JPH1075785A - キシリトールオキシダーゼ遺伝子 - Google Patents
キシリトールオキシダーゼ遺伝子Info
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- JPH1075785A JPH1075785A JP8230952A JP23095296A JPH1075785A JP H1075785 A JPH1075785 A JP H1075785A JP 8230952 A JP8230952 A JP 8230952A JP 23095296 A JP23095296 A JP 23095296A JP H1075785 A JPH1075785 A JP H1075785A
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- dna
- xylitol oxidase
- xylitol
- amino acid
- protein
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 組換えDNA法によるキシリトールオキシダ
ーゼの製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】 キシリトールオキシダーゼ生産菌である
ストレプトミセス・エスピーIKD472の染色体DN
Aからキシリトールオキシダーゼ遺伝子のクローニング
が可能であり、キシリトールオキシダーゼをコードする
全長DNAの塩基配列が明らかとなり、これを発現ベク
ターに導入し、宿主細胞を形質転換し、得られる形質転
換体を培養することにより、大量にキシリトールオキシ
ダーゼを製造することができる。
ーゼの製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】 キシリトールオキシダーゼ生産菌である
ストレプトミセス・エスピーIKD472の染色体DN
Aからキシリトールオキシダーゼ遺伝子のクローニング
が可能であり、キシリトールオキシダーゼをコードする
全長DNAの塩基配列が明らかとなり、これを発現ベク
ターに導入し、宿主細胞を形質転換し、得られる形質転
換体を培養することにより、大量にキシリトールオキシ
ダーゼを製造することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キシリトールオキ
シダーゼ遺伝子に関する。更に詳細には、肝疾患等の臨
床診断薬として極めて有用であるキシリトールオキシダ
ーゼをコードするDNA、該DNAを含有する組換えベ
クター、及び該組換えベクターを用いたキシリトールオ
キシダーゼの製造法である。
シダーゼ遺伝子に関する。更に詳細には、肝疾患等の臨
床診断薬として極めて有用であるキシリトールオキシダ
ーゼをコードするDNA、該DNAを含有する組換えベ
クター、及び該組換えベクターを用いたキシリトールオ
キシダーゼの製造法である。
【0002】
【従来の技術】キシリトールは、5炭糖の代謝経路であ
るウロン酸経路の中間代謝物であり、ヒト血中にも存在
し、その濃度は、肝疾患で上昇することから、肝臓病の
診断への利用が期待されているものである。従来、キシ
リトールの臨床分析法としては、試料を先ずアルカリで
処理して試料中の糖を分解除去し、過ヨウ素酸で残存す
るキシリトールを酸化した後、クロモトロープ酸を用い
て化学的に発色させて検出する方法(医学のあゆみ78
420(1971))、ガスクロマトグラフ法(An
al.Chem.37 1602(1965))、液体
クロマトグラフ法(Anal.Sci.2 165(1
986))、あるいは、L−キシルロースレダクターゼ
及びD−キシルロースレダクターゼを用い補酵素NAD
Pの存在下にキシリトールを酸化し、還元されたNAD
PHの吸光度を測定する酵素法(臨床病理23 381
(1975))などが知られている。しかしながら、こ
れらの何れの方法も、操作が複雑であるなどの問題を有
しており、また汎用型の自動生化学測定装置に適用でき
ないなどの難点を有していた。
るウロン酸経路の中間代謝物であり、ヒト血中にも存在
し、その濃度は、肝疾患で上昇することから、肝臓病の
診断への利用が期待されているものである。従来、キシ
リトールの臨床分析法としては、試料を先ずアルカリで
処理して試料中の糖を分解除去し、過ヨウ素酸で残存す
るキシリトールを酸化した後、クロモトロープ酸を用い
て化学的に発色させて検出する方法(医学のあゆみ78
420(1971))、ガスクロマトグラフ法(An
al.Chem.37 1602(1965))、液体
クロマトグラフ法(Anal.Sci.2 165(1
986))、あるいは、L−キシルロースレダクターゼ
及びD−キシルロースレダクターゼを用い補酵素NAD
Pの存在下にキシリトールを酸化し、還元されたNAD
PHの吸光度を測定する酵素法(臨床病理23 381
(1975))などが知られている。しかしながら、こ
れらの何れの方法も、操作が複雑であるなどの問題を有
しており、また汎用型の自動生化学測定装置に適用でき
ないなどの難点を有していた。
【0003】このような従来のキシリトールの臨床分析
法の問題点を解決する分析法として、ストレプトミセス
属に属する菌株から単離精製されたキシリトールオキシ
ダーゼを利用した方法が提案されている(特開平8−8
9242号公報)。このキシリトールオキシダーゼはキ
シリトールを直接酸化して過酸化水素を生成するため、
過酸化水素を汎用型の自動生化学測定装置によって測定
可能であり、従ってこの方法は自動生化学測定装置に適
用可能なキシリトールの臨床分析法として期待されてい
るものである。
法の問題点を解決する分析法として、ストレプトミセス
属に属する菌株から単離精製されたキシリトールオキシ
ダーゼを利用した方法が提案されている(特開平8−8
9242号公報)。このキシリトールオキシダーゼはキ
シリトールを直接酸化して過酸化水素を生成するため、
過酸化水素を汎用型の自動生化学測定装置によって測定
可能であり、従ってこの方法は自動生化学測定装置に適
用可能なキシリトールの臨床分析法として期待されてい
るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、キシリ
トールオキシダーゼの製造法としては、ストレプトミセ
ス属に属するキシリトールオキシダーゼ生産菌を培養し
てその培養物から得る方法が知られているのみであり、
またキシリトールオキシダーゼは菌体内生産量が極めて
少ないため、その大量生産が従来困難であり、大量に製
造する方法の開発が望まれていた。本発明は、上記実情
に鑑みなされたものであり、その目的は、肝疾患等の診
断薬として有用性の高いキシリトールオキシダーゼの大
量生産を可能とする、組換えDNA法によるキシリトー
ルオキシダーゼの製造法を提供することにある。また、
本発明の他の目的は、かかる組換えDNA法に用いるキ
シリトールオキシダーゼをコードする遺伝子、該遺伝子
を含有する組換えベクター及び該組換えベクターによっ
て形質転換された微生物を提供することにある。
トールオキシダーゼの製造法としては、ストレプトミセ
ス属に属するキシリトールオキシダーゼ生産菌を培養し
てその培養物から得る方法が知られているのみであり、
またキシリトールオキシダーゼは菌体内生産量が極めて
少ないため、その大量生産が従来困難であり、大量に製
造する方法の開発が望まれていた。本発明は、上記実情
に鑑みなされたものであり、その目的は、肝疾患等の診
断薬として有用性の高いキシリトールオキシダーゼの大
量生産を可能とする、組換えDNA法によるキシリトー
ルオキシダーゼの製造法を提供することにある。また、
本発明の他の目的は、かかる組換えDNA法に用いるキ
シリトールオキシダーゼをコードする遺伝子、該遺伝子
を含有する組換えベクター及び該組換えベクターによっ
て形質転換された微生物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、組換えD
NA法によるキシリトールオキシダーゼの製造法を開発
することを目的として鋭意研究した結果、ストレプトミ
