JPH103861A - 平面型表示装置 - Google Patents

平面型表示装置

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JPH103861A
JPH103861A JP8151276A JP15127696A JPH103861A JP H103861 A JPH103861 A JP H103861A JP 8151276 A JP8151276 A JP 8151276A JP 15127696 A JP15127696 A JP 15127696A JP H103861 A JPH103861 A JP H103861A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プラズマディスプレイ装置に関し、画像表示に
不要な光をカットし、表示の品質を向上すること。 【解決手段】放電発光を行うためのガスを封入したガス
放電空間30を規定する一対の基板21,22を備えた
平面型表示装置において、近赤外線を吸収又は反射する
手段6〜9を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面型表示装置に
関し、より詳しくは、コンピュータ、テレビなどの画像
表示として使用される平面型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】平面型表示装置である、プラズマディス
プレイパネル(以下、PDPという)は壁掛テレビなど
の表示デバイスに実用化されている。PDPは、電圧駆
動方式の相違によってAC型とDC型がある。例えば、
AC型カラーPDPの表示部分は概ね図19に示すよう
な構造を有している。
【0003】図19において、背面ガラス基板101 上に
は、アドレス電極102 と、このアドレス電極102 を覆う
蛍光体層103 が形成されている。また、前面ガラス基板
104の背面ガラス基板101 に対向する面には、誘電体層1
05 、表示電極対106,107 、保護層108 などが形成され
ている。さらに、前面ガラス基板104 と背面基板101の
間の放電間隙109 にはガスが封入されている。
【0004】このようなPDPを実用化する上で、パネ
ルの寿命や、動作電圧、発光輝度ならびに色純度等が重
要な評価因子となる。これらの評価因子は、放電間隙10
9 に封入するガス組成に大きく影響される。そのガス組
成については種々な検討がなされ、ネオン(Ne)とキセ
ノン(Xe)の2成分ガス組成、ヘリウム(He)とキセノ
ンの2成分ガス組成、又は、ヘリウム、アルゴン(Ar)
及びキセノンの3成分ガス組成、或いは、ネオン、アル
ゴン及びキセノンの3成分ガス組成などを使用すること
によって、長寿命、低動作電圧でしかも充分な発光輝度
を有するPDPが実現されてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そのような混合ガスを
使用するPDPからは近赤外線などの可視光以外の波長
の光が放出される。その近赤外線は、PDPが設置され
る場所で使用されるPOSシステム等の赤外線データの
転送に悪影響を及ぼしたり、或いはPDPをテレビとし
て使用する家庭内で家電製品用近赤外線リモコンの誤動
作を招く可能性があることが、本願発明者らによって明
らかにされた。この事実は、今まで知られておらず、本
願発明者らによって発見されたものである。
【0006】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであって、画像表示に不必要な光をカットし、しか
も画像表示品質を向上することができる平面型表示装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(手 段) (1)上記した課題は、図4、図5に例示するように、
放電発光を行うためのガスを封入したガス放電空間30
を規定する一対の基板21,22を備えた平面型表示装
置において、近赤外線を吸収又は反射する手段6〜9を
備えたことを特徴とする平面型表示装置によって解決す
る。
【0008】その平面型表示装置において、前記近赤外
線を反射又は吸収する手段6〜9は、前記一対の基板2
1,22のうちの前面基板21に設けられてなることを
特徴とする。また、その平面型表示装置は、前記一対の
基板21,22の前方に配置された保護板1を有し、前
記近赤外線を反射又は吸収する手段6〜9は該保護板1
に設けられてなることを特徴とする。または、その平面
型表示装置は、前記一対の基板21,22の前方に配置
された保護板1を有し、前記近赤外線を反射又は吸収す
る手段6〜9は、前記一対の基板21,22のうちの前
