JPH1069311A - 工具点列発生方法 - Google Patents

工具点列発生方法

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JPH1069311A
JPH1069311A JP9132413A JP13241397A JPH1069311A JP H1069311 A JPH1069311 A JP H1069311A JP 9132413 A JP9132413 A JP 9132413A JP 13241397 A JP13241397 A JP 13241397A JP H1069311 A JPH1069311 A JP H1069311A
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晴久 日笠山
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充 窪田
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    • G05B19/02Programme-control systems electric
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Abstract

(57)【要約】 【課題】工具を目標経路に沿って移動させるためにその
工具が通過すべき点列を発生させる方法において、加工
の高速化に適した点列を発生させる。 【解決手段】点列の発生に先立ち、その点列の間隔L
を、目標経路の曲率半径に基づき、かつ、加工機を制御
する制御装置における工具経路の曲率半径Rと点列間隔
Lと工具の移動速度Vとの間の予め定められた関係に従
い、その制御装置により決定される工具の移動速度Vが
可及的に大きくなるように算出し、その点列間隔Lに基
づいて点列を発生させ、その点列を制御装置に供給す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具を目標の経路
に沿って移動させるためにその工具が通過すべき点列を
発生させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ワークをNC(Numerical Control )加
工する際には一般に、例えば図23に示すように、設計
工程としてのCAD(Computer Aided Design )工程
と、製造工程のうちのデータ作成工程としてのCAM
(Computer Aided Manufacturing)工程と、製造工程の
うちの加工工程としてのNC加工工程とがそれらの順に
実行される。CAD工程においては、作業者からの指令
等に基づき、ワークの目標加工形状がサーフェスモデ
ル,ソリッドモデル等で記述され、ワーク形状データが
作成される。CAM工程においては、入力されたワーク
形状データに基づき、NC加工の際に工具の基準点(例
えば、工具中心)を通過させるべき複数の工具通過点C
L(Cutter Location )が計算される。ここに、「工具
通過点CL」は、連続的な工具経路CP(Cutter Pass
)上において離散的に位置する点であり、「工具経路
CP」は、ワークの目標加工表面から工具のアプローチ
側(目標加工面の法線方向)に工具形状寸法(例えば、
工具半径)に基づく量だけオフセットした工具の目標経
路である。また、CAM工程においては、計算された複
数の工具通過点CLに基づき、それら工具通過点CLに
よって構成される点列を規定する点列データ(CLデー
タ)が作成される。さらに、CAM工程においては、後
続するNC加工工程への入力に備え、作成された点列デ
ータをNC加工工程での処理に適した形式に変換するポ
スト処理が行われ、その変換されたデータがNCデータ
とされる。NCデータは一般に、点列を規定する点列デ
ータと、その点列において互いに隣接した2つの工具通
過点間の隙間を直線で補間するのか円弧で補間するのか
を規定する補間条件規定データとを含むように構成され
る。
【0003】NC加工工程においては、入力されたNC
データに基づき、加工機により工具を移動させるために
加工機に周期的に供給することが必要な工具移動指令
(例えば、パルス信号)が作成される。このNC加工工
程においては、加工機が制御装置としてのDNC10お
よびCNC12により制御され、その制御装置は、NC
データにより規定される工具点列から推定される近似的
な工具経路の曲率半径とその工具点列の間隔とに基づ
き、かつ、工具経路の曲率半径と工具点列の間隔と工具
の移動速度との間の予め定められた変数間関係に従って
工具の移動速度を決定し、その速度で工具が移動させら
れるように工具移動指令を作成し、その工具移動指令を
加工機に供給する。この制御装置は、基本的には、工具
の移動速度を作業者からの移動速度指令値に基づいて決
定する。しかし、工具は移動中、各工具通過点CLにお
いて屈曲しなければならず、その屈曲の大きさによって
はワークの加工誤差を抑えるために工具をその屈曲点を
通過する際に加減速させなければならない。この加減速
を適正に行えば加工の移動速度または加工速度の高速化
と高精度化とを図ることができる。したがって、制御装
置は工具について各種の速度制御を行う。速度制御には
例えば、ブロック間速度差制御と遠心加速度制御とがあ
る。ブロック間速度差制御は、加工機に一工具移動指令
と次の工具移動指令とが順に供給されるのに応じて開始
される一工具移動ブロックと次の工具移動ブロックとの
間で工具の各移動速度成分(工具の各制御軸毎の速度成
分)が連続性を有し、工具の各移動速度成分差が過大と
ならないように工具の合成移動速度を決定し、必要に応
じて工具を自動的に減速させる制御である。一方、遠心
加速度制御は、近似的な工具経路の曲率半径が小さい場
合にも、工具の遠心加速度が過大とならないように工具
の移動速度を決定し、必要に応じて工具を自動的に減速
させる制御である。したがって、ワークの加工形状断
面,工具経路および工具点列がそれぞれ図24に示すよ
うに決定される場合には、NC加工中、工具が自動的に
加減速され、移動速度が同図に示すように変化すること
になる。そして、NC加工工程においては、そのように
して決定された移動速度を反映した工具移動指令が加工
機に供給され、その加工機により工具が移動させられ、
これにより、ワークが目標の形状に加工される。
【0004】以上の説明から明らかなように、ワークの
目標加工形状を出発点とし、最終的に工具移動指令を作
成するまでの一連の工程には普通、ワーク加工の際に工
具を通過させるべき点列を発生させる点列発生工程が存
在するのであり、上記の例では、CAM工程におけるC
L計算が該当する。そして、CAM工程は従来、例えば
図25に示すように、連続的な目標経路CPを離散的な
点列で近似させる際の形状誤差、すなわち、点列を直線
で結んだ折れ線の目標経路CPからの形状誤差が設定ト
レランスを超えないように目標経路CP上に点列を発生
させるものとされていた。最終製品の形状精度が確保さ
れるとともに目標経路CPを規定するNCデータの量が
減少するように、連続的な目標経路CPが離散的な点列
