JP3915903B2 - ガラス容器用擦り傷遮蔽剤及びガラス容器 - Google Patents

ガラス容器用擦り傷遮蔽剤及びガラス容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば回収して繰り返し使用されるビール瓶、清涼飲料水の瓶などのガラス容器表面に擦り傷が発生するのを防止し、また発生した擦り傷を遮蔽するために使用されるガラス容器用擦り傷遮蔽剤及び該遮蔽剤で披覆したガラス容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ビール、清涼飲料、牛乳などに使用されているガラス容器は、通常、回収されて繰り返し使用されている。このように繰り返し使用されるガラス容器は、充填工程や流通過程でガラス容器同士あるいはガラス容器とプラスチックケースや機械などの金属等との接触によりガラス容器面に擦り傷が発生し、その結果著しく外観が損なわれて瓶詰め飲料の商品価値が低下する。そこで、従来からガラス容器面に遮蔽剤を塗布して擦り傷の発生を防止したり、発生した擦り傷を遮蔽する試みがなされている。
【0003】
この場合、このようにガラス容器の擦り傷の発生を防止し、擦り傷を遮蔽する材料としては、下記のような特性が要求される。
(1)擦り傷の遮蔽性が良いこと。
(2)擦り傷の発生する条件に耐えられる程度に被膜の強度が大きく、表面の滑り性が良いこと。
(3)表面にべとつき(粘着感)や異常な滑り感などの異物感がなく、非塗工部と塗工部の差が目立たないこと。また、ほこりや汚れを吸着しにくいこと。
(4)室温程度で被膜を形成し、所望の物性が得られること。
(5)塗工後、塗膜が硬化するまでの間に塗工面に結露が生じたり、水中につけても影響を受けにくく、所要の物性を持つ被膜を形成すること。
(6)水中につけても遮蔽性が保持されること。また、水につけた時に水面に油膜を生じないこと。
(7)回収後の洗瓶工程で容易にかつ完全に硬化被膜を除去できること。
(8)充填工程でラベル貼りに影響したり、ラベルに損傷を与えるものでないこと。
(9)遮蔽剤そのものが有害でなく、人体や食品に触れても安全であること。また、希釈して使用する場合には、希釈剤が有害でないこと。
【0004】
従来、このような目的の遮蔽剤にシリコーン樹脂を使用することは公知であり、例えば特開昭55−56040号公報には、メチル基とフェニル基を特定の比率で含有する硬化性オルガノポリシロキサン樹脂が提案されている。また、特開昭58−167449号、特開昭61−6152号各公報には、特定の被膜形成性ポリオルガノシロキサンを主成分とし、液体ポリジオルガノシロキサンやメチルフェニル系ポリジオルガノシロキサンを添加したエマルジョン組成物が提案されている。
【0005】
特開昭59−121138号公報には、3官能性アルコキシシラン化合物の縮重合反応生成物を有効成分とする塗布剤が記載されている。特開昭61−227943号、特開昭61−227944号各公報には、アルコキシ基含有アルキルポリシロキサンと脂肪酸誘導体あるいはポリエーテル化合物との反応生成物を主成分とする塗布剤が記載されている。特開昭62−27354号、特開昭62−265146号各公報には、それぞれ3官能性アルコキシシラン化合物と4官能性アルコキシシラン化合物との部分加水分解反応生成物が提案されている。
【0006】
また、特開平2−88443号公報には、アルコキシ基を含有するポリシロキサン系又はポリチタノシロキサン系ポリマーが、特開平3−16934号公報には、アルコキシ基含有オルガノチタノシロキサンがそれぞれ記載されている。更に、特開平3−131548号、特開平4−55343号各公報には、硬化性オルガノポリシロキサン樹脂を主成分とし、直鎖状あるいは環状の揮発性オルガノシロキサンで希釈した擦り傷遮蔽剤が提案されている。
【0007】
特開平4−306274号、特開平6−9873号各公報には、R1SiO1.5単位とR2 3SiO0.5単位からなり軟化点を有するシリコーン樹脂を主成分とする処埋剤が記載されている。また、特開平6−239649号公報には、硬化性オルガノポリシロキサン樹脂を主成分とし、硬化被膜に滑り性を付与するために高級アルコール類及び高級脂肪酸エステル類から選択される有機化合物を共用した組成物が提案されている。特開平8−176507号公報には、炭素数4以上のアルキル基を導入することによって撥水性を付与した硬化性シリコーン樹脂が記載されている。
【0008】
これらの擦り傷遮蔽剤は、一般的に硬化性オルガノポリシロキサンが空気中の水分等により硬化して被膜を形成するものであり、硬化を促進するための触媒を使用することが多い。かかる触媒の例として各公報に例示されているものは以下のものである。
【0009】
▲1▼トリエタノールアミン等の有機アミン類
▲2▼N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキルシラン化合物
