JPH10330317A - ヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその用途 - Google Patents

ヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその用途

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JPH10330317A
JPH10330317A JP14400897A JP14400897A JPH10330317A JP H10330317 A JPH10330317 A JP H10330317A JP 14400897 A JP14400897 A JP 14400897A JP 14400897 A JP14400897 A JP 14400897A JP H10330317 A JPH10330317 A JP H10330317A
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英治 原田
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修治 須山
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 光硬化性を有する水系組成物又は親水性組成
物に対する溶解性が良く、効率良く光重合できるととも
に、硬化物の黄変や劣化を抑制できる光重合開始剤及び
光硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 一般式Iの新規なヒドロキシアルキルフ
ェノン誘導体。 〔A,B,Dは無置換又は水酸基置換のC2〜6のアル
キレン基、Yは酸素又は硫黄、Zは酸素又はN(R2
基、R1 は水素又はメチル基、R2 は水素又はC1〜6
のアルキル基、mは1〜40の整数、nは0〜39の整
数、かつm+nは1〜40の整数であり、pは1〜4の
整数を表す。〕又この化合物モノマー型光重合開始剤、
を含有するこの化合物より形成される重合体を含有する
ポリマー型光重合開始剤、及び親水性ラジカル重合性不
飽和化合物とこれらのモノマー型又はポリマー型光重合
開始剤を含有する光硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、印刷インキや塗
料などに利用される新規なヒドロキシアルキルフェノン
誘導体及びその用途に関するものである。さらに詳しく
は、分子内に光重合開始基と重合性基を併せ持つヒドロ
キシアルキルフェノン誘導体、そのヒドロキシアルキル
フェノン誘導体を含有するモノマー型光重合開始剤、ヒ
ドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体
を含有する光重合開始剤及びそれらを含有してなる光硬
化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紫外線などによる光硬化法は、熱により
硬化する方法に比べて低温でしかも迅速に硬化できるた
め、生産性向上、省エネルギー、無公害等の多くの長所
がある。また、この光硬化法は選択的に硬化が可能であ
るため、印刷インキ、塗料、接着剤、印刷版、プリント
配線基板の加工等に広く用いられている。光硬化法にお
いて、特に紫外線や可視光線を用いる場合は、一般に光
照射によってラジカルを発生させる光重合開始剤が使用
されており、現在までに各種の光重合開始剤が開発され
てきた。
【0003】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、置換アセトフ
ェノン類、ベンジルケタール類、オキシム誘導体、ベン
ゾフェノン類、チオキサントン類、キサンテート類、有
機過酸化物等の光照射によりラジカルを発生する化合物
が知られている。
【0004】しかし、これらの光重合開始剤を使用して
得られる光硬化物中には、未反応の光重合開始剤や、光
重合開始剤が開裂して生成する低分子化合物が存在して
おり、これらが塗膜表面にブリードすることなどによっ
て、硬化物の劣化や変色を生ずるといった問題があっ
た。
【0005】この問題を解決する方法として、分子内に
重合性基として(メタ)アクリレート基を有する光重合
開始剤(例えば、特開昭62−81345号公報、特開
昭64−70440号公報、特開平2−270844号
公報、特開平5−310635号公報、特開平7−89
925号公報など)及び光重合開始基を有する重合体
(例えば、特公平2−36582号公報、特開平1−9
6145号公報)などの、モノマー型及びポリマー型の
光重合開始剤が提案されてきた。
【0006】一方、近年、環境問題等のために有機溶剤
の使用が制限されるようになってきており、光硬化性塗
料などの光硬化性樹脂も、溶剤や反応性希釈剤を使用し
なくても良い水系へと移行している。また、フォトレジ
ストやプリント配線基板などの分野においても有機溶剤
現像型から水系現像型へと移行してきている。従って、
光重合開始剤も水や親水性の単量体、オリゴマー、ポリ
マー等に親和性があって、溶解可能なものが必要となっ
てきた。親水性の光重合開始剤としては、四級アンモニ
ウム塩、スルホン酸塩、アルキレンオキシ基等を有する
ベンゾフェノン、チオキサントン、ベンジル等〔Pol
ymers Paint ColourJ.,179
巻,684頁(1989年)など〕が開発されている。
【0007】さらに、分子内に重合性基を有する親水性
の光重合開始剤としては、四級アンモニウム塩基又はポ
