、ジルコニウム
またはハフニウムであり、Zは上記と同様である。Cp
はM3にη5結合様式でπ結合したシクロペンタジエニル
基、置換シクロペンタジエニル基またはこれらの誘導体
である。
【0051】W1は酸素、イオウ、ホウ素もしくは周期
表の14族の元素、またはこれらの元素を含む基であ
り、V1は窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子
である。W1とV1とで縮合環を形成してもよい。またC
pとW1とで縮合環を形成してもよい。
【0052】一般式(5)のCpで示される基の好まし
いものとしては、シクロペンタジエニル基、インデニル
基、フルオレニル基およびこれらの飽和誘導体などがあ
げられ、これらは金属原子(M3)と環を形成する。シ
クロペンタジエニル基中のそれぞれの炭素原子はヒドロ
カルビル基、置換ヒドロカルビル基からなる群から選ば
れた同一または異なった基であることができ、1種また
はそれ以上の炭素原子はハロゲン原子、ヒドロカルビル
置換メタロイド基によって置換され、そしてメタロイド
は元素の周期表の14族およびハロゲン原子から選ばれ
る。また、1種またはそれ以上の置換基は一緒になって
縮合環を形成していてもよい。シクロペンタジエニル基
中の少なくとも1つの水素原子置換しうる好ましいヒド
ロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基は1〜20個の
炭素原子を含み、かつ直鎖または分岐状のアルキル基、
環状炭化水素基、アルキル置換環状炭化水素基、芳香族
基およびアルキル置換芳香族基を包含する。好ましい有
機メタロイド基は14族元素のモノ−ジ−およびトリ−
置換有機メタロイド基を包含し、ヒドロカルビル基のそ
れぞれは1〜20個の炭素原子を含む。好ましい有機メ
タロイド基の具体的なものとしてはトリメチルシリル、
トリエチルシリル、エチルジメチルシリル、メチルジエ
チルシリル、フェニルジメチルシリル、メチルジフェニ
ルシリル、トリフェニルシリル、トリフェニルジャーミ
ル、トリメチルシャーミルなどがあげられる。
【0053】一般式(5)のZ1の具体的なものとして
は、ヒドライド、ハロ、アルキル、シリル、ジャーミ
ル、アリール、アミド、アリールオキシ、アルコキシ、
ホスファイド、サルファイド、アシル、疑似ハライドた
とえばシアニド、アジドなど、アセチルアセトネートま
たはそれらの混合物などがあげられ、同一でも異なって
いてもよい。
【0054】一般式(5)で示されるメタロセン化合物
(B)の中でも、下記一般式(6)で表されるメタロセ
ン化合物が好ましい。
【化3】
【0055】式(6)中、M4は前記M3と同じであり、
2は−O−、−S−、−NR17−、−PR17−である
か、またはOR17、SR17、N(R17)2またはP(R17)2
からなる群から選ばれた中性の2個電子供与体リガンド
である。ここでR17は水素原子、または20個までの水
素以外の原子をもつアルキル、アリール、シリル、ハロ
ゲン化アルキルもしくはハロゲン化アリール基である
か、あるいは2個のR17または後述のR18とで縮合環を
形成していてもよい。
【0056】式(6)中、W2はSi(R18)2、C(R18)
2、Si(R18)2Si(R18)2、C(R 18)2C(R18)2、C
18=CR18、C(R18)2Si(R18)2、Ge(R18)2
BR18、B(R18)2である。ここでR18は前記R17と同
じである。式(6)中、R13〜R16はそれぞれ独立に水
素原子、または20個までの水素以外の原子をもつアル
キル、アリール、シリル、ジャーミル、シアノ、ハロお
よびそれらの組合せ(例えばアルカリール、アラルキ
ル、シリル置換アルキル、シリル置換アリール、シアノ
アルキル、シアノアリール、ハロアルキル、ハロシリル
など)であるか、あるいはR13〜R16の隣接対はシクロ
ペンタジエニル部分に縮合したヒドロカルビル環を形成
していてもよい。
【0057】式(6)中、Z2はそれぞれの場合にヒド
ライドであるか、または20個までの水素以外の原子を
もつハロ、アルキル、アリールシリル、ジャーミル、ア
リールオキシ、アルコキシ、アミド、シリルオキシおよ
びそれらの組合せ(例えばアルカリール、アラルキル、
シリル、置換アルキル、シリル置換アリール、アリール
オキシアルキル、アリールオキシアリール、アルコキシ
アルキル、アルコキシアリール、アミドアルキル、アミ
ドアリール、シロキシアルキル、シロキシアリール、ア
ミドシロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアリールな
ど)、および20個までの水素以外の原子をもつ中性ル
イス塩基からなる群から選ばれた基である。
【0058】一般式(6)で表されるメタロセン化合物
(B)において、V2が中性2個電子供与体リガンドで
あるとき、M4とV2との間の結合はより正確には配位共
有結合と呼ばれる結合である。また、錯体はダイマーま
たは高級オリゴマーとして存在しうる。
【0059】一般式(6)で表されるメタロセン化合物
(B)においては、R13〜R16、Z 2、R17またはR18
の少なくとも1つは電子供与性部分であることが好まし
く、特にV2が−NR19−または−PR19−(ただし、
19は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜10
のアリールである)に相当するアミドまたはホスフィド
基であることが好ましい。
【0060】一般式(6)で表されるメタロセン化合物
(B)の中でも、下記一般式(7)で表されるアミドシ
ランまたはアミドアルカンジイル化合物が好ましい。
【化4】
【0061】式(7)中、M5はシクロペンタジエニル
基にη5結合様式で結合しているチタン、ジルコニウム
またはハフニウムであり、R20〜R25はそれぞれ独立に
水素原子、または10個までの炭素をもつシリル、アル
キル、アリールおよびそれらの組合せからなる群から選
ばれた基であるか、あるいはR22〜R25の隣接対はシク
ロペンタジエニル部分に縮合するヒドロカルビル環を形
成していてもよい。式(7)中、W3はケイ素または炭
素であり、Z3はそれぞれの場合にヒドライド、ハロ、
10個までの炭素のアルキル、アリール、アリールオキ
シまたはアルコキシである。
【0062】一般式(7)で表されるメタロセン化合物
(B)においては、R20がメチル、エチル、プロピル、
ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボ
ルニル、ベンジル、フェニルなどであり、R22〜R25
それぞれ独立に水素原子、メチル、エチル、プロピル、
ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボ
ルニル、ベンジルなどであり、そしてZ3がクロロ、ブ
ロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペ
ンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベ
ンジル、フェニルなどであるメタロセン化合物が好まし
い。またR22〜R25が縮合環を形成して、シクロペンタ
ジエニル部分がインデニル、テトラヒドロインデニル、
フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル環などである
メタロセン化合物も好ましい。
【0063】一般式(7)で表されるメタロセン化合物
(B)の具体的なものとしては、(t−ブチルアミド)ジ
メチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シ
ランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)(テトラメ
チル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジ
イルジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)(テ
トラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エ
