JPH06343435A - 密封容器入り甘酒飲料及びその製造法 - Google Patents

密封容器入り甘酒飲料及びその製造法

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JPH06343435A
JPH06343435A JP5165101A JP16510193A JPH06343435A JP H06343435 A JPH06343435 A JP H06343435A JP 5165101 A JP5165101 A JP 5165101A JP 16510193 A JP16510193 A JP 16510193A JP H06343435 A JPH06343435 A JP H06343435A
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amazake
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JP5165101A
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Mitsufuyu Hashimoto
光冬 橋本
Keisuke Komiya
啓佑 小宮
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Morinaga and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 米麹を用いた本格的な甘酒は、作るのに熟練
と手間を要したが、びん、缶などの密封容器に入れ保存
性を良くしようとしても加温しながら販売した場合着色
して商品価値がなくなった。この発明の密封容器入り甘
酒飲料は、加温状態で保存しても着色せず、しかも甘酒
として好ましい風味が保持された。 【構成】 本格的なアルコール発酵を受けていない米麹
と飯米を混合して糖化したものに、湯水及び非還元性の
甘味料を加え、所望により更に他の副原料を加え、最終
製品のアルコール濃度が1%以下、グルコース、マルト
ース及びイソマルトースからなる還元性の糖の濃度が1
0%以下であり、しかもpHが3.5〜5.0となるよう
にし、それを密閉容器に入れ、加熱殺菌する密封容器入
り甘酒飲料の製造法及びこのようにして製造した密封容
器入り甘酒飲料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】甘酒は、米麹と飯米を混ぜて長い時
間加温しながら糖化させ、これを湯水で薄め、所望によ
り食塩やショウガを加えて、飲用する日本古来の伝統的
甘味飲料である。この甘酒には、ビタミンB1、B2、ナ
イアシンといった水溶性ビタミン類、カリウム、カルシ
ウムなどのミネラル類、アスパラギン酸、スレオニン、
セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニ
ン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チ
ロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、タウリン、ア
ルギニン、リジン、およびガンマアミノ酪酸を含むアミ
ノ酸類、アルファケトグルタール酸、クエン酸、リンゴ
酸、コハク酸、乳酸、ピログルタミン酸をはじめとした
有機酸類、それに食物繊維など、バラエティーに富んだ
栄養成分や体調改善に期待が持てる成分が含まれてお
り、保健飲料としても有用なものである。
【0002】しかし、このように優れた成分が多く含ま
れる甘酒も、米麹と飯を混ぜて糖化するのに、長い時間
所定の温度に保持しなければならず、管理に経験と熟練
を要するため慣れない人では失敗して酸っぱくしてしま
うこともあり、素人が作るのは困難であった。しかも、
現在では米麹を販売する所もほとんどみられず、例え技
術を持っていても甘酒を手軽に作ることができないのが
現状である。従って、神社や仏閣の門前の店などの極く