面基板21と該保護板1とに設けられてなることを特徴
とする。
【0009】その平面型表示装置において、前記近赤外
線を反射又は吸収する手段6〜9は、可視光波長に対し
て透過かつ反射防止膜として機能し、近赤外線波長に対
しては反射及び吸収膜として機能する光学膜6,7,9
であることを特徴とする。その光学膜6,7,9は、高
屈折率膜10aと低屈折率膜10bとを積層した多層膜
からなることを特徴とする。前記光学膜は可視光波長に
対して反射防止膜であり、前記低屈折率膜は、MgF2、Si
O2のいずれかの膜であり、前記高屈折率膜は、ZrO2、Ta
2O5 又はTiO2の単層又はPr6O11とTiO2の層構造であるこ
とを特徴とする。
【0010】その平面型表示装置において、前記近赤外
線を反射又は吸収する手段6〜9は、赤外線吸収膜8で
あることを特徴とする。その前記赤外線吸収膜8は、有
機化合物からなる染料を含んだ樹脂からなることを特徴
とする。その平面型表示装置において、前記近赤外線を
反射又は吸収する手段6〜9は、前記前面基板21又は
前記保護板1上に形成した堆積膜であることを特徴とす
る。
【0011】その平面型表示装置において、前記近赤外
線を反射又は吸収する手段は、前記前面基板21又は前
記保護板1の原料に添加した染料からなる近赤外線吸収
剤であることを特徴とする。その平面型表示装置におい
て、前記ガスは少なくともキセノン及びネオンを含み、
該ガスにおけるキセノンの混合比が2%以上であること
を特徴とする。
【0012】その平面型表示装置において、波長650
nm以上の光を吸収又は反射する手段を備えたことを特徴
とする。その平面型表示装置において、さらに電磁波遮
蔽膜5を備えたことを特徴とする。その電磁波遮蔽膜5
は、透明導電膜であることを特徴とする。また、電磁波
遮蔽膜は、蒸着・スパッタ・CVD膜でもよい。
【0013】その平面型表示装置において、前記保護板
1は、前記一対の基板21,22から所定の間隔を離し
て配設されてなることを特徴とする。その前記保護板1
は、ガラス、アクリル、プラスチックのうちのいずれか
からなるものであることを特徴とする。また、その保護
板は、四辺を挟持する枠部材にて固定されてなることを
特徴とする。さらに、その保護板1は、観察方向から見
て凸面形状をしてなることを特徴とする。
【0014】その平面型表示装置において、前記一対の
基板21,22の間にはさらに表示電極26,27が形
成され、前記表示電極26,27は、近赤外吸収ための
染料を添加させた誘電体膜29によって覆われているこ
とを特徴とする。 (2)上記した課題は、図4、図5に例示するように、
放電発光を行うためのガスを封入したガス放電空間30
を規定する一対の基板21,22を備えた平面型表示装
置において、該ガスは少なくともキセノン及びネオンを
含み、該ガスにおけるキセノンの混合比が2%未満であ
ることを特徴とする平面型表示装置によって解決する。
その前記キセノンの混合比は、近赤外線のスペクトル強
度が可視光波長のスペクトル強度の半分以下(実質3分
の1以下)となるよう設定されていることを特徴とす
る。
【0015】その平面型表示装置において、波長650
nm以上の光を吸収又は反射する手段を備えるとともに前
記ガス放電空間内に発光色の異なる複数の蛍光体層を備
えたことを特徴とする。その平面型表示装置において、
波長650nm未満の光の透過率は、波長700nmの光の
透過率の2倍以上であることを特徴とする。 (3)上記した課題は、図4、図5に例示するように、
放電発光を行うための混合ガスを封入したガス放電空間
30を規定する一対の基板21,22を備えた平面型表
示装置において、近赤外線のスペクトル強度が可視光波
長のスペクトル強度の半分以下(実質3分の1以下)と
なるよう該混合ガスの混合比が設定されてなることを特
徴とする平面型表示装置により解決する。
【0016】(作用)次に、本発明の作用について説明
する。本発明によれば、可視光以外の波長帯域であって
少なくとも近赤外線を反射又は吸収する手段を平面型表
示装置に設けたので、近赤外線を使用する機器の誤動作
は防止される。しかも、近赤外線を反射又は吸収する手
段として、可視光波長に対しては反射防止膜として機能
し、近赤外線波長に対しては反射膜として機能する光学
膜を使用すると、平面型表示装置内で可視光を反射及び
吸収させずに外部に放射させることになり、平面型表示
装置の発光表示輝度が劣化しない。
【0017】さらに、近赤外線を反射又は吸収する手段
に併せて電磁波遮蔽膜を平面型表示装置に設けたので、
人体への悪影響が抑制される。この電磁波遮蔽膜は、貼
り付け用のフィルムであってもよいし、スパッタ、CV