で近似されるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】したがって、この従来の点列化によれば、最
終製品の形状精度を確保しつつNCデータの量を減少さ
せたいという加工ニーズには応えることができる。しか
し、加工の移動速度または加工速度の高速化という加工
ニーズには十分に応えることができない。以下、具体的
に説明する。
【0006】工具を目標経路からの形状誤差が実質的に
0である理想経路に沿って移動させることができれば、
例えば図26に示すように、ワークの加工形状上、工具
の加減速を回避し得ない部分でのみ工具が加減速させら
れるだけで、それ以外の部分で余分に加減速させられる
ことはない。しかし、目標経路を点列で近似させる以
上、現実には、工具をそのような理想経路に沿って移動
させることはできず、折れ線である近似経路に沿って移
動させられることになり、そのため、前記制御装置の各
種速度制御により、同図に示すように、工具が余分に加
減速させられることになる。加工の移動速度または加工
速度の高速化を図るにはその余分な加減速を減らすこと
が有効である。しかし、点列化が最終製品の形状誤差が
設定トレランスを超えないという要件のみを満たすよう
に行われるのでは、余分な加減速を効果的に減らすこと
ができない。例えば同図に示すように、最終製品の形状
誤差が設定トレランスを超えないという要件しか満たさ
ない点列では、作業者が工具の移動速度指令値を増加さ
せても、図27に示すように、工具が余分に加減速させ
られる頻度や程度が増加してしまい、工具の移動速度ま
たは加工速度の高速化を効果的に図ることができないの
である。
【0007】一方、本発明者らは、工具の移動速度また
は加工速度の高速化を図るためには、点列化工程におい
て、工具の移動速度に関連する加工機の加工能力特性を
考慮することが大切であるという事実に気が付いた。
【0008】本発明は、以上の事情を背景としてなされ
たものであり、その課題は、加工機の加工能力特性を考
慮することにより、加工の移動速度または加工速度の高
速化という加工ニーズに対応し得る点列を発生可能とす
ることにある。
【0009】この課題は下記態様の工具点列発生方法に
よって解決される。なお、以下の説明において、本発明
の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形
式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用す
ることの可能性を明示するためである。
【0010】(1) 工具を目標の経路に沿って移動させる
ためにその工具が通過すべき点列を発生させる工具点列
発生方法であって、前記点列の発生に先立ってその点列
の間隔を、前記目標経路の曲率半径に基づき、かつ、前
記工具の経路の曲率半径と点列の間隔と工具の移動速度
との間の予め定められた変数間関係に従い、工具の移動
速度が可及的に大きくなるように算出する点列間隔算出
工程と、算出された点列間隔で前記点列を発生させる点
列発生工程とを含むことを特徴とする工具点列発生方法
(請求項1)。加工機の加工能力特性は例えば、工具の
経路の曲率半径と、点列の間隔と、工具の移動速度とを
それぞれ変数として表され、一方、加工機においては普
通、工具の移動速度に関連していくつかの条件が設定さ
れる。したがって、加工機においては、それら変数間に
一定の関係が設定されることになる。これに対して、こ
の(1) 項に記載の方法においては、その変数間関係が考
慮されて工具の移動速度が可及的に大きくなるように点
列間隔が算出される。したがって、この方法によれば、
結果的に、加工機の加工能力特性が考慮されて工具の移
動速度が可及的に大きくなるように点列間隔が算出され
ることとなり、よって、点列に基づくワークの加工工程
において加工の移動速度または加工速度の高速化を容易
に図り得るという効果が得られる。なお、前述の、近似
誤差を考慮した従来の点列発生方法には、ソフトウェア
設計上の理由等から、設定トレランスより小さい近似誤
差を有して点列が発生させられてしまう傾向があり、よ
って、設定トレランスとの関係において必要以上に多数
の工具通過点が発生させられてしまうことがあった。こ
れに対して、この(1) 項に記載の工具点列発生方法によ
れば、工具経路上で点列間隔が管理されつつ工具通過点
が発生させられるため、必要以上に多数の工具通過点が
発生させられてしまう傾向を容易に低減し得る。この方
法において「点列間隔」は、普通、実際の工具経路とし
ての折れ線における各直線部の長さとして定義される
が、例えば、曲線である本来の工具経路における各曲線
部の長さとして定義することもできる。また、この方法
において「工具の移動速度が可及的に大きくなる」なる
用語は、変数間関係において曲率半径が特定された場合
の点列間隔と工具の移動速度との関係(例えば、図11
に示すグラフで表される関係)において、「工具の移動
速度が最大となることを意味する場合のみならず、その
最大値に十分に近い値(例えば、その最大値の80%以
上の値)となることを意味する場合もある。 (2) 前記点列間隔算出工程が、前記点列間隔を、前記目
標経路の曲率半径に基づき、かつ、前記変数間関係に従
って暫定的に決定し、その暫定的な点列間隔が唯一値で
ある場合には、その値を最終的な点列間隔に決定する一
方、幅を有する場合には、その幅内において予め定めら
れた条件を満たす値を最終的な点列間隔に決定する工程
を含む(1) 項に記載の工具点列発生方法。この方法にお
いて、暫定的な点列間隔が唯一値である場合の一例は、
図14に示す場合であり、また、幅を有する場合の一例
は、図11に示す場合である。また、この方法において
「その幅内において予め定められた条件を満たす値」は
例えば、その幅内における最大値としたり、最小値とし
たり、中間値とすることができる。 (3) 前記経路が、前記工具を移動させる際にその工具の
基準点であってその工具のワークに対する加工点とは異
なるものが描く軌跡を表すものであり、前記点列間隔算
出工程が、前記工具を前記目標経路に沿って移動させる
ことによって前記ワークを加工すべき目標加工面の形状
と、工具の基準点と加工点とを通過する一基準線がその
工具を移動させる際に拘束される工具移動拘束面の形状
と、工具の基準点と加工点との距離を規定する工具形状
寸法とのうちの少なくとも目標加工面の形状に基づき、
前記目標経路の曲率半径を算出する曲率半径算出工程を
含む(1) または(2) 項に記載の工具点列発生方法。この
方法において「工具」の一例は、エンドミルであり、こ
のエンドミルにおいては、「工具の基準点」の一例は、
エンドミルの工具中心であり、「工具の基準点と加工点
との距離を規定する工具形状寸法」の一例は、エンドミ
ルの工具半径である。 (4) 前記曲率半径算出工程が、(a) 前記目標加工面の形
状と工具移動拘束面の形状と工具形状寸法とに基づいて
前記目標経路を算出する工程と、(b) 算出された目標経
路の形状に基づいて直接にその目標経路の前記曲率半径
を算出する工程とを含む(3) 項に記載の工具点列発生方