タンジイルチタンジクロリド、(メチルアミド)(テトラ
メチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタン
ジイルジルコニウムジクロリド、(メチルアミド)(テト
ラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタ
ンジイルチタンジクロリド、(エチルアミド)(テトラメ
チル−η5−シクロペンタジエニル)−メチレンチタンジ
クロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル
−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベ
ンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5
−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(フ
ェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η5−シク
ロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなど
があげられる。
【0064】また本発明では、メタロセン化合物(B)
として下記のメタロセン化合物を用いることもできる。
エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニ
ル}(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレ
ン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(2,7-
ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エ
チレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}
(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(9
-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-
メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(2,7-ジメチル-9-フ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチ
ル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(2-メチル
-α-アセナフト-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリド、エチレン(2-メチル-α-アセナフト-
1-インデニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-
インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン{2-メチル-4(9-フ
ェナントリル)-1-インデニル}(9-フルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリドなど。
【0065】その他にも、上記ジルコニウム化合物にお
いて、ジルコニウムをチタンまたはハフニウムに置換え
た化合物を例示することもできる。メタロセン化合物
(B)の製造方法については、例えば特開平3−163
088号に記載されている。
【0066】本発明で使用するメタロセン化合物(B)
としては、前記一般式(4)で示されるメタロセン化合
物が特に重合活性、電気絶縁特性の面から好ましい。こ
れまで説明したメタロセン化合物(B)は単独で用いて
もよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本発明で
使用するメタロセン化合物(B)は、炭化水素またはハ
ロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
【0067】次に、メタロセン触媒(A)を形成する際
に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(C)およ
びイオン化イオン性化合物(D)について説明する。
【0068】本発明で用いられる有機アルミニウムオキ
シ化合物(C)は、従来公知のアルミノオキサン(C)
であってもよく、また特開平2−78687号公報に例
示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウム
オキシ化合物(C)であってもよい。
【0069】このような従来公知のアルミノオキサン
(C)は、具体的には下記一般式(8)または(9)で
表される。
【化5】 〔式(8)または(9)中、R26はメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好
ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基
であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数であ
る。〕
【0070】ここで、このアルミノオキサン(C)は式
(OAl(R27))で表わされるアルキルオキシアルミニ
ウム単位および式(OAl(R28))で表わされるアルキ
ルオキシアルミニウム単位(ここで、R27およびR28
26と同様の炭化水素基を例示することができ、R27
よびR28は相異なる基を表わす)からなる混合アルキル
オキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0071】アルミノオキサン(C)は、例えば下記の
ような方法によって製造され、通常炭化水素溶媒の溶液
として回収される。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などを懸濁した芳香族炭化水素溶
媒に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウ
ム化合物を添加して反応させて芳香族炭化水素溶媒の溶
液として回収する方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムな
どの有機アルミニウム化合物に直接水(水、氷または水
蒸気)を作用させて芳香族炭化水素溶媒の溶液として回
収する方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素媒体
中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム
化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシ
ドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0072】アルミノオキサン(C)の調製の際に用い
られる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシ
レン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水
素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタ
ン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;エチ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ガ
ソリン、灯油、軽油などの石油留分;上記芳香族炭化水
素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、
例えば塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒があげら
れる。これらの溶媒の中では、特に芳香族炭化水素が好
ましい。