限られた所でなければ入手するのが困難となってしまっ
た。
【0003】一方、祭りなどで酒粕を溶解し、砂糖を加
えた甘酒が供されることがある。しかし、この種の甘酒
は簡単に作れるが、アルコール発酵した酒粕を用いてい
るため、エタノール、イソアミルアルコール、フェネチ
ルアルコールなどのアルコール類やそのエステル類など
が含まれ、米麹を用いた甘酒と比べ成分が全く異なるた
め味や香りなどの風味も違い、本格的な甘酒の好ましい
風味に欠けるものとなった。この発明の甘酒飲料は、こ
のような酒粕を利用した甘酒ではなく、ほとんどアルコ
ール発酵が起きていない米麹を用い、これと飯米を混ぜ
て糖化した本格的な甘酒を利用した甘酒飲料であり、米
麹及びそれが糖化して生成される独特の甘い香りをもっ
た好ましい風味を有するものである。すなわち、この発
明は、作るのに手間と熟練を要する本格的な甘酒を缶な
どの密封容器に入れ、加熱殺菌して、いつでも好きなと
き自由に利用できるようにした密閉容器入り甘酒飲料と
その製造法に関するものであり、更にホットベンダーな
どを利用して暖めながら販売しても変色や変質が生じな
い密封容器入り甘酒飲料に関するものである。
【0004】
【従来の技術】甘酒は、作るのに手間と熟練を要する
が、その手間を省くための製品がいくつか販売されてい
る。その第1の製品は、ポリ袋入りの「甘酒の素」であ
る。このものは、麹と飯米を混ぜて糖化し、ときにはそ
れに砂糖などを加えポリ袋に密封したものであり、ほと
んどの場合、密封したまま温湯に漬けるなどして殺菌処
理している。このものは、湯水に溶解し、一度煮沸して
から飲用に供される。第2の製品として、飲用に適した
濃度とした甘酒を缶詰またはビン詰とした甘酒飲料であ
る。このものは、甘酒を飲用に適した濃度に調製して、
そのまま瓶詰または缶詰にした商品である。このもの
は、ホットパックまたは熱湯に浸漬して殺菌処理が行わ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】第1の製品は、殺菌の
とき甘酒に熱が加えられるため、熱により成分が変化
し、本格的な甘酒とは異なった風味となる。すなわち、
このものは、甘酒をそのまま加熱殺菌しているため、そ
の間に変質と変色が起り、風味や色が甘酒として好まし
いものとは言えないものとなってしまった。第2の製品
である甘酒飲料も、高い温度で加熱殺菌すると変色や変
質が起こるため殺菌温度を高くすることができず、その
結果米麹に由来する多量の耐熱性芽胞菌が生存したもの
となった。そのため、開栓と同時に菌が増殖を始め、飲
みかけで置いておくと菌が増殖して異味異臭を生じ、飲
用不能となるおそれがあった。また、このものは、長い
時間暖めておくと含まれる還元性の糖類がアミノカルボ
ニル反応を起こして褐変したり、風味が損なわれた。な
お、第1の製品も、耐熱性芽胞菌による変敗や加温して
おいた場合の変質や変色がみられることがあった。
【0006】このように従来の製品は、殺菌時の加熱に
より変質したり、開封後の耐熱性芽胞菌などの繁殖によ
る変敗の心配などがあった。しかも、甘酒は温めて飲む
ことが常識と信じられているため販売に当たり暖かい状
態で提供する必要があるが、例えばコーヒー飲料や紅茶
飲料などと同じようにホットベンダーや缶ウオーマーな
どを利用して加温状態を保ちながら販売した場合、変色
が認められた。しかし、甘酒飲料は、コーヒー飲料など
と異なり色が白いため、ほんの少し変色しただけでも目
立つので、変色すると商品価値を失ってしまうおそれが
ある。この発明は、米麹を使用した本格的な甘酒を使用
しているにもかかわらず、加熱殺菌したとき変色や変質
を起こさずに耐熱性芽胞菌なども殺菌でき、しかも缶ウ
ォーマーやホットペンダーを用いて販売しても加温によ
る変色が起こらない、風味の良好な甘酒飲料を提供する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らが得
た知見によると、米麹を用いた本格的な甘酒を原料とし
