JP2000089814A - 工具送り速度制御方法 - Google Patents

工具送り速度制御方法

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JP2000089814A
JP2000089814A JP10253464A JP25346498A JP2000089814A JP 2000089814 A JP2000089814 A JP 2000089814A JP 10253464 A JP10253464 A JP 10253464A JP 25346498 A JP25346498 A JP 25346498A JP 2000089814 A JP2000089814 A JP 2000089814A
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JP
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deceleration
acceleration
point
machining path
tool
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JP10253464A
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Masayuki Nakamura
正幸 中村
Yoshiki Muta
芳喜 牟田
Seiji Niwa
誠二 丹羽
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ワークを工具により加工するためにその工具を
加工機により、先の実加工経路からそれの延長線上にな
い後の実加工経路に空加工経路を経て送る際の送り速度
を制御する方法において、工具が先の実加工経路の始点
から後の実加工経路の終点まで送られる際の所要送り時
間を極力短縮する。 【解決手段】送り速度の、先の切削動作ブロックA−B
と後の切削動作ブロックD−Eとの双方に直角な方向に
おけるY方向成分が、ピック動作ブロックB−C−Dの
始点Bと終点Dとの間において増加した後に減少するY
方向加減速を行うとともに、それと並行して、送り速度
の、先および後の切削動作ブロックと平行な方向におけ
るX方向成分が減少した後に増加する第2方向加減速
を、先の切削動作ブロックの途中に設定された点A’を
減速開始点、後の切削動作ブロックの途中に設定された
点E’を加速終了点として行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークを工具によ
り加工するためにその工具を先の実加工経路からそれの
延長線上にない後の実加工経路に空加工経路を経て送る
際の送り速度を制御する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】加工機により工具を送ることによりワー
クを加工する技術には例えば、金型等、ワークを工具と
してのカッタにより切削する技術があり、また、ワーク
に塗料等、塗布剤を工具としての塗布具により塗布する
技術がある。
【0003】ワークをカッタにより切削する技術におい
ては、加工機によりカッタを送る方式として、ワークに
設定された複数の走査線に沿ってカッタを送る走査線方
式や、ワークに設定された複数の等高線に沿ってカッタ
を送る等高線方式が既に知られている。いずれの方式を
採用する場合にも、カッタが、先の切削動作経路(一の
走査線または等高線)からそれの延長線上にない後の切
削動作経路にピック動作経路を経て送られる場合があ
る。ピック動作経路は、カッタがピック動作を行わせら
れるべき経路であり、ピック動作とは一般に、カッタを
ワークから一時的に退避させる動作を意味する。先およ
び後の切削動作経路の少なくとも一方と直角な方向を第
1方向、平行な方向を第2方向、それら第1方向とも第
2方向とも直角な方向を第3方向と定義すれば、ピック
動作は、カッタの第3方向における送り(ワークに対す
る離間・接近)と第1方向における送り(先の切削動作
経路から後の切削動作経路への移行)とから構成され
る。そして、いずれの方式を採用する場合にも、カッタ
を先の切削動作経路から後の切削動作経路にピック動作
経路を経て送る際の送り速度を制御することが必要とな
る。
【0004】その送り速度を制御する方法の一従来例が
図11に示されている。同図においては、説明の便宜
上、第1方向がY方向、第2方向がX方向、第3方向が
Z方向として示されている。この従来例においては、先
の切削動作経路A−Bにおける切削動作と、ピック動作
経路B−C−D−E−F−G−Hにおけるピック動作
と、後の切削動作経路H−Iにおける切削動作とが時期
的に互いにオーバラップさせられることなく直列的に行
われ、また、ピック動作においても、カッタを部分経路
B−C−Dに沿ってZ方向に上昇させることと、カッタ
を部分経路D−E−Fに沿ってYの正方向に送ること
と、カッタを部分経路F−G−Hに沿ってZ方向に下降
させることとが時期的に互いにオーバラップさせられる
ことなく直列的に行われる。
【0005】したがって、この従来例においては、送り
速度のX方向成分については、先の切削動作経路A−B
の終点Bと、後の切削動作経路H−Iの始点Hとにおい
て0となり、また、Y方向成分については、先の切削動
作経路A−Bと、ピック動作経路B−C−D−E−F−
G−Hのうちの部分経路B−C−Dおよび部分経路F−
G−Hと、後の切削動作経路H−Iとにおいて0とな
り、また、Z方向成分については、先の切削動作経路A
−Bと、ピック動作経路B−C−D−E−F−G−Hの
うちの部分経路D−E−Fと、後の切削動作経路H−I
とにおいて0となる。したがって、この従来例において
は、点Bと点Dと点Fと点Hとにおいて、送り速度のす
べての成分が0となり、結局、送り速度の合成値が0と
なる。
【0006】以上の説明から明らかなように、この従来
例においては、切削動作とピック動作とが時期的に互い
にオーバラップさせられることなく直列的に行われると
ともに、ピック動作においても、カッタの複数種類の動
作が時期的に互いにオーバラップさせられることなく直
列的に行われる。そのため、この従来例を採用する場合
には、カッタが先の切削動作経路の始点から後の切削動
作経路の終点まで送られる際の所要送り時間が長くなっ
てしまう。
【0007】図12には、その従来例の一変形例が示さ
