JP2000090743A - 電気絶縁材およびこれを用いた電線・ケ―ブル - Google Patents

電気絶縁材およびこれを用いた電線・ケ―ブル

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JP2000090743A
JP2000090743A JP17030699A JP17030699A JP2000090743A JP 2000090743 A JP2000090743 A JP 2000090743A JP 17030699 A JP17030699 A JP 17030699A JP 17030699 A JP17030699 A JP 17030699A JP 2000090743 A JP2000090743 A JP 2000090743A
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Japan
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ethylene
copolymer
insulating material
olefin
carbon atoms
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JP17030699A
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Masaaki Ikeda
雅昭 池田
Yoshimi Shimizu
良美 清水
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Japan Polyolefins Co Ltd
Original Assignee
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性に優れ、しかも機械的強度が低下せ
ず、また電気絶縁性に優れたエチレン・α−オレフイン
共重合体からなる電気絶縁用樹脂、その組成物、および
これを用いた電線・ケーブルを提供する。 【解決手段】 密度が0.92〜0.96g/cm3
MFRが0.01〜200g/10分、分子量分布(M
w/Mn)が1.5〜5.0、連続昇温溶出分別法(T
REF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つで
あるなどの特定のパラメーターを満足することによっ
て、分子量分布が狭いにもかかわらず、比較的広い組成
分布を有しているエチレン・α−オレフィン共重合体を
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性に優れ、し
かも機械的強度と電気絶縁性に優れたエチレン共重合体
を有する電気絶縁材、およびこれを用いた電線・ケーブ
ルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、いわゆるメタロセン触媒の出現に
より、機械的強度の強いエチレン系重合体が得られるよ
うになった。このメタロセン触媒を用いることにより、
電気的活性化エネルギーが低く、電気絶縁材料に適した
エチレン系重合体も得られることが特開平9−1723
5号公報に開示されている。
【0003】しかしながら、このエチレン系重合体は組
成分布が非常に狭く、温度に対する粘度および強度の変
化が非常に急激であるため、成形加工時の温度や押し出
し条件等の適応範囲が狭く、加工性が悪い。これらを改
良する手段としては、分子量の異なる成分をブレンドし
たり、多段重合するなどの方法がある。しかしながら、
このような改良手段を用いても、メタロセン触媒を用い
て製造されたエチレン系重合体の加工性は必ずしも十分
なレベルとは言い難い。
【0004】さらに、メタロセン触媒を用いて製造され
たエチレン系重合体と、分子量の異なるチグラー系触媒
あるいはフィリップス触媒を用いて製造されたエチレン
系重合体をブレンドする方法が、例えば特表平9−50
5090号公報に提示されているが、分散性が不十分で
メルトフラクチャーを生じたり、機械的強度が低下する
欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加工
性に優れ、しかも機械的強度が低下せず、また電気絶縁
性に優れた電気絶縁材、およびこれを用いた電線・ケー
ブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に沿って鋭意検討した結果、分子量分布が狭いにもかか
わらず、比較的広い組成分布を持つ、エチレン・α−オ
レフィン共重合体、およびこれと他のポリオレフイン系
樹脂とのブレンド品を用いることにより、加工性に優
れ、機械的強度および電気絶縁性の優れた電気絶縁材を
提供できることを見出し、本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明の電気絶縁材は、下記
(A)〜(G)を満足するエチレンと炭素数5〜12の
α−オレフインとの共重合体からなることを特徴とす
る。 (A)密度が0.92〜0.96g/cm3 (B)メルトフローレート(MFR)が0.01〜20
0g/10分 (C)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (D)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが一つであり、かつこの溶出温度
−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
の差T75−T25および密度dが、下記(式a)の関係、
および下記(式b)の関係を満足すること (式a) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3 のとき T75−T25≧0 (式b) T75−T25≦−670×d+644 (E)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
も高い融点Tm1と密度dが、下記(式c)の関係を満た
すこと (式c) Tm1≧150×d−17 (F)電気的活性化エネルギーが0.4eV以下
【0008】また、前記エチレンと炭素数5〜12のα
−オレフィンとの共重合体は、さらに下記(G)の要件
を満足することが望ましい。 (G)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が下記(式d)の関係を満足すること (式d) logMT≦−0.572×logMFR+
0.3
【0009】また、前記エチレンと炭素数5〜12のα
−オレフィンとの共重合体が、少なくとも共役二重結合
をもつ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属
化合物を含む触媒の存在下で、エチレンと炭素数5〜1
2のα−オレフィンとを共重合させることにより得られ
たものであることが望ましい。また、前記エチレンと炭
素数5〜12のα−オレフィンとの共重合体は、(H)
ハロゲン濃度が10ppm以下であることが望ましい。
【0010】また、本発明の電気絶縁材は、前記いずれ
かのエチレンと炭素数5〜12のα−オレフインとの共
重合体と、他のポリオレフイン系樹脂とを有することを
特徴とする。また、前記他のポリオレフイン系樹脂は、
高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレンであるこ
とが望ましい。そして、本発明の電線・ケーブルは、前
記電気絶縁材を用いたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるエチレンと炭素数5〜12のα−オレフ
インとの共重合体(以下、エチレン共重合体と記す)と
は、下記の(A)〜(F)の要件を満足するものであ
る。 (A)密度が0.92〜0.96g/cm3 (B)メルトフローレート(MFR)が0.01〜20
0g/10分 (C)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (D)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
−溶出量曲線のピークが一つであり、かつこの溶出温度
−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
の差T75−T25および密度dが、下記(式a)の関係、
および下記(式b)の関係を満足すること (式a) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3 のとき T75−T25≧0 (式b) T75−T25≦−670×d+644 (E)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
も高い融点Tm1と密度dが、下記(式c)の関係を満た
すこと (式c) Tm1≧150×d−17 (F)電気的活性化エネルギーが0.4eV以下
【0012】本発明におけるエチレン共重合体のα−オ
レフィンとは、炭素数が5〜12、好ましくは5〜10
のものであり、具体的には1−ペンテン、4−メチル−
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα
−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、
好ましくは3〜20モル%以下の範囲で選択されること
が望ましい。
【0013】本発明におけるエチレン共重合体の(A)
密度は、0.92〜0.96g/cm3 、好ましくは
0.925〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは
0.925〜0.935g/cm3 の範囲である。密度
が0.92g/cm3 未満のものは、剛性、耐熱性が劣
るものとなり、0.96g/cm3 を超えると硬すぎ
て、衝撃強度等の機械的強度が低くなる。
【0014】本発明におけるエチレン共重合体の(B)
メルトフローレート(以下MFRと記す)は0.01〜
200g/分、好ましくは0.05〜50g/分、さら
に好ましくは0.1〜40g/10分の範囲である。M
FRが0.01g/10分未満では加工性が不良とな
り、200g/10分を越えると機械的強度が弱いもの
となる。
【0015】本発明におけるエチレン共重合体の(C)
分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜5.0の範囲、好
ましくは1.6〜4.5、さらに好ましくは1.7〜
4.0の範囲である。上記Mw/Mnが1.5未満では
加工性が劣り、5.0を超えるものは衝撃強度等の機械
的強度が劣る。一般にエチレン共重合体の分子量分布
(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラ
フィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を
算出することにより求めることができる。
【0016】本発明におけるエチレン共重合体は、図1
に示すように、(D)連続昇温溶出分別法(TREF)
による溶出温度−溶出量曲線のピークが一つであり、か
つこの溶出温度−溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた
全体の25%の量が溶出する温度、すなわち溶出温度−
溶出量曲線を積分して得られた面積が、全体の25%の
面積となる温度T25と、全体の75%が溶出する温度、
すなわち溶出温度−溶出量曲線を積分して得られた面積
が、全体の75%の面積となる温度T75との差T75−T
25および密度dが、下記(式a)の関係、および下記
