JPH1060374A - ガラス容器用コーティング剤組成物及びコーティング剤が塗布されたガラス容器 - Google Patents

ガラス容器用コーティング剤組成物及びコーティング剤が塗布されたガラス容器

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JPH1060374A
JPH1060374A JP21870696A JP21870696A JPH1060374A JP H1060374 A JPH1060374 A JP H1060374A JP 21870696 A JP21870696 A JP 21870696A JP 21870696 A JP21870696 A JP 21870696A JP H1060374 A JPH1060374 A JP H1060374A
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    • B65D23/0814Coatings characterised by the composition of the material
    • B65D23/0821Coatings characterised by the composition of the material consisting mainly of polymeric materials

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のガラス瓶あるいは/または酸化スズ被
膜を形成した瓶にも安定した被膜を形成し、ガラス容器
用コーティング剤に求められる要件を満たすコーティン
グ剤組成物を提供する。 【解決手段】 (A)特定の硬化性液状シリコーンレジ
ン; 100重量部、(B)特定のグリシドキシ基含有アル
コキシシランもしくはその部分加水分解物;5〜 100重
量部、(C)特定の揮発性ポリジメチルシロキサン;50
〜2000重量部、(D)ポリジメチルシロキサン; 0.01〜
30重量部よりなり、25℃における粘度が2〜1000センチ
ストークスであるガラス容器用コーティング剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス容器用コー
ティング剤組成物およびコーティング剤が塗布さたガラ
ス容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビール、清涼飲料、牛乳、ヨーグ
ルト、コーヒーなどの商品用充填容器として使用されて
いるガラス容器は、使用後に市場から回収され、洗浄さ
れて繰り返し使用される。このように繰り返し使用され
るガラス容器は、瓶詰め工程や、その後の流通過程にお
いて、ガラス同士あるいはガラス容器と機械装置の金属
部などとの接触により、容器表面に擦り傷が発生し、繰
り返し使用を重ねるにつれて美観の低下が著しくなり、
外装品質が損なわれる。この結果、充填された内容物の
商品価値までもが低下してしまう。そのため、擦り傷が
発生したガラス容器に対して、ガラス容器用コーティン
グ剤組成物を塗布することが提案されており、この場
合、 塗布が容易で、常温で所要物性を有する被膜を形成で
きること 擦り傷の遮蔽性がよいこと 耐水性が良いこと 被膜表面にベトツキが無いこと 有毒でないこと アルカリ水溶液による洗浄で被膜が容易かつ完全に剥
離すること ガラス容器に貼付けたラベルを損傷させないこと 長距離輸送した時、被膜の劣化がみられないこと などの要件を満たすものであることが求められている。
このような点に鑑み、本発明者が提案した特開平3−1
31548号公報に記載された先行技術は、特定の硬化
性オルガノポリシロキサンと揮発性ポリジメチルシロキ
サンで構成される組成物をコーティング剤として使用す
ることから成るものであり、前記の要件を充足するもの
である。また、本発明者は、この先行技術の改良を行
い、特開平6−32341号公報、特開平6−3234
2号公報において、深い擦り傷や無色透明ガラス容器の
擦り傷に対しても良好な塗布性、遮蔽効果を示し、しか
もアルカリ水溶液による剥離性に優れた、ガラス容器の
擦り傷遮蔽剤および遮蔽剤によって擦り傷が遮蔽された
ガラス容器を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
瓶の軽量化技術に伴い、瓶体強度を保持するための技術
として瓶体表面に酸化スズ被膜を形成させた瓶の使用が
開始された。この酸化スズ被膜を形成させた瓶において
は、先行技術である特開平3−131548号公報に記
載された技術および特開平6−32341号公報、特開
平6−32342号公報に記載された技術では瓶体表面
にハジキを生じ、十分なコーティング剤としての特性を
有しないという欠点が生じた。また、通常のガラス瓶と
酸化スズ被膜を形成した瓶との混在で使用される可能性
