JP3018092B2 - 放線菌由来のサルコシンオキシダーゼの遺伝子およびその用途 - Google Patents

放線菌由来のサルコシンオキシダーゼの遺伝子およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はサルコシンオキシダーゼの遺伝情報を有する
新規なDNA、該DNAを保持する形質転換体及び該形質転換
体を利用したサルコシンオキシダーゼの製造方法に関す
る。
〔従来の技術〕
サルコシンオキシダーゼは次の反応式、 サルコシン+O2+H2O→グリシン+ホルムアルデヒド+H2O
2 で示されるようにサルコシン、1分子の酸素および1分
子の水からグリシン、ホルムアルデヒドおよび1分子の
過酸化水素を生ずる反応を触媒し、その酵素反応にFAD
を補酵素(又は補欠因子)として利用する酵素である。
サルコシンオキシダーゼは、自然界、特に動物臓器中に
存在することが古くから知られており、また、ペニシリ
ウム属(Penicillium)、シュードモナス属(Pseudomon
as)〔以上Frisell,W.R.& Mackenzie,C.G.(1970)Met
h.Enzymol.17A,976−981〕、アルスロバクター属(Arth
robacter)〔特開昭54−28893号公報〕、バチルス属(B
acillus)〔特開昭54−52789号公報、特開昭61−162174
号公報〕、シリドロカルポン属(Cylindrocarpon)〔特
開昭56−92790号公報〕、シュードモナス属(Pseudomon
as)〔特開昭60−43379号公報〕、ストレプトマイセス
属(Streptomycetaceae)〔特開昭61−280271号公報〕
に属する細菌に存在することが報告されている。
このサルコシンオキシダーゼは、サルコシンを基質と
する酸化酵素であるとの特徴に基づき、血清などの体液
中に存在するサルコシンの定量に使用されるが、この酵
素は、これのみに留まらずクレアチニン或いはコリン代
謝系に関与しているので、特に前者の代謝系の他の酵素
即ちクレアチニナーゼ、クレアチナーゼと共役反応せし
めて、ホルムアルデヒドおよび過酸化水素を生成せし
め、それらの一方または両方を定量することにより、ク
レアチニン、クレアチンを簡便且つ特異的に定量するこ
とが可能である。従って、サルコシンオキシダーゼは、
クレアチニンまたはクレアチンの従来の非特異的な化学
的定量法に変わる生化学的定量法における主要酵素とな
るもので、臨床診断分野、研究分野において極めて有用
である。
本発明者らは、先にバチルス属に属する微生物の生産
するサルコシンオキシダーゼの遺伝子について解析し、
その遺伝子配列を報告した〔特開昭64−43192号〕。
また、同じくバチルス属に属する他の微生物由来のサ
ルコシンオキシダーゼの遺伝子についての報告もある
〔特開昭63−59885号および特開平1−168287号公
報〕。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来より報告されているサルコシンオキシダーゼ生産
菌は、サルコシンオキシダーゼの生産性が低く、もとも
と製造コストが高くなるという難点があるだけでなく、
製造時において、コリン、サルコシンまたはクレアチン
等のサルコシンオキシダーゼ生産を誘導する物質の添加
が必須であったため、製造コストがより高いものになっ
ており、また培養後においての共存する他種酵素等の除
去が非常に困難で、純度の高い良質なサルコシンオキシ
ダーゼを得るための精製工程およびコストの面で問題が
あり、研究用試薬、臨床診断用試薬として安易に広く用
いるには必ずしも満足のいくものではなかった。
また、バチルス属に属する微生物のサルコシンオキシ
ダーゼについては、その遺伝子についても解析されてい
るが、当該バチルス属由来のサルコシンオキシダーゼは
Km値が高く反応性が不充分な酵素である。これに対し、
以下の理化学的性状を有し、Km値の低い有用なサルコシ
ンオキシダーゼの遺伝子およびそのアミノ酸配列につい
ては報告されていないばかりでなく、先に示した従来公
知の塩基配列から作成したプローブを用いても全く本願
においてはその遺伝子を釣り出すことはできないもので
あった。
(a) 作用: サルコシン、1分子の酵素および1分子の水からグリ
シン、ホルムアミドおよび1分子の過酸化水素を生成す
る下記の酵素反応を触媒する酵素である。
サルコシン+O2+H2O→グリシン+ホルムアルデヒド+H2O
2 (b) Km値: サルコシンに対するKm値は、約0.91mM(37℃、pH8.
