JPH1036226A

JPH1036226A - 水性ネイルエナメル

Info

Publication number: JPH1036226A
Application number: JP18965996A
Authority: JP
Inventors: Tsutomu Kamata; 勉鎌田
Original assignee: Pola Chemical Industries Inc
Current assignee: Pola Chemical Industries Inc
Priority date: 1996-07-18
Filing date: 1996-07-18
Publication date: 1998-02-10

Abstract

(57)【要約】【課題】使用時に容易には剥落を生じない皮膜強度を
有しながら、不要となった際には容易に除去できる水性
ネイルエナメルを提供する事を課題とする。【解決手段】エマルション状のポリマーと、合成樹脂
または合成樹脂と顔料との複合物からなる粉末等の有機
粉末とを混合撹拌して水性ネイルエナメルを得る。前記
有機粉末の平均粒径は０．１〜５０μｍであることが好
ましく、また前記有機粉末の含有量は、皮膜形成成分で
あるポリマーの量に対して０．０１〜５重量％であるこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水性ネイルエナメ
ルに関し、詳しくは、強固な塗膜の形成能に優れながら
も、リムーバー（除去液）で容易に除去することができ
る水性ネイルエナメルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ネイルエナメルは、ニトロセルロ
ースを皮膜形成剤としてアセトン、トルエン等の有機溶
剤に溶かし、この溶液を塗布して皮膜を形成するものが
主流である。このようなネイルエナメルの除去にはニト
ロセルロースを溶解しうるアセトン、トルエン等の有機
溶剤の混合溶液を主成分としたリムーバーを用いるのが
一般的である。

【０００３】このニトロセルロースを皮膜形成剤とする
ネイルエナメルは速乾性があり、比較的強固な皮膜を形
成するものである。しかし、近年このタイプのネイルエ
ナメルに使用されるトルエン等の有機溶剤に安全面およ
び環境衛生面での問題点が指摘されはじめ、このような
有機溶剤を使用しない水性ネイルエナメルの開発が盛ん
となってきた。

【０００４】水性ネイルエナメルは水性溶剤を使用して
いるため、ニトロセルロースを皮膜形成剤として使用す
るのは物性上困難である。そこで、これに代わる皮膜形
成剤として、エマルション状の、アクリル系ポリマー、
ウレタン系ポリマーなどのポリマーを使用するものが開
発されている。最近ではポリマーの水性分散液の改良が
進み、強固な皮膜を形成する水性ネイルエナメルも多々
見られるようになった。

【０００５】しかしながら、このような皮膜形成成分で
あるポリマーを含有する新しいタイプの水性ネイルエナ
メルには、乾燥した皮膜の除去が容易ではないという問
題がある。この点を解決するために水性ネイルエナメル
専用のリムーバーも研究されているが、ニトロセルロー
スを含むタイプのネイルエナメルを除去する場合と比較
すると除去性能は未だ充分とは言いがたい。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な状況に鑑みてなされたものであって、使用時に容易に
は剥落を生じない皮膜強度を有しながら、不要となった
際には容易に除去できる水性ネイルエナメルを提供する
事を課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】こうした現状に鑑み、本
発明者らは、エマルション状のポリマーが形成する皮膜
がリムーバーによって容易に溶解し、除去されるよう、
水性ネイルエナメルの組成自体について鋭意研究を行っ
た。その結果、本発明者らは、有機粉末を含有させるこ
とにより、塗膜自体の強度を低下させる事なく、リムー
バー等で容易に除去しうる水性ネイルエナメルを得られ
る事を見いだし本発明を完成させるに至った。

【０００８】すなわち、本発明は、エマルション状のポ
リマーを皮膜形成成分として含有する水性ネイルエナメ
ルにおいて、有機粉末を含有することを特徴とする水性
ネイルエナメルに関する。

【０００９】また、本発明は、前記有機粉末が、合成樹
脂または合成樹脂と顔料との複合物からなる粉末である
水性ネイルエナメルに関する。本発明の水性ネイルエナ
メルに含有される有機粉末の平均粒径は、０．１〜５０
μｍであることが好ましく、また前記有機粉末の含有量
は、皮膜形成成分であるポリマーの量に対して０．０１
〜５重量％であることが好ましい。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の水性ネイルエナメルは、有機粉末を含有
することを特徴とするものであり、それ以外は通常の水
性ネイルエナメルと特に変わるところはなく、エマルシ
ョン状のポリマーを主たる皮膜形成成分として含有す
る。

