JPH1052274A - 耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体DNA及び耐熱性β−グルコシダーゼの製造法 - Google Patents

耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体DNA及び耐熱性β−グルコシダーゼの製造法

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JPH1052274A
JPH1052274A JP8227333A JP22733396A JPH1052274A JP H1052274 A JPH1052274 A JP H1052274A JP 8227333 A JP8227333 A JP 8227333A JP 22733396 A JP22733396 A JP 22733396A JP H1052274 A JPH1052274 A JP H1052274A
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JP
Japan
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glucosidase
heat
gene
stable
enzyme
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Pending
Application number
JP8227333A
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English (en)
Inventor
Keisuke Furukawa
圭介 古川
Masaru Suzuki
勝 鈴木
Taiji Koyama
泰二 小山
Minoru Hiruma
稔 蛭間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kikkoman Corp
Original Assignee
Kikkoman Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 1.配列番号1で表されるアミノ酸配
列、又は該アミノ酸配列のうちの1若しくは複数のアミ
ノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列を含
み、耐熱性β−グルコシダーゼ活性をもたらすポリペプ
チドをコードする耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子。 2.上記の耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子がベクター
DNAに組み込まれた組み換え体DNA。 3.エッシェリシア属に属し、請求項2記載の組み換え
体DNAを含有する微生物を培地に培養し、得られる培
養物から耐熱性β−グルコシダーゼを採取することを特
徴とする耐熱性β−グルコシダーゼの製造法。 【効果】 本発明により、耐熱性β−グルコシダー
ゼ遺伝子および耐熱性β−グルコシダーゼの製法が提供
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性β−グルコ
シダーゼ、耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子、該遺伝子
がベクターDNAに組み込まれた組み換え体DNA及び
耐熱性β−グルコシダーゼの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】β−グルコシダーゼは、β−D−グルコ
シドを加水分解して、D−グルコ−ス及びアルコ−ルを
生成する反応を触媒する酵素である。β−グルコシダー
ゼは、グルコアミラ−ゼと組み合わせることにより、臨
床検査用試薬として広く利用されている。臨床診断試薬
に用いられているβ−グルコシダーゼの多くは、アーモ
ンド由来である。これらの酵素は、熱に対して不安定で
あるため、液状での常温保存が困難であるという問題が
あった。このため、熱安定性、すなわち耐熱性に優れた
β−グルコシダーゼの開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性β−
グルコシダーゼ遺伝子、該遺伝子を含む組み換え体DN
A及び組み換え体DNAを用いる耐熱性β−グルコシダ
ーゼの製造法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、耐熱性β
−グルコシダーゼ遺伝子を単離することに成功し、更
に、遺伝子工学的手法を用いてβ−グルコシダーゼを効
率よく生産する方法を確立し、本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は、配列番号1で表されるア
ミノ酸配列、又は該アミノ酸配列のうちの1若しくは複
数のアミノ酸が付加、欠失若しくは置換されたアミノ酸
配列を含み、耐熱性β−グルコシダーゼ活性をもたらす
ポリペプチドをコードする耐熱性β−グルコシダーゼ遺
伝子である。ここで、「1若しくは複数のアミノ酸が付
加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列」とあるの
は、目的とする耐熱性β−グルコシダーゼ活性が得られ