0)である。
(c) 基質特異性: サルコシンに基質特異性を有する。
(d) 至適pH: 7.0〜9.0付近 (e) pH安定性: 7.0〜9.0付近(37℃、1時間) (f) 分子量: 44,000±4000(ゲル濾過法により測定) 〔課題を解決するための手段〕 そこで本発明者らは上記の性質を有するサルコシンオ
キシダーゼの生産性向上および誘導物質の非存在下にお
ける該酵素の製造法を確立すべく鋭意検討をおこなって
いたところ、微生物中から新規なサルコシンオキシダー
ゼ遺伝子の採取ならびにその一次構造の解析に成功する
と共に遺伝子工学的手法を応用することによって、高生
産性であり、且つ生産時培地中に誘導物質を必要としな
いサルコシンオキシダーゼの製造法を確立した。
すなわち、本発明は、ストレプトマイセス属に属する
微生物を、当該宿主微生物にとって外来性であって、少
なくともN末端側より第1図で表されるアミノ酸配列を
コードし、サルコシンオキシダーゼを発現可能な純粋化
されたDNAを含有する組換えベクターを用いて、形質転
換せしめた形質転換微生物を、コリン、サルコシン及び
クレアチニンを含有しない培地にて培養して該DNAの遺
伝情報を発現せしめ、該培養物からサルコシンオキシダ
ーゼを採取することを特徴とするサルコシンオキシダー
ゼの製造法を提供するものである。
本発明の第1図で表わされるアミノ酸配列をコードす
るDNAにおいて、その第1図にて表記されるアミノ酸配
列のN末端側およびC末端側はアミノ酸残基またはポリ
ペプチド残基を含む場合であってもよく、すなわちN末
端側であるSerの上流にはさらに一個または複数のアミ
ノ酸残基を有してもよく、そのアミノ酸残基としては例
えば水素原子、Val、Met、またはシグナルペプチド等が
挙げられ、またC末端側のProの下流には、さらに1個
以上のアミノ酸残基を有してもよい。
さらに、本発明のサルコシンオキシダーゼを構成する
アミノ酸配列は、第1図で表わされるアミノ酸配列から
なるポリペプチドの酵素活性と同様の効果を有する第1
図中のアミノ酸配列の一部又はその相同物であってもよ
い。
本発明の第1図で表わされるアミノ酸配列をコードす
る新規なDNAは、そのN末端側およびC末端側のアミノ
酸残基またはポリペプチド残基を含めたアミノ酸配列の
各アミノ酸に対応する一連のコドンのうちいずれか1個
のコドンからなるDNAであればよい。
さらに、本発明のサルコシンオキシダーゼを構成する
アミノ酸配列をコードするDNAは、第1図で表わされる
アミノ酸配列からなるペプチドによる該酵素の活性発現
と同様の効果を発現する第1図中の一部分のアミノ酸配
列をコードするDNAであってもよく、該酵素活性を有
し、かつその相同性が70%以上、好ましくは80%以上、
特に好ましくは90%以上であるアミノ酸配列を発現する
DNAを包含する。
上記DNAの代表例として、5′末端側より第2図で表
わされる塩基配列を有するDNAを挙げることができる。
該DNAは、5′末端の上流側にアミノ酸をコードするコ
ドンを1個以上有したものでもよく、TAAおよびTGA以外
のコドンであればよい。さらに、好ましくはATG、GTG、
それら以外の開始コドンまたはシグナルペプチドに対応
するコドンを有したものを挙げることができる。3′末
端たるCCAの下流側には、アミノ酸をコードするコドン
を1個以上有するか、または翻訳終止コドンを有するか
のいずれでもよく、さらに、その3′末端側にアミノ酸
をコードするコドンを1個以上有する場合には、このア
ミノ酸をコードするコドンの3′末端に翻訳終止コドン
を有することが好ましい。
第1図または第2図に示された本発明のサルコシンオ
キシダーゼの構造遺伝子は、既知のバチルス属由来のサ
ルコシンオキシダーゼの遺伝子〔特開昭64−43192号、
特開平1−168287号公報〕と比較して、アミノ酸として
は33%程度の相同性であり、ヌクレオチドとしてはほと
んど相同性が認められず、全く新規な遺伝子である。
本発明のサルコシンオキシダーゼ遺伝子は、例えばサ
ルコシンオキシダーゼ遺伝子の供与体であるストレプト
マイセス属に属するサルコシンオキシダーゼ生産菌から
分離したDNAを用いて遺伝子工学的手法により調製され
る。すなわち、該微生物のDNAを分離精製した後、超音
波、制限酵素などを用いて切断した該DNAと切断してリ
ニヤーにしたベクターとを両DNAの平滑または接着末端
部においてDNAリガーゼなどにより結合閉環させ、斯く
して得られた組み換えDNAベクターを複製可能な宿主微
生物(例えばエシェリヒア・コリDH1、エシェリヒア・
コリHB101、エシェリヒア・コリW3110、エシェリヒア・
コリC600等のエシェリヒア・コリや、バチルス・ズブチ
ルス等が挙げられる)に移入して遺伝子ライブラリーを
作成し、その遺伝子ライブラリーから、ベクターのマー
カーの好適なプローブを用いてスクリーニングし、得ら
れた該組み換えDNAベクターを保持する微生物を培養
し、該培養菌体から該組み換えDNAベクターを分離精製
し、次いで該組み換えDNAベクターからサルコシンオキ
シダーゼ遺伝子であるDNAを採取すれば良い。
また、より簡便な本発明DNAの採取法としては、スト