リアルキレンオキシド基と、(メタ)アクリレート基と
を分子内に有するベンゾフェノン誘導体〔Polyme
rs Paint Colour J.,180巻,4
2頁(1990年)、New Polym. Ma
t.,1巻,63頁(1987年)など〕が提案されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
モノマー型及びポリマー型の光重合開始剤は、水に対す
る親和性が低く、水系の光硬化性組成物などには溶解し
ないため、使用が制限される。また、前記の重合性基を
有しない親水性の光重合開始剤は水系で光硬化を行うこ
とはできるが、硬化物中に残存する未反応の光重合開始
剤による硬化物の劣化や変色の問題がある。
【0009】さらに、重合性基を有する親水性のベンゾ
フェノン誘導体は、アミンなどの水素供与性化合物を併
用する必要があり、硬化物の変色などの問題が解決され
ない。従って、水系で使用でき、かつ硬化物に対して悪
影響を及ぼさない光重合開始剤は見出されていなかっ
た。
【0010】この発明は、このような従来技術に存在す
る問題に着目してなされたものである。その目的とする
ところは、光硬化性を有する水系組成物又は親水性組成
物に対する溶解性が良く、効率良く光重合させることが
できとともに、得られる硬化物の黄変や劣化を抑制でき
る光重合開始剤及びそれを含有する光硬化性組成物を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意研究した結果、新規なヒドロキシア
ルキルフェノン誘導体及びその重合体を光重合開始剤と
して用いることにより、目的を達成することができると
の知見を得てこの発明を完成した。
【0012】すなわち、第1の発明のヒドロキシアルキ
ルフェノン誘導体は、下記一般式(I)で表される新規
な化合物である。
【0013】
【化2】 〔式中、A,B,Dは無置換又は水素原子が水酸基に置
換された炭素数2〜6のアルキレン基、Yは酸素原子又
は硫黄原子、Zは酸素原子又はN(R2 )基、R1 は水
素原子又はメチル基、R2 は水素原子又は炭素数1〜6
のアルキル基、mは1〜40の整数、nは0〜39の整
数、かつm+nは1〜40の整数であり、pは1〜4の
整数を表す。〕 第2の発明のモノマー型光重合開始剤は、第1の発明の
一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘
導体を含有するものである。
【0014】第3の発明のポリマー型光重合開始剤は、
第1の発明の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキ
ルフェノン誘導体より形成される重合体を含有するもの
である。
【0015】第4の発明の光硬化性組成物は、第1の発
明の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノ
ン誘導体を含有するモノマー型光重合開始剤及び一般式
(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体よ
り形成される重合体を含有するポリマー型光重合開始剤
の少なくとも1種と、親水性ラジカル重合性不飽和化合
物とを含有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。新規なヒドロキシアルキルフェノン
誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0017】
【化3】 〔式中、A,B,Dは無置換又は水酸基が置換した炭素
数2〜6のアルキレン基、Yは酸素原子又は硫黄原子、
Zは酸素原子又はN(R2 )基、R1 は水素原子又はメ
チル基、R2 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル
基、mは1〜40の整数、nは0〜39の整数、かつ、
m+nは1〜40の整数であり、pは1〜4の整数を表
す。〕 このヒドロキシアルキルフェノン誘導体(I)は、その
分子内に、光照射によりラジカルを発生することができ
るヒドロキシアルキルフェノン基と重合性基である(メ
タ)アクリロイル基とを有している。そして、この2つ
の基を、中間にカーボネート構造を有するアルキレンオ
キシド基又はポリアルキレンオキシド基で結合した構造
を有している。なお、この明細書では、アクリルとメタ
クリルを(メタ)アクリルと総称する。
【0018】前記一般式(I)中のA,B及びDは、ヒ
ドロキシアルキルフェノン誘導体が所要の親水性を発揮
できるとともに、入手が容易な観点より設定されてい
る。また、YとZは、重合性基として実用的であり、か
つ入手が容易であるという観点より設定されている。さ
らに、m、n及びpは、大きいほど親水性が大きくなる
が、1分子中の光重合開始基の割合が相対的に減少する
ことから、それら両者のバランスを考慮して定められて
いる。ヒドロキシアルキルフェノン誘導体としての機能
を確実に発揮させるためには、前記mは1〜20の整
数、nは0〜10の整数及びm+nは1〜30の整数で
あることが望ましい。
【0019】このヒドロキシアルキルフェノン誘導体の
例を具体的に示すと、
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】 〔式中、R1 ,m,n,pは前記と同じものを表す。〕
などが挙げられる。
【0026】モノマー型光重合開始剤は、上記の一般式
(I)で表される新規なヒドロキシアルキルフェノン誘
導体を含有するものである。この光重合開始剤は水系組
成物又は親水性組成物に対する溶解性及び親和性が優れ