る限り、配列番号1で表されるアミノ酸配列が、該アミ
ノ酸配列とは異なる配列に付加、欠失又は置換されても
よいことを意味する。例えば、配列番号1で表されるア
ミノ酸配列の第1番目のメチオニンが欠失しても、本発
明の目的とする耐熱性β−グルコシダーゼ活性が得られ
る限り、かかる欠失したアミノ酸配列も本発明に含まれ
ることを意味する。
【0006】さらに、本発明は、前記耐熱性β−グルコ
シダーゼ遺伝子がベクターDNAに組み込まれた組み換
え体DNAである。さらに、本発明は、エッシェリシア
属に属し、前記組み換え体DNAを含有する微生物を培
地に培養し、得られる培養物から耐熱性β−グルコシダ
ーゼを採取することを特徴とする耐熱性β−グルコシダ
ーゼの製造法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 〔1〕耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子のクローニング 本発明の耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子(以下「β−
GLS遺伝子」という)は、例えば、Thermoanaerobact
er cellulolyticus IFO14436を遺伝子供与体として、以
下の方法により得ることができる。
【0008】1.遺伝子供与体からの染色体DNAの抽
出 まず、遺伝子供与体であるThermoanaerobacter cellulo
lyticus IFO14436から染色体DNAを抽出する。染色体
DNAの抽出方法としては、公知の方法、例えば、Sait
o and Miura法(Biochem.Biophys.Acta.72:618-629,196
3)を採用することができる。上記微生物は、例えば、I
FO指定の培地(IFO medium No.249)等で培養したも
のを使用することができるが、培養した菌体を集菌後に
凍結保存した保存試料を使用することも可能である。
【0009】2.染色体ライブラリーの作成 得られた染色体DNAを制限酵素HindIIIを用いて完全
消化し、染色体DNAのHindIII断片(以下「HindIII
断片」という)を得る。次いで、HindIII断片を通常の
アガロースゲル電気泳動法に供し、約4.0kbpの鎖長のHi
ndIII断片を含むゲルを切り出す。切り出したゲル中の
DNA断片を、GENE CLEAN II(フナコシ社製)等によ
り精製し、更にエタノール沈殿等により濃縮して、純化
されたHindIII断片を得る。純化されたHindIII断片を、
適当なベクターDNAのHindIII部位に挿入して組み換
え体DNAを作成する。HindIII断片を挿入するための
ベクターDNAは、宿主細胞で複製可能なものであれば
如何なるものでもよく、例えば、プラスミドDNA、バ
クテリオファージDNA等が挙げられる。宿主細胞が大
腸菌である場合は、プラスミドpUC118(宝酒造社製)、
pBR322(宝酒造社製)、pUC119(宝酒造社製)、pBlues
cript SK+(Stratagene社製)、pMAL-C2(NEW England La
bs社製)、pGEX-5X-1(ファルマシア社製)、pXa1(ベ
ーリンガーマンハイム社製)等が使用できる。この他、
温度感受性バクテリオファージ(特開昭58-212781号公
報、FERM BP-133)等を使用することも可能である。この
ようにして得られた組み換え体DNAを、宿主細胞に形
質転換或いは形質導入することにより、染色体ライブラ
リーを作成することができる。なお、形質転換は、例え
ばD.M.Morrisonの方法(Methods in Enzymology,68,326
-331,1979)により、形質導入は、例えばB.Hohnの方法
(Method in Enzymology,68,299-309,1979)により行う
ことができる。
【0010】宿主細胞としては、真核細胞及び原核細胞
のいずれをも用いることができる。真核細胞としては動
物、植物、昆虫、酵母等の細胞が、原核細胞としては大
腸菌、枯草菌、放線菌等が挙げられる。具体的には、エ
ッシェリシア属に属する微生物、例えば大腸菌C600(St
ratagene社製)、XL1-Blue(Stratagene社製)、JM109
(宝酒造社製)、HB101(ATCC33694)等が好適に使用され
得る。ベクターDNAとしてプラスミドDNAを用いる
場合、HindIII断片を挿入するために、プラスミドDN
Aを制限酵素HindIII(宝酒造社)等を用いて消化し、切
断されたベクターDNAを得る。次いで、HindIII断片
と、切断されたベクターDNAとを混合し、これに、例
えばT4 DNAリガーゼ(ベーリンガーマンハイム社
製)を作用させて組み換え体DNAを得る。このように
して得られた組み換え体DNAを用いて、宿主細胞、例
えば大腸菌C600(Stratagene社製)等を形質転換するこ
とにより、種々の遺伝子を含むHindIII断片を保有する
染色体ライブラリーを得ることができる。
【0011】尚、本発明においては、宿主細胞に遺伝子
を導入する方法として、上記の方法の他に、相同組換え
により遺伝子を宿主細胞の染色体DNAに挿入する方法
を用いることができる。相同組換えによる遺伝子導入
は、具体的には、例えばマイクロインジェクション法等
により行うことができる。
【0012】3.活性プレートを用いるクローンの選別 上記で作成した染色体ライブラリーより、β−GLS遺