た甘酒飲料は、例えば苛酷な条件で加熱して酵素を完全
に失活させておいたとしても、加温状態で保存した場合
変色するのが認められた。すなわち、甘酒を加温して保
存したときの変色は、糖化処理のとき澱粉や蛋白質が米
麹の酵素により分解され還元性の糖類やアミノ酸とな
り、これが非酵素的に反応して起こるアミノカルボニル
反応のためと推定された。なお、甘酒にはグルコース、
イソマルトース、マルトースなどの糖類が存在してお
り、これらの糖類は甘酒重量の約22%を占めた。これ
らの糖類は、いずれもアミノカルボニル反応の原因とな
るカルボニル基をもつ還元性糖類であった。従って、通
常の甘酒は、加熱殺菌或は加温販売すると速やかに変色
が進行するのが認められた。このことから発明者らは、
加熱殺菌の際や加温販売中においても甘酒の良さを十分
に保持している新しい飲料の開発、即ち、米麹を使用し
ながら、変色の原因物質が少なく、原因物質が存在して
も変色の進行を遅らせるように調製した甘酒飲料の開発
をめざして、更に検討を重ねた。
【0008】通常の甘酒は、pHが5.7前後である。
一方、アミノカルボニル反応はpHが高いほど反応が進
行し、pHが低くなると反応が起こりにくくなる。しか
し、甘酒飲料の場合、pHを下げただけでは変色を十分
に抑制できず、糖化により生成した還元性糖類も減らす
必要があった。すなわち、pHを低くし、しかも還元性
糖類の含量を低くしてはじめて、加熱殺菌及び加温状態
での保管における変色や変質を抑制することが可能とな
ったのである。しかし、甘酒を希釈して還元性糖類の含
量を減少させてpHを低くしても酸味が強くなり、しか
も甘味がほとんど感じられず、甘酒とはとても認識でき
ない極めて嗜好性の低い飲料となった。この発明の発明
者らは、このものに甘味料を加え甘味を強くすることに
より、甘酒特有の風味が復活し、嗜好性の高い飲料とな
ることを見いだし、この発明を完成させた。
【0009】すなわち、この発明は、本格的なアルコー
ル発酵を受けていない米麹と飯米を混ぜて糖化したもの
に水及び非還元性の甘味料を加え、所望によりその他の
副原料を加え、最終製品のグルコース、マルトース及び
イソマルトースからなる還元性糖類の含量が10%以下
で、しかもpHが3.5から5.0までの範囲の値となる
ようにした甘酒飲料溶液を密閉容器に入れ、加熱殺菌し
た密封容器入り甘酒飲料とするものである。
【0010】ここに用いる本格的なアルコール発酵を受
けていない米麹とは、酒粕を用いた甘酒のように酵母に
よるアルコール発酵により生じるアルコール類やそのエ
ステル化合物を殆ど含まない米麹を指す。酵母による発
酵を受けていない米麹を用いた甘酒は、アスペルギルス
・オリーゼの生成した米麹の本来の香りおよびそれが糖
化して生成される甘い香りを有している。従って、酵母
による発酵を受けていない米麹の好ましい風味を有する
甘酒飲料とするために、本格的なアルコール発酵を受け
ていない米麹を用いる必要があり、そのためには最終製
品としたときアルコール含量が1%以下となる米麹を用
いるようにする。
【0011】このような米麹を用いて糖化を行う。糖化
は、米麹と飯米を混ぜ、加温状態を維持して行う。通
常、ほぼ同量の米麹と飯米を混ぜるが、この比率は好み
により7:3〜3:7の範囲で変えることができる。即
ち、米麹が多いと早く糖化するだけでなく、甘みの強い
甘酒とすることができる。米麹と飯米を混ぜるには、飯
米を良く潰してから米麹を加えるのが望ましい。米麹と
飯米を混ぜたものは、そのまま又は湯水を加え、加温し
て糖化を行う。このときの温度が低いと、アルコールや
有機酸が生じ、高すぎると糖化酵素が失活するので、通
常55〜60℃位の温度で行なうようにする。また、加
温時間も混ぜたときの米麹と飯米の比率、温度、米麹の
状態などにより異なるが、あまり時間をかけるとアルコ
ールや有機酸が生じ、好ましくない風味となり、短いと
糖化が不十分となるので通常一晩といわれており、8〜
16時間が望ましい。
【0012】糖化するとき湯水を加えない場合は湯水を