セス属に属するキシリトールオキシダーゼ生産菌の染色
体DNAからのキシリトールオキシダーゼをコードする
遺伝子のクローニングに成功し、かかる遺伝子を含有す
る発現ベクターで微生物を形質転換し得られる形質転換
体を培養することによってキシリトールオキシダーゼを
大量に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
NA法によるキシリトールオキシダーゼの製造法を開発
することを目的として鋭意研究した結果、ストレプトミ
セス属に属するキシリトールオキシダーゼ生産菌の染色
体DNAからのキシリトールオキシダーゼをコードする
遺伝子のクローニングに成功し、かかる遺伝子を含有す
る発現ベクターで微生物を形質転換し得られる形質転換
体を培養することによってキシリトールオキシダーゼを
大量に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明は、以下に示すアミノ酸
配列をコードするDNA部分配列を5′末端側に含有す
る、キシリトールオキシダーゼをコードするDNAに関
する。
配列をコードするDNA部分配列を5′末端側に含有す
る、キシリトールオキシダーゼをコードするDNAに関
する。
【0007】
【化6】 (ただし、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパ
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。)
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。)
【0008】更に本発明は、以下に示すアミノ酸配列か
らなるキシリトールオキシダーゼをコードするDNA、
または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミ
ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列から
なりキシリトールオキシダーゼ活性を有するタンパク質
をコードするDNAに関する。
らなるキシリトールオキシダーゼをコードするDNA、
または該アミノ酸配列において1もしくは複数個のアミ
ノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列から
なりキシリトールオキシダーゼ活性を有するタンパク質
をコードするDNAに関する。
【化7】 (ただし、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパ
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。)
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。)
【0009】更に本発明は、以下に示す塩基配列からな
るキシリトールオキシダーゼをコードするDNA、また
は該DNAとハイブリダイズしキシリトールオキシダー
ゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAに関す
る。
るキシリトールオキシダーゼをコードするDNA、また
は該DNAとハイブリダイズしキシリトールオキシダー
ゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAに関す
る。
【0010】
【化8】
【0011】更に本発明は、上記のいずれかのDNAを
含有する、キシリトールオキシダーゼもしくはキシリト
ールオキシダーゼ活性を有するタンパク質を発現するた
めの組換えベクターに関する。更に本発明は、上記組換
えベクターによって形質転換された微生物に関する。更
に本発明は、上記の微生物を好適な培地中で培養し、培
養物中にキシリトールオキシダーゼもしくはキシリトー
ルオキシダーゼ活性を有するタンパク質を生成させるこ
とを特徴とするキシリトールオキシダーゼもしくはキシ
リトールオキシダーゼ活性を有するタンパク質の製造法
に関する。
含有する、キシリトールオキシダーゼもしくはキシリト
ールオキシダーゼ活性を有するタンパク質を発現するた
めの組換えベクターに関する。更に本発明は、上記組換
えベクターによって形質転換された微生物に関する。更
に本発明は、上記の微生物を好適な培地中で培養し、培
養物中にキシリトールオキシダーゼもしくはキシリトー
ルオキシダーゼ活性を有するタンパク質を生成させるこ
とを特徴とするキシリトールオキシダーゼもしくはキシ
リトールオキシダーゼ活性を有するタンパク質の製造法
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で対象とするキシリトール
オキシダーゼは、キシリトールを直接酸化して過酸化水
素を生成する作用を有するものであり、具体的には酸素
の存在下、キシリトールを酸化して過酸化水素及びD−
キシロースを生成する能力を有するものである。キシリ
トールオキシダーゼの詳細については特開平8−892
42号公報に記載されている。キシリトールオキシダー
ゼをコードするDNAのクローニングは、ストレプトミ
セス(Streptomyces)属に属するキシリト
ールオキシダーゼ生産能を有する微生物、例えばストレ
プトミセス・エスピー(Streptomyces s
p.)IKD472(工業技術院生命工学工業技術研究
所寄託番号、FERM P−14339)のDNA染色
体から以下のようにして行うことができる。
オキシダーゼは、キシリトールを直接酸化して過酸化水
素を生成する作用を有するものであり、具体的には酸素
の存在下、キシリトールを酸化して過酸化水素及びD−
キシロースを生成する能力を有するものである。キシリ
トールオキシダーゼの詳細については特開平8−892
42号公報に記載されている。キシリトールオキシダー
ゼをコードするDNAのクローニングは、ストレプトミ
セス(Streptomyces)属に属するキシリト
ールオキシダーゼ生産能を有する微生物、例えばストレ
プトミセス・エスピー(Streptomyces s
p.)IKD472(工業技術院生命工学工業技術研究
所寄託番号、FERM P−14339)のDNA染色
体から以下のようにして行うことができる。
【0013】キシリトールオキシダーゼ生産菌の菌体か
ら染色体DNA溶液を得るための公知の処理を実施して
染色体DNA溶液を収得する。すなわち、例えば菌体を
リゾチーム等で処理してその細胞壁を破壊し、次いでプ
ロティナーゼK、RNaseなどで処理する通常の方法
により、菌体から染色体DNA溶液を得ることができ
る。次いで染色体DNAを各種制限酵素を用いて完全消
化して各種のDNA断片を調製し、適当なプローブを用
いてキシリトールオキシダーゼをコードするDNAを含
むDNA断片を検索する。ここで用いるプローブは、精
製したキシリトールオキシダーゼ中の適当なアミノ酸配
列部分をエドマン分解法により決定し、これらのアミノ
酸配列に基づいて作成することができる。プローブとし
ては、例えば以後に示す実施例で用いられている以下の
塩基配列を有する66bpのDNA断片を挙げることが
できる。
ら染色体DNA溶液を得るための公知の処理を実施して
染色体DNA溶液を収得する。すなわち、例えば菌体を
リゾチーム等で処理してその細胞壁を破壊し、次いでプ
ロティナーゼK、RNaseなどで処理する通常の方法
により、菌体から染色体DNA溶液を得ることができ
る。次いで染色体DNAを各種制限酵素を用いて完全消
化して各種のDNA断片を調製し、適当なプローブを用
いてキシリトールオキシダーゼをコードするDNAを含
むDNA断片を検索する。ここで用いるプローブは、精
製したキシリトールオキシダーゼ中の適当なアミノ酸配
列部分をエドマン分解法により決定し、これらのアミノ
酸配列に基づいて作成することができる。プローブとし
ては、例えば以後に示す実施例で用いられている以下の
塩基配列を有する66bpのDNA断片を挙げることが
できる。
【0014】
【化9】 このDNA断片は、キシリトールオキシダーゼのN末端