レプトマイセス属に属する微生物を宿主とし、上記組み
換えDNAベクターを保持する形質転換微生物、具体的に
はストレプトマイセス・リビダンスTK24−pSOXS102〔微
工研条寄第3014号(FERM BP−3014)〕より採取する方
法がある。
遺伝子の供与体である微生物に由来するDNAは次の如
くにして採取される。即ち、供与微生物であるストレプ
トマイセス属に属するサルコシンオキシダーゼ生産菌
を、例えば、液体培地で約1〜3日間通気攪拌培養し、
得られる培養物を遠心分離して集菌し、次いでこれを溶
菌させることによって該サルコシンオキシダーゼ遺伝子
の含有溶菌物を調製することができる。溶菌方法として
は、例えばリゾチームやβ−グルカナーゼなどの細菌壁
溶解酵素による処理が施され、必要によりプロテアーゼ
などの他の酵素やラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活
性剤が併用され、さらに細胞壁の物理的破壊法である凍
結融解やフレンチプレス処理を上述の溶菌法との組み合
わせで行ってもよい。
このようにして得られた溶菌物からDNAを分離、精製
するには、常法に従って、例えばフェノール抽出による
除蛋白処理、プロテアーゼ処理、リボヌクレアーゼ処
理、アルコール沈澱、遠心分離などの方法を適宜組み合
わせることにより行うことができる。
分離精製された微生物DNAを切断する方法は、例え
ば、超音波処理、制限酵素処理などにより行うことがで
きるが、得られるDAN断片とベクターとの結合を容易な
らしめるため、制限酵素、とりわけ特定ヌクレオチド配
列に作用する、例えば、Bcl I、Mlu I、Sph I、Sah Iな
どの制限酵素が適している。
ベクターとしては、宿主微生物体内で自律的に増殖し
うるファージまたはプラスミドから遺伝子組み換え用と
して構築されたものが適している。
ファージとしては、例えば、エシェリヒア・コリ(Es
cherichia coli)を宿主微生物とする場合には、λgt・
λC,λgt・λBなどが使用できる。
また、プラスミドとしては、例えば、エシェリヒア・
コリを宿主微生物とする場合にはpBR322,pBR325,pACYC1
84,pUC118,pUC119,pUC18,pUC19などが、バチルス・ズブ
チルス(Bacillus subtillis)を宿主微生物とする場合
にはpUB110、pC194などが使用できる。このようなベク
ターを、先に述べたサルコシンオキシダーゼ遺伝子供与
体である微生物DNAの切断に使用した制限酵素と同じ制
限酵素で切断して、ベクター断片を得ることが好まし
い。
微生物DNA断片とベクター断片とを結合させる方法
は、公知のDNAリガーゼを用いる方法であればよく、例
えば、微生物DNA断片の接着末端とベクター断片の接着
末端とのアニーリングの後、適当なDNAリガーゼの作用
により微生物DNA断片とベクター断片との組み換えDNAを
作成する。必要ならば、アニーリングの後、宿主微生物
に移入して、生体内のDNAリガーゼを利用し組み換えDNA
を作成することもできる。
上記の遺伝子操作における制限酵素等の使用量は、通
常供与微生物からのDNAおよびプラスミドDNAを0.1〜10
μgに対し、制限酵素約1〜10U、リガーゼ約300U、そ
の他の酵素約1〜10Uである。
斯くして調製された遺伝子ライブラリーをスクリーニ
ングして、目的とする遺伝子を含有するベクターを保持
する菌株を得るには、ベクターの抗生物質等の耐性マー
カーと標識したプローブを用いて行えばよい。
しかし、本発明においてはスクリーニングに用いる好
適なプローブの構築が極めて困難であった。即ち、従来
知られているバチルス属由来のサルコシンオキシダーゼ
遺伝子の配列に基づき、種々のプローブを作成したが、
本発明においては全くハイブリダイズしなかった。この
事実は、本発明によって確認されたサルコシンオキシダ
ーゼの遺伝子と、バチルス属のそれが結果的にはヌクレ
オチドとしてほとんど相同性がないという事実と合致し
ていた。好適なプローブを構築するために、さらに、本
発明サルコシンオキシダーゼの部分アミノ酸配列を決定
し、このアミノ酸配列に対応する極めて多種のプローブ
を合成し、ハイブリダイズせしめたが、その可能性ある
プローブの数が極めて多く、スクリーニングが困難であ
った。そして意外にも、リシルエンドペプチダーゼ処理
によるK13断片の14残基から21残基に対応するプローブ
により、本発明のサルコシンオキシダーゼ遺伝子をスク
リーニングすることができた。
本発明のサルコシンオキシダーゼを製造するには、上
述の通り、遺伝子ライブラリーをスクリーニングして得
られた組み換えDNAベクターを保持する微生物から、該
組み換えDNAベクターを採取し、適宜の制限酵素にて該D
NAを得、これをベクターに前述の公知の方法に従って組
み込み、宿主微生物であるストレプトマイセス属に属す
る微生物に移入すれば良い。
製造に当って用いるベクターとしては、発現ベクター
が好ましく、プラスミドpIJ680、pIJ61、pIJ702、pIJ92
2等が好適に利用される。
宿主微生物としては、ストレプトマイセス属に属する
微生物が利用できるが、特に好ましくは、ストレプトマ
