JPH1074922A - Soi基板の製造方法 - Google Patents

Soi基板の製造方法

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JPH1074922A
JPH1074922A JP17162097A JP17162097A JPH1074922A JP H1074922 A JPH1074922 A JP H1074922A JP 17162097 A JP17162097 A JP 17162097A JP 17162097 A JP17162097 A JP 17162097A JP H1074922 A JPH1074922 A JP H1074922A
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Toshiaki Tsuchiya
敏章 土屋
Shinji Nakamura
信二 中村
Tetsushi Sakai
徹志 酒井
Takemi Ueki
武美 植木
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門  勇一
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SOI基板の上に形成されるMOSトランジ
スタのソース・ドレーン間の漏れ電流を抑制し、SOI
基板中に発生する積層欠陥を除去する。 【解決手段】 犠牲酸化によって表面単結晶シリコン層
4内に積層欠陥が生じるのを防ぐ。この積層欠陥は、ア
ニール処理によって熱力学的に不安定にして消滅させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所望の厚さの表面
単結晶シリコン層を有するSOI基板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】これまでに半導体集積回路として種々の
構造のものが提案されているが、絶縁層上のシリコン層
に各種デバイスを形成する方が、寄生容量を低減できし
かもデバイス間の分離を完全に行うことができるなど、
単結晶シリコン基板に作り込むよりも、デバイス特性や
デバイス間分離の点で有利であることが知られている。
このような見地から、最近では、単結晶シリコン基板の
代わりにSOI(Silicon On Insulator)基板上に半導
体集積回路を形成する方法が用いられるようになってき
た。
【0003】さて、このようなSOI基板を製造する場
合、 大別してSIMOX(Separation by Implanted O
Xygen)によるものと貼り合わせによるものとがある。
まず、SIMOX基板の製造方法について説明すると、
この方法は、単結晶シリコン基板の所定の深さに酸素イ
オンを打ち込んで酸素の高濃度層を形成する。そして、
1300℃程度の高温で数時間に亘ってアニール処理を
行い、これにより前述した酸素の高濃度層を電気絶縁性
を有した埋込酸化膜に変化させる。引き続き、シリコン
基板表面に形成されたアニール酸化膜を除去することに
より、シリコン基板の厚さ方向の途中に埋込酸化層を形
成し、その上に所定の厚さの単結晶シリコン層を持った
SOI基板を作成する。
【0004】つぎに貼り合わせによるSOI基板の製造
方法について説明する。なお、貼り合わせによるSOI
基板の製造方法には2通りの方法がある。まず、SOI
基板の第1の製造方法について説明する。2枚の単結晶
シリコン基板を用意し、シリコン基板の一方を酸化して
表面に酸化膜を形成する。そして、この酸化膜を挟むよ
うに他方のシリコン基板を重ねて貼り合わせ、基板表面
から順に酸化膜、第1の単結晶シリコン層、酸化膜(埋
込酸化膜)、第2の単結晶シリコン層(基板シリコン)
による構造を作る。その後、酸化膜を研磨除去し、第1
の単結晶シリコン層を研磨して薄層化し、基板表面から
順に表面単結晶シリコン層、埋込酸化膜、基板シリコン
による構造を形成する。
【0005】また、前述した研磨後にAcuThinTh プロセ
ス(1993 IEEE SOI Conference Proc.,1993,pp.66-67を
参照)を追加実施することにより、基板表面から順に表
面単結晶シリコン層、埋込酸化膜、基板シリコン層によ
る構造を形成する方法もある。
【0006】つぎに、貼り合わせによるSOI基板の第
2の製造方法について説明する。この製造方法において
は、前述したような研磨は用いない(特開平5−211
128号公報、M.Bruel,Electronics Lett.,1995,Vol.3
1,pp.1201-1203を参照)。この方法では、まず第1段階
で、酸化した単結晶シリコン基板に水素イオンまたは希
ガスのイオンを打ち込み注入し、この基板中に微小な気
泡を形成する。そして、第2段階では、この基板をもう
一つの単結晶シリコン基板に密着させる。第3段階は、
密着させた基板を熱処理し、気泡部分で2つの基板に分
離し、基板表面から順に表面単結晶シリコン層、埋込酸
化膜、基板シリコンによる構造を形成する。
【0007】以上のようにしてSOI基板が製造される
のであるが、酸化膜上に形成される単結晶シリコン層
は、この部分に形成されるMOSトランジスタを含むL
SIのような半導体デバイスのの特性を左右するもので
あるため、その厚さを正確に定めることが必要である。
【0008】この酸化膜上の形成される単結晶シリコン
層の厚さを正確に定めるために、犠牲酸化法と称される
ものが提案されている。この犠牲酸化法とは、SOI基