加え、糖化のとき湯水を加えた場合は必要により湯水を
加え、また砂糖、ステビア、アスパルテームなどの非還
元性の甘味料も加え、必要により濾過、遠心分離などに
より固形分を除いたり、所望により食塩、しょうが汁、
柚子エキスなどの果汁や果実エキス、酒粕などの他の副
原料を加え、甘酒飲料溶液とする。このとき、甘酒飲料
溶液のグルコース、マルトース及びイソマルトースから
なる還元性糖類の含量を10%以下とし、しかもpHを
3.5〜5.0とする。
【0013】すなわち、通常の甘酒は、米麹と飯米を混
ぜて糖化したものに湯水を加え、煮立てた後飲用に供さ
れるが、このもののpHは5.7前後、糖度はBx25
度前後となっている。しかも、含有する糖の90%以上
がグルコースで、この他にマルトース、イソマルトース
などの還元性糖類が多く、これらの糖類で22%位とな
る。従って、これらの還元性糖類は、加温したとき、糖
化の過程で米の蛋白質が分解してできたアミノ酸類と結
合し、アミノカルボニル反応により変色した。しかし、
比較試験例にもみられるように、発明者らの得た知見に
よると、還元性糖類の含量を10%以下とし、しかもp
Hを3.5〜5.0とすることにより、殺菌時の加熱や
加温販売における変色を問題とならない程度とすること
ができた。還元性糖類を10%以下とするには、糖化物
の使用量を少なくして湯水で希釈したり、糖化の途中で
冷却したり、加熱して酵素の活性を停止することにより
行うことができる。
【0014】還元性糖類の含量を10%以下とすると甘
味が不足し、嗜好性が悪くなるので、砂糖、還元澱粉分
解糖類、ステビアサイド、アスパルテームなどの非還元
性の甘味料を添加して甘味を補うようにして、風味を損
なわないようにする。甘味料の使用量は、使用する甘味
料の種類、pH、酸度などにより異なるが、例えばpH
4.5で還元性糖類の含量が10%の場合、5〜10
%、望ましくは7〜8%の砂糖を使用するのがよい。一
般には、甘酒飲料のpHが小さくなるほど、添加する甘
味料の使用量を多くするのが好ましい。また、比較試験
例にもみられるように、アミノカルボニル反応はpHが
高くなる程速やかに進行するが、pHを低くしすぎると
風味に影響するので、pHは3.5から5.0の範囲に
調整するのが好ましい。pHの調整は、クエン酸、乳
酸、酢酸、酢などの食用に用いられる酸を用いるが、例
えばレモン汁や梅エキスなどの酸性の食品を用いてもよ
い。また、糖化した甘酒を30〜40℃で乳酸発酵して
所定のpHとすることも可能である。
【0015】このようにして還元性糖類の含量やpHを
好ましい状態とした甘酒飲料溶液を缶、びんなどの密閉
容器に充填し、殺菌する。密閉容器に充填する際、甘酒
飲料溶液を加熱して充填するいわゆるホットパックとす
るのが望ましいが、本発明の方法を行った場合充填後に
加熱殺菌してもほとんど変色しないので、ホットパック
は必ずしも必要とするものではない。なお、殺菌処理
は、常法に従って行うが、耐熱性芽胞菌も殺菌される条
件で行うようにする。また、少しでも品質に影響するの
を避けるため、加熱殺菌した密閉容器に入った甘酒飲料
は、可及的速やかに冷却するのが望ましい。このように
して得た密封容器に入った甘酒飲料は、殺菌処理のと
き、或は加温販売するとき変色や変質がみられず、品質
の安定したものとなった。
【0016】
【実施例】
実施例1 米麹10部、飯米10部に水を加え糖化して100部と
し、その50部に砂糖10部及び水40部を加え、クエ
ン酸でpH4.8に調整して甘酒飲料溶液とした。この
甘酒飲料溶液の還元性糖類の含量は、10%であった。
これを85℃にして、その温度で缶に充填し、密封して
から120℃にて30分間加熱殺菌して密閉容器入り甘
酒飲料を得た。この密閉容器入り甘酒飲料のアルコール
含量は1%以下であった。また、この密閉容器入り甘酒
飲料の嗜好試験を比較試験例1に従って行った結果、8
9で大変風味の好ましいものであった。また、これを容
器ごと60℃に加温し、その状態で7日間保存する加熱
保存を行った後色差計のL値の低下を測定した結果9.