法。 (5) 前記曲率半径算出工程が、前記目標加工面の形状と
工具移動拘束面の形状とに基づき、それら目標加工面と
工具移動拘束面との交線の、その交線上の任意の点にお
ける曲率半径を前記目標経路の曲率半径として算出可能
な工程を含む(3) 項に記載の工具点列発生方法。この方
法においては、目標加工面と工具移動拘束面との交線
の、その交線上の任意の点における曲率半径が目標経路
の曲率半径に近似するとの仮定の下に、目標経路の使用
なしで目標経路の曲率半径が近似的に算出される。 (6) 前記曲率半径算出工程が、(a) 前記目標加工面の形
状と工具形状寸法の形状とに基づき、目標加工面を前記
工具のアプローチ側に目標加工面の法線方向に前記距離
だけオフセットしたオフセット面を算出する工程と、
(b) 算出されたオフセット面の形状と前記工具移動拘束
面の形状とに基づき、それらオフセット面と工具移動拘
束面との交線の、その交線上の任意の点における曲率半
径を前記目標経路の曲率半径として算出可能な工程を含
む(3) 項に記載の工具点列発生方法。この方法において
は、オフセット面と工具移動拘束面との交線の、その交
線上の任意の点における曲率半径が目標経路の曲率半径
に近似するとの仮定の下に、目標経路の使用なしで目標
経路の曲率半径が近似的に算出される。 (7) 前記経路が、前記工具を移動させる際にその工具の
基準点であってその工具のワークに対する加工点とは異
なるものが描く軌跡を表すものであり、前記点列発生工
程が、前記点列を、前記工具を前記目標経路に沿って移
動させることによって前記ワークを加工すべき目標加工
面を工具のアプローチ側に目標加工面の法線方向に、工
具の基準点と加工点との距離だけオフセットさせたオフ
セット面上に発生させる工程を含む(1) ないし(6) 項の
いずれかに記載の工具点列発生方法。 (8) 前記経路が、前記工具を移動させる際にその工具の
基準点であってその工具のワークに対する加工点とは異
なるものが描く軌跡を表すものであり、前記点列発生工
程が、前記点列を、まず、前記工具を前記目標経路に沿
って移動させることによって前記ワークを加工すべき目
標加工面上に発生させ、次に、発生させられた点列を工
具のアプローチ側に目標加工面の法線方向に、工具の基
準点と加工点との距離だけオフセットさせる工程を含む
(1) ないし(6) 項のいずれかに記載の工具点列発生方
法。 (9) 前記経路が、前記工具を移動させる際にその工具の
基準点であってその工具のワークに対する加工点とは異
なるものが描く軌跡を表すものであり、前記点列発生工
程が、(a) 前記工具を前記目標経路に沿って移動させる
ことによって前記ワークを加工すべき目標加工面の形状
と、工具の基準点と加工点とを通過する一基準線がその
工具を移動させる際に拘束される工具移動拘束面の形状
と、工具の基準点と加工点との距離を規定する工具形状
寸法とのうちの少なくとも目標加工面の形状に基づき、
前記目標経路またはそれに近似した近似経路を算出する
工程と、(b) 算出された目標経路または近似経路上に、
算出された点列間隔で点列を発生させる工程とを含む
(1) ないし(8) 項のいずれかに記載の工具点列発生方
法。 (10)前記経路が、前記工具を移動させる際にその工具の
基準点であってその工具のワークに対する加工点とは異
なるものが描く軌跡を表すものであり、前記点列発生工
程が、前記点列の発生に先立って前記目標経路を算出す
ることなく、前記点列を構成する複数個の工具通過点
を、それら工具通過点のうちの先頭点から順に前記算出
された点列間隔で発生させ、それによって点列を発生さ
せる工程であって、(a) 前記先頭点を決定する先頭点決
定工程と、(b) 決定された先頭点を、発生させるべき点
列において各々互いに隣接した一対の工具通過点により
構成される複数個の点対のうちの先頭の点対を構成する
一対の工具通過点のうちの始点に決定する始点決定工程
と、(c) 決定された始点の位置と、算出された点列間隔
と、その始点から、前記先頭の点対を構成する一対の工
具通過点のうちの終点に向かう向きとに基づき、その終
点を発生させる終点発生工程と、(d) 発生させられた終
点を、前記複数個の点対のうち次の点対を構成する一対
の工具通過点のうちの始点に決定するとともに、決定さ
れた始点の位置と、算出された点列間隔と、前記向きと
に基づき、次の点対における終点を発生させることを、
複数個の点対のうち先頭の点対を除くもの全部について
繰り返す繰り返し工程とを含む(1) ないし(8) 項のいず
れかに記載の点列発生方法。 (11)前記終点発生工程と繰り返し工程とがそれぞれ、前
記向きを、前記工具を前記目標経路に沿って移動させる
ことによって前記ワークを加工すべき目標加工面の形状
と、工具の基準点と加工点とを通過する一基準線がその
工具を移動させる際に拘束される工具移動拘束面の形状
と、工具の基準点と加工点との距離を規定する工具形状
寸法とのうちの少なくとも目標加工面の形状と工具移動
拘束面の形状と、前記決定された始点の位置とに基づい
て決定する向き決定工程を含む(10)項に記載の工具点列
発生方法。 (12)前記点列が、その点列から推定される前記工具の経
路の曲率半径とその点列の間隔とに基づき、かつ、前記
変数間関係に従って工具の移動速度を決定し、その移動
速度で工具が移動させられるように加工機を制御する制
御装置に供給される(1) ないし(11)項のいずれかに記載
の工具点列発生方法(請求項2)。したがって、この方
法によれば、加工工程の前工程において、加工工程での
変数間関係すなわち加工機の加工能力特性を考慮して点
列間隔が決定されるから、加工工程において制御装置が
決定する工具の移動速度が増加し、加工の移動速度また
は加工速度の高速化を容易に図り得るという効果が得ら
れる。 (13)前記点列間隔算出工程が、前記目標経路の曲率半径
に基づき、かつ、前記変数間関係に従って前記点列間隔
を第1候補点列間隔として算出する第1点列間隔算出工
程を含み、当該工具点列発生方法が、さらに、(a) 前記
目標経路上に前記点列を、その点列を直線で結んだ折れ
線の前記目標経路からの形状誤差が設定トレランスを超
えないように発生させる間隔を第2候補点列間隔として
算出する第2点列間隔算出工程と、(b) それら第1およ
び第2候補点列間隔のうち小さい方を適正点列間隔に決
定する適正点列間隔決定工程を含むことを特徴とする
(1)ないし(12)項のいずれかに記載の工具点列発生方法
(請求項3)。この方法においては、第1点列間隔算出
工程が、変数間関係を重視した点列間隔を第1候補点列
間隔として算出する一方、第2点列間隔算出工程が、理
想的には曲線である目標経路を直線で近似させる際の形
状誤差を重視した点列間隔を第2候補点列間隔として算
出し、その後、適正点列間隔決定工程が、それら第1お
よび第2候補点列間隔のうち小さい方を適正点列間隔に
決定する。したがって、この方法によれば、最終製品の
形状誤差が設定トレランスを超えてしまうような点列間
隔が発生させられてしまうことはないから、最終製品の
形状精度を確保しつつ加工の移動速度または加工速度の
高速化を図り得るという効果が得られる。 (14)前記変数間関係が、前記工具の移動速度を規定する