【0073】イオン化イオン性化合物(D)としては、
ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、およびカル
ボラン化合物を例示することができる。これらのイオン
化イオン性化合物(D)は、特表平1−501950号
公報、特表平1−502036号公報、特開平3−17
9005号公報、特開平3−179006号公報、特開
平3−207703号公報、特開平3−207704号
公報、USP−5321106号公報などに記載されて
いる。
【0074】イオン化イオン性化合物(D)として用い
るルイス酸としては、BR3(ここで、Rは同一または
相異なり、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基な
どの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素
である。)で示される化合物があげられ、例えばトリフ
ルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオ
ロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、ト
リス(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどがあげられ
る。
【0075】イオン化イオン性化合物(D)として用い
るイオン性化合物は、カチオン性化合物とアニオン性化
合物とからなる塩である。アニオンは前記メタロセン化
合物(B)と反応することによりメタロセン化合物
(B)をカチオン化し、イオン対を形成することにより
遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。そのよ
うなアニオンとしては、有機ホウ素化合物アニオン、有
機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオ
ンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カチオン種を安定
化させるものが好ましい。カチオンとしては、金属カチ
オン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリ
ピウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウム
カチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオ
ンなどがあげられる。さらに詳しくはトリフェニルカル
ベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、
N,N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウムカ
チオンなどである。
【0076】これらのうち、アニオンとしてホウ素化合
物を含有するイオン性化合物が好ましく、具体的にはイ
オン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム
塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモ
ニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などをあげる
ことができる。
【0077】上記トリアルキル置換アンモニウム塩とし
ては、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)
ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホ
ウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホ
ウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素
などがあげられる。
【0078】前記N,N-ジアルキルアニリニウム塩として
は、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)
ホウ素などがあげられる。
【0079】前記ジアルキルアンモニウム塩としては、
例えばジ(n-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウム
テトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0080】前記トリアリールホスフォニウム塩として
は、例えばトリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニ
ル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテト
ラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォ
ニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0081】さらに前記イオン性化合物としては、トリ
フェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテ
トラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげるこ
ともできる。
【0082】イオン化イオン性化合物(D)として用い
るボラン化合物としては、下記のような化合物をあげる
こともできる。 デカボラン(14);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウ
ム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウ
ム〕デカボレートなどのアニオンの塩;およびトリ(n-
ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボ
レート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アン
モニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニ
ッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが
あげられる。
【0083】イオン化イオン性化合物(D)として用い
るカルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(1
4)、1,3-ジカルバノナボラン(13)などのアニオンの
塩;およびトリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイ
ドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(II
I)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイド
ライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)な
どの金属カルボランアニオンの塩などがあげられる。上
記のようなイオン化イオン性化合物(D)は、2種以上
組合せて用いてもよい。
【0084】本発明で用いるメタロセン触媒(A)は、
必要に応じて、前記各成分に加えてさらに下記有機アル
ミニウム化合物(E)を含んでいてもよい。本発明にお
いて必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物
(E)としては、例えば下記一般式(10)で示される
有機アルミニウム化合物をあげることができる。
【0085】(R29)nAlX3-n …(10) 式(10)中、R29は炭素数1〜15、好ましくは1〜
4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原
子であり、nは1〜3である。
【0086】このような炭素数1〜15の炭化水素基と
