JP3663772B2 - 電気絶縁体用組成物、電線用被覆材および電線 - Google Patents

電気絶縁体用組成物、電線用被覆材および電線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を含む電気絶縁体用の組成物、これを含む電線用被覆材およびこの被覆材で被覆された電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線用被覆材などの電気絶縁体にはポリエチレン、特に低密度ポリエチレンの架橋物が用いられている。また、ポリオレフィンに芳香族ビニル化合物共重合体を配合した電気絶縁用樹脂組成物も用いられている。しかし、これらの樹脂または樹脂組成物からなる絶縁体は、繰返しインパルスにより絶縁破壊電圧が低下するので、絶縁体として理想的なものとはいえない。
【0003】
また特開昭60−158504号には、スチレン含量5重量%以上のスチレン・エチレン共重合体およびポリエチレンのブレンド物を絶縁体とした電気絶縁ケーブルが記載されている。しかし、上記スチレン・エチレン共重合体はスチレン含量が多く、また非晶部分が多いので、充分な電気絶縁性は得られない。
【0004】
ところで特開平7−70223号には、スチレンから導かれる構造単位が2以上のメチレン基により分離されているエチレン・スチレン共重合体が記載されている。しかし上記公報には、エチレン・スチレン共重合体の電気特性が改善されることは記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決するため、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長された電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を含む組成物であって、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長された電気絶縁体用組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、上記組成物を含み、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長された電線用被覆材を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、上記電線用被覆材で被覆された電線であって、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長され、長期間安定して使用することができる電線を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、電線に用いる優れた絶縁材料を得るべく、鋭意研究を重ねた結果、特定のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を用いることにより、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良された絶縁体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は次の電気絶縁体用組成物、これを含む電線用被覆材およびこの被覆材で被覆された電線である。
(1) エチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体と、エチレン系重合体とを含む組成物であって、
エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を構成する構造単位およびエチレン系重合体を構成する構造単位の合計に占める芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含量が0.05〜3mol%であり、
結晶化度が40%以上であり、
エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位が2以上連続した連鎖構造を構成する構造単位の割合が、芳香族ビニル化合物から導かれる全構造単位に対して1%以下のものである
ことを特徴とする電気絶縁体用組成物。
(2) 芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴とする上記(1)記載の組成物
(3)上記(1)もしくは(2)記載組成物またはその架橋物を含むことを特徴とする電線用被覆材
(4)。上記(3)記載の電線用被覆材で被覆されたことを特徴とする電線
【0008】
本発明で用いる電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(以下、単にエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体という場合がある)は、エチレンと芳香族ビニル化合物との共重合体であって、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含量(以下、芳香族ビニル化合物含量という場合がある)が0.05〜3mol%、好ましくは0.05〜1.3mol%、結晶化度が40%以上、好ましくは45%以上の共重合体である。なお芳香族ビニル化合物含量はNMR、結晶化度はDSC(示差走査熱量計)より求められる値である。
【0009】
このような共重合体の中でも、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位が2以上連続した連鎖構造(以下、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造という場合がある)を構成する構造単位の割合(以下、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量という場合がある)が、芳香族ビニル化合物から導かれる全構造単位に対して1%以下、好ましくは0.1%以下の共重合体が用いられる。なお芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量は13CNMRより求められる値である。
【0010】
芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が前記範囲内にある場合、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長されたエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体が得られる。芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が前記範囲内にある共重合体の中でも、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量が前記範囲内にある場合、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が特に改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が大幅に延長されたエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体が得られる。
【0011】
また、本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、13C NMRスペクトルおよび下記の式から求められるB値が0.90〜1.50、好ましくは0.95〜1.20、さらに好ましくは1.00〜1.15であるものが好ましい。
【0012】
B値=[PSE]/(2・[PE]・[PS])
(式中、[PE]はエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体中のエチレンから導かれる構造単位の含有モル分率、[PS]はエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体中の芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含有モル分率、[PSE]はエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体における全ダイアド(dyad)連鎖数に対する芳香族ビニル化合物・エチレン連鎖数の割合である。)
【0013】
上記式で求められるB値は、共重合体中におけるエチレンと芳香族ビニル化合物との分布状態を表わす指標であり、J. C. Randall(Macromolecules, 15,353(1982))、J. Ray(Macromolecules, 10, 773(1977))らの報告に基づいて求めることができる。
【0014】