複数の条件に基づいて総合的に決定される(1) ないし(1
3)項のいずれかに記載の工具点列発生方法。 (15)前記複数の条件が、前記工具の経路の曲率半径を変
数とし、前記工具の遠心加速度が許容加速度を超えない
ように工具の合成移動速度を決定するための第1条件を
含む(14)項に記載の工具点列発生方法。 (16)前記複数の条件が、前記点列間隔を変数とし、前記
工具を移動させる加工機を制御する制御装置のデータ処
理能力との関係において工具の移動速度を決定するため
の第2条件を含む(14)または(15)項に記載の工具点列発
生方法。この方法において「工具の移動速度」は、工具
の合成移動速度を意味する場合と、工具の各制御軸毎の
移動速度成分を意味する場合とがある。 (17)前記工具が、複数の制御軸を有する加工機によって
移動させられるものであり、前記複数の条件が、前記曲
率半径と点列間隔とをそれぞれ変数とし、かつ、前記工
具の前記各制御軸毎の移動速度成分の、前記加工機に一
工具移動指令と次の工具移動指令とが順に供給されるの
に応じて開始される一工具移動ブロックと次の工具移動
ブロックとの間での差であるブロック間速度差が許容速
度差を超えないように工具の合成移動速度を決定するた
めの第3条件を含む(14)ないし(16)項のいずれかに記載
の工具点列発生方法。 (18)前記複数の条件が、作業者による移動速度指令値を
超えないように前記工具の合成移動速度を決定するため
の第4条件を含む(14)ないし(17)項のいずれかに記載の
工具点列発生方法。 (19)さらに、前記工具を前記目標経路に沿って移動させ
ることによってワークを加工すべき目標加工面の形状に
基づき、前記目標経路を曲線で表す関数式を取得する関
数式取得工程を含み、かつ、前記点列発生工程が、その
取得された関数式と前記算出された点列間隔とに基づい
て前記点列を発生させる工程を含む(1)ないし(18)項の
いずれかに記載の工具点列発生方法。ワークの目標加工
面の形状に基づいて目標経路を決定する方式には、図2
8に示すプロジェクト方式や図29に示す逆オフセット
方式がある。プロジェクト方式は、工具をワークの目標
加工面(図において二点鎖線で示す。図29および図3
0についても同じとする。)に沿って離散的に、かつ、
工具間の間隔を一定にして移動させることを想定した場
合にその工具の基準点が描く折れ線を目標経路として求
める方式である。逆オフセット方式は、工具を逆向きに
し、その状態で工具をそれの基準点がワークの目標加工
面に沿って離散的に、かつ、工具間の間隔を一定にして
移動させることを想定するとともに、各々その移動方向
に直角な複数の平面(図では、各平面を上下に延びる1
本の破線で表す。)を平面間の間隔を一定にして想定し
た場合に各平面と工具による各加工形状輪郭線(図で
は、各加工形状輪郭線を逆向きのU字状を成す実線で表
す。)との交点が描く折れ線を目標経路として求める方
式である。しかし、それらの方式の場合には、工具間の
間隔および平面間の間隔が必ずしも点列間隔に一致しな
い上に、工具間の間隔および平面間の間隔がワークの目
標加工面の曲率半径を考慮して変化させられるようには
なっていない。また、特に、逆オフセット方式の場合に
は、図29に示すように、工具間の間隔が平面間の間隔
より長い部分が存在する場合には、その部分において、
互いに隣接した2個の工具の中間位置に、目標加工面の
形状が反映されない工具通過点が設定されてしまう。そ
のため、それらの方式では、目標経路の凹凸関係をワー
クの目標加工面の凹凸関係に十分には正確に一致させる
ことができない。これに対し、この(19)項に記載の工具
点列発生方法においては、図30に示すように、点列
が、上記の二方式とは異なり、目標経路上において工具
間の間隔や平面間の間隔を媒介とせずに直接に任意の間
隔で発生可能であるため、適正な間隔で点列を発生させ
ることが容易となり、また、目標経路が曲線で、しかも
ワークの目標加工面に平行となるように決定され、その
目標経路上に点列が発生させられるため、目標経路の凹
凸関係が必ずワークの目標加工面の凹凸関係に一致す
る。したがって、この方法によれば、工具によるワーク
の加工精度を向上させつつ、工具の移動速度または加工
速度の高速化を図り得るという効果が得られる。 (20)前記関数式取得工程が、(a) 前記ワークの目標加工
面の形状を規定するワーク形状データと、前記工具の加
工半径等、工具形状寸法を規定する工具形状寸法データ
とに基づき、ワークの目標加工面から前記工具のアプロ
ーチ側に目標加工面の法線方向に、前記工具形状寸法に
基づく量だけオフセットした第1工具移動拘束面であっ
て前記工具の移動が拘束されるものを算出する第1工具
移動拘束面算出工程と、(b) 前記第1工具移動拘束面と
交差することにより前記ワークについての複数の工具経
路を複数の交線として生成する複数の第2工具移動拘束
面であって前記工具の移動が拘束されるものを算出する
第2工具移動拘束面算出工程と、(c) それら2つの工具
移動拘束面を交差させ、前記複数の工具経路を複数の交
線として生成し、各工具経路を曲線で表す関数式を取得
する工具曲線式取得工程とを含む(19)項に記載の工具点
列発生方法。この方法において「第2工具移動拘束面」
は、平面であっても曲面であってもよい。 (21)前記関数式取得工程が、(a) 前記ワークの目標加工
形状を規定するワーク形状データに基づき、そのワーク
が複数の平面または曲面の切断面で切断されて複数の断
面の各々の輪郭線を算出する断面輪郭線算出工程と、
(b) 前記工具の加工半径等、工具形状寸法を規定する工
具形状寸法データに基づき、前記算出された各輪郭線か
ら前記工具のアプローチ側に目標加工面の法線方向に、
前記工具形状寸法に基づく量だけオフセットした複数の
点を暫定的な複数の工具通過点として取得し、その取得
された暫定的な複数の工具通過点に基づき、前記工具の
経路を曲線で表す関数式を取得する工具曲線式算出工程
とを含む(19)項に記載の工具点列発生方法。 (22)(1) ないし(21)項のいずれかに記載の工具点列発生
方法を実施するためにコンピュータにより実行されるべ
きプログラムがコンピュータ読み取り可能に記録されて
いることを特徴とする工具点列発生プログラム記録媒体
(請求項4)。したがって、この記録媒体によれば、加
工の移動速度または加工速度の高速化を図るのに適した
点列を発生させるコンピュータプログラムが提供され、
そのプログラムをコンピュータにより実行すれば、加工
の移動速度または加工速度の高速化を図り得るという効
果が得られる。ここに「記録媒体」には例えば、フロッ
ピーディスク,磁気テープ,磁気ディスク,磁気ドラ
ム,磁気カード,光ディスク,光磁気ディスク,RO
M,CD−ROM,ICカード,穿孔テープ等がある。 (23)前記工具が、加工機により移動させられるものであ
り、当該工具点列発生方法が、さらに、前記加工機の加
工能力特性を前記工具の経路の曲率半径と前記点列の間
隔と工具の移動速度とをそれぞれ変数として表すととも
に、それら変数間の関係を、工具の移動速度に関する複
数の条件がすべて成立するように決定する変数間関係決
定工程を含む(1) ないし(22)項のいずれかに記載の工具