れている。この変形例においては、カッタのピック動作
におけるZ方向における上昇・下降(Z方向加減速)
と、他の動作、すなわち、ピック動作におけるY方向に
おける送り(Y方向加減速)とが時期的に互いにオーバ
ラップさせられて並列的に行われる。ただし、同図の右
側のグラフにおいては、送り速度のZ方向成分の図示が
省略されている。したがって、この変形例によれば、上
記従来例におけるよりは、カッタが先の切削動作経路A
−Bの始点Aから後の切削動作経路D−Eの終点Eまで
送られる際の所要送り時間が短くなる。しかし、この変
形例においても、切削動作のためのX方向加減速とピッ
ク動作におけるY方向加減速とが時期的に互いにオーバ
ラップさせられてはいない。
【0008】図13には、別の従来例が示されている。
この従来例においては、ピック動作経路B−C−Dにお
けるY方向加減速と、同じピック動作経路B−C−Dに
おけるX方向加減速とが時期的に互いにオーバラップさ
せられて並列的に行われ、その結果、送り速度のX方向
成分がピック動作経路B−C−Dの始点Bと終点Dとに
おいて0とならない。さらに、この従来例においては、
図示しないが、カッタのZ方向加減速が、それらY方向
加減速およびX方向加減速と時期的に互いにオーバラッ
プさせられて並行的に行われる。このように、この従来
例においては、カッタのX方向加減速とY方向加減速と
Z方向加減速とが互いに並列的に実行されるため、カッ
タが先の切削動作経路の始点から後の切削動作経路の終
点まで送られる際の所要送り時間が前記変形例における
より短くなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発
明の効果】後の従来例を実施する場合には、カッタのX
方向における減速開始点とY方向における加速開始点と
が共に点B、すなわち、ピック動作経路B−C−Dの両
端点のうち先の切削動作経路A−Bとの接続点である始
点とされて、それらX方向減速開始点とY方向加速開始
点とが必ず互いに一致させられる。さらに、この従来例
においては、カッタのX方向における加速終了点とY方
向における減速終了点とが共に点D、すなわち、ピック
動作経路B−Dの両端点のうち後の切削動作経路D−E
との接続点である終点とされて、それらX方向加速終了
点とY方向減速終了点とが必ず互いに一致させられる。
【0010】この従来例においては、例えば、後の切削
動作経路が先の切削動作経路と平行かつ逆向きである状
況において、カッタのX方向加減速が、送り速度のX方
向成分が先の指令送り速度から最大加減速度で減少して
0に到達した後に最大加減速度で増加して後の指令送り
速度に到達するように行うことができる。ここに、先お
よび後の指令送り速度はそれぞれ、カッタが先および後
の切削動作経路をそれぞれ通過する際の送り速度の指令
値であり、また、最大加減速度は、加工機によるカッタ
の送りについて設定されたものである。また、この従来
例においては、カッタのY方向加減速が、送り速度のY
方向成分が0から最大加減速度で増加して実質最大速度
に到達した後に最大加減速度で減少して0に到達するよ
うに行うことができる。そして、これらの場合、X方向
加減速の実行時間であるX方向加減速時間Tx とY方向
加減速の実行時間であるY方向加減速時間Ty とは次の
ようにして求めることができる。
【0011】先の指令送り速度と後の指令送り速度とが
互いに等しいと仮定した上でいずれもVとし、また、カ
ッタのX方向における最大加減速度をGx とすれば、カ
ッタがX方向減速開始点を通過する際の送り速度はV、
X方向加速終了点を通過する際の送り速度もVとなるた
め、X方向加減速時間Tx は、 2・V/Gx で求めることができる。一方、カッタのY方向における
最大加減速度をGy とし、また、先の切削動作経路と後
の切削動作経路との距離をLとすれば、Y方向加減速時
間Ty は、 2・√(L/Gy ) で求めることができる。
【0012】以上の説明から明らかなように、この従来
例においては、カッタのX方向における減速開始点およ
び加速終了点はそれぞれ必ず、Y方向における加速開始
点および減速終了点に一致させられる。そのため、X方
向加減速時間Tx およびY方向加減速時間Ty は、送り
速度V,最大加速度Gx ,距離Lおよび最大減速度G y
が変化しない限り、変化せず、よって、それらX方向加
減速時間Tx とY方向加減速時間Ty との関係も変化し
ない。
【0013】一方、この従来例においては、それらX方
向加減速時間Tx とY方向加減速時間Ty とが互いに一
致することが必要である。そのため、この従来例におい
ては、例えば、X方向加減速時間Tx がY方向加減速時
間Ty より長い場合には、X方向加減速時間Tx を短く
するためにカッタのX方向における加減速度を最大値よ
り増加させることは不可能であるため、カッタのY方向
における加減速度を最大値より低減させることにより、
Y方向加減速時間Ty が延長される。
【0014】この従来例に対して本発明者は次のような
ことに気がついた。すなわち、X方向における減速開始
点および加速終了点を、先の切削動作経路の途中(先の
切削動作経路のうちピック動作経路の始点より過去側の
位置)および後の切削動作経路の途中(後の切削動作経
路のうちピック動作経路の終点より未来側の位置)にそ
れぞれ設定すれば、カッタがX方向においてピック動作
経路の始点を通過する際の送り速度、および、X方向に
おいてピック動作経路の終点を通過する際の送り速度
が、先および後の指令送り速度Vより小さくなる。その
結果、X方向加減速時間Tx ももとの値、すなわち、X
方向における減速開始点および加速終了点をピック動作
経路の始点および終点にそれぞれ設定した場合の値より
短くなる。よって、カッタのY方向における送り速度を
犠牲にすることなく、X方向加減速時間Tx とY方向加
減速時間Ty とを互いに一致させ得ることが可能とな
る。そして、このようにすれば、カッタがX方向におい
て、ピック動作経路の始点に到達する手前から減速が開
始されることになるため、カッタが先の切削動作経路の
始点から後の切削動作経路の終点まで送られる際の所要
送り時間がその従来例におけるより短くなることに気が
ついたのである。
【0015】本発明は、そのような知見に基づいてなさ
れたものであり、その課題は、工具が先の実加工経路の
始点から後の実加工経路の終点まで送られる際の所要送
り時間を極力短縮することにある。