上記のB値が大きいほど、エチレンまたは芳香族ビニル化合物のブロック的連鎖が短くなり、エチレンおよび芳香族ビニル化合物の分布が一様であることを示している。なおB値が1.00よりも小さくなるほどエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の分布が一様でなく、ブロック的連鎖が長くなることを示している。
【0015】
また本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、デカリン中、135℃で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dl/g、好ましくは0.2〜8dl/gであるものが好ましい。
【0016】
前記芳香族ビニル化合物としてはスチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン等の官能基含有スチレン誘導体;3−フェニルプロピレン、4−フェニルブテンなどがあげられる。
【0017】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、エチレンおよび芳香族ビニル化合物の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、炭素数3〜20のα−オレフィン、シクロオレフィン、極性基含有モノマー、非共役ポリエンなどが共重合されていてもよい。
【0018】
上記α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1−ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1−デセンなどがあげられる。また上記シクロオレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどがあげられる。また上記極性基含有モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、マレイン酸、無水マレイン酸などがあげられる。また上記非共役ポリエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどがあげられる。
【0019】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、例えばメタロセン触媒(A)の存在下に、エチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合することにより製造することができる。
【0020】
上記メタロセン触媒(A)としては、シングルサイト触媒として従来より用いられているメタロセン系触媒、ならびにこれらに類似するメタロセン系触媒が制限なく用いられるが、特に遷移金属のメタロセン化合物(遷移金属化合物)(B)と、有機アルミニウムオキシ化合物(C)および/またはイオン化イオン性化合物(D)とからなる触媒が好ましく用いられる。
【0021】
メタロセン化合物(B)としては、IUPAC無機化学命名法改定版(1989)による族番号1〜18で表示される元素の周期表(長周期型)の4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、具体的には下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物があげられる。
MLx …(1)
式(1)中、Mは周期表の4族から選ばれる遷移金属であり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0022】
Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0023】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えば、
シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらに
インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などがあげられる。
【0024】
これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
これらの中では、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
【0025】
式(1)で示されるメタロセン化合物(B)が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0026】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0027】
炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などがあげられ、より具体的には、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、
フェニル基、トリル基などのアリール基、
ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基があげられる。
【0028】
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基などがあげられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などがあげられる。
【0029】
スルホン酸含有基(−SO31)としては、メタンスルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などがあげられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
【0030】
前記式(1)で表されるメタロセン化合物(B)は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2 k3 l4 m5 nM …(2)
【0031】
式(2)中、Mは式(1)の遷移金属と同様の遷移金属、好ましくはジルコニウムまたはチタンであり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または前記一般式(1)中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0032】
以下に、Mがジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物(B)を例示する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェノキシモノクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを例示することができる。
【0033】
また本発明では、上記の1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置換えたメタロセン化合物(B)を用いることもできる。
また前記式(2)において、R2、R3、R4およびR5の少なくとも2個すなわちR2およびR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物(B)を例示することもできる。このときR4およびR5はそれぞれ独立に式(1)中で説明したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。
【0034】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物(B)としては、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)などがあげられる。
【0035】
本発明では、メタロセン化合物(B)として下記一般式(3)で示されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【化1】
Figure 0003663772
【0036】
式(3)中、M1は周期表の4、5、6族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。
6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、ナフチル、メチルナフチルなどのアリール基などの炭素数1から20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
【0037】
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシなどのアリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基である。