しては、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはア
リ−ル基があげられ、具体的には、メチル基、エチル
基、n―プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基な
どがあげられる。
【0087】このような有機アルミニウム化合物として
は、具体的には以下のような化合物があげられる。トリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイ
ソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、
トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニ
ウムなどのトリアルキルアルミニウム、 一般式 (i-C49)xAly(C510)z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xであ
る。)で表わされるイソプレニルアルミニウムなどのア
ルケニルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキ
ルアルミニウムハライド、ジイソブチルアルミニウムハ
イドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライ
ド、ジメチルアルミニウムメトキシドなどのジアルキル
アルミニウムアルコキシド、ジエチルアルミニウムフェ
ノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシド
などがあげられる。
【0088】また有機アルミニウム化合物(E)とし
て、下記の式(11)で表わされる化合物を用いること
もできる。 (R31)nAl(R30)3-n …(11) (式中、R31は前記R29と同様であり、R30は−OR32
基、−OSi(R33)3基、−OAl(R34)2基、−N(R
35)2基、−Si(R36)3基または−N(R37)Al(R38)2
基であり、nは1〜2であり、R32、R33、R34および
38はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチ
ル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R35
は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニ
ル基、トリメチルシリル基などであり、R36およびR37
はメチル基、エチル基などである。)
【0089】このような有機アルミニウム化合物(E)
としては、具体的には以下のような化合物があげられ
る。(C25)2Al(OSi(CH3)3)、(iso-C49)2
l(OSi(CH3)3)、(C25)2Al(OAl(C
25)2)、(CH3)2Al(N(C25)2)、(C25)2Al
(NH(CH3))、(iso-C49)2Al[N(Si(C
3)3)2]など。
【0090】本発明で使用するメタロセン触媒(A)
は、上述した成分(B)、成分(C)、成分(D)およ
び成分(E)のうち少なくとも1つの成分が微粒子状担
体に担持されてなる固体状触媒であってもよい。
【0091】またメタロセン触媒(A)は、微粒子状担
体、成分(B)、成分(C)(または成分(D))およ
び予備重合により生成する重合体または共重合体と、必
要に応じて成分(E)とからなる予備重合触媒であって
もよい。
【0092】固体状触媒および予備重合触媒に用いられ
る微粒子状担体は、無機あるいは有機の化合物であっ
て、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200
μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0093】このうち無機担体としては多孔質酸化物が
好ましく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、Z
rO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、T
hO 2など、またはこれらの混合物、例えばSiO2-M
gO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-
25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOな
どを例示することができる。これらの中でSiO2およ
びAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成
分を主成分とするものが好ましい。
【0094】なお、上記無機酸化物には少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2
Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し
つかえない。
【0095】このような微粒子状担体はその種類および
製法により性状は異なるが、比表面積が50〜1000
2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細
孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望まし
い。微粒子状担体は、必要に応じて100〜1000
℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成して用い
られる。
【0096】さらに微粒子状担体としては、粒径が10
〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子
状固体をあげることができる。このような有機化合物と
しては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1
-ペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンを主
成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシク
ロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体
もしくは共重合体を例示することができる。
【0097】本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体をメタロセン触媒(A)を用いて製造するには、
メタロセン触媒(A)の存在下にエチレンと芳香族ビニ
ル化合物とを、通常液相で溶液重合あるいはスラリー重
合で共重合させる。
【0098】このような炭化水素溶媒としては、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導
体;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシ
クロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン
誘導体;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素およびそのハ
ロゲン誘導体などが用いられる。これら溶媒は組合せて
用いてもよい。
【0099】エチレンと芳香族ビニル化合物とは、バッ
チ法、あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよ
い。共重合を連続法で実施するに際しては、メタロセン
触媒(A)は以下のような濃度で用いられる。
【0100】すなわち重合系内のメタロセン化合物
(B)の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル
/liter(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.
05ミリモル/literである。また有機アルミニウムオ
キシ化合物(C)は、重合系内のメタロセン化合物