【0016】その課題は下記の本発明の各態様によって
解決される。なお、以下の説明において、本発明の各態
様をそれぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載
する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの
可能性を明示するためであり、ここに記載された組合せ
以外の組合せを採用することの可能性を排除したり、こ
こに記載された特徴以外の特徴を採用することの可能性
を排除するものではない。
【0017】(1) ワークを工具により加工するためにそ
の工具を加工機により、先の実加工経路からそれの延長
線上にない後の実加工経路に空加工経路を経て送る際の
送り速度を制御する方法であって、その送り速度の、先
および後の実加工経路の少なくとも一方と直角な第1方
向における第1速度成分が、空加工経路の両端点のうち
先の実加工経路側の始点と後の実加工経路側の終点との
間において増加した後に減少する第1方向加減速を実行
する第1方向加減速実行工程と、その第1方向加減速と
並行して、前記送り速度の、先および後の実加工経路の
少なくとも一方と平行な第2方向における第2速度成分
が減少した後に増加する第2方向加減速を実行する第2
方向加減速実行工程であって、第2方向加減速の実行時
間が前記第1方向加減速の実行時間より長い場合に、第
2方向加減速を、先の実加工経路のうち空加工経路との
接続点を除く部分に設定された点を実行開始点、後の実
加工経路のうち空加工経路との接続点を除く部分に設定
された点を実行終了点として実行する第1工程を有する
ものとを含むことを特徴とする工具送り速度制御方法
〔請求項1〕。この方法においては、第2方向加減速の
実行時間が第1方向加減速の実行時間より長い場合に、
第2方向加減速が、先の実加工経路のうち空加工経路と
の接続点を除く部分に設定された点を実行開始点、後の
実加工経路のうち空加工経路との接続点を除く部分に設
定された点を実行終了点として実行される。第2方向加
減速のうちの減速が、工具の第1方向における加速開始
前に開始され、かつ、第2方向加減速のうちの加速が、
工具の第1方向における減速終了後に終了するように実
行されるのである。したがって、この方法によれば、工
具が第2方向において空加工経路の始点から終点まで送
られる時間が、第2方向加減速を、空加工経路の始点を
実行開始点、終点を実行終了点として実行した場合にお
けるより短くなり、その時間を第1方向加減速の実行時
間、すなわち、工具が第1方向において空加工経路の始
点から終点まで送られる時間に一致させることが可能と
なる。よって、この方法によれば、第2方向加減速の実
行時間が第1方向加減速の実行時間より長い場合に、工
具の第1方向における送り速度を低下させることなく、
第1方向加減速の実行時間と等しい時間で工具が空加工
経路を通過可能となる。さらに、この方法においては、
第2方向加減速が空加工経路の始点より上流側の位置か
ら開始される。したがって、この方法によれば、第1方
向加減速の実行時間と等しい時間で工具が空加工経路を
通過可能となることと、第2方向加減速が空加工経路の
始点より上流側の位置から開始されることとの共同によ
り、第2方向加減速が、工具の第1方向における加速開
始と同時に工具の第2方向における減速が開始され、か
つ、工具の第1方向における減速終了と同時に工具の第
2方向における加速が終了するように行われる場合に比
較して、工具が先の実加工経路の始点から後の実加工経
路の終点まで送られる際の所要送り時間が短縮される。
この方法において「実加工経路」は、工具の送りに工具
がワークを加工する動作が伴われる経路をいい、これに
対して、「空加工経路」は、工具の送りに加工動作が伴
われない経路をいう。「実加工経路」の一例が前述の切
削動作経路であり、「空加工経路」の一例が前述のピッ
ク動作経路である。また、この方法において「後の実加
工経路」の向きは、先の実加工経路と平行としたり、非
平行とすることができ、また、先の実加工経路とほぼ同
じとしたり、ほぼ逆とすることができる。 (2) 前記加工機による工具の送りについて最大加減速度
が設定されており、工具が先および後の実加工経路をそ
れぞれ通過する際の送り速度の指令値である先および後
の指令送り速度が設定されており、前記第1方向加減速
実行工程が、空加工経路の始点と終点とをそれぞれ第1
加速開始点と第1減速終了点とに設定し、前記第1方向
加減速を、前記第1速度成分がその設定された第1加速
開始点と第1減速終了点との間において、0から前記最
大加減速度と実質的に等しい実質最大加減速度で増加し
て実質最大速度に到達した後に実質最大加減速度で減少
して0に到達するように実行し、それにより、第1方向
加減速を実質最短時間で終了させるものであり、前記第
1工程が、先の実加工経路のうち空加工経路との接続点
を除く部分と後の実加工経路のうち空加工経路との接続
点を除く部分とに第2減速開始点と第2加速終了点とを
それぞれ設定し、前記第2方向加減速を、前記第2速度
成分がその設定された第2減速開始点と第2加速終了点
との間において、前記先の指令送り速度から実質最大加
減速度で減少した後に実質最大加減速度で増加して前記
後の指令送り速度に到達するように実行するものである
(1) 項に記載の工具送り速度制御方法〔請求項2〕。こ
の方法においては、第1方向加減速が実質最短時間で終
了するように行われ、結局、その実質最短時間で工具が
空加工経路を通過させられる。よって、この方法によれ
ば、工具が空加工経路を通過する時間が短縮される。こ
の方法において、第1方向加減速実行工程に関する記載
である「実質最大加減速度で増加して実質最大速度に到
達した後に実質最大加減速度で減少する」における「増
加」および「減少」はそれぞれ、第1速度成分の絶対値
が増加および減少するという意味であり、また、それに
準じて、第2方向加減速実行工程に関する記載である
「先の指令送り速度から実質最大加減速度で減少した後
に実質最大加減速度で増加して」における「減少」およ
び「増加」も、第2速度成分の絶対値が減少および増加
するという意味である。速度成分に関する「増加」およ
び「減少」なる字句についての解釈は他の項においても
同様である。また、「先の指令送り速度」は、工具が先
の実加工経路を通過する際の送り速度として、工具が先
の実加工経路を通過する際に加減速されることを予定し
ないで作業者により指令されるものであり、同様にし