【0038】
これらの中では、R6は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR7は水素原子、炭化水素基であることが好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0039】
8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R8とR9、R9とR10、R10とR11のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
【0040】
また芳香族環を形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR11が芳香族基以外の置換基である場合は、水素原子であることが好ましい。
【0041】
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基の具体的なものとしては、前記R6およびR7と同様のものが例示できる。
【0042】
1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。
ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の具体的なものとしては、前記R6およびR7と同様のものが例示できる。
【0043】
またイオウ含有基としては、前記R6、R7と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が例示できる。
【0044】
1は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR12−、−P(R12)−、−P(O)(R12)−、−BR12−または−AlR12−(ただし、R12は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0045】
1の具体的なものとしては、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1から20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1から20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基などであり、
12は、前記R6、R7と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0046】
これらの中では2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0047】
以下に前記式(3)で示されるメタロセン化合物(B)の具体的な例を示す。
rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロリド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロリド、
rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジメチル、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0048】
また本発明では、メタロセン化合物(B)として下記一般式(4)で示されるメタロセン化合物を用いることもできる。
122 …(4)
(式中、M2は周期表の4族またはランタニド系列の金属であり、
1は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M2活性サイトに拘束幾何形状を付与しており、
Zは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有する炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。)
【0049】
このような式(4)で示されるメタロセン化合物(B)の中では、下記一般式(5)で示されるメタロセン化合物が好ましい。
【化2】
Figure 0003663772
【0050】
式(5)中、M3はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Zは上記と同様である。
CpはM3にη5結合様式でπ結合したシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基またはこれらの誘導体である。
【0051】
1は酸素、イオウ、ホウ素もしくは周期表の14族の元素、またはこれらの元素を含む基であり、
1は窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子である。
1とV1とで縮合環を形成してもよい。またCpとW1とで縮合環を形成してもよい。
【0052】
一般式(5)のCpで示される基の好ましいものとしては、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基およびこれらの飽和誘導体などがあげられ、これらは金属原子(M3)と環を形成する。シクロペンタジエニル基中のそれぞれの炭素原子はヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基からなる群から選ばれた同一または異なった基であることができ、1種またはそれ以上の炭素原子はハロゲン原子、ヒドロカルビル置換メタロイド基によって置換され、そしてメタロイドは元素の周期表の14族およびハロゲン原子から選ばれる。また、1種またはそれ以上の置換基は一緒になって縮合環を形成していてもよい。シクロペンタジエニル基中の少なくとも1つの水素原子置換しうる好ましいヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基は1〜20個の炭素原子を含み、かつ直鎖または分岐状のアルキル基、環状炭化水素基、アルキル置換環状炭化水素基、芳香族基およびアルキル置換芳香族基を包含する。好ましい有機メタロイド基は14族元素のモノ−ジ−およびトリ−置換有機メタロイド基を包含し、ヒドロカルビル基のそれぞれは1〜20個の炭素原子を含む。好ましい有機メタロイド基の具体的なものとしてはトリメチルシリル、トリエチルシリル、エチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、フェニルジメチルシリル、メチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、トリフェニルジャーミル、トリメチルシャーミルなどがあげられる。
【0053】
一般式(5)のZ1の具体的なものとしては、ヒドライド、ハロ、アルキル、シリル、ジャーミル、アリール、アミド、アリールオキシ、アルコキシ、ホスファイド、サルファイド、アシル、疑似ハライドたとえばシアニド、アジドなど、アセチルアセトネートまたはそれらの混合物などがあげられ、同一でも異なっていてもよい。
【0054】
一般式(5)で示されるメタロセン化合物(B)の中でも、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物が好ましい。
【化3】
Figure 0003663772
【0055】
式(6)中、M4は前記M3と同じであり、V2は−O−、−S−、−NR17−、−PR17−であるか、またはOR17、SR17、N(R17)2またはP(R17)2からなる群から選ばれた中性の2個電子供与体リガンドである。ここでR17は水素原子、または20個までの水素以外の原子をもつアルキル、アリール、シリル、ハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化アリール基であるか、あるいは2個のR17または後述のR18とで縮合環を形成していてもよい。
【0056】
式(6)中、W2はSi(R18)2、C(R18)2、Si(R18)2Si(R18)2、C(R18)2C(R18)2、CR18=CR18、C(R18)2Si(R18)2、Ge(R18)2、BR18、B(R18)2である。ここでR18は前記R17と同じである。
式(6)中、R13〜R16はそれぞれ独立に水素原子、または20個までの水素以外の原子をもつアルキル、アリール、シリル、ジャーミル、シアノ、ハロおよびそれらの組合せ(例えばアルカリール、アラルキル、シリル置換アルキル、シリル置換アリール、シアノアルキル、シアノアリール、ハロアルキル、ハロシリルなど)であるか、あるいはR13〜R16の隣接対はシクロペンタジエニル部分に縮合したヒドロカルビル環を形成していてもよい。
【0057】