があり、双方の瓶体に対し、安定した被膜を形成し、コ
ーティング剤としての効果、特性を有する組成物の開発
が急がれていた。本発明の目的は、上記の欠点を解決
し、通常のガラス瓶あるいは/または酸化スズ被膜を形
成した瓶にも安定した被膜を形成し、ガラス容器用コー
ティング剤に求められる要件を満たす、ガラス容器用コ
ーティング剤組成物およびコーティング剤組成物が塗布
されたガラス容器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
なコーティング剤組成物を得るべく鋭意検討した結果、
反応基を有する液状シリコーンレジン、特定のグリシド
キシ基含有アルコキシシランもしくはその部分加水分解
物、揮発性ポリジメチルシロキサンおよび必要により用
いられる硬化触媒からなるコーティング剤組成物を見出
し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、 (A)一般式 RaSiXbO(4-(a+b))/2 (式中、R は置換または非置換の1価の炭化水素基、X
はヒドロキシル基および/または加水分解性基であり、
aおよびbは下記の関係を満たす数である。 0.8≦a<2 0.3≦b<2 )で表される硬化性液状シリコーンレジ
ン; 100重量部 (B)一般式
【0005】
【化3】
【0006】(式中、Y はハロゲン原子で置換されても
よい1価の炭化水素基、R1は炭素数1〜4のアルキル基
であり、pは0または1である。)で示されるグリシド
キシ基含有アルコキシシランもしくはその部分加水分解
物;5〜 100重量部 (C)一般式(I)および/または(II)で表される揮
発性ポリジメチルシロキサン;50〜2000重量部
【0007】
【化4】
【0008】(D)ポリジメチルシロキサン; 0.01〜30
重量部 よりなり、25℃における粘度が2〜1000センチストーク
スであることを特徴とするガラス容器用コーティング剤
組成物、および更に(E)硬化触媒を0.01〜10重量部含
有する上記ガラス容器用コーティング剤組成物、並びに
上記コーティング剤組成物の硬化生成物の被膜で被覆さ
れてなガラス容器である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で使用される(A)成分は、 RaSiXbO(4-(a+b))/2 (式中、R は置換または非置換の1価の炭化水素基、X
はヒドロキシル基および/または加水分解性基であり、
aおよびbは下記の関係を満たす数である。 0.8≦a<2 0.3≦b<2 )で表される硬化性液状シリコーンレジ
ンであり、本発明のベースポリマーとなるものである。
【0010】式中、R は置換または非置換の1価の炭化
水素であり、互いに同一でも相異なっていてもよい。こ
のような置換または非置換の1価の炭化水素としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基の
ような炭素数1〜12のアルキル基;ビニル基、アリル基
のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリ
ル基のようなアリール基;β−フェニルエチル基、β−
フェニルプロピル基のようなアラルキル基;およびγ−
アミノプロピル基、γ−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−
メルカプトプロピル基、シアノエチル基、クロロメチル
基、γ−クロロプロピル基、3,3,3 −トリフルオロプロ
ピル基のような1価の置換炭化水素などが例示される。
これらの中でも原料の入手の容易さ、被膜の硬さ、硬化
速度、アルカリ水洗浄性の観点からメチル基を用いるこ
とが最も有利であるが、容器表面との屈折率のマッチン
グを重視する場合にはフェニル基、β−フェニルエチル
基などを、また自己硬化性、密着性を付与したい場合に
はγ−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基な
どの触媒および密着向上材として機能する基を、メチル
基と組み合わせて使用することが好ましい。(A)成分
において、 Xはヒドロキシル基および/または加水分解
性基である。加水分解性基としては、アルコキシ基、ア
シロキシ基、アミノキシ基、ケトオキシム基、アミド
基、アルケニルオキシ基およびハロゲン原子が例示され
る。これらのなかでも、硬化反応時に発生する副生成物
の臭気が少なく、硬化性および被膜特性が良好なことか
らヒドロキシル基および炭素数1〜4のアルコキシ基が
好ましく、特にヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ
基であることが特に好ましい。また、(A)成分におい
てaおよびbは下記の関係を満たす数であることが必要