点列発生方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的ない
くつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本
発明の一実施形態は、回転工具としてのエンドミルでワ
ークを加工するための一連の工程のうちの図23におけ
るCAM工程に対して本発明を実施する場合の一形態で
ある。
【0012】まず、本実施形態の概略を説明する。CA
M工程において、複数の工程が図1に示すように実行さ
れる。まず、CAD工程から、ワークの目標加工形状を
サーフェスモデルまたはソリッドモデルで表現する形状
データが入力される。次に、その形状データと、工具形
状寸法としての工具半径を表すデータとに基づき、工具
の基準点としての工具中心が通過すべき目標経路を曲線
で表す関数式(以下、単に「工具曲線式」という。)が
算出される。続いて、その工具曲線式に基づき、目標経
路上に点列を発生させるのに適正な点列間隔が算出さ
れ、その適正点列間隔で目標経路上に点列が発生させら
れ、その点列を規定するCLデータが計算される。続い
て、ポスト処理により、そのCLデータがNCデータに
変換される。図23におけるDNC10(DirectNumeri
cal Control)によって処理可能なデータ形式に変換さ
れるのである。なお、NC加工工程においては、同図に
示すように、DNC10にCNC12(Computerized N
umerical Control)が接続され、このCNC12により
加工機14が制御されて工具16とワーク18とが相対
移動させられ、これにより、ワーク18が目標の形状に
加工される。
【0013】加工機14は複数の制御軸を有し、DNC
10およびCNC12により、予め定められた変数間関
係に従って工具16を移動させる。変数間関係は、工具
16の移動速度を規定する複数の条件に基づいて総合的
に決定される。ここに「複数の条件」は、工具経路の曲
率半径を変数とし、工具16の遠心加速度が定数として
の許容加速度を超えないように工具16の合成移動速度
を決定するという第1条件を含んでいる。この第1条件
は、合成移動速度をV、曲率半径をR、許容加速度をG
P とし、 V≦f1 (R) ≦√(GP )×√(R) なる関係式で記述される。なお、CNC12において、
DNC10から供給されるNCデータに基づいて工具経
路の曲率半径が算出されるが、そのNCデータは連続的
な工具経路ではなく点列を規定するものであるため、そ
の点列から近似的な連続経路が想定され、その連続経路
から曲率半径が算出される。具体的には、点列において
互いに連続する3つの工具通過点CLを同時に通過する
円弧が近似的な連続経路として想定され、その円弧の半
径として曲率半径が算出されるのである。
【0014】「複数の条件」はまた、点列間隔を変数と
し、制御装置としてのDNC10およびCNC12のデ
ータ処理能力値(定数)を考慮して工具16の合成移動
速度を決定するという第2条件を含んでいる。この第2
条件は、合成移動速度をV、点列間隔をL、DNC10
がCNC12に単位時間当たりにデータを転送すること
ができるビット数をb、DNC10がCNC12に転送
するNCデータの1行当たりのビット数をB、CNC1
2が1つの工具移動ブロックに対応するデータを処理す
るのに必要な時間をtとし、 V≦f2 (L) ≦MIN(L÷t,b×L÷B) なる関係式で記述される。
【0015】「複数の条件」はさらに、曲率半径と点列
間隔とをそれぞれ変数とし、工具16の各移動速度成分
のブロック間速度差が定数としての許容速度差を超えな
いように工具16の合成移動速度を決定するという第3
条件を含んでいる。この第3条件は、合成移動速度を
V、曲率半径をR、点列間隔をL、許容速度差をΔVP
とし、 V≦f3 (R,L) ≦ΔVP ÷sin {2×sin -1(L÷2×R)} なる関係式で記述される。
【0016】「複数の条件」はさらに、作業者により指
令された速度指令値を超えないように工具16の合成移
動速度を決定するという第4条件を含んでいる。この第
4条件は、合成移動速度をV、速度指令値をVD とし、 V≦VD なる関係式で記述される。
【0017】そして、CNC12は、それら各条件毎に
個別に最大移動速度を決定し、それら4つの最大移動速
度のうち最小のものを適正移動速度に決定し、その適正
移動速度で工具16が加工機14により移動させられる
ように加工機14に工具移動指令(パルス信号)を供給
する。そのようにして決定される適正移動速度と曲率半
径と点列間隔との共同により加工機14の変数間関係が
表され、この変数間関係は例えば図2に3次元グラフで
表されるものとなる。
【0018】次に、本実施形態を具体的に説明する。C
AM工程においては、他の工程におけると同様に、図2
3に示すように、コンピュータによりデータ処理が行わ
れる。コンピュータ20は、図3に示すように、プロセ
ッサ(例えば、CPU)22とメモリ(例えば、ROM
とRAM)24とを含む構成とされており、フロッピー
ディスクドライブ等、外部記憶装置26においてフロッ
ピーディスク等、記録媒体28から読み込まれたプログ
ラムが一時的にメモリ24に取り込まれ、必要に応じて
プロセッサ22により実行され、これにより、ワーク形
状データに基づく点列データ計算と点列データのNCデ
ータへの変換とが順に行われる。なお、作業者からの指
令はキーボード,マウス等、入力装置30を介してコン
ピュータ20に入力可能となっており、また、コンピュ
ータ20の処理結果等はCRT,液晶ディスプレイ,プ
リンタ等、出力装置32を介して作業者に出力可能とな
っている。
【0019】プロセッサ22により実行されるプログラ
ムが図4にフローチャートで示されている。まず、ステ
ップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップに
ついても同じとする。)において、作業者により、点列
発生に必要な条件が入力される。次に、S2において、
工具曲線式算出プログラムが外部記憶装置26からメモ
リ24に取り込まれ、プロセッサ22により実行され
る。
【0020】工具曲線式算出プログラムが図5にフロー
チャートで表されている。まず、S11において、ワー
ク形状データおよび工具半径データを含む各種データが
それぞれ入力される。ワーク形状データは例えば、CA
D用コンピュータから入力される。次に、S12におい
て、ワーク形状データと工具半径データとに基づき、ワ
ーク18の目標加工表面から工具16のアプローチ側
(目標加工面の法線方向)に工具半径に基づく量だけオ
フセットした第1工具移動拘束面が算出される。1本の
工具経路CPは、工具16の移動が拘束される2つの工
具移動拘束面の交線として定義することができ、それら
工具移動拘束面の一方は、ワークの目標加工表面から工
具16のアプローチ側(目標加工面の法線方向)に、工
具半径に基づく量だけオフセットした面として定義する
ことができ、これが第1工具移動拘束面である。続い
て、S13において、他方の工具移動拘束面である第2
工具移動拘束面が複数算出される。それら第2工具移動