伝子を含有するクローンをスクリーニングするには、活
性プレートを用いる方法を採用することができる。例え
ば、宿主細胞として大腸菌C600を、プラスミドDNAと
してpBR322を用いて染色体DNAを作成した場合には、
得られた形質転換体を、活性プレート(1%ハ゛クトトリフ゜トン、
0.5%イーストエクストラクト、0.25%NaCl,1mM PNPG,1.5% Agar,1mM I
PTG)に塗布すればよい。β−GLS遺伝子を含有する
クローン(ポジティブクローン)は、活性プレート上で
黄色を呈する。ポジティブクローンより純化された組み
換え体DNAを得るには、例えばQIAGEN Plasmid Mini
Kit(フナコシ社製)、超遠心塩化セシウム濃度勾配分
離法等の方法を用いればよい。
【0013】4.遺伝子の解析 上記のようにして得た組み換え体DNAに挿入されてい
るβ−GLS遺伝子の塩基配列の決定は、例えばジデオ
キシ法(Methods in Enzymology,101,20-78,1983)によ
り行うことができる。次いで、β−GLS遺伝子の塩基
配列に基づいて、本発明のβ−グルコシダーゼ(以下
「本酵素」という)のアミノ酸配列を確定する。このア
ミノ酸配列は、配列番号1に示される通りである。な
お、配列番号1のアミノ酸配列において、耐熱性β−グ
ルコシダーゼ活性を失うことのない限り、1もしくは複
数のアミノ酸が、付加、欠失もしくは置換されていても
よい。耐熱性β−グルコシダーゼ活性を失うことのない
範囲でアミノ酸配列が変異されたポリペプチドをコード
する遺伝子は、全て本発明に含まれる。
【0014】上記の変異型β−グルコシダーゼをコード
する遺伝子は、野生型のβ−GLS遺伝子に変異を導入
することにより得られる。遺伝子に変異を導入する方法
としては、例えば、野生型遺伝子と変異原となる薬剤、
具体的にはヒドロキシルアミン、亜硝酸、亜硫酸、5−
ブロモウラシル等を接触させる方法を挙げることができ
る。この他、紫外線照射法、カセット変異法、PCR法
を用いた部位特異的変異導入法等を広く用いることがで
きる。更には、化学合成したDNAをアニーリングし
て、所望の部位に変異を有するβ−GLS遺伝子を構築
することも可能である。
【0015】5.組み換え微生物による本酵素の生産 β−GLS遺伝子の全長を含むHindIII断片が挿入され
た組み換え体DNAを保有する組み換え微生物を培養す
れば、本酵素を生産することができる。培養方法は、通
常の固体培養法でもよいが、液体培養法を採用すること
が好ましい。組み換え微生物を培養する培地としては、
例えば酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コーンスティ
ープリカー又は大豆もしくは小麦ふすまの浸出液等から
選ばれる1種以上の窒素源に、リン酸二水素カリウム、
リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化第二
鉄、硫酸第二鉄又は硫酸マンガン等の無機塩類の1種以
上を添加し、更に必要により糖質原料、ビタミン等を適
宜添加したものが用いられる。又、必要により培地にI
PTG等を添加して、β−GLS遺伝子の発現を誘導し
てもよい。
【0016】培地の初発pHは7〜9に調節するのが適
当である。培養は、30〜42℃、好ましくは37℃前
後で6〜24時間、通気攪拌培養、振盪培養、静置培養
等により行うことが好ましい。培養終了後、培養物より
本酵素を採取するには、通常の酵素採取手段を用いるこ
とができる。すなわち、リゾチーム等の酵素を用いた溶
菌処理、超音波破砕処理、磨砕処理等により菌体を破壊
し、本酵素を菌体外に排出させる。次いで、濾過又は遠
心分離等を用いて不溶物を除去することにより、本酵素
を含有する粗酵素液を得ることができる。本発明では、
該粗酵素液をそのまま耐熱性β−グルコシダーゼ酵素標
品としてもよく、以下の精製手法によりさらに純度を高
めてもよい。
【0017】上記の粗酵素液から、本酵素をさらに精製
するには、通常のタンパク質精製法を使用することがで
きる。具体的には、硫安塩析法、有機溶媒沈澱法、イオ
ン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、
ゲルろ過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法等
が、単独又は適宜組み合わせて用いられる。遺伝子工学
的手法により生産される本酵素の理化学的性質は、遺伝
子供与体である微生物(Thermoanaerobacter celluloly
ticus IFO14436)が生産する耐熱性β−グルコシダーゼ
の理化学的性質と全く同様である。本酵素の理化学的性
質を以下に示す。
【0018】(1) 作用:β−Dグルコシドに作用し
て、D−グルコース及びアルコールを生成する。 (2) 基質特異性:本酵素は、β−D−グルコシドに
対して基質特異性を有する。 (3) 至適pH及び安定pH範囲:本酵素の至適pH
は、後記の測定法1に従い、各pHにおける活性を測定
して求めた。その結果は図1に示す通りであり、本酵素
の至適pHはpH5.0〜6.0、特にpH5.5〜
6.0付近である。又、安定pH範囲は、測定法1に従
い、pH4.0〜8.0の範囲において、25℃で20
時間処理した後、残存活性を測定して求めた。その結果
は図2に示す通りであり、本酵素は、pH4.0〜8.