および内部アミノ酸配列部分をエドマン分解法により決
定しこれらのアミノ酸配列に基づいて構築したものであ
り、キシリトールオキシダーゼをコードするDNAの
5′末端側に位置すると考えられるものである。このD
NA断片をプローブとして、各種制限酵素で処理して調
製した染色体DNAの各種断片をサザンハイブリダイゼ
ーションにより検索し、キシリトールオキシダーゼをコ
ードする全長DNAを含むと考えられるDNA断片を決
定する。以後の実施例で示すように、ストレプトミセス
・エスピーIKD472の染色体DNAを制限酵素Sp
hIとSalIで消化して得られる2.8kbpのSp
hI−SalI断片中にキシリトールオキシダーゼをコ
ードする全長DNAが含まれていると考えられた。
および内部アミノ酸配列部分をエドマン分解法により決
定しこれらのアミノ酸配列に基づいて構築したものであ
り、キシリトールオキシダーゼをコードするDNAの
5′末端側に位置すると考えられるものである。このD
NA断片をプローブとして、各種制限酵素で処理して調
製した染色体DNAの各種断片をサザンハイブリダイゼ
ーションにより検索し、キシリトールオキシダーゼをコ
ードする全長DNAを含むと考えられるDNA断片を決
定する。以後の実施例で示すように、ストレプトミセス
・エスピーIKD472の染色体DNAを制限酵素Sp
hIとSalIで消化して得られる2.8kbpのSp
hI−SalI断片中にキシリトールオキシダーゼをコ
ードする全長DNAが含まれていると考えられた。
【0015】かくして決定されたDNA断片を対象とし
て以後クローニングを行う。すなわち、例えば上記の
2.8kbpのSphI−SalI断片を適当なベクタ
ー、例えばpUC18に導入して組換えプラスミドを構
築し、大腸菌を形質転換し、得られる形質転換体につい
て、例えば上記した66bpのDNA断片をプローブと
してコロニーハイブリダイゼーションを実施して陽性ク
ローンを検出する。この陽性クローンからDNA断片を
回収して、通常の塩基配列決定法によりキシリトールオ
キシダーゼをコードするDNAを決定することができ
る。
て以後クローニングを行う。すなわち、例えば上記の
2.8kbpのSphI−SalI断片を適当なベクタ
ー、例えばpUC18に導入して組換えプラスミドを構
築し、大腸菌を形質転換し、得られる形質転換体につい
て、例えば上記した66bpのDNA断片をプローブと
してコロニーハイブリダイゼーションを実施して陽性ク
ローンを検出する。この陽性クローンからDNA断片を
回収して、通常の塩基配列決定法によりキシリトールオ
キシダーゼをコードするDNAを決定することができ
る。
【0016】かくして、以下に示す塩基配列を有するD
NAが、キシリトールオキシダーゼをコードする全長D
NAの5′末端側に位置する1−720位のDNA部分
配列であることが決定された。
NAが、キシリトールオキシダーゼをコードする全長D
NAの5′末端側に位置する1−720位のDNA部分
配列であることが決定された。
【0017】
【化10】 このDNA部分配列から、キシリトールオキシダーゼの
N末端側の1−240位のアミノ酸配列が以下の通りに
決定された。
N末端側の1−240位のアミノ酸配列が以下の通りに
決定された。
【0018】
【化11】 (ただし、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパ
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。) キシリトールオキシダーゼをコードする全長DNAは、
上記したように、ストレプトミセス・エスピーIKD4
72の染色体DNAの2.8kbp SphI−Sal
I断片中から、66bpのDNA断片をプローブとして
用いて得ることができ、その全長DNAは1245bp
であって以下の塩基配列を有する。
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。) キシリトールオキシダーゼをコードする全長DNAは、
上記したように、ストレプトミセス・エスピーIKD4
72の染色体DNAの2.8kbp SphI−Sal
I断片中から、66bpのDNA断片をプローブとして
用いて得ることができ、その全長DNAは1245bp
であって以下の塩基配列を有する。
【0019】
【化12】 この全長塩基配列から、キシリトールオキシダーゼは以
下に示すアミノ酸配列からなるタンパク質であることが
判明した。
下に示すアミノ酸配列からなるタンパク質であることが
判明した。
【0020】
【化13】 (ただし、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパ
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。)
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。)
【0021】上記した塩基配列からなるキシリトールオ
キシダーゼをコードする全長DNAの他に、該DNAと
ハイブリダイズしキシリトールオキシダーゼ活性を有す
るタンパク質をコードするDNAも本発明の範囲内のも
のである。すなわち、上記した全長DNA配列におい
て、変異剤処理、ランダム変異、特定部位突然変異、欠
損あるいは挿入などによって部分的にDNA配列が変化
したものであっても、これらのDNA変異体が上記した
全長DNA配列とハイブリダイズしキシリトールオキシ
ダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAであ
れば同様に本発明の範囲内のものである。このようなD
NA変異体としては、キシリトールオキシダーゼ生産菌
において生じる退行変性によるもの、あるいは自然に生
じる変換体などが挙げられる。あるいはまた特定部位変
異誘発、エンドヌクレアーゼもしくは制限酵素などによ
るDNA断片の変異、欠失、連結等の人為的手段によっ
て構築される変換体であってもよい。DNA変異体の変
異の程度は、上記全長DNA配列と90%以上の相同性
を有するものであればほぼ許容しうる範囲内である。ま
た、全長DNAとハイブリダイズする程度としては、例
えば通常の条件下(例えばECLランダムプライムDN
Aラベリング・検出システムにおいて、42℃のハイブ
リダイゼーションバッファー(5×SSC、0.1%
〔w/v〕SDS、0.5%〔w/v〕デキストラン硫
酸、全容量の1/20量のリキッドブロック)中でハイ
ブリダイズさせ、60℃の0.5×SSC(0.1%
〔w/v〕SDSを含む)中でメンブレンを洗浄する条
件(1×SSCは0.15M NaCl、0.015M
クエン酸ナトリウムである。))でサザンハイブリダ
イゼーションによりハイブリダイズするものである。
キシダーゼをコードする全長DNAの他に、該DNAと
ハイブリダイズしキシリトールオキシダーゼ活性を有す
るタンパク質をコードするDNAも本発明の範囲内のも
のである。すなわち、上記した全長DNA配列におい
て、変異剤処理、ランダム変異、特定部位突然変異、欠
損あるいは挿入などによって部分的にDNA配列が変化
したものであっても、これらのDNA変異体が上記した
全長DNA配列とハイブリダイズしキシリトールオキシ
ダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAであ
れば同様に本発明の範囲内のものである。このようなD
NA変異体としては、キシリトールオキシダーゼ生産菌
において生じる退行変性によるもの、あるいは自然に生
じる変換体などが挙げられる。あるいはまた特定部位変
異誘発、エンドヌクレアーゼもしくは制限酵素などによ
るDNA断片の変異、欠失、連結等の人為的手段によっ
て構築される変換体であってもよい。DNA変異体の変
異の程度は、上記全長DNA配列と90%以上の相同性
を有するものであればほぼ許容しうる範囲内である。ま
た、全長DNAとハイブリダイズする程度としては、例
えば通常の条件下(例えばECLランダムプライムDN
Aラベリング・検出システムにおいて、42℃のハイブ