板の既知の表面単結晶シリコン層厚とデバイス設計上の
所望の層厚との差分に相当する厚さの表面単結晶シリコ
ン層を、熱酸化によって熱酸化膜に変えてからこの熱酸
化膜のみを除去する方法である。そして、この犠牲酸化
法は、制御性および再現性に優れているため広く一般に
使用されている。
【0009】しかし、この犠牲酸化法を用いると、SO
I基板中に形成されるデバイス、特に、MOSトランジ
スタにおいてソース−ドレイン間の漏れ電流が多くな
り、好ましいものではなかった。
【0010】図7を用いていま少し具体的に説明する。
図7は、SIMOX基板の表面単結晶シリコン層中にn
型のMOSトランジスタを形成した場合の例を示してい
る。これらの図において、基板シリコン1上には埋込酸
化膜2が形成され、さらにその上にはソース領域8とド
レイン領域9とボディ領域10とが形成されているシリ
コン半導体領域が形成されている。この半導体領域は、
シリコン酸化膜のような素子分離領域3によって囲まれ
ており、ソース領域8にはソース電極16が接続され、
ドレイン領域9にはドレイン電極17が接続されてい
る。ボディ領域10上にはゲートシリコン酸化膜5を介
してゲート電極6が形成され、その上にはシリコン酸化
膜7とPSG膜15が形成されている。この例では、ソ
ース電極16は接地されており、ドレイン電極17は正
電源に接続され、ゲート電極6は、正のバイアスが与え
られている。
【0011】このような構成のn型のMOSトランジス
タは以下のようにして製作される。SIMOX基板上の
表面単結晶シリコン層を犠牲酸化法によって表面から1
32nmの深さまで熱酸化膜に変えた後、この熱酸化膜
を除去し、残存した50nmの表面単結晶シリコン層に
n型のMOSトランジスタを含むトランジスタ群を製作
する。なお、この例で作られるMOSトランジスタのゲ
ート長は0.25μmであり、ノーマリーオフ型の電気
特性が得られるように設計されている。
【0012】ところで、犠牲酸化法によって作られたS
OI基板中に製作されたLSIデバイスの漏れ電流は増
大し易いことが知られている。例えば、LSIデバイス
を構成するMOSトランジスタのゲート長を0.5μm
程度以下にすると、ソース−ドレイン間の漏れ電流(以
下、S/D漏れ電流という)は特に増大し易い。その結
果、LSIデバイスのスタンバイ電流も増加する。
【0013】図8は、SIMOX基板の表面単結晶シリ
コン層中に製作された図7に係るn型のMOSトランジ
スタ群(約2万個のMOSトランジスタを並列接続した
デバイス)におけるドレイン電流−ドレイン電圧特性を
示すグラフである。同図において、図8(a)は大きな
S/D漏れ電流が発生した場合のドレイン電流−ドレイ
ン電圧特性を示し、図8(b)は正常な場合のドレイン
電流−ドレイン電圧特性を示している。なお、両図にお
ける犠牲酸化はともに1150℃で実施されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ここで、図8(a),
(b)のゲート電圧VG =0(V)のときの特性を比較
してみると、図8(a)においては図8(b)よりも大
きなドレイン電流が流れていることがわかる。すなわ
ち、図8(a)に係るSIMOX基板は低電力用LSI
に適用することができないことがわかる。それ故、本発
明の主目的は、SOI基板の上に形成されるMOSトラ
ンジスタのソース・ドレーン間の漏れ電流を抑制するこ
とのできるSOI基板の製造方法を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、SOI基板中に発生す
る積層欠陥を除去することのできるSOI基板の製造方
法を提供するにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明者は、SOI基板上にMOSトランジ
スタを形成したときに生じるS/D漏れ電流は、SOI
基板上内の絶縁膜上に単結晶シリコン層を所定の厚さに
形成する際、積層欠陥が発生しており、これが原因であ
ることを突き止めた。
【0016】上述した積層欠陥について、図4を用いて
具体的に説明する。すなわち、図4に示されるMOSト
ランジスタは、SOI基板の絶縁膜、すなわち埋込酸化
膜上の表面単結晶シリコン層を犠牲酸化法によって所定
の厚さに調整し、所定厚さの表面単結晶シリコン層にM
OSトランジスタを形成したものである。
【0017】図4(a)は、ゲート長が0.25μmの
MOSトランジスタの平面構造を示しており、図4
(b)は、図4(a)のA−A線断面のうち、積層欠陥
の生じている箇所(S/D漏れ電流が生じている箇所)
のみを示している。なお、図4(b)は、透過電子顕微
鏡によって得たものであり、積層欠陥を特定するため
に、液晶法(Liquid Crystal Analysis法,”Hiatt,IRP
S,1981,pp130-133”)が用いられた。
【0018】さて、図4(b)から明らかなように、ボ
ディ領域10中には、S/D漏れ電流箇所に相当しかつ
結晶欠陥の一つである積層欠陥18が明瞭に示されてい
る。この積層欠陥18は、図4(a)において、ボディ
領域10中をソース8からドレイン9まで貫通している
(破線で示される)。ゲート長を短くしてソース8−ド
レイン9間の距離を短くすると、積層欠陥18がボディ
領域10を貫通する確率はさらに高くなる。
【0019】また、ソース8−ドレイン9間の距離を短
くすると、ソース8およびドレイン9に存在する高濃度
不純物(n型のMOSトランジスタの場合はリンまたは
ひ素、p型のトランジスタの場合はボロン)が積層欠陥