▲3▼オクチル酸鉄、オクチル酸亜鉛等のカルボン酸金属塩
▲4▼ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機錫化合物
▲5▼テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類
▲6▼アセチルアセトンアルミニウム塩等のアルミニウム有機化合物
▲7▼オルガノシリコン第4級アンモニウム塩のような第4級アンモニウム塩
【0010】
これらのうち、硬化性と安全衛生上の観点からテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類やジオクチル錫ジラウレート等の有機錫化合物が好ましく用いられている。
【0011】
このようなシリコーン系の樹脂や希釈剤はオルガノポリシロキサン特有の安全性を有し、硬化性オルガノポリシロキサン樹脂や被膜形成成分を最適なものとすることによって、擦り傷遮蔽性、被膜強度、指触感において良好な特性を有する硬化被膜を得ることができるが、他の特性についてはなお改良の余地がある。
【0012】
特に上記(4)の特性については、ガラス容器の内容物であるビール等の鮮度保持の観点からより低温、短時間で硬化被膜を形成することが求められている。また、上記(5)、(6)の特性についても、塗工面に結露が生じたり、内容物を冷却するためガラス容器を冷水中に浸漬した際に、遮蔽性が維持され、水面に油膜を生じないことは当然のこと、被膜が白化して本来透明であるガラス容器の外観を損ない、商品価値を低下させることがあってはならない。更には、上記(7)の特性についても、やはりガラス容器の外観を良好に保つため、回収後の洗瓶工程における被膜のアルカリ溶液除去が、より容易かつ確実に達成されることが必要とされる。
【0013】
すなわち、より硬化性に優れ、得られた硬化被膜が水と接触しても白濁せず、かつ硬化被膜のアルカリ水溶液洗浄性に優れるシリコーン樹脂系の擦り傷遮蔽剤が求められている。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ガラスとのなじみが良く、密着性及びガラスの擦り傷遮蔽性に優れるため被膜自身やガラス面へのかすり傷の発生を効果的に防止し得ると共に、室温下で速やかに硬化し、浸水による被膜の白化が効果的に防止され、ガラス容器を回収した後の洗瓶工程におけるアルカリ水溶液洗浄性に優れ、しかも使用性、作業性の良いガラス容器用擦り傷遮蔽剤並びに該遮蔽剤の硬化被膜で被覆されたガラス容器を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、シリコーン樹脂として下記平均組成式(1)で示されるシリコーン樹脂を使用すること、該シリコーン樹脂の硬化触媒としてチタンキレート化合物を使用することにより、室温下で速やかに硬化し、密着性及びガラスの擦り傷遮蔽性に優れるため被膜自身やガラス面へのかすり傷の発生を効果的に防止することが可能となる上に、得られた硬化被膜が水と接触しても白濁せず、かつ硬化被膜のアルカリ水溶液洗浄性に優れる遮蔽剤が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0016】
従って、本発明は、下記平均組成式(1)で示されるシリコーン樹脂とチタンキレート化合物とを含有してなることを特徴とするガラス容器用擦り傷遮蔽剤、及び該遮蔽剤の硬化被膜が表面に形成されてなるガラス容器を提供する。
1 a(R2O)bSicTid(4-a-b)/2 …(1)
(式中、R1は置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はシクロアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、a,b,c,dは0.5<a<2、0.4≦b≦2、0.5≦c≦1、0≦d≦0.5、c+d=1を満たす数である。)
【0017】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明に係るガラス容器用擦り傷遮蔽剤は、
(A)硬化性シリコーン樹脂、
(B)チタンキレート化合物
を含有する。
【0018】
ここで、(A)成分のシリコーン樹脂は、(B)成分のチタンキレート化合物と共用することにより、ガラス容器の表面に密着した均一な被膜を形成するものであり、下記平均組成式(1)で示されるものを使用する。
1 a(R2O)bSicTid(4-a-b)/2 …(1)
(式中、R1は置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はシクロアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、a,b,c,dは0.5<a<2、0.4≦b≦2、0.5≦c≦1、0≦d≦0.5、c+d=1を満たす数である。)