(式b)の関係を満足する。 (式a) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3 のとき T75−T25≧0 (式b) T75−T25≦−670×d+644 T75−T25と密度dが上記(式a)の関係を満足しない
場合には、耐熱性が劣るものとなり、上記(式b)の関
係を満足しない場合には、低温での加工性が劣るものと
なる。
【0017】本発明に関わるTREFの測定方法は下記
の通りである。試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒド
ロキシトルエン)を加えたオルソジクロロベンゼン(O
DCB)に試料濃度が0.05重量%となるように加
え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、
ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分
の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表
面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量
で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で
昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中
に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の
波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定す
ることにより連続的に検出される。この値から、溶液中
のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析
し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分析
によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度
の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出でき
ない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0018】また、本発明におけるエチレン共重合体
は、(E)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのう
ち最も高い融点Tm1と密度dが、下記(式c)の関係を
満足する。 (式c) Tm1≧150×d−17 融点Tm1と密度dが上記(式c)の関係を満足しない
と、耐熱性が劣るものとなる。
【0019】本発明におけるエチレン共重合体の(F)
電気的活性化エネルギーは0.4eV以下である必要が
あり、好ましくは0.3eV以下であり、さらに好まし
くは0.25eV以下である。0.4eVを超えると、
イオンあるいは電子等の荷電担体の量あるいはその移動
性が、温度をあげることにより大きく増加し、熱的、化
学的安定性が低下する。この値は従来のポリエチレン材
料と比較して非常に小さい値であり、本発明におけるエ
チレン共重合体は、それに含まれる荷電担体の量とその
移動性が温度の影響を受けにくいという、特殊な構造を
持つものと考えられる。
【0020】ここで、活性化エネルギーとは、輸送現象
の過程で速度定数の温度変化を表すアレニウスの式に含
まれる定数の1つをいい、原系から遷移状態をへて生成
系に移る過程で遷移状態と原系の状態とのエネルギー差
に相当する。特に電気的活性化エネルギーとは、電流の
温度依存性を示すアレニウスの式で用いられる。ここで
電気的活性化エネルギーが小さいことは電流の温度依存
性が小さいことを示す。
【0021】本発明に関わる電気的活性化エネルギー
(U)は、次式(アレニウスの式)より求めることがで
きる。 I∝ exp(−U/kT) (I:電流、k:ボルツマン定数、T:絶対温度) 上式に、室温(20°C)および90°Cでの電流値を
代入することにより求めることができる。
【0022】さらに、本発明におけるエチレン共重合体
は、下記(G)の要件を満足することが好ましい。 (G)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
(MFR)が、下記(式d)の関係を満足すること (式d) logMT≦−0.572×logMFR+
0.3 MTとMFRが上記(式d)の関係を満足することによ
り、加工性が良好なものとなる。
【0023】本発明におけるエチレン共重合体は、分子
量分布が狭いにもかかわらず、組成分布が比較的広いた
め、引張強度、衝撃強度等の機械的強度が強く、かつ耐
熱性がよいものである。
【0024】本発明におけるエチレン共重合体は、従来
の典型的なメタロセン触媒、すなわち、シクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子と周期律表第IV族の遷移金属
化合物を含む少なくとも1種の触媒下の存在下で得られ
るエチレン共重合体より分子量分布が広く、かつチーグ
ラー系触媒で得られる低密度エチレンーα・オレフイン
共重合体より低温成形性に優れており、これらのエチレ
ン共重合体とは明確に区別されるものである。
【0025】本発明におけるエチレン共重合体は、前記
特定のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法等に特
に限定されるものではないが、好ましくは少なくとも共
役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第IV族の遷
移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチ
レンと炭素数5〜12のα−オレフィンを共重合させて
得られるエチレン共重合体であることが望ましい。この
ような触媒を用いることによって、エチレン共重合体の
電気的活性化エネルギーを0.4eV以下とすることが
できる。
【0026】本発明におけるエチレン共重合体は、特に
以下のa1〜a4の化合物の中からハロゲンを含有しな
いものを混合して得られる触媒で重合すると、ハロゲン
補足剤を添加する必要がなく、電気特性の悪化をきたす
ことがなく特に望ましい。また、以下のa1〜a4の化
合物を混合して得られる触媒を用いると、(F)電気的
活性化エネルギーが0.4eV以下の要件を満たすエチ
レン共重合体を得ることができる。 a1:一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表
される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハ
フニウムを示し、R1 およびR3 はそれぞれ炭素数1〜
24の炭化水素基、R2 は、2,4−ペンタンジオナト
配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナト配位子、
ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導体、X1
ハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p
≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の
範囲を満たす整数である) a2:一般式Me24 m(OR5n2 z-m-n で表される
化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R4
およびR5 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X
2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素
原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限
る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそ
れぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であ
り、かつ、0≦m+n≦zである) a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物 a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
オキシ化合物および/またはホウ素化合物
【0027】以下、さらに詳説する。上記触媒成分a1
の一般式Me11 p2 q(OR3r1 4-p-q-r で表され
る化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフ
ニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるも
のではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の
耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ま
しい。R1 およびR3はそれぞれ炭素数1〜24の炭化
水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましく
は1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;
ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、
トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナ
フチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、
フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニ
ルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙
げられる。これらは分岐があってもよい。R2 は、2,
4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾ
イルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子また
はその誘導体を示す。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素およ
び臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞ
れ、0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q
+r≦4の範囲を満たすを整数である。
【0028】上記触媒成分a1の一般式で示される化合
物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエ
チルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テト
ラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロ
ジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラブ
トキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブ
トキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキ
シジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZ
r(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合
して用いても差し支えない。また、前記2,4−ペンタ
ンジオナト配位子またはその誘導体、ベンゾイルメタナ
ト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子またはその誘導
体の具体例としては、テトラ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)
クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナ
ト)ジクロライドジルコニウム、(2,4−ペンタンジ
オナト)トリクロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペ
ンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ
(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイド
ジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n
−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジ
オナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタ
ンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベ
ンゾイルメタナト)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメ
タナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイ
ルメタナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ
(ジベンゾイルメタナト)ジ−n−ブトキサイドジルコ
ニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジエトキサイドジ
ルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)ジ−n−プロ
ポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナト)
ジ−n−ブトキサイドジルコニウム等があげられる。
【0029】上記触媒成分a2の一般式Me24 m(O
5n2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期
律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、
アルミニウムなどである。R4およびR5 はそれぞれ炭
素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜1
2、さらに 好ましくは1〜8であり、具体的にはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケ
ニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル
基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベン
ジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベン
ズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などの
アラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があって
もよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などの
ハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただ
し、X2が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニ
ウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限
るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよ
びnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満た
す整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0030】上記触媒成分a2の一般式で示される化合
物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなど
の有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチ
ルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチ
ルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合
物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合
物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボ
ロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチ
ルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセス
キクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジ
エチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウ
ム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0031】上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有
機環状化合物は、環状で共役二重結合を2個以上、好ま
しくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を
1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好まし
くは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化
水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的
には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル
基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を
2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜
3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4
〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有
する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に
1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリ
ウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物
が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロ
ペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0032】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物
がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは
2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用い
られる。
【0033】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式で表示することができる。 ALSiR4-L ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペン
タジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示
される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアル
キル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブト
キシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール
基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基
などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好まし
くは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1
≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0034】上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の
具体例として、シクロペンタジエン、メチルシクロペン
タジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチ
ルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−イ
ンデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリ
エン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテト
ラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのよ
うな炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロ
ポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシク
ロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニル
シラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラ
ン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0035】触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む
変性有機アルミニウムオキシ化合物とは、アルキルアル
ミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常ア
ルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化