18を介して相互に拡散し易くなる。すなわち、積層欠
陥18は、ボディ10内にソース8からドレイン9に至
る低抵抗通路を形成し、S/D漏れ電流の原因であると
考えられる。
【0020】以上述べた解析に基づき、本発明は、SO
I基板の表面単結晶シリコン層を所定の厚さに調整する
ために使用される犠牲酸化の工程で生じた積層欠陥が、
表面単結晶シリコン層に形成されるMOSトランジスタ
のS/D漏れ電流の原因であるという事実に基づき、S
/D漏れ電流の発生を防止するものである。
【0021】ここで上述した積層欠陥ができるメカニズ
ムについて検討してみると、積層欠陥は、熱酸化、すな
わち、犠牲酸化を行う過程において熱酸化層が表面単結
晶シリコン層の厚み方向に形成されるようになると、酸
化膜を作るときに余剰なシリコンが発生し、この余剰シ
リコンが単結晶シリコン中の比較的安定な場所に入り込
んで落ち着くことによって生じると考えられる。
【0022】この結晶欠陥の過程を、もう少し掘り下げ
て考えると、積層欠陥が生じるためには、 (A) 単結晶シリコン中またはその表面に微小な発生核が
存在すること。 (B) 単結晶シリコン中に過剰の格子間シリコン原子が存
在し、かつ(A)の微小な発生核に捕獲されるのに十分な
格子間原子が存在すること。 (C) 格子間シリコン原子が、上記発生核に捕獲されるこ
とにより、系が熱化学的に安定になること。 また、積層欠陥が消滅しないためには、 (D) 格子間シリコン原子が、上記発生核または積層欠陥
に捕獲されていることが熱化学的に安定であること。
【0023】以上のことを考慮して、本発明者は、積層
欠陥を生じないような環境を酸化膜上に形成される表面
単結晶シリコン層に作ることにより、この表面単結晶シ
リコン層に形成されるMOSトランジスタのS/D漏れ
電流の発生を抑制する手法を考えた。
【0024】それ故、本発明の一実施態様によれば、第
1の単結晶シリコン層と、この上に配置される絶縁層
と、この上に配置される第2の単結晶シリコン層とを備
えたSOI基板を使用し、前記第2の単結晶シリコン層
の表面を熱酸化した後熱酸化された表面を除去して、前
記第2の単結晶シリコン層を所定の厚さに調整するよう
にした工程を含むSOI基板の製造方法において、所定
の厚さに前記第2の単結晶シリコン層を調整する工程
は、アニール処理によって前述した熱酸化に基づき発生
する積層欠陥を修復する工程を含むようにしたことを特
徴とするSOI基板の製造方法が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】次に図面を使って本発明を詳細に
説明する。図1ないし図3は、本発明に係るSOI基板
を製造する方法の実施の形態をそれぞれ示している。
【0026】まず、図1(a)に示される製造方法につ
いて説明する。図1(a0)において、ベースとなる基
板シリコン1と埋込酸化膜2と表面単結晶シリコン層4
とによって形成されたSOI基板Sを、公知のSIMO
Xまたは貼り合わせの技術を使って形成する。
【0027】図1(a1)において、このSOI基板S
を犠牲酸化する。なお、この犠牲酸化の方法として、公
知の種々の方法がある。この犠牲酸化の方法として、た
とえば、1230℃より低い温度でありかつ乾燥酸素を
主成分に含む雰囲気中で実施するか、または、1300
℃より低い温度でありかつ水蒸気を主成分とする雰囲気
中で実施するか、または、1300℃より低い温度で酸
素と水素とを酸化処理路内で燃焼(以下、水素燃焼酸化
という)させることによって実施する。
【0028】上述した犠牲酸化により、表面単結晶シリ
コン層4の一部は熱酸化されて表面熱酸化膜11が形成
される。この表面酸化膜11の厚さを、残りの表面単結
晶シリコン層4の厚さが所望値になるように調整する。
この調整は、現在の技術ではかなり精度よく行うことが
できるようになっている。なお、この犠牲酸化によって
基板シリコン1の一部も酸化され、表面熱酸化膜12が
形成されるがこの部分は本発明に関係しない部分であ
る。
【0029】図1(a2)において、1230℃以上で
ありかつシリコンの融点未満の温度で不活性ガスを主成
分とする雰囲気中で高温熱処理であるアニール処理を行
う。このアニール処理は本発明によって特徴づけられる
部分である。すなわち、格子間シリコン原子が積層欠陥
または積層欠陥発生核に捕獲されていることが熱化学的
に不安定になるように、前記温度でアニール処理し、こ
れによって、前述した犠牲酸化によって表面単結晶シリ
コン層内に生じた積層欠陥を消滅させる。なお、このア
ニール処理は、1230℃以上であれば工程中に処理温
度を変えてもよい。
【0030】図1(a3)において、表面熱酸化膜1
1,12を除去する。その後、MOSトランジスタある
いはMOSトランジスタを含むLSIデバイスを、この
SOI基板中に製造する。なお、MOSトランジスタあ
るいはLSIデバイスの製造は、例えば文献 (Ohno et
al., IEEE Trans. Electron Devices, 1995, vol.42,p
p1481-1486)で公開された方法を用いる。
【0031】次に、図1(b)に示される製造方法につ
いて説明する。まず図1(b0)において、図1(a
0)の工程と同様に基板シリコン1と埋込酸化膜2と表
面単結晶シリコン層4とによって形成されたSOI基板
Sを、SIMOXまたは貼り合わせによって作成する。
【0032】図1(b1)に示される部分は、本発明に
よって特徴づけられる部分であり、このSOI基板Sを
犠牲酸化する工程である。この犠牲酸化の工程は、犠牲