である。 0.8 ≦a<2 0.3 ≦b<2 aが 0.8未満では硬化被膜が脆くなり、2以上であると
良好な被膜が得られにくくなるとともに、被膜に滑り性
やベタツキを生じ、本発明の目的に適さない。一方、b
が 0.3未満では硬化速度が遅すぎて実用に合わず、2以
上では硬化被膜が脆くなり、本発明の目的に適さない。
(A)成分は、25℃における粘度が10〜100000cSt の範
囲にあることが好ましく、特に好ましくは10〜1000cSt
が好ましい。粘度が10sSt 未満ではガラス容器表面への
定着が不十分で、擦り傷遮蔽に劣る。一方、100000cSt
を越えると、高粘度のために擦り傷部への浸透もしくは
塗れ性が十分ではなく、結果として擦り傷遮蔽性に劣る
ことがある。このような硬化性液状シリコーンレジン
(A)は、公知の方法で容易に得ることができる。すな
わち、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアル
コキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、テトラア
ルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、ジフ
ェニルジアルコキシシラン、トリフェニルアルコキシシ
ラン、メチルフェニルジアルコキシシラン、メチルジフ
ェニルアルコキシシランなどのアルコキシシラン類、
これらのアルコキシ基を塩素原子で置換した対応するク
ロロシラン類、並びにアルキルアルコキシシランのア
ルキル基をエチル基、プロピル基、ブチル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基の
ような炭素数1〜12のアルキル基;ビニル基、アリル基
のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリ
ル基のようなアリール基;β−フェニルエチル基、β−
フェニルプロピル基のようなアラルキル基;およびγ−
アミノプロピル基、γ−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−
メルカプトプロピル基、シアノエチル基、クロロメチル
基、γ−クロロプロピル基、3,3,3 −トリフルオロプロ
ピル基のような1価の置換炭化水素などで置換した有機
ケイ素化合物類の中から選択される1種あるいはそれら
の混合物を適宜選択して、触媒の存在下で部分加水分解
して得ることができる。ここで使用される触媒として
は、無水酢酸、氷酢酸、プロピオン酸、クエン酸、安息
香酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸のような有機酸;アルミニ
ウムアルキルアセテートのようなアルミニウムキレート
化合物;テトラブチルチタネートのようなチタン酸エス
テル;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラ
ンのようなクロロシラン;アンモニア水のような無機塩
基;エチレンジアミン、トリエタノールアミンのような
有機塩基;およびN−(β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシランのようなアミノアル
キルシランなどが例示される。また、(A)成分とし
て、以上のようにして得られた、それぞれ特性のそれぞ
れ異なる硬化性液状シリコーンレジンを複数ブレンドし
て使用することも差し支えない。
【0011】次に、本発明で使用される(B)成分は、
一般式
【0012】
【化5】
【0013】(式中、Y はハロゲン原子で置換されても
よい1価の炭化水素基、R1は炭素数1〜4のアルキル基
であり、pは0または1である。)で示されるグリシド
キシ基含有アルコキシシランもしくはその部分加水分解
物である。本成分は、通常のガラス瓶あるいは/または
酸化スズ被膜を形成した瓶に対し、安定した被膜を形成
させるための重要な成分であり、本発明を特徴づける重
要成分でもある。式中、Y はメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基のような炭素数1〜12のアル
キル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フ
ェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;
β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基のよう
なアラルキル基;γ−クロロプロピル基、3,3,3 −トリ
フルオロプロピル基のような1価の置換炭化水素などが
例示される。これらの中でもメチル基は、容易に得られ
るばかりでなく、ガラス瓶への特性バランスを有利にす
るので、メチル基を有するものが特に好ましい。グリシ