合物が得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは
1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変
性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもい
ずれでもよい。
【0036】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。水と有機アルミニウム化合物との
反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2
/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ま
しい。
【0037】ホウ素化合物としては、テトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアルミニウム(トリ
エチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジ
メチルアニリニウム(ジメチルアニリニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート、ブチルアンモニウム
テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−
ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ
(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート等が挙げられ
る。
【0038】上記触媒はa1〜a4を混合接触させて使
用しても良いが、好ましくは無機担体および/または粒
子状ポリマー担体(a5)に担持させて使用することが
望ましい。該無機物担体および/または粒子状ポリマー
担体(a5)とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属
塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体
に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミ
ニウム、ニッケルなどが挙げられる。具体的には、Si
2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23
CaO、ZnO、BaO、ThO2等、またはこれらの
混合物が挙げられ、SiO2−Al23、SiO2−V2
5、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2
MgO、SiO2−Cr23等が挙げられる。これらの
中でもSiO2およびAl 23からなる群から選択され
た少なくとも1種の成分を主成分とするものが好まし
い。また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリ
オレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポ
リノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物
等が挙げられる。
【0039】上記無機物担体および/または粒子状ポリ
マー担体は、このまま使用することもできるが、好まし
くは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化
合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いる
こともできる。
【0040】本発明におけるエチレン共重合体は、上述
の触媒成分の中に塩素等のハロゲンを含まない触媒を使
用して製造することによりハロゲン濃度としては多くと
も10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好
ましくは実質的に含まない(2ppm以下)ものとする
ことが可能である。このような塩素等のハロゲンフリー
のエチレン共重合体を用いることにより、誘電正接に悪
影響を及ぼす安定剤等を添加する必要がなくなる。
【0041】本発明におけるエチレン共重合体の製造方
法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気
相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、
実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に
例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下
で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温
度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、
さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低
中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましく
は常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常
1500kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低
中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5
時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30
分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重
合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、
重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる
2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではな
い。
【0042】本発明の電気絶縁材は、上述のエチレン共
重合体、もしくはエチレン共重合体と他のポリオレフィ
ン系樹脂とをわずかでも有するものであり、エチレン共
重合体100〜1重量%と、他のポリオレフィン系樹脂
0〜99重量%を有するものであり、好ましくはエチレ
ン共重合体100〜5重量%と、他のポリオレフィン系
樹脂0〜95重量%、さらに好ましくはエチレン共重合
体100〜10重量%と、他のポリオレフィン系樹脂0
〜90重量%とを有するものである。
【0043】本発明における他のポリオレフィン系樹脂
としては、上述のエチレン共重合体とは異なるエチレン
・α−オレフィン共重合体、ラジカル重合法によって得
られたエチレン(共)重合体、ポリプロピレン、ポリブ
テン−1、ポリ4―メチル−ペンテン−1、エチレン・
α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM等)等
が挙げられる。
【0044】上記エチレン共重合体とは異なるエチレン
・α−オレフィン共重合体としては、上述のエチレン共
重合体で規定される特定のパラメーターを満たさないも
のであり、従来公知のチーグラー系触媒あるいはフィリ
ップス触媒(以下、両者を含めてチーグラー型触媒と記
す)、あるいはメタロセン触媒を用いて重合されるエチ
レン・α−オレフィン共重合体である。これはエチレン
共重合体より一般的には分子量分布あるいは組成分布が
広く、密度が0.86〜0.96g/cm3 、MFRが
0.1〜30g/10分の範囲のものが好ましく、いわ
ゆる超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密
度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン
(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)を包含
するものである。
【0045】上記チーグラー型触媒による高密度ポリエ
チレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とは、
密度が0.91〜0.97g/cm3 、好ましくは0.
91〜0.96g/cm3 、より好ましくは0.91〜
0.94g/cm3 の範囲であり、MFRが0.005
〜20g/10分、好ましくは0.05〜10g/10
分、さらに好ましくは0.08〜10g/10分の範囲
で選択される。メルトテンションは0.3〜40g、好
ましくは0.4〜35g、さらに好ましくは0.5〜3
0gである。Mw/Mnは2.5〜13、好ましくは3
〜8である。
【0046】上記チーグラー型触媒による超低密度ポリ
エチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.9
1g/cm3 未満、好ましくは0.88〜0.905g
/cm3 、MFRは0.01〜20g/10分、好まし
くは0.1〜10g/10分の範囲で選択される。該超
低密度ポリエチレン(VLDPE)は、直鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン
共重合体ゴム(EPR、EPDM)との中間の性状を示
すポリエチレンを有しており、示差走査熱量測定法(D
SC)による最大ピーク温度(Tm)が60℃以上、好
ましくは100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分1
0重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレ
フィン共重合体であり、少なくともチタンおよび/また
はバナジウムを含有する固体触媒成分と有機アルミニウ
ム化合物とからなる触媒を用いて重合され、直鎖状低密
度ポリエチレン(LLDPE)が示す高結晶部分とエチ
レン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを
合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である機械的強
度、耐熱性等と、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温
衝撃性などがバランスよく共存している。
【0047】上記チーグラー型触媒によるエチレン・α
−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素
数が3〜12、好ましくは3〜10のものであり、具体
的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1
−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレ
フィンの含有量は、合計で通常3〜40モル%の範囲で
選択されることが好ましい。
【0048】上記ラジカル重合法によって得られたエチ
レン(共)重合体としては、高圧ラジカル重合法による
低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・ビニルエ
ステル共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体との共重合体などが挙げられる。
【0049】低密度ポリエチレン(LDPE)は、MF
Rが0.05〜20g/10分、さらに好ましくは0.
