JP2000311010A - 軌跡制御装置、プログラム作成装置およびプログラム変換装置 - Google Patents

軌跡制御装置、プログラム作成装置およびプログラム変換装置

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JP2000311010A
JP2000311010A JP11119242A JP11924299A JP2000311010A JP 2000311010 A JP2000311010 A JP 2000311010A JP 11119242 A JP11119242 A JP 11119242A JP 11924299 A JP11924299 A JP 11924299A JP 2000311010 A JP2000311010 A JP 2000311010A
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Tomonori Sato
智典 佐藤
Kan Nakai
勘 仲井
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経路要素の集合により表現された経路とその
経路上を移動する指令送り速度を記述されたプログラム
に基づき機械の速度を制御する軌跡制御装置において、
経路要素自身をより細かくすることなく、加工面の品位
や効率を上げることができる装置を得る。 【解決手段】 指令された前記各経路要素とその指令送
り速度に加えて、付加形状情報、付加速度制御情報のい
ずれか少なくとも一つが指令されたプログラムを読み取
るプログラム読み込み部、このプログラム読込部によっ
て読み込まれた前記経路要素および前記付加形状情報、
付加速度制御情報に基づいて許容速度を求める前処理
部、および前記許容速度に基づいて加減速制御を行う加
減速・補間部とを備えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、工作機械の数値
制御装置、ロボットコントローラ、モーションコントロ
ーラ等の軌跡制御装置、CAMや自動プログラム作成装
置等のプログラム作成装置、およびプログラム変換装置
に関するものである。特に、自由曲面が微小線分や微小
円弧の集合として表現されたプログラムに基づいて加工
を行なう軌跡制御装置、前記プログラムを生成するCA
M、および前記プログラムを最適化するプログラム変換
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11は一般に金型に代表される自由曲
面からなる製品形状を加工する方法を示す図である。図
において、1は工具であり、2が製品形状、3Aから3
Cは経路である。経路3A〜3Cは工具1の中心を通
り、工具1の刃先が製品形状2に接触するような経路で
あるため、経路3A〜3Cは製品形状2上から工具1の
刃先の丸み分だけオフセットされている。製品形状2に
対して工具1の刃先の丸み分だけオフセットした経路を
求めることを工具オフセット処理とよび、一般にCAM
等で行われる。
【0003】図12は経路3A〜3Cの一部分を拡大し
て表示した図である。図において、2は製品形状、4は
理想的に製品形状2からオフセットされた本来の経路、
5は本来の経路4を近似的に表現した微小線分、6は微
小線分5の端点(始点、終点)を示す。一般に自由曲面
から構成される製品形状2をオフセットさせた本来の経
路4は非常に複雑な式で与えられるか、あるいは数学的
にも陽に解けない場合が多いので、このように微小な直
線、あるいは微小な円弧、場合によっては微小な区間か
らなるスプライン曲線やNURBS曲線の集合に近似し
て定義される。以下では微小な直線、円弧、あるいはス
プライン曲線やNURBSの一区間を経路要素と呼ぶこ
とにする。
【0004】図13は従来の数値制御装置で用いられて
いるプログラムの例を示す図である。プログラムの各行
はブロックと呼ばれ、1ブロックが一つの経路要素に対
応する。図において、G1は形状の種類が直線であるこ
とを示し、F3000は指令送り速度が3000mm/
minであることを示す。また各行はそれぞれの経路要
素に対応し、X,Y,Zに続く値はそれぞれのX軸、Y
軸、Z軸の座標値を示している。
【0005】図14は従来の数値制御(NC)装置の構
成を示すブロック図である。図において、10は数値制
御装置(NC装置)であり、プログラム読み込み部1
2、前処理部15、および加減速・補間部17から構成
される。プログラム11には図示しない工作機械を動か
したい経路が記述されている。数値制御装置10はプロ
グラム11を読み込んで、最終的にサーボ制御部19に
位置指令18を送る。サーボ制御部19は図示しないモ
ータを制御することにより図示しない工作機械を動か
す。なお、ここではサーボ制御部19へ位置指令18を
送るように説明したが、速度指令や電流指令を送る場合
もあるものの、どの指令を送るかは本発明の内容とは関
係がなく、どの指令を送る場合でも本発明は有効であ
る。
【0006】数値制御装置10の内部においては、プロ
グラム読み込み部12がプログラム11を読み込んで解
釈し、プログラム11の各ブロックに指令されている経
路要素13と指令送り速度14を求める。次に前処理部
15は経路要素13と指令送り速度14に基づいて、座
標系処理、経路要素13の長さや接線ベクトル等の補間
に必要なデータの計算、形状に応じた許容速度の計算等
の前処理を行なう。さらに、加減速・補間部17は前処
理の結果16を用いて、加減速および補間を行ない、サ
ーボ制御部19に位置指令18を送る。
【0007】工具1が動く経路3はこのようにプログラ
ム11に指令されているのであるが、実際には機械やサ
ーボ系に追従遅れがあるので、現実には工具1はこの経
路3上から外れて、軌跡誤差を生じたり、あるいは機械
振動を起こしたりする恐れがある。これらは、特に小径
の円弧やコーナー部など大きく移動方向が変わる箇所に
おいて顕著であり、経路3上を移動する送り速度が大き
いほど、これら軌跡誤差や機械振動は大きくなる。した
がって、これらの問題を避けるためには、大きく移動方
向が変わる箇所において減速する必要がある。従来の数
値制御装置10では、(1)急峻に曲がる箇所での減
速、(2)コーナー部での減速、を行なうことにより上
記問題に対処している。
【0008】図15は急峻に曲がっている箇所を含む経
路の例を示す図であり、図において、2は製品形状、3
は経路、7は急峻に曲がっている箇所を示す。この例で
は急峻に曲がっている箇所7において減速をする必要が
ある。一般には、特開昭63−106809号公報に示
されたように経路要素13において経路の曲率(ないし
はその逆数の曲率半径R)に基づいて所定の速度Fkま
で減速ことが有効である。Fkは具体的には以下の式で
与えられる。 Fk=√(kaR) ・・・(式1) ここでaは許容加速度であり、kは許容加速度を調整す
る精度係数である。またRは経路要素13における曲率
半径を何らかの方法で推定したものである。推定する方
法は、近傍の経路要素13に円弧等を当てはめ、その半
径に基づく方法(特開平02−110711号公報)が