式(6)中、Z2はそれぞれの場合にヒドライドであるか、または20個までの水素以外の原子をもつハロ、アルキル、アリールシリル、ジャーミル、アリールオキシ、アルコキシ、アミド、シリルオキシおよびそれらの組合せ(例えばアルカリール、アラルキル、シリル、置換アルキル、シリル置換アリール、アリールオキシアルキル、アリールオキシアリール、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アミドアルキル、アミドアリール、シロキシアルキル、シロキシアリール、アミドシロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアリールなど)、および20個までの水素以外の原子をもつ中性ルイス塩基からなる群から選ばれた基である。
【0058】
一般式(6)で表されるメタロセン化合物(B)において、V2が中性2個電子供与体リガンドであるとき、M4とV2との間の結合はより正確には配位共有結合と呼ばれる結合である。また、錯体はダイマーまたは高級オリゴマーとして存在しうる。
【0059】
一般式(6)で表されるメタロセン化合物(B)においては、R13〜R16、Z2、R17またはR18の少なくとも1つは電子供与性部分であることが好ましく、特にV2が−NR19−または−PR19−(ただし、R19は炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールである)に相当するアミドまたはホスフィド基であることが好ましい。
【0060】
一般式(6)で表されるメタロセン化合物(B)の中でも、下記一般式(7)で表されるアミドシランまたはアミドアルカンジイル化合物が好ましい。
【化4】
Figure 0003663772
【0061】
式(7)中、M5はシクロペンタジエニル基にη5結合様式で結合しているチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、R20〜R25はそれぞれ独立に水素原子、または10個までの炭素をもつシリル、アルキル、アリールおよびそれらの組合せからなる群から選ばれた基であるか、あるいはR22〜R25の隣接対はシクロペンタジエニル部分に縮合するヒドロカルビル環を形成していてもよい。
式(7)中、W3はケイ素または炭素であり、Z3はそれぞれの場合にヒドライド、ハロ、10個までの炭素のアルキル、アリール、アリールオキシまたはアルコキシである。
【0062】
一般式(7)で表されるメタロセン化合物(B)においては、R20がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベンジル、フェニルなどであり、R22〜R25がそれぞれ独立に水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベンジルなどであり、そしてZ3がクロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル(異性体を含む)、ノルボルニル、ベンジル、フェニルなどであるメタロセン化合物が好ましい。またR22〜R25が縮合環を形成して、シクロペンタジエニル部分がインデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル環などであるメタロセン化合物も好ましい。
【0063】
一般式(7)で表されるメタロセン化合物(B)の具体的なものとしては、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロリド、(エチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−メチレンチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなどがあげられる。
【0064】
また本発明では、メタロセン化合物(B)として下記のメタロセン化合物を用いることもできる。
エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(2-メチル-4,5-ベンゾ-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-インデニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン(2-メチル-α-アセナフト-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン{2-メチル-4(9-フェナントリル)-1-インデニル}(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0065】
その他にも、上記ジルコニウム化合物において、ジルコニウムをチタンまたはハフニウムに置換えた化合物を例示することもできる。
メタロセン化合物(B)の製造方法については、例えば特開平3−163088号に記載されている。
【0066】
本発明で使用するメタロセン化合物(B)としては、前記一般式(4)で示されるメタロセン化合物が特に重合活性、電気絶縁特性の面から好ましい。これまで説明したメタロセン化合物(B)は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明で使用するメタロセン化合物(B)は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
【0067】
次に、メタロセン触媒(A)を形成する際に用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(C)およびイオン化イオン性化合物(D)について説明する。
【0068】
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(C)は、従来公知のアルミノオキサン(C)であってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物(C)であってもよい。
【0069】
このような従来公知のアルミノオキサン(C)は、具体的には下記一般式(8)または(9)で表される。
【化5】
Figure 0003663772
〔式(8)または(9)中、R26はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。〕
【0070】
ここで、このアルミノオキサン(C)は式(OAl(R27))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R28))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R27およびR28はR26と同様の炭化水素基を例示することができ、R27およびR28は相異なる基を表わす)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0071】
アルミノオキサン(C)は、例えば下記のような方法によって製造され、通常炭化水素溶媒の溶液として回収される。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などを懸濁した芳香族炭化水素溶媒に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させて芳香族炭化水素溶媒の溶液として回収する方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水(水、氷または水蒸気)を作用させて芳香族炭化水素溶媒の溶液として回収する方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0072】
アルミノオキサン(C)の調製の際に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物、例えば塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒があげられる。これらの溶媒の中では、特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0073】
イオン化イオン性化合物(D)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、およびカルボラン化合物を例示することができる。これらのイオン化イオン性化合物(D)は、特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号公報などに記載されている。
【0074】
イオン化イオン性化合物(D)として用いるルイス酸としては、BR3(ここで、Rは同一または相異なり、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物があげられ、例えば
トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどがあげられる。