拘束面は例えば、作業者からの指令に基づき、工具ピッ
ク送り量と等しい距離で並んだ複数の平面または曲面と
して算出される。その後、S14において、その計算さ
れた第1工具移動拘束面と複数の第2工具移動拘束面と
の複数の交線が算出される。それら交線は複数本の工具
経路CPにそれぞれ対応するものであり、結局、本ステ
ップにおいては、各工具経路CPをそれぞれ表す各工具
曲線式(例えば、ベジェ曲線等)が算出されるのであ
る。図6には、複数本の工具経路CPが示されている
が、これは、第2工具移動拘束面が波状の曲面である場
合の例である。本ステップにおいては、工具曲線式が、
各工具経路CPが分割された複数のセグメントの各々に
ついて個々に算出される。
【0021】以上のようにして工具曲線式が算出された
ならば、点列発生プログラムが外部記憶装置26からメ
モリ24に取り込まれ、プロセッサ22により実行され
る。その点列発生プログラムが図7にフローチャートで
表されている。本プログラムは、複数本の工具経路CP
について繰り返し実行される。各工具経路CPについて
は、まず、S21において、作業者により、点列間隔L
の算出に必要な各種定数が入力される。各種定数には、
前述の許容加速度GP,ビット数b,B,処理時間t,
許容速度差ΔVP および速度指令値VD がある。次に、
S22において、今回処理すべきセグメントの番号iが
1にリセットされ、続いて、S23において、今回の工
具経路CPにおける第iセグメントが選択され、そのセ
グメントを規定する前記工具曲線式がメモリ24から読
み出される。その後、S24において、図10の上部に
示すように、第iセグメントにつき、それの工具曲線式
に基づき、曲率半径Rが算出される。曲率半径Rは例え
ば、第iセグメントにおける複数の曲線部のうち曲率半
径Rが最小である曲線部のその曲率半径Rが代表曲率半
径Rとして算出される。次に、S25において、その算
出された曲率半径Rと前記入力された各種定数とをそれ
ぞれ前記4つの関係式にそれぞれ代入し、その算出され
た曲率半径Rに対応する、移動速度Vと点列間隔Lとの
関係(以下、単に「V−L関係」という。)が算出され
る。そのV−L関係は図9に示すように、図2における
と同じ変数間関係を表す3次元グラフ(図において上側
のグラフ)を曲率半径がRであることを表す一平面で切
断することによって取得される2次元グラフ(図におい
て下側のグラフ)で表されるものとなる。その後、S2
6において、その算出されたV−L関係に基づき、第1
候補点列間隔L1 が決定される。この第1候補点列間隔
1 は、そのV−L関係の下に、移動速度Vが最大とな
るときの点列間隔Lとして決定される。すなわち、第1
候補点列間隔L1 は、変数間関係により決まる点列間隔
なのである。図9の例では、b以上かつc以下の範囲が
第1候補点列間隔L1 として決定される。続いて、S2
7において、図10の下部に示すように、算出された曲
率半径Rに基づき、その曲率半径Rを有する円弧に近似
する一つの直線であって円弧をその直線で近似させた場
合にその形状誤差が設定トレランスに一致する直線が算
出され、その直線と円弧との2つの交点の距離が第2候
補点列間隔L2 として決定される。第iセグメントを点
列で近似させる場合にその形状誤差が設定トレランスに
一致するための点列間隔が第2候補点列間隔L2 として
決定されるのである。すなわち、第2候補点列間隔L2
は、形状誤差により決まる点列間隔なのである。
【0022】その後、S28において、それら第1およ
び第2候補点列間隔L1 およびL2のうち小さい方が適
正点列間隔LOPT に決定される。例えば、図11に示す
ように、第1候補点列間隔L1 がb以上c以下という幅
を有し、かつ、その幅全体が第2候補点列間隔L2 であ
るdより小さい場合(パターン1)には、適正点列間隔
OPT が第1候補点列間隔L1 に決定される。この場
合、適正点列間隔LOPT はb以上c以下という幅を有す
るが、最終的な適正点列間隔LOPT は、その幅を規定す
るbとcのうち小さい方であるbに決定したり、大きい
方であるcに決定したり、両者の平均値に決定すること
ができる。また、図12に示すように、第1候補点列間
隔L1 がb以上かつc以下という幅を有し、かつ、その
幅の中間位置に第2候補点列間隔L2 であるdが位置す
る場合(パターン2)には、適正点列間隔LOPT が第1
候補点列間隔L1 のうちb以上かつd以下の部分に決定
される。この場合、適正点列間隔LOPT もb以上d以下
という幅を有するが、最終的な適正点列間隔LOPT は、
その幅を規定するbとdのうち小さい方であるbに決定
したり、大きい方であるdに決定したり、両者の平均値
に決定することができる。また、図13に示すように、
第1候補点列間隔L1 がb以上c以下という幅を有し、
かつ、その幅全体が第2候補点列間隔L2 であるdより
大きい場合(パターン3)には、適正点列間隔LOPT
第2候補点列間隔L2 に決定される。また、図14に示
すように、第1候補点列間隔L1 が幅を有さず、bとc
が一致し、かつ、その第1候補点列間隔L1 が第2候補
点列間隔L2 であるdより小さい場合(パターン4)に
は、適正点列間隔LOPT が第1候補点列間隔L1 に決定
される。また、図15に示すように、第1候補点列間隔
1 が幅を有さず、bとcが一致し、かつ、その第1候
補点列間隔L1 が第2候補点列間隔L2 であるdより大
きい場合(パターン5)には、適正点列間隔LOPT が第
2候補点列間隔L2 に決定される。
【0023】以上のようにして適正点列間隔LOPT が決
定されたならば、S29において、その適正点列間隔L
OPT に従って点列が発生させられる。具体的には、図1
6に示すように、点列間隔Lと長さが等しい半径を有す
る球面が想定され、その球面を工具経路CPに、その球
面の中心点が直前に発生させられた工具通過点CLに一
致するように重ね合わせることが想定され、その球面と
工具経路CPとの複数の交点(普通は2つの交点)のう
ち、直前に発生させられた工具通過点CLと球面の中心
点に関して反対側に位置するものが新たな工具通過点C
Lとして発生させられ、この工程が、最後に発生させら
れた工具通過点CLが次回のセグメント上に位置するこ
ととなるまで、繰り返される。以上で本プログラムの一
回の実行が終了する。
【0024】なお、このS29においては、今回のセグ
メントについて最後に発生させられた工具通過点CLの
位置がその今回のセグメントの終点、すなわち、次回の
セグメントの始点に一致しない場合であっても、その最
後に発生させられた工具通過点CLはその今回のセグメ
ントについての最後の工具通過点CLとして利用はされ
ずに、その今回のセグメントの終点が必ず今回のセグメ
ントについての最後の工具通過点CLとされるようにな
っている。すなわち、既存のセグメント分割点がS29
において新たに発生させられた工具通過点CLより優先
させられているのである。しかし、例えば、今回のセグ
メントについて最後に発生させられた工具通過点CLの
位置がその今回のセグメントの終点に一致せず、それを
超えた場合(すなわち、次回のセグメントの中間部上に
位置する場合)には、今回のセグメントの終点を工具通
