JPH1084939A - 梅酒の製造方法 - Google Patents

梅酒の製造方法

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JPH1084939A
JPH1084939A JP26384396A JP26384396A JPH1084939A JP H1084939 A JPH1084939 A JP H1084939A JP 26384396 A JP26384396 A JP 26384396A JP 26384396 A JP26384396 A JP 26384396A JP H1084939 A JPH1084939 A JP H1084939A
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JP
Japan
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plum
plum wine
wine
heat treatment
japanese apricot
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JP26384396A
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English (en)
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Shigehiko Saegusa
維彦 三枝
Keiko Yoda
景子 依田
Junichi Shimizu
純一 清水
Michio Harada
倫夫 原田
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Kikkoman Corp
Original Assignee
Kikkoman Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明な褐色の色調を有し、雑味がなく、後味の
よい芳醇な風味の梅酒を短期間で得る。また、不良梅酒
の風味、色調の矯正を行う。 【解決手段】梅実及び甘味糖類をアルコ−ル含有液に仕
込み、梅実成分の抽出を行った後、梅実を分離し、得ら
れた実質的に梅実を含まない抽出液を加熱処理し、加熱
処理後の光波長430nm、光路長1cmの光学密度
(OD)の値を、処理前に比べて0.1以上高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雑味がなく、後味
のよい芳醇な風味の梅酒を短期間で得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に梅酒は、生の梅実、いわゆる青梅
及び氷砂糖等の甘味糖類を焼酎等のアルコ−ル含有液に
仕込み、冷暗所にて密封容器内で1年〜3年静置貯蔵す
ることにより得られる。この梅酒の製造方法において
は、梅実の成分がアルコ−ル含有液に抽出され、約1年
貯蔵してようやく梅酒として飲める状態となり、更に相
当の期間貯蔵して初めて風味豊かな梅酒が得られる。こ
のように従来の梅酒は、製造に長期間を要する欠点を有
していた。
【0003】この製造期間を短縮する方法として、梅
実、氷砂糖、焼酎を加熱ジャケット付き密封容器に入れ
て仕込み、これを室温で1〜3週間貯蔵後、50〜60
℃で5日間加熱し、その後、室温に戻して約1ヵ月間貯
蔵して合計約2ヵ月で梅酒を得る方法(特公昭56−4
3359参照)及び梅実、砂糖、焼酎を加熱ジャケット
付き容器に仕込み、これを直ちに55〜65℃で3時間
〜24時間加熱するか又は40℃で30日間加温して梅
酒を得る方法(特開昭61−58575参照)が知られ
ている。しかし、これらの方法で得られた梅酒は、従来
の梅酒に比べて短期間で得られる利点はあるが、ある種
の雑味、後味の悪さ等が感じられ、梅酒として十分に満
足するものではなく、改良の余地のあることを知った。
本来、梅酒は、梅実の特有な風味を賞味する飲料である
から、上記した不都合な雑味や後味の悪さのない梅酒が
求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、雑味がな
く、後味のよい、芳醇な風味を有する梅酒を短期間で得
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、梅実及び甘味糖