て、「後の指令送り速度」は、工具が後の実加工経路を
工具が通過する際の送り速度として、工具が後の実加工
経路を通過する際に加減速されることを予定しないで作
業者により指令されるものである。第1方向加減速の実
行時間は例えば、先の実加工経路と後の実加工経路間と
の距離を工具の第1方向における実質最大加減速度で割
り算した値の平方根を求めることにより求めることがで
きる。また、第2方向加減速の実行時間は例えば、先お
よび後の指令送り速度を工具の第2方向における実質最
大加減速度で割り算することにより求めることができ
る。 (3) 前記第2方向加減速実行工程が、前記第2方向加減
速の実行時間が前記第1方向加減速の実行時間より短い
場合に、その第2方向加減速を、空加工経路の始点を実
行開始点、終点を実行終了点とするとともに、前記第2
速度成分が0に維持される期間を有するように実行する
第2工程を含む(1) または(2) 項に記載の工具送り速度
制御方法〔請求項3〕。この方法によれば、第2方向加
減速の実行時間が第1方向加減速の実行時間より短い場
合でも、第1方向加減速の実行時間と等しい時間で工具
が空加工経路を通過可能となる。 (4) 前記第2方向加減速実行工程が、前記第2方向加減
速の実行時間が前記第1方向加減速の実行時間より短い
場合に、その第2方向加減速を、空加工経路の始点を実
行開始点、終点を実行終了点とするとともに、工具の前
記第2方向における加減速度が予定値より低くなるよう
に実行する第3工程を含む(1) ないし(3) 項のいずれか
に記載の工具送り速度制御方法。この方法において「予
定値」は例えば、前記(2) 項における「実質最大加減速
度」とすることができる。 (5) さらに、前記第1および第2方向加減速と並行し
て、前記送り速度の、前記第1方向と前記第2方向との
双方に直角な第3方向における第3速度成分が、空加工
経路の始点と終点との間において、増加および減少をそ
れらの順に行うことを少なくとも1回繰り返す第3方向
加減速を実行する第3方向加減速実行工程を含む(1) な
いし(4) 項のいずれかに記載の工具送り速度制御方法。 (6) 前記ワークが、前記先および後の実加工経路を規定
するデータを含むNCデータを作成するCAM工程と、
その作成されたNCデータに基づいて前記加工機により
前記工具を送ることにより、前記ワークをNC加工する
NC加工工程とがそれらの順に行われることにより、加
工されるものである(1) ないし(5) 項のいずれかに記載
の工具送り速度制御方法。 (7) 当該工具送り速度制御方法が、前記CAM工程にお
いて実施されるものであり、それにより、前記NCデー
タが、さらに、前記第2方向加減速時間が前記第1方向
加減速時間より長い場合に、(a) 前記第2方向加減速の
実行開始点および実行終了点と、前記空加工経路上の、
前記第2速度成分が0となる点とのうち少なくとも前者
を規定するデータと、(b) 先および後の実加工経路なら
びに空加工経路における工具の送り速度を規定するデー
タとのうち少なくとも前者のデータを含む(6) 項に記載
の工具送り速度制御方法。 (8) 前記NC工程において実施される(6) 項に記載の工
具送り速度制御方法。 (9) (1) ないし(8) 項のいずれかに記載の工具送り速度
制御方法を実施するためにコンピュータにより実行され
るプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記
録媒体〔請求項4〕。この記録媒体に記録されたプログ
ラムをコンピュータにより実行すれば、工具が先の実加
工経路の始点から後の実加工経路の終点まで送られる際
の所要送り時間を容易に短縮し得る。ここにおける「記
録媒体」には例えば、フロッピーディスク,磁気テー
プ,磁気ディスク,磁気ドラム,磁気カード,光ディス
ク,光磁気ディスク,ROM,CD−ROM,ICカー
ド,穿孔テープ等がある。 (10)(1) ないし(8) 項のいずれかに記載の工具送り速度
制御方法を実施するために、前記第1,第2および第3
速度成分のうち少なくとも一つを決定することを特徴と
する工具送り速度決定方法。 (11)(10)項に記載の工具送り速度決定方法を実施するた
めにコンピュータにより実行されるプログラムを記録し
たコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 (12)(1) ないし(8) 項のいずれかに記載の工具送り速度
制御方法を実施することにより、前記ワークを前記工具
により加工するワーク加工方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な一
実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】本実施形態である工具送り速度制御方法
は、図1に示すように、工具としてのカッタ10により
ワーク12をNC(Numerical Control )加工で切削す
るためにカッタ10を加工機14により送る際の送り速
度を制御する方法である。カッタ10の一例は回転工具
としてのエンドミルであり、ワーク12の一例は金型で
あり、カッタ10によりワーク12を加工する方式の一
例は、ワーク12の表面をカッタ10で走査しながら加
工する走査線加工である。
【0020】ワーク12をNC加工するためには、同図
に示すように、設計工程としてのCAD(Computer Aid
ed Design )工程と、製造工程のうちのデータ作成工程
としてのCAM(Computer Aided Manufacturing)工程
と、製造工程のうちの加工工程としてのNC加工工程と
がそれらの順に実行される。そして、本実施形態は、そ
れら3つの工程のうちのCAM工程に対して本発明を実
施した場合の一形態である。したがって、以下、まず、
CAD工程とCAM工程とNC加工工程とを概略的に説
明し、次に、CAM工程のみを詳細に説明する。
【0021】CAD工程においては、作業者からの指令
等に基づき、ワーク12の目標加工形状がサーフェスモ
デル,ソリッドモデル等で記述され、ワーク12の形状
を規定するワーク形状データが作成される。
【0022】このCAD工程は、CADシステム20に
より実行される。CADシステム20は、後に詳述する
CAMシステムと同様な構成であるため、詳細な説明は
省略する。
【0023】CAM工程においては、CAD工程から入