酸化工程で発生する格子間シリコン原子が積層欠陥発生
核に捕獲されることが、熱化学的に不安定になるような
高温領域、すなわち、1230℃以上でありかつシリコ
ンの融点未満の温度範囲内で乾燥酸素を主成分とする雰
囲気中で実施するか、または、1300℃以上でありか
つシリコンの融点未満の温度範囲内で水蒸気を主成分と
する雰囲気中で実施するか、または、1300℃以上で
ありかつシリコンの融点未満の温度範囲内で水素燃焼酸
化させて実施する。これにより、表面単結晶シリコン層
4の一部を酸化して表面熱酸化膜11を形成する。な
お、この犠牲酸化によって基板シリコン1の一部も酸化
され、表面熱酸化膜12が形成されるがこの部分は本発
明に関係しない部分である。
【0033】また、SOI基板としてSIMOX基板を
使用した場合、この基板の表面にアニール酸化膜が既に
形成されていることがあるが、このアニール酸化膜を除
去せずに図1(b1)の工程を実施してもよい。表面熱
酸化膜11の厚さは残存した表面単結晶シリコン層4の
厚さが所望値になるように調整する。
【0034】図1(b2)において、表面熱酸化膜1
1,12を除去する。その後、MOSトランジスタある
いはLSIデバイスをこの基板中に製造する。MOSト
ランジスタあるいはLSIデバイスの製造は、図1
(a)に示される製造方法の場合と同様に行われる。
【0035】次に、図2(c)に示される製造方法につ
いて説明する。まず、図2(c0)において、図1(a
0)の工程と同様に基板シリコン1と埋込酸化膜2と表
面単結晶シリコン層4とによって形成されたSOI基板
Sを、SIMOXまたは貼り合わせによって作成する。
【0036】図2(c1)は、本発明によって特徴づけ
られる部分であり、SOI基板Sを1000℃以上であ
りかつシリコンの融点未満の温度範囲内で水素を主成分
とする雰囲気中で熱処理であるアニール処理を実施す
る。このアニール処理により、単結晶シリコン中または
その表面に存在する微小な積層欠陥発生核数を減らすも
のである。
【0037】図2(c2)において、このSOI基板の
表面単結晶シリコン層4の犠牲酸化を酸素を主成分に含
む雰囲気中で実施するか、または、水蒸気を主成分とす
る雰囲気中で実施するか、または、水素燃焼酸化によっ
て実施する。これにより、表面単結晶シリコン層4の一
部を酸化し、表面熱酸化膜11を形成する。この酸化膜
厚は残存した表面単結晶シリコン層4の厚さが所望値に
なるように調整する。なお、この犠牲酸化によって基板
シリコン1の一部も酸化され、表面熱酸化膜12が形成
されるがこの部分は本発明に関係しない部分である。
【0038】図2(c3)において、表面熱酸化膜1
1,12を除去する。その後、MOSトランジスタある
いはLSIデバイスをこの基板中に製造する。なお、M
OSトランジスタあるいはLSIデバイスの製造は、図
1(a)に示される製造方法の場合と同様に行われる。
【0039】なお、図2(c2)に示される犠牲酸化の
工程は、1230℃より低い温度でありかつ乾燥酸素を
主成分に含む雰囲気中で実施するか、または、1300
℃より低い温度でありかつ水蒸気を主成分とする雰囲気
中で実施するか、または、1300℃より低い温度で酸
素と水素とを酸化処理路内で水素燃焼酸化させることに
よって実施すると、より効果的である。また、図1
(b)に示される製造方法から明らかなように、図2
(c2)の工程における犠牲酸化を、1230℃以上で
ありかつシリコンの融点未満の温度範囲内で酸素を主成
分とする雰囲気中で実施するか、または、1300℃以
上でありかつシリコンの融点未満の温度範囲内で水蒸気
を主成分とする雰囲気中で実施するか、または、130
0℃以上でありシリコンの融点未満の温度範囲内で水素
燃焼酸化を実施してもよい。
【0040】次に、図2(d)に示される製造方法につ
いて説明する。図2(d0)において、図1(a0)の
工程と同様に基板シリコン1と埋込酸化膜2と表面単結
晶シリコン層4とによって形成されたSOI基板Sを、
SIMOXまたは貼り合わせによって作成する。
【0041】図2(d1)および(d2)は本発明によ
って特徴づけられる部分であり、まず図2(d1)にお
いて、このSOI基板Sに第1の犠牲酸化を実施する。
第1の犠牲酸化は1230℃以上でありかつシリコンの
融点未満の温度範囲内で酸素を主成分とする雰囲気中で
実施するか、または、1300℃以上でありかつシリコ
ンの融点未満の温度範囲内で水蒸気を主成分とする雰囲
気中で実施するか、または、1300℃以上でありかつ
シリコンの融点未満の温度範囲内で水素燃焼酸化を実施
し、表面単結晶シリコン層4の一部を酸化し、表面熱酸
化膜11を形成する。この第1の犠牲酸化は、犠牲酸化
工程で発生する格子間シリコン原子が積層欠陥発生核に
捕獲されることが、熱化学的に不安定になるような高温
領域で行われる。なお、この犠牲酸化によって基板シリ
コン1の一部も酸化され、表面熱酸化膜12が形成され
るがこの部分は本発明に関係しない部分である。
【0042】なお、前記第1の犠牲酸化は、1230℃
未満でかつ酸素を主成分とする雰囲気中で実施するか、
または、1300℃未満でありかつ水蒸気を主成分とす
る雰囲気中で実施するか、または、1300℃未満で水
素燃焼酸化を実施し、引き続き1230℃以上でありか
つシリコンの融点未満の温度範囲内で不活性ガスを主成
分とする雰囲気中で高温熱処理するアニール処理を行っ
てもよい。このアニール処理は、1230℃以上であれ
ば工程中に処理温度を変えてもよい。このアニール処理