類をアルコ−ル含有液に仕込み、35℃以下で梅実成分
の抽出を行った後、梅実を分離し、得られた実質的に梅
実を含まない抽出液を加熱処理し、加熱処理後の光波長
430nm、光路長1cmの光学密度(Optical
Density)の値(以下、ODと略記する)が
0.1以上高められることにより、雑味がなく、後味の
よい芳醇な風味を有する梅酒が極めて短期間に得られる
ことを知り、この知見に基づき本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、梅実及び甘味糖類を
アルコ−ル含有液に仕込み、35℃以下で梅実成分の抽
出を行った後、梅実を分離し、得られた実質的に梅実を
含まない抽出液を加熱処理し、加熱処理後のODが、処
理前に比べて0.1以上高められた梅酒を得ることを特
徴とする梅酒の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。先ず、本発明を実施するには、梅実及び甘味糖類を
アルコ−ル含有液に仕込み、35℃以下で梅実成分の抽
出をおこなう。
【0008】ここに使用する梅実としては、収穫し、選
別した後、洗浄した生の梅実(青梅とも言う)あるい
は、そこから分離して得られる梅実の果肉が挙げられ
る。
【0009】また、甘味糖類としては、氷砂糖、砂糖、
異性化糖等が挙げられる。
【0010】また、アルコ−ル含有液としては、焼酎、
ジン、ブランデ−、ウイスキ−、ラム酒等が挙げられ
る。これらは、単独又は併用して用いることができる。
本発明において使用するアルコ−ル含有液のエタノ−ル
濃度は、20〜70容量%が好ましい。
【0011】次に仕込み操作において、梅実とアルコ−
ル含有液との配合比率は、通常の梅酒の製造方法で採用
されている任意の比率が用いられる。例えば、重量比で
1:1〜1:2である。また、甘味糖類については通常
の梅酒の製造に用いられている梅実の50〜100重量
%が好ましい。
【0012】梅実成分の抽出操作は、仕込み液を35℃
以下で1日当り少なくとも1回攪拌し、7日以上、特に
10日〜2ヵ月貯蔵することにより行われる。この貯蔵
により、梅実の主成分であるクエン酸、リンゴ酸等の有
機酸類、アスパラギン、グルタミン酸、アラニン、アス
パラギン酸等のアミノ酸類等が殆ど抽出される。
【0013】そして、梅実成分の抽出を35℃以下で行
うことは、本発明において極めて重要なことであり、す
なわち、35℃を越える温度で抽出を行う場合には、抽
出液が雑味を有し、後味が悪くなる。
【0014】なお、ここで得られる抽出液は、35℃以
下で7日〜2ヵ月貯蔵しただけのもので、梅酒としては
風味が未だ十分なものとは言えず飲料に適さない。
【0015】次に、仕込み液から梅実を分離し、実質的
に梅実を含まない抽出液を得る。ここで得られる抽出液
は、梅実を分離する際に多少の梅実又はその果肉の混入
は避けられないが、その量が多くなると、この後に行わ
れる加熱処理により、雑味及び後味の悪い梅酒となるの
で、梅実を実質的に含まないことが必要である。
【0016】分離手段としては、通常の固液分離の方法
を用いればよく、例えば、網濾過、布濾過等が挙げられ
る。
【0017】次いで、上記実質的に梅実を含まない抽出
液を加熱処理する。本発明において、「実質的に梅実を
含まない抽出液」を使用することは、極めて重要であっ
て、冒頭に述べたように「梅実を含んだ状態の抽出液」
を用いると本発明の目的は達成できない。すなわち、
「梅実を含んだままの抽出液」をそのまま加熱すると、
ある種の雑味、後味の悪さが感じられる梅酒となる。
【0018】次に、加熱条件は、加熱処理後のODが処
理前に比べ0.1以上高められた梅酒となるように行う
ことが必要である。例えば、40〜54℃で10日以
上、55〜65℃では5〜8日、66〜85℃では3〜
5日、86〜100℃では12時間〜3日、101〜1
14℃では25〜60分、115〜125℃では15〜
25分、126℃以上では10〜15分等が挙げられ
る。
【0019】本発明の加熱処理は、上記抽出工程で得ら
れた梅実成分の抽出液の色沢と風味を改善するために非
常に重要な操作である。本発明者らは、加熱処理後のO
Dを0.1以上高める加熱処理条件を用いることによ
り、極めて短時間に芳醇な梅酒を得ることを発見した。
【0020】本発明において、加熱処理前に比べてOD
が0.1以上高められた梅酒を得ることは極めて重要で
ある。すなわち、0.1未満では風味の改善効果は期待
できない。また、従来の梅酒は保存性が良好なことか