0の範囲で安定である。
【0019】(4) 分子量:SDSポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法(以下「SDS-PAGE」という)により求
めた分子量は、約55,000である。 (5) pH、温度等による失活の条件:本酵素は25
℃で20時間の処理では、前記のごとくpH4.0〜
8.0で安定である。又、0.05M トリス−塩酸緩
衝液(pH7.3)を用いて、本酵素を20℃〜90℃
で、60分間処理した場合の熱安定性を、測定法1に従
って調べた。その結果を図3に示した。本酵素は80℃
まで安定であり、それを越えると失活し始め、90℃、
60分の熱処理でほぼ完全に失活する。
【0020】(6) 長期安定性 0.01M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を
用いて、本酵素の37℃における長期安定性を調べた。
2週間後に活性を測定した結果、10%程度の失活しか
認められなかった。 (7) Km値:Km値は、測定法1に従い、ラインウ
エーバー・バークのプロットより求めた。その結果、K
m値は、p-Nitrophenyl-β-D-glucopyranosideに対して
2.5 mMであった。
【0021】次に、本酵素の力価の測定法について説明
する。本酵素の活性測定は、下記の測定法1に従って行
った。尚、37℃において1分間に1μmolのp-Nitrophen
yl-β-D-glucopyranoside(以下「PNPG」という)よ
り1μmolの発色基(p-Nitrophenol)を遊離させる酵素量
を1単位(U)とする。
【0022】〔測定法1〕 1)まず、以下の試薬を調整する。 A液:0.1M酢酸緩衝液,pH5.0 B液:20mM PNPG水溶液 C液:0.2M Na2CO3溶液 D液:酵素溶液
【0023】2)手順 試験管にA液1.0mlとB液0.5mlを混合し、
37℃で約5分間予備加温する。 D液を0.5ml加え反応を行う。 37℃にて15分間反応を行い、C液2.0mlを加
えて反応を停止する。 反応を停止したの液について400nmにおける吸
光度を測定する。 注:盲検についてはの反応混液を15分間、37℃に
て放置後、C液2.0mlを加え、次いで酵素溶液0.