力されたワーク形状データに基づき、NC加工の際にカ
ッタ10の基準点(例えば、カッタ中心)を通過させる
べき複数のカッタ通過点CL(Cutter Location )を計
算するCL計算が行われ、その計算された複数のカッタ
通過点CLに基づき、それらカッタ通過点CLによって
構成される点列を規定するカッタ点列データが作成され
る。ここに、「カッタ通過点CL」は、連続的な工具経
路CP上において離散的に位置する点であり、また、
「工具経路CP」は、ワーク12の目標加工表面からカ
ッタ10のアプローチ側にカッタ形状寸法(例えば、カ
ッタ半径)に基づく量だけオフセットした経路である。
【0024】さらに、CAM工程においては、作成され
たカッタ点列データをNC加工工程での処理に適した形
式に変換するポスト処理が行われ、その変換されたデー
タがNCデータとされる。NCデータには、各カッタ通
過点CLの位置を規定するためのCLデータと、工具経
路CPが複数のカッタ通過点CLで分割された複数のブ
ロックの各々においてカッタ10が切削動作を行うかピ
ック動作を行うのかを指令する動作モード指令データと
が含まれている。
【0025】このCAM工程はCAMシステム30によ
り実行される。CAMシステム30は、図2に示すよう
に、コンピュータ32を主体として構成されており、コ
ンピュータ32は、プロセッサ(例えば、CPU)34
とメモリ(例えば、ROMとRAM)36とを含む構成
とされており、フロッピーディスクドライブ等、外部記
憶装置38においてフロッピーディスク等、記録媒体4
0から読み込まれたプログラムが一時的にメモリ36に
取り込まれ、必要に応じてプロセッサ34により実行さ
れ、これにより、ワーク形状データに基づくカッタ点列
データ作成とNCデータ作成とが順に行われる。作業者
からの指令はキーボード,マウス等、入力装置42を介
してコンピュータ32に入力可能となっており、また、
コンピュータ32の処理結果はCRT,液晶ディスプレ
イ,プリンタ,プロッタ等、出力装置44を介して作業
者に出力可能となっている。
【0026】NC加工工程においては、図1に示すよう
に、入力されたNCデータに基づき、加工機14により
カッタ10を送るために加工機14に周期的に供給する
ことが必要な送り指令信号(例えば、各軸指令パルス)
が作成される。具体的には、NCデータに基づき、工具
経路CPが複数のカッタ通過点CLで分割された複数の
ブロックの各々について個々にカッタ10の送り速度が
決定され、その送り速度でカッタ10が送られるように
各送り指令信号が各ブロック毎に作成され、その作成さ
れた送り指令信号が加工機14に供給される。その結
果、加工機14によりカッタ10が工具経路CPに沿っ
て送られ、ワーク12が目標形状に加工される。
【0027】このNC加工工程は、制御装置としてのD
NC(Direct Numerical Control)システム50とCN
C(Computerized Numerical Control)システム52と
により加工機14が制御されることにより、実行され
る。DNCシステム50にCNCシステム52が接続さ
れ、このCNCシステム52により加工機14が制御さ
れてカッタ10とワーク12とが相対移動させられ、こ
れにより、ワーク12が目標形状に加工される。加工機
14は複数の制御軸としてX軸,Y軸およびZ軸を有し
ており、カッタ10はそれら各制御軸毎に送り速度が制
御される。なお、DNCシステム50およびCNCシス
テム52は、前述のCAMシステム30と同様な構成で
あるため、詳細な説明を省略する。
【0028】以下、CAM工程を詳細に説明する。いわ
ゆるCAM工程においては一般に、複数のカッタ通過点
CLを決定する際に、NC加工工程において工具経路C
Pの各ブロックについて決定されることとなるカッタ1
0の送り速度を想定して考慮することは不可欠でない。
しかし、それでは、NC加工工程において送り速度を適
正に決定してもカッタ10の所要送り時間(加工時間)
を十分に短くすることができない。そこで、本実施形態
においては、CAM工程において、先に決定された複数
のカッタ通過点CLに追加することが必要なカッタ通過
点である追加点が、所要送り時間が極力短くなる送り速
度がNC加工工程において決定されることとなるように
決定される。
【0029】しかし、そのようにして最終的に決定され
た複数のカッタ通過点CLをNC加工工程に出力するの
みでは、NC加工工程において決定される送り速度が、
CAM工程において想定された送り速度に十分に近いも
のとなる保証はない。そこで、本実施形態においては、
CAM工程において追加点を決定する際に想定した送り
速度もNC加工工程に出力されるようになっている。よ
って、NC加工工程においては、複数のカッタ通過点C
Lと送り速度との双方に基づき、加工機14に出力すべ
き送り指令信号が作成されることになる。
【0030】そして、本実施形態におけるCAM工程に
おいては、その追加点の決定が、切削経路CPのうちカ
ッタ10が先の走査線から後の走査線にカッタ10のピ
ック動作を伴って反転する部分について行われる。具体
的には、カッタ10が先の切削動作ブロック(先の走査
線の終点近傍に位置する)から、それとは逆向きにかつ
平行に延びる後の切削動作ブロック(後の走査線の始点
近傍に位置する)に、ピック動作が行われるピック動作
ブロックを経て反転する際の所要送り時間が極力短くな
る送り速度がNC加工工程において決定されることとな
るように行われる。ここに、先の切削動作ブロックは
「先の実加工経路」の一例であり、後の切削動作ブロッ
クは「後の実加工経路」の一例であり、ピック動作ブロ
ックは「空加工経路」の一例である。
【0031】図3には、カッタ10がピック動作時およ
びその近傍時に描くべき経路が斜視図で概念的に示され
るとともに、カッタ10が反転する際にカッタ10の3
つの速度成分が時間と共に変化する様子が示されてい
る。同図には、説明の便宜上、先および後の切削動作ブ
ロックが共にX方向に延びるとともに、ピック動作が、
カッタ10のX方向における送り(X方向加減速)およ
びY方向における送り(Y方向加減速)とZ方向におけ
る上昇・下降(Z方向加減速)とにより行われる場合が
示されている。3つの速度成分は、X方向成分とY方向
成分とZ方向成分とであり、X方向は「第2方向」、Y
方向は「第1方向」、Z方向は「第3方向」にそれぞれ
対応し、また、X方向成分は「第2速度成分」、Y方向
成分は「第1速度成分」、Z方向成分は「第3速度成