D、蒸着などにより成長された膜であってもよい。ま
た、平面型表示装置内において、放電空間を規定する基
板の前方にガラス、アクリル、プラスチックからなる保
護板を配置すると、可視光よりも波長の短い光の放射が
抑制されるるとともに、装置の構造が強化される。その
保護板の構造的な強度は、保護板を凸状にしたり、或い
は保護板の周辺を枠体に入れることによって向上する。
【0018】また、本発明では、平面型表示装置のガス
放電空間にはキセノンとネオンを含ませ、このキセノン
は2%未満としたので、平面型表示装置から放出される
800nm〜1200nmの波長の光の放射量が大幅に低減
され、近赤外線を使用する機器への悪影響は防止され、
しかもカラー表示品質を向上できる。この場合、約70
0nmとその付近の光の放射量が大きくなるおそれがある
ので、650nm以上の光を吸収又は反射する手段を設け
ることにより、その波長の光強度を低減してカラー表示
の色純度、色度の劣化を抑制できる。
【0019】この場合、波長650nm未満の光の透過率
を、波長700nmの光の透過率の2倍以上にすると、そ
の波長の光強度を低減してカラー表示の色純度、色度の
劣化を抑制できる。また、本発明では、平面型表示装置
のガス放電空間には、近赤外線のスペクトル強度が可視
光波長のスペクトル強度の半分以下となるように混合ガ
スの混合比を設定するようにすると、平面型表示装置以
外の機器への影響を低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】そこで、以下に本発明の実施形態
を図面に基づいて説明する。まず、カラーPDP内に封
入するガスとして使用されるNeとXeの2成分混合ガスの
うちのXeの混合比を変えて、その2成分混合ガスの60
0nm〜1200nmの波長範囲における発光スペクトラム
強度を調べたところ、図1、図2に示すような結果が得
られた。
【0021】すなわち、図1(a) に示すように、NeとXe
の2成分混合ガスのXeの混合比が0.2%では、700
nmの波長付近、即ち可視光領域にスペクトルのピークが
見られる。これに対して、図1(b),(c) 及び図2(a),
(b) に示すように、Xeの混合比が2.0〜5.0%の範
囲では、波長約820nm及び約880nmとその波長付
近、即ち近赤外領域にほぼ同じ量で発光スペクトルのピ
ークが存在した。
【0022】これらの実験結果に基づいて波長が約82
0nm〜約880nm及びその付近のスペクトル強度とXeの
混合比との関係を示すと図3のようになる。これからも
判るように、近赤外線のスペクトル強度は、ガスの組成
の影響が大きく現れると考えられ、特に、Xeの混合比に
起因している可能性が大きいと推察される。
【0023】従って、近赤外線を用いるPOSやリモコ
ンなどの操作への影響をなくすために、本発明者等は、
次のような構造のカラーPDPを採用する。図4は、本
発明の第1実施形態を示すPDP装置の断面図である。
図4に示すPDP装置は、透明な保護板1によって前方
が保護された表示パネル2と制御部3とが前方開放型の
筐体4の中に取付けられている。
【0024】その表示パネル2は、例えばAC(交流)
型3電極構造の面放電パネルからなり、図5に示すよう
に、ガラスよりなる前面透明基板21とガラス又はセラ
ミックからなる背面基板22を有し、その背面基板22
のうちの前面透明基板21との対向面上には、所定の間
隔をおいて複数並べられたアドレス電極23と、アドレ
ス電極23の相互間に形成された帯状の隔壁24と、ア
ドレス電極23及び隔壁24側面を覆う蛍光体層25と
が形成されている。
【0025】蛍光体層25は、例えば紫外線照射によっ
て発光する赤色蛍光層25R、緑色蛍光層25G及び青
色蛍光層25Bから構成され、それらの赤色蛍光層25
R、緑色蛍光層25G及び青色蛍光層25Bは、隔壁2
4を挟んで順に配置されている。また、背面基板22に
対向する前面透明基板21の面には、アドレス電極23
と交差する方向に隣接して対をなすように配列された透
明導電材よりなる表示電極(サスティン電極ともいう)
26とそれの導電性を補う金属バス電極27が形成さ
れ、さらに、表示電極26及びバス電極27を被覆する
誘電体層28が形成されている。透明導電材としては、
ITO(indium tin oxide )、酸化錫(SnO2)などがあ
り、金属バス電極27としてはCr-Cu-Crの三層電極があ
る。さらに、誘電体層28の表面は:酸化マグネシウム
よりなる保護層29によって覆われている。
【0026】前面透明基板21と背面基板22は、保護
層29と蛍光体層25との間に間隙30が形成されるよ
うに配置され、しかも、周囲が気密保持されている。そ