一般的に知られている。
【0009】一方、図16はコーナー部を含む経路の例
を示す図であり、図において、2は製品形状、3は経
路、8は製品形状2を構成するある曲面22aと他の曲
面22aの境界を示す稜線、9はコーナー部(稜線8に
対応する経路3上の点)である。この例ではコーナー部
9において、特開平02−137006号公報に示され
るように、隣接する経路要素13間の角度等に応じて所
定の速度Fcまで減速するような制御を行なうことが有
効である。隣接する経路要素13間の角度をθとする
と、Fcは具体的には以下の式で与えられる。 Fc=akΔt/√{2(1−cosθ)} ・・・(式2) ここでΔtは補間周期である。
【0010】一方、図14におけるプログラム11は一
般にCAM等のプログラム作成装置で作成される。図1
9は従来のCAMの構成を示すブロック図である。図に
おいて、CAM30は製品形状データ読み込み部32、
経路生成部34、およびプログラム出力部36から構成
される。製品形状データ読み込み部32は自由曲面で表
現された製品形状ファイル33を読み込んで、製品形状
2を保持する。次に経路生成部34が、製品形状2に対
して、与えられた条件35(後述の加工モード、トレラ
ンス等)に従って、自由曲面上を工具1がなぞる経路要
素13と指令送り速度14を生成する。最後にプログラ
ム出力部36が経路要素13と指令送り速度14をプロ
グラム11に出力する。
【0011】工具1が自由曲面上をなぞる経路3のパタ
ーンはいろいろあり、例えば特定の平面に平行に往復送
りで進むパターン、Z軸の高さが等しい部分を進むパタ
ーン等あり、これは経路生成時の加工モードと呼ばれ
る。また微小な直線で近似しながら経路要素13を計算
する際には、近似誤差が所定の値(これをトレランスと
呼ぶ)に入るように微小直線の長さを調節することが一
般的に行なわれている。
【0012】また場合によっては、微小な直線で表現さ
れたプログラム11は、より滑らかな加工面を得るため
に、プログラム変換装置が、微小線分で表現されたプロ
グラム11の一部の滑らかな箇所を微小な円弧の集合
や、微小な区間からなるNURBS曲線に置き換えて出
力することがある。図12は従来のプログラム変換装置
を示すブロック図である。図において、プログラム変換
装置50は、プログラム11を読み込んで解釈し、経路
要素13と指令送り速度14を求める。次に、プログラ
ム修正部52が経路要素13と指令送り速度14を修正
して、新たに修正後の経路要素13bと修正後の指令送
り速度14bを計算する。さらにプログラム出力部53
は修正後の経路要素13bと修正後の指令送り速度14
bをプログラム11bに出力する。ここで経路要素13
の修正は、例えば微小線分をより滑らかにするために滑
らかに曲がっている箇所を円弧等で近似しこれを修正後
の経路13bとしたり、あるいは微小線分から近似的に
推定した曲率半径と設定された許容加速度から許容速度
を求め、これを修正後の指令送り速度14bとしたりす
るなどが行われる。これらの方法は数値制御装置10で
行われている方法に類似している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法で
は、プログラム11に記載された経路は、直線や円弧に
近似された経路5であるため、本来の経路4とはズレが
ある。そのためコーナー部では、直線や円弧に近似され
た経路5の角度は本来の経路4の持つ角度とずれてしま
うことがよく起こりうる。また滑らかな部分でも、直線
や円弧に近似された経路5の曲率は本来の経路4の持つ
曲率とずれてしまうことがよく起こりうる。これは本来
の経路4を直線や円弧に近似する際の、情報の欠落とも
いえる。このように本来の角度や曲率が正しく計算でき
ないと、正しい加減速制御ができず、機械振動や軌跡誤
差を生じさせ、それが加工面に傷を残すことになる。こ
れは数値制御装置10内でこの処理を行なっても、プロ
グラム変換装置50で行なっても、情報の欠落した近似
された経路5に基づいている以上同じことである。
【0014】図17は経路要素13に近似する際の誤差
により本来滑らかな曲線が一見ガタガタしているように
見える例を示す図である。経路3Dは本来の滑らかな曲
線に近いが、経路3Eでは端点P12〜P15の範囲で
S字状にうねった感じになっている。また経路3Fでは
P23〜P24の間が段差のようになっている。段差の
幅はCAM30のトレランス以下、例えば5μm程度で
あることが多い。これらは3D〜3Fはいずれも本来は
滑らかな曲線であるべきものが、CAM30における計
算誤差によって、ガタガタした経路となってしまってい
る。このような現象はCAM30の出力したデータでは
頻繁に見られるものである。
【0015】このような経路3E〜3Fに対して、上記
の急峻に曲がる箇所での減速やコーナー部での減速を当
てはめてみよう。まず経路3Dではほとんど減速しない
ので、指令送り速度14に応じた所定の経路誤差(例え
ば50μm)が生じる。次に経路3EではS字状の部分
で経路3Dよりもやや曲がり方が強いので経路3Dより
やや低速に減速されるので、経路誤差は経路3Dよりも
やや小さくなる(例えば30μm)。一方、経路3Fで
はP23,P24で角度90度のコーナー部であると認
識して、ほとんど速度0まで減速するため、軌跡誤差が
このあたりだけほとんど0になる。このように、本来の
経路4からのわずかなずれが、送り速度の差を生じさ
せ、本来の経路4からのずれをさらに増幅させてしまう
結果を招くことになる。
【0016】図17の例では、本来の経路4は滑らかで
ある場合であり、経路3Dに対応する送り速度で加工す
るのが正解である。経路3E、3Fの箇所では不必要に
減速が生じていることになる。そのため加工時間が無駄
に延びてしまう。また経路3Eや3Fの特定の箇所だけ
周囲と比べて軌跡誤差が異なるので、軌跡誤差自身は減
速によって小さくなっているにもかかわらず、その箇所
だけ周辺に比べて削りすぎあるいは削り残して傷のよう
に見える結果となり、加工面の品位としても問題とな
る。金型加工においては、加工面に傷がなく、美麗に見
えることが重要視されるので、経路毎に軌跡誤差が同程
度であることが必要なのであり、特定の箇所だけ軌跡誤
差が小さいと、かえって傷に見えるわけである。
【0017】図17のように経路に誤差が含まれる場合
に対して、従来では、経路に含まれる誤差を取り除く方
法(特開平01−098001号公報、特開平10−2
40328号公報)や、より精密に円弧をあてはめる
(特開平01−036308号公報)こと等により、本
来の経路4を復元するような方法が提案されている。し
かし、これらの方法は、そもそも情報の欠落したデータ
から元の情報を推定するといった方法であり、完全にも
との経路を復元することは当然不可能である。金型加工
では1個所でも加減速制御が不正であれば、その箇所に
加工面に傷がつくので、製品品質としては失格となる。
【0018】また、図17の経路3Fのような場合で
も、本来は滑らかな経路である場合もあるが、図18の
ように製品形状2に段差が実際に含まれる場合もある。
後者の場合には段差を誤差として取り除くのは逆効果で