分」にそれぞれ対応する。
【0032】同図から明らかなように、本実施形態にお
いては、ピック動作時には、カッタ10が、X方向にお
ける減速および加速(図において細線で示す)と、Y方
向における加速および減速(図において破線で示す)
と、Z方向における上昇(加速・減速)および下降(加
速・減速)(図において一点鎖線で示す)とが時期的に
互いにオーバラップするように送られる。X方向加減速
は「第2方向加減速」、Y方向加減速は「第1方向加減
速」、Z方向加減速は「第3方向加減速」にそれぞれ対
応する。
【0033】このCAM工程においては、追加点を決定
するために場合分けが行われる。以下、この場合分けを
説明する。
【0034】ところで、このCAM工程においては、送
り速度のY方向成分が、ピック動作ブロックの始点であ
る第1加速開始点から終点である第1減速終了点まで、
0から最大加減速度で増加して最大速度に到達した後に
最大加減速度で減少して0に到達するように決定され
る。それにより、カッタ10がY方向においてピック動
作ブロックを最短時間で通過させられる。ここに、最大
加減速度は、加工機14によるカッタ10の送りについ
て設定されているものである。このように決定されたY
方向成分に従ってNC加工工程においてカッタ10が加
工機14により送られれば、カッタ10のY方向加減速
が行われることになる。
【0035】このY方向加減速の実行時間であるY方向
加減速時間Ty は、カッタ10のY方向における最大加
減速度をGy とし、また、先の切削動作ブロックと後の
切削動作ブロックとの距離をL(ピック送り量)とすれ
ば、 Ty =2・√(L/Gy ) で求めることができる。
【0036】これに対して、送り速度のX方向成分は、
先の指令送り速度から最大加減速度で減少して0となっ
た後に最大加減速度で増加して後の指令送り速度に到達
するように決定される。ここに、先の指令送り速度は、
カッタ10が先の切削動作ブロックを通過する際の送り
速度の指令値であり、後の指令送り速度は、カッタ10
が後の切削動作ブロックを通過する際の送り速度の指令
値である。このように決定されたX方向成分に従ってN
C加工工程においてカッタ10が加工機14により送ら
れれば、カッタ10のX方向加減速が行われることにな
る。
【0037】このX方向加減速の実行時間であるX方向
加減速時間Tx は、先の指令送り速度と後の指令送り速
度とが互いに等しいと仮定した上でいずれもVとし、ま
た、カッタ10のX方向における最大加減速度をGx
すれば、カッタ10がX方向に減速開始点を通過する際
の速度はV、X方向に加速終了点を通過する際の速度も
Vとなるため、 Tx =2・V/Gx で求めることができる。
【0038】場合分けは、X方向加減速時間Tx (=2
・V/Gx )とY方向加減速時間T y (=2・√(L/
y ))との大小比較により行われる。
【0039】X方向加減速時間Tx がY方向加減速時間
y より長い場合には、X方向加減速のうちの減速の開
始点が先の切削動作ブロックの途中に設定されるととも
に、X方向加減速のうちの加速の終了点が後の切削動作
ブロックの途中に設定される。さらに、ピック動作ブロ
ックの中点も設定される。追加点が、それら減速開始点
および加速終了点と、ピック動作ブロックの中点とから
構成されるのである。以下、この追加点の設定手法を図
4に示す一例に基づいて説明する。
【0040】なお、この例においては、先の切削動作ブ
ロックが点Aと点Bとで規定され、ピック動作ブロック
が点Bと点Dとで規定され、後の切削動作ブロックが点
Dと点Eとで規定されている。また、点Cは、ピック動
作ブロックの中点を示している。また、点A’は、先の
切削動作ブロックの途中に設定される減速開始点を示
し、点E’は、後の切削動作ブロックの途中に設定され
る加速終了点を示している。また、点AのX座標値はX
a 、Y座標値はY1 で表され、点BのX座標値はXb
Y座標値はY1 で表され、点DのX座標値はXd 、Y座
標値はY2 で表され、点EのX座標値はXe 、Y座標値
はY2 で表されている。
【0041】また、追加点の設定手法は、カッタ10が
点Aから点Bを経て点Cに到達する経路について行う場
合と、カッタ10が点Cから点Dを経て点Eに到達する
経路について行う場合とで互いに共通するため、先の場
合を詳細に説明することにより、後の場合の説明を省略
する。
【0042】カッタ10が区間A’Bを通過するのに要
する所要時間T1 は、X方向加減速時間Tx の半値から
Y方向加減速時間Ty の半値を引き算することによって
求められる。すなわち、 T1 =V/Gx −√(L/Gy ) で求められるのである。また、カッタ10が区間BCを
通過するのに要する所要時間T2 は、Y方向加減速時間
y の半値として求められる。すなわち、 T2 =√(L/Gy ) で求められるのである。
【0043】よって、区間A’BのX軸方向長さD
1 は、 D1 =V・T1 −(1/2)・Gx ・T1 2 で求められる。また、区間A’CのX軸方向長さD
2 は、 D2 =(1/2)・Gx ・(T1 +T2 2 で求められる。
【0044】したがって、X方向減速開始点である点
A’のX座標値Xa ’は、 Xa ’=Xb −D1 で求められ、それのY座標値Ya ’は、 Ya ’=Y1 で求められる。また、Y方向加速終了点,Y方向減速開
始点,X方向減速終了点およびX方向加速開始点である
中点CのX座標値Xc は、 Xc =Xb +(D2 −D1 ) で求められ、それのY座標値Yc は、 Yc =(Y1 +Y2 )/2 で求められる。
【0045】また、点A’における送り速度V1 は、 V1 =V で求められ、Y方向加速開始点である点Bにおける送り
速度V2 は、 V2 =V−Gx ・T1 で求められ、中点Cにおける送り速度V3 は、 V3 =√(Gy ・L) で求められる。
【0046】以上、X方向加減速時間Tx がY方向加減
速時間Ty より長い場合を説明したが、以下、Y方向加
減速時間Ty 以下である場合を説明する。この場合、X
方向加減速のうちの減速の開始点がピック動作ブロック
の始点Bに設定されるとともに、X方向加減速のうちの
加速の終了点がピック動作ブロックの終点Dに設定され
る。さらに、ピック動作ブロックの中点も設定される。
追加点が、それら減速開始点および加速終了点と、ピッ
ク動作ブロックの中点とから構成されているのである。
以下、この追加点の設定手法を図5に示す一例に基づい