【0019】
この場合、R1のアルキル基としては炭素数1〜4のもの、アルケニル基としては炭素数2〜5のもの、アリール基としては炭素数6〜10のもの、アラルキル基としてはアルキレン基部分が炭素数1〜4、アリール基部分が炭素数6〜10のもの、シクロアルキル基としては炭素数5〜10のものが好ましい。
【0020】
1基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、β−フェニルエチル基、γ−フェニルプロピル基等のアラルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基や、これらの有機基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、フルオロプロピル基、シアノエチル基等を例示することができる。
【0021】
なお、R1基は互いに同一でも異なっていてもよい。これらの中でメチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。硬さ、硬化性、入手の容易さからはメチル基が有利であり、またガラスと屈折率を近づけて遮蔽性を向上させたり、可撓性を付与する目的で、フェニル基やビニル基等を使用したり、これらの有機基を互いに組み合わせて使用することができる。特にR1基をメチル基とフェニル基の組み合わせとした場合、硬さ、硬化性、透明性、遮蔽性に優れるシリコーン樹脂を得ることが可能となり、この際、R1基中のフェニル基含有量を5〜50モル%とすることが好ましい。
【0022】
また、アルコキシ基を示すR2O基のR2基は炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が例示されるが、メチル基、エチル基が好ましい。硬化時の被膜形成に与える効果からはR2O基としてメトキシ基が好ましく、また硬化時に生成する副生物の臭気が少ないことや有害性の点ではエトキシ基であることが好ましい。
【0023】
更に、上記式(1)中の係数a,b,c,dは0.5<a<2、0.4≦b≦2、0.5≦c≦1、0≦d≦0.5、c+d=1を満たす数であるが、擦り傷遮蔽剤として使用する際の硬化性、硬さ、強度、密着性、遮蔽性、指触感、耐水性等の被膜特性、使用性、作業性、経済性といった観点から、より好ましくは0.7≦a≦1.8、0.7≦b≦1.8、0.7≦c≦1、0≦d≦0.3である。また、a+bは1.2≦a+b≦3、特に1.5≦a+b≦2.7であることが好ましい。
【0024】
上記シリコーン樹脂の粘度は、適宜選定されるが、25℃において1〜10,000mm2/s、特に5〜1,000mm2/sであることが好ましい。
【0025】
このようなシリコーン樹脂は、従来公知の方法により容易に得ることができる。例えば、(1)上記した置換基R1を有するトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、モノアルコキシシランやテトラアルコキシシラン等のアルコキシシラン類から選択される混合物を部分加水分解する方法、(2)これらのアルコキシシランに対応するクロロシラン類と水及びアルコールを反応させることにより、部分加水分解アルコキシ化を行う方法、(3)上記のアルコキシシラン、その部分加水分解物、ポリシリケート又はそれらの混合物とこのアルコキシシランに対応するクロロシラン類及び(共)加水分解物とを脱塩化アルキル縮合させる方法等が挙げられる。
【0026】
なお、(A)成分の使用量は、遮蔽剤全体の40重量%以下、特に5〜30重量%であることが好適である。
【0027】
一方、(B)成分のチタンキレート化合物は、前記した通り(A)成分のシリコーン樹脂の硬化触媒として作用するものであり、キレート性基を有するチタン化合物であればいかなるものも使用することができるが、特に、β−ジケトン及び/又はβ−ケトエステルが配位したものが好ましく、更にはアセチルアセトナート基及び/又はエチルアセトアセテート基を有するチタンキレート化合物が好適に使用される。このようなチタンキレート化合物の具体例としては、オルガチックスTC−100、オルガチックスTC−140、オルガチックスTC−401、オルガチックスTC−750(いずれも松本製薬工業(株)製商品名)として市販されているものを挙げることができる。
【0028】
シリコーン樹脂の硬化触媒として、一般的に使用されているテトラブチルチタネート等のチタン酸エステルを用いた場合、触媒添加量の増加等によって硬化性の向上はある程度可能であり、硬化被膜のアルカリ水溶液洗浄性も洗浄温度を高めることによってほぼ良好なレベルとなるが、遮蔽剤の硬化被膜を被覆したガラス容器を水中に浸漬した際の被膜白化を防止することは困難であった。本発明の(B)成分であるチタンキレート化合物を上記(A)成分のシリコーン樹脂と組み合わせた場合には、詳細な機構は不明であるが、少量添加でも硬化性に優れ、比較的マイルドなアルカリ水溶液洗浄条件でも硬化被膜を除去することが可能で、しかも被膜の水との接触による白化が防止されるという特性バランスの良好な擦り傷遮蔽剤を得ることができるものである。