ドキシ基含有アルコキシシランとしては、3−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチ
ルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチル
トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチル
ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルト
リエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジ
プロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソ
プロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリイソ
プロポキシシランなどが例示される。これらのなかで
も、
【0014】
【化6】
【0015】は容易に得られるばかりではなく、硬化の
バランス、被膜の酸化スズへの密着性を有利にするので
好ましい。また、これらの部分加水分解物は、公知の方
法、即ち加水分解条件下(使用するアルコキシシランに
応じて適宜設定される)でアルコキシシランもしくはそ
の混合物を縮合させることによって得ることができる。
アルコキシシランの部分加水分解縮合物の好ましい例と
しては、上記に挙げたアルコキシシランが部分加水分解
され縮合された構造のシロキサンおよびポリシロキサン
等が挙げられる。
【0016】(B)成分の使用量は、(A)成分 100重
量部に対して、5〜 100重量部であり、好ましくは20〜
50重量部である。5重量部未満では、硬化被膜が酸化ス
ズ表面に対し密着性に不具合を生じ好ましくない。一
方、 100重量部を越えると硬化被膜が通常使用されてい
るガラス瓶の表面に対し塗布性と密着性に不具合を生じ
好ましくない。
【0017】本発明で使用される(C)成分は、揮発性
溶剤である。(C)成分としては、常温もしくは低温加
熱によって揮発性を有し、しかも(A)成分および
(B)成分を溶解もしくは分散させる性質のものであれ
ば特に限定されないが、安全性および生理的に活性が低
い(刺激性、感作性が低い)、さらにはラベルへの影響
がないことから、揮発性オルガノポリシロキサンが望ま
しく、これらの中でも、低い表面張力と緩慢な揮発速度
により、微小なまた深い擦り傷発生部へも良く浸透し、
遮蔽性、表面の平滑性を向上させる効果が大きいことか
ら、揮発性オルガノポリシロキサンが好ましい。このよ
うな揮発性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、
一般式(I)で表される直鎖状ポリオルガノポリシロキ
サンまたは一般式(I)または一般式(II)で表される
環状ポリジメチルシロキサンが開示されるが、引火点が
比較的高く取り扱い上有利で、しかも工業的に入手の容
易な、重合度4もしくは5の環状ポリジメチルシロキサ
ン、すなわちオクタメチルシクロテトラシロキサンもし
くはデカメチルシクロペンタシロキサンあるいはオクタ
メチルシクロテトラシロキサンとデカメチルシクロペン
タシロキサンとの混合物が好ましく、オクタメチルシク
ロテトラシロキサンは17℃で凝固してしまう観点から特
に好ましくはオクタメチルシクロテトラシロキサンとデ
カメチルシクロペンタシロキサンの混合物が好ましい。
これらの揮発性溶剤は2種類以上を混合使用してもよ
い。(C)成分の使用量は、(A)成分と(B)成分の
混合物 105〜 200重量部に対して50〜2000重量部の範囲
である。50重量部未満では容器に塗布される他成分、す
なわち有効成分の比率が高くなり、被膜表面のレベリン
グ性や所定時間内での硬化乾燥性が悪くなり、ゆず肌や
表面のベトツキの原因となるおそれがある。また、2000
重量部を越えると、容器表面に塗布される有効成分の量
が不足し、十分な遮蔽効果が得られにくい。
【0018】本発明で使用される(D)成分は、被膜の
硬さを調整するとともに、アルカリ水溶液による易剥離
性を補助する働きをなすものである。(D)成分である
ポリジメチルシリコーンオイルの粘度は、 100〜100000
0cStであり、好ましくは1000〜100000cSt である。100c
St未満では、被膜を形成したときに干渉島の発生が見ら
れ好ましくなく、1000000cStを越えると、ベースレジン
への溶解性が悪くなり、被膜が白濁し好ましくない。
(D)成分の使用量は、(A)成分と(B)成分の混合
物 105〜 200重量部に対して0.01〜30重量部の範囲であ
る。0.01重量部未満であるとアルカリ水溶液による易剥
離性において不具合を生じ好ましくない。また、30重量
部を越えると被膜にスベリ、ベトツキが発生し好ましく