は、格子間シリコン原子が積層欠陥または積層欠陥発生
核に捕獲されていることが、熱化学的に不安定になるよ
うな高温とし、この温度でアニール処理することで、前
述した犠牲酸化によって表面単結晶シリコン層内に生じ
た積層欠陥を消滅させることを目的としている。
【0043】図2(d2)において、表面単結晶シリコ
ン層4の第2の犠牲酸化を1230℃より低い温度であ
りかつ酸素を主成分とする雰囲気中で実施するか、また
は、1300℃より低い温度で水蒸気を主成分とする雰
囲気中で実施するか、または、1300℃より低い温度
で水素燃焼酸化を実施する。その結果、第2の犠牲酸化
の速度は第1の犠牲酸化の速度よりも遅くなるため、第
2の犠牲酸化時に単位時間当たりに表面単結晶シリコン
層4中に放出される格子間シリコン原子の個数は減少
し、積層欠陥の発生が抑制される。
【0044】このように、第2の犠牲酸化によって第1
の犠牲酸化に引き続き表面単結晶シリコン層4の一部を
酸化し、表面熱酸化膜11の厚さを厚くすることができ
る。なお、この表面酸化膜厚の合計は残存した表面単結
晶シリコン層4の厚さが所望値になるように調整する。
【0045】図2(d3)において、表面熱酸化膜1
1,12を除去する。その後、トランジスタあるいはL
SIデバイスをSOI基板中に製造する。トランジスタ
あるいはLSIデバイスの製造は、製造方法(a)と同
様に行われる。なお、図1(b)の製造方法から明らか
なように、第2の犠牲酸化を、1230℃以上でありか
つシリコンの融点未満の温度範囲内で酸素を主成分とす
る雰囲気中で実施するか、または、1300℃以上であ
りかつシリコンの融点未満の温度範囲内で水蒸気を主成
分とする雰囲気中で実施するか、または、1300℃以
上でありシリコンの融点未満の温度範囲内で水素燃焼酸
化を実施してもよい。
【0046】次に、図3(e)に示される製造方法につ
いて説明する。図3(e0)において、図1(a0)の
工程と同様に基板シリコン1と埋込酸化膜2と表面単結
晶シリコン層4とによって形成されたSOI基板Sを、
SIMOXまたは貼り合わせによって作成する。
【0047】図3(e1)において、このSOI基板上
に化学的気相成長法によりシリコン酸化膜を堆積させ、
シリコン酸化膜13を形成する。
【0048】図3(e2)において、表面単結晶シリコ
ン層4の犠牲酸化を、1230℃より低い温度であり酸
素を主成分とする雰囲気中で実施するか、または、13
00℃より低い温度であり水蒸気を主成分とする雰囲気
中で実施するか、または、1300℃より低い温度で水
素燃焼酸化を実施する。その結果、この犠牲酸化時に単
位時間当たりに表面単結晶シリコン層4中に放出される
格子間シリコン原子の個数は抑制することができ、積層
欠陥の発生を防止することができる。なお、この犠牲酸
化によって基板シリコン1の一部も酸化され、表面熱酸
化膜12が形成されるがこの部分は本発明に関係しない
部分である。
【0049】これにより、表面単結晶シリコン層4の一
部を酸化し、SOI基板表面のシリコン酸化膜13を厚
くし、残存した表面単結晶シリコン層4の厚さが所望値
になるようにし、シリコン酸化膜14を形成する。
【0050】図3(e3)において、表面熱酸化膜12
およびシリコン酸化膜14を除去する。その後、MOS
トランジスタあるいはLSIデバイスをSOI基板中に
製造する。MOSトランジスタあるいはLSIデバイス
の製造は、製造方法(図1(a))と同様に行われる。
【0051】なお、図1(b)の製造方法から明らかな
ように、犠牲酸化を、1230℃以上でありかつシリコ
ンの融点未満の温度範囲内で酸素を主成分とする雰囲気
中で実施するか、または、1300℃以上でありかつシ
リコンの融点未満の温度範囲内で水蒸気を主成分とする
雰囲気中で実施するか、または、1300℃以上であり
シリコンの融点未満の温度範囲内で水素燃焼酸化を実施
してもよい。
【0052】
【実施例】以上述べた図1(a),(b)、図2
(c),(d)、図3(e)に示される製造方法を用い
た実験結果について説明する。
【0053】[図1(a)に示される製造方法を適用し
た実験例] (1)SOI基板の製造工程:直径150mmのSIM
OX基板を用いた。単結晶シリコン基板に加速エネルギ
ーを180keV、注入量を4×1017cm-2として酸
素イオンを注入し、その後1350℃で約4時間、アル
ゴンに約0.5%の酸素を添加した雰囲気中でのアニー
ル処理等を実施して埋込酸化膜2を形成した。さらにそ
の後、基板表面に形成されたアニール酸化膜等を除去
し、基板表面から順に表面単結晶シリコン層4、埋込酸
化膜2、基板シリコン1の構造を実現した。
【0054】(2)犠牲酸化の工程:縦型電気炉を用
い、750℃で酸化炉内に装填した。その後、SOI基
板を含む炉内温度を1150℃まで昇温し、その後、1
00%酸素雰囲気中で基板を酸化した。なお、装填なら
びに昇温は10%酸素を含む窒素雰囲気で実施した。酸
化後、炉内を100%窒素雰囲気として、750℃まで
降温し、その後この基板を炉内から取り出した。この場
合の表面熱酸化膜11,12の膜厚は237nmで、残
存する表面単結晶シリコン層4の膜厚は、62nmであ
った。
【0055】(3)高温アニールの工程:炭化珪素製基
板支持台および炉体を有する縦型電気炉を用い、基板を
1350℃で約4時間に亘って、約0.5%酸素を含む
アルゴン雰囲気中でアニール処理した。基板の装填およ
び取り出し温度は850℃とした。
【0056】(4)酸化膜除去の工程:フッ化アンモニ
ウムとフッ酸との混合液またはフッ酸の希釈液を用い