(B)に対するアルミニウム原子の比(Al/遷移金
属)で0.1〜10000、好ましくは1〜5000の
量で供給される。
【0101】イオン化イオン性化合物(D)は、重合系
内のメタロセン化合物(B)に対するイオン化イオン性
化合物(D)のモル比(イオン化イオン性化合物(D)
/メタロセン化合物(B))で0.1〜20、好ましく
は1〜10の量で供給される。
【0102】また有機アルミニウム化合物(E)が用い
られる場合には、通常約0〜5ミリモル/liter(重合
容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/literとなるよ
うな量で用いられる。
【0103】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を
製造する際の共重合反応は、通常温度が−30〜+25
0℃、好ましくは0〜200℃、圧力が0を超えて〜8
0Kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜50K
g/cm2(ゲージ圧)の条件下に行われる。
【0104】また反応時間(共重合が連続法で実施され
る場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度など
の条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ま
しくは10分間〜1.5時間である。
【0105】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を
製造する際には、エチレンおよび芳香族ビニル化合物
は、前記のような特定組成の共重合体が得られるような
量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水
素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0106】上記のようにしてエチレンおよび芳香族ビ
ニル化合物を共重合させると、エチレン・芳香族ビニル
化合物共重合体は通常これを含む重合液として得られ
る。この重合液は常法により処理され、エチレン・芳香
族ビニル化合物共重合体が得られる。このようにして得
られる前記物性を有するエチレン・芳香族ビニル化合物
共重合体は1種単独でまたは2種以上を混合し、電気絶
縁体として用いられる。
【0107】また本発明のエチレン・芳香族ビニル化合
物共重合体は、エチレン系重合体とブレンドして電気絶
縁体用の組成物とし、この組成物を電気絶縁体として用
いることもできる。この場合、組成物は、エチレン・芳
香族ビニル化合物共重合体を構成する構造単位およびエ
チレン系重合体を構成する構造単位の合計に占める芳香
族ビニル化合物から導かれる構造単位の含量(以下、組
成物の芳香族ビニル化合物含量という場合がある)が
0.05〜3mol%、好ましくは0.05〜1.3m
ol%、組成物としての結晶化度が40%以上、好まし
くは45%以上の物性を有するものを使用する。
【0108】このような組成物の中でも、エチレン・芳
香族ビニル化合物共重合体の芳香族ビニル化合物・芳香
族ビニル化合物連鎖構造含量が、芳香族ビニル化合物か
ら導かれる全構造単位に対して1%以下、好ましくは
0.1%以下であるものが好ましい。
【0109】またエチレン・芳香族ビニル化合物共重合
体のB値が0.90〜2.00、好ましくは0.95〜
1.50、さらに好ましくは1.00〜1.45、特に
好ましくは1.02〜1.40であるものが好ましい。
【0110】またエチレン・芳香族ビニル化合物共重合
体のデカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が
0.1〜10dl/g、好ましくは0.2〜8dl/g
であるものが好ましい。
【0111】上記組成物において、エチレン系重合体を
ブレンドするエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体と
しては、共重合体の芳香族ビニル化合物含量または結晶
化度が前記範囲内にあるものを使用することもできる
し、範囲外のものを使用できるし、これらの混合物を使
用することもできる。要するに、組成物として物性が前
記範囲にあればよい。
【0112】組成物の芳香族ビニル化合物含量および結
晶化度が前記範囲内にある場合、繰返しインパルスによ
る絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生
じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長された組
成物が得られる。組成物の芳香族ビニル化合物含量およ
び結晶化度が前記範囲内にある組成物の中でも、芳香族
ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量が前記
範囲内にある場合、繰返しインパルスによる絶縁破壊電
圧の低下が特に改良され、しかも絶縁破壊が生じるまで
の繰返しインパルスの印加回数が大幅に延長された組成
物が得られる。
【0113】エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体に
ブレンドするエチレン系重合体は、前記エチレン・芳香
族ビニル化合物共重合体には属さないエチレン系の重合
体であり、例えばポリエチレン、エチレンと炭素数3〜
30のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと極性モ
ノマーとの共重合体などがあげられる。具体的なエチレ
ン系重合体としては、以下のような単独重合体、共重合
体およびこれらの混合物などがあげられる。
【0114】(1)密度が0.968〜0.910g/
cm3までの高、中または低密度ポリエチレン単独重合
体、およびその変性物。 (2)エチレンと10モル%以下の他の炭素数3〜30
のα-オレフィンとの共重合体、およびその変性物。 (3)エチレンと10モル%以下の他の炭素数3〜30
のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体。 (4)エチレンと10モル%以下の他の極性基含有モノ
マーとの共重合体。
【0115】上記α−オレフィンとしては、エチレン、
プロピレン、1-ブテン、1−ペンテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1−デセンなどがあ
げられる。また上記極性基含有モノマーとしては、酢酸
ビニル、アクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル
酸、メタクリル酸エチル、マレイン酸、無水マレイン酸
などがあげられる。また上記非共役ポリエンとしては、
ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオク
タジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボル
ネンなどがあげられる。上記変性物としてはアクリル
酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその誘
導体などで変性した変性物があげられる。前記(1)〜
(4)のエチレン系重合体の中では、(1)または
(4)のエチレン系重合体が好ましく、これらをブレン
ドすることにより特に成形性のよい組成物が得られる。
【0116】エチレン系重合体の配合量は、組成物とし
ての物性が前記物性を満たすような配合量とすることが
できるが、通常はエチレン・芳香族ビニル化合物共重合
体(X)とエチレン系重合体(Y)との重量比で(X)
/(Y)=99/1〜20/80、好ましくは99/1
〜50/50の割合となるようにブレンドするのが望ま
しい。
【0117】さらに本発明のエチレン・芳香族ビニル化
合物共重合体および組成物は、架橋物の状態で電気絶縁
体として用いることもできる。本発明のエチレン・芳香
族ビニル化合物共重合体または組成物の架橋物は、架橋
する前のものに比べて、繰返しインパルスによる絶縁破
壊電圧の低下がさらに改良され、しかも絶縁破壊が生じ