【0075】
イオン化イオン性化合物(D)として用いるイオン性化合物は、カチオン性化合物とアニオン性化合物とからなる塩である。アニオンは前記メタロセン化合物(B)と反応することによりメタロセン化合物(B)をカチオン化し、イオン対を形成することにより遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。そのようなアニオンとしては、有機ホウ素化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カチオン種を安定化させるものが好ましい。カチオンとしては、金属カチオン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリピウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどがあげられる。さらに詳しくはトリフェニルカルベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウムカチオンなどである。
【0076】
これらのうち、アニオンとしてホウ素化合物を含有するイオン性化合物が好ましく、具体的にはイオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などをあげることができる。
【0077】
上記トリアルキル置換アンモニウム塩としては、例えば
トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素などがあげられる。
【0078】
前記N,N-ジアルキルアニリニウム塩としては、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0079】
前記ジアルキルアンモニウム塩としては、例えば
ジ(n-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、
ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0080】
前記トリアリールホスフォニウム塩としては、例えばトリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられる。
【0081】
さらに前記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることもできる。
【0082】
イオン化イオン性化合物(D)として用いるボラン化合物としては、下記のような化合物をあげることもできる。
デカボラン(14);
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレートなどのアニオンの塩;および
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、
ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などがあげられる。
【0083】
イオン化イオン性化合物(D)として用いるカルボラン化合物としては、
4-カルバノナボラン(14)、
1,3-ジカルバノナボラン(13)などのアニオンの塩;および
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)などの金属カルボランアニオンの塩などがあげられる。
上記のようなイオン化イオン性化合物(D)は、2種以上組合せて用いてもよい。
【0084】
本発明で用いるメタロセン触媒(A)は、必要に応じて、前記各成分に加えてさらに下記有機アルミニウム化合物(E)を含んでいてもよい。
本発明において必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物(E)としては、例えば下記一般式(10)で示される有機アルミニウム化合物をあげることができる。
【0085】
(R29)nAlX3-n …(10)
式(10)中、R29は炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。
【0086】
このような炭素数1〜15の炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基があげられ、具体的には、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基などがあげられる。
【0087】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物があげられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、
一般式 (i-C49)xAly(C510)z
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)
で表わされるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、
ジメチルアルミニウムメトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどがあげられる。
【0088】
また有機アルミニウム化合物(E)として、下記の式(11)で表わされる化合物を用いることもできる。
(R31)nAl(R30)3-n …(11)
(式中、R31は前記R29と同様であり、
30は−OR32基、−OSi(R33)3基、−OAl(R34)2基、−N(R35)2基、−Si(R36)3基または−N(R37)Al(R38)2基であり、nは1〜2であり、R32、R33、R34およびR38はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、
35は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、
36およびR37はメチル基、エチル基などである。)
【0089】
このような有機アルミニウム化合物(E)としては、具体的には以下のような化合物があげられる。
(C25)2Al(OSi(CH3)3)、
(iso-C49)2Al(OSi(CH3)3)、
(C25)2Al(OAl(C25)2)、
(CH3)2Al(N(C25)2)、
(C25)2Al(NH(CH3))、
(iso-C49)2Al[N(Si(CH3)3)2]など。
【0090】
本発明で使用するメタロセン触媒(A)は、上述した成分(B)、成分(C)、成分(D)および成分(E)のうち少なくとも1つの成分が微粒子状担体に担持されてなる固体状触媒であってもよい。
【0091】
またメタロセン触媒(A)は、微粒子状担体、成分(B)、成分(C)(または成分(D))および予備重合により生成する重合体または共重合体と、必要に応じて成分(E)とからなる予備重合触媒であってもよい。
【0092】
固体状触媒および予備重合触媒に用いられる微粒子状担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0093】
このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらの混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOなどを例示することができる。これらの中でSiO2およびAl23からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0094】
なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
【0095】
このような微粒子状担体はその種類および製法により性状は異なるが、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。微粒子状担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成して用いられる。
【0096】
さらに微粒子状担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体をあげることができる。このような有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0097】
本発明で用いるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体をメタロセン触媒(A)を用いて製造するには、メタロセン触媒(A)の存在下にエチレンと芳香族ビニル化合物とを、通常液相で溶液重合あるいはスラリー重合で共重合させる。
【0098】
