JP2694090B2 - 容器の擦り傷遮蔽剤および擦り傷が遮蔽された容器 - Google Patents
容器の擦り傷遮蔽剤および擦り傷が遮蔽された容器Info
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Description
した商品を充填する目的で使用される容器の擦り傷遮蔽
剤および擦り傷が遮蔽された容器に関する。
ルト、コーヒーなどの商品用充填容器として使用されて
いるガラス容器は、使用後に市場から回収され、洗浄さ
れて繰り返し使用される。このように繰り返し使用され
るガラス容器は、瓶詰め工程やその後の流通過程におい
て、ガラス容器同士あるいはガラス容器と機械装置の金
属部などとの接触により、容器表面に擦り傷が発生し、
繰り返し使用を重ねるにつれて美観の低下が著しくな
り、外装品質が損なわれる。この結果、充填された内容
物の商品価値までもが低下してしまう。そのため、擦り
傷が発生したガラス容器に対して、擦り傷遮蔽剤を塗布
することが提案されており、この場合、 擦り傷の遮蔽性がよいこと 耐水性が良いこと 被膜表面にべとつきがないこと 塗布が容易で、常温で所要物性を有する被膜を形成で
きること 有毒でないこと アルカリ水溶液による洗浄で被膜が容易かつ完全に剥
離すること ガラス容器に貼付けしたラベルを損傷させないこと などの要件を満たすものであることが求められている。
このような点に鑑み、本発明者らの一部が提案した特開
平3−131548号公報に記載された先行技術は、特定のオ
ルガノポリシロキサンと揮発性ポリジメチルシロキサン
で構成される組成物を擦り傷遮蔽剤として使用すること
から成るものであり、前記の要件をほぼ充足するもので
ある。
内容物を充填したビール瓶などのガラス容器は、擦り傷
遮蔽剤を塗布後、ケーサーで所定の運搬用プラスチック
チース(通称、P箱)に詰められ、倉庫内で被膜を硬化
させた後、トラック輸送される。この際、前記の先行技
術をはじめとした従来の擦り傷遮蔽剤には、輸送振動に
より、ガラス容器の被覆層が磨耗して、白粉を生じた
り、さらにその白粉によってラベル汚れを引き起こした
りする性質があり、特に輸送距離が長い場合に至っては
白粉の生成量がはなはだしく、結果的にガラス容器の表
面外観が著しく悪くなるという欠点を持っていた。ま
た、最近はガラス容器に代わり、省資源、省エネルギー
化の高まりに伴って、軽量でしかも繰り返して使用可能
なプラスチック製容器が登場しつつあるが、このものも
ガラス容器の場合と同様な欠点を有している。
し、輸送の際の振動により、白粉の発生を引き起こさな
い、容器の擦り傷遮蔽剤を提供することである。また、
他の目的はその遮蔽剤によって擦り傷が遮蔽され、輸送
後においてもラベル汚れや損傷がなく、外装品質に優れ
た容器を提供することである。
な擦り傷遮蔽剤を得るべく鋭意検討した結果、硬化性ポ
リオルガノシロキサンをベースポリマーとした従来の擦
り傷遮蔽剤に、特定のポリジオルガノシロキサンを配合
するのが有効であることを見出し、本発明をなすに至っ
た。
化水素基、X はヒドロキシル基および/または炭素数1
〜4のアルコキシ基であり、a およびb は下記の関係を
満たす数である。
化性ポリオルガノシロキサン 100重量部 (B) ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロ
キサン、ポリメチルビ ニルシロキサン、α, ω−ジヒド
ロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ ヒドロキシ
ポリメチルフェニルシロキサン、α−ヒドロキシポリジ
メチルシロ キサン、α,ω−ジメトキシポリジメチルシ
ロキサン、α,ω−ジメトキシポ リメチルフェニルシロ
キサン、α−メトキシポリジメチルシロキサン、α,ω
−ジエトキシポリジメチルシロキサンより選ばれる、末
端がトリオルガノシリル基、シラノール基またはアルコ
キシ基で封鎖され、25℃における粘度が5〜1,000,000c
Stであるポリジオルガノシロキサン0.1〜30重量部 (C) 一般式(I)で表される直鎖状ポリジメチルシロキ
サン、一般式(II)で表 される環状ポリジメチルシロキ
サン及びエタノールより選ばれる1種又は2種 以上の揮
発性溶剤50〜2000重量部
cSt であることを特徴とする容器の擦り傷遮蔽剤であ