リダイゼーションバッファー(5×SSC、0.1%
〔w/v〕SDS、0.5%〔w/v〕デキストラン硫
酸、全容量の1/20量のリキッドブロック)中でハイ
ブリダイズさせ、60℃の0.5×SSC(0.1%
〔w/v〕SDSを含む)中でメンブレンを洗浄する条
件(1×SSCは0.15M NaCl、0.015M
クエン酸ナトリウムである。))でサザンハイブリダ
イゼーションによりハイブリダイズするものである。
【0022】上記したキシリトールオキシダーゼのアミ
ノ酸配列も、そのアミノ酸配列において1もしくは複数
個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸
配列であってもキシリトールオキシダーゼ活性を有する
タンパク質であれば本発明のの範囲内のものである。ア
ミノ酸の欠失、置換もしくは付加は、実質的にそのタン
パク質全体の構造及び活性に影響を与えない程度のもの
であり、例えばアミノ酸の置換としては同様の疎水性、
大きさ、電荷及び/又は芳香性を有するアミノ酸同志の
置換が挙げられる。このような置換としては、例えばグ
リシンとプロリン、チロシンとトリプトファン、アスパ
ラギンとセリンとの置換が挙げられる。これらのアミノ
酸の欠失、置換、付加の程度は、もとのアミノ酸配列と
の相同性が90%以上のものが許容し得る範囲である。
ノ酸配列も、そのアミノ酸配列において1もしくは複数
個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸
配列であってもキシリトールオキシダーゼ活性を有する
タンパク質であれば本発明のの範囲内のものである。ア
ミノ酸の欠失、置換もしくは付加は、実質的にそのタン
パク質全体の構造及び活性に影響を与えない程度のもの
であり、例えばアミノ酸の置換としては同様の疎水性、
大きさ、電荷及び/又は芳香性を有するアミノ酸同志の
置換が挙げられる。このような置換としては、例えばグ
リシンとプロリン、チロシンとトリプトファン、アスパ
ラギンとセリンとの置換が挙げられる。これらのアミノ
酸の欠失、置換、付加の程度は、もとのアミノ酸配列と
の相同性が90%以上のものが許容し得る範囲である。
【0023】以上に述べたキシリトールオキシダーゼも
しくはその活性を有するタンパク質をコードするDNA
を適当なベクターに導入して発現用の組換えベクターを
構築し、このベクターで微生物を形質転換し、得られる
形質転換体を培養することにより、その培養物からキシ
リトールオキシダーゼもしくはキシリトールオキシダー
ゼ活性を有するタンパク質を製造することができる。こ
こで用いられる適当なベクターとしては、例えば、pU
C18(宝酒造社製)、pKK223−3(ファルマシ
ア社製)などの大腸菌での発現用プラスミドが挙げられ
る。これら以外にも、Bacillus属などの原核細
胞、あるいは酵母、動物細胞などの真核細胞中での発現
用に用いられる通常の発現用ベクターを用いることがで
きる。このような発現用ベクターにキシリトールオキシ
ダーゼもしくはその活性を有するタンパク質をコードす
るDNAが導入された組換えベクターとしては、以後の
実施例で構築されたプラスミドpXY010、pXY0
20、pXY030などが例示される。これらの組換え
ベクター又は宿主に適するよう改変したベクターで原核
細胞、真核細胞などの微生物を通常の方法で形質転換し
得られる形質転換体を培養することによりキシリトール
オキシダーゼあるいはその活性を有するタンパク質を得
ることができる。
しくはその活性を有するタンパク質をコードするDNA
を適当なベクターに導入して発現用の組換えベクターを
構築し、このベクターで微生物を形質転換し、得られる
形質転換体を培養することにより、その培養物からキシ
リトールオキシダーゼもしくはキシリトールオキシダー
ゼ活性を有するタンパク質を製造することができる。こ
こで用いられる適当なベクターとしては、例えば、pU
C18(宝酒造社製)、pKK223−3(ファルマシ
ア社製)などの大腸菌での発現用プラスミドが挙げられ
る。これら以外にも、Bacillus属などの原核細
胞、あるいは酵母、動物細胞などの真核細胞中での発現
用に用いられる通常の発現用ベクターを用いることがで
きる。このような発現用ベクターにキシリトールオキシ
ダーゼもしくはその活性を有するタンパク質をコードす
るDNAが導入された組換えベクターとしては、以後の
実施例で構築されたプラスミドpXY010、pXY0
20、pXY030などが例示される。これらの組換え
ベクター又は宿主に適するよう改変したベクターで原核
細胞、真核細胞などの微生物を通常の方法で形質転換し
得られる形質転換体を培養することによりキシリトール
オキシダーゼあるいはその活性を有するタンパク質を得
ることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが本発明は以下の実施例のみに制限されるもので
はない。 実施例1キシリトールオキシダーゼ遺伝子のクローニング (1)ストレプトミセス・エスピーIKD472の染色
体DNAの調製 ストレプトミセス・エスピー(Streptomyce
s sp.)IKD472(工業技術院生命工学工業技
術研究所寄託番号、FERM P−14339)を20
0mlの培地に植菌し、50℃で一晩振盪培養した後、
遠心分離により集菌した。菌体を18mlのTEN緩衝
液(10mM Tris−HCl〔pH8.0〕,1m
M EDTA,100mM NaCl)に懸濁し、10
mgのリゾチームと8mgのアクロモペプチダーゼを加
えて、37℃で60分間ゆるやかに振盪した。ついで、
10%SDS溶液0.53mlと1mgのプロティナー
ゼKを加え、37℃で60分間振盪した。TE溶液で飽
和したフェノール20mlを加え、ゆるやかに攪拌した
後、遠心分離(12,000rpm,5min)し、上
清を回収した。この溶液に、フェノール・クロロホルム
・イソアミルアルコール(フェノール・クロロホルム・
イソアミルアルコール=5:4:1)を等量加え、ゆる
やかに攪拌した後、遠心分離(12,000rpm,5
min)し、上清を回収した。この溶液に、クロロホル
ムを等量加え、ゆるやかに攪拌した後、遠心分離(1
2,000rpm、5min)し、上清を回収した。こ
の溶液に、2倍量の冷エタノールをゆっくり加え、ガラ
ス棒により繊維状の沈殿を巻き取り、70%、80%、
90%のエタノールに順次、数分ずつ浸漬して洗浄した
後、TE緩衝液(10mM Tris−HCl〔pH
8.0〕,1mMEDTA)2mlに溶解した。この溶
液にRNase(10mg/ml、株式会社ニッポンジ
ーン社製)5μlを加え37℃で60分処理し、ストレ
プトミセス・エスピーIKD472の染色体DNA溶液
として以下の実験に用いた。DNA濃度は394μg/
mlであった。
明するが本発明は以下の実施例のみに制限されるもので
はない。 実施例1キシリトールオキシダーゼ遺伝子のクローニング (1)ストレプトミセス・エスピーIKD472の染色
体DNAの調製 ストレプトミセス・エスピー(Streptomyce
s sp.)IKD472(工業技術院生命工学工業技
術研究所寄託番号、FERM P−14339)を20
0mlの培地に植菌し、50℃で一晩振盪培養した後、
遠心分離により集菌した。菌体を18mlのTEN緩衝
液(10mM Tris−HCl〔pH8.0〕,1m
M EDTA,100mM NaCl)に懸濁し、10
mgのリゾチームと8mgのアクロモペプチダーゼを加
えて、37℃で60分間ゆるやかに振盪した。ついで、
10%SDS溶液0.53mlと1mgのプロティナー
ゼKを加え、37℃で60分間振盪した。TE溶液で飽
和したフェノール20mlを加え、ゆるやかに攪拌した
後、遠心分離(12,000rpm,5min)し、上
清を回収した。この溶液に、フェノール・クロロホルム
・イソアミルアルコール(フェノール・クロロホルム・
イソアミルアルコール=5:4:1)を等量加え、ゆる
やかに攪拌した後、遠心分離(12,000rpm,5
min)し、上清を回収した。この溶液に、クロロホル
ムを等量加え、ゆるやかに攪拌した後、遠心分離(1