の間隙30には減圧状態でガスが封入されている。その
ガスは、プラズマ化されて紫外線を発光するガスであ
り、例えばXeとNeの混合ガスがある。このような構造の
表示パネル2の前面透明基板21の前面には、図4に示
すように、透明導電膜よりなる電磁波遮蔽フィルム5と
後述する第一の光学フィルム6が順に形成されている。
この電磁波遮蔽フィルム5は、30MHz 〜1GHz の周波
数の電磁波を遮蔽するものであり、一般的なCRTに取
り付けられているようなものでよい。
【0027】また、表示パネル2前方にある保護板1
は、アクリルなどの樹脂やガラスのような透明材から形
成された板であって、その前面は第二の光学フィルム7
により覆われ、さらに背面は、赤外線吸収フィルム8と
第三の光学フィルム9により覆われている。ガラス、樹
脂のような材質は、本質的に400nm以下の波長をカッ
トする機能を有している。
【0028】その保護板1は、表示パネル2の表面を保
護するだけでなく、PDP装置全体の強度向上のために
配置される。保護板1及びPDP装置のより一層の構造
的な強度を向上をさせるためには、図6に示すように、
保護板1を観者に向かって丸みを帯びた凸面形状にした
り、或いは図7(a),(b) に示すように、保護板1の四辺
を支持する枠体1aに入れる構造を採用することが好ま
しい。
【0029】上記した第一〜第三の光学フィルム6、
7、9は、例えば図8に示すような特性を有し、400
〜700nmの可視光波長範囲では反射防止フィルムとし
て機能するが、近赤外である820nm〜約880nm及び
その付近の波長光では反射率が高くなって反射フィルム
となっている。そのようなフィルムとしては、例えば図
4に示したように、TiO2、Ta2O5 、ZrO2のような単層や
Pr6O11とTiO2の多層よりなる高屈折率膜10a と、Mg
F2、SiO2などよりなる低屈折率膜10b とを積層したフ
ィルムがあり、低屈折率膜10b が表示パネル2寄りに
なるように配置されている。その高屈折率膜10a と低
屈折率膜10b は1層ずつ積層したものでもよいし、或
いは繰り返し且つ交互に複数積層したものであってもよ
い。
【0030】可視光の反射防止は、視覚平均反射率が
0.48以下になることが好ましい。そのフィルム表面
の反射防止機能の特性は例えば図9のようになってい
る。視覚平均反射率(Rv)は式(1)で求められる。
だだし、式(1)において、y(λ)は、XYZ表色系
における等色関数、S(λ)は、色の表示に用いる標準
の光の分光分布、R(λ)は分光立体角反射率(%)で
ある。
【0031】
【数1】
【0032】また、赤外線吸収フィルム8は、少なくと
も近赤外線を吸収するフィルムであって、その材料とし
ては例えばアントラキノン系、フタロシアニン系などの
有機化合物の染料を含む樹脂、又は金属錯体の有機化合
物などの染料を含む樹脂などを使用したものがある。こ
のような赤外線吸収フィルム8をアクリル製の保護板1
の背面に貼り合わせた構造による300〜1200nmの
光透過率は例えば図10のようになる。赤外線吸収フィ
ルム8は、保護板1の前面に貼ってもよい。
【0033】また、赤外線吸収フィルム8と第三の光学
フィルム9が貼り合わされた保護板1の分光透過曲線
は、例えば図11のようになるので、PDP装置の前方
には可視光領域(400nm〜700nm)以外の発光スペ
クトルは殆ど放出されない。以上のように、本実施形態
では、PDP装置内に赤外線吸収フィルム8及び第一〜
第三の光学フィルム6、7、9を貼り付けるようにした
ので、近赤外線を使用する機器を誤動作させることはな
い。しかも、第一〜第三の光学フィルム6、7、9によ
って表示パネル2への可視光の反射が防止されるので、
PDP装置でより優れたカラー表示が実現される。
【0034】図4に示したPDP装置では、表示パネル
2の前面に第一の光学フィルム6を貼り付け、また保護
板1の背面に赤外線吸収フィルム8を張りつけ、さらに
保護板1の前面及び背面に第二及び第三の光学膜7、9
を貼り付けている。しかし、第一〜第三の光学フィルム
6、7、9と赤外線吸収フィルム8の全てを採用する必
要はなく、少なくとも1つだけを用いてもよい。さら
に、赤外線吸収フィルム8を貼り付ける面は、表示パネ
ル2の前面、保護板1の前面又は背面の少なくともいず
れかを選択すればよい。
【0035】なお、以上のようなフィルムを設けた表示
パネルでは赤色蛍光層25Rの発光とスペクトラムが重
なり、その赤色発光が一部カットされるため、カット分
を補うように予め赤色蛍光層25Rの発光量を増やす構
成とするのが好ましい。具体的には:赤の蛍光体材料で
明るいものを選択するか、赤色蛍光層25Rの面積を
青、緑色蛍光層25B,35Gの面積よりも大きくした