5mlを添加し、調整する。
【0024】3)活性計算式 ODtest:サンプル値 ODblank:盲検値 18.1:p-Nitrophenolの上記測定条件下でのミリモ
ル分子吸光計数(cm/micromole) 1.0:光路長(cm)
【0025】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。但し、本発明はこれら実施例になんら限定され
るものではない。
【0026】〔実施例1〕β−GLS遺伝子のクローニ
ング (1)染色体DNAの調製 染色体DNAは、以下の方法により調製した。すなわ
ち、Thermoanaerobactercellulolyticus IFO14436を、
IFO指定の培地(IFO medium No.249)500mlに
接種して嫌気的条件下で75℃、20時間振盪培養した後、
遠心分離により集菌した。得られた菌体5gより、Sait
o and Miura法(Biochem.Biophys.Acta.72:618-629,196
3)を用いて100μg の染色体DNAを得た。
【0027】(2)染色体ライブラリーの作成 100μgの染色体DNAを、制限酵素HindIII(宝酒造社
製)により完全消化した後、0.7 %アガロースゲル電気
泳動に供した。次いで、約4.0kbpの鎖長のHindIII断片
を含有するゲルを切り出した。ゲル中のDNA断片を、
GENE CLEAN II(フナコシ社製)により回収し、10μg
のHindIII断片を得た。一方、プラスミドpBR322(宝酒
造社製)2μgを、HindIIIを用いて切断した後、大腸
菌由来のアルカリホスファターゼ(宝酒造社製)を用い
て脱リン酸化した。
【0028】上記で得られたHindIII断片10μgと、切
断されたプラスミドpBR322とを混合し、T4 DNAリ
ガーゼ(ベーリンガーマンハイム社)1ユニットで連結
し、組み換え体プラスミドを得た。次いで、D.M.Morris
onの方法に従って大腸菌C600(Stratagene社製)を形質
転換した。
【0029】(3)活性プレートを用いるクローンの選別 得られた形質転換体を、活性プレート(1%ハ゛クトトリフ゜トン、
0.5%イーストエクストラクト、0.25%NaCl,1mM PNPG,1.5% Agar,1mM
IPTG)に塗布し、37℃で16時間培養した。出現した
約2000個のコロニーの内、一つのコロニーに黄色の
呈色(βーGLS活性)が認められた。
【0030】(4)βーGLS遺伝子の解析 上記のポジティブクローンに含まれる組み換え体DNA
を、QIAGEN Plasmid Mini Kit(フナコシ社製)を用い
て精製した。該組み換え体DNAをHindIIIで切断した
ところ、挿入されているHindIII断片の鎖長は、約4.0kb
pであることがわかった。該HindIII断片の塩基配列を、
Kilo-Seaqence用deletion Kit(宝酒造社製)及び370D
NA Seaqencing System(アプライドバイオシステム社
製)を用いて決定した。その結果、該HindIII断片は、
β−GLS遺伝子の全長を含むことが確認された。β−
GLS遺伝子は、1362bpのコーディング領域をも
ち(配列番号2)、453個のアミノ酸をコードしてい
た(配列番号1)。
【0031】このようにして得られた形質転換株を、E.
coli C600/pNC1と命名した。該形質転換株は、工業技
術院生命工学工業技術研究所にFERM P−1578
5として寄託されている。
【0032】〔実施例2〕組み換え微生物による本酵素
の生産 LB培地(1%ペプトン、0.5 %酵母エキス、1% NaC
l、pH7.2 )に、大腸菌C600/pNC1の一夜培養液を1
%植菌し、37℃で4時間振盪培養した。次いで、1mMと
なるようにIPTGを添加し、更に37℃で18時間振盪培養し
た後、遠心分離により集菌した。菌体を超音波破砕し、
得られた粗酵素液について、本酵素の活性を測定法に基
づいて測定したところ10U/mlという生産量を得た。本酵
素と従来公知のβ−グルコシダーゼ(アーモンド由来)
との理化学的性質の相違点を、表1に示す。
【0033】
【0034】表1から明らかなように、本酵素は、広範
な安定pH範囲及び耐熱性を兼ね備えているので、臨床
検査用試薬等に利用する場合には、pHや温度などの試
験環境が変化したときの影響を受けにくく、その取扱い
が容易である。従って、本酵素は、従来公知のβ−グル
コシダーゼよりも優れているといえる。
【0035】
【発明の効果】本発明により、耐熱性β−グルコシダー
ゼ、耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子が提供され、ま
た、本酵素を効率よく大量に生産することができる。本
酵素は熱安定性に優れているため、臨床検査用試薬を始
めとする各種産業分野において使用できる。
【0036】
【配列表】
配列番号1 配列の長さ:453 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列: Met Ser Leu Pro Lys Gly Phe Leu Trp Gly Ala Ala Thr Ala Ser Tyr 1 5 10 15 Gln Ile Glu Gly Ala Trp Asn Glu Asp Gly Lys Gly Glu Ser Ile Trp 20 25 30 Asp Arg Phe Thr His Gln Lys Gly Asn Thr Leu Tyr Gly His Asn Arg 35 40 45 Asp Val Ala Cys Asp His Tyr His Arg Phe Glu Glu Asp Val Ser Leu 50 55 60 Met Lys Glu Leu Gly Leu Lys Ala Tyr Arg Phe Ser Ile Ala Trp Ala 65 70 75 80 Arg