【0029】
なお、(B)成分の使用量は特に制限はないが、(A)成分100重量部に対して有効成分換算で好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜15重量部である。
【0030】
更に、本発明の擦り傷遮蔽剤には、(C)成分として特定の有機化合物を添加することにより、硬化被膜に適度な疎水性と滑り性を付与することが可能である。このような有機化合物としては、炭素数16以上の一価アルコール及び炭素数8以上の脂肪酸と炭素数3以上の一価アルコールとのエステルから選択されるものである。
【0031】
この場合、一価アルコールとしては炭素数が16以上のものであれば制限はないが、特に炭素数18〜35のものが好適である。炭素数が16未満の場合には、硬化後の塗膜に好ましくない滑り性を生じたり、耐水性が低下して油膜を生じたり、塗膜外観が劣化したりするおそれがある。また、脂肪酸エステルは炭素数8以上の脂肪酸部分と炭素数3以上の一価アルコール部分からなるものであれば制限はないが、特に脂肪酸部分の炭素数が8〜30で一価アルコール部分の炭素数が3〜35であるものが好適である。
【0032】
具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、オクタコシルアルコール等の直鎖状アルコール類、2−ヘキシルドデカノール、2−オクチルドデカノール、(C1327)(C1123)CHCH2OHの構造式で示されるアルコール等の分岐状アルコール類などのアルコール類、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ヘキサデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸ヘキサデシル、ベヘニン酸ヘキサデシル、ベヘニン酸ベヘニル等の脂肪酸の一価アルコールエステルなどを挙げることができ、これらは市販品として入手することができる。特に、炭素数18〜35のアルコール類やミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のエステル等が好適に使用される。
【0033】
この(C)成分を添加する場合、その使用量は特に制限はないが、(A)成分100重量部に対して有効成分換算で0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部とすることが好適である。
【0034】
更に、本発明の擦り傷遮蔽剤は、(D)成分としての溶剤あるいは分散媒で希釈して使用することができる。このような(D)成分としては、(A)〜(C)成分の溶解性、安全衛生性からは、特開平3−131548号や特開平4−55343号各公報に記載されている直鎖状又は環状の揮発性オルガノシロキサン、あるいはイソパラフィン系脂肪族炭化水素が好適に使用され、(A)〜(C)の各成分が均一に溶解した溶液であることが好ましいが、必要に応じて例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールや所要溶解能を有する他の有機溶剤等を使用することもできる。
【0035】
この(D)成分の使用量は特に制限はないが、遮蔽剤全体の60重量%以上、特に70〜95重量%であることが好適である。
【0036】
本発明の擦り傷遮蔽剤に、更に必要に応じて各種の補助成分、例えば安定剤、揺変剤、着色剤、充填剤を添加することは任意とされる。
【0037】
本発明の擦り傷遮蔽剤が適用されるガラス容器は、特に制限されないが、ビール、清涼飲料、牛乳、酒の容器等の市場から回収されて再利用されるものが有効に用いられる。
【0038】
本発明の擦り傷遮蔽剤をガラス容器に塗布する方法としては、刷毛塗り、スプレー法、浸漬法、フローコーター法、転写法等、通常行われている方法、その他の任意の方法を採用することができる。また、塗布すべき場所は、擦り傷発生部位や擦り傷が生じやすい部位であるが、このような部位のみに限定されるものではない。
【0039】
本発明の擦り傷遮蔽剤は、ラベルのインクを溶解せず、ラベルを損傷することがないので、ラベルを貼り付けした後に塗工することができる。
【0040】
本発明の擦り傷遮蔽剤は、室温下において空気中の水分などにより硬化して被膜を形成する。従って、塗工した後は、室温で1〜96時間程度放置することにより、表面粘着性のない被膜を得ることができるが、硬化時間の短縮や揮発性オルガノシロキサン等の溶剤成分の除去、その他の必要に応じて、ガラス容器中の内容物の品質を損なわない程度の加熱処理を行ってもよい。