て、表面熱酸化膜11,12を除去した。上記のように
熱処理を施したSOI基板中に形成したMOSトランジ
スタ群(約2万個のMOSトランジスタを並列接続した
デバイス)の電気特性は以下の通りであった。
【0057】(5)S/D漏れ電流:図6(a)は本発
明に係る正常なドレイン電流−ドレイン電圧特性を有し
たMOSトランジスタ群の様子をSOI基板内における
面内分布の一例で示している。同図の「○」は正常なド
レイン電流−ドレイン電圧特性を示したMOSトランジ
スタ群を示す。「×」は異常に大きなS/D漏れ電流が
発生したMOSトランジスタ群である。
【0058】図6(b)は工程(3)において高温アニ
ール工程のみ実施しなかった場合の正常なドレイン電流
−ドレイン電圧特性を有したMOSトランジスタ群の様
子をSOI基板内での面内分布の一例で示している。な
お、同図中の記号の意味は図6(a)の場合と同様であ
る。
【0059】図6(a)と図6(b)とを比較すると、
図6(a)の方が圧倒的に正常なMOSトランジスタ群
の個数が多いことわかる。すなわち、表面単結晶シリコ
ン層4の膜厚調整用熱処理方法として本発明を適用すれ
ば、S/D漏れ電流を大幅に低減でき、デバイスの歩留
まりを向上させることができることがわかる。
【0060】図5は、ドレイン電圧VD =2V、ゲート
電圧VG =−0.5Vでの本実施例で製造した前記デバ
イスのS/D漏れ電流値を横軸に、そのS/D漏れ電流
値より小さい電流値を示したデバイスの割合を縦軸にし
て表したものである。同図から明らかなように、本実施
例(a)(破線のグラフ)は、従来の熱処理方法で製造
したデバイスの場合(実線のグラフ)に比べて、異常に
大きなS/D漏れ電流値を示したデバイスの割合が大幅
に低減していることがわかる。
【0061】(6)積層欠陥:図1(a)に示される製
造工程で製造したSOI基板の表面単結晶シリコン層4
中の積層欠陥の有無を下記の手順で評価し、表面単結晶
シリコン層4中では積層欠陥が完全に除去されているこ
とを確認した。すなわち、前記工程(4)の酸化膜除去
後に、常圧気相成長炉を用いて表面単結晶シリコン層上
にエピタキシャルシリコン層を1050℃で約1μm成
長させた。その後、フッ酸:硝酸:酢酸:純水の容積比
2:15:2:4の化学エッチング液で表面単結晶シリ
コン層の一部をエッチング(エッチング膜厚は約0.5
μm)して積層欠陥密度を測定した。なお、この測定に
は光学顕微鏡を用いた。
【0062】その結果、積層欠陥に起因したエッチピッ
ト(積層欠陥が存在している場合には、その領域にエッ
チピットが発生する)は観察されず、前述したように、
表面単結晶シリコン層4中には積層欠陥が完全に消滅し
ていることを確認した。なお、前記工程(3)の高温ア
ニール工程に限って実施せず、それを除いた製造工程を
同一として製造したSOI基板についても、同様に積層
欠陥密度を評価したところ、600個〜1000個/c
2 で高密度に存在していた。
【0063】[図1(b)に示される製造方法を適用し
た実験例] (1)SOI基板の製造工程:図1(a)に示される製
造方法の製造工程を適用した実験例と同様に製造したS
IMOX基板を用いた。
【0064】(2)犠牲酸化の工程:炭化珪素製基板支
持台および炉体を有する縦型電気炉を用い、850℃で
酸化炉内に装填した。引き続き、SOI基板を含む炉内
温度を1350℃まで昇温し、その後、酸素約70%、
アルゴン約30%の雰囲気中で、引き続き100%酸素
雰囲気中で合計約6時間に亘ってこの基板を酸化した。
この酸化後、炉内温度を850℃まで降温し、その後こ
の基板を炉内から取り出した。この場合の表面熱酸化膜
11,12の膜厚は640nmで、残存する表面単結晶
シリコン層4の膜厚は、62nmであった。
【0065】(3)酸化膜除去の工程:フッ化アンモニ
ウムとフッ酸との混合液またはフッ酸の希釈液を用い
て、表面熱酸化膜11,12を除去した。上記のように
熱処理を施したSOI基板中に形成したMOSトランジ
スタ群(約2万個のMOSトランジスタを並列接続した
デバイス)の電気特性は下記の通りであった。
【0066】(4)S/D漏れ電流:図6(c)は正常
なドレイン電流−ドレイン電圧特性を有したMOSトラ
ンジスタ群の様子をSOI基板内での面内分布の一例で
示している。なお、同図中の記号の意味は図6(a)の
場合と同様である。図6(c)と図6(b)との比較で
明らかなように、図6(c)の方が圧倒的に正常なMO
Sトランジスタ群の個数が多いことわかる。すなわち、
表面単結晶シリコン層4の膜厚調整用熱処理方法として
本発明を適用すれば、S/D漏れ電流を大幅に低減で
き、デバイスの歩留まりを向上させることができる。ま
た、図5からも明らかなように、同図中の本実施例
(b)(一点鎖線のグラフ)の場合には、従来の熱処理
方法で製作したデバイスの場合(実線のグラフ)に比べ
て、異常に大きなS/D漏れ電流値を示したデバイスの
割合が大幅に低減した。
【0067】(5)積層欠陥:製造方法(図2(b))
で製造したSOI基板の表面単結晶シリコン層中4の積
層欠陥の有無を製造方法(図1(a))を適用した実験
例で述べたと同様な手順で評価し、該表面単結晶シリコ
ン層中には積層欠陥は発生していないことを確認した。
【0068】[図2(c)に示される製造方法を適用し
た実験例] (1)SOI基板の製造工程:製造方法(図1(a))
を適用した実験例と同様に製造したSIMOX基板を用
いた。 (2)水素アニールの工程:常圧水素処理炉内の炭化珪
素製サセプター上にSIMOX基板を室温で装填した。