る。さらに、本発明は当該擦り傷遮蔽剤の硬化被膜で表
面を被覆してなる、擦り傷が遮蔽された容器である。
して使用されるリターナブル容器、あるいは一回の使用
で廃棄されるワンウェイ容器のいずれであってもよい
が、特にリターナブル容器の場合に本発明は有効であ
る。また用途からは飲料用容器、化粧品用容器、医療用
容器などが例示されるが、特にこれらに限定されるもの
ではない。さらに、容器の材質からはガラス容器、また
はポリエチレンテレフタレート(PET)系容器、ポリ
アクリロニトリル製容器のようなプラスチック製容器な
どが例示される。
であり、本発明の擦り傷遮蔽剤のベースポリマーとなる
ものである。(A) 成分において、R は置換または非置換
の1価の炭化水素基であり、互いに同一でも相異なって
いてもよい。このような置換または非置換の1価の炭化
水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基のような炭素数1〜12のアルキル基;ビニル
基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリ
ル基、キシリル基のようなアリール基;β−フェニルエ
チル基、β−フェニルプロピル基のようなアラルキル
基;および3,4 −エポキシシクロヘキシルエチル基、γ
−グリシドキシプロピル基、γ−アミノプロピル基、N
−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−
メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル
基、シアノエチル基、クロロメチル基、γ−クロロプロ
ピル基、3,3,3 −トリフルオロプロピル基のような1価
の置換炭化水素基などが例示される。これらの中でも原
料の入手の容易さ、被膜の硬さ、硬化速度、アルカリ水
洗浄性および安全衛生上の観点からすべてメチル基とす
ることが最も有利であるが、容器表面との屈折率のマッ
チングを重視する場合にはフェニル基、β−フェニルエ
チル基などを、また自己硬化性を付与したい場合にはN
−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などの
縮合触媒として作用する基を、メチル基と適宜組み合わ
せて使用することが望ましい。(A) 成分においてX は、
ヒドロキシル基および/または炭素数1〜4のアルコキ
シ基である。このような基とすることにより、硬化反応
時に発生する副生成物の臭気が少なく、硬化性および被
膜特性が良好となる。特にヒドロキシル基、メトキシ
基、エトキシ基であることが好ましい。また、(A) 成分
において、a およびb は下記の関係を満たす数であるこ
とが必要である。 0.8 ≦a <2 0.3 ≦b <2 a が0.8 未満では硬化被膜が脆くなり、2以上であると
良好な被膜が得られにくくなるとともに、被膜に滑り性
やべたつきを生じ、本発明の目的に適さない。一方、b
が0.3 未満では硬化速度が遅すぎて実用に合わず、2以
上では硬化被膜が脆くなり、本発明の目的に適さない。
(A) 成分は、25℃における粘度が10〜100,000cStの範囲
にあることが好ましい。粘度が 10cSt未満ではガラス容
器表面への定着が不十分で、擦り傷遮蔽性に劣る。一
方、100,000cStを超えると高粘度のために擦り傷部への
浸透もしくは濡れが十分ではなく、結果として擦り傷遮
蔽性に劣ることがある。このような硬化性ポリオルガノ
シロキサン(A) は、公知の方法で容易に得ることができ
る。すなわち、メチルトリアルコキシシラン、ジメチ
ルジアルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、
テトラアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラ
ン、ジフェニルジアルコキシシラン、トリフェニルアル
コキシシラン、メチルフェニルジアルコキシシラン、メ
チルジフェニルアルコキシシランなどのアルコキシシラ
ン類、これらのアルコキシ基を塩素原子で置換した対
応するクロロシラン類、ならびにアルキルアルコキシ
シランのアルキル基をエチル基、プロピル基、ブチル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基のような炭素数1〜12のようなアルキル基;ビ