るまでの繰返しインパルスの印加回数がさらに延長され
る。
【0118】本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体および組成物の架橋方法としては公知の方法が採
用でき、例えばγ線や電子線の照射による方法、あるい
は有機過酸化物による方法などがあげられる。
【0119】上記有機過酸化物としては、具体的にはジ
クミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−
ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、
1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−
ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)
バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペル
オキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、
tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチル
ペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペル
オキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル
クミルペルオキシドなどがあげられる。
【0120】これらの中では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−
ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,
5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペ
ルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シ)バレレートが好ましく、中でも1,3−ビス(te
rt−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も
好ましい。
【0121】上記有機過酸化物を使用して架橋するに際
しては、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベ
ンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニ
トロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニ
ジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニ
レンジマレイミド等のペルオキシ架橋用助剤;ジビニル
ベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタ
クリレート等の多官能性メタクリレートモノマー;ビニ
ルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニル
モノマーなどを併用することができる。
【0122】本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体、組成物およびこれらの架橋物は、繰返しインパ
ルスによる破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊
が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長され
るなど、電気絶縁特性に優れているので、電気絶縁体と
して使用する。具体的には、電線用被覆材として使用す
ることができ、この場合交流、直流何れの送電用ケーブ
ルの電線の被覆材にも使用可能である。
【0123】本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共
重合体、組成物およびこれらの架橋物を電気絶縁体とし
て使用するに際しては、その使用目的に応じて有機、無
機のフィラー、酸化防止剤、滑剤、紫外線防止剤、銅害
防止剤、有機もしくは無機系の各種顔料、中和剤、発泡
剤、可塑剤、気泡防止剤、難燃剤、核剤、流れ改良剤、
ウェルド強度改良剤等を本発明の目的を損なわない範囲
で添加することもできる。また本発明の目的を損なわな
い範囲、すなわち電気絶縁特性等を損なわない範囲であ
れば、他の樹脂、例えばポリプロピレン、ポリブテン、
ポリ4−メチルペンテン−1等のポリα−オレフィン、
ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメ
チル(メタ)アクリレート、ABS樹脂、エラストマ
ー、ポリ塩化ビニルなどを添加して用いてもよい。
【0124】本発明の電線用被覆材は、前記エチレン・
芳香族ビニル化合物共重合体、組成物、架橋物、あるい
はこれらに必要により配合される他の添加剤を配合した
ものからなる電線用の被覆材である。
【0125】本発明の電線は、導体が上記電線用被覆材
で被覆されたものであり、交流用の送電用ケーブル、直
流用の送電用ケーブルなどとして使用することができ
る。
【0126】
【発明の効果】本発明の電気絶縁体用エチレン・芳香族
ビニル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物含量およ
び結晶化度が特定の範囲にあるので、繰返しインパルス
による絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊
が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長され
るなど、電気絶縁特性に優れている。
【0127】本発明の電気絶縁用組成物は、組成物の芳
香族ビニル化合物含量および結晶化度が特定の範囲にあ
るので、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が
改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパ
ルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特性に優れ
ている。
【0128】本発明の電線用被覆材は、上記共重合体、
組成物またはこれらの架橋物を含んでいるので、繰返し
インパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しか
も絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数
が延長されるなど、電気絶縁特性に優れている。
【0129】本発明の電線は、上記電線用被覆材で被覆
されているので、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧
の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返
しインパルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特
性に優れており、長期間安定して使用することができ
る。
【0130】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について示
すが、本発明はこれらによって何等限定されるものでは
ない。 実施例1 冷却管および撹拌装置を備えたガラス製の1 liter反応
装置を窒素で充分に置換し、トルエン499.5ml、
スチレン0.5mlを仕込み、撹拌しながらエチレンで
飽和させた。次いで系内を35℃に昇温し、メチルアル
ミノキサン(東ソーアクゾ社製、10重量%トルエン溶
液)9mM、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチ
ル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリ
ド0.03mM(0.01mMトルエン溶液)を添加し
た。エチレン100NL/hrを連続的に供給しながら
40℃で75分間重合した。
【0131】重合終了後、イソブチルアルコール250
ml、塩酸水10mlを加えて80℃で30分間加熱撹
拌し、イソブチルアルコールを含む反応液を分液ロート
に移し、水250mlで2回洗浄し、油水分離した。次
いで油層部を3 literのメタノールに添加してポリマー
を析出させた。析出したポリマーを130℃で12時間
真空乾燥し、スチレン含量0.3mol%のポリマー1
4.8gを得た。
【0132】以上のようにして得られたエチレン・スチ
レン共重合体(1)を200℃のプレスで余熱6分間、
加圧4分間で成形した後、25℃のプレスで5分間冷却
して45×45×1mmのシートを作製し、25℃の破
壊電圧を測定した。また1mmの単線導体に内部導電層
を形成し、その周囲に上記エチレン・スチレン共重合体
(1)の絶縁層(厚さ1.5mm)を形成した。このケ
ーブルの雷インパルス試験(100kVを5分間間隔で
印加)を行った。得られたエチレン・スチレン共重合体
(1)の組成および電気特性を表1に示す。なおスチレ
ン含量および共重合体のスチレン・スチレン連鎖構造含
量は13CNMRより求めた。また結晶化度はDSCより
求めた。
【0133】実施例2 スチレンを2.0ml仕込んだ他は実施例1と同様にし
て、スチレン含量1.1mol%のエチレン・スチレン
共重合体(2)を得た。このエチレン・スチレン共重合
体(2)の組成および電気特性を表1に示す。
【0134】実施例3 スチレンを5.0ml仕込んだ他は実施例1と同様にし
て、スチレン含量2.3mol%のエチレン・スチレン
共重合体(3)を得た。このエチレン・スチレン共重合
体(3)の組成および電気特性を表1に示す。
【0135】比較例1 スチレンを仕込まなかった他は実施例1と同様にして、
スチレン含量0mol%のポリエチレン(4)を得た。
このポリエチレン(4)の組成および電気特性を表1に
示す。
【0136】比較例2 スチレンを7.0ml仕込んだ他は実施例1と同様にし
て、スチレン含量3.6mol%のエチレン・スチレン
共重合体(5)を重合した。このエチレン・スチレン共
重合体(5)の組成および電気特性を表1に示す。
【0137】比較例3 窒素およびエチレンで充分置換した、撹拌翼の付いたオ
ートクレーブに所定量のエチレン、スチレンおよび連鎖
移動剤であるn−ヘプタンを仕込み、さらに開始剤であ
るジ−t−ブチルペルオキシドを注入し、圧力1900
kg/cm2、重合温度180℃、重合時間40分間の
重合条件で重合を行った。生成したポリマーを精製、乾
燥して、スチレン含量2.1mol%のエチレン・スチ
レン共重合体(6)を得た。このエチレン・スチレン共
重合体(6)の組成および電気特性を表1に示す。
【0138】実施例4 実施例2のエチレン・スチレン共重合体(2)に安定剤
(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブ
チル−4−メチルフェノール)を0.2重量部バンバリ
ーミキサーで混練後、所定の形状に成形し、5kGyの
γ線を照射して架橋し、架橋エチレン・スチレン共重合
体(7)を得た。このエチレン・スチレン共重合体
(7)の電気特性を表1に示す。
【0139】実施例5 実施例2のエチレン・スチレン共重合体(2)に安定剤
(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブ
チル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミ
ルペルオキシド2.0重量部を加えて、バンバリーミキ
サーで混練後、所定の形状に成形し、170℃で15分
間架橋し、架橋エチレン・スチレン共重合体(8)を得
た。このエチレン・スチレン共重合体(8)の電気特性
を表1に示す。
【0140】比較例4 実施例5のエチレン・スチレン共重合体(2)の代わり
に、190℃のメルトインデックス0.6g/10分、
密度0.925g/cm3のLDPEを使用した他は、
実施例5と同様にして架橋LDPE(9)を得た。この
架橋LDPE(9)の電気特性を表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】表1、表2の注 *1 St:スチレン *2 結晶化度:DSCの融点の吸熱ピークの面積から
求めた吸熱量を、ポリエチレンの結晶化エネルギーで除
して結晶部分の重量%を求めた値 *3 St・St連鎖構造含量:13C NMRを測定するこ
とにより求めた値 *4 繰返インパルス:(絶縁破壊が起った回数−1)
の回数について、比較例1のポリマーの値を1.0とし
た場合に対する各例のポリマーの比の値 *5 絶縁破壊電圧:JIS−K−6911に準拠して
測定した値
【0144】実施例6 冷却管および撹拌装置を備えたガラス製の1 liter反応
装置を窒素で充分に置換しトルエン499.5ml、ス
チレン1.0mlを仕込み、撹拌しながらエチレンで飽
和させた。次いで系内を35℃に昇温し、メチルアルミ
ノキサン(東ソーアクゾ社製10wt%トルエン溶液)
9mM、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−
η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド
0.03mM(0.01mMトルエン溶液)を添加し
た。エチレン100NL/hrを連続的に供給しながら
40℃で75分間重合した。
【0145】重合終了後、イソブチルアルコール250
ml、塩酸水10mlを加えて80℃で30分間加熱撹
拌し、イソブチルアルコールを含む反応液を分液ロート
に移し、水250mlで2回洗浄し、油水分離した。次
いで油層部を3 literのメタノールに添加してポリマー
を析出させた。析出したポリマーを130℃で12時間
真空乾燥し、スチレン含量0.8mol%のポリマー1
7.5gを得た。
【0146】以上のようにして得られたエチレン・スチ
レン共重合体(10)90重量部に、190℃のメルト
インデックス0.6g/10分、密度0.925g/c
3のLDPE(a)を10重量部、安定剤(老化防止
剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−
メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキ
シド2.0重量部を加えてバンバリーミキサーで混練、
シート出しした。その後180℃のプレスで余熱6分間
で加圧成形し、25℃のプレスで5分間冷却して45×
45×1mmのシートを作製し、25℃の破壊電圧を測
定した。
【0147】また1mmの単線導体に内部導電層を形成
しその周囲に上記エチレン・スチレン共重合体(10)
とLDPE(a)とのブレンド物の絶縁層(厚さ1.5
mm)を形成した。このケーブルの雷インパルス試験
(100kVを5分間隔で印加)を行った。得られたエ
チレン・スチレン共重合体(10)の組成を表3に、ブ
レンド物の電気特性を表4に示す。
【0148】実施例7 スチレンを7.0ml仕込んだ他は実施例6と同様にし
て、スチレン含量3.8mol%のエチレン・スチレン
共重合体(11)を得た。このエチレン・スチレン共重
合体(11)50重量部に、190℃のメルトインデッ
クス1.0g/10分、1−オクテンを2mol%含む
エチレン・1−オクテン共重合体(b)を50重量部、
安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−
t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部と
ジクミルペルオキシド2.0重量部を加え、実施例6と
同様にしてエチレン・スチレン共重合体(11)とエチ
レン・1−オクテン共重合体(b)とのブレンド物を作
製した。ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0149】比較例5 スチレンを仕込まなかった他は実施例6と同様にして、
ポリエチレン(12)を得た。このポリエチレン(1
2)50重量部に、190℃のメルトインデックス0.