【0041】
なお、硬化被膜の厚みは任意であるが、擦り傷を遮蔽する効果、被膜の強度及び洗浄工程で容易に除去することができることから、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μm程度が適当である。硬化被膜の厚みが0.5μmより薄いと擦り傷遮蔽性が不十分になり、また擦り傷の発生防止効果が不十分となる場合があり、10μmより厚くなると、洗浄工程で除去しにくくなる場合が生じるおそれがある。
【0042】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0043】
[実施例1〜8、比較例1〜4]
表1に示す組成のガラス容器用擦り傷遮蔽剤を調製し、その性能を下記の方法により評価した。結果を表1に併記する。なお、表1で示した各成分は下記の通りである。
【0044】
(A)成分:シリコーン樹脂
シリコーン樹脂 A
(CH30.9(C650.1(CH3O)1.2SiO0.9の平均組成式で示される、25℃における粘度が17mm2/sであるオルガノポリシロキサン
シリコーン樹脂 B
(CH31.0(C250.2(C650.1(CH3O)1.2SiO0.75の平均組成式で示される、25℃における粘度が12mm2/sであるオルガノポリシロキサン
シリコーン樹脂 C
(CH30.7(C650.2(C25O)0.9SiO1.1の平均組成式で示される、25℃における粘度が110mm2/sであるオルガノポリシロキサン
シリコーン樹脂 D
(CH30.8(C650.1(C25O)1.3Si0.95Ti0.050.9の平均組成式で示される、25℃における粘度が35mm2/sであるオルガノポリチタノシロキサン
シリコーン樹脂 E(比較例用)
(CH31.7(C650.2(CH3O)0.1SiO1.0の平均組成式で示される、25℃における粘度が80mm2/sであるオルガノポリシロキサン
【0045】
(B)成分:チタンキレート化合物(硬化触媒)
チタンキレート F
ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウムの75%イソプロパノール溶液(松本製薬工業(株)製商品名:オルガチックスTC−100)
チタンキレート G
ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウムの95%品(松本製薬工業(株)製商品名:オルガチックスTC−750)
チタン酸エステル H(比較例用)
テトライソプロピルチタネート(松本製薬工業(株)製商品名:オルガチックスTA−10)
【0046】
(C)成分:一価アルコール又は脂肪酸エステル
一価アルコール I
構造式C1837OHで示される一価アルコール:ステアリルアルコール(花王(株)製商品名:カルコール80)
脂肪酸エステル J
構造式C1735COOC1837で示される脂肪酸エステル:ステアリン酸ステアリル(花王(株)製商品名:エキセパールSS)
【0047】
(D)成分:揮発性溶剤
溶剤 K
下記(2)式で示される、25℃における粘度が3.9mm2/sで、沸点が210℃である揮発性環状オルガノシロキサン
【0048】
【化1】
Figure 0003915903
【0049】
溶剤 L
初留点205℃、乾点252℃、平均分子量191であるイソパラフィン系脂肪族炭化水素溶剤(エクソン化学(株)製商品名:アイソパーM)
【0050】
性能評価
(1)液の外観(白濁や分離の有無、均一溶解性)
状態を目視により観察し、以下の基準によって判定した。
○:均一、透明
△:わずかに白濁
×:液が不均一、白濁
(2)擦り傷遮蔽性及び塗膜の均一性
状態を目視により観察し、以下の基準によって判定した。
○:擦り傷が全く認められず、塗膜も均一
△:擦り傷が少し認められるか、塗膜がやや不均一
×:擦り傷がかなり認められるか、塗膜が不均一
(3)硬化性
遮蔽剤をコートし、25℃、相対湿度80%の雰囲気下で48時間静置した後の塗膜表面状態を指触により観察し、以下の基準によって判定した。
○:タック感がなく、指紋も付着しない
△:タック感が少しあるか、指紋が少し付着する
×:タック感が大きいか、遮蔽剤が指に付着する
(4)耐摩耗性
遮蔽剤をコートし、25℃、相対湿度80%の雰囲気下で96時間静置したビール瓶に水を充填して密栓し、プラスチックケース(P函)に入れてヤマト科学製の振盪機(Shaker model SA−31)を使用して、振盪幅4cm、140回/分の条件で30分間水平振盪試験を行った後、被膜外観を目視により観察し、以下の基準によって判定した。
○:被膜表面の白化がない
△:被膜表面が部分的に白化が認められる
×:被膜表面のほぼ全面に白化が認められる
(5)耐水性