イセス・リビダンス、さらに具体的にはストレプトマイ
セス・リビダンスTK−24(PERM BP−2685)が例示され
る。
宿主微生物に組み換えDNAを移入する方法としては、
例えば、カルシュウムイオンの存在下で組み換えDNAの
移入を行う方法、コンピテントセル法、リポソーム組み
換えDNAのプロトプラスト宿主細胞内への電気的な融合
移入法又はポリエチレングリコール存在下でプロトプラ
スト宿主細胞へ細胞DNAの移入を行う方法などを採用す
ることができ、さらにマイクロインジェクション法を用
いてもよい。かくして得られた形質転換体である微生物
は、栄養培地にて培養することにより多量の該サルコシ
ンオキシダーゼを安定に産生する。
このようにして一度選択された該サルコシンオキシダ
ーゼ遺伝子を保有する組み換えDNAは、形質転換微生物
から取り出され、他の宿主微生物に移入することもでき
る。また、該サルコシンオキシダーゼ遺伝子を保持する
組み換えDNAから制限酵素などにより切断して該サルコ
シンオキシダーゼ遺伝子であるDNAを切り出し、これと
同様な方法により切断して得られる他の開環ベクター末
端とを結合させて新規な組み換えDNAを作製して、他の
宿主微生物に移入することもできる。
また本質的にサルコシンオキシダーゼ活性を有するサ
ルコシンオキシダーゼムテインのDNAは、本発明のサル
コシンオキシダーゼ遺伝子から遺伝子工学的手法により
作製することができ、かかるDNAも本発明に含まれる。
この人工変異遺伝子は部位特異的塩基変換法および目的
遺伝子の特定DNA断片を人工変異DNA断片で置換するなど
の遺伝子工学的方法を使用して得られ、斯くして取得さ
れた人工変異遺伝子のうち特に優れた性質を有するサル
コシンオキシダーゼムテインDNAについては、最終的に
は、このムテインDNAをベクターに挿入せしめて組み換
えDNAを作成し、これを宿主微生物に移入させることに
よって、サルコシンオキシダーゼムテインの製造が可能
である。
さらに上述の方法により得られた該サルコシンオキシ
ダーゼ遺伝子の塩基配列は、Science 214 1205−1210
(1981年)に示されているジデオキシ法で解読し、また
該サルコシンオキシダーゼのアミノ酸配列は、その塩基
配列から予測決定した。一方、該サルコシンオキシダー
ゼであるペプチドのN末端部等の部分アミノ酸配列は、
以下の如くにして決定した。即ち、該サルコシンオキシ
ダーゼ産生能を有する該サルコシンオキシダーゼ遺伝子
供与微生物を栄養培地で培養して菌体内に該サルコシン
オキシダーゼを産生蓄積せしめ、培養終了後、得られた
培養物を濾過または遠心分離などの手段により菌体を採
取し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾチームな
どの酵素的方法で破壊し、また必要に応じてEDTAおよび
/または適当な界面活性剤等を添加すれば、該サルコシ
ンオキシダーゼが可溶化され、水溶液として分離採取さ
れた。この様にして得られた該サルコシンオキシダーゼ
の水溶液を濃縮するか、または濃縮することなく硫安分
画、ゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換ク
ロマトグラフィーにより処理して、高純度該サルコシン
オキシダーゼが得られた。また、さらにその一部はリシ
ルエンドペプチダーゼによる酵素処理も行った。高純度
該サルコシンオキシダーゼ及びそのリシルエンドペプチ
ダーゼ処理ペプチド断片を用いて気相プロテインシーケ
ンサー(島津製作所製:PSQ−1)によりサルコシンオキ
シダーゼであるペプチドの部分アミノ酸配列を決定し
た。また、得られた該部分アミノ酸配列は、少なくとも
遺伝子操作によって得られた該サルコシンオキシダーゼ
のN末端部分アミノ酸配列と一致するものであることを
確認した。
形質転換体である宿主微生物の培養形態を宿主の栄養
生理的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常
多くの場合は、液体培養で行うか、工業的には深部通気
攪拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源として
は、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用され
得る。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であれば
よく、例えばグルコース、マンニトール、キシロース、
マルトース、フラクトース、糖蜜などが使用される。窒
素源として利用可能な窒素化合物であればよく、例えば
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物
などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸
塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガ
ン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミン
などが必要に応じて使用されるが、通常の該サルコシン
オキシダーゼ生産菌の該サルコシンオキシダーゼ製造に
おいて必要とされるコリン、サルコシンまたはクレアチ
ン等の該サルコシンオキシダーゼ生産誘導物質は、当該
製造法には必要としない。
培養温度は菌が発育し、該サルコシンオキシダーゼを
生産する範囲で適宜変更し得るが、ストレプトマイセス
属に属する微生物の場合、好ましくは25〜30℃程度であ
る。培養時間は、条件によって多少異なるが、該サルコ
シンオキシダーゼが最高収量に達する時期を見計らって
培養を終了すればよく、通常は24〜96時間程度である。
培地pHは菌が発育し、該サルコシンオキシダーゼを生産
する範囲で適宜変更し得るが、特に好ましくは6〜8程
度である。
本発明の製造法においては、培養物中のサルコシンオ
キシダーゼが培養液中に存在する場合には、菌体を含む
培養液そのままを採取し、利用することもできるが、一
般には常法に従って、濾過、遠心分離などにより培養液
中のサルコシンオキシダーゼと微生物菌体とを分離した
後のサルコシンオキシダーゼ溶液が使用される。菌体内
に存在するサルコシンオキシダーゼを採取するには、得
られた培養物を濾過または遠心分離などの手段により、
菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾ
チームなどの酵素的方法で破壊し、また必要に応じてED
TA等のキレート剤および/または界面活性剤を添加して
サルコシンオキシダーゼを可溶化し水溶液として分離採
取してもよい。
この様にして得られたサルコシンオキシダーゼ含有溶
液を、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、さらに、硫安、硫酸
ナトリウムなどの塩析処理、あるいは親水性有機溶媒、
例えばメタノール、エタノール、アセトンなどによる分
別沈澱法により沈澱せしめればよい。次いでこの沈澱物
を、水に溶解し、半透膜にて透析せしめて、より低分子
量の不純物を除去することができる。また吸着剤あるい
はゲル濾過剤などによりゲル濾過、吸着クロマトグラフ
ィー、イオン交換クロマトグラフィーにより精製し、こ
れらの手段を用いて得られるサルコシンオキシダーゼ含
有溶液は、減圧濃縮凍結乾燥等の処理により、サルコシ
ンオキシダーゼを精製することができる。
斯くして得られたサルコシンオキシダーゼは以下の活
性測定法により測定される。即ち、まず、次の反応液を
用意する。
(反応液) 0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0) 0.5m 15mM4−アミノアンチピリン 0.5m 0.2%(w/v)フェノール 0.5m パーオキシダーゼ(50U/m) 0.5m 1.0Mサルコシン水溶液 1.0m 水 2.0m 上記反応液0.5mを試験管にとり、37℃3分間予備加
温した後、10μのサルコシンオキシダーゼ(SOX)含
有酵素液を加え正確に5分間37℃で保温する。2.5mの
エタノールを加え反応を停止し、480nmで比色定量し、
その値をAとする。1分間に1μmoleの過酸化水素を生
じる活性を1単位(U)と定めると、サルコシンオキシ
ダーゼ活性値(SOX活性値)(U/m)は次式により求め
られる。
〔実施例〕 以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明は
何らこれらによって限定されるものではない。
実施例1 〔染色体DNAの分離〕 ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)
KB−210−8SY〔微工研条寄第1292号(FERM BP−1292)
の染色体DNAを次の方法で分離した。同菌株をトリプチ
ックソイ培地(30g/Tryptic Soy Broth(DIFCO社
製))500mにて30℃3日間振盪培養した。培養液を高
速冷却遠心機(トミーCX−250型)を用い、6,500回転/
分(7,660G)で10分間遠心分離し、放線菌体を集菌し
た。放線菌体を20mのTES(50mM Tris−HCl pH8.0,50m
M EDTA pH8.0,15%Sucrose)に懸濁し、最終濃度が2mg/
mとなるようにリゾチーム(生化学工業社製)を加
え、37℃で30分間処理し、細胞壁を破壊した。次に1m
の10%SDS(ラウリル硫酸ナトリウム(Sigma社製))を
加え、さらに21mのクロロホルム・フェノール=1:1混
合液を加え攪拌した後、10,000回転/分(12,080G)で1
0分間遠心し、分離した水相を回収した。この水層に2
倍量のエタノールを静かに重層し、ガラス棒でゆっくり
攪拌しながらDNAをガラス棒にまきつかせて分離した。
これを10mの10mMトリス塩酸(pH8.0)、1mM EDTA溶
液(以下TEと略す)に溶解した。これを等量のクロロホ
ルム:フェノール=1:1混合液を加え前記と同様の処理
をし、水層を分取し、2倍量のエタノールを加えて前記
の方法でもう一度DNAを分離し、2mのTEに溶解した。
実施例2 〔pACYC184プラスミドDNAの分離〕 pACYC184を保有するエシェリヒア・コリpM191〔J.Bac