【００１１】本発明の水性ネイルエナメルに使用される
有機粉末としては、常温で粉末状の固体であって、水不
溶性のものであれば特に制限されないが、好ましくは、
合成樹脂または合成樹脂と顔料との複合物からなる粉末
等が挙げられる。合成樹脂は、ホモポリマーであっても
コポリマーであってもよい。ホモポリマーとして好まし
くは、ポリアミド、ポリエチレン、ポリテトラフルオロ
エチレン、酢酸ビニルポリマー、アクリル酸ポリマー、
メタアクリル酸ポリマー、メタクリル酸エステルポリマ
ー、スチレンポリマー、α−メチルスチレンポリマー、
ジビニルベンゼンポリマー等が挙げられる。また、コポ
リマーとして好ましくは上記ホモポリマーを構成する単
量体のうちの２種以上を構成単位とするコポリマーが挙
げられ、具体的にはスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体、メタクリル酸メチル−エチレングリコールジメタク
リル酸共重合体等が挙げられる。

【００１２】また、合成樹脂と顔料との複合物の粉末と
しては、例えば、上記合成樹脂の粉末と顔料とをメカノ
ケミカル的に付着させて得られる複合粉末等を好適に用
いることができる。顔料としては、例えば二酸化チタ
ン、酸化亜鉛、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄等が用いられ
る。この他、マイカ、セリサイト、タルク等の表面にラ
テックス状等の合成樹脂を被覆したものも好適に使用で
きる。

【００１３】また、上記有機粉末は一種を単独で用いて
も二種以上を用いてもよい。本発明に使用される有機粉
末は、その平均粒径が０．１〜５０μｍであることが好
ましく、特に好ましくは１〜２０μｍである。併用する
エマルション状のポリマーの種類により若干の相違はあ
るが、平均粒径がおおむねこの範囲内であれば、平均粒
径が大きすぎてネイルエナメルの皮膜が日常生活の中で
簡単に剥落するということがなく、一方小さすぎてリム
ーバーによる除去性が低下するということもない。さら
に、上記範囲内であれば皮膜のつやが落ちることもない
ので、本発明のネイルエナメルを実用的なものとするこ
とができる。

【００１４】ネイルエナメルに含有される有機粉末の形
状は特に問題ではなく、球状であっても、破砕粉末のよ
うに不定形であってもよい。また、撥水処理、撥油処理
等の表面処理を施した有機粉末を使用してもよい。表面
処理剤としてはシラン化合物、フッ素化合物等の公知の
コーティング剤等が用いられる。表面処理としては、例
えば、シリコーン油、パーフルオロデカリン、パーフル
オロポリエーテル等を適当な溶媒に溶解し、有機粉末を
加えて撹拌し、溶媒を留去もしくは濾過して粉末上にコ
ーティングする方法や、コーティング剤を揮発性の溶剤
に溶解させフローコーター等を用いて粉末に噴霧しコー
ティングする、あるいはシランカップリング剤、チタン
カップリング剤等の反応性表面処理剤を粉末表面の水酸
基等と反応させる等の方法がある。このような表面処理
により、ネイルエナメル中での分散性が高まり、また除
去性も向上する。合成樹脂については、表面処理した粉
末を用いるのが好ましい。

【００１５】本発明の水性ネイルエナメルに使用される
エマルション状のポリマーは、皮膜形成性を有し、水性
分散液として存在しうるものであれば特に制限されず、
一般に水性ネイルエナメルに使用されるものであれば本
発明に用いることができる。具体的には、アクリル系ポ
リマー、ウレタン系ポリマー等が挙げられる。

【００１６】前記エマルション状のポリマーの粒径は特
に制限されるものではないが、一般的には粒径が０．１
〜５．０μｍ程度のポリマーを用いるのが好ましい。ま
た、本発明の水性ネイルエナメルには、２種以上のエマ
ルション状のポリマーが含まれてもよい。

【００１７】水性ネイルエナメルの製造に際しては、上
記ポリマーは、通常ポリマーエマルションとして配合さ
れる。ポリマーエマルションの製造方法は周知であり、
例えば、界面活性剤の存在下、乳化重合をおこなうこと
によって製造することができる。

【００１８】ネイルエナメルに配合するポリマーの量は
特に制限はなく、水性ネイルエナメルの塗りやすさ、塗
布後の乾燥の速さ等を考慮して定めればよい。具体的に
は、ネイルエナメル全量に対して２０〜６０重量％であ
ることが好ましく、３０〜４５重量％がより好ましい。
通常、ポリマーエマルション中に含まれるポリマーの量
が上記範囲となるように、ポリマーエマルションを配合
すればよい。