このような炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素およびそのハロゲン誘導体;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素およびそのハロゲン誘導体;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素およびそのハロゲン誘導体などが用いられる。これら溶媒は組合せて用いてもよい。
【0099】
エチレンと芳香族ビニル化合物とは、バッチ法、あるいは連続法いずれの方法で共重合されてもよい。共重合を連続法で実施するに際しては、メタロセン触媒(A)は以下のような濃度で用いられる。
【0100】
すなわち重合系内のメタロセン化合物(B)の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/literである。
また有機アルミニウムオキシ化合物(C)は、重合系内のメタロセン化合物(B)に対するアルミニウム原子の比(Al/遷移金属)で0.1〜10000、好ましくは1〜5000の量で供給される。
【0101】
イオン化イオン性化合物(D)は、重合系内のメタロセン化合物(B)に対するイオン化イオン性化合物(D)のモル比(イオン化イオン性化合物(D)/メタロセン化合物(B))で0.1〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0102】
また有機アルミニウム化合物(E)が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/liter(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/literとなるような量で用いられる。
【0103】
エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を製造する際の共重合反応は、通常温度が−30〜+250℃、好ましくは0〜200℃、圧力が0を超えて〜80Kg/cm2(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜50Kg/cm2(ゲージ圧)の条件下に行われる。
【0104】
また反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
【0105】
エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を製造する際には、エチレンおよび芳香族ビニル化合物は、前記のような特定組成の共重合体が得られるような量で重合系に供給される。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0106】
上記のようにしてエチレンおよび芳香族ビニル化合物を共重合させると、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体が得られる。
このようにして得られる前記物性を有するエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は1種単独でまたは2種以上を混合し、電気絶縁体として用いられる。
【0107】
また本発明の電気絶縁体用組成物は、上記のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体、エチレン系重合体とブレンドして電気絶縁体用の組成物としたものであり、この組成物を電気絶縁体として用いる。この場合、組成物は、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を構成する構造単位およびエチレン系重合体を構成する構造単位の合計に占める芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含量(以下、組成物の芳香族ビニル化合物含量という場合がある)が0.05〜3mol%、好ましくは0.05〜1.3mol%、組成物としての結晶化度が40%以上、好ましくは45%以上の物性を有するものを使用する。
【0108】
このような組成物の中でも、エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体の芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量が、芳香族ビニル化合物から導かれる全構造単位に対して1%以下、好ましくは0.1%以下であるものを用いる
【0109】
またエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体のB値が0.90〜2.00、好ましくは0.95〜1.50、さらに好ましくは1.00〜1.45、特に好ましくは1.02〜1.40であるものが好ましい。
【0110】
またエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体のデカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.1〜10dl/g、好ましくは0.2〜8dl/gであるものが好ましい。
【0111】
上記組成物において、エチレン系重合体をブレンドするエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体としては、共重合体の芳香族ビニル化合物含量または結晶化度が前記範囲内にあるものを使用することもできるし、範囲外のものを使用できるし、これらの混合物を使用することもできる。要するに、組成物として物性が前記範囲にあればよい。
【0112】
組成物の芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が前記範囲内にある場合、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長された組成物が得られる。組成物の芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が前記範囲内にある組成物の中でも、芳香族ビニル化合物・芳香族ビニル化合物連鎖構造含量が前記範囲内にある場合、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が特に改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が大幅に延長された組成物が得られる。
【0113】
エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体にブレンドするエチレン系重合体は、前記エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体には属さないエチレン系の重合体であり、例えばポリエチレン、エチレンと炭素数3〜30のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと極性モノマーとの共重合体などがあげられる。具体的なエチレン系重合体としては、以下のような単独重合体、共重合体およびこれらの混合物などがあげられる。
【0114】
(1)密度が0.968〜0.910g/cm3までの高、中または低密度ポリエチレン単独重合体、およびその変性物。
(2)エチレンと10モル%以下の他の炭素数3〜30のα-オレフィンとの共重合体、およびその変性物。
(3)エチレンと10モル%以下の他の炭素数3〜30のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体。
(4)エチレンと10モル%以下の他の極性基含有モノマーとの共重合体。
【0115】
上記α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1−ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1−デセンなどがあげられる。また上記極性基含有モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、マレイン酸、無水マレイン酸などがあげられる。また上記非共役ポリエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどがあげられる。上記変性物としてはアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその誘導体などで変性した変性物があげられる。
前記(1)〜(4)のエチレン系重合体の中では、(1)または(4)のエチレン系重合体が好ましく、これらをブレンドすることにより特に成形性のよい組成物が得られる。
【0116】
エチレン系重合体の配合量は、組成物としての物性が前記物性を満たすような配合量とすることができるが、通常はエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体(X)とエチレン系重合体(Y)との重量比で(X)/(Y)=99/1〜20/80、好ましくは99/1〜50/50の割合となるようにブレンドするのが望ましい。