1〜10g/10分の範囲である。この範囲であれば、
メルトテンションが適切な範囲となり、成形加工性が向
上する。また、密度は0.91〜0.94g/cm3
さらに好ましくは0.912〜0.935g/cm3
範囲である。この範囲であれば、メルトテンションが適
切な範囲となり、成形加工性が向上する。メルトテンシ
ョンは、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さら
に好ましくは3〜15gである。また、分子量分布Mw
/Mnは、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0で
ある。メルトテンションは樹脂の弾性項目であり、上記
の範囲であれば成形加工性が良好となる。
【0050】エチレン・ビニルエステル共重合体とは、
高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とす
るプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン
酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステ
ル単量体との共重合体である。中でも、特に好ましいも
のとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。また、
エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5
〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜4
9.5重量%からなる共重合体が好ましい。特に、ビニ
ルエステルの含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜
25重量%の範囲である。エチレン・ビニルエステル共
重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、さらに好
ましくは0.3〜10g/10分の範囲であり、メルト
テンションは2.0〜25g、好ましくは3〜20gで
ある。
【0051】エチレンとα,β−不飽和カルボン酸また
はその誘導体との共重合体としては、エチレン・無水マ
レイン酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸また
はそのアルキルエステル共重合体等が挙げられ、これら
のコモノマーとしては、無水マレイン酸、アクリル酸、
メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプ
ロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブ
チル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタク
リル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも
特に好ましいものとして、無水マレイン酸や、(メタ)
アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙
げることができる。特に、(メタ)アクリル酸エステル
の含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%
の範囲である。エチレンとα,β−不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体との共重合体のMFRは0.1〜20g
/10分、さらに好ましくは0.3〜10g/10分で
あり、メルトテンションは2.0〜25g、好ましくは
3〜20gである。上記エチレン・ビニルエステル共重
合体や、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体との共重合体は、耐水トリー性をさらに向上さ
せるため、この特性を特に要求される場合は好ましく用
いられる。
【0052】上記ポリプロピレンは、MFRが0.1〜
100g/10分、さらに好ましくは0.2〜50g/
10分の範囲である。この範囲であれば、メルトテンシ
ョンが適切な範囲となり、成形加工性が向上する。上記
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとしては、エチ
レンプロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン
−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン・ブテン
−1共重合ゴム等が挙げられる。
【0053】配合される他のポリオレフィン系樹脂の種
類は、それぞれ要求される特性によって異なる。具体的
には加工性を重視する場合は高圧ラジカル重合によるエ
チレン(共)重合体、ケーブル製造時の取扱い性や経済
性、耐熱性等を重視する場合は低、中、高圧下で得られ
る線状低密度ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン等
が用いられる。
【0054】本発明の電気絶縁材は、樹脂組成物をその
まま用いても差し支えないが、耐熱性および機械的強度
をより向上させるためには架橋することが望ましい。架
橋の方法としては、特に限定はされないが、有機過酸化
物等のラジカル発生剤による架橋、電子線架橋、シラン
架橋等の方法を用いることができる。中でも、経済的に
安価であることから有機過酸化物等のラジカル発生剤に
よる方法が好ましい。
【0055】ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、
α,α−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)
ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパー
オキシ)ヘキシン、アゾビスイソブチロニトリル等の過