その後、1100℃まで昇温し、水素雰囲気中で30分
保持することで、この基板にアニール処理を施した。
【0069】(3)犠牲酸化の工程:製造方法(図1
(a))の犠牲酸化で使用した炉と同一縦型電気炉を用
い、同一条件の犠牲酸化を実施した。この場合の表面熱
酸化膜11,12の膜厚は237nmで、残存する表面
単結晶シリコン層4の膜厚は、60nmであった。 (4)酸化膜除去の工程:フッ化アンモニウムとフッ酸
との混合液またはフッ酸の希釈液を用いて、表面熱酸化
膜11,12を除去した。
【0070】(5)積層欠陥:製造方法(図2(c))
で製造したSOI基板の表面単結晶シリコン層中の積層
欠陥の有無を製造方法(図1(a))を適用した実験例
で述べたのと同様な手順で評価した。その結果を表1に
示す。比較のため、水素アニールに限って実施せず、そ
れを除いた製造工程を同一とした場合の表面単結晶シリ
コン層4中の積層欠陥密度についても同表中に示す。
【0071】同表から明らかなように、本発明を適用す
れば、表面単結晶シリコン層4中の積層欠陥は1000
℃で30分の水素アニールで、従来の約1/10に、1
100℃で30分の水素アニールで約1/30にそれぞ
れ低減できた。さらに、1100℃で水素アニール時間
を120分とすると、積層欠陥の発生をほぼ完全に防止
できた。なお、原子間力顕微鏡の解析から、表面単結晶
シリコン層4の凹凸度は水素アニールで約20%向上し
たのを確認した。一方、900℃で30分の水素アニー
ルでは、積層欠陥密度は、500〜800個/cm2
あり、900℃以下では、水素アニールの積層欠陥密度
低減効果は、ほとんど見られなかった。
【0072】
【表1】
【0073】[図2(d)に示される製造方法を適用し
た実験例] (1)SOI基板の製造工程:製造方法(図1(a))
を適用した実験例と同様に製造したSIMOX基板を用
いた。 (2)第1の犠牲酸化の工程:炭化珪素製基板支持台お
よび炉体を有する縦型電気炉を用い、850℃で酸化炉
内に装填した。その後、SOI基板を含む炉内温度を1
350℃まで昇温し、その後、酸素約70%、アルゴン
約30%の雰囲気中で約3時間に亘って基板を酸化し
た。この酸化後、炉内温度を850℃まで降温し、その
後この基板を炉内から取り出した。この場合の表面熱酸
化膜11,12の膜厚は430nmであった。
【0074】(3)第2の犠牲酸化の工程:製造方法
(図1(a))の犠牲酸化で使用した炉と同一の縦型電
気炉を用い、1100℃で約12時間の犠牲酸化を実施
した。この結果、表面熱酸化膜11,12の膜厚は64
0nmで、残存する表面単結晶シリコン層4の膜厚は、
62nmであった。なお、この場合の表面単結晶シリコ
ン層4の酸化速度の最大値は、第1の犠牲酸化を実施し
ない場合に比べて、1桁以上小さくできた。
【0075】(4)酸化膜除去の工程:フッ化アンモニ
ウムとフッ酸との混合液またはフッ酸の希釈液を用い
て、表面熱酸化膜11,12を除去した。 (5)積層欠陥:製造方法(図2(d))で製造したS
OI基板の表面単結晶シリコン層4中の積層欠陥の有無
を製造方法(図1(a))を適用した実験例で述べたと
同様な手順で評価した。その結果、積層欠陥密度は20
個/cm2 未満で、積層欠陥の発生をほぼ完全に防止で
きた。
【0076】[図3(e)に示される製造方法を適用し
た実験例] (1)SOI基板の製造工程:製造方法(図1(a))
を適用した実験例と同様に製造したSIMOX基板を用
いた。 (2)酸化膜堆積:減圧化学気相成長炉を用いて、SI
MOX基板上にシリコン酸化膜13を730℃で約40
0nm堆積した。 (3)犠牲酸化の工程:製造方法(図1(a))の犠牲
酸化で使用した炉と同一の縦型電気炉を用い、1100
℃で約12時間の犠牲酸化を実施した。
【0077】(4)酸化膜除去の工程:フッ化アンモニ
ウムとフッ酸との混合液またはフッ酸の希釈液を用い
て、表面熱酸化膜12およびシリコン酸化膜14を除去
した。 (5)積層欠陥:製造方法(図3(e))で製造したS
OI基板の表面単結晶シリコン層4中の積層欠陥の有無
を製造方法(図1(a))を適用した実験例で述べたの
と同様の手順で評価した。その結果、積層欠陥密度は2
0個/cm2 未満で、積層欠陥の発生をほぼ完全に防止
できた。なお、本発明の場合には、犠牲酸化工程におい
て特別な高温アニール処理炉を必要としない利点があ
る。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるSO
I基板の製造方法を用いれば、犠牲酸化の際に発生する
積層欠陥を修復し、これにより、酸化膜上の単結晶シリ
コン層に形成されるMOSトランジスタのソース・ドレ
ーン間漏れ電流を大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一つの実施の形態による加工工程を
示すSOI基板の部分断面図である。
【図2】 本発明の他の実施の形態による加工工程を示
すSOI基板の部分断面図である。
【図3】 本発明の他の実施の形態による加工工程を示
すSOI基板の部分断面図である。
【図4】 (a)はゲート長が0.25μmであるMO
Sトランジスタの平面構造を示す説明図であり、(b)
は図4(a)のA−A線における積層欠陥の生じた箇所
の部分断面図である。
【図5】 ドレイン電流VD =2(V),ゲート電圧V
G =−0.5(V)におけるデバイスのS/D漏れ電流
値を横軸、このS/D漏れ電流値よりも小さな電流値を
示したデバイスの割合を縦軸に示したグラフである。
【図6】 MOSトランジスタ群の様子をSOI基板内