【００１９】ネイルエナメル中の有機粉末の含有量は、
前記ポリマーの量に対して０．０１〜５重量％が好まし
く、０．１〜３重量％がより好ましい。有機粉末の含有
量が上記範囲内であれば、含有量が多すぎてネイルエナ
メルの皮膜が日常生活の中で簡単に剥落するということ
がほとんどなく、一方少なすぎてリムーバーによる除去
性が低下するということもない。さらに、上記範囲内で
あれば皮膜のつやが落ちることもないので、本発明のネ
イルエナメルを実用的なものとすることができる。

【００２０】また、本発明の水性ネイルエナメルには、
上記有機粉末、ポリマーエマルションの他に通常水性ネ
イルエナメルに用いられる消泡剤、可塑剤、色材、防腐
剤、増粘剤、活性剤等を配合してよい。

【００２１】本発明の水性ネイルエナメルは、上記有機
粉末と、上記ポリマーエマルションと、必要に応じてそ
の他の成分とを常法に従って混合撹拌することにより製
造することができる。混合撹拌の方法等には特に制限は
なく、水性ネイルエナメルの通常の製造方法に準じて行
えばよい。例えば、上記有機粉末と色材と、別途にポリ
マーエマルション等の他の成分を混合撹拌した混合物と
を混合して各成分を分散させることにより本発明の水性
ネイルエナメルを得ることができる。

【００２２】

【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。

【００２３】

【製造例】表１に示す成分を秤取り、混合攪拌して４種
類（実施例１〜４）の水性ネイルエナメルを製造した。
各成分の混合撹拌は、Ａ成分を、別途混合攪拌したＢ成
分に添加し、更に混合、分散させて行った。

【００２４】また、実施例１〜４の水性ネイルエナメル
に含まれる有機粉末を、それぞれ精製水に置換したもの
を比較例１〜４として製造した。なお、表中の数値の単
位は重量％である。

【００２５】

【表１】＊Ｒ−２２６（ヘリンドンピンクＣＮ、癸巳化成社製）＊＊アクリルポリマーエマルション（ポリマーの量：４５重量％）＊＊＊ジエチレングリコールモノエチルエーテル

【００２６】

【剥離試験及び除去試験】上記実施例１〜４及び比較例
１〜４の水性ネイルエナメルをガラス板に３０ミルのド
クターブレードを用いて塗布し、２４時間室温で乾燥さ
せたてネイルエナメル膜を形成させた。以下の方法によ
りネイルエナメル膜の剥離試験とリムーバーによる除去
試験を行った。

【００２７】＜１．剥離試験＞ガラス板上のネイルエナ
メル膜の中央部分の１０×１０ｃｍ区画を１×１ｃｍの
大きさの小区画となるようにカッターナイフで切れ目を
入れた。切れめを入れた区画にセロファンテープを張り
つけ、その後セロファンテープをはがし、剥離してくる
小区画の数を数えた。

【００２８】＜２．除去試験＞ガラス板上のネイルエナ
メル膜を、リムーバー１ｍｌをしみこませた化粧用コッ
トンで擦り、ガラス板からネイルエナメル膜を除去する
のに要した擦った回数を数えた。なお、リムーバーは、
表２に示す組成のものを用いた。

【００２９】

【表２】＊ノムコートＴＩＯ：２−エチルヘキサン酸トリグリセ
ライド（日清製油社製）

【００３０】表３に剥離試験及び除去試験の結果を示
す。

【００３１】

【表３】

【００３２】

【使用試験】健常爪を有する２０〜４０歳の本邦女性１
０名に、左手の爪に実施例１のネイルエナメルを、右手
の爪に比較例１のネイルエナメルを二度塗りで塗布して
貰い、以下のアンケート項目について、１．良い２．
普通３．悪いの３段階で評価を依頼した。アンケー
ト結果を表４に示す。

【００３３】

【表４】

【００３４】表３、表４の結果から明らかなように、本
発明の水性ネイルエナメルは、有機粉末を含まないネイ
ルエナメルに比べ、持ちの良い強固な皮膜を形成するに
も拘わらず、落とし易さにきわめて優れている。

【００３５】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の水性ネ
イルエナメルは強固な皮膜の形成能に優れると共に、リ
ムーバーによる除去性にきわめて優れており、使用性の
良好なものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エマルション状のポリマーを皮膜形成成
分として含有する水性ネイルエナメルにおいて、有機粉
末を含有することを特徴とする水性ネイルエナメル。
【請求項２】前記有機粉末が、合成樹脂または合成樹
脂と顔料との複合物からなる粉末である請求項１に記載
の水性ネイルエナメル。
【請求項３】前記有機粉末の平均粒径が、０．１〜５
０μｍである請求項１または２に記載の水性ネイルエナ
メル。
【請求項４】前記有機粉末の含有量が、皮膜形成成分
であるポリマーの量に対して０．０１〜５重量％である
請求項１〜３のいずれか１項に記載の水性ネイルエナメ
ル。