teriol,134,1141(1981);ATCC37033〕を1のBHI培地
(DIFCO社製)で振盪培養した。濁度がOD660=1.0に増
殖したとき、スペクチノマイシン(最終濃度300μg/m
)を加え、さらに37℃で16時間以上振盪を続けた。6,
500回転/分、10分間遠心の後、菌体を集めリゾチーム
−SDS法とセシウムクロライド−エチジウムブロマイド
法〔Maniatisら,Holecular,Cloning,86−94,Cold Sprin
g Harbor(1982)〕に従いプラスミドDNAを調製した。
実施例3 〔放線菌遺伝子ライブラリーの作成〕 放線菌染色体5μgを制限エンドヌクレアーゼBcl I
(東洋紡績社製)30unitsで50mM Tris−HCl(pH7.5)、
100mM NaCl、10mM MgCl2、1mM DTT、10μg/m BSA存
在下37℃、2時間切断処理した。またベクターpACYC184
2μgを制限エンドヌクレアーゼBamH I(宝酒造社製)
10unitsで上記と同様に処理し、さらにアルカリ性フォ
スファターゼ(以下BAPと略す(宝酒造社製))1unitを
加え65℃2時間処理した。これらの2種のDNA溶液を混
合し、全体量と等量のクロロホルム−フェノール混合液
で処理し、遠心分離により水層を分取した。その水層
に、その1/10量の3M酢酸ナトリウムを加え、さらに2倍
量のエタノールを加え遠心でDNAを沈澱させたのち、減
圧乾燥した。このDNAをTEにて溶解後、T4DNAライゲース
(宝酒造社製)100unitsで66mM Tris−HCl(pH7.6)、
6.6mM MgCl2、10mM DTT、660μM ATP(ベーリンガー・
マンハイム社製)存在下16℃16時間ライゲーションし
た。これをK.Shigesadaの方法(細胞工学(1983)2,616
−626)によってコンピテント細胞としたE.coli DH1
(T.Maniatis.,et al.,Molecular cloning:Cold Spring
Harbor(1982),504−506;ATCC 33849)にトランスフ
ォーメーションし、30μg/mクロラムフェニコール含
有BHI寒天培地にまき、37℃で1昼夜培養し、約11,000
の形質転換微生物を得て、放線菌遺伝子ライブラリーと
した。
実施例4 〔放射性オリゴヌクレオチドプローブの作
成〕 サルコシンオキシダーゼ精製標品のN末アミノ酸配列
およびリシルエンドペプチダーゼ処理断片アミノ酸配列
を調べたところ、以下の4部分の配列が決定された。
N末端:Ser−Pro−Thr−Tyr−Asp−Val−Ile−Val−Ile
−Gly−Leu−Gly−Gly−Met−Gly−Ser−Ala−Ala−Ala
−His−His−Leu−Ser−Ala−Arg−Gly−Ala−Arg−Val
−Leu− リシルエンドペプチダーゼ処理K7断片: −Glu−Ile−Arg−Arg−Arg−Phe−Pro−Thr−Leu−A
la−Pro−Asp−Asp−Asp−Glu−Val−Ala−Leu−Phe−G
lu−Ala−Lys− リシルエンドペプチダーゼ処理K10断片: −Val−Ala−Phe−Phe−Arg−Lys−Gly−Gln−His−T
hr−Thr−Pro−Glu−Thr−Ile−Asp− リシルエンドペプチダーゼ処理K13断片: −Gly−Gly−Thr−Gly−Pro−Phe−Val−Pro−Glu−A
rg−His−Pro−Val−Tyr−Ile−Trp−Glu−Asp−Ala−A
sp−Gly−Val−Gln−Val−Tyr−Glr−Phe−Pro−Ala−I
le− この情報をもとに、遺伝子の5′末端側から塩基配列
を予想した。この塩基配列には様々な可能性が存在す
る。まず下記の4つの部分アミノ酸配列についての可能
性の高そうなオリゴヌクレオチド配列を設計して実験を
行った。なおオリゴヌクレオチドはアール・エル・レッ
シンジャーらの方法(R.L.Letsinger,W.B.Lursford,Jou
rnal Am.Chem.Society,98,3655)に基づきDNAシンセサ
イザー(サイクロン,(バイオサーチ社製))を用いて
作成した。
N末端アミノ酸配列4残基目のTyrから14残基目のM
etまでに対応する2ミックス33マー(I=イノシン) K10断片アミノ酸配列3残基目Pheから10残基目Thr
に対応する32ミックス23マー(I=イノシン) K13断片アミノ酸配列:14残基目Tyrから19残基目Ala
に対応する24ミックス17マー K13断片アミノ酸配列:6残基目Pheから20残基目Asp
に対応する44マー(I=イノシン) これら4本の合成ヌクレオチドでは本サルコシンオキ
シダーゼ遺伝子のクローニングができなかったためさら
に多くのプローブを作成し、種々の条件にて検討した結
果、以下の合成ヌクレオチドが好適なプローブであるこ
とを確認した。
K13断片アミノ酸配列:14残基目Tyrから21残基目Gly
に対応する4ミックス23マー 完成したのオリゴヌクレオチド50ngをT4ポリヌクレ
オチドキナーゼ・バッファー(50mM Tris−HCl(pH8.