過点CLとして利用するのではなく、その最後に発生さ
せられた工具通過点CLをその今回のセグメントについ
ての最後の工具通過点CLとして利用してもよい。すな
わち、既存のセグメント分割点に変えて新たに発生させ
られた工具通過点CLを実際の工具通過点CLとして利
用してもよいのであり、S29において新たに発生させ
られた工具通過点CLを既存のセグメント分割点より優
先させてもよいのである。
【0025】続いて、S30において、セグメント番号
iが最大値iMAX 、すなわち、今回の工具経路CPを構
成するセグメントの数以上となったか否かが判定され
る。セグメント番号iが最大値iMAX 以上ではない場合
には、判定がNOとなり、S31において、セグメント
番号iが1増加させられ、S23に戻るが、セグメント
番号iが最大値iMAX 以上である場合には、判定がYE
Sとなり、今回の工具経路CPについての本プログラム
の実行が終了する。その後、本プログラムの実行が複数
回繰り返されれば、例えば図6に示す複数本の工具経路
CPについては図8に示すように、複数の工具通過点C
Lが一列に並んだ点列が複数列発生させられることにな
る。
【0026】その後、図4のS4において、加工に伴っ
て工具16に付与することが必要な補助動作のための各
種データがもとの点列データに付与される。補助動作デ
ータには例えば、図17に示すように、工具16を退避
位置から加工開始点に接近(アプローチ等)させるため
のデータや、工具16を加工終了点から退避位置に離間
(リトラクト,イベード等)させるためのデータや、工
具16を一工具経路CPの終点から次の工具経路CPの
始点までピック送りするためのデータがある。その後、
S5において、最終的な点列データの形式がCNC12
に処理可能なNCデータに変換される。以上で本プログ
ラムの一回の実行が終了する。
【0027】次に、本発明の別の実施形態を図面に基づ
いて詳細に説明する。上記実施形態においては、ワーク
形状データに基づいて直接に工具曲線式が算出され、そ
の工具曲線式に基づいて点列が発生させられるが、本実
施形態においては、ワーク形状データに基づいて暫定的
な点列が発生させられ、その暫定的な点列に基づいて工
具曲線式が算出され、その工具曲線式に基づいて最終的
な点列が発生させられる。
【0028】そのためにコンピュータ20により実行さ
れる工具曲線式算出プログラムが図18にフローチャー
トで示されている。なお、このプログラムも予め記録媒
体28に記録されて使用される。まず、S71におい
て、ワーク形状データ,工具ピック送り量データ,工具
半径データを含む各種データがそれぞれ入力される。次
に、S72において、それら入力データに基づき、ワー
ク18の各断面の輪郭線が算出される。具体的には、ワ
ーク18を工具ピック送り量と等しい間隔で並んだ複数
の平面で切断することを想定することによって複数の断
面の輪郭線が算出される。続いて、S73において、そ
の算出されたワーク断面輪郭線と工具半径とに基づき、
各断面輪郭線から工具16のアプローチ側(目標加工面
の法線方向)に工具半径に基づく量でオフセットした複
数の点が暫定的な工具通過点CLとして発生させられ
る。このとき、それら暫定的な工具通過点CLは実質的
に一定である細かい間隔で発生させられる。その後、S
74において、その算出された複数の暫定的な工具通過
点CLを包絡する曲線を表す関数式(例えば、ベジェ曲
線等)が工具曲線式として算出される。工具曲線式は、
先の実施形態におけると同様に、工具経路CPが分割さ
れた複数のセグメントの各々について個々に算出され
る。以上のようにして工具曲線式が算出されたならば、
以後、先の実施形態におけると同様にして点列が発生さ
せられる。
【0029】次に、本発明のさらに別の実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態は先の二
実施形態と点列発生のためのプログラムのみが異なり、
他の要素については共通するため、その点列発生プログ
ラムのみを詳細に説明し、他の要素については同一の符
号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0030】図19には、その点列発生プログラムがフ
ローチャートで表されている。まず、S101におい
て、作業者により、ワークの目標加工面を表すワーク形
状データが入力され、次に、S102において、工具形
状寸法データとしての工具半径データが入力される。そ
の後、S103において、図20に示すように、ワーク
形状データと工具半径データとに基づき、ワーク18の
目標加工面PL1から工具16のアプローチ側(目標加
工面の法線方向)に工具半径分だけオフセットしたオフ
セット面PL2が算出される。続いて、S104におい
て、作業者により、工具移動拘束面PL3を表すデータ
が入力される。この工具移動拘束面PL3は、工具16
が移動させられる際に、その工具16の工具中心(基準
点)とその工具16のワーク18に対する加工点とを通
過する一直線である工具中心線(基準線)が拘束される
面である。すなわち、オフセット面PL2と工具移動拘
束面PL3とは、最先の実施形態における第1工具移動
拘束面と第2工具移動拘束面とにそれぞれ対応している
のである。その後、S105において、ワーク18につ
いて最終的に求めるべき複数本の点列のうち今回求める
べき点列の列番号jが1とされる。
【0031】続いて、S106において、今回求めるべ
き工具通過点CLの点番号nが1とされ、その後、S1
07において、先頭の工具通過点CL(1) が決定され
る。具体的には、先頭の工具通過点CL(1) は、図20
に示すように、オフセット面PL2と工具移動拘束面P
L3との交線の両端点のうちの一方として自動的に決定
されるが、作業者によって手動で決定することが可能で
ある。続いて、S108において、その先頭の工具通過
点CL(1) が、今回求めるべき点列における複数個の点
対のうちの先頭の点対を構成する一対の工具通過点CL
の始点CLSTとされる。
【0032】その後、S109において、図21に示す
ように、今回求めるべき点列に対応する目標経路のうち
始点CLST(今回はCL(1) )におけるオフセット面P
L2上での曲率半径Rが算出される。具体的には、先の
二実施形態におけるとは異なり、目標経路の算出なし
で、ワーク形状データと工具移動拘束面データと始点C
STの位置を表すデータとに基づいて曲率半径Rが算出
される。
【0033】続いて、S110において、算出された曲
率半径Rに応じた点列間隔Lが、先の二実施形態におけ
ると同様に算出される。ただし、本実施形態において
は、加工機14の加工能力特性、すなわち、前記V−L
関係を考慮した点列間隔Lは算出されるが、本来曲線で
ある工具経路を直線で近似する際の形状誤差を考慮した
点列間隔Lは算出されない。そのため、このS110に
おいては、図7におけるS25とS26とS28と同じ
各ステップが実行される。ただし、S28と同じステッ
プにおいては、V−L関係を考慮して暫定的に算出され
た点列間隔Lが唯一値である場合には、その値、幅を有
する場合には、その幅内に存在する値のうち最大値,最