ない。
【0019】本発明のコーティング剤組成物は、一般に
は(E)成分として硬化触媒を併用する。ただし、
(A)成分の Rとしてγ−アミノプロピル基やγ−(β
−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基のような硬化
触媒作用を有する基を含むような場合には特に必要とさ
れない。このような触媒としては、ポリオルガノシロキ
サンの硬化触媒として公知のものが使用可能である。具
体的には、例えばトリエタノールアミンのような有機ア
ミン;N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシランのようなアミノアルキルシラ
ン;オクチル酸鉄、オクチル酸亜鉛のようなカルボン酸
金属塩;ジオクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレー
ト、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオク
トエートのような有機スズ化合物;テトライソプロポキ
シチタネート、テトラブチルチタネートのようなチタン
酸エステル;およびオルガノシリコン第四アンモニウム
塩のような第四アンモニウム塩などが例示される。これ
らの中でも、効果性や安全衛生上の観点からジオクチル
スズジラウレート、ジブチルスズジラウレートおよびテ
トラブチルチタネートが特に好ましい。(E)硬化触媒
の使用量は、(A)および(B)からなる成分 105〜 2
00重量部に対して0.01〜10重量部、より好ましくは0.02
〜5重量部の範囲である。0.01重量部未満では被膜の硬
化乾燥が遅く、実用に合わず、一方、10重量部を越えて
も被膜形成に特に効果はなく、むしろ擦り傷遮蔽剤(コ
ーティング剤組成物)の保存安定性を悪くする不都合が
ある。
【0020】本発明のコーティング剤組成物は、前記し
た(A)成分、(B)成分、(D)成分および必要によ
り用いられる触媒成分である(E)成分を(C)成分に
溶解して得られるものである。このようにして得られた
コーティング剤組成物の25℃における粘度は、2〜1000
cSt 、好ましくは5〜200cStの範囲である。25℃におけ
る粘度が2cSt 未満では、容器表面への付着性が少な
く、1度の処理では十分な遮蔽効果が得られず、一方、
1000cSt を越えると付着量が増加し被膜が厚くなるため
に、逆にベタツキなどの不都合を生じ好ましくない。本
発明のコーティング剤組成物は、前記した(A)成分、
(B)成分、(D)成分、(E)成分および(C)成分
からなるものであるが、これらの5成分のみからなるも
のの他に各種の補助成分を配合することができる。界面
活性物質などの可塑剤、可視光や紫外線による内容物の
変質や着臭の防止を目的とした顔料や紫外線吸着剤、染
料などの着色剤、レベリング剤、無機物粉体などが例示
される。
【0021】本発明のコーティング剤組成物を容器に塗
布する方法としては、スプレーコーティング、刷毛塗
り、パフ塗り、浸漬法、フローコーター法、転写法な
ど、通常行われている手法を用いることができる。ま
た、大量のガラス容器、通常このようなガラス容器は、
開口部が細口の瓶体であるが、これらを処理する場合に
は、例えば特開昭58−213654号公報記載のロー
ラー式コーティング装置や、特公平1−59221号公
報記載のコーティングベルト式のコーティング装置が使
用可能である。被膜の厚さは任意であるが、擦り傷遮蔽
効果、適度の被膜強度、アルカリ水溶液による剥離性の
観点から、 0.5〜30μm程度が適当である。また、塗布
する部位は擦り傷部に限らないことは言うまでもない
が、コスト削減の目的のために、擦り傷部のみを前記の
膜厚になるようにコーティングすることも有効である。
また、本発明のコーティング剤はガラス容器に貼付けた
ラベルの上に塗布してもラベルを損傷させることはな
い。本発明のコーティング剤組成物は硬化に際して特に
加熱は必要でなく、塗布後、室温で 0.5〜48時間程度放
置すれば、表面粘着性の無い硬化被膜が容易に得られる
が、必要に応じて硬化時間の短縮化などのために加熱し
ても差し支えない。
【0022】
【発明の効果】本発明のコーティング剤組成物は、擦り
傷遮蔽効果に優れているのは勿論、通常使用されている
ガラス瓶に塗布できるばかりではなく、酸化スズ被膜を
用いた軽量瓶に対しても安定的に塗布可能で、形成され
た被膜は、前記従来技術の項で記載した〜の8項目
の要件に対し、より優れた特徴を有する。従って、本発
明のコーティング剤組成物は、混載されて使用される各
種の容器を種類分けすることなく使用できる利点があ
る。
【0023】
【実施例】以下において、合成例、実施例および比較例
を掲げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明の範囲