2,000rpm、5min)し、上清を回収した。こ
の溶液に、2倍量の冷エタノールをゆっくり加え、ガラ
ス棒により繊維状の沈殿を巻き取り、70%、80%、
90%のエタノールに順次、数分ずつ浸漬して洗浄した
後、TE緩衝液(10mM Tris−HCl〔pH
8.0〕,1mMEDTA)2mlに溶解した。この溶
液にRNase(10mg/ml、株式会社ニッポンジ
ーン社製)5μlを加え37℃で60分処理し、ストレ
プトミセス・エスピーIKD472の染色体DNA溶液
として以下の実験に用いた。DNA濃度は394μg/
mlであった。
【0025】(2)プローブの調製 精製キシリトールオキシダーゼのN末端および内部アミ
ノ酸配列をエドマン分解法により決定した。このアミノ
酸配列から対応する以下に示す2つの合成オリゴヌクレ
オチドをデザインした。
ノ酸配列をエドマン分解法により決定した。このアミノ
酸配列から対応する以下に示す2つの合成オリゴヌクレ
オチドをデザインした。
【化14】 これをプライマーにして(1)で得られた染色体DNA
を用いてPCRを行った。増幅した遺伝子をシークェン
スしたところ、プライマーに相当するアミノ酸配列とそ
の他の内部アミノ酸配列が存在したので、キシリトール
オキシダーゼ遺伝子の一部と判断した。ここで得られた
以下に示す塩基配列を有する66bpのDNA断片を
3′−オリゴラベリングシステム(アマシャム社製)を
用いてフルオレセインラベルし、プローブ(15.7n
g/μl)として以下の実験に用いた。
を用いてPCRを行った。増幅した遺伝子をシークェン
スしたところ、プライマーに相当するアミノ酸配列とそ
の他の内部アミノ酸配列が存在したので、キシリトール
オキシダーゼ遺伝子の一部と判断した。ここで得られた
以下に示す塩基配列を有する66bpのDNA断片を
3′−オリゴラベリングシステム(アマシャム社製)を
用いてフルオレセインラベルし、プローブ(15.7n
g/μl)として以下の実験に用いた。
【0026】
【化15】
【0027】(3)サザンハイブリダイゼーション (1)で調製した染色体DNAを、各種制限酵素を用い
て完全消化し、1.5%アガロース電気泳動で泳動後、
サザンブロット法によりHybond−N+メンブレン
(アマシャム社製)にトランスファーした。このメンブ
レンを80℃の乾燥機で2時間かけてDNAを固定し
た。このメンブレンに対して、3′−オリゴラベリング
システム(アマシャム社製)を用いて(2)で調製した
プローブをハイブリダイズさせた。方法は以下の通り行
った。144cm2 のメンブレンを3′−オリゴラベリ
ングシステム(アマシャム社製)記載のハイブリダイゼ
ーションバッファー48mlに浸し、65℃で30分間
振盪水浴でプレハイブリダイゼーションを行った。プレ
ハイブリダイゼーションを行ったバッファーに(2)で
調製したプローブを54.4μl加え、引き続き65℃
で2時間振盪水浴でハイブリダイゼーションを行った。
次いで、メンブレンを充分量の5×SSC(75mMク
エン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム〔pH
7.0〕)−0.1%(w/v)SDS溶液に浸し、室
温で5分間振盪後、新しい5×SSC−0.1%(w/
v)SDS溶液に入れ替え、さらに室温で5分間振盪し
た。次いで、メンブレンを充分量の1×SSC(15m
Mクエン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム〔p
H7.0〕)−0.1%(w/v)SDS溶液に浸し、
42℃で15分間振盪後、新しい1×SSC−0.1%
(w/v)SDS溶液に入れ替え、さらに42℃で15
分間振盪した。その後の操作は、3′−オリゴラベリン
グシステム(アマシャム社製)記載の方法に従い、メン
ブレンをブロッキングした後、HRP(ホースラディッ
シュパーオキシダーゼ)標識抗フルオレセイン抗体を結
合させた。さらに、メンブレンに検出液をかけ、HRP
と検出試薬との反応により生ずる化学発光を、Hype
rfilm−ECL(アマシャム社製)に感光させた。
以上の方法により、検出された断片のサイズからキシリ
トールオキシダーゼ遺伝子周辺の制限酵素地図を作成し
た(図1)。この結果より本酵素の全域を含むと思われ
る2.8kbpのSphI−SalI断片をクローニン
グすることとした。
て完全消化し、1.5%アガロース電気泳動で泳動後、
サザンブロット法によりHybond−N+メンブレン
(アマシャム社製)にトランスファーした。このメンブ
レンを80℃の乾燥機で2時間かけてDNAを固定し
た。このメンブレンに対して、3′−オリゴラベリング
システム(アマシャム社製)を用いて(2)で調製した
プローブをハイブリダイズさせた。方法は以下の通り行
った。144cm2 のメンブレンを3′−オリゴラベリ
ングシステム(アマシャム社製)記載のハイブリダイゼ
ーションバッファー48mlに浸し、65℃で30分間
振盪水浴でプレハイブリダイゼーションを行った。プレ
ハイブリダイゼーションを行ったバッファーに(2)で
調製したプローブを54.4μl加え、引き続き65℃
で2時間振盪水浴でハイブリダイゼーションを行った。
次いで、メンブレンを充分量の5×SSC(75mMク
エン酸ナトリウム、750mM塩化ナトリウム〔pH
7.0〕)−0.1%(w/v)SDS溶液に浸し、室
温で5分間振盪後、新しい5×SSC−0.1%(w/
v)SDS溶液に入れ替え、さらに室温で5分間振盪し
た。次いで、メンブレンを充分量の1×SSC(15m
Mクエン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム〔p
H7.0〕)−0.1%(w/v)SDS溶液に浸し、
42℃で15分間振盪後、新しい1×SSC−0.1%
(w/v)SDS溶液に入れ替え、さらに42℃で15
分間振盪した。その後の操作は、3′−オリゴラベリン
グシステム(アマシャム社製)記載の方法に従い、メン
ブレンをブロッキングした後、HRP(ホースラディッ
シュパーオキシダーゼ)標識抗フルオレセイン抗体を結
合させた。さらに、メンブレンに検出液をかけ、HRP
と検出試薬との反応により生ずる化学発光を、Hype
rfilm−ECL(アマシャム社製)に感光させた。
以上の方法により、検出された断片のサイズからキシリ
トールオキシダーゼ遺伝子周辺の制限酵素地図を作成し
た(図1)。この結果より本酵素の全域を含むと思われ
る2.8kbpのSphI−SalI断片をクローニン
グすることとした。
【0028】(4)染色体DNA断片の調製 (1)で調製した染色体DNA20μgを制限酵素Sp
hIとSalI(いずれも宝酒造社製)を用いて消化
後、1%濃度のアガロースゲル電気泳動で分離し、エチ
ジウムブロマイド染色後、2.8kbpの染色体DNA
断片に対応するゲルの位置を切り出して、EASYTR
AP ver.2(宝酒造社製)を用いて目的DNA断
片を回収した。
hIとSalI(いずれも宝酒造社製)を用いて消化
後、1%濃度のアガロースゲル電気泳動で分離し、エチ
ジウムブロマイド染色後、2.8kbpの染色体DNA
断片に対応するゲルの位置を切り出して、EASYTR
AP ver.2(宝酒造社製)を用いて目的DNA断
片を回収した。
【0029】(5)プラスミドベクターの調製 pUC18(宝酒造社製)3μgを制限酵素SphIと
SalIで完全消化後、1%ゲル濃度のアガロースゲル
電気泳動を行ない、エチジウムブロマイド染色後2.6
8kbpの直鎖状プラスミドDNA断片をゲルと一緒に
切り出し、EASYTRAP ver.2(宝酒造社
製)を用いてプラスミドDNAを回収した。
SalIで完全消化後、1%ゲル濃度のアガロースゲル
電気泳動を行ない、エチジウムブロマイド染色後2.6
8kbpの直鎖状プラスミドDNA断片をゲルと一緒に
切り出し、EASYTRAP ver.2(宝酒造社
製)を用いてプラスミドDNAを回収した。
【0030】(6)染色体DNA断片とプラスミドベク
ターの結合 (4)で調製した染色体DNA断片と(5)で調製した
プラスミドベクターとの混合物をエタノール沈殿し、沈