4で、この間の変色は問題とするほどではなかった。ま
た、この加熱保存をした甘酒飲料の嗜好試験の結果は8
3で加熱保存による風味の劣化は問題とするほどではな
かった。
【0017】実施例2 米麹10部、飯米10部に水を加え糖化して100部と
し、その45部に酒粕5部、砂糖10部、水40部を加
え、クエン酸でpH4.8に調整して甘酒飲料溶液とし
た。この甘酒飲料溶液の還元性糖類の含量は、9.5%
であった。これを85℃にし缶に充填し、密封してから
120℃にて30分間加熱殺菌して密閉容器入り甘酒飲
料を得た。この密閉容器入り甘酒飲料のアルコール含量
は、1%以下であった。また、嗜好試験の結果は、89
で大変嗜好性の高い、このましい風味のものであった。
さらに、この密閉容器入り甘酒飲料を容器ごと60℃に
加温し、この状態で7日間保存したとき、色差計のL値
の低下幅は9.4で、加熱保存の間の変色は問題とする
ほどではなかった。
【0018】実施例3 米麹10部に飯米10部と水を加え糖化して100部と
し、その45部に砂糖7.5部、梅エキス1.0部及び
水46.5部を加え、pHが4.5の甘酒飲料溶液を得
た。この甘酒飲料溶液の還元性糖類の含量は9.8%で
あった。これを85℃として缶に充填し、密封してから
120℃にて30分間加熱殺菌して密閉容器入り甘酒飲
料を得た。この密閉容器入り甘酒飲料のアルコール含量
は1%以下であった。また、嗜好試験査の結果は、87
で大変風味がよかった。さらに、この密閉容器入り甘酒
飲料を容器ごと60℃に加温し、この状態で7日間保存
したときの色差計のL値の変化は4.4で変色は問題と
するほどではなかった。
【0019】実施例4 米麹10部に飯米10部と水を加え糖化させて100部
とした。この糖化物の45部に砂糖7.5部、柚エキス
3.0部及び水44.5部を加え、pHが4.5の甘酒
飲料溶液を得た。この甘酒飲料の還元性糖類の含量は、
9.9%であった。これを85℃として缶に充填し、密
封してから120℃にて30分間加熱殺菌して密閉容器
入り甘酒飲料を得た。この密閉容器入り甘酒飲料のアル
コール含量は、1%以下であった。また、嗜好試験の結
果は89で、良好な風味であった。さらに、この密閉容
器入り甘酒飲料を容器ごと60℃に加温し、この状態で
7日間保存したときの色差L値の変化は4.4で、変色
はほとんど認められなかった。
【0020】
【発明の効果】次に、本願発明の効果を比較試験の結果
により説明する。 比較試験例1 米麹と等量の飯米を混合し、60℃に一晩保持して糖化
し、これを湯水で希釈して通常の甘酒の濃度としてホッ
トパックで缶に充填して甘酒飲料を作った。この甘酒飲
料の還元性糖類の含量は22%、pHは6.2であっ
た。また、同じ米麹に湯水を加え、同じく60℃にて一
晩保持して糖化し、湯水を加えて濃度を調整してから缶
にホットパックして米麹のみからなる甘酒飲料を作っ
た。この米麹のみからなる甘酒飲料の還元性糖類の含量
は21%、pHは5.8であった。また、米麹と飯米を
混ぜて作った甘酒飲料及び米麹のみからなる甘酒飲料に
それぞれリン酸を加え、pHを3.2〜4.5に調整し
てpHを調整した甘酒飲料を作った。これらの甘酒飲料
を60℃で7日間保存する加熱保存をした結果は、表1
及び表2のようになった。
【0021】なお、変色試験は、甘酒飲料の色を色差計
にて測定し加温保存の前と後のL値の差を求めたもので
ある。この値が10未満の場合変色が問題とするほどで
はないので合格とし、10を越えたものを不合格とし
た。また、嗜好試験は、20名の専門パネラーに55℃
とした甘酒飲料を飲んでもらい、甘酒飲料としてみたと
きの「おいしさ」を1〜5点(「おいしさ」が理想的な
ものを5点、甘酒らしさが全く感じられないものを1点