ニル基、アリル基のようなアルケニル基;トリル基、キ
シリル基のようなアリール基;β−フェニルエチル基、
β−フェニルプロピル基のようなアラルキル基;および
3,4 −エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−グリシド
キシプロピル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−メタクリロ
キシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、シアノエ
チル基、クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,
3 −トリフルオロプロピル基のような1価の置換炭化水
素基などで置換した有機ケイ素化合物類、の中から選択
される一種あるいはそれらの混合物を適宜選択して、触
媒の存在下で部分加水分解あるいは加水分解して部分縮
合させることにより得ることができる。このような触媒
としては、無水酢酸、氷酢酸、プロピオン酸、クエン
酸、安息香酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸のような有機酸;
アルミニウムアルキルアセテートのようなアルミニウム
キレート化合物;テトラブチルチタネートのようなチタ
ン酸エステル;メチルトリクロロシラン、ジメチルジク
ロロシランのようなクロロシラン;アンモニア水のよう
な無機塩基;エチレンジアミン、トリエタノールアミン
のような有機塩基;およびN−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランのようなア
ミノアルキルシランなどが例示される。また、(A) 成分
として、以上のようにして得られた、それぞれ特性の異
なる硬化性ポリオルガノシロキサンを複数ブレンドし
て、使用することも差し支えない。
端がトリオルガノシリル基、シラノール基またはアルコ
キシ基で封鎖され、25℃における粘度が5〜1,000,000c
Stの範囲であるポリジオルガノシロキサンである。本成
分は、輸送振動による白粉発生を防止もしくは大幅に低
減する働きをなすものであり、本発明を特徴づける最重
要成分である。(B) 成分の粘度が5cSt 未満では白粉発
生の低減効果が十分でなく、一方、1,000,000cStを超え
ると均一な組成物を調製しにくい不都合がある。また、
ケイ素原子に直接結合する置換基としては、水素原子;
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基のようなア
ルケニル基;フェニル基のようなアリール基;β−フェ
ニルエチル基のようなアラルキル基;および3,3,3 −ト
リフルオロプロピル基、クロロメチル基、β−シアノエ
チル基のような1価の置換炭化水素基などが例示される
が、合成の容易さからメチル基、ビニル基またはフェニ
ル基が一般に有利である。これらの中でもメチル基は、
原料中間体が最も容易に得られるばかりでなく、擦り傷
遮蔽剤としての特性バランスを有利にするので、全有機
基の 65mol%以上がメチル基であることが望ましい。な
お、末端のアルコキシ基としては炭素数1〜4のアルコ
キシ基が望ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ま
しい。特に好ましいものは、末端がトリメチルシリル基
で封鎖され、25℃における粘度が10〜300,000cStのポリ
ジメチルシロキサン、末端がトリメチルシリル基で封鎖
され、25℃における粘度が10〜100,000cStで、フェニル
基含有量1〜50 mol%のポリメチルフェニルシロキサン
である。このような(B) 成分は、公知の方法で得ること
ができる。すなわち、末端がトリオルガノシリル基、シ
ラノール基であるものはそれぞれ、ヘキサオルガノジシ
ロキサン、水を封鎖剤とし、オクタオルガノシクロテト
ラシロキサンなどの環状シロキサンを開環重合させるこ
とにより、また、末端がアルコキシ基であるものは過剰
の対応するアルコールの存在下でジオルガノジクロロシ
ランを加水分解・重縮合させる方法により得られる。こ
のような(B) 成分としては例えば、ポリジメチルシロキ
サン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルビニ
ルシロキサン、α, ω−ジヒドロキシポリジメチルシロ
キサン、α,ω−ジヒドロキシポリメチルフェニルシロ
キサン、α−ヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,
ω−ジメトキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジメ
トキシポリメチルフェニルシロキサン、α−メトキシポ
リジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチ
ルシロキサンなどが例示される。(B) 成分の使用量は、
(A) 成分100 重量部に対して 0.1〜30重量部、好ましく
は5〜20重量部の範囲である。0.1 重量部未満では、輸
送振動による白粉の発生を十分抑制することができず、
本発明の目的に適さない。一方、30重量部を超えて添加
しても特に加えただけの効果がなく、むしろ硬化後の表
面の感触が悪くなるおそれがある。
である。(C) 成分としては、常温もしくは低温加熱によ
って揮発性を有し、しかも(A) 成分および(B) 成分を溶
解もしくは分散させる性質のものであれば特に限定され
ないが、安全衛生上の観点から、揮発性オルガノポリシ
ロキサンまたはエタノールが望ましく、これらの中で
も、低い表面張力と緩慢な揮発速度により、微小なまた
深い擦り傷発生部へも良く浸透し、遮蔽性、表面の平滑
性を向上させる効果が大きいことから、揮発性オルガノ
ポリシロキサンが好ましい。このような揮発性オルガノ
ポリシロキサンとしては例えば、一般式(I)で表され
る直鎖状ポリジメチルシロキサンまたは一般式(II)で
表される環状ポリジメチルシロキサンが開示されるが、
引火点が比較的高く取扱い上有利で、しかも工業的に入
手の容易な、重合度4もしくは5の環状ポリジメチルシ
ロキサン、すなわちオクタメチルシクロテトラシロキサ
ンもしくはデカメチルシクロペンタシロキサンの使用が
特に好ましい。
用してもよい。(C) 成分の使用量は、(A) 成分100 重量
部に対して50〜2000重量部の範囲である。50重量部未満
ではガラス容器に塗布される他成分、すなわち有効成分
の比率が高くなり、被膜表面のレベリング性や所定時間
内での硬化乾燥性が悪くなり、ゆず肌や表面のべとつき
の原因となるおそれがある。また、2,000 重量部を超え
ると、容器表面に塗布される有効成分の量が不足し、十
分な遮蔽効果が得られにくい。
媒を併用する。ただし、(A) 成分のR として、γ−アミ
ノプロピル基やN−(β−アミノエチル)−γ−アミノ
プロピル基のような硬化触媒作用を有する基を含むよう
な場合には特に必要とされない。このような硬化触媒と
しては、ポリオルガノシロキサンの硬化触媒として公知
のものが使用可能である。具体的には、例えばトリエタ
ノールアミンのような有機アミン;N−(β−アミノエ
チル)−γ−アミノプロピルジメトキシシランのような
アミノアルキルシラン;オクチル酸鉄、オクチル酸亜鉛
のようなカルボン酸金属塩;ジオクチル酸スズ、ジブチ
ルスズジラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジ
オクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物;テ
トライソプロポキシチタネート、テトラブチルチタネー
ト、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートのような
チタン酸エステル;およびオルガノシリコン第四アンモ
ニウム塩のような第四アンモニウム塩などが例示され
る。これらの中でも、硬化性や安全衛生上の観点からジ
ブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート
およびテトラブチルチタネートが特に好ましい。硬化触
媒の使用量は、(A) 成分100 重量部に対して0.01〜10重
量部、より好ましくは0.02〜5重量部の範囲である。0.
01重量部未満では被膜の硬化乾燥が遅く、実用に合わ
ず、一方、10重量部を超えても被膜形成に特に効果はな
く、むしろ擦り傷遮蔽剤の保存安定性を悪くする不都合
がある。
分および(B) 成分を(C) 成分に溶解して得られるもので
ある。そのようにして得られた遮蔽剤の25℃における粘