0)、10mM MgCl2、10mM 2−メルカプトエタノール)お
よび370キロベクレルの32P−ATP(アマシャムジャパン
社製)存在下、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(東洋紡績
社製)8.5unitsで37℃30分間反応せしめ、アイソトープ
32Pを取込ませ放射性オリゴヌクレオチドプローブとし
た。
実施例5 〔サルコシンオキシダーゼ遺伝子含有クロー
ンのスクリーニング〕 前述の如くにより得た遺伝子ライブラリー、即ち、平
板寒天培地上のクロラムフェニコール耐性コロニー上に
ナイロンメンブレンフィルター(マグナグラフナイロン
(ミクロンセパレーション社製))を重ね、フィルター
上に該コロニー菌体の一部を移行させた。このフィルタ
ーをアルカリ変性溶液(0.5N NaOH、1.5M NaCl)に5分
間浸し、さらに中和液(0.5M Tris−HCl pH7.0,3M NaC
l)に5分間浸した後乾燥させた。このフィルターを80
℃で2時間加熱し、菌体中にあったプラスミドDNAをフ
ィルターに固定した。さらにこのフィルターをハイブリ
ダイゼーション溶液〔NaCl43.8g/、クエン酸3ナトリ
ウム22.1g/、50mMリン酸3ナトリウム(pH6.5)、ラ
ウリル硫酸ナトリウム1g/、フィコール(ファルマシ
ア社製)1g/、ポリビニルピロリドン1g/、BSA1g/
、サケ精子DNA(ファルマシア社製)250mg/、ホル
ムアミド0.2/〕に浸し42℃で1時間プレハイブリ
ダイゼーションを行った。その後、フィルターを新しい
ハイブリダイゼーション溶液に浸し、先に用意した放射
性オリゴヌクレオチドプローブを加え、42℃で1昼夜ハ
イブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーショ
ン後、洗浄液(NaCl 4.38g/、クエン酸3ナトリウム
2.21g/、ラウリル硫酸ナトリウム1g/)でフィルタ
ーを3回洗浄し、次いでこのフィルターを45℃の洗浄液
に10分間浸し、余分なプローブを洗い落とした。フィル
ターは風乾後、X線フィルム(富士写真フィルム社製,N
ew RXO−H)に重ね、遮光下−70℃で24時間オートラジ
オグラフィーを行った。オートラジオグラフィー後、フ
ィルムを現像し、ポジティブシグナルを示すコロニーを
確認した。該コロニーを、サルコシンオキシダーゼをコ
ードするDNAを含む形質転換微生物エシェリヒア・コリ
(E.coli)DH1−pSOXS13と命名した。
実施例6 〔組み換えプラスミドの抽出〕 pSOXS13を持つ組み換え大腸菌を培養した後、ティー
・マニアティスらの方法(T.Maniatis,et al.,Molecula
r cloning,Cold Spring Harbor(1982),86−94)によ
って、サルコシンオキシダーゼをコードするDNAを含む
組み換えプラスミドpSOXS13を抽出した。このプラスミ
ドの制限酵素地図は第4図に示す通りであった。さらに
このプラスミドをEcoR VとMlu Iで切断し、この断片を
ジデオキシ法(Science,214,1205−1210(1981))によ
り塩基配列を決定し、サルコシンオキシダーゼをコード
する全DNAが含まれていることを確認すると共にその全
塩基配列を決定した。判明しているサルコシンオキシダ
ーゼのN末端アミノ酸配列30残基と本塩基配列より考え
られるアミノ酸配列とは完全に一致し、さらにリシルエ
ンドペプチダーゼ処理断片3フラグメント計62アミノ酸
残基部分の配列とも同一フレームにおいて完全に一致し
た。本実施例において得られた塩基配列についての情報
は、以下の配列表に示す通りであった。
実施例7 〔放線菌へのサルコシンオキシダーゼ遺伝子
の導入〕 E.coli DH1−pSOXS13 5μgを制限エンドヌクレアー
ゼMlu I 18units(東洋紡績社製)とEcoR V 12units
(宝酒造社製)で切断し、サルコシンオキシダーゼ遺伝
子を含む2KbpのDNAフラグメントの0.7%アザロースゲル
電気泳動で分離回収し、67mM Tris−HCl(pH8.8)、6.7
mM MgCl2、16.6mM(NH42SO4、10mM 2−メルカプトエ
タノール、6.7μMエチレンジアミン4酢酸、50μM dNT
P、167μg/m BSA存在下、T4DNAポリメラーゼ(宝酒造
社製)2.4unitsでフラグメントの末端を平滑化した。ま
た放線菌のベクタープラスミドpIJ680(Kieser,T.Genet
icManipulation of Streptomyces A Lavoratory Manua
l,The John Innes Foundation John Innes Institute
(298,299))5μgを制限エンドヌクレアーゼEcoR V
12unitsで切断し、50mM Tris−HCl(pH8.0)存在下でBA
Pを実施例3と同様に行った。以上のDNA溶液を混合し実
施例3と同様にライゲーションを行った。これをポップ
ウッドらの方法(D.A.Hopwood.et al.Genetic Manipula
tion of Streptomyces.A.Lavoratory Manual.The John
Innes Foundation John InnesInstitute,103−122)に
よってコンピテント細胞としたストレプトマイセスリビ
ダンスにトランスフォーメーションし、ネオマイシン耐
性コロニーを選択した。このトランスフォーマントをス