は、以下の実施例のみに限定されるものではない。な
お、合成例、実施例および比較例中の配合量は特に断り
のないかぎりすべて重量部、粘度は25℃における値を示
す。 合成例1 攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートおよび加熱ジ
ャケットを備えたフラスコに、メチルトリメトキシシラ
ン 136.0g(1.0モル) 、メタノール20.0gおよびメチル
トリクロロシランを塩酸水素分が50ppm となるように仕
込み、攪拌しながら水17.1g(0.95モル)を滴下ロート
を使って徐々に滴下した。還流温度(約68〜72℃) で4
時間保持して、加水分解および縮合反応を行った。次い
で、常圧、液温 100℃の条件下で揮発成分を留去した
後、徐々に減圧状態とし、減圧度40Torr、液温 150℃の
条件下でさらに揮発成分を留去した後、常圧に戻して、
表1に示す硬化性液状シリコーンレジン63.0g(A−
1)を得た。ただし、表中の有機基含有量a、加水分解
性基(ヒドロキシル基を含む)含有量bは、シラン化合
物および水の仕込み配合量に計算した値である(以下の
合成例についても同様である。)。
【0024】合成例2 攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートおよび加熱ジ
ャケットを備えたフラスコに、表1に示す配合量のシラ
ン化合物および加水分解触媒を仕込み、攪拌しながら徐
々に加熱した。液温80℃で6時間保持して、加水分解お
よび縮合反応を行った、次いで、常圧、液温 130℃の条
件下で揮発成分を留去した後、徐々に減圧状態とし、減
圧度30Torr、液温 130℃の条件下でさらに揮発成分を留
去した後、常圧に戻して、表1に示す硬化性液状シリコ
ーンレジン(A−2、A−3、A−4)を得た。
【0025】合成例3 攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートおよび加熱ジ
ャケットを備えたフラスコに、メチルトリメトキシシラ
ン95.2g(0.7モル) 、フェニルトリメトキシシラン19.8
g(0.1モル)、ジメチルジクロロシラン51.6g(0.4モ
ル) およびトルエン 120.0gを仕込み、攪拌しながら水
23.4g(1.3モル)を徐々に滴下した。滴下終了後、液温
110℃で1時間加熱還流攪拌を行った。反応液を室温ま
で冷却して、分液ロートに移し入れ、静置して有機層と
水層に分離させた後、下層の水層を除去して、ポリオル
ガノシロキサンのトルエン溶液を得た。このトルエン溶
液に飽和食塩水を加えてよくかき混ぜた後、静置して水
層を分離した。この塩析操作を2回繰り返した。こうし
て得られた有機層を、攪拌機、加熱ジャケットおよびデ
ィーン・スターク分離管を備えたフラスコに入れ、減圧
度30Torr、液温80℃の条件下で揮発成分を留去して、表
1に示す硬化性液状シリコーンレジン(A−5)を得
た。
【0026】合成例4 攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートおよび加熱ジ
ャケットを備えたフラスコに、3−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン 236.3g(1.0モル)、メタノール
20.0gおよびメチルトリクロロシランを塩酸水素分が50
ppm となるように仕込み、攪拌しながら水17.1g(0.95
モル)を滴下ロートを使って徐々に滴下した。還流温度
(約68〜72℃)で4時間保持して、加水分解および縮合
反応を行った。次いで、常圧、液温 100℃の条件下で揮
発成分を留去した後、徐々に減圧状態とし、減圧度40To
rr、液温 150℃の条件下でさらに揮発成分を留去した
後、常圧に戻して、表1に示すグリシドキシ基含有のア
ルコキシシランの部分加水分解物 153.0g(B−1)を
得た。
【0027】合成例5 攪拌機、温度計、還流冷却機、滴下ロートおよび加熱ジ
ャケットを備えたフラスコに、3−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン 118.2g(0.50モル)、3−グリ
シドキシプロピルメチルジメトキシシラン 131.3g(0.5
モル)、メタノール20.0gおよびメチルトリクロロシラ
ンを塩酸水素分が50ppm となるように仕込み、攪拌しな
がら水17.1g(0.95モル)を滴下ロートを使って徐々に
滴下した。還流温度(約68〜72℃)で4時間保持して、
加水分解および縮合反応を行った。次いで、常圧、液温
100℃の条件下で揮発成分を留去した後、徐々に減圧状
態とし、減圧度40Torr、液温 150℃の条件下でさらに揮
発成分を留去した後、常圧に戻して、表1に示すグリシ
ドキシ基含有のアルコキシシランの部分加水分解物134.