Ile Phe Pro Asp Gly Tyr Gly Thr Leu Asn Gln Lys Gly Leu Glu 85 90 95 Phe Tyr Asp Lys Leu Leu Asn Lys Leu Val Glu Asn Gly Ile Glu Pro 100 105 110 Val Val Thr Ile Tyr His Trp Asp Leu Pro Gln Lys Leu Gln Asp Ile 115 120 125 Gly Gly Trp Ala Asn Asn Glu Ile Val Asn His Tyr Phe Lys Tyr Ala 130 135 140 Met Leu Leu Ile Asn Arg Tyr Lys Asp Lys Val Lys Lys Trp Ile Thr 145 150 155 160 Phe Asn Glu Pro Tyr Cys Ile Ala Phe Leu Gly His Trp Tyr Gly Ile 165 170 175 His Ala Pro Gly Ile Lys Asp Phe Lys Val Ala Met Asp Val Val His 180 185 190 Asn Ile Met Leu Ser His Phe Lys Val Val Lys Ala Val Lys Glu Asn 195 200 205 Asn Ile Asp Val Glu Val Gly Ile Thr Leu Asn Leu Thr Pro Val Tyr 210 215 220 Leu Gln Thr Glu Arg Leu Gly Tyr Asn Val Ser Glu Ile Glu Lys Glu 225 230 235 240 Met Val Ser Leu Ser Ser Gln Leu Asp Asn Glu Leu Phe Leu Asp Pro 245 250 255 Val Leu Lys Gly Ser Tyr Pro Gln Lys Leu Leu Asn Tyr Leu Val Gln 260 264 270 Lys Asp Leu Leu Asp Thr Gln Lys Ala Glu Lys Met Leu Lys Glu Val 275 280 285 Lys Glu Asn Phe Ile Phe Pro Asp Phe Leu Gly Ile Asn Tyr Tyr Thr 290 295 300 Arg Ala Val Arg Leu Tyr Asp Glu Asn Ser Pro Trp Ile Phe Pro Ile 305 310 315 320 Arg Trp Glu His Pro Ala Gly Glu Tyr Thr Glu Met Gly Trp Glu Val 325 330 335 Phe Pro Gln Gly Leu Phe Asp Leu Leu Met Trp Ile Lys Glu Asn Tyr 340 345 350 Pro Gln Ile Pro Ile Tyr Ile Thr Glu Asn Gly Ala Ala Tyr Asn Asp 355 360 365 Ile Val Pro Glu Asp Gly Lys Val His Asp Ser Lys Ser Ile Glu Tyr 370 375 380 Leu Lys Gln Arg Phe Asp Gln Ala Arg Lys Ala Ile Glu Asn Gly Val 385 390 395 400 Asp Leu Arg Gly Tyr Phe Val Trp Ser Leu Met Asp Asn Leu Glu Trp 405 410 415 Ala Met Gly Tyr Thr Lys Arg Phe Gly Val Ile Tyr Val Asp Tyr Glu 420 425 430 Thr Gln Lys Arg Ile Lys Lys Asp Ser Phe Tyr Phe Tyr Gln Gln Tyr 435 440 445 Ile Lys Glu Asn Ser 450
【0037】配列番号2 配列の数:1362 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:Thermoanaerobacter cellulolyticus 株名:IFO 14436 配列: ATGAGTCTCC CAAAAGGATT TCTGTGGGGT GCTGCAACTG CATCATATCA GATTGAAGGT 60 GCATGGAACG AAGATGGAAA AGGCGAGTCT ATTTGGGACA GGTTCACACA TCAAAAAGGA 120 AATACACTGT ACGGTCATAA TCGCGATGTT GCCTGTGACC ATTACCACAG GTTCGAAGAA 180 GATGTCTCTC TTATGAAAGA ACTTGGGCTT AAAGCCTACA GGTTTTCTAT TGCATGGGCA 240 AGAATCTTTC CAGATGGTTA TGGTACTTTA AATCAGAAAG GACTTGAGTT TTATGATAAA 300 CTTCTAAACA AGCTTGTTGA AAACGGTATT GAACCGGTTG TCACCATTTA TCACTGGGAC 360 CTTCCACAAA AGCTACAAGA CATTGGCGGT TGGGCAAACA ATGAAATTGT AAACCATTAT 420 TTCAAATATG CAATGCTTCT TATAAACCGC TACAAAGATA AAGTAAAAAA ATGGATAACA 480 TTTAATGAAC CTTATTGTAT TGCTTTTTTA GGCCACTGGT ATGGAATCCA CGCACCAGGA 540 ATAAAAGACT TTAAAGTTGC AATGGATGTT GTGCACAACA TTATGCTTTC TCACTTTAAG 600 GTTGTAAAAG