殿物を70%エタノールで洗浄、真空乾燥後、TE緩衝
液4μlに溶解した。これにDNA Ligation
Kit Ver.2(宝酒造社製)のI液を等量加
え、16℃で3時間反応させ、染色体DNA断片とプラ
スミドベクターを結合させた。
ターの結合 (4)で調製した染色体DNA断片と(5)で調製した
プラスミドベクターとの混合物をエタノール沈殿し、沈
殿物を70%エタノールで洗浄、真空乾燥後、TE緩衝
液4μlに溶解した。これにDNA Ligation
Kit Ver.2(宝酒造社製)のI液を等量加
え、16℃で3時間反応させ、染色体DNA断片とプラ
スミドベクターを結合させた。
【0031】(7)キシリトールオキシダーゼの遺伝子
のクローニング(I) (6)で調製した組み換えプラスミドを含む反応液を用
いて大腸菌の形質転換を行った。コンピテントセルJM
109(宝酒造社製)100μlに(6)で調製した反
応液を加えて、0℃で30分間放置後、45℃で1分間
保ち、再び氷中に1分間放置した後、SOC培地900
μlを加え、37℃で30分間培養した。この培養液を
塗布して、37℃で一晩培養したLBプレートに、56
5個のコロニーが生じた。これら一つ一つのコロニーを
LBプレートにのせたHybond−N+メンブレン
(アマシャム社製)に爪楊枝を用いて接種し37℃で一
晩培養した。このメンブレンを、プレートから剥がし
て、0.5M NaOHに浸した2枚のWhatman
−3MM濾紙の上に、コロニーの接種面を上にして15
分放置し、菌を溶菌させるとともに、DNAをメンブレ
ンに固定した。ついで、メンブレンを充分量の2×SS
C(30mMクエン酸ナトリウム、300mM塩化ナト
リウム〔pH7.0〕)溶液で20分間振盪し、さらに
新しい2×SSC溶液を入れ替えて20分間振盪し洗浄
した。ついで、メンブレンを濾紙上で風乾した。このメ
ンブレンに対して、(2)で調製したプローブを用い、
(3)で行った方法に準じてコロニーハイブリダイゼー
ションを行ったところ、調べた167コロニー中4個が
陽性クローンであることが判明した。
のクローニング(I) (6)で調製した組み換えプラスミドを含む反応液を用
いて大腸菌の形質転換を行った。コンピテントセルJM
109(宝酒造社製)100μlに(6)で調製した反
応液を加えて、0℃で30分間放置後、45℃で1分間
保ち、再び氷中に1分間放置した後、SOC培地900
μlを加え、37℃で30分間培養した。この培養液を
塗布して、37℃で一晩培養したLBプレートに、56
5個のコロニーが生じた。これら一つ一つのコロニーを
LBプレートにのせたHybond−N+メンブレン
(アマシャム社製)に爪楊枝を用いて接種し37℃で一
晩培養した。このメンブレンを、プレートから剥がし
て、0.5M NaOHに浸した2枚のWhatman
−3MM濾紙の上に、コロニーの接種面を上にして15
分放置し、菌を溶菌させるとともに、DNAをメンブレ
ンに固定した。ついで、メンブレンを充分量の2×SS
C(30mMクエン酸ナトリウム、300mM塩化ナト
リウム〔pH7.0〕)溶液で20分間振盪し、さらに
新しい2×SSC溶液を入れ替えて20分間振盪し洗浄
した。ついで、メンブレンを濾紙上で風乾した。このメ
ンブレンに対して、(2)で調製したプローブを用い、
(3)で行った方法に準じてコロニーハイブリダイゼー
ションを行ったところ、調べた167コロニー中4個が
陽性クローンであることが判明した。
【0032】これら4個の陽性クローンからアルカリ法
でプラスミドを調製し、各種制限酵素で分析したとこ
ろ、何れも2.8kbpのSphI−SalIの同一断
片を含むプラスミドであることが判明した。このプラス
ミドをpXY010と命名した。プラスミドpXY01
0の構築図を図2に示した。pXY010が導入された
形質転換大腸菌を、エシェリヒア・コリ(Escher
ichia coli)JM109/pXY010と呼
ぶことにする。pXY010に挿入されたDNA断片を
シークェンスした結果、1245bpからなるキシリト
ールオキシダーゼのオープンリーディングフレーム(O
RF)が確認された。キシリトールオキシダーゼのOR
Fの塩基配列を図3に示した(末尾記載のTGAは終止
コドン)。またプラスミドpXY010中に挿入された
2.8kbpのSphI−SalI DNA断片の全塩
基配列を図4に示した。
でプラスミドを調製し、各種制限酵素で分析したとこ
ろ、何れも2.8kbpのSphI−SalIの同一断
片を含むプラスミドであることが判明した。このプラス
ミドをpXY010と命名した。プラスミドpXY01
0の構築図を図2に示した。pXY010が導入された
形質転換大腸菌を、エシェリヒア・コリ(Escher
ichia coli)JM109/pXY010と呼
ぶことにする。pXY010に挿入されたDNA断片を
シークェンスした結果、1245bpからなるキシリト
ールオキシダーゼのオープンリーディングフレーム(O
RF)が確認された。キシリトールオキシダーゼのOR
Fの塩基配列を図3に示した(末尾記載のTGAは終止
コドン)。またプラスミドpXY010中に挿入された
2.8kbpのSphI−SalI DNA断片の全塩
基配列を図4に示した。
【0033】プラスミドpXY010はキシリトールオ
キシダーゼ遺伝子上流に余分の配列を含むことがわかっ
たので、Kilo−Sequence用Deletio
nKit(宝酒造社製)を用いて、デリーションを行っ
た。プラスミドpXY010をSacI、XbaIで切
断し、XbaI側からキシリトールオキシダーゼ遺伝子
上流の余分の配列のデリーションを行った。デリーショ
ンサンプルについてアガロースゲル電気泳動を行い、プ
ラスミドpXY010から約300bp間隔で切り縮ま
った直鎖状プラスミドをそれぞれゲルから回収し、DN
A Ligation Kit Ver.2(宝酒造社
製)を用いてライゲーション反応を行った。この反応液
を用いて大腸菌JM109の形質転換を行ったところ、
26個のコロニーが得られた。キシリトールオキシダー
ゼ活性を調べた結果、16コロニーに活性が見られ、そ
のうち最も活性の高かった一株につきプラスミドを調製
して制限酵素分析を行った。このプラスミドはキシリト
ールオキシダーゼ遺伝子の全域を含む約4.3kbpの
プラスミドであることがわかった。このプラスミドをp
XY020と命名した。またpXY020が導入された
形質転換大腸菌を、エシェリヒア・コリJM109/p
XY020と呼ぶことにする。プラスミドpXY020
の構築図は図2に示されており、プラスミドpXY02
0のEcoRI及びSphI部位に挿入されたキシリト
ールオキシダーゼ遺伝子を含むDNA断片の塩基配列を
図5に示した。
キシダーゼ遺伝子上流に余分の配列を含むことがわかっ
たので、Kilo−Sequence用Deletio
nKit(宝酒造社製)を用いて、デリーションを行っ
た。プラスミドpXY010をSacI、XbaIで切
断し、XbaI側からキシリトールオキシダーゼ遺伝子
上流の余分の配列のデリーションを行った。デリーショ
ンサンプルについてアガロースゲル電気泳動を行い、プ
ラスミドpXY010から約300bp間隔で切り縮ま
った直鎖状プラスミドをそれぞれゲルから回収し、DN
A Ligation Kit Ver.2(宝酒造社
製)を用いてライゲーション反応を行った。この反応液
を用いて大腸菌JM109の形質転換を行ったところ、
26個のコロニーが得られた。キシリトールオキシダー
ゼ活性を調べた結果、16コロニーに活性が見られ、そ
のうち最も活性の高かった一株につきプラスミドを調製
して制限酵素分析を行った。このプラスミドはキシリト
ールオキシダーゼ遺伝子の全域を含む約4.3kbpの
プラスミドであることがわかった。このプラスミドをp
XY020と命名した。またpXY020が導入された
形質転換大腸菌を、エシェリヒア・コリJM109/p
XY020と呼ぶことにする。プラスミドpXY020
の構築図は図2に示されており、プラスミドpXY02
0のEcoRI及びSphI部位に挿入されたキシリト
ールオキシダーゼ遺伝子を含むDNA断片の塩基配列を
図5に示した。