構成とする。
【0036】ところで、保護板1と前面透明基板21と
の間にはクリアランス(間隔)が必要となる。このクリ
アランスは、前面透明基板21と保護板1の接触による
干渉縞(ニュートンリング)を防ぐ他に、静圧加重、対
衝撃性の緩和、或いは表示パネル2から保護板への熱の
伝達の低減のために確保される。前面透明基板21と保
護板1のそれぞれの構成材料の熱膨張係数が相違する場
合に、表示パネル2と保護板1を接触するように配置す
ると、表示パネル2から発する熱によって保護板1に反
りが生じてしまうので好ましくない。
【0037】なお、上記した説明では、表示パネル2内
にNeとXeの混合ガスを封入しているが、その他、Ne及び
Heを主体にした混合ガス、ArやXeなどのガスが添加され
た混合ガスなどを封入してもよく、それらの混合ガスに
起因して放射される可視光以外の光は、上記した構造に
よってPDP装置から放出される量が低減される。その
ようなガスとして、例えば、NeとXeの混合ガス、HeとXe
の混合ガス、又は、He、Ar及びXeの混合ガス、或いは、
Ne、Ar及びXeの混合ガスなどがある。
【0038】それらのガスは、NeとHeが主体の混合ガス
であって、これにArやXeなどを添加したり、或いは、そ
れらのガスの混合比を調整することにより、不要光を選
択的に吸収、反射する光学フィルタ特性を生じるように
してもよい。例えば、カラーPDP装置からの赤外線の
放出を抑制するためには、上記したフィルムを貼り付け
る構成の他に、表示パネル2内に封入するNeとXeの混合
ガスのうちのXeの混合比を2%よりも小さくする構成を
採用してもよい。言い換えれば、Xeの含有量を、Xe混合
比が2%の場合よりも近赤外線の放射量が小さくなる量
にする。また、Xe混合比は、近赤外のスペクトル強度が
可視光波長のスペクトル強度の半分以下、望ましくは3
分の1以下となるように設定するのが好ましい。
【0039】ところで、Xe混合比を2%以下にすると、
図1(a) に示すように、Neの発光色、即ち波長700nm
付近の光が目立ち、カラーPDPとしての色純度が悪く
なったり、赤、青、緑の原色の色度が低下するおそれが
ある。そこで、図12に示すような波長が650nm以上
の光を吸収又は反射する特性を有する光学フィルムを保
護板1や前面透明基板21に貼り付けたり、或いは、図
13に示すように700nmおよびその付近の波長を選択
的に吸収又は反射する特性を有するフィルターを保護板
1や前面透明基板21に貼り付けて色度低下を防止して
色度低下を防止する。その光学フィルムを使用せずに、
そのような波長吸収又は反射特性を有する保護板1や前
面透明基板21を使用してもよい。
【0040】また、波長700nm付近の光のPDPから
の放出量を低減するために、650nm未満の波長の光透
過率を700nm付近の光透過率の2倍以上となるように
することが好ましく、例えば図14〜17に示すような
波長・光吸収特性を有するフィルターを使用する。ま
た、Xe混合比が2%以上の場合でも、図1(b),(c) に示
すように、波長700nm及びその付近の波長帯に小さな
スペクトル強度のピークが存在するので、色純度を向上
させるために、波長が650nm以上の光を吸収又は反射
する光学フィルムを保護板1や前面透明基板21に貼り
付けるのは好ましいことである。
【0041】上記した種々のフィルムを保護板1や前面
透明基板21に貼る場合にはラミネート法を用いる。ま
た、それらのフィルムは、前面透明基板21の電極形成
面側に貼り付けても良い。さらに、赤外線吸収、電磁波
遮蔽、可視光透過又は赤外線反射のためには、必ずしも
予めフィルムとして形成されたものばかりでなく、赤外
線吸収材料、電磁波遮蔽材料、可視光透過材料又は赤外
線反射材料を保護板1や前面透明基板21の表面に堆積
又は塗布することにより形成した膜であってもよい。さ
らに、それらのフィルムの代わりに、そのような光学的
機能を有する膜を蒸着、CVD、スパッタなどの成膜方
法によって形成したものを用いてもよい。
【0042】また、保護板1や前面透明基板21の表面
に所定の波長を吸収する染料を添加するようにしてもよ
く、これらは併用してもよい。このように、保護板1や
前面透明基板21に可視光以外の光を吸収する機能をも
たせると、図18(a) に示すように、フィルムの貼り付
けを省略することができ、PDP装置の組み立て工程が
軽減する。そのような保護板1又は前面透明基板21の
光透過率と波長の関係を例示すると図18(b) のように
なる。
【0043】保護板1、前面透明基板21或いは上記し
た各フィルターに可視光以外の波長の光を反射又は吸収
させるための板又はフィルムの形成は、無機物及び有機