6g/10分、密度0.925g/cm3のLDPE
(a)を50重量部、安定剤(老化防止剤)として4,
4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量
部を加え、実施例6と同様にしてポリエチレンブレンド
物を作製した。得られたポリエチレン(12)の組成を
表3に、ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0150】比較例6 スチレンを35.0ml仕込んだ他は実施例6と同様に
して、スチレン含量13.4mol%のエチレン・スチ
レン共重合体(13)を得た。このエチレン・スチレン
共重合体(13)50重量部に、190℃のメルトイン
デックス0.6g/10分、密度0.925g/cm3
のLDPE(a)を50重量部、安定剤(老化防止剤)
として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド
2.0重量部を加え、実施例6と同様にしてエチレン・
スチレン共重合体(13)とLDPE(a)とのブレン
ド物を作製した。得られたエチレン・スチレン共重合体
(13)の組成を表3に、ブレンド物の電気特性を表4
に示す。
【0151】比較例7 窒素およびエチレンで充分置換した、撹拌翼の付いたオ
ートクレーブに所定量のエチレン、スチレンおよび連鎖
移動剤であるn−ヘプタンを仕込み、さらに開始剤であ
るジ−t−ブチルペルオキシドを注入し、圧力1900
kg/cm2、重合温度180℃、重合時間40分間の
重合条件で重合を行った。生成したポリマーを精製、乾
燥して、スチレン含量4.0mol%のエチレン・スチ
レン共重合体(14)を得た。
【0152】このエチレン・スチレン共重合体(14)
50重量部に、190℃のメルトインデックス0.6g
/10分、密度0.925g/cm3のLDPE(a)
を50重量部、安定剤(老化防止剤)として4,4’−
チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を
0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加
え、実施例6と同様にしてエチレン・スチレン共重合体
(14)とLDPE(a)とのブレンド物を作製した。
得られたエチレン・スチレン共重合体(14)の組成を
表3に、ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0153】
【表3】 *1 St:スチレン *2 結晶化度:表1参照 *3 St・St連鎖構造含量:表1参照
【0154】
【表4】
【0155】表4の注 *1 St:スチレン *2 トータルスチレン:組成物中のスチレン含量 *3 組成物の結晶化度:組成物全体の結晶化度 *4 繰返インパルス:表1参照 *5 絶縁破壊電圧:表1参照
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森園 賢一 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンと芳香族ビニル化合物との共重
    合体であって、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単
    位の含量が0.05〜3mol%、結晶化度が40%以
    上であることを特徴とする電気絶縁体用エチレン・芳香
    族ビニル化合物共重合体。
  2. 【請求項2】 芳香族ビニル化合物から導かれる構造単
    位が2以上連続した連鎖構造を構成する構造単位の割合
    が、芳香族ビニル化合物から導かれる全構造単位に対し
    て1%以下であることを特徴とする請求項1記載の共重
    合体。
  3. 【請求項3】 芳香族ビニル化合物がスチレンであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の共重合体。
  4. 【請求項4】 エチレンと芳香族ビニル化合物とからな
    るエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体と、エチレン
    系重合体とを含む組成物であって、エチレン・芳香族ビ
    ニル化合物共重合体を構成する構造単位およびエチレン
    系重合体を構成する構造単位の合計に占める芳香族ビニ
    ル化合物から導かれる構造単位の含量が0.05〜3m
    ol%であり、結晶化度が40%以上であることを特徴
    とする電気絶縁体用組成物。
  5. 【請求項5】 エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体
    は、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位が2以上
    連続した連鎖構造を構成する構造単位の割合が、芳香族
    ビニル化合物から導かれる全構造単位に対して1%以下
    のものであることを特徴とする請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 芳香族ビニル化合物がスチレンであるこ
    とを特徴とする請求項4または5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれかに記載の共
    重合体またはその架橋物を含むことを特徴とする電線用
    被覆材。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし6のいずれかに記載の組
    成物またはその架橋物を含むことを特徴とする電線用被
    覆材。
  9. 【請求項9】 請求項7または8記載の電線用被覆材で
    被覆されたことを特徴とする電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000027936A1 (en) * 1998-11-06 2000-05-18 The Dow Chemical Company COATINGS COMPOSITIONS CONTAINING α-OLEFIN/VINYL OR VINYLIDENE AROMATIC AND/OR HINDERED ALIPHATIC OR CYCLOALIPHATIC VINYL OR VINYLIDENE INTERPOLYMERS

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WO2000027936A1 (en) * 1998-11-06 2000-05-18 The Dow Chemical Company COATINGS COMPOSITIONS CONTAINING α-OLEFIN/VINYL OR VINYLIDENE AROMATIC AND/OR HINDERED ALIPHATIC OR CYCLOALIPHATIC VINYL OR VINYLIDENE INTERPOLYMERS

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