あり、段差部は段差部としてきっちりと減速を行なう必
要がある。製品形状2が実際にはどうなのかを、一旦微
小線分等に近似した後の経路5だけから推定することは
困難であり、完全にもとの経路を復元することは当然不
可能である。もちろん直線や円弧をより細かくしていけ
ば、近似した経路5は本来の経路4に近づいていくが、
CAM30やプログラム変換装置50での処理時間が非
常に長くなってしまうので、現実的には不可能である。
例えば、通常本来の経路4を直線や円弧に当てはめる際
の許容誤差量は10μm程度とするが、この場合では、
CAM30においてプログラム11を作成する時間と、
このプログラム11により数値制御装置10で実際に加
工を行なう時間は、大まかに言って同程度である。許容
誤差量を小さくしていけば、プログラム11を生成する
のにかかる時間は実際の加工時間の数倍、たとえば加工
が3時間なら、プログラム生成に30時間といった例も
しばしばある。従って、現実的な問題としては直線や円
弧をより細かくしていくことは困難である。
【0019】このような場合に、従来では、送り速度を
下げて全体的にゆっくり加工したり、許容加速度や精度
係数を下げて、より減速されるように変更したり、ある
いは加減速やサーボ制御に関するパラメータを調整した
りしていた。これらの方法は、経路の全体に対して影響
するため、たとえば1個所だけ発生した傷の箇所だけの
速度を調整しようとしてもできなかった。また、下手に
調整すると、ある箇所の傷はなくなっても、別の箇所に
傷が発生することが多々あった。もちろん傷の箇所に対
応する経路要素13に調整された送り速度を指定するこ
とは仕組み上は可能である。しかし何万から何十万もの
経路要素13からなるプログラム11から傷の箇所を特
定して、その箇所を手作業で修正するのは膨大な労力が
必要で、現実的にはほとんど行われない。また、指令送
り速度14以外の調整は従来は不可能であった。したが
って従来では局所的な速度調整が不可能であり、結果と
して全体的に速度を下げて、効率を落とすことになって
いた。
【0020】また、近似された経路5から本来の経路4
を復元するための処理は、近似された経路5の前後複数
の経路要素13を用いた複雑な処理を用いる必要があ
り、そのような処理を行なうとCPUの能力の制約によ
り処理が間に合わず、そのためにかえって効率が落ちる
ことになっていた。
【0021】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、経路要素13自身をより細かくす
ることなく、加工面の品位や効率を上げることのできる
軌跡制御装置を得ることを目的とする。
【0022】また、この発明は、経路の中の特定の箇所
の送り速度調整が容易な軌跡制御装置を得ることを目的
とする。
【0023】また、この発明は、経路要素13自身をよ
り細かくすることなく、加工面の品位や効率を上げるこ
とのできるプログラムを作成するプログラム作成装置を
得ることを目的とする。
【0024】また、この発明は、経路要素13からなる
プログラムを変換して、経路要素13自身をより細かく
することなく、加工面の品位や効率を上げることのでき
るプログラムを作成するプログラム変換装置を得ること
を目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の構成に
よる軌跡制御装置は、指令された前記各経路要素に加え
て、付加形状情報、付加速度制御情報のいずれか少なく
とも一つが指令されたプログラムを読み取り、前記経路
要素および前記付加形状情報、付加速度制御情報に基づ
いて加減速制御を行なうようにするものである。
【0026】また、この発明の第2の構成による軌跡制
御装置は、付加形状情報ないしは付加速度制御情報の少
なくとも一つが省略された場合には、前記プログラム読
み込み部によって読み込まれた各経路要素から付加形状
情報および付加速度制御情報の少なくとも一つを推定す
るようにしたものである。
【0027】また、この発明の第3の構成によるプログ
ラム作成装置は、各経路要素に加えて、付加情報計算部
が計算した付加形状情報、付加速度制御情報のいずれか
少なくとも一つも合わせてプログラムに出力するように
したものである。
【0028】また、この発明の第4の構成によるプログ
ラム変換装置は、前後の複数の経路要素から付加形状情
報、付加速度制御情報のいずれか少なくとも一つを計算
し、各経路要素に加えてプログラムに出力するようにし
たものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、添付図面によりこの発明の
実施の形態について説明する。尚、上記従来例と同様あ
るいは対応する部分には同一の符号を付した。
【0030】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形
態1による数値制御装置の構成を示すブロック図であ
る。図において、12aは付加形状情報と付加速度制御
情報をも指令されたプログラム11aを読み込むことが
できるプログラム読込部であり、経路要素13、指令送
り速度14に加えて、付加形状情報101と付加速度制
御情報102を出力する。15aは前処理部であり、経
路要素13、指令送り速度14に加えて、付加形状情報
101と付加速度制御情報102、さらには識別子別の
許容速度情報103を用いて前処理を行なう。また、前
処理部15aから付加形状情報101ないしは付加速度
制御情報102のうち加減速・補間部17ないしはサー
ボ制御部19で用いられるパラメータ104が前処理結
果16と合わせて加減速・補間部17に渡される。ま
た、加減速・補間部17からサーボ制御部19には、サ
ーボ制御部19で用いられるパラメータ105が位置指
令18とあわせて渡される。
【0031】ここで上記付加形状情報101とは、
(1)各経路要素13に分解する前の本来の経路4の属
性、(2)各経路要素13を生成する基となる製品形状
2の属性である。ここで(1)は自由曲線を微小線分等
に分解する前の本来の経路4の属性、すなわち自由曲線
の属性そのものであり、具体的には ・経路要素13の曲率半径(ないしは曲率)、 ・経路要素13間の角度、 ・経路要素13の端点6がコーナー部であることを示す
フラグ などがある。また、(2)は微小線分等の経路要素13
を生成する基となった製品形状2(正確には、それを構
成する曲面22)に関する属性であり、具体的には、 ・曲面22の曲率半径(ないしは曲率)、 ・曲面22の接線ベクトル、 ・曲面22の法線ベクトル、 ・特定の稜線8に対応することを示す識別子、 ・特定の曲面22に対応することを示す識別子、 ・許容誤差(公差) などがある。一方、付加速度制御情報102とは、指令
送り速度14以外の加減速制御に関する情報であり、具
体的には、許容速度、許容加速度、精度係数、加減速の
パラメータ(加減速タイプ、加減速時定数)、サーボ制
御のパラメータ(速度フィードフォワードゲイン、位置
ループゲイン等)などがある。
【0032】これらのうち、加減速・補間部17ないし
はサーボ制御部19で用いられる情報104は加減速の
パラメータ(加減速タイプ、加減速時定数)およびサー