度は、2〜10,000cSt 、好ましくは5〜1,000cStの範囲
である。25℃における粘度が2cSt 未満では、容器表面
への付着量が少なく、一度の処理では十分な擦り傷遮蔽
効果が得られず、一方、10,000cSt を超えると付着量が
増加し被膜が厚くなるために、逆に擦り傷が付きやすく
なるなどの不都合を生じ好ましくない。
分、(B) 成分および(C) 成分から成るものであるが、こ
れら3成分のみからなるものの他に各種の補助成分を配
合することができる。このような補助成分としては例え
ば、被膜の硬さの調整を目的とした界面活性物質などの
可塑剤、可視光や紫外線による内容物の変質や着臭の防
止を目的とした顔料や紫外線吸収剤、染料などの着色
剤、レベリング剤、無機物粉体などが例示される。本発
明の擦り傷遮蔽剤を容器に塗布する方法としては、スプ
レーコーティング、刷毛塗り、パフ塗り、浸漬法、フロ
ーコーター法、転写法など、通常行われている手法を用
いることができる。また、大量のガラス容器、通常この
ようなガラス容器は開口部が細口の瓶体であるが、これ
らを処理する場合は、例えば特開昭58−213654号公報記
載のローラー式コーティング装置や、特公平1−59221
号公報記載のコーティングベルト式のコーティング装置
が使用可能である。被膜の厚さは任意であるが、擦り傷
遮蔽効果、適度の被膜強度、アルカリ水溶液による剥離
性の観点から、0.5 〜30μm 程度が適当である。また、
塗布する部位は擦り傷発生部のみに限らないことは言う
までもないが、コスト削減の目的のために、擦り傷発生
部のみを前記の膜厚になるようにコーティングすること
も有効である。本発明の擦り傷遮蔽剤は硬化に際して特
に加熱は必要でなく、塗布後、室温で0.5〜48時間程度
放置すれば、表面粘着性の無い硬化被膜が容易に得られ
るが、必要に応じて硬化時間の短縮化などのために加熱
しても差し支えない。
果に優れているのは勿論、輸送振動による白粉の発生が
防止もしくは大幅に改善されているという特徴を有す
る。したがって、本発明の擦り傷が遮蔽された容器は、
非常に長距離の輸送を行っても、白粉の発生やそれによ
るラベル汚れが起こりにくいため、従来に比べて輸送後
の外装品質が著しく向上している利点がある。
を掲げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明の範囲
は、以下の実施例のみに限定されるものではない。な
お、合成例、実施例および比較例中の配合量は特に断り
のない限りすべて重量部、粘度は25℃における値を示
す。 合成例1 攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび加熱ジ
ャケットを備えたフラスコに、メチルトリメトキシシラ
ン136.0g(1.0 モル)、メタノール20.0g およびメチル
トリクロロシランを塩化水素分が50ppm となるように仕
込み、攪拌しながら水 17.1g(0.95モル) を滴下ロート
を使って徐々に滴下した。還流温度(約68〜72℃)で4
時間保持して、加水分解および縮合反応を行った。次い
で、常圧、液温100 ℃の条件下で揮発成分を留去した
後、徐々に減圧状態とし、減圧度40Torr、液温150 ℃の
条件下でさらに揮発成分を減圧留去した後、常圧に戻し
て、表1に示す硬化性ポリオルガノシロキサン 63.0g
(A−1)を得た。ただし、表中の有機基含有量a 、X
基含有量b は、シラン化合物および水の仕込み配合量に
基づき計算した値である(以下の合成例についても同様
である)。
ャケットを備えたフラスコに、表1に示す配合量のシラ
ン化合物および加水分解触媒を仕込み、攪拌しながら徐
々に加熱した。液温80℃になった時点で、表1に示す量
の水を徐々に滴下して加えた。液温80℃で6時間保持し
て、加水分解および縮合反応を行った。次いで、常圧、
液温130 ℃の条件下で揮発成分を留去し、徐々に減圧状
態とし、減圧度30Torr、液温130 ℃の条件でさらに揮発
成分を減圧留去後、常圧に戻して、表1に示す硬化性ポ
リオルガノシロキサン(A−2、A−3、A−4および
A−5)を得た。
ャケットを備えたフラスコに、メチルトリメトキシシラ
ン 95.2g(0.7 モル)、フェニルトリメトキシシラン 1
9.8g(0.1 モル)、ジメチルジクロロシラン 51.6g(0.