酸化物、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタ
ン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、
2,3−ジエチル−2,3−ジ(p−メチルフェニル)
ブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジ(ブロモフェニ
ル)ブタン等が挙げられる。
【0056】上記架橋においては、これらラジカル発生
剤の内、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)
ヘキシンなどを使用するのがよい。また、ラジカル発生
剤は、電気絶縁材の合計100重量部に対して0.01
〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲で使用
される。
【0057】本発明の電気絶縁材には、必要に応じて無
機フィラー、有機フィラー、酸化防止剤、滑剤、有機あ
るいは無機系顔料、紫外線防止剤、光安定剤、分散剤、
銅害防止剤、中和剤、可塑剤、核剤、顔料等を添加して
もよい。
【0058】本発明の電気絶縁材は、電線・ケーブル、
コンデンサ−の絶縁材、X線発生装置等の高電圧部分の
絶縁、配電用コードなどに使用できる。
【0059】本発明の電線・ケーブルは、前記電気絶縁
材、またはこれを架橋した絶縁層で構成された電線・ケ
ーブルである。また、本発明の電線・ケーブルは、例え
ば、少なくとも導体上に本発明の電気絶縁材を通常の押
出被覆法によって被覆し、絶縁層を構成した電線ケーブ
ルであり、必要に応じて、導体部分を集合線にしたり、
導体と絶縁層の間に半導電層を設けることや、絶縁層の
外部に難燃性の樹脂層を構成したりすることができる。
【0060】上記電線・ケーブルの具体例としては、銅
製の集合線からなるワイヤーに導電性炭素または金属粉
を加えた樹脂組成物を被覆して半導電層とし、その上に
本発明の電気絶縁材を被覆し絶縁層を構成し、更にその
うえに金属シートで被覆または半導電層を設け、最外部
に難燃性樹脂や鼠忌避性樹脂を被覆してなるケーブル、
銅製の単線に炭素または金属粉を加えた樹脂組成物を被
覆して半導電層とし、その上に本発明の電気絶縁材を被
覆し絶縁層を構成し、更にそのうえに金属フィルム層を
設け、かかる銅線被覆体を数本〜数十本組み合わせ最外
部に難燃性樹脂や鼠忌避性樹脂を被覆してなるケーブル
等が挙げられる。特に、本発明の電気絶縁材は高圧の電
気に対して特に効果が著しく、大容量ケーブル、直流ケ
ーブルとして好適に使用される。
【0061】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、本発明はこれら実施例によって限定されるもので
はない。本実施例における試験方法は以下の通りであ
る。 (エチレン(共)重合体の物性) [密度]JIS K6760に準拠した。 [MFR]JIS K6760に準拠した。 [DSCによるTmlの測定]厚さ0.2mmのシートを
熱プレスで成形し約5mgの試料を打ち抜き230℃で
10分保持後10℃/分にて25℃迄冷却後、再び10
℃/分で170℃迄昇温し、現れた最高温ピークの頂点
の温度を最高ピーク温度Tmlとした。 [Mw/Mn]GPC(ウォータース社製150C型)
を用い、溶媒として135℃のODCBを使用した。カ
ラムは東ソーのGMHHR−H(S)を使用した。
【0062】[TREF]カラムを140℃に保って試
料を注入して4℃/hrで25℃まで降温し、ポリマー
をガラスビーズ上に沈着させた後、カラムを下記条件に
て昇温して各温度で溶出したポリマー濃度を赤外検出器
で検出した。 溶媒:ODCB、流速:1ml/分、昇温速度:5℃/
分、検出器:赤外分光器(波長3.42μm)、カラ
ム:0.8cmφ×12cmL(ガラスビーズを充
填)、試料濃度:1mg/ml [メルトテンション]溶融させたポリマーを一定速度で
延伸したときの応力をストレインゲージにて測定するこ
とにより決定した。測定試料は造粒してペレットにした
ものを用い、東洋精機製作所製MT測定装置を使用して
測定した。使用するオリフィスは穴径2.09mmφ、
長さ8mmであり、測定条件は樹脂温度190℃、押出
速度20mm/分、巻取り速度15m/分である。 [塩素濃度]蛍光X線法により測定し、10ppm以上
の塩素が検出された場合はこれをもって分析値とした。
10ppmを下回った場合は、ダイアインスツルメンツ
(株)製TOX−100型塩素・硫黄分析装置にて測定
し、2ppm以下についてはNDとし、実質的には含ま
れないものとした。
【0063】(電気絶縁材の電気的特性) [体積抵抗測定]図2に示す体積抵抗測定用電極系を用
いた。この体積抵抗測定用電極系は、板状の試料3の表
面に円板状の主電極1と、主電極1を同心円状に取り囲
むリング状のガード電極2とを取り付け、試料3の裏面
に円板状の高圧電極4を取り付けたものである。電極材
料は、ステンレス鋼板であり試料3と接触する面はバフ
研磨器により鏡面状態まで研磨した。測定は、室温(2
0℃)および90℃の窒素雰囲気下において行った。ま
た測定は、試料3を電極系に設置し、主電極1と高圧電
極4の間を5分間短絡し試料3表面に帯電した電荷を除
去した後に行った。90℃で測定したものは、試料中が
均一に90℃になるように7分間短絡した。印加電圧
は、電池による直流3300Vである。測定器は、振動
容量型電流計(アドバンテスト製 TR8411)を用
いた。測定器と電極を結ぶケーブルは、パイプケーブル
を用い、外来ノイズの除去を図った。この測定系では、
室温で3×1017Ω、90℃で3×1016Ωまで安定し
て測定できる。試料3の厚さは、約0.3mmであり、
試料ごとに厚さを小数以下2桁まで測定した。有極電極
面積は19.6cm2 である。電流−時間特性の調査か
ら、電圧印加後、吸収電流による電流減少がなくなり、
安定して電流が測定できるのは10分後とした。よっ
て、電圧印加10分後の電流値を測定値とするが、電流
が10分を経過しても安定しない場合は、5分程度は安
定するのを待ち測定するがそれ以上のものは、測定から