CTGTGAAGGA AAACAATATT GATGTTGAAG TTGGAATTAC ATTGAATTTA 660 ACCCCAGTTT ATCTTCAGAC AGAGAGGCTT GGATATAATG TAAGCGAAAT TGAAAAAGAA 720 ATGGTTTCTT TGAGCAGCCA GCTTGACAAT GAACTTTTCC TTGACCCAGT ACTCAAAGGA 780 AGCTATCCTC AAAAGCTCCT AAATTATCTT GTTCAAAAAG ATTTGTTAGA TACCCAAAAA 840 GCCGAAAAGA TGCTCAAGGA AGTAAAAGAA AATTTCATCT TCCCTGATTT TCTTGGTATC 900 AACTACTACA CACGTGCTGT TAGGCTTTAC GATGAAAATT CCCCCTGGAT ATTCCCAATA 960 AGATGGGAAC ATCCTGCAGG AGAATACACT GAGATGGGCT GGGAAGTGTT CCCGCAAGGA 1020 CTTTTTGACC TTTTGATGTG GATTAAAGAA AATTATCCAC AAATTCCAAT TTATATAACA 1080 GAAAACGGTG CTGCTTATAA CGACATTGTA CCTGAAGATG GAAAAGTGCA CGATAGCAAA 1140 AGCATTGAGT ATTTAAAACA GCGCTTTGAT CAAGCAAGAA AAGCAATTGA AAATGGAGTA 1200 GATTTGCGCG GCTATTTTGT ATGGTCTCTG ATGGACAATC TTGAATGGGC AATGGGTTAT 1260 ACAAAAAGGT TTGGAGTTAT ATATGTGGAC TATGAAACAC AAAAGAGGAT TAAAAAAGAC 1320 AGCTTTTATT TTTATCAGCA GTATATAAAG GAAAACTCGT AA 1362
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素の至適pHを示した図。
【図2】本酵素の安定pH範囲を示した図。
【図3】本酵素の熱安定性を示した図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/24 C12R 1:19) (72)発明者 蛭間 稔 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号1で表されるアミノ酸配列、又は
    該アミノ酸配列のうちの1若しくは複数のアミノ酸が付
    加、欠失若しくは置換されたアミノ酸配列を含み、耐熱
    性β−グルコシダーゼ活性をもたらすポリペプチドをコ
    ードする耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の耐熱性β−グルコシダーゼ
    遺伝子がベクターDNAに組み込まれた組み換え体DN
    A。
  3. 【請求項3】エッシェリシア属に属し、請求項2記載の
    組み換え体DNAを含有する微生物を培地に培養し、得
    られる培養物から耐熱性β−グルコシダーゼを採取する
    ことを特徴とする耐熱性β−グルコシダーゼの製造法。
JP8227333A 1996-08-12 1996-08-12 耐熱性β−グルコシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体DNA及び耐熱性β−グルコシダーゼの製造法 Pending JPH1052274A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6991923B2 (en) 2001-07-16 2006-01-31 Arla Foods Amba Process for manufacturing of tagatose
EP2995687A1 (en) 2014-09-11 2016-03-16 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable beta-glucosidase
EP2995686A1 (en) 2014-09-11 2016-03-16 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable beta-glucosidase
EP3031926A1 (en) 2014-12-12 2016-06-15 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable ss-glucosidase

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US9708594B2 (en) 2014-09-11 2017-07-18 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable β-glucosidase
US9752135B2 (en) 2014-09-11 2017-09-05 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable β-glucosidase
EP3031926A1 (en) 2014-12-12 2016-06-15 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable ss-glucosidase
US9512414B2 (en) 2014-12-12 2016-12-06 Honda Motor Co., Ltd. Thermostable beta-glucosidase

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