ボ制御のパラメータ(フィードフォワードゲイン、サー
ボゲイン等)あり、前者は前処理部15aで用いられ、
後者はサーボ制御部19に送られサーボ制御部19で用
いられる。
【0033】図2はこれらの付加形状情報101や付加
速度情報102が指令されたプログラム11aの例を示
す図である。プログラム11aの各行はブロックと呼ば
れ、1ブロックが一つの経路要素13に対応する。図に
おいて、G1は形状の種類が直線であることを示し、F
3000は指令送り速度14が3000mm/minで
あることを示す。また各行はそれぞれの経路要素13に
対応し、X,Y,Zに続く値はそれぞれの座標値を示し
ている。Qは曲面22の識別子、Aは許容加速度、Rは
曲率半径、Dは隣接する経路要素13となす角度、Pは
稜線8の識別子である。それぞれの前に付加される@マ
ークは指令されたブロックでのみ有効(アンモーダル)
であることを示す修飾子である。@マークがなければ指
令後は以降のブロックでも保持される(モーダル)。な
お、ここでは@マークによりモーダルとアンモーダルを
明示的に区別したが、@マークを付けなくて各属性毎に
暗黙的にモーダルかアンモーダルを決めておいてももち
ろんよい。
【0034】さて、図2に示したようなプログラム11
aに対する数値制御装置10での処理を図1に従って説
明する。数値制御装置10の内部においては、プログラ
ム読み込み部12aがプログラム11aに記載された経
路要素13、指令送り速度14に加えて、付加形状情報
101と付加速度制御情報102を読み込んで解釈す
る。次に、プログラム11aの各ブロックに指令されて
いる経路要素13と指令送り速度14を求める。次に前
処理部15aは経路要素13と指令送り速度14に基づ
いて、座標系処理、経路要素13の長さや接線ベクトル
等の補間に必要なデータの計算、形状に応じた許容速度
の計算等の前処理を行なう。この許容速度の計算の際
に、前述の付加形状情報101や付加速度制御情報10
2を用いる。さらに、加減速・補間部17は前処理の結
果16を用いて、加減速および補間を行ない、サーボ制
御部19に位置指令18を送る。
【0035】前処理部15aの処理の例を具体的に示
す。図3は前処理部15aでの各経路要素13毎の処理
手順を示すフローチャートである。
【0036】まず、ST1では経路要素13、指令送り
速度14に加えて、指令されていれば付加形状情報10
1と付加速度情報102も読み込む。付加形状情報10
1と付加速度情報102は指令されていなければ、所定
のデフォルト値を用いる。
【0037】次にST2からST6でVkを計算する。
まずST2で、付加形状情報101のうち、曲率半径が
指令されているかをチェックする。ここで、もし曲率半
径が指令されていなければ、ST3で前後の経路要素1
3から曲率半径を推定する。推定の方法は前述の特開平
02−110711号公報等に示した方法等を用いると
よい。この推定した曲率を用いて式1に従いVkを求め
る。あるいは曲率半径がプログラムaに指令されていれ
ば、ST4でこの指令された曲率を用いて、式1に従い
Vkを求める。さらに、曲面22の識別子が指令されて
おり、かつ曲面22の識別子に対応する許容速度Vqが
指定されているかどうかをチェックする。ここでST5
の結果が真ならば、ST6で指令されている曲面22の
識別子に対応する許容速度Vqを取得し、このVqとS
T4で求めたVkのうち、小さいほうを改めてVkとお
く。
【0038】さらに、ST8からST11でVcを計算
する。まずST7で付加形状情報101のうち角度が指
令されているかをチェックする。ここで、角度が指令さ
れていなければ、ST8で、前後の経路要素13から角
度を求める。角度を求める方法は前述の特開平02−1
37006号公報等に示した方法等を用いるとよい。さ
らに求めた角度を用いて、式2に従いVcを求める。あ
るいは角度がプログラムaに指令されていれば、ST9
でこの指令された角度を用いて、式2に従いVcを求め
る。さらにST10で稜線8の識別子が指令されてお
り、かつ稜線8の識別子に対応する許容速度Vpが指定
されているかどうかをチェックする。ここでST10の
結果が真ならば、ST11でVpを取得し、このVpと
ST9で求めたVcのうち、小さいほうを改めてVcと
おく。
【0039】ここで、ST6、ST11で用いた許容速
度Vq,Vpについて詳しく説明する。表1は識別子別
の許容速度情報103を設定した表である。各稜線8お
よび各曲面22毎の許容速度が設定されている。ST6
では現在の曲面22の識別子に対応する許容速度を取得
し、それをVqとする。またST11では現在の稜線8
の識別子に対応する許容速度を取得し、それをVpとす
る。なお、ここでは許容速度そのものを設定するように
したが、Vk,Vcに乗じる割合を設定するようにし
て、ST6およびST11ではその割合を乗じるように
してももちろんよい。
【0040】
【表1】
【0041】図3のフローチャートの説明は以上であ
る。なお、図3においてはVkを求める処理(ST2〜
ST6)を先に行ない、次にVcを求める処理(ST7
〜ST11)を行なっているが、両者を逆の順番に行な
っても良い。つまり、Vcを求める処理(ST7〜ST
11)を先に行ない、次にはVkを求める処理(ST2
〜ST6)を行なっても構わない。図3の手順で得たV
kとVcは前処理部15aから加減速・補間部17に前
処理結果16として送られる。加減速・補間部17は上
記で求めたVk、Vcを用いて加減速処理を行なう。ま
たその際、加減速・補間部17では、前処理部15aよ
り送られた加減速のパラメータを利用して加減速処理を
行なう。さらに加減速結果に基づいて補間を行ない、各
軸の位置指令18を求める。また、サーボ制御部19で
は、位置指令18およびサーボ制御のパラメータ105
に基づいて、サーボ制御を行なう。
【0042】図2に示したプログラム11aの例に対し
て図3で示したフローチャートを当てはめた処理を具体
的に説明する。
【0043】まずブロック1では曲面22の識別子が
1、許容加速度が500であると指令されている。これ
らはモーダル指令なので、後続のブロックでも同じ値が
用いられる。
【0044】次にブロック2では、X,Y,Zの座標値
だけが指令されている。そのため、ST3,ST8の処
理により、Vk、Vcが求められる。また、ST5では
曲面22識別子が1に対応する許容速度Vqが2500
と指定されているので、ST6でST3で求めたVkと
2500の小さいほうが改めてVkとして求められる。
【0045】ブロック3では、このブロックの曲率半径
が25.0で、角度が90と指定されているので、これ
らの値を用いて、ST4、ST9でそれぞれVk、Vc
が求められる。またブロック2と同様にST5で曲面2
2識別子が1に対応する許容速度Vqが2500と指定
されているので、ST6でST3で求めたVkと250
0の小さいほうが改めてVkとして求められる。
【0046】ブロック4では、曲面22の識別子が2で
あると指令されている。これはモーダル指令なので、後
続のブロックでも同じ値が用いられる。
【0047】ブロック5では、このブロックの曲率半径