遮蔽剤をコートし、25℃、相対湿度80%の雰囲気下で48時間静置したビール瓶を、15℃の水中に96時間浸漬した後に取り出し、被膜外観を目視により観察し、以下の基準によって判定した。
○:被膜の白化がなく透明
△:被膜全体がわずかに曇ったか、部分的な白化が認められる
×:被膜のほぼ全面が白化
(6)除去性
遮蔽剤をコートし、25℃、相対湿度80%の雰囲気下で15日間静置したビール瓶を、3.5%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて70℃、10分間の条件で洗浄した場合の被膜の除去しやすさを、目視及び残存被膜の有無をカッターナイフにより削って観察し、以下の基準によって判定した。
○:被膜が完全に除去
△:わずかに被膜が残る
×:被膜が不均一に残存
(7)ラベルの損傷性
市販のビール瓶のラベルを遮蔽剤を含ませたスポンジで上下方向に5回処理し、ラベル表面及び印刷インキの損傷の有無を目視により観察し、以下の基準によって判定した。
○:全く損傷がない
△:部分的な損傷が認められる
×:全面が損傷を受ける
【0051】
【表1】
Figure 0003915903
【0052】
表1の結果より、特に本発明の遮蔽剤は室温下での硬化性、耐摩耗性、耐水性(水浸漬時の被膜白化防止性)及びアルカリ水溶液による被膜除去性に優れていることが認められる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラスとのなじみが良く、密着性及びガラスの擦り傷遮蔽性に優れるため被膜自身やガラス面へのかすり傷の発生を効果的に防止し得ると共に、室温下で速やかに硬化し、浸水による被膜の白化が効果的に防止されており、ガラス容器を回収した後の洗瓶工程におけるアルカリ水溶液洗浄性に優れ、しかも使用性、作業性の良いガラス容器用擦り傷遮蔽剤並びに該遮蔽剤の硬化被膜で被覆されたガラス容器を提供することができる。

Claims (8)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    1 a(R2O)bSicTid(4-a-b)/2 …(1)
    (式中、R1は置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はシクロアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、a,b,c,dは0.5<a<2、0.4≦b≦2、0.5≦c≦1、0≦d≦0.5、c+d=1を満たす数である。)
    で示されるシリコーン樹脂と、
    (B)チタンキレート化合物
    とを含有してなることを特徴とするガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  2. (A)成分が、式(1)においてR1がメチル基、エチル基、フェニル基から選択される炭化水素基であり、R2がメチル基、エチル基から選択される炭化水素基であるシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  3. (B)成分のチタンキレート化合物がβ−ジケトン及び/又はβ−ケトエステルが配位したものであることを特徴とする請求項1又は2記載のガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  4. (B)成分の配合量が、(A)成分100重量部に対し0.5〜20重量部であることを特徴とする請求項1,2又は3記載のガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  5. 更に、(C)成分として炭素数16以上の一価アルコール及び炭素数8以上の脂肪酸と炭素数3以上の一価アルコールとのエステルから選択される有機化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  6. (C)成分の配合量が、(A)成分100重量部に対して10重量部以下であることを特徴とする請求項5記載のガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  7. 更に、(D)成分として直鎖状もしくは環状の揮発性オルガノシロキサン及び/又はイソパラフィン系脂肪族炭化水素からなる溶剤を含有し、この溶剤に他の成分が均一に溶解した溶液であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のガラス容器用擦り傷遮蔽剤。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項記載の擦り傷遮蔽剤の硬化被膜が表面に形成されてなるガラス容器。
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