【0034】(8)キシリトールオキシダーゼ遺伝子の
クローニング(II) (7)で決定したストレプトミセス・エスピー(Str
eptomycessp.)IKD472のキシリトー
ルオキシダーゼ遺伝子の塩基配列より、ORFをはさむ
ように、上流と下流にそれぞれ制限酵素EcoRIとH
indIIIサイトをデザインした合成オリゴヌクレオ
チドを作成し、これをプライマーに(1)で得られたス
トレプトミセス・エスピー(Streptomyces
sp.)IKD472の染色体DNAを用いてPCR
を行った。増幅DNA断片をEcoRIとHindII
Iで消化後アガロースゲル電気泳動で精製し、同様に制
限酵素処理・精製した発現用ベクターpKK223−3
(ファルマシア社製)に連結して、大腸菌JM109株
に導入した。ここで得られた組み換えプラスミドをpX
Y030、それを導入した大腸菌をエシェリヒア・コリ
JM109/pXY030と呼ぶ。プラスミドpXY0
30の構築図を図6に示した。またプラスミドpXY0
30に挿入されたキシリトールオキシダーゼ遺伝子から
なるEcoRI−HindIII断片の塩基配列を図7
に示した。なお、上記組み換えプラスミドを導入した大
腸菌のうち、エシェリヒア・コリJM109/pXY0
20は、工業技術院生命工学工業技術研究所において、
FERM P−15804として、平成8年8月23日
から寄託保管されている。
クローニング(II) (7)で決定したストレプトミセス・エスピー(Str
eptomycessp.)IKD472のキシリトー
ルオキシダーゼ遺伝子の塩基配列より、ORFをはさむ
ように、上流と下流にそれぞれ制限酵素EcoRIとH
indIIIサイトをデザインした合成オリゴヌクレオ
チドを作成し、これをプライマーに(1)で得られたス
トレプトミセス・エスピー(Streptomyces
sp.)IKD472の染色体DNAを用いてPCR
を行った。増幅DNA断片をEcoRIとHindII
Iで消化後アガロースゲル電気泳動で精製し、同様に制
限酵素処理・精製した発現用ベクターpKK223−3
(ファルマシア社製)に連結して、大腸菌JM109株
に導入した。ここで得られた組み換えプラスミドをpX
Y030、それを導入した大腸菌をエシェリヒア・コリ
JM109/pXY030と呼ぶ。プラスミドpXY0
30の構築図を図6に示した。またプラスミドpXY0
30に挿入されたキシリトールオキシダーゼ遺伝子から
なるEcoRI−HindIII断片の塩基配列を図7
に示した。なお、上記組み換えプラスミドを導入した大
腸菌のうち、エシェリヒア・コリJM109/pXY0
20は、工業技術院生命工学工業技術研究所において、
FERM P−15804として、平成8年8月23日
から寄託保管されている。
【0035】実施例2 エシェリヒア・コリJM109
/pXY010によるキシリトールオキシダーゼの製造 エシェリヒア・コリJM109/pXY010をアンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地5mlに接
種し、37℃で一晩培養した前培養液1mlを、アンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地50mlに
接種し、37℃で6時間培養後、IPTGを終濃度1m
Mになるように添加し、更に3時間培養した後、遠心に
より集菌した。集菌した菌体をリン酸カリウム緩衝液
(20mM、pH7.5、0.1mMジチオスレイトー
ル含有)で洗浄したのち、同緩衝液5mlに懸濁した。
超音波破砕装置で菌体を破砕し、15,000rpmで
15分間遠心分離し、上清を回収した。この上清につい
て、キシリトールオキシダーゼ活性を調べたところ、培
養液あたり0.0064U/mlのキシリトールオキシ
ダーゼ活性が確認された。キシリトールオキシダーゼ活
性の測定は、特開平8−89242号公報に記載された
活性測定法1に従って実施した。
/pXY010によるキシリトールオキシダーゼの製造 エシェリヒア・コリJM109/pXY010をアンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地5mlに接
種し、37℃で一晩培養した前培養液1mlを、アンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地50mlに
接種し、37℃で6時間培養後、IPTGを終濃度1m
Mになるように添加し、更に3時間培養した後、遠心に
より集菌した。集菌した菌体をリン酸カリウム緩衝液
(20mM、pH7.5、0.1mMジチオスレイトー
ル含有)で洗浄したのち、同緩衝液5mlに懸濁した。
超音波破砕装置で菌体を破砕し、15,000rpmで
15分間遠心分離し、上清を回収した。この上清につい
て、キシリトールオキシダーゼ活性を調べたところ、培
養液あたり0.0064U/mlのキシリトールオキシ
ダーゼ活性が確認された。キシリトールオキシダーゼ活
性の測定は、特開平8−89242号公報に記載された
活性測定法1に従って実施した。
【0036】実施例3 エシェリヒア・コリJM109
/pXY020によるキシリトールオキシダーゼの製造 エシェリヒア・コリJM109/pXY020をアンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地10mlに
接種し、37℃で一晩培養した前培養液1mlを、アン
ピシリン(50μg/ml)の入ったLB培地50ml
に接種し、37℃で4時間培養後、IPTGを終濃度1
mMになるように添加し、更に4時間培養した後、遠心
により集菌した。集菌した菌体を、リン酸カリウム緩衝
液(20mM、pH7.5、0.1mMジチオスレイト
ール含有)で洗浄したのち、同緩衝液4mlに懸濁し
た。超音波破砕装置で菌体を破砕し、15,000rp
mで15分間遠心分離して、上清を回収した。この上清
について、60℃で20分間の熱処理後、15,000
rpmで15分間遠心分離して、上清を回収した。この
上清をリン酸カリウム緩衝液(5mM、pH7.3、
0.1mMジチオスレイトール含有)に対して透析後、
キシロースをリガンドとしたアフィニティクロマトにか
け、リン酸カリウム緩衝液(5mM、pH7.3、0.
1mMジチオスレイトール含有)で溶出した。溶出液を
セントリプレップ−10(グレースジャパン株式会社
製)を用いて遠心濃縮し、電気泳動的に単一のバンドを
示すキシリトールオキシダーゼ13.8ユニットを得
た。最終比活性は19.7U/mg、活性収率は43%
であった。得られたキシリトールオキシダーゼについ
て、分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動)、最適温度、温度安定性、最適pH、pH安定性及
び基質特異性を調べたところ、ストレプトミセス・エス
ピーIKD472から精製した本来のキシリトールオキ
シダーゼ(特開平8−89242号公報)との間に差は
認められなかった。
/pXY020によるキシリトールオキシダーゼの製造 エシェリヒア・コリJM109/pXY020をアンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地10mlに
接種し、37℃で一晩培養した前培養液1mlを、アン
ピシリン(50μg/ml)の入ったLB培地50ml
に接種し、37℃で4時間培養後、IPTGを終濃度1
mMになるように添加し、更に4時間培養した後、遠心
により集菌した。集菌した菌体を、リン酸カリウム緩衝
液(20mM、pH7.5、0.1mMジチオスレイト
ール含有)で洗浄したのち、同緩衝液4mlに懸濁し
た。超音波破砕装置で菌体を破砕し、15,000rp
mで15分間遠心分離して、上清を回収した。この上清
について、60℃で20分間の熱処理後、15,000
rpmで15分間遠心分離して、上清を回収した。この
上清をリン酸カリウム緩衝液(5mM、pH7.3、
0.1mMジチオスレイトール含有)に対して透析後、
キシロースをリガンドとしたアフィニティクロマトにか
け、リン酸カリウム緩衝液(5mM、pH7.3、0.