ているが、前述のように、それはヒドロキシアルキルフ
ェノン誘導体のアルキレンオキシド基又はポリアルキレ
ンオキシド基部分によると考えられる。従って、アルキ
レンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基が長い
程、水系組成物又は親水性組成物に対する溶解性が高い
傾向にある。
【0027】一般式(I)で表されるヒドロキシアルキ
ルフェノン誘導体は種々の方法で製造することができる
が、例えば、下記一般式(II)及び一般式 (III)で表さ
れる化合物を原料として製造することができる。
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】 〔式中、A,B,D,Y,Z,R1 ,m,n,pは前記
と同じものを表す。〕 すなわち、化合物(II)又は化合物 (III)をクロロホル
ミル化した下記一般式(IV)又は(V)で示されるクロ
ロホルメートを、それぞれ化合物 (III)又は化合物(I
I)と反応させて炭酸エステル化(脱塩酸反応)するこ
とによって得られる。この製造方法によれば、ヒドロキ
シアルキルフェノン誘導体を容易、かつ収率良く製造す
ることができる。
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】 〔式中、A,B,D,Y,Z,R1 ,m,n,pは前記
と同じものを表す。〕 化合物(II)の具体的な化合物としては、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリルアミド、ポ
リエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテ
トラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が
挙げられる。
【0032】また、化合物 (III)としては、例えば特開
昭63−254105号公報などに挙げられている化合
物、すなわち1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−
オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエチルチオ)フェニ
ル〕−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、ジエチレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ
−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、トリ
エチレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、テトラエチ
レングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロパノイル)フェニル〕エーテル、プロピレングリ
コールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパ
ノイル)フェニル〕エーテル、テトラメチレングリコー
ルモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイ
ル)フェニル〕エーテル、グリセロールモノ〔4−(2
−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エ
ーテル等が挙げられる。
【0033】クロロホルミル化は常法により、例えば、
ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、N,N’−カル
ボニルジイミダゾール、N,N’−カルボニルジ−s−
トリアゾール等を用いることによって行うことができ
る。
【0034】前記炭酸エステル化は、必要により塩基性
触媒の存在下、溶剤中で行うことができる。塩基性触媒
としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水
素ナトリウム等の金属塩、トリエチルアミン、ピリジン
等のアミン類等が挙げられる。また、溶剤としては、ア
ルコールや水などのプロトン性溶剤はクロロホルメート
と反応してしまうため、非プロトン性溶剤が好ましい。
そのような非プロトン性溶剤としては、具体的には、ア
セトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ア
セトニトリル、ジクロロメタン、トルエン、キシレン等
が挙げられる。反応温度は、重合性基が重合しないよう
に設定する必要があり、通常0〜100℃、特には10
〜50℃の範囲が好ましい。反応を行う際には、重合性
基の重合を防止するために、ヒドロキノン、ヒドロキノ
ンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェノール等の重合禁止剤を添加したり、酸素又
は空気を通気して行っても良い。
【0035】次に、ポリマー型光重合開始剤は、前記一
般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導
体より形成される重合体を含有するものである。すなわ
ち、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体を単独で、又は
他のエチレン性不飽和化合物と共に重合することにより
製造される。この場合の重合は、ヒドロキシアルキルフ
ェノン誘導体の重合性基である(メタ)アクリロイル基