て説明する。
【0047】この場合、X方向加減速の途中において、
X方向成分が0に維持される区間B’D’が設定され
る。その結果、最終的なX方向加減速時間Tx が、もと
のX方向加減速時間Tx に、カッタ10が区間B’D’
を通過するのに必要な時間が加算されたものとなる。
【0048】カッタ10のX方向加減速により、送り速
度のX方向成分が先の指令送り速度Vから0に減少する
のに要する所要時間T3 は、 T3 =V/Gx で求められる。また、カッタ10のY方向加減速によ
り、送り速度のY方向成分が0から最大値に増加するの
に要する所要時間T4 は、 T4 =√(L/Gy ) で求められる。
【0049】したがって、区間BB’のX方向長さD3
は、 D3 =(1/2)・Gx ・T3 2 で求められ、また、Y方向長さD4 は、 D4 =(1/2)・Gy ・T4 2 で求められる。
【0050】よって、X方向減速終了点である点B’の
X座標値は、 Xb +{(1/2)・Gx ・T3 2} で求められ、それのY座標値は、 Y1 −(1/2)・Gy ・T3 2 で求められる。また、Y方向加速終了点およびY方向減
速開始点である中点CのX座標値Xc は、 Xc =Xb ’ で求められ、それのY座標値Yc は、 Yc =(Y1 +Y2 )/2 で求められる。
【0051】また、X方向減速開始点およびY方向加速
開始点である点Bにおける送り速度V4 は、 V4 =V で求められ、点B’における送り速度V5 は、 V5 =Gy ・T3 で求められ、中点Cにおける送り速度V6 は、 V6 =√(Gy ・L) で求められる。
【0052】記録媒体40に予め記録されていてコンピ
ュータ32により実行されるNCデータ作成プログラム
が図6にフローチャートで表されている。
【0053】本プログラムにおいては、まず、ステップ
S1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについ
ても同じとする。)において、工具経路CPが計算さ
れ、次に、S2において、場合分け処理が行われ、続い
て、S3において、追加点が算出され、その後、S4に
おいて、NCデータ化が行われる。以上で本プログラム
の一回の実行が終了する。
【0054】図7には、S1の詳細がフローチャートで
表されている。まず、S11において、CADシステム
20からワーク形状データが読み込まれる。次に、S1
2において、その読み込まれたワーク形状データに基づ
いてカッタ点列データが作成される。カッタ点列データ
は例えば、ワーク12の目標加工表面をカッタ10の加
工半径に基づく量でオフセットすることにより作成され
る。これにより、図4および図5の各例については、カ
ッタ点列が、点A(Xa,Y1 )、点B(Xb
1 )、点C(Xd ,Y2 )および点D(Xe ,Y2
を含むように求められることになる。このようにしてカ
ッタ点列データを作成することが、工具経路CPを計算
することを意味する。その後、S13において、その作
成されたカッタ点列データに動作モード指令データが付
加される。カッタ点列により規定される複数のブロック
の各々につき、カッタ10に切削動作を行わせるのかピ
ック動作を行わせるのかを表すデータが付加されるので
ある。以上でこのS1の実行が終了する。
【0055】図8には、S2の詳細がフローチャートで
表されている。まず、S21において、場合分け処理に
必要な変数の取り出しが行われる。変数には、指令送り
速度Vと、X軸方向における最大加減速度Gx と、Y軸
方向における最大加減速度G y と、ピック送り量L、す
なわち、ピック動作のY方向における送り量とがある。
指令送り速度Vおよびピック送り量Lは、CAM工程に
おいて作業者により指示されるCAM指示パラメータで
あり、これに対して、最大加減速度Gx および最大加減
速度Gy は、加工機14に設定されている機械パラメー
タである。次に、S22において、X方向加減速時間T
x とY方向加減速時間Ty との大小比較が行われる。具
体的には、X方向加減速時間Tx からY方向加減速時間
y を引き算した値が差Kとして演算される。以上でこ
のS2の実行が終了する。
【0056】図9には、S3の詳細がフローチャートで
表されている。まず、S31において、所要時間T1
4 が計算される。具体的には、差Kが0より大きい場
合、すなわち、X方向加減速時間Tx がY方向加減速時
間Ty より長い場合には、区間A’Bの所要時間T
1 と、区間BCの所要時間T2 とが前述のようにして計
算される。これに対して、差Kが0以下である場合、す
なわち、X方向加減速時間Tx がY方向加減速時間Ty
以下である場合には、区間BB’の所要時間T3 と、区
間BCの所要時間T4 とが前述のようにして計算され
る。
【0057】その後、S32において、区間長さD1
4 が計算される。具体的には、差Kが0より大きい場
合には、区間A’BのX軸方向長さD1 と、区間A’C
のX軸方向長さD2 とが前述のようにして計算される。
これに対して、差Kが0以下である場合には、区間B
B’のX軸方向長さD3 と、区間BB’のY軸方向長さ
4 とが前述のようにして計算される。
【0058】続いて、S33において、送り速度V1
6 が計算される。具体的には、差Kが0より大きい場
合には、点A’の送り速度V1 と、点Bの送り速度V2
と、点Cの送り速度V3 とが前述のようにして計算され
る。これに対して、差Kが0以下である場合には、点B
の送り速度V4 と、点B’の送り速度V5 と、点Cの送
り速度V6 とが前述のようにして計算される。
【0059】その後、S34において、絶対座標が計算
される。具体的には、差Kが0より大きい場合には、点
A’のX座標値Xa ’およびY座標値Ya ’と、点Cの
X座標値Xc およびY座標値Yc とが前述のようにして
計算される。これに対して、差Kが0以下である場合に
は、点B′のX座標値Xb ’およびY座標値Yb ’と、
点CのX座標値Xc およびY座標値Yc とが前述のよう
にして計算される。以上でこのS3の実行が終了する。
【0060】図10には、S4の詳細がフローチャート
で表されている。まず、S41において、差Kが0より
大きいか0以下であるかに応じ、各カッタ通過点CL毎
に、X座標値とY座標値と送り速度Vとが互いに関連付
けられ、それにより、NCデータが作成される。差Kが
0より大きい場合には、点Aと点A’と点Bと点Cとに