物を板又は膜の原料に添加し、適当な温度、雰囲気で溶
融し、さらに熱処理を施して成形する方法を採用する。
例えば、アクリルを用いて保護板1を押し出し整形する
場合には、加熱温度150〜170℃、加熱時間5〜2
0分、加圧15〜50g/cm2 、加圧時間10〜30分
を条件とする。そのアクリル材料に例えばアントラキノ
ン系、フタロシアニン系などの有機化合物の染料、又は
金属錯体の有機化合物などの染料をを添加することによ
り保護板1に近赤外線吸収機能をもたせる。また、表示
電極対を被覆する誘電体層28にそのような染料を添加
させてもよい。
【0044】また、可視光以外の波長の光を反射又は吸
収させるためのフィルムを形成する場合には、真空蒸着
法、高周波イオンプレーティング法、又はマグネトロン
スパッタリング法など、既に知られた薄膜形成方法を用
いて基板上にコーティングするようにしてもよい。さら
に、各種フィルムに可視光以外の波長の光を反射又は吸
収させるための膜を形成する場合には、無機物及び有機
物、染料又はイオン結晶の粉末などを原料にして、板上
で混合又は練り込むようにして膜状に貼り合わせるよう
にしても良い。
【0045】上記したような各フィルターの吸収波長帯
域や反射帯域は、現在市販されているフィルターの膜厚
や、添加材料の分量などを選択し、調整することによ
り、容易に実現できる。なお、以上の実施例はAC型カ
ラー放電パネルを示したが、これに限らず例えばDC型
カラー放電パネルや、単色のAC型又はDC型放電パネ
ルにも適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、可視
光以外の波長帯域であって少なくとも近赤外線を反射又
は吸収する手段を平面型表示装置に設けたので、近赤外
線を使用する機器の誤動作を防止できる。しかも、近赤
外線を反射又は吸収する手段として、可視光波長に対し
ては反射防止フィルムとして機能し、近赤外線波長に対
しては反射及び吸収フィルムとして機能する光学フィル
ムを使用するようにしたので、平面型表示装置内で可視
光を反射及び吸収させずに外部に放射させることにな
り、平面型表示装置の発光表示輝度の劣化を防止でき
る。さらに、保護板及びパネル(ガラス)の飛散も防止
できる。
【0047】さらに、近赤外線を反射又は吸収する手段
に併せて電磁波遮蔽フィルムを平面型表示装置に設けた
ので、人体への悪影響を抑制できる。また、平面型表示
装置内において、放電空間を規定する基板の前方にガラ
ス、アクリル、プラスチックからなる保護板を配置した
ので、可視光よりも波長の短い光の放射を抑制できると
ともに、装置の構造を強化できる。さらに、保護板を凸
状にしたり、或いは保護板の周辺を枠体に入れるように
したので、その保護板の構造的な強度を向上できる。
【0048】また、本発明では、平面型表示装置のガス
放電空間にはキセノンとネオンを含ませ、このキセノン
は2%未満としたので、平面型表示装置から放出される
800nm〜1200nmの波長の光の放射量を大幅に低減
し、近赤外線を使用する機器への悪影響を防止できる。
さらに、650nm以上の光を吸収又は反射する手段を設
けるようにしたので、約700nmとその付近の光の放射
量を低減してカラー表示の色純度、色度の劣化を抑制で
きる。
【0049】この場合、波長650nm未満の光の透過率
を、波長700nmの光の透過率の2倍以上にすると、そ
の波長の光強度を低減してカラー表示の色純度、色度の
劣化を抑制できる。また、本発明では、平面型表示装置
のガス放電空間には、近赤外線のスペクトル強度が可視
光波長のスペクトル強度の半分以下となるように混合ガ
スの混合比を設定するようにすると、平面型表示装置以
外の機器への影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 〜(c) は、本発明の実施形態の装置に
おけるキセノン混合割合の相違による400nm〜120
0nmの発光スペクトル図(その1)である。
【図2】図2(a),(b) は、本発明の実施形態の装置にお
けるキセノン混合割合の相違による400nm〜1200
nmの発光スペクトル図(その2)である。
【図3】図3は、本発明の実施例装置におけるキセノン
混合割合と880nmの波長付近の発光スペクトル強度の
関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態の装置を示す概要構
成図である。
【図5】図5は、図4に示す装置の表示パネルの内部構
造を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態の装置に使用する凸