ら、製品の殺菌処理を行なうことの必要性は殆ど認めら
れないが、いわゆる液体食品の加熱殺菌条件である、6
0〜80℃で数分〜数十分間、あるいは121℃で数秒
間の処理では、ODが0.1以上高められず、風味の改
善効果は期待できない。
【0021】例えば、仕込み後、梅実成分の抽出を室温
で2ヵ月行い、梅実を分離して得られた「実質的に梅実
を含まない抽出液(OD0.152)」を60℃、30
分の加熱処理を行った場合、処理後のODが0.153
であって処理前に比べて、わずかに0.001高まった
のみであり、121℃、1分の加熱処理についても処理
後のODは0.185であり、これもわずかに0.03
3高まったのみである。このようにODが0.1以下の
高まりである加熱処理では、芳醇な風味の梅酒は得られ
ない。
【0022】本発明の加熱処理の条件は、加熱処理した
梅酒のODが0.2〜0.6、特に0.3〜0.5とな
るように行うことが好ましい。この範囲においては梅酒
特有の透明で明るい褐色の色調と芳醇な風味を有する梅
酒が得られるので好ましい。一方、加熱処理後の梅酒の
ODが0.2未満であると苦み、渋みが残る梅酒とな
る。また、反対に0.6を越えると色調が黒ずみ商品価
値が低下する。
【0023】次に、加熱手段であるが、加熱手段は連続
加熱でも間欠加熱でもよい。例えば、60℃の品温を連
続的に保持する加熱を行ってもよいし、24時間60℃
を保持し、次いで加熱を止め、また、数日後に加熱する
という方法の繰り返しでもよい。これは、処理液のOD
の増加経過を測定することにより、加熱手段を適宜調節
するということであり、加熱手段には特定されない。
【0024】次に加熱処理により得た梅酒を、従来の梅
酒の製造方法に従って濾過し、アルコ−ル成分等の規格
調整を行い製品とする。このようにして、本発明によれ
ば雑味がなく、後味のよい芳醇な梅酒を短期間に得るこ
とができる。
【0025】以下、実施例を示して本発明を更に具体的
に説明する。
【実施例】
【実施例1】 (梅実を含まない抽出液を60℃で7日間加熱処理する
梅酒の製造方法)青梅1.0kg及び砂糖1.0kgを
焼酎(アルコ−ル濃度、35容量%)1.8Lと共に容
量5Lの容器に仕込み、開閉部を密閉した後、25℃、
10日間、1日1回攪拌しながら梅実成分の抽出を行っ
た。次いで、網濾過により梅実を分離し、得られた実質
的に梅実を含まない抽出液(OD0.04)を60℃の
恒温器に入れて7日間、1日1回攪拌しながら同温度で
加熱処理を行った後、室温まで冷却して常法通り濾過を
行い、加熱処理前に比べてODが0.28高められた本
発明の梅酒(OD0.32)を得た。なお、ODの測定
は、島津製作所製UV−120−02型を用いた。
【0026】(比較例1)なお、比較のために、本実施
例と同様にして25℃、10日間梅実成分を抽出し、得
られた抽出液の梅実を分離することなく、そのまま60
℃の恒温器に入れ7日間、1日1回攪拌しながら同温度
で加熱処理を行い、室温まで冷却して梅実を分離し、比
較例1の梅酒を得た。
【0027】(比較例2)なお、また、比較のため本実
施例と同一の配合で密閉容器に仕込み、直ちに60℃の
恒温器で7日間、1日1回攪拌しながら同温度で加熱処
理を行い、室温まで冷却して梅実を分離し、比較例2の
梅酒を得た。
【0028】次に、上記で得られた3種の梅酒について
識別能力を有する21名のパネラ−による官能検査を行
った。方法は、3種の梅酒に不特定コ−ド番号を付け、
雑味がなく、後味のよい梅酒である順に1、2、3位と
順位をつける順位法で行った。また、官能検査の評価は
クレ−マ−(Kramer)の検定法を用いた。この方
法は、財団法人、日本醤油研究所発行の「しょうゆ試験
法」第120頁〜124頁による方法で求めた。その結
果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1の結果から、梅実を含んだ抽出液を加
熱処理する比較例1及び比較例2の梅酒は、いずれも雑
味及び後味の悪さを有し、梅酒として満足するものでは
ないことが判る。これに対して、梅実を含まない抽出液
を加熱処理する本発明の梅酒は、雑味がなく、後味の良
好な梅酒であることが判る。
【0031】
【実施例2】 (梅実を含まない抽出液を121℃で20分加熱処理す
る梅酒の製造方法)上記実施例1の本発明の梅酒の製造
方法において「梅実を含まない抽出液を60℃の恒温器
に入れて7日間加熱処理を行う」ことに代えて「梅実を