0g(B−2)を得た。
【0028】実施例1〜14および比較例1〜14 前記の合成例で合成した硬化性液状シリコーンレジン
(A−1〜5)およびグリシドキシ基含有のアルコキシ
シランおよびグリシドキシ基含有のアルコキシシランの
部分加水分解物(B−1、B−2)をベースとし、表2
〜表5に示す割合で各成分を配合することにより、それ
ぞれ、実施例1〜14および比較例1〜14のコーティング
剤組成物を得た。比較例1〜14は、本発明に係わる実施
例のコーティング剤組成物において、それぞれ、(A)
成分または(B)成分を使用しない場合である。
【0029】これらのコーティング剤組成物を用いて、
以下の評価を行った。評価用瓶体の作成条件、振盪テス
ト条件および被膜特性の評価方法は、次の通りである。 〔評価用瓶体の作成条件〕 <ビール瓶用褐色大瓶>リターナブル使用され、側面全
体に擦り傷が付いたビール瓶用褐色大瓶(内容量 633m
l) を用意し、これに各コーティング剤組成物を1本あ
たりの塗布量が0.3 gとなるように塗布した。塗布後、
直ちに、これらの瓶体に内容物の20%にあたる量の氷水
を充填し、瓶体表面の一部(瓶底から約7cmの高さま
で) を結露させた。さらに25℃、60%RHの環境下で7
日間放置して、評価用瓶体とした。 <酸化スズ処理されたビール瓶用褐色大瓶>リターナブ
ル使用され、側面全体に擦り傷が付いた酸化スズ処理さ
れたビール瓶用褐色大瓶(内容量 633ml) を用意し、こ
れに各コーティング剤組成物を1本あたりの塗布量が
0.3gとなるように塗布した。塗布後、直ちに、これら
の瓶体に内容量の20%にあたる量の氷水を充填し、瓶体
表面の一部(瓶底から約7cmの高さまで) を結露させ
た。さらに25℃、60%RHの環境下で7日間放置して、
評価用瓶体とした。 ・被膜特性の評価方法 〔塗布性評価〕評価用瓶体の作成時におけるコーティン
グ剤組成物の塗布性を目視観察し、下記の基準で評価し
た。 ◎:瓶体表面に均一な被膜を形成し、ハジキ、ムラの発
生がない。 ×:均一な被膜を形成せず、ハジキ、ムラの発生があ
る。 <振盪テスト>評価用瓶体を入れた所定のプラスチック
ケース(通常、P箱)をエミック(株)製の振動試験機
に固定し、振動周波数5〜40Hz、加振加速度1G、振幅
10cmで120 分間振盪した。本条件は、実際のトラック輸
送では輸送距離1800mm以上に相当する。 〔擦り傷遮蔽性〕振盪テスト前後の擦り傷部位の外観を
目視観察し、下記の基準で4段階評価した。 ◎:擦り傷部位が完全に遮蔽されている。 ○:擦り傷部位の一部が露出している。 △:擦り傷部位の半分が露出している。 ×:擦り傷遮蔽効果が不十分である。 〔油浮き性〕評価用媒体を20℃の水中に3日間浸漬した
後、水浴表面を目視観察し、下記の基準で3段階評価し
た。 ○:油膜が全く認められない。 △:わずかに油膜が認められる。
【0030】×:油膜が水浴表面に顕著に認められる。 〔洗瓶性〕評価用媒体を液温60℃、水酸化ナトリウム3
%およびアルミン酸ナトリウム5%を含む水溶液を浸漬
し、15分経過後の被膜除去の程度を目視観察し、下記の
基準で3段階評価した。 ○:被膜がほぼ完全に除去されている。 △:被膜が半分程度残存している。 ×:被膜の大部分が残存している。 〔白粉の発生〕振盪テスト後の瓶体表面の白粉発生状況
を目視観察し、下記の基準で4段階評価した。 ◎:白粉の発生がない。 ○:白粉の発生がわずかにある。 △:白粉の発生がややある。 ×:白粉の発生がかなりあり、実用対象外のレベルであ
る。