除去した。測定から得られた電流値をもとに体積抵抗を
求めた。測定は10回行い、その平均値をデータとし
た。
【0064】[電気的活性化エネルギー]体積抵抗測定
時に得られた電流値をもとにして、下記アレニウスの式
により電気的活性化エネルギー(U)を求めた。 I∝ exp(−U/kT) (I:電流、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)
【0065】(電線・電力ケーブルの特性) [電線被覆性]電気絶縁材を銅線上に被覆した後、電線
の表面を目視で観察した。表面の荒れがめだつもの、お
よび成形不能であるものを×、表面荒れがめだたないも
のを○として、電線被覆性を判定した。
【0066】[ケーブル製造性]ケーブルの絶縁層の成
形中において、押出し圧力の増加や、偏肉により成形不
能となったものを×、偏肉や、絶縁層・半導電層界面に
不整を生じず良好にケーブルとなったものを○として、
ケーブル製造性を判定した。
【0067】[水トリー測定]水トリーの測定は図3に
示す装置を用い、室温で30日間、10kV、10kH
zの電圧を印加した。印加終了後、水トリーの発生と進
展の状況について染色して顕微鏡で観察し、水トリーの
発生・進展がめだつものを×、めだたないものを○とし
て、耐水トリー性を判定した。図3に示す水トリーの測
定装置は、水トリー測定用試料11の下側に設置された
導電板12と、水トリー測定用試料11の上側に設置さ
れ、内部に水13が充填された容器15と、導電板12
に取り付けられた接地電極14と、容器15内の水13
に接する印加電極16とからなるものであり、容器15
の底部は試料11となっている。
【0068】(実施例1〜5) [固体触媒の調製]電磁誘導撹拌機を備えた触媒調製装
置に、窒素下で精製したトルエン1000ml、テトラ
エトキシジルコニウム(Zr(OEt)4 )22gおよ
びインデン74gを加え、90℃に保持しながらトリプ
ロピルアルミニウム100gを100分かけて滴下し、
その後、同温度で2時間反応させた。40℃に冷却した
後、メチルアルモキサンのトルエン溶液(濃度2.5m
mol/ml)を3200ml添加し2時間攪拌した。
次にあらかじめ450℃で5時間焼成処理したシリカ
(グレース社製、#952、表面積300m2 /g)2
000gを加え、室温で1時間撹拌の後、40℃で窒素
ブローおよび減圧乾燥を行い、流動性のよい固体触媒を
得た。
【0069】[気相重合]連続式の流動床気相重合装置
を用い、重合温度80℃、全圧20kgf/cm2Gでエ
チレンと1−ヘキセンの共重合を行った。前記固体触媒
を連続的に供給し、エチレン、1−ヘキセンおよび水素
を所定のモル比に保つように供給して重合を行い、種々
のエチレン共重合体(PE1〜5)を得た。これらエチ
レン共重合体の各物性を上記の試験法を用いて測定し
た。結果を表1に示す。
【0070】[体積抵抗測定用試料の作製]エチレン共
重合体をホットプレス加工により厚さ0.3mmのシー
トに成形し、このシートをアルミシートで挟み、140
℃で5分間予熱し、140℃、100kg/cm2 で5
分間加圧し、加圧下で140℃から30℃まで5分間で
冷却して体積抵抗測定用試料を作製した。この試料につ
いて体積抵抗を測定した。結果を表1に示す。
【0071】[電線の製造]エチレン共重合体を0.9
mmφの銅線上に被覆して電線を製造し、その電線被覆
性を評価した。結果を表1に示す。(被覆条件:ダイス
径2.5mm、ニップル径0.95mm、ダイスニップ
ルクリアランス5.3mm、仕上がり外径2.45m
m、引き取り速度は100m/min)
【0072】[電力ケーブルの製造]エチレン共重合体
を絶縁材として用いて図4に示す電力ケーブルを製造
し、その製造性を評価した。結果を表1に示す。図4の
電力ケーブルは、内側から順に、導電性金属の集合線か
らなる導電部材21、内部半導電層22、エチレン共重
合体からなる絶縁層23、外部半導電層24、アルミニ
ウム箔25、保護材料26(無機系難燃剤入りポリオレ
フィン)が同心円状に形成されている。
【0073】
【表1】
【0074】(比較例1〜7)比較例に用いたエチレン
(共)重合体(PE6〜12)は以下の通りである。こ
れらエチレン(共)重合体の各物性は表2に示した。 [PE6]四塩化チタンとトリエチルアルミニウムから
なる触媒を用い、気相法にてエチレンと1−ヘキセンを
共重合して線状低密度ポリエチレンを得た。 [PE7]四塩化チタンとジエチルアルミニウムクロリ
ドからなる触媒を用い、溶液法にてエチレンと4−メチ
ル−1−ペンテンを共重合して線状低密度ポリエチレン
を得た。 [PE8]四塩化チタンとジエチルアルミニウムクロリ
ドからなる触媒を用い、溶液法にてエチレンと4−メチ
ル−1−ペンテンを共重合して線状低密度ポリエチレン
を得た。 [PE9]四塩化チタンとジエチルアルミニウムクロリ
ドからなる触媒を用い、溶液法にてエチレンと4−メチ
ル−1−ペンテンを共重合して線状低密度ポリエチレン
を得た。 [PE10]メタロセン触媒による市販の線状低密度ポ
リエチレン(銘柄:アフィニティHF1030、ダウ・
ケミカル株式会社製) [PE11]市販の線状低密度ポリエチレン(銘柄:A
M1720、日本ポリオレフィン株式会社製) [PE12]市販の高圧法低密度ポリエチレン(銘柄:
W3300、日本ポリオレフィン株式会社製)
【0075】これらエチレン(共)重合体(PE6〜1
2)を用い、実施例1〜5と同様にして体積抵抗測定用
試料、電線、電力ケーブルを作製し、評価を行った。結
果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】(実施例6)エチレン共重合体(PE4)
と、他のポリオレフィン系樹脂としてエチレン(共)重
合体(PE8)とを用意し、これらを表3に示す配合比
でプラストミルで160℃、5分間混練し、電気絶縁用
樹脂組成物を得た。この組成物について各評価を行っ
た。結果を表3に示す。
【0078】(実施例7)他のポリオレフィン系樹脂と
してエチレン(共)重合体(PE11)を用いた以外は
実施例6と同様に行った。結果を表3に示す。
【0079】(実施例8)他のポリオレフィン系樹脂と