が30.0で、稜線8の識別子が1と指令されている。
この指令された曲率半径30.0を用いて、ST4でV
kが求められる。一方、角度は指定されていないので、
ST8でVcが求められる。さらにこのブロックでは稜
線8の識別子として1が与えられている。稜線8が1に
対応する許容速度Vpは150なので、ST11でST
8で求めたVcと2500の小さいほうが改めてVcと
して求められる。なお、曲面22の識別子が2に対応す
る許容速度Vqは指定されていないので、ST6の処理
は行なわない。
【0048】図2に示したプログラム11aの例に対す
る処理の説明は以上である。このようにして、曲率半
径、角度、稜線8の識別子、曲面22の識別子が指令さ
れた場合、あるいは省略された場合のそれぞれに対して
Vk、Vcを求めることができる。
【0049】なお、図2のプログラム11aの例、およ
び図3のフローチャートの例では付加形状情報101と
して、曲率半径と角度、およびを稜線8の識別子、曲面
22の識別子を指令するとしたが、以下のような構成、
あるいはそれらの組み合わせも可能である。 (ア)稜線8の識別子、曲面22の識別子を指令しない
場合 この場合は、図3におけるST5、ST6,ST10、
ST11の処理は不要となり、処理が簡単になる。 (イ)角度の代わりに接線ベクトルあるいは法線ベクト
ルを指令する場合 隣接する経路要素13間の接線ベクトルないしは法線の
なす角度からVcを求める方法も有効である。。また曲
面22の接線ベクトルあるいは法線ベクトルをそれぞれ
本来の経路4の接線ベクトルあるいは法線ベクトルに代
用して、上記と同様に角度を求めて、その角度からVc
を求めることも可能である。 (ウ)コーナー部であることを示すフラグを用いる場合 角度の値そのものを指定するのではなく、簡易的には経
路要素13の端点6がコーナー部であることを示すフラ
グを用いても良い。この場合は、フラグが付加されてい
ればコーナー部とみなして、推定した角度を基に許容速
度を求める。付加されていなければコーナー部とみなさ
ず、減速はしない。 (エ)曲面22の曲率半径を指令する場合 本来の経路4の曲率半径のかわりに、曲面22の曲率半
径(ないしは曲率)を指定してももよい。この場合は、
曲面22の曲率半径を用いて、本来の経路4の曲率半径
R’は簡易的に 、R’=曲面22の曲率半径−工具刃先の半径 ・・・(式3) で与えられる。このR’を用いて、式(2)に従いVk
を求める。CAM30において本来の経路4の曲率半径
を直接求めることが困難である場合には、このように容
易に求めることのできる曲面22の曲率半径で代用する
とよい。 (オ)許容速度を直接指令する場合 経路要素13毎にFc,Vkなどの許容速度を直接与え
ることもできる。図3の手順で求めたFc、Fkと、指
令されたFc,Fkのそれぞれの小さいほうが採用され
ることになる。なお、指令送り速度14にはオーバーラ
イドスイッチによって調節されるが、この許容速度は当
然調節されない。 (カ)許容加速度や精度係数を指令する場合 経路要素13毎に式1、式2における許容加速度aを与
えることもできる。特定の箇所のみをより減速したい場
合に有効である。 (キ)許容誤差(公差)を指令する場合 式1、式2では発生する加速度を基準に許容速度を求め
たが、それとは別に発生する軌跡誤差が許容誤差以下で
あるという基準からそれぞれに対応する許容速度F
k’、Fc’を求めてもよい。その場合の許容速度F
k’、Fc’は、以下のようになる。 Fk’=√(2R・ε・k・Kp^2/(1−Kf)^2) ・・・(式4) Fc’=ε・k・Kp/{(1−Kf)sin(θ/2)}・・・(式5) ここで上記Rは曲率半径、εは公差、kは精度係数、K
pはサーボ制御部19の位置ループゲイン、Kfは速度
フィードフォワードゲイン、θは隣接する経路要素13
となす角度である。なお、式4、式5は位置ループが比
例ゲインのみであり、速度フィードフォワードを行な
い、かつ補間前加減速を行なうことにより加減速による
軌跡誤差が生じていない場合を想定した式であり、加減
速方法やサーボ制御方法によって異なってくる。しかし
いずれにせよ、加減速方法やサーボ制御方法が既知であ
るならば、許容誤差に対応する許容速度は求めることが
できる。
【0050】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、プログラム11aに経路要素13以外に、付加形状
情報101ないしは付加速度制御情報102の少なくと
も一つを指令することにより、微小な経路要素13に分
解された後の情報に含まれる誤差に影響されることな
く、本来の経路4上を移動するために必要な許容速度を
正確に求めることができる。そのため、より美麗な加工
面を得ることができ、また無駄な減速を避けることがで
きるため、加工時間も短縮される。
【0051】特に、特定の曲面22や稜線8に対応する
箇所のみの許容速度も調整することができるので、全体
の加工時間や加工精度にほとんど影響を及ぼさない形
で、局所的な傷などを消すような加減速制御が可能にな
る。
【0052】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形
態2によるプログラム作成装置の構成を示すブロック図
である。図において、34aは経路要素13、指令送り
速度14に加えて、付加形状情報101と付加速度制御
情報102も求めてプログラム出力部36aに出力する
経路生成部である。なお、上記プログラム出力部36a
は付加形状情報101と付加速度制御情報102をもプ
ログラム11aに出力することができる。
【0053】付加形状情報101と付加速度制御情報1
02は実施の形態1で述べたものと同一である。経路生
成部34aでは、経路要素13および指令送り速度14
を生成するとともに、本来の経路4ないしは製品形状2
から付加形状情報101ないしは速度制御情報102の
少なくとも一つを求めて、プログラム出力部36aに経
路要素13および指令送り速度14と合わせて出力す
る。
【0054】経路生成部34aの処理の例を具体的に示
す。図5は経路生成部34aでの各経路要素13毎の処
理手順を示すフローチャートである。
【0055】まず、ST1では製品形状2から経路要素
13を生成する。次に、ST2で製品形状2をオフセッ
トさせた本来の経路4が陽に与えられるかをチェックす
る。本来の経路4が陽に与えられない場合とは、製品形
状2が複雑な形状であるような場合である。
【0056】ST2の結果が真ならば、ST3、ST4
でそれぞれ曲率半径と角度を計算する。
【0057】ST3では曲率半径に応じた許容速度Vk
を本来の経路4の曲線式より求めるのである。図6は急
峻に曲がっている製品形状2に対して、経路3を生成し
た結果を示す図である。図において、2は製品形状、4
Iおよび4Jは各経路要素13に分解する前の本来の経
路、5Iおよび5Jは急峻に曲がっている箇所に対応す
る経路要素13を示す。経路生成部34aは経路要素1
3を生成するとともに、各経路要素13に分解する前の
本来の経路4Iないしは4Jの曲率半径を求め、その値
を各経路要素13と合わせて出力する。曲率半径Rは本