【0117】
さらに本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体および組成物は、架橋物の状態で電気絶縁体として用いることもできる。
本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体または組成物の架橋物は、架橋する前のものに比べて、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下がさらに改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数がさらに延長される。
【0118】
本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体および組成物の架橋方法としては公知の方法が採用でき、例えばγ線や電子線の照射による方法、あるいは有機過酸化物による方法などがあげられる。
【0119】
上記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどがあげられる。
【0120】
これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0121】
上記有機過酸化物を使用して架橋するに際しては、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド等のペルオキシ架橋用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーなどを併用することができる。
【0122】
本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を含む組成物およびこれらの架橋物は、繰返しインパルスによる破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特性に優れているので、電気絶縁体として使用する。具体的には、電線用被覆材として使用することができ、この場合交流、直流何れの送電用ケーブルの電線の被覆材にも使用可能である。
【0123】
本発明のエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を含む組成物およびこれらの架橋物を電気絶縁体として使用するに際しては、その使用目的に応じて有機、無機のフィラー、酸化防止剤、滑剤、紫外線防止剤、銅害防止剤、有機もしくは無機系の各種顔料、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、難燃剤、核剤、流れ改良剤、ウェルド強度改良剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添加することもできる。また本発明の目的を損なわない範囲、すなわち電気絶縁特性等を損なわない範囲であれば、他の樹脂、例えばポリプロピレン、ポリブテン、ポリ4−メチルペンテン−1等のポリα−オレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ABS樹脂、エラストマー、ポリ塩化ビニルなどを添加して用いてもよい。
【0124】
本発明の電線用被覆材は、前記エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を含む組成物、架橋物、あるいはこれらに必要により配合される他の添加剤を配合したものからなる電線用の被覆材である。
【0125】
本発明の電線は、導体が上記電線用被覆材で被覆されたものであり、交流用の送電用ケーブル、直流用の送電用ケーブルなどとして使用することができる。
【0126】
【発明の効果】
本発明で用いる電気絶縁体用エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が特定の範囲にあるので、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特性に優れている。
【0127】
本発明の電気絶縁用組成物は、芳香族ビニル化合物含量および結晶化度が特定の範囲にある上記共重合体を含むので、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特性に優れている。
【0128】
本発明の電線用被覆材は、上記組成物またはこれらの架橋物を含んでいるので、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特性に優れている。
【0129】
本発明の電線は、上記電線用被覆材で被覆されているので、繰返しインパルスによる絶縁破壊電圧の低下が改良され、しかも絶縁破壊が生じるまでの繰返しインパルスの印加回数が延長されるなど、電気絶縁特性に優れており、長期間安定して使用することができる。
【0130】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について示すが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
実施例1
冷却管および撹拌装置を備えたガラス製の1 liter反応装置を窒素で充分に置換し、トルエン499.5ml、スチレン0.5mlを仕込み、撹拌しながらエチレンで飽和させた。次いで系内を35℃に昇温し、メチルアルミノキサン(東ソーアクゾ社製、10重量%トルエン溶液)9mM、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド0.03mM(0.01mMトルエン溶液)を添加した。エチレン100NL/hrを連続的に供給しながら40℃で75分間重合した。
【0131】
重合終了後、イソブチルアルコール250ml、塩酸水10mlを加えて80℃で30分間加熱撹拌し、イソブチルアルコールを含む反応液を分液ロートに移し、水250mlで2回洗浄し、油水分離した。次いで油層部を3 literのメタノールに添加してポリマーを析出させた。析出したポリマーを130℃で12時間真空乾燥し、スチレン含量0.3mol%のポリマー14.8gを得た。
【0132】
以上のようにして得られたエチレン・スチレン共重合体(1)を200℃のプレスで余熱6分間、加圧4分間で成形した後、25℃のプレスで5分間冷却して45×45×1mmのシートを作製し、25℃の破壊電圧を測定した。また1mmの単線導体に内部導電層を形成し、その周囲に上記エチレン・スチレン共重合体(1)の絶縁層(厚さ1.5mm)を形成した。このケーブルの雷インパルス試験(100kVを5分間間隔で印加)を行った。
得られたエチレン・スチレン共重合体(1)の組成および電気特性を表1に示す。なおスチレン含量および共重合体のスチレン・スチレン連鎖構造含量は13CNMRより求めた。また結晶化度はDSCより求めた。
【0133】
実施例2
スチレンを2.0ml仕込んだ他は実施例1と同様にして、スチレン含量1.1mol%のエチレン・スチレン共重合体(2)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(2)の組成および電気特性を表1に示す。
【0134】
実施例3
スチレンを5.0ml仕込んだ他は実施例1と同様にして、スチレン含量2.3mol%のエチレン・スチレン共重合体(3)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(3)の組成および電気特性を表1に示す。
【0135】
比較例1
スチレンを仕込まなかった他は実施例1と同様にして、スチレン含量0mol%のポリエチレン(4)を得た。このポリエチレン(4)の組成および電気特性を表1に示す。
【0136】
比較例2
スチレンを7.0ml仕込んだ他は実施例1と同様にして、スチレン含量3.6mol%のエチレン・スチレン共重合体(5)を重合した。このエチレン・スチレン共重合体(5)の組成および電気特性を表1に示す。
【0137】
比較例3
窒素およびエチレンで充分置換した、撹拌翼の付いたオートクレーブに所定量のエチレン、スチレンおよび連鎖移動剤であるn−ヘプタンを仕込み、さらに開始剤であるジ−t−ブチルペルオキシドを注入し、圧力1900kg/cm2、重合温度180℃、重合時間40分間の重合条件で重合を行った。生成したポリマーを精製、乾燥して、スチレン含量2.1mol%のエチレン・スチレン共重合体(6)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(6)の組成および電気特性を表1に示す。
【0138】
実施例4