4 モル)およびトルエン120.0gを仕込み、攪拌しながら
水 23.4g(1.3 モル)を徐々に滴下した。滴下終了後、
液温 110℃で1時間加熱還流攪拌を行った。反応液を室
温まで冷却して、分液ロートに移し入れ、静置して有機
層と水層に分離させた後、下層の水層を除去して、ポリ
オルガノシロキサンのトルエン溶液を得た。このトルエ
ン溶液に飽和食塩水を加えてよくかき混ぜた後、静置し
て水層を分離した。この塩析操作を2回繰り返した後、
水を加えて同様の操作で有機層を2回水洗した。こうし
て得られた有機層を、攪拌機、加熱ジャケットおよびデ
ィーン・スターク分離管を備えたフラスコに入れ、減圧
度30Torr、液温80℃の条件下で揮発成分を減圧留去し
て、表1に示す硬化性ポリオルガノシロキサン(A−
6)を得た。
(A−1、A−2、A−3、A−4、A−5およびA−
6)をベースポリマーとし、表2および表3に示す割合
で各成分を配合することにより、それぞれ、実施例1〜
12および比較例1〜12の擦り傷遮蔽剤を得た。比較例1
〜12は、本発明に係る実施例1〜12の擦り傷遮蔽剤にお
いて、それぞれ(B) 成分を使用しない場合である。
よび被膜特性の評価方法は、次の通りである。 〔評価用瓶体の作成条件〕 リターナブル使用され、側面全体に擦り傷が付いたビー
ル用褐色大瓶で市販のアルミ箔ラベルを貼り付けたもの
(内容量633ml)を用意し、これに各擦り傷遮蔽剤を1本
あたりの塗布量が0.3gとなるように塗布した。塗布後、
直ちに、これらの瓶体に内容量の20%にあたる量の氷水
を充填し、瓶体表面の一部(瓶底から約7cmの高さま
で)を結露させた。さらに、25℃、60%RHの環境下で
7日間放置して、評価用瓶体とした。 〔振盪テスト1〕 評価用瓶体を入れた所定のプラスチックケース(通称、
P箱)を、三段積み運搬用パレットの最上段に固定し、
トラック(最大積載量4トン)で東京〜博多間1200kmを
輸送した。 〔振盪テスト2〕 評価用瓶体を入れた所定のプラスチックケース(通称、
P箱)を、エミック(株)製の振動試験機に固定し、振
動周波数5〜40Hz、加振加速度1G、振幅10cmで120 分
間振盪した。本条件は、実際のトラック輸送では輸送距
離1800km以上に相当する。 〔被膜特性の評価方法〕 〈擦り傷遮蔽性〉 振盪テスト前後の擦り傷部位の外観を目視観察し、下記
の基準で4段階評価した。 ◎:擦り傷部位が完全に遮蔽されている。 ○:擦り傷部位の一部が露出している。 △:擦り傷部位の半分が露出している。 ×:擦り傷遮蔽効果が不十分である。 〈油浮き〉 評価用媒体を20℃の水中に3日間浸漬した後、水浴表面
を目視観察し、下記の基準で3段階評価した。 ○:油膜が全く認められない。 △:わずかに油膜が認められる。 ×:油膜が水浴表面に顕著に認められる。 〈洗瓶性〉 評価用瓶体を液温60℃、水酸化ナトリウム3%およびア
ルミン酸ナトリウム5%を含む水溶液に浸漬し、15分経
過後の被膜除去の程度を目視観察して、下記の基準で3
段階評価した。 ○:被膜がほぼ完全に除去されている。 △:被膜が半分程度残存している。 ×:被膜の大部分が残存している。 〈白粉の発生〉 振盪テスト後の瓶体表面の白粉発生状況を目視観察し、
下記の基準で4段階評価した。 ◎:白粉の発生がない。 ○:白粉の発生がわずかにある。 △:白粉の発生がややある。 ×:白粉の発生がかなりあり、実用対象外のレベルであ
る。 〈ラベル汚れ〉 振盪テスト後のアルミ箔ラベルの汚れ状況を目視観察
し、下記の基準で4段階評価した。 ◎:ラベル汚れがない。 ○:ラベル汚れがわずかにある。 △:ラベル汚れがややある。 ×:ラベル汚れがかなりあり、実用対象外のレベルであ
る。 実施例1〜12および比較例1〜12の評価結果をそれぞれ
まとめて、表2および表3に示した。これらの表から明
らかなように、本発明に係る実施例1〜12の擦り傷遮蔽
剤はいずれも、振盪テスト後の白粉の発生、ラベル汚れ
について、非常に良好な結果を示した。また、これら
は、遮蔽性、油浮き、洗瓶性などの擦り傷遮蔽剤として
の一般特性も良好であることが確認された。一方、比較
例1〜12の擦り傷遮蔽剤では振盪テスト後の白粉の発
生、ラベル汚れが甚だしいことが確認されるとともに、
擦り傷遮蔽性についても十分満足する結果は得られなか
った。
Claims (8)
- 【請求項1】(A) 一般式 【化1】 (式中、R は置換または非置換の1価の炭化水素基、X
はヒドロキシル基および/または炭素数1〜4のアルコ
キシ基であり、a およびb は下記の関係を満たす数であ
る。 0.8≦a<2 0.3≦b<2 ) で表され、25℃における粘度が10〜100,000cStである硬