来の経路4I,4Jとも、その曲線式p(t)(tは曲
線の媒介変数)を用いて、以下の式で計算できる。 R=|p’|^3 /|p’×p''| ・・・(式4) ここで、p’およびp''は曲線式p(t)のtに関する
それぞれ一階、二階の導関数である。|x|はベクトルxの
絶対値、y^nはスカラ量yのn乗を示す。
【0058】次に、ST4でコーナー部での許容速度V
cを本来の経路4の曲線式より求める。図7はコーナー
部を含む製品形状2に対して、経路要素13を生成した
結果を示す図である。図において、2Kおよび2Lは製
品形状を構成する曲面、4Kおよび4Lは各経路要素1
3に分解する前の本来の経路、8はある曲面22Kと他
の曲面22Lの境界を示す稜線、9Kおよび9Lはコー
ナー部(稜線8に対応する経路4K、4L上の点)であ
る。経路生成部34aは経路要素13を生成するととも
に、各経路要素13に分解する前の本来の経路4Kない
しは4Lのなす角度(経路4Kの場合は図中のθkにあ
たる)を求め、その値を各経路要素13と合わせて出力
する。角度θは本来の経路4K、4Lの前方の曲線式p
f(t)、t=tf1〜tf2、後方の曲線式pb
(t)、t=tb1〜tb2、(tは曲線の媒介変数)
を用いて、以下の式で計算できる。 θ=acos(qf1・qb2) ・・・(式5) qf1=pf’(tf1)/|qf1| ・・・(式6) qb2=pb’(tf2)/|qb2| ・・・(式7) なおここで式6、式7はそれぞれ前方、後方の曲線の接
線ベクトルを意味している。
【0059】一方、ST2の結果が偽の場合には、ST
5、ST6で近似的にそれぞれ曲率半径と角度を求める
ことになる。
【0060】ST5では、近似的に曲率半径を求める。
そのために、経路要素13の各端点6以外に、その周辺
の本来の経路4上にある複数の点を求めて、これらの点
にもっともフィットする円弧やスプライン曲線を求め
て、その曲線に対して式4を当てはまれば良い。フィッ
トする円弧やスプライン曲線は前述の特開平02−11
0711号公報で述べた方法や、最小二乗法を用いれば
良い。
【0061】またST6では近似的に角度を求める。そ
のためには、まず着目する端点6の前方の経路4上にあ
る複数の点を求めて、それらに対してもっともフィット
する円弧やスプライン曲線等を求める。これを前方の曲
線式とする。同様に着目する端点6の後方の経路4上に
ある複数の点を求めて、それらに対してもっともフィッ
トする円弧やスプライン曲線等を求め、これを後方の曲
線式とする。これら両曲線に対して式5〜7を当てはめ
れば良い。フィットする円弧やスプライン曲線は前述の
特開平02−110711号公報で述べた方法や、最小
二乗法を用いれば良い。
【0062】ST5やST6の処理は、一見、従来の数
値制御装置10で行なってきた曲率半径推定の方法や角
度計算の方法と同じように見えるが、従来と異なり、こ
こでは経路要素13の各端点6以外の十分多数の点の情
報から曲率半径や角度を求めることで、誤差等に対して
もほとんど影響されることなく、高い精度で本来の値を
求めることができることが特長である。
【0063】図5のフローチャートの説明は以上であ
る。上記のような方法によれば、経路要素13の端点6
に含まれる計算誤差等の影響を全くないしはほとんど受
けることなく曲率半径や角度を求めることができる。そ
のため、例えば図6において、上記で述べた方法によっ
て求めた曲率半径を用いて数値制御装置10で許容速度
を求めれば、経路3Iと経路3Jの許容速度はほぼ同じ
値となるため、加工面に傷がつかない。同様に、図7に
おいて、上記で述べた方法によって求めた角度を用いて
数値制御装置10で加減速制御を行なえば、はコーナー
部9Kとはコーナー部9Lにおける許容速度はほぼ同じ
値となるため、加工面に傷がつかない。
【0064】なお、上記では経路要素13の曲率半径と
角度について述べたが、以下のような構成、あるいはそ
れらの組み合わせも可能である。 (ア)稜線8の識別子、曲面22の識別子を指令する場
合 経路要素13に対応する曲面22の識別子や、稜線8の
識別子を指令しても良い。製品形状2に存在する曲面2
2と稜線8にそれぞれ固有の番号を振り、経路要素13
に対応する曲面22や稜線8があれば、それも指令す
る。 (イ)角度の代わりに接線ベクトルあるいは法線ベクト
ルを指令する場合 角度を直接指令する代わりに、式6、式7で与えられる
接線ベクトルを与えても良い。また曲面22の接線ベク
トルあるいは法線ベクトルをそれぞれ経路の接線ベクト
ルあるいは法線ベクトルに指令してもよい。 (ウ)コーナー部であることを示すフラグを指令する場
合 角度の値そのものを指定するのではなく、簡易的には経
路要素13が稜線8に対応する場合、経路要素13生成
時に干渉が発生した場合などは、端点6がコーナー部で
ある可能性があることを示すフラグを指令する。 (エ)曲面22の曲率半径を指令する場合 本来の経路4の曲率半径のかわりに、曲面22の曲率半
径(ないしは曲率)を用いても良い。曲面22の計算式
は当然陽に与えられているので、公知の数学的方法で簡
単に計算することができる。 (オ)許容速度を指令する場合 各経路要素13の曲率半径や端点6における角度が上記
の方法で求められたなら、式1、式2によって経路要素
13毎にVc,Vkなどの許容速度が計算できるので、
これらの値をプログラム11aに直接指令することもで
きる。 (カ)許容加速度や精度係数を指令する場合 経路要素13毎に式1、式2における許容加速度aを与
えることもできる。特定の箇所のみをより減速したい場
合などの有効である。 (キ)許容誤差(公差)を指令する場合 経路要素13毎に許容誤差を与えることもできる。特定
の箇所のみをより減速したい場合などの有効である。例
えば、CAM30で経路生成をする際のトレランスを許
容誤差として指令してもよい。
【0065】また、経路生成部34aは特に精度を必要
とする箇所等に加減速のパラメータ(加減速タイプ、加
減速時定数)、サーボ制御のパラメータ(速度フィード
フォワードゲイン、位置ループゲイン等)を経路要素1
3、指令送り速度14と合わせてプログラム出力部36
aに送る。プログラム出力部36aは経路要素13、指
令送り速度14に加えて、付加形状情報101、付加速
度情報102をプログラム11aに出力する。図2はプ
ログラム11aの例である。これに関しては、実施の形
態1の説明において詳述したので説明は略す。
【0066】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、各経路要素13に分解する前の本来の経路4ないし
は製品形状2そのものに基づいて、付加形状情報101
ないしは付加速度制御情報102を求め、これらを経路
要素13、指令送り速度14と合わせて指令することが
できる。これら付加形状情報101ないしは付加速度制
御情報102もプログラム11aに出力しているので、
数値制御装置10が高精度にかつ短時間のうちに加工す
ることが期待できる。
【0067】また、特に、特定の曲面22や稜線8に対
応する箇所をプログラム11aに指定しているので、数
値制御装置10で特定の箇所のみの許容速度も調整する