つき、それらの順に、かつ、それぞれにX,Y座標値お
よび送り速度が設定される。これに対して、差Kが0以
下である場合には、点Aと点Bと点B’と点Cとにつ
き、それらの順に、かつ、それぞれにX,Y座標値およ
び送り速度が設定される。次に、S42において、その
作成されたNCデータがNC加工工程に出力される。以
上でこのS4の実行が終了する。
【0061】以上、本発明の一実施形態を図面に基づい
て詳細に説明したが、この他にも、特許請求の範囲を逸
脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,
改良を施した形態で本発明を実施することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である工具送り速度制御方
法を実施されるCAM工程をCAD工程およびNC加工
工程と共に示す工程図である。
【図2】図1におけるCAMシステム30を示すブロッ
ク図である。
【図3】そのCAMシステム30により実行される工具
送り速度制御方法を説明するための斜視図およびグラフ
である。
【図4】その工具送り速度制御方法を説明するための工
具経路の平面図および送り速度の時間的変化を表すグラ
フである。
【図5】その工具送り速度制御方法を説明するための工
具経路の別の平面図および送り速度の時間的変化を表す
別のグラフである。
【図6】図2における記録媒体40に予め記録されてい
るNCデータ作成プログラムを示すフローチャートであ
る。
【図7】図6におけるS1の詳細を示すフローチャート
である。
【図8】図6におけるS2の詳細を示すフローチャート
である。
【図9】図6におけるS3の詳細を示すフローチャート
である。
【図10】図6におけるS4の詳細を示すフローチャー
トである。
【図11】カッタ送り速度制御方法の一従来例を説明す
るための工具経路の斜視図および送り速度の時間的変化
を表すグラフである。
【図12】その従来方法の一変形例を説明するための工
具経路の平面図および送り速度の時間的変化を表すグラ
フである。
【図13】カッタ送り速度制御方法の別の従来例を説明
するための工具経路の平面図および送り速度の時間的変
化を表すグラフである。
【符号の説明】
10 カッタ 12 ワーク 14 加工機 30 CAMシステム 32 コンピュータ 40 記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 誠二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 5H269 AB05 AB37 BB05 CC02 EE01 FF07 HH03 KK01 NN16 QA01 QA05 QB19 QC01 QC03 QC06 QD02 QD03 QD06 RC04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワークを工具により加工するためにその工
    具を加工機により、先の実加工経路からそれの延長線上
    にない後の実加工経路に空加工経路を経て送る際の送り
    速度を制御する方法であって、 その送り速度の、先および後の実加工経路の少なくとも
    一方と直角な第1方向における第1速度成分が、空加工
    経路の両端点のうち先の実加工経路側の始点と後の実加
    工経路側の終点との間において増加した後に減少する第
    1方向加減速を実行する第1方向加減速実行工程と、 その第1方向加減速と並行して、前記送り速度の、先お
    よび後の実加工経路の少なくとも一方と平行な第2方向
    における第2速度成分が減少した後に増加する第2方向
    加減速を実行する第2方向加減速実行工程であって、第
    2方向加減速の実行時間が前記第1方向加減速の実行時
    間より長い場合に、第2方向加減速を、先の実加工経路
    のうち空加工経路との接続点を除く部分に設定された点
    を実行開始点、後の実加工経路のうち空加工経路との接
    続点を除く部分に設定された点を実行終了点として実行
    する第1工程を有するものとを含むことを特徴とする工
    具送り速度制御方法。
  2. 【請求項2】前記加工機による工具の送りについて最大
    加減速度が設定されており、工具が先および後の実加工
    経路をそれぞれ通過する際の送り速度の指令値である先
    および後の指令送り速度が設定されており、 前記第1方向加減速実行工程が、空加工経路の始点と終
    点とをそれぞれ第1加速開始点と第1減速終了点とに設
    定し、前記第1方向加減速を、前記第1速度成分がその
    設定された第1加速開始点と第1減速終了点との間にお
    いて、0から前記最大加減速度と実質的に等しい実質最
    大加減速度で増加して実質最大速度に到達した後に実質
    最大加減速度で減少して0に到達するように実行し、そ
    れにより、第1方向加減速を実質最短時間で終了させる
    ものであり、 前記第1工程が、先の実加工経路のうち空加工経路との
    接続点を除く部分と後の実加工経路のうち空加工経路と
    の接続点を除く部分とに第2減速開始点と第2加速終了
    点とをそれぞれ設定し、前記第2方向加減速を、前記第
    2速度成分がその設定された第2減速開始点と第2加速
    終了点との間において、前記先の指令送り速度から実質
    最大加減速度で減少した後に実質最大加減速度で増加し
    て前記後の指令送り速度に到達するように実行するもの
    である請求項1に記載の工具送り速度制御方法。
  3. 【請求項3】前記第2加減速実行工程が、前記第2方向
    加減速の実行時間が前記第1方向加減速の実行時間より
    短い場合に、第2方向加減速を、空加工経路の始点を実
    行開始点、終点を実行終了点とするとともに、前記第2
    速度成分が0に維持される期間を有するように実行する
    第2工程を含む請求項1または2に記載の工具送り速度
    制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の工具
    送り速度制御方法を実施するためにコンピュータにより
    実行されるプログラムを記録したコンピュータ読み取り
    可能な記録媒体。
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