面形状の保護板の一例を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態の装置に使用する枠
体付き保護板の一例を示す正面図及び側面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態の装置に使用する特
定波長を反射する光学フィルタの一例の光透過率示す特
性図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に使用する可視光反
射防止膜の特性の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態の装置に使用す
る赤外線吸収フィルターの光透過特性の一例を示す特性
図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態の装置に光学フ
ィルタと赤外線吸収フィルターを併用した場合の光透過
率を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態の装置に使用さ
れる特定波長帯域の光をカットするための光吸収フィル
タ又は反射フィルタの光学特性を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態の装置に使用さ
れる特定波長をカットするための光吸収フィルタ又は反
射フィルタの光学特性を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態の装置の700
nm又はその付近の波長の光の透過率を低減するために使
用される第1のフィルターの特性を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態の装置の700
nm又はその付近の波長の光の透過率を低減するために使
用される第2のフィルターの特性を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態の装置の700
nm又はその付近の波長の光の透過率を低減するために使
用される第3のフィルターの特性を示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態の装置の700
nm又はその付近の波長の光の透過率を低減するために使
用される第4のフィルターの特性を示す図である。
【図18】図18(a) は、本発明の第2実施形態の装置
を示す概要構成図、図18(b) は、その装置に使用され
る保護板又は前面透過基板の光特性図である。
【図19】図19は、従来のプラズマディスプレイの概
要を示す断面図である。
【符号の説明】
1 保護板 1a 枠体 2 表示パネル 3 制御部 4 筐体 5 電磁波遮蔽フィルム 6、7、9 光学フィルム 8 赤外線吸収フィルム 21 前面透明基板 22 背面基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今岡 和夫 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 横山 聡 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 佐藤 満治 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 直井 司郎 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 尾上 高明 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放電発光を行うためのガスを封入したガス
    放電空間を規定する一対の基板を備えた平面型表示装置
    において、 近赤外線を吸収又は反射する手段を備えたことを特徴と
    する平面型表示装置。
  2. 【請求項2】前記近赤外線を反射又は吸収する手段は、
    該一対の基板のうちの前面基板に設けられてなることを
    特徴とする請求項1記載の平面型表示装置。
  3. 【請求項3】前記一対の基板の前方に配置された保護板
    を有し、前記近赤外線を反射又は吸収する手段は該保護
    板に設けられてなることを特徴とする請求項1記載の平
    面型表示装置。
  4. 【請求項4】前記一対の基板の前方に配置された保護板
    を有し、前記近赤外線を反射又は吸収する手段は、前記
    一対の基板のうちの前面基板及び該保護板に設けられて
    なることを特徴とする請求項1記載の平面型表示装置。
  5. 【請求項5】前記近赤外線を反射又は吸収する手段は、
    可視光波長に対して透過かつ表面反射防止膜として機能