ことができ、全体の加工時間や加工精度にほとんど影響
を及ぼさない形で、局所的な傷などを消すような加減速
制御が可能になる。
【0068】実施の形態3.図8はこの発明の実施の形
態3によるプログラム作成装置の構成を示すブロック図
である。図において、52aは経路要素13、指令送り
速度14に加えて、付加形状情報101と付加速度制御
情報102も求めてプログラム出力部53aに出力する
プログラム修正部である。なお、上記プログラム出力部
53aは付加形状情報101と付加速度制御情報102
をもプログラム11aに出力することができる。
【0069】付加形状情報101と付加速度制御情報1
02は実施の形態1で述べたものである。ただし、以下
のものは経路情報から求めることは困難であるので付加
形状情報101から除く。 ・曲面22の曲率半径 ・曲面22の接線ベクトル ・曲面22の法線ベクトル
【0070】プログラム修正部34aでは、経路要素1
3および指令送り速度14を生成するとともに、プログ
ラム11から読み込んだ経路要素13から本来の経路4
を推定し、その結果に基づいて付加形状情報101ない
しは速度制御情報102の少なくとも一つを求めて、プ
ログラム出力部53aに経路要素13bおよび指令送り
速度14bと合わせて出力する。経路要素13と経路要
素13b、指令送り速度14と指令送り速度14bは同
一であっても、何らかの修正により異なったものになっ
ても構わず、どちらに対しても本発明は適用できる。以
下の説明では、簡単のため、経路要素13と経路要素1
3b、指令送り速度14と指令送り速度14bは同一で
あるものとする。
【0071】以下、プログラム修正部52aの処理の例
を具体的に示す。図9はプログラム修正部52aでの各
経路要素13毎の処理手順を示すフローチャートであ
る。
【0072】まず、ST1ではプログラム読み込み部5
1より、経路要素13と指令送り速度14を受け取る。
【0073】次に、ST2では近似的に曲率半径を求め
る。そのために、着目する経路要素13の端点6および
その近傍の複数の経路要素13の端点6に対して、各点
にもっともフィットする円弧やスプライン曲線を求め
て、その曲線に対して式4を当てはまれば良い。フィッ
トする円弧やスプライン曲線は前述の特開平02−11
0711公報で述べた方法や、最小二乗法を用いれば良
い。
【0074】またST3では近似的に角度を求める。そ
のためには、まず着目する端点6の前方の複数の経路の
端点6に対して、それらに対してもっともフィットする
円弧やスプライン曲線等を求める。これを前方の曲線式
とする。同様に着目する端点6の後方の複数の経路要素
13の端点6に対してもっともフィットする円弧やスプ
ライン曲線等を求め、これを後方の曲線式とする。これ
ら両曲線に対して式5〜7を当てはめれば良い。フィッ
トする円弧やスプライン曲線は前述の特開平02−11
0711号公報で述べた方法や、最小二乗法を用いれば
良い。
【0075】ST2やST3の処理は、基本的に従来の
数値制御装置10で行なってきた曲率半径推定の方法や
角度計算の方法と同じであり、ある程度誤差等に影響さ
れるのはやむを得ない。ただし数値制御装置10で行な
う場合と異なり、プログラム変換装置では、加工の制御
を行なっているわけではないのでリアルタイム性は要求
されない。そのため、より広い範囲の経路要素13に対
する処理を行なうことができるという点で、数値制御装
置10で行なうよりは誤差に対する影響は少なくなる。
【0076】図9のフローチャートの説明は以上であ
る。しかし特に角度の計算に関しては、誤差に対する影
響は完全に取り除けない可能性があるので、図9で示し
た処理を全ての経路要素13に対して行なった後に、オ
ペレータによるインタラクティブな修正を行なうとより
効果がある。例えば、角度が所定の値以上の点をコーナ
ー部の候補として画面に表示し、オペレータがこれらの
コーナー部の候補をインタラクティブに取捨選択、グル
ープ化する。これらの操作はマウス等のポインティング
デバイスを用いて行われる。グループ化されたコーナー
部の候補は、おなじ稜線8に属するものとみなして、同
じ稜線8の識別子を与える。
【0077】図53は画面に表示されたコーナー部の候
補の例を示す図である。図において、3u〜3wは経
路、501u〜501wはコーナー部の候補である。こ
の例では501u〜501wは全てコーナー部と判断す
るのが妥当であり、またいずれも同一の稜線8上に並ん
でいると考えられるので、オペレータはこの3点に対し
て同一の稜線8の識別子を与える。
【0078】なお、上記では経路要素13の曲率半径と
角度、さらには稜線8の識別子について述べたが、以下
のような構成、あるいはそれらの組み合わせも可能であ
る。 (ア)曲面22の識別子を指令する場合 オペレータが画面に表示された経路要素13のうち、同
一の曲面22に対応すると判断したものをグループ化
し、同一の識別子を与えることにより、曲面22の識別
子を指令する。 (イ)角度の代わりに接線ベクトルを指令する場合 角度を直接指令する代わりに、式6、式7で与えられる
接線ベクトルを与えても良い。 (ウ)コーナー部であることを示すフラグを指令する場
合 前記コーナー部の候補点に対応する経路要素13に対し
て、コーナー部であることを示すフラグを指令してもよ
い。 (エ)許容速度を指令する場合 各経路要素13の曲率半径や端点6における角度が上記
の方法で求められたなら、式1、式2によって経路要素
13毎にVc,Vkなどの許容速度が計算できるので、
これらの値を直接指令することもできる。 (オ)許容加速度や精度係数を指令する場合 経路要素13毎に式1、式2における許容加速度aを与
えることもできる。特定の箇所のみをより減速したい場
合などの有効である。 (カ)許容誤差(公差)を指令する場合 経路要素13毎に許容誤差を与えることもできる。特定
の箇所のみをより減速したい場合などの有効である。
【0079】また、プログラム修正部52aは特に精度
を必要とする箇所等に加減速のパラメータ(加減速タイ
プ、加減速時定数)、サーボ制御のパラメータ(速度フ
ィードフォワードゲイン、位置ループゲイン等)を経路
要素13、指令送り速度14と合わせてプログラム出力
部36aに送る。プログラム出力部53aは経路要素1
3、指令送り速度14に加えて、付加形状情報101、
付加速度情報102をプログラム11aに出力する。図
2はプログラム11aの例である。これに関しては、実
施の形態1の説明において詳述したので説明は略す。
【0080】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、各経路要素13から付加形状情報101ないしは付
加速度制御情報102を求め、これらを経路要素13、
指令送り速度14と合わせて指令することができる。こ
れら付加形状情報101ないしは付加速度制御情報10
2もプログラム11aに出力しているので、数値制御装
置10が高精度にかつ短時間のうちに加工することが期
待できる。
【0081】また、特定の曲面22や稜線8に対応する
箇所をプログラム11aに指定しているので、数値制御
装置10で特定の箇所のみの許容速度も調整することが