における面内分布の一例として示す説明図である。
【図7】 SIMOX基板の表面単結晶シリコン層中に
製作されたn型のMOSトランジスタの構造を示す断面
図である。
【図8】は、SIMOX基板の表面単結晶シリコン基板
中に製作されたn型のMOSトランジスタ群のドレイン
電流−ドレイン電圧特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基板シリコン、2…埋め込み酸化膜、4…表面単結
晶シリコン層、11,12…表面熱酸化膜、13,14
…シリコン酸化膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 信二 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 酒井 徹志 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 植木 武美 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 門 勇一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 竹田 忠雄 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の単結晶シリコン層と、この上に配
    置される絶縁層と、この上に配置される第2の単結晶シ
    リコン層とを備えたSOI基板を使用し、前記第2の単
    結晶シリコン層の表面を熱酸化した後熱酸化された表面
    を除去して、前記第2の単結晶シリコン層を所定の厚さ
    に調整するようにした工程を含むSOI基板の製造方法
    において、所定の厚さに前記第2の単結晶シリコン層を
    調整する工程は、アニール処理によって前述した熱酸化
    に基づき発生する積層欠陥を修復する工程を含むように
    したことを特徴とするSOI基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記修復工程は、熱酸化する工程の後に
    実行されることを特徴とする請求項1記載のSOI基板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記修復工程は、1230℃以上であり
    シリコンの融点未満の温度範囲において、不活性ガスを
    主成分とする雰囲気中で行われることを特徴とする請求
    項2記載のSOI基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記修復工程は、前述した熱酸化する工
    程に含まれており、1230℃以上でありシリコンの融
    点未満の温度範囲において、乾燥酸素を主成分とする雰
    囲気中で行われることを特徴とする請求項1記載のSO
    I基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記修復工程は、熱酸化する工程に含ま
    れており、1300℃以上でありシリコンの融点未満の
    温度範囲において、水蒸気を主成分とする雰囲気中で行
    われることを特徴とする請求項1記載のSOI基板の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記修復工程は、1300℃以上であり
    シリコンの融点未満の温度範囲において、酸素と水素と
    を燃焼させる雰囲気中で行われることを特徴とする請求
    項1記載のSOI基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記修復工程は、熱酸化する工程の前に
    実行され、1000℃以上でありシリコンの融点未満の
    温度範囲において、水素を主成分とする雰囲気中で行わ
    れることを特徴とする請求項1記載のSOI基板の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記修復工程は、前述した熱酸化工程の
    後に追加の熱酸化工程を含むことを特徴とする請求項1
    記載のSOI基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記追加の熱酸化工程は、1230℃よ
    り低い温度で、乾燥酸素を主成分とする雰囲気中で行わ
    れることを特徴とする請求項8記載のSOI基板の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記追加の熱酸化工程は、1300℃
    より低い温度で、水蒸気を主成分とする雰囲気中で行わ
    れることを特徴とする請求項8記載のSOI基板の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記追加の熱酸化工程は、1300℃
    より低い温度で、酸素と水素とを燃焼させる雰囲気中で
    行われることを特徴とする請求項8記載のSOI基板の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記修復工程は、前述した熱酸化する
    工程の前に実行され、シリコン酸化膜を堆積する工程で
    あることを特徴とする請求項1記載のSOI基板の製造
    方法。
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