が重合することを意味し、従って得られる重合体は光重
合開始基であるヒドロキシアルキルフェノン基を有して
いる。
【0036】この重合では、通常のラジカル重合開始剤
が使用される。ラジカル重合開始剤としては、具体的に
は、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパー
オキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エ
チルシクロヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−
ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ジクミルパーオキ
サイドなどの有機過酸化物類、2,2’−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)などのアゾ化合物類などが挙げられ
る。
【0037】重合方法としては、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法などの一般的な方法が採用
される。これらの中では溶液重合法が好ましく、特に水
などの極性溶媒中で重合するのが好ましい。
【0038】重合温度は、用いる重合開始剤により異な
るが、通常50〜150℃、さらには70〜130℃の
範囲が好ましい。重合体の数平均分子量(Mn)は、特
に限定されないが、大きすぎると光重合開始剤として用
いる際に溶解性が悪くなってしまい、また低すぎるとポ
リマー型光重合開始剤としての性能が発現しにくくなる
ため、1000〜500000の範囲が好ましい。
【0039】前述した共重合に使用できる他のエチレン
性不飽和化合物としては特に限定されず、具体的には
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸及びこれらの不
飽和カルボン酸の誘導体、例えばメチル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレートなどのモノエステル類、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キルエステル類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レートなどのアミノアルキルエステル類、(メタ)アク
リロニトリル、(メタ)アクリルアミド、及び、N−置
換(メタ)アクリルアミド類、ビニルアセテート、ビニ
ルプロピオネートなどのビニルエステル類、ビニルエー
テル類、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチ
レン、N−ビニルピロリドンなどのビニル化合物などが
挙げられる。
【0040】これらの中で、重合体を水系組成物又は親
水性組成物に配合される光重合開始剤として使用する場
合、重合体の親水性を損なわないように選定する必要が
ある。そのような単量体としては、(メタ)アクリル
酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリルアミドなどの親水性単量体が好ましい。
【0041】重合体中におけるエチレン性不飽和化合物
の量は、多すぎると重合体中の光重合開始基が少なくな
り、光重合開始剤としての性能を充分に発現できなくな
るので、95重量%以下が好ましい。
【0042】一般式(I)で表されるヒドロキシアルキ
ルフェノン誘導体及びその重合体は、単独で、又は他の
成分と混合し、モノマー型光重合開始剤又はポリマー型
光重合開始剤として使用される。そして、これらの光重
合開始剤は、1種又は2種以上のラジカル重合性不飽和
化合物の光重合又は光硬化に使用される。
【0043】その際、通常用いられている溶剤や、顔
料、フィラー、バインダー用重合体、色素、重合禁止
剤、可塑剤、増感剤、また他の既知の光重合開始剤など
の添加剤を適宜配合することもできる。このような光硬
化性組成物は、塗料、接着剤、印刷インキ、印刷板、プ
リント配線基板、フォトレジスト等に使用される。
【0044】光重合開始剤により、光重合又は光硬化さ
れるラジカル重合性不飽和化合物としては、重合性単量
体、重合性オリゴマー及び重合性不飽和重合体が挙げら
れる。
【0045】重合性単量体は1個以上の重合性二重結合
を有する化合物であって、例えば(メタ)アクリル酸、
マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などの
不飽和カルボン酸、及び、これらの不飽和カルボン酸の
誘導体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレートなどのモノエステル類、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルエステル
類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの
アミノアルキルエステル類、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ
ートなどの多価エステル類、(メタ)アクリロニトリ
ル、(メタ)アクリルアミド、及び、N−置換(メタ)
アクリルアミド類、ビニルアセテート、ビニルプロピオ
ネートなどのビニルエステル類、ビニルエーテル類、ス
チレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビ
ニルベンゼン、N−ビニルピロリドン、ジアリルフタレ
ート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアネート及
びトリアリルホスフェートなどのビニル及びアリル化合
物などが挙げられる。
【0046】重合性オリゴマー及び重合性不飽和重合体
としては、例えば、フマレート基、マレート基、アリル
基、(メタ)アクリレート基を有する硬化性樹脂、不飽
和ポリエステル、不飽和アクリル樹脂、及びイソシアネ
ート改質アクリルオリゴマー、ポリエステルアクリルオ
リゴマー、さらにはポリエポキシアクリルオリゴマーな
どが挙げられる。
【0047】次に、光硬化性組成物は、前記モノマー型
光重合開始剤及びポリマー型光重合開始剤の少なくとも
1種と、親水性ラジカル重合性不飽和化合物とを含有す
る。親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては、前記
ラジカル重合性不飽和化合物である、重合性単量体、重
合性オリゴマー及び重合性不飽和重合体の中で、水に親
和性を有するものである。
【0048】具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、
フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンスルホン
酸、スルホエトキシ(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミドt−ブチルスルホン酸、モノ2−(メタ)
アクリロイルオキシアシッドホスフェートなどの酸基含
有単量体類、及びこれらの酸無水物、アルカリ金属塩、
四級アンモニウム塩類、(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルモルホ
リン、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの
(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メ
タ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ートなどのポリアルキレンオキシドのモノ(メタ)アク
リレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロ
ラクタム、2−ビニルピリジンなどの環状複素環含有単
量体類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニ
ル類、水溶性(メタ)アリル化合物類等の単官能単量
体、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グ
リセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレートのエチレングリコール
付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
トのエチレングリコール付加物、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレートのエチレングリコール付
加物等の多官能単量体、(メタ)アクリル変性ポリビニ
ルアルコール、アクリル変性水溶性ポリウレタン等の重
合性オリゴマー及び重合性ポリマーなどが挙げられる。
【0049】光硬化性組成物中には、前述と同様に、通
常用いられている顔料、フィラー、バインダーポリマ
ー、色素、重合禁止剤、可塑剤、増感剤、また他の既知
の光重合開始剤などの添加剤及び溶剤を含有していても
良い。溶剤としては、水を主成分として含むものである
のが好ましい。また、他の添加剤は、光硬化性組成物に
溶解するものが好ましいが、溶解しないものでも組成物
中に分散するものであれば使用できる。
【0050】光重合開始剤の使用量は、モノマー型光重
合開始剤の場合、ラジカル重合性不飽和化合物に対して
0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%
である。ポリマー型光重合開始剤の場合、ラジカル重合
性不飽和化合物に対して0.1〜90重量%、好ましく
は0.5〜50重量%である。これらの光重合開始剤の
使用量は、添加剤の種類及び量によって変更される。例
えば、光透過性の悪い顔料を混合する場合、光重合開始
剤を増量することが必要な場合もある。しかし、その量
が多すぎると重合体の中に未反応の光重合開始剤が残存
するおそれがある。また、少なすぎると重合が完結せ
ず、未反応の不飽和化合物が残存する。
【0051】光重合又は光硬化は、250〜500n
m、好ましくは、300〜400nmの波長範囲の光を
光重合開始剤を配合したラジカル重合性不飽和化合物に
照射する常法に従って行われる。
【0052】使用される光源としては、日光、水銀ラン
プ、水素放電管、キセノンランプ、閃光放電管、タング
ステンランプ、ハロゲンランプ、及び、色素レーザー、
エキシマレーザー、イオンレーザー等の各種レーザーな
どが挙げられる。
【0053】以上の実施形態におけるヒドロキシアルキ
ルフェノン誘導体によれば、次のような効果が発揮され
る。 ・ 前記一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフ
ェノン誘導体は、従来知られていなかった新規化合物で
ある。 ・ その新規なヒドロキシアルキルフェノン誘導体は、
モノマー型光重合開始剤、重合により得られるポリマー
型光重合開始剤及びそれらを含有する光硬化性組成物と