化性ポリオルガノシロキサン 100重量部 (B) ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロ
キサン、ポリメチルビ ニルシロキサン、α, ω−ジヒド
ロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ ヒドロキシ
ポリメチルフェニルシロキサン、α−ヒドロキシポリジ
メチルシロ キサン、α,ω−ジメトキシポリジメチルシ
ロキサン、α,ω−ジメトキシポ リメチルフェニルシロ
キサン、α−メトキシポリジメチルシロキサン、α,ω
−ジエトキシポリジメチルシロキサンより選ばれる、末
端がトリオルガノシリル基、シラノール基またはアルコ
キシ基で封鎖され、25℃における粘度が5〜1,000,000c
Stであるポリジオルガノシロキサン0.1〜30重量部 (C) 一般式(I)で表される直鎖状ポリジメチルシロキ
サン、一般式(II)で表 される環状ポリジメチルシロキ
サン及びエタノールより選ばれる1種又は2種 以上の揮
発性溶剤50〜2000重量部 【化2】 より成り、25℃における粘度が2〜10,000cSt であるこ
とを特徴とする容器の擦り傷遮蔽剤。 - 【請求項2】(A) 成分のR がメチル基である、請求項1
記載の容器の擦り傷遮蔽剤。 - 【請求項3】(A) 成分のX がメトキシ基である、請求項
1記載の容器の擦り傷遮蔽剤。 - 【請求項4】(B) 成分が、末端がトリメチルシリル基で
封鎖され、25℃における粘度が10〜300,000cStのポリジ
メチルシロキサンである、請求項1記載の容器の擦り傷
遮蔽剤。 - 【請求項5】(B) 成分が、末端がトリメチルシリル基で
封鎖され、25℃における粘度が10〜100,000cStで、フェ
ニル基含有量1〜50 mol%のポリメチルフェニルシロキ
サンである、請求項1記載の容器の擦り傷遮蔽剤。 - 【請求項6】(C) 成分が、デカメチルシクロペンタシロ
キサンである、請求項1記載の容器の擦り傷遮蔽剤。 - 【請求項7】請求項1記載の擦り傷遮蔽剤の硬化被膜で
表面を被覆してなる、擦り傷が遮蔽された容器。 - 【請求項8】容器がリターナブルガラス瓶である、請求
項7記載の擦り傷が遮蔽された容器。
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---|---|---|---|
JP4182500A JP2694090B2 (ja) | 1992-07-09 | 1992-07-09 | 容器の擦り傷遮蔽剤および擦り傷が遮蔽された容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4182500A JP2694090B2 (ja) | 1992-07-09 | 1992-07-09 | 容器の擦り傷遮蔽剤および擦り傷が遮蔽された容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0632341A JPH0632341A (ja) | 1994-02-08 |
JP2694090B2 true JP2694090B2 (ja) | 1997-12-24 |
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ID=16119383
Family Applications (1)
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JP4182500A Expired - Fee Related JP2694090B2 (ja) | 1992-07-09 | 1992-07-09 | 容器の擦り傷遮蔽剤および擦り傷が遮蔽された容器 |
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JPH064496B2 (ja) * | 1984-06-20 | 1994-01-19 | 東芝シリコ−ン株式会社 | 透明ガラス瓶のすり傷遮蔽剤 |
JP2632965B2 (ja) * | 1988-06-07 | 1997-07-23 | 昭和電工株式会社 | ラダー型シリコーンオリゴマー組成物 |
JPH0660298B2 (ja) * | 1989-10-16 | 1994-08-10 | 信越化学工業株式会社 | コーティング用シリコーン組成物 |
-
1992
- 1992-07-09 JP JP4182500A patent/JP2694090B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH0632341A (ja) | 1994-02-08 |
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