でき、全体の加工時間や加工精度にほとんど影響を及ぼ
さない形で、局所的な傷などを消すような加減速制御が
可能になる。
【0082】
【発明の効果】この発明の第1および第2の構成である
軌跡制御装置によれば、プログラム読み込み部が経路情
報以外に付加形状情報ないしは付加速度制御情報を読み
込み、前処理部が読み込まれた付加形状情報ないしは付
加速度制御情報を利用して許容速度を求め、加減速・補
間部が求めらた許容速度に基づいて加減速制御を行なう
ように構成したので、微小な経路要素に分解された後の
情報に含まれる誤差に影響されることなく、美麗な加工
面を加工することができ、面倒なパラメータ調整が不要
となり、また無駄な減速を避けることができるため加工
時間も短縮される。
【0083】また、この発明の第3の構成であるプログ
ラム作成装置によれば、経路生成部が、各経路要素に分
解する前の本来の経路ないしは製品形状そのものに基づ
いて、付加形状情報ないしは付加速度制御情報を求め、
プログラム出力部が付加形状情報ないしは付加速度制御
情報を経路要素、指令送り速度と合わせてプログラムに
指令するように構成したので、美麗な加工面を短時間に
加工することができる良質なプログラムを作成すること
ができることができる。
【0084】また、この発明の第4の構成であるプログ
ラム変換装置によれば、プログラム修正部が各経路要素
ないしはオペレータの指示により付加形状情報ないしは
付加速度制御情報を求め、プログラム出力部が付加形状
情報ないしは付加速度制御情報を経路要素、指令送り速
度と合わせてプログラムに指令するように構成したの
で、美麗な加工面を短時間に加工することができる良質
なプログラムに変換することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による数値制御装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1における付加形状情報や付加速度情報が
指令されたプログラムの例を示す図である。
【図3】 図1における前処理部での各経路要素毎の処
理手順を示すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2によるプログラム作
成装置の構成を示す図である。
【図5】 図4における経路生成部での各経路要素毎の
処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 急峻に曲がっている製品形状に対して経路を
生成した結果を示す図である。
【図7】 コーナー部を含む製品形状に対して経路要素
を生成した結果を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態3によるプログラム作
成装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 図8におけるプログラム修正部での各経路要
素毎の処理手段を示すフローチャートである。
【図10】 画面に表示されたコーナー部の候補の例を
示す図である。
【図11】 一般に金型に代表される自由曲面からなる
製品形状を加工する方法を示す図である。
【図12】 図11における経路の一部分を拡大して表
示した図である。
【図13】 従来の数値制御装置で用いられているプロ
グラムの例を示す図である。
【図14】 従来の数値制御装置の構成を示すブロック
図である。
【図15】 急峻に曲がっている箇所を含む経路の例を
示す図である。
【図16】 コーナー部を含む経路の例を示す図であ
る。
【図17】 経路要素に近似する際の誤差により本来滑
らかな曲線が一見ガタガタしているように見える例を示
す図である。
【図18】 製品形状に段差が含まれる状態を示す図で
ある。
【図19】 従来のCAMの構成を示すブロック図であ
る。
【図20】 従来のプログラム変換装置を示すブロック
図である。
【符号の説明】
2 製品形状、3,4 経路、8 稜線、11a プロ
グラム、12a,51プログラム読み込み部、13 経
路要素、14 指令送り速度、15a 前処理部、16
前処理結果、17 加減速補間部、18 位置指令、
19 サーボ制御部、22 曲面、34a 経路生成
部、36a,53a プログラム出力部、52a プロ
グラム修正部、101 付加形状情報、102 付加速
度制御情報、103 許容速度情報、104105 情
報。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経路要素の集合により表現された経路と
    その経路上を移動する指令送り速度を記述されたプログ
    ラムに基づき機械の速度を制御する軌跡制御装置におい
    て、指令された前記各経路要素とその指令送り速度に加
    えて、付加形状情報、付加速度制御情報のいずれか少な
    くとも一つが指令されたプログラムを読み取るプログラ
    ム読み込み部、前記プログラム読み込み部によって読み
    込まれた前記経路要素および前記付加形状情報、付加速
    度制御情報に基づいて許容速度を求める前処理部、およ
    び前記許容速度に基づいて加減速制御を行なう加減速・
    補間部とを備えたことを特徴とする軌跡制御装置。
  2. 【請求項2】 前記各経路要素に加えて、付加形状情報
    ないしは付加速度制御情報の少なくとも一つが省略され
    た場合には、前記プログラム読み込み部によって読み込
    まれた各経路要素から付加形状情報および付加速度制御
    情報の少なくとも一つを推定する付加情報推定部を備
    え、前記前処理部は前記経路要素および付加情報推定部
    によって推定された付加形状情報、付加速度制御情報に
    基づいて許容速度を求めることを特徴とする請求項第1
    項記載の軌跡制御装置。
  3. 【請求項3】 与えられた製品形状に基づいて複数の経
    路要素からなる経路を生成しプログラムに出力するプロ
    グラム作成装置において、前記各経路要素を生成する経
    路要素生成部と、付加形状情報、付加速度制御情報のい
    ずれか少なくとも一つを計算する付加情報計算部と、前
    記経路要素生成部が生成した各経路要素に加えて、付加
    情報計算部が計算した付加形状情報、付加速度制御情報
    のいずれか少なくとも一つも合わせてプログラムに出力
    するプログラム出力部を備えたことを特徴とするプログ
    ラム作成装置。
  4. 【請求項4】 経路要素の集合により表現された経路が
    記述されたプログラムを読み込み、修正されたプログラ
    ムを出力するプログラム変換装置において、前記各経路
    要素に対して、前後の複数の経路要素から付加形状情
    報、付加速度制御情報のいずれか少なくとも一つを計算
    する付加情報計算部と、各経路要素に加えて付加形状情
    報、付加速度制御情のいずれか少なくとも一つも合わせ
    て出力するプログラム出力部を備えたことを特徴とする
    プログラム変換装置。
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