してエチレン(共)重合体(PE12)を用いた以外は
実施例6と同様に行った。結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】実施例1〜5に見られるように、本発明の
電気絶縁用樹脂は体積抵抗が高く、その温度依存性も小
さい。電線被覆性、ケーブル製造性もよく、耐水トリー
性も優れていた。実施例6〜8に見られるように、本発
明の電気絶縁用樹脂は他のポリオレフィン系樹脂とブレ
ンドしても高い体積抵抗を示し、電線被覆性、ケーブル
製造性もよく、耐水トリー性も優れていた比較例1〜4
は、塩素濃度が高く、また体積抵抗の温度依存性が大き
いため、90℃の体積抵抗は小さい。また、電線被覆
性、ケーブル製造性、耐水トリー性も劣っていた。比較
例5も体積抵抗、電線被覆性、ケーブル製造性、耐水ト
リー性が劣っていた。比較例6、7は、電線被覆性、ケ
ーブル製造性が良好であるが、体積抵抗、耐水トリーに
劣っていた。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電気絶縁
材にあっては、上述の特定の要件を満足するエチレンと
炭素数5〜12のα−オレフインとの共重合体を有する
ものであるので、加工性に優れ、しかも機械的強度が低
下せず、また電気絶縁性に優れたものとなる。
【0083】また、前記エチレンと炭素数5〜12のα
−オレフィンとの共重合体のメルトテンション(MT)
とメルトフローレート(MFR)が、さらに上記(G)
の要件を満足する場合、機械的強度、電気絶縁性により
優れたものとなる。また、前記エチレンと炭素数5〜1
2のα−オレフィンとの共重合体のハロゲン濃度が10
ppm以下である場合、安定剤等を添加する必要がなく
なるので、電気的特性に優れたものとなる。
【0084】また、前記エチレンと炭素数5〜12のα
−オレフィンとの共重合体が、少なくとも共役二重結合
をもつ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属
化合物を含む触媒の存在下で、エチレンと炭素数5〜1
2のα−オレフィンとを共重合させることにより得られ
たものである場合、さらに加工性、機械的強度、および
電気絶縁性に優れたものとなる。
【0085】また、本発明の電線・ケーブルは、前記電
気絶縁材を用いているので、機械的特性、電気絶縁性に
優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるエチレン共重合体のTREF
曲線の一例を示すグラフである。
【図2】 体積抵抗測定用電極系を示す図であり、
(a)は上面図、(b)は側断面図である。
【図3】 水トリーの測定装置を示す側断面図である。
【図4】 本発明の電力ケーブルの一例を示す断面図で
ある。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)〜(F)を満足するエチレン
    と炭素数5〜12のα−オレフインとの共重合体からな
    ることを特徴とする電気絶縁材。 (A)密度が0.92〜0.96g/cm3 (B)メルトフローレート(MFR)が0.01〜20
    0g/10分 (C)分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0 (D)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度
    −溶出量曲線のピークが一つであり、かつこの溶出温度
    −溶出量曲線の積分溶出曲線から求めた全体の25%が
    溶出する温度T25と全体の75%が溶出する温度T75
    の差T75−T25および密度dが、下記(式a)の関係、
    および下記(式b)の関係を満足すること (式a) d<0.950g/cm3 のとき T75−T25≧−300×d+285 d≧0.950g/cm3 のとき T75−T25≧0 (式b) T75−T25≦−670×d+644 (E)融点ピークを1ないし2個有し、かつそのうち最
    も高い融点Tm1と密度dが、下記(式c)の関係を満た
    すこと (式c) Tm1≧150×d−17 (F)電気的活性化エネルギーが0.4eV以下
  2. 【請求項2】 前記エチレンと炭素数5〜12のα−オ
    レフィンとの共重合体は、さらに下記(G)の要件を満
    足することを特徴とする請求項1記載の電気絶縁材。 (G)メルトテンション(MT)とメルトフローレート
    (MFR)が下記(式d)の関係を満足すること (式d) logMT≦−0.572×logMFR+
    0.3
  3. 【請求項3】 前記エチレンと炭素数5〜12のα−オ
    レフィンとの共重合体が、少なくとも共役二重結合をも
    つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合
    物を含む触媒の存在下で、エチレンと炭素数5〜12の
    α−オレフィンとを共重合させることにより得られたも
    のであることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の電気絶縁材。
  4. 【請求項4】 前記エチレンと炭素数5〜12のα−オ
    レフィンとの共重合体は、(H)ハロゲン濃度が10p
    pm以下であることを特徴とする請求項1ないし3いず
    れか一項に記載の電気絶縁材。
  5. 【請求項5】 前記請求項1ないし4いずれかに記載の
    エチレンと炭素数5〜12のα−オレフインとの共重合
    体と、他のポリオレフイン系樹脂とを有することを特徴
    とする電気絶縁材。
  6. 【請求項6】 前記他のポリオレフイン系樹脂が、高圧
    ラジカル重合法による低密度ポリエチレンであることを
    特徴とする請求項5記載の電気絶縁材。
  7. 【請求項7】 前記請求項1ないし6いずれかに記載の
    電気絶縁材を用いたことを特徴とする電線・ケーブル。
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