とする絶対評価)で採点してもらい、20名の合計点で
求めた。この値が70以上のものを好ましい風味の甘酒
として合格とし、70未満のものは風味の劣る甘酒とし
て不合格とした。なお、変色試験及び嗜好試験の合格ラ
インは、長年にわたり市場の甘酒や試作した甘酒などを
調べた結果から得た値である。
【0022】 還元性糖類の含量を調整せずにpHのみを調整した甘酒
は、pHが大きいと、変色試験の結果に見られるように
加温して保存したときの変色が大きくなった。一方、p
Hを小さくすると嗜好試験の結果にみられるように、風
味が好ましくないものとなった。
【0023】比較試験例2 米麹1部と飯米1部を混合し、60℃に一晩保持して糖
化し、還元性糖類の含量が46.4%の甘酒を得た。こ
の甘酒を湯水で希釈後クエン酸にてpHを5.0に調整
してから缶にホットパックして還元性糖類の含量が5%
から20%の甘酒飲料とした。これらの還元性の糖類含
量の異なった甘酒飲料を60℃に7日間保存して加熱保
存を行い、変色試験を行った結果、表3のようになっ
た。
【0024】 pHを5.0とした場合、還元性糖類の含量が10%以
下のとき変色は問題とするほどではなかった。
【0025】比較試験例3 米麹1部と飯米1部を混合し、60℃に一晩保持して糖
化し、これに湯水、リンゴ酸及び表4に記載の甘味料を
加えた後、びんにホットパックしてそれぞれの甘味料を
添加した密封容器入りの甘酒飲料を得た。なお、それぞ
れの甘酒飲料のpHは5.0となるようにした。また、
糖化物由来の還元性糖類は、ぶどう糖9.2%、イソマ
ルトース0.6%、マルトース0.2%となるようにし
た。添加した甘味料の量は、それぞれの甘酒飲料の甘味
に違いが感じられないように、表4に記載の量を用い
た。これらの添加甘味料の異なる密封容器入り甘酒飲料
を60℃にて7日間保存する加熱保存し、その変色の程
度を見る変色試験を行った結果、表4のようになった。
【0026】 還元性の強い甘味料である蜂蜜、果糖ぶどう糖液糖、マ
ルトース、ぶどう糖などではL値の差が大きく、変色が
認められたが、還元性の小さい砂糖(蔗糖)、ソルビト
ール、マルチトール、砂糖・ステビア溶液などではL値
の差が小さく、変色が問題とするほどではなかった。
【0027】これらの比較試験の結果からみて、密封容
器入り甘酒飲料を加温して保存しても、甘酒飲料のpH
が5.0以下であって、しかも還元性糖類の含量が10
%以下であるとき、変色は問題とするほどではないこと
が分かった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米麹及び非還元性の甘味成分を含み、エ
    チルアルコール含量が1%以下、グルコース、マルトー
    ス及びイソマルトースからなる還元性糖類の含量が10
    %以下であり、しかもpHが3.5〜5.0であることを
    特徴とする密封容器入り甘酒飲料。
  2. 【請求項2】 本格的なアルコール発酵を受けていない
    米麹と飯米を混合して糖化したものに、湯水及び非還元
    性の甘味料を加え、所望により更に他の副原料を加え、
    最終製品のアルコール含量が1%以下、グルコース、マ
    ルトース及びイソマルトースからなる還元性糖類の含量
    が10%以下であり、しかもpHが3.5〜5.0となる
    ようにした甘酒飲料溶液を密閉容器に入れ、加熱殺菌す
    ることを特徴とする密封容器入り甘酒飲料の製造法。
JP5165101A 1993-06-10 1993-06-10 密封容器入り甘酒飲料及びその製造法 Pending JPH06343435A (ja)

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