トレプトマイセス・リビダンスTK24−pSOXS102と命名
し、10μg/mのネオマイシンを含む3%トリプティッ
クソイ(DIFCO社製)培地で28℃2日間培養後実施例6
と同様にして調製したDNAをサルコシンオキシダーゼ遺
伝子含有プラスミド(pSOXS102と命名した。この制限酵
素地図は第5図に示す通りであった。
実施例8 〔pSOXS102保有放線菌の培養と活性発現〕 pSOXS102保有ストレプトマイセスリビダンスを10μg/
mのネオマイシンを含む3%トリプティックソイ(DIF
CO社製)培地で28℃2日間培養した。この培養液を15,0
00回転/分で2分間遠心し、沈澱を回収した。この沈澱
に培養液と同量の10mM Tris−HCl(pH8.0)を加え超音
波破砕を行った。その破砕液を10μとり、さらに0.2M
Tris−HCl(pH8.0)50μ、15mM4−アミノアンチピリ
ン50μ、0.2%フェノール50μ、50units/mパーオ
キシダーゼ(シグマ社製)50μ、1Mサルコシン100μ
、水200μを加えて反応を始め37℃で5分間保温し
た後エタノール2.5mを加えて反応を止め、480nmの吸
光度を測定することによりサルコシンオキシダーゼ活性
を定量した。サルコシンオキシダーゼ遺伝子を含まない
pIJ680のみをトランスフォーメーションさせたストレプ
トマイセス・リビダンスの破砕液について上記と同じ操
作を行い対照とした。
表1に示した結果から明らかなように、pSOXS102の導
入によりサルコシンオキシダーゼ活性の発現が確認され
た。サルコシンオキシダーゼ活性発現において、サルコ
シンオキシダーゼ生産株ストレプトマイセス・エスピー
KB−210−8SYでは必須であった誘導物質を本組み換え体
ストレプトマイセス・リビダンスTK24−pSOXS102では、
一切用いなくてもこのような高活性を示すことがわか
り、効率的な製造方法であることが認められた。
本発明のサルコシンオキシダーゼの遺伝子とすでに知
られているBacillus属サルコシンオキシダーゼの遺伝子
との比較を行った。その結果、従来のサルコシンオキシ
ダーゼ(特開昭64−43192号)とはアミノ酸で33%しか
相同性がなく、核酸レベルでは相同性が認められなかっ
た。また野田産研(キッコーマン)サルコシンオキシダ
ーゼ(特開平1−168287号)でも同様、アミノ酸で33%
しか相同性がなく核酸では相同性が認められず、本発明
のサルコシンオキシダーゼの遺伝子は全く新しいサルコ
シンオキシダーゼの遺伝子であることがわかった。
〔発明の効果〕
本発明によって、放線菌由来のサルコシンオキシダー
ゼの遺伝子およびサルコシンオキシダーゼのアミノ酸配
列が明らかになり、また、遺伝子工学手法による効率的
なサルコシンオキシダーゼの製造方法が提供された。ま
た、本発明のサルコシンオキシダーゼ遺伝子と種々の遺
伝子工学的手法とを用いることによって、より効率的に
サルコシンオキシダーゼを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のサルコシンオキシダーゼのアミノ酸配
列を示し、第2図は本発明サルコシンオキシダーゼ遺伝
子の塩基配列を示す。第3図は本発明サルコシンオキシ
ダーゼ遺伝子の制限酵素地図を示し、第4図は本発明サ
ルコシンオキシダーゼ遺伝子プラスミドpSOXS13の制限
酵素地図を示し、第5図はプラスミドpSOXS102の制限酵
素地図を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:465) (C12N 9/06 C12R 1:465) (56)参考文献 特開 昭63−209585(JP,A) 特開 昭61−280271(JP,A) Pro.N.A.S.,Vol.72, p.3961−3965(1975) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00,9/06,1/21 GenBank.DDBJ.EMBL. Swissprot PIR Gene seq

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストレプトマイセス属に属する微生物を、
    当該宿主微生物にとって外来性であって、少なくともN
    末端側より第1図で表わされるアミノ酸配列をコード
    し、サルコシンオキシダーゼを発現可能な純粋化された
    DNAを含有する組換えベクターを用いて、形質転換せし
    めた形質転換微生物を、コリン、サルコシン及びクレア
    チニンを含有しない培地にて培養して該DNAの遺伝情報
    を発現せしめ、該培養物からサルコシンオキシダーゼを
    採取することを特徴とするサルコシンオキシダーゼの製
    造法。
  2. 【請求項2】DNAが、5′末端側より第2図で表わされ
    る配列を有するものである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】形質転換微生物が、ストレプトマイセス・
    リビダンスである請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】形質転換微生物が、ストレプトマイセス・
    リビダンスTK24−pSOXS102[微工研条寄第3014(FERM
    BP−3014)]である請求項1記載の製造法。
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