小値またはそれらの平均値のいずれかが最終的な点列間
隔Lとされる。
【0034】その後、S111において、今回の点列に
おける終点CLEDが決定される。具体的には、終点CL
ED(今回はCL(2) )は、図22に示すように、オフセ
ット面PL2上にあり、かつ、工具移動拘束面PL3上
にあり、かつ、始点CLST(今回はCL(1) )から点列
間隔Lだけ離れている点として決定される。
【0035】続いて、S112において、その決定され
た終点CLEDが、点番号が(n+1)である工具通過点
CL(n+1) とされる。その後、S113において、その
工具通過点CL(n+1) が今回求めるべき点列において最
終点であるか否かが判定される。今回は、最終点ではな
いと仮定すれば、判定がNOとなり、S114におい
て、上記終点CLEDが、次の点対における始点CLST
され、その後、S115において、点番号nが1増加さ
せられる。そして、S109に戻る。
【0036】その後、S109〜S115の実行が何回
も繰り返され、その結果、S113の判定がYESとな
れば、S116において、列番号jが最大値jMAX 以上
であるか否かが判定される。今回は最大値jMAX 以上で
はないと仮定すれば、判定がNOとなり、S117にお
いて、列番号jが1増加させられ、その後、S106に
戻り、上記と同様にして、次の点列が発生させられる。
【0037】そして、すべての点列が発生させられたな
らば、S116の判定がYESとなり、本プログラムの
一回の実行が終了する。
【0038】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である工具点列発生方法を
概略的に示す工程図である。
【図2】上記工具点列発生方法により発生させられた点
列が供給される制御装置により制御される加工機の変数
間関係を示す3次元特性グラフである。
【図3】上記工具点列発生方法を実施するための工具点
列発生装置を示すブロック図である。
【図4】図3における外部記憶装置においてデータの読
込み/書込みがなされる記録媒体に記録されており、か
つ、必要に応じてコンピュータにより実行されるプログ
ラムを示すフローチャートである。
【図5】図4のS2において実行される工具曲線式算出
プログラムを示すフローチャートである。
【図6】図4のS2の実行内容を概念的に示す図であ
る。
【図7】図4のS3において実行される点列発生プログ
ラムを示すフローチャートである。
【図8】図4のS3の実行内容を説明するための図であ
る。
【図9】図7のS25およびS26の実行内容を説明す
るための図である。
【図10】図7のS27の実行内容を説明するための図
である。
【図11】図7のS28の実行内容を説明するための図
である。
【図12】図7のS28の実行内容を説明するための図
である。
【図13】図7のS28の実行内容を説明するための図
である。
【図14】図7のS28の実行内容を説明するための図
である。
【図15】図7のS28の実行内容を説明するための図
である。
【図16】図7のS29の実行内容を説明するための図
である。
【図17】図4のS4の実行内容を説明するたの図であ
る。
【図18】本発明の別の実施形態である工具点列発生方
法を実施するためにコンピュータにより実行される工具
曲線式算出プログラムを示すフローチャートである。
【図19】本発明のさらに別の実施形態である工具点列
発生方法を実施するためにコンピュータにより実行され
る点列発生プログラムを示すフローチャートである。
【図20】図19におけるS103およびS107を説
明するための斜視図である。
【図21】図19におけるS109を説明するための斜
視図である。
【図22】図19におけるS111を説明するための斜
視図である。
【図23】ワークをNC加工するための一連の工程を示
す工程図である。
【図24】図23におけるNC加工工程で行われる速度
制御を説明するための図である。
【図25】工具経路上に工具通過点を発生させる従来の
方法を説明するための図である。
【図26】その従来の方法で発生させられた点列の下で
加工機を作動させた場合に工具が余分に加減速させられ
る様子の一例を示す図である。
【図27】その従来の方法で発生させられた点列の下で
加工機を作動させ、かつ、その加工機への移動速度指令
値を変化させた場合に工具の減速領域が変化する様子の
一例を示す図である。
【図28】ワークの目標加工形状から工具の目標経路を
決定する一方式を説明するための図である。
【図29】ワークの目標加工形状から工具の目標経路を
決定する別の方式を説明するための図である。
【図30】本発明の一実施形態の効果を説明するための
図である。
【符号の説明】
10 DNC 12 CNC 14 加工機 16 工具 18 ワーク 20 コンピュータ 22 プロセッサ 24 メモリ 26 外部記憶装置 28 記録媒体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】工具を目標の経路に沿って移動させるため
    にその工具が通過すべき点列を発生させる工具点列発生
    方法であって、 前記点列の発生に先立ってその点列の間隔を、前記目標
    経路の曲率半径に基づき、かつ、前記工具の経路の曲率
    半径と点列の間隔と工具の移動速度との間の予め定めら
    れた変数間関係に従い、工具の移動速度が可及的に大き
    くなるように算出する点列間隔算出工程と、 算出された点列間隔で前記点列を発生させる点列発生工
    程とを含むことを特徴とする工具点列発生方法。
  2. 【請求項2】前記点列が、その点列から推定される前記
    工具の経路の曲率半径とその点列の間隔とに基づき、か
    つ、前記変数間関係に従って工具の移動速度を決定し、
    その移動速度で工具が移動させられるように加工機を制
    御する制御装置に供給される請求項1に記載の工具点列
    発生方法。
  3. 【請求項3】前記点列間隔算出工程が、前記目標経路の
    曲率半径に基づき、かつ、前記変数間関係に従って前記
    点列間隔を第1候補点列間隔として算出する第1点列間
    隔算出工程を含み、当該工具点列発生方法が、さらに、
    (a) 前記目標経路上に前記点列を、その点列を直線で結
    んだ折れ線の前記目標経路からの形状誤差が設定トレラ
    ンスを超えないように発生させる間隔を第2候補点列間
    隔として算出する第2点列間隔算出工程と、(b) それら
    第1および第2候補点列間隔のうち小さい方を適正点列
    間隔に決定する適正点列間隔決定工程とを含むことを特
    徴とする請求項1または2に記載の工具点列発生方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の工具
    点列発生方法を実施するためにコンピュータにより実行
    されるべきプログラムがコンピュータ読み取り可能に記
    録されていることを特徴とする工具点列発生プログラム
    記録媒体。
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