含まない抽出液をオ−トクレ−ブにて121℃、20分
の加熱処理を行う」を採用する以外は全く同様にして、
加熱処理前に比べODが0.36高められた本発明の梅
酒(OD0.40)を得た。
【0032】次いで、本発明で得られた梅酒を実施例1
と同様にして官能検査を行ったところ、雑味がなく、後
味の良好な梅酒であるとの評価を得た。
【0033】
【実施例3】 (梅実を含まない抽出液を各種条件で加熱処理する梅酒
の製造方法)実施例1の本発明の梅酒の製造方法におい
て、加熱処理を表2に記載の条件とする以外は全く同様
に行なって梅酒を得た。その結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果から、比較例1(60℃、3日
間の加熱処理)、比較例2(60℃、1日間の加熱処
理)では、処理後のODが、それぞれ0.08、0.0
4高められた梅酒が得られ、対照(80℃、20分の加
熱処理)ではODが0.01高められた梅酒がそれぞれ
得られたが、これらの梅酒は、いずれも加熱処理後のO
Dの高まりが0.1未満であること、そして苦みや渋み
が感じられ梅酒として好ましくないことが判る。これに
対して本発明1(60℃、7日間の加熱処理)及び本発
明2(60℃、5日間の加熱処理)は、いずれも加熱処
理前に比べODがそれぞれ0.26、0.17と0.1
以上高められた梅酒が得られること、そして、得られた
梅酒は雑味がなく後味の良好な梅酒であることが判る。
【0036】
【実施例4】 (従来の梅酒の製造方法において熟成の遅れた梅酒を、
65℃、6日間加熱処理する梅酒の製造方法)実施例1
と同様にして仕込んだ仕込み液を、山間寒冷地で1年間
貯蔵した後、梅実を分離して梅酒(OD0.15)を得
た。この梅酒は苦み、渋みがあり色調も淡色な未熟成の
梅酒であった。次いで、この梅実を分離した梅酒を65
℃の恒温器に入れて6日間、1日1回攪拌しながら同温
度で加熱処理を行い処理前に比べODが0.24高めら
れた本発明の梅酒(OD0.39)を得た。
【0037】本実施例で得られた梅酒は雑味がなく、後
味の良好な芳醇な風味を有し、しかも透明な褐色の色調
の梅酒であった。この結果から、本発明によれば熟成の
遅れた不良梅酒の風味の矯正、熟成度の調整等を行うこ
とができる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、雑味がなく、後味のよ
い芳醇な梅酒を極めて短期間に得ることができる利点を
有する。また、従来の梅酒の製造方法において、トラブ
ル等により、期待通り熟成が進まず風味等が不良である
梅実の抽出液あるいは製品梅酒に、本発明を適用するこ
とにより極めて簡単に、色調及び風味の改善された良好
な梅酒を得ることができる。すなわち、本発明は不良梅
酒の風味の矯正も行うことができる画期的な効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 倫夫 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】梅実及び甘味糖類をアルコ−ル含有液に仕
    込み、35℃以下で梅実成分の抽出を行った後、梅実を
    分離し、得られた実質的に梅実を含まない抽出液を加熱
    処理し、加熱処理後の光波長430nm、光路長1cm
    の光学密度(OD)の値が、処理前に比べて0.1以上
    高められた梅酒を得ることを特徴とする梅酒の製造方
    法。
  2. 【請求項2】加熱処理手段が、55〜65℃で、5〜8
    日間行なう請求項1記載の梅酒の製造方法。
  3. 【請求項3】加熱処理手段が、115〜125℃で、1
    5〜25分間行なう請求項1記載の梅酒の製造方法。
  4. 【請求項4】加熱処理後の梅酒が光波長430nm、光
    路長1cmの光学密度(OD)の値で0.2〜0.6の
    値を示す梅酒である請求項1記載の梅酒の製造方法。
JP26384396A 1996-09-13 1996-09-13 梅酒の製造方法 Pending JPH1084939A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20000072393A (ko) * 2000-09-01 2000-12-05 유병택 매실 침출물을 함유한 증류주의 제조 방법
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