【0031】実施例1〜14および比較例1〜14の評価結
果をそれぞれまとめて、表6〜表9に示した。これらの
表から明らかなように、本発明に係わる実施例1〜14の
コーティング剤組成物はいずれも、擦り傷の遮蔽性、油
浮き性、洗瓶性などのコーティング剤としての一般特性
も良好であることが確認された。さらに、本発明のコー
ティング剤組成物および形成被膜は、擦り傷遮蔽効果に
優れているのは勿論、通常使用されているガラス瓶に塗
布できるばかりではなく、酸化スズ被膜を用いた軽量瓶
に対しても安定的に塗布可能であることも確認された。
一方、比較例1〜14のコーティング剤組成物では、通常
使用されているガラス瓶には塗布できるものの、酸化ス
ズ被膜を用いた軽量瓶に対しては塗布できず、また遮蔽
性、油浮き性についても十分満足する結果は得られなか
った。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式 RaSiXbO(4-(a+b))/2 (式中、R は置換または非置換の1価の炭化水素基、X
    はヒドロキシル基および/または加水分解性基であり、
    aおよびbは下記の関係を満たす数である。 0.8≦a<2 0.3≦b<2 )で表される硬化性液状シリコーンレジ
    ン; 100重量部 (B)一般式 【化1】 (式中、Y はハロゲン原子で置換されてもよい1価の炭
    化水素基、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、pは
    0または1である。)で示されるグリシドキシ基含有ア
    ルコキシシランもしくはその部分加水分解物;5〜 100
    重量部 (C)一般式(I)および/または(II)で表される揮
    発性ポリジメチルシロキサン;50〜2000重量部 【化2】 (D)ポリジメチルシロキサン; 0.01〜30重量部 よりなり、25℃における粘度が2〜1000センチストーク
    スであることを特徴とするガラス容器用コーティング剤
    組成物。
  2. 【請求項2】(D)成分のポリジメチルシロキサンの25
    ℃における粘度が 100〜10000000センチストークスであ
    ることを特徴とする請求項1記載のガラス容器用コーテ
    ィング剤組成物。
  3. 【請求項3】更に(E)硬化触媒を0.01〜10重量部含有
    する請求項1記載のガラス容器用コーティング剤組成
    物。
  4. 【請求項4】(E)硬化触媒が有機アミン、カルボン酸
    金属塩、有機スズ化合物、チタン酸エステルおよび第4
    級アンモニウム塩よりなる群から選ばれた少なくとも1
    種である請求項3記載のガラス容器用コーティング剤組
    成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れか1項記載のガラス容
    器用コーティング剤組成物により処理され、上記(A)
    および(B)の混合物からなるオルガノポリシロキサン
    の硬化生成物の被膜が、ガラス容器の表面に形成されて
    なることを特徴とするガラス容器。
  6. 【請求項6】ガラス容器が、予め表面に酸化スズ被膜が
    形成されたガラス容器である請求項5記載のガラス容
    器。
  7. 【請求項7】ガラス容器が瓶体である請求項5または6
    記載のガラス容器。
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