1mMジチオスレイトール含有)で溶出した。溶出液を
セントリプレップ−10(グレースジャパン株式会社
製)を用いて遠心濃縮し、電気泳動的に単一のバンドを
示すキシリトールオキシダーゼ13.8ユニットを得
た。最終比活性は19.7U/mg、活性収率は43%
であった。得られたキシリトールオキシダーゼについ
て、分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動)、最適温度、温度安定性、最適pH、pH安定性及
び基質特異性を調べたところ、ストレプトミセス・エス
ピーIKD472から精製した本来のキシリトールオキ
シダーゼ(特開平8−89242号公報)との間に差は
認められなかった。
【0037】実施例4 エシェリヒア・コリJM109
/pXY030によるキシリトールオキシダーゼの製造 エシェリヒア・コリJM109/pXY030をアンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地5mlに接
種し、37℃で10時間培養した前々培養液3.2ml
をアンピシリン(50μg/ml)の入ったLB培地1
60mlに接種し、37℃で一晩培養した。この前培養
液160mlをアンピシリン(50μg/ml)の入っ
たLB培地8Lに接種し、37℃で3時間培養後、IP
TGを終濃度1mMになるように添加し、更に4時間培
養した後、集菌した。集菌した菌体をリン酸カリウム緩
衝液(20mM、pH7.5、0.1mMジチオスレイ
トール含有)で洗浄したのち、同緩衝液約160mlに
懸濁した。超音波破砕装置で菌体を破砕し、15,00
0rpmで15分間遠心分離して、上清を回収した。こ
の上清について、60℃で20分間の熱処理後、11,
000rpmで20分間遠心分離して、上清を回収し
た。この上清をリン酸カリウム緩衝液(5mM、pH
7.3、0.1mMジチオスレイトール含有)で透析
後、キシロースをリガンドとしたアフィニティクロマト
にかけ、リン酸カリウム緩衝液(5mM、pH7.3、
0.1mMジチオスレイトール含有)で溶出した。溶出
液をセントリプレップ−10(グレースジャパン株式会
社製)を用いて遠心濃縮し、電気泳動的に単一のバンド
を示すキシリトールオキシダーゼ495ユニットを得
た。最終比活性は25U/mg、活性収率は41.5%
であった。得られたキシリトールオキシダーゼについ
て、分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動)、最適温度、温度安定性、最適pH、pH安定性及
び基質特異性を調べたところ、ストレプトミセス・エス
ピーIKD472から精製した本来のキシリトールオキ
シダーゼ(特開平8−89242号公報)との間に差は
認められなかった。
/pXY030によるキシリトールオキシダーゼの製造 エシェリヒア・コリJM109/pXY030をアンピ
シリン(50μg/ml)の入ったLB培地5mlに接
種し、37℃で10時間培養した前々培養液3.2ml
をアンピシリン(50μg/ml)の入ったLB培地1
60mlに接種し、37℃で一晩培養した。この前培養
液160mlをアンピシリン(50μg/ml)の入っ
たLB培地8Lに接種し、37℃で3時間培養後、IP
TGを終濃度1mMになるように添加し、更に4時間培
養した後、集菌した。集菌した菌体をリン酸カリウム緩
衝液(20mM、pH7.5、0.1mMジチオスレイ
トール含有)で洗浄したのち、同緩衝液約160mlに
懸濁した。超音波破砕装置で菌体を破砕し、15,00
0rpmで15分間遠心分離して、上清を回収した。こ
の上清について、60℃で20分間の熱処理後、11,
000rpmで20分間遠心分離して、上清を回収し
た。この上清をリン酸カリウム緩衝液(5mM、pH
7.3、0.1mMジチオスレイトール含有)で透析
後、キシロースをリガンドとしたアフィニティクロマト
にかけ、リン酸カリウム緩衝液(5mM、pH7.3、
0.1mMジチオスレイトール含有)で溶出した。溶出
液をセントリプレップ−10(グレースジャパン株式会
社製)を用いて遠心濃縮し、電気泳動的に単一のバンド
を示すキシリトールオキシダーゼ495ユニットを得
た。最終比活性は25U/mg、活性収率は41.5%
であった。得られたキシリトールオキシダーゼについ
て、分子量(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動)、最適温度、温度安定性、最適pH、pH安定性及
び基質特異性を調べたところ、ストレプトミセス・エス
ピーIKD472から精製した本来のキシリトールオキ
シダーゼ(特開平8−89242号公報)との間に差は
認められなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明により、キシリトールオキシダー
ゼ生産菌の染色体DNAよりキシリトールオキシダーゼ
遺伝子のクローニングに成功した。かかるキシリトール
オキシダーゼ遺伝子を用いて組換えDNA法によるキシ
リトールオキシダーゼの大量生産が可能となり、本発明
は極めて意義深いものである。
ゼ生産菌の染色体DNAよりキシリトールオキシダーゼ
遺伝子のクローニングに成功した。かかるキシリトール
オキシダーゼ遺伝子を用いて組換えDNA法によるキシ
リトールオキシダーゼの大量生産が可能となり、本発明
は極めて意義深いものである。
【図1】ストレプトミセス・エスピーIKD472の染
色体DNAにおけるキシリトールオキシダーゼ遺伝子周
辺の推定制限酵素地図を示す。
色体DNAにおけるキシリトールオキシダーゼ遺伝子周
辺の推定制限酵素地図を示す。
【図2】プラスミドpXY010およびpXY020の
構築図を示す。
構築図を示す。
【図3】キシリトールオキシダーゼ遺伝子のオープンリ
ーディングフレーム(ORF)の塩基配列を示す(末尾
記載のTGAは終止コドン)。
ーディングフレーム(ORF)の塩基配列を示す(末尾
記載のTGAは終止コドン)。
【図4】プラスミドpXY010中に挿入された2.8
kbのSphI−SalI DNA断片の塩基配列を示
す。
kbのSphI−SalI DNA断片の塩基配列を示
す。
【図5】プラスミドpXY020中に挿入されたキシリ
トールオキシダーゼ遺伝子を含むEcoRI−SphI
DNA断片の塩基配列を示す。
トールオキシダーゼ遺伝子を含むEcoRI−SphI
DNA断片の塩基配列を示す。
【図6】プラスミドpXY030の構築図を示す。
【図7】プラスミドpXY030中に挿入されたキシリ
トールオキシダーゼ遺伝子からなるEcoRI−Hin
dIII断片の塩基配列を示す。
トールオキシダーゼ遺伝子からなるEcoRI−Hin
dIII断片の塩基配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/04 C12R 1:19) (72)発明者 岡本 英里 広島県福山市柳津町2271−142 (72)発明者 小村 啓悟 広島県福山市南松永町2−179−2 (72)発明者 古谷 祐治 広島県深安郡神辺町十三軒屋20−9
Claims (9)
- 【請求項1】 以下に示すアミノ酸配列をコードするD
NA部分配列を5′末端側に含有する、キシリトールオ
キシダーゼをコードするDNA。 【化1】 (ただし、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパ
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。) - 【請求項2】 DNA部分配列が以下に示す塩基配列を
有する請求項1のDNA。 【化2】 - 【請求項3】 キシリトールオキシダーゼ産生能を有す
るストレプトミセス・エスピー(Streptomyc
es sp.)IKD472(工業技術院生命工学工業
技術研究所寄託番号、FERM P−14339)の染
色体DNAの2.8kbp SphI−SalI断片中
から、以下の塩基配列を有する66bp DNA断片を
プローブとして用いて得ることができる、全長1245
bpのDNAである請求項1または2のDNA。 【化3】 - 【請求項4】 以下に示すアミノ酸配列からなるキシリ
トールオキシダーゼをコードするDNA、または該アミ
ノ酸配列において1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、
置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなりキシリト
ールオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードする
DNA。 【化4】 (ただし、Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパ
ラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、
Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、K
はリジン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパ
ラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニ
ン、Sはセリン、Tはスレオニン、Vはバリン、Wはト
リプトファン、Yはチロシンを示す。) - 【請求項5】 以下に示す塩基配列からなるキシリトー
ルオキシダーゼをコードするDNA、または該DNAと
ハイブリダイズしキシリトールオキシダーゼ活性を有す
るタンパク質をコードするDNA。 【化5】 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかのDNAを含有
する、キシリトールオキシダーゼもしくはキシリトール
オキシダーゼ活性を有するタンパク質を発現するための
組換えベクター。 - 【請求項7】 プラスミドpXY010、pXY020
またはpXY030である組換えベクター。 - 【請求項8】 請求項6または7の組換えベクターで形
質転換された微生物。 - 【請求項9】 請求項8の微生物を好適な培地中で培養
し、培養物中にキシリトールオキシダーゼもしくはキシ
リトールオキシダーゼ活性を有するタンパク質を生成さ
せることを特徴とするキシリトールオキシダーゼもしく
はキシリトールオキシダーゼ活性を有するタンパク質の
製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8230952A JPH1075785A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | キシリトールオキシダーゼ遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8230952A JPH1075785A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | キシリトールオキシダーゼ遺伝子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1075785A true JPH1075785A (ja) | 1998-03-24 |
Family
ID=16915898
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8230952A Pending JPH1075785A (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | キシリトールオキシダーゼ遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1075785A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007054203A3 (de) * | 2005-11-08 | 2007-07-19 | Henkel Kgaa | Enzym / subtstrat sytem zur generierung von wasserstoffperoxid enthaltend sorbitol oxidase aus streptomyces c0elic0l0r und sorbitol |
-
1996
- 1996-08-30 JP JP8230952A patent/JPH1075785A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007054203A3 (de) * | 2005-11-08 | 2007-07-19 | Henkel Kgaa | Enzym / subtstrat sytem zur generierung von wasserstoffperoxid enthaltend sorbitol oxidase aus streptomyces c0elic0l0r und sorbitol |
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