    し、近赤外線波長に対しては反射及び吸収膜として機能
    する光学膜であることを特徴とする請求項1記載の平面
    型表示装置。
  6. 【請求項6】前記光学膜は、高屈折率膜と低屈折率膜と
    を積層した多層膜からなることを特徴とする請求項5記
    載の平面型表示装置。
  7. 【請求項7】前記光学膜は可視光波長に対して反射防止
    膜であり、前記低屈折率膜は、MgF2、SiO2のいずれかの
    膜であり、前記高屈折率膜は、ZrO2、Ta2O5又はTiO2
    単層又はPr6O11とTiO2の層構造であることを特徴とする
    請求項6記載の平面型表示装置。
  8. 【請求項8】前記近赤外線を反射又は吸収する手段は、
    赤外線吸収膜であることを特徴とする請求項1記載の平
    面型表示装置。
  9. 【請求項9】前記赤外線吸収膜は、有機化合物からなる
    染料を含んだ樹脂からなることを特徴とする請求項7記
    載の平面型表示装置。
  10. 【請求項10】前記近赤外線を反射又は吸収する手段
    は、前記前面基板又は前記保護板上に形成した堆積膜で
    あることを特徴とする請求項2乃至4記載の平面型表示
    装置。
  11. 【請求項11】前記近赤外線を反射又は吸収する手段
    は、前記前面基板又は前記保護板の原料に添加した染料
    からなる近赤外線吸収剤であることを特徴とする請求項
    2乃至4記載の平面型表示装置。
  12. 【請求項12】前記ガスは少なくともキセノン及びネオ
    ンを含み、該ガスにおけるキセノンの混合比が2%以上
    であることを特徴とする請求項1乃至11記載の平面型
    表示装置。
  13. 【請求項13】波長650nm以上の光を吸収又は反射す
    る手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至11記載
    の平面型表示装置。
  14. 【請求項14】電磁波遮蔽膜を備えたことを特徴とする
    請求項1乃至11記載の平面型表示装置。
  15. 【請求項15】前記電磁波遮蔽膜は、透明導電膜である
    ことを特徴とする請求項14記載の平面型表示装置。
  16. 【請求項16】前記保護板は、前記一対の基板から所定
    の間隔を離して配設されてなることを特徴とする請求項
    3又は4記載の平面型表示装置。
  17. 【請求項17】前記保護板は、ガラス、アクリル、プラ
    スチックのうちのいずれかからなるものであることを特
    徴とする請求項16記載の平面型表示装置。
  18. 【請求項18】前記保護板は、四辺を挟持する枠部材に
    て固定されてなることを特徴とする請求項16記載の平
    面型表示装置。
  19. 【請求項19】前記保護板は、観察方向から見て凸形状
    をしてなることを特徴とする請求項16記載の平面型表
    示装置。
  20. 【請求項20】前記一対の基板の間にはさらに表示電極
    が形成され、 前記表示電極は、近赤外吸収ための染料を添加させた誘
    電体膜によって覆われていることを特徴とする請求項1
    記載の平面型表示装置。
  21. 【請求項21】放電発光を行うためのガスを封入したガ
    ス放電空間を規定する一対の基板を備えた平面型表示装
    置において、 該ガスは少なくともキセノン及びネオンを含み、該ガス
    におけるキセノンの混合比が2%未満であることを特徴
    とする平面型表示装置。
  22. 【請求項22】前記キセノンの混合比は、近赤外線のス
    ペクトル強度が可視光波長のスペクトル強度の半分以下
    となるよう設定されてなることを特徴とする請求項21
    記載の平面型表示装置。
  23. 【請求項23】波長650nm以上の光を吸収又は反射す
    る手段を備えるとともに前記ガス放電空間内に発光色の
    異なる複数の蛍光体層を備えたことを特徴とする請求項
    21記載の平面型表示装置。
  24. 【請求項24】波長650nm未満の光の透過率は、波長
    700nmの光の透過率の2倍以上であることを特徴とす
    る請求項21記載の平面型表示装置。
  25. 【請求項25】放電発光を行うための混合ガスを封入し
    たガス放電空間を規定する一対の基板を備えた平面型表
    示装置において、 近赤外線のスペクトル強度が可視光波長のスペクトル強
    度の半分以下となるよう該混合ガスの混合比が設定され
    てなることを特徴とする平面型表示装置。
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