実施例2のエチレン・スチレン共重合体(2)に安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部バンバリーミキサーで混練後、所定の形状に成形し、5kGyのγ線を照射して架橋し、架橋エチレン・スチレン共重合体(7)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(7)の電気特性を表1に示す。
【0139】
実施例5
実施例2のエチレン・スチレン共重合体(2)に安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加えて、バンバリーミキサーで混練後、所定の形状に成形し、170℃で15分間架橋し、架橋エチレン・スチレン共重合体(8)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(8)の電気特性を表1に示す。
【0140】
比較例4
実施例5のエチレン・スチレン共重合体(2)の代わりに、190℃のメルトインデックス0.6g/10分、密度0.925g/cm3のLDPEを使用した他は、実施例5と同様にして架橋LDPE(9)を得た。この架橋LDPE(9)の電気特性を表1に示す。
【0141】
【表1】
Figure 0003663772
【0142】
【表2】
Figure 0003663772
【0143】
表1、表2の注
*1 St:スチレン
*2 結晶化度:DSCの融点の吸熱ピークの面積から求めた吸熱量を、ポリエチレンの結晶化エネルギーで除して結晶部分の重量%を求めた値
*3 St・St連鎖構造含量:13C NMRを測定することにより求めた値
*4 繰返インパルス:(絶縁破壊が起った回数−1)の回数について、比較例1のポリマーの値を1.0とした場合に対する各例のポリマーの比の値
*5 絶縁破壊電圧:JIS−K−6911に準拠して測定した値
【0144】
実施例6
冷却管および撹拌装置を備えたガラス製の1 liter反応装置を窒素で充分に置換しトルエン499.5ml、スチレン1.0mlを仕込み、撹拌しながらエチレンで飽和させた。次いで系内を35℃に昇温し、メチルアルミノキサン(東ソーアクゾ社製10wt%トルエン溶液)9mM、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド0.03mM(0.01mMトルエン溶液)を添加した。エチレン100NL/hrを連続的に供給しながら40℃で75分間重合した。
【0145】
重合終了後、イソブチルアルコール250ml、塩酸水10mlを加えて80℃で30分間加熱撹拌し、イソブチルアルコールを含む反応液を分液ロートに移し、水250mlで2回洗浄し、油水分離した。次いで油層部を3 literのメタノールに添加してポリマーを析出させた。析出したポリマーを130℃で12時間真空乾燥し、スチレン含量0.8mol%のポリマー17.5gを得た。
【0146】
以上のようにして得られたエチレン・スチレン共重合体(10)90重量部に、190℃のメルトインデックス0.6g/10分、密度0.925g/cm3のLDPE(a)を10重量部、安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加えてバンバリーミキサーで混練、シート出しした。その後180℃のプレスで余熱6分間で加圧成形し、25℃のプレスで5分間冷却して45×45×1mmのシートを作製し、25℃の破壊電圧を測定した。
【0147】
また1mmの単線導体に内部導電層を形成しその周囲に上記エチレン・スチレン共重合体(10)とLDPE(a)とのブレンド物の絶縁層(厚さ1.5mm)を形成した。このケーブルの雷インパルス試験(100kVを5分間隔で印加)を行った。
得られたエチレン・スチレン共重合体(10)の組成を表3に、ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0148】
実施例7
スチレンを7.0ml仕込んだ他は実施例6と同様にして、スチレン含量3.8mol%のエチレン・スチレン共重合体(11)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(11)50重量部に、190℃のメルトインデックス1.0g/10分、1−オクテンを2mol%含むエチレン・1−オクテン共重合体(b)を50重量部、安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加え、実施例6と同様にしてエチレン・スチレン共重合体(11)とエチレン・1−オクテン共重合体(b)とのブレンド物を作製した。ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0149】
比較例5
スチレンを仕込まなかった他は実施例6と同様にして、ポリエチレン(12)を得た。このポリエチレン(12)50重量部に、190℃のメルトインデックス0.6g/10分、密度0.925g/cm3のLDPE(a)を50重量部、安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加え、実施例6と同様にしてポリエチレンブレンド物を作製した。
得られたポリエチレン(12)の組成を表3に、ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0150】
比較例6
スチレンを35.0ml仕込んだ他は実施例6と同様にして、スチレン含量13.4mol%のエチレン・スチレン共重合体(13)を得た。このエチレン・スチレン共重合体(13)50重量部に、190℃のメルトインデックス0.6g/10分、密度0.925g/cm3のLDPE(a)を50重量部、安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加え、実施例6と同様にしてエチレン・スチレン共重合体(13)とLDPE(a)とのブレンド物を作製した。
得られたエチレン・スチレン共重合体(13)の組成を表3に、ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0151】
比較例7
窒素およびエチレンで充分置換した、撹拌翼の付いたオートクレーブに所定量のエチレン、スチレンおよび連鎖移動剤であるn−ヘプタンを仕込み、さらに開始剤であるジ−t−ブチルペルオキシドを注入し、圧力1900kg/cm2、重合温度180℃、重合時間40分間の重合条件で重合を行った。生成したポリマーを精製、乾燥して、スチレン含量4.0mol%のエチレン・スチレン共重合体(14)を得た。
【0152】
このエチレン・スチレン共重合体(14)50重量部に、190℃のメルトインデックス0.6g/10分、密度0.925g/cm3のLDPE(a)を50重量部、安定剤(老化防止剤)として4,4’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を0.2重量部とジクミルペルオキシド2.0重量部を加え、実施例6と同様にしてエチレン・スチレン共重合体(14)とLDPE(a)とのブレンド物を作製した。
得られたエチレン・スチレン共重合体(14)の組成を表3に、ブレンド物の電気特性を表4に示す。
【0153】
【表3】
Figure 0003663772
*1 St:スチレン
*2 結晶化度:表1参照
*3 St・St連鎖構造含量:表1参照
【0154】
【表4】
Figure 0003663772
【0155】
表4の注
*1 St:スチレン
*2 トータルスチレン:組成物中のスチレン含量
*3 組成物の結晶化度:組成物全体の結晶化度
*4 繰返インパルス:表1参照
*5 絶縁破壊電圧:表1参照

Claims (4)

  1. エチレンと芳香族ビニル化合物とからなるエチレン・芳香族ビニル化合物共重合体と、エチレン系重合体とを含む組成物であって、
    エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体を構成する構造単位およびエチレン系重合体を構成する構造単位の合計に占める芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位の含量が0.05〜3mol%であり、
    結晶化度が40%以上であり、
    エチレン・芳香族ビニル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物から導かれる構造単位が2以上連続した連鎖構造を構成する構造単位の割合が、芳香族ビニル化合物から導かれる全構造単位に対して1%以下のものである
    ことを特徴とする電気絶縁体用組成物。
  2. 芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 請求項1もしくは2記載の組成物またはその架橋物を含むことを特徴とする電線用被覆材。
  4. 請求項3記載の電線用被覆材で被覆されたことを特徴とする電線。
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