して利用される。
【0054】また、実施形態のモノマー型光重合開始剤
によれば、次のような効果が発揮される。 ・ モノマー型光重合開始剤は、特定の光重合開始基と
重合性基を併せ持つため、硬化剤として用いた場合、光
重合開始基が未反応のまま残存していても重合性基が反
応して硬化系中に取り込まれる。つまり、未反応の光重
合開始基が硬化物中の重合体鎖に結合しており、移動が
規制される。
【0055】このため、未反応の光重合開始剤のブリー
ドアウトなどによる硬化物の劣化や黄変などが抑制され
た硬化物が得られる。 ・ モノマー型光重合開始剤は、重合性基と光重合開始
基の両方が重合に関与できるため、光硬化物中で光重合
開始剤が架橋点となって高度に架橋する。そのため、高
硬度の硬化物が得られる。 ・ モノマー型光重合開始剤は、アルキレンオキシド基
を有するために親水性を有する水系組成物又は親水性組
成物に配合される光重合開始剤として好ましく使用でき
る。 ・ モノマー型光重合開始剤は、アルキレンオキシド基
をカーボネート基で結合した構造を有するため、それぞ
れ光重合開始基及び重合性基を有するアルキレンオキシ
ド化合物を出発原料として用いて容易に製造することが
できる。 ・ 光重合開始基を有する重合体を容易かつ収率良く製
造することができる。
【0056】さらに、ポリマー型光重合開始剤によれ
ば、次のような効果が発揮される。 ・ ポリマー型光重合開始剤は、光重合開始剤があらか
じめ重合体になっているので、重合による収縮が少な
く、また光重合開始剤が架橋点となって歪を抑えること
ができる。従って、密着性や強度などの性能に優れた光
硬化物が得られる。 ・ ポリマー型光重合開始剤は、親水性の良好な水系組
成物又は親水性組成物に配合される光重合開始剤として
好適に使用できる。
【0057】加えて、光硬化性組成物によれば、次のよ
うな効果が発揮される。 ・ 光硬化性組成物は親水性に優れ、水系又は親水性の
ものであることから、有機溶媒の使用量を最小限に抑え
ることができる。 ・ 未硬化物は親水性であるため、水系現像型の画像形
成材料として好適に使用できる。
【0058】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、前記実施形
態をさらに具体的に説明するが、この発明はこれらによ
り限定されるものではない。なお、本文及び表中の%は
重量%を表す。また、分子量はゲルパーミエーションク
ロマトグラフ(GPC)によりテトラヒドロフランを展
開溶剤として使用して測定した値である。
【0059】本文及び表中の略号は以下の通りである。 HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート DMAAm:N,N−ジメチルアクリルアミド AAm:アクリルアミド TEGDA:トリエチレングリコールジアクリレート TMP6EO3A:エチレングリコール6モル付加トリ
メチロールプロパントリアクリレート(共栄社油脂製
「TMP-6EO-3A」) SPO:ジスクシノイルペルオキシド(日本油脂製「パ
ーロイルSA」) D1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニ
ルプロパン−1−オン(チバガイギー社製「ダロキュア
1173」) ZLI3331:1−{4−(2−アクリロイルオキシ
エトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロパン−1−オン ABQ:4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−(2
−メタクリロイルオキシエチル)ベンゼン メタンアミ
ニウムブロマイド KIP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1
−メチルビニル)フェニル}プロパン−1−オンのオリ
ゴマー(日本シーベルヘイグナー社製「エザキュアーK
IP」) (実施例1、光重合開始基含有単量体の製造)撹拌機、
滴下漏斗、温度計、パージガス導入口及び水冷コンデン
サーを備えた500ml反応容器に、1−{4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2
−メチルプロパン−1−オン(以下、化合物ア)22.
4g、ピリジン8.7g、MEK30gを仕込んだ。次
いで、空気を通気下、撹拌しながら、メタクリロイルオ
キシテトラエチレングリコールクロロホルメート(以
下、化合物イ)32.5g、MEK20gの混合液を3
0℃にて15分かけて滴下した。そして、そのまま3時
間撹拌を続けた。析出した固体を濾別後、溶媒を留去
し、透明な液体45.6gを得た。
【0060】得られた化合物について、核磁気共鳴スペ
クトル(NMR)、赤外線吸収スペクトル(IR)、紫
外線吸収スペクトル(UV)及び元素分析を行った。そ
の結果、この化合物は、下記の構造の化合物Aであるこ
とを確認した。構造解析の結果を下記に示す。
【0061】
【化14】 IR : 3480cm-1(O−H) 1748cm-1(カーボネートC=O) 1719cm-1(エステルC=O) 1665cm-1(ケトンC=O) NMR(δ): 1.60ppm(6H) 1.95ppm(3H) 4.20ppm(1H) 4.2〜4.6ppm(20H) 5.93ppm(1H) 6.12ppm(1H) 6.95ppm(2H) 8.17ppm(2H) UV : 265nm(ε11700) 315nm(ε 130) 元素分析 : C;58.55% (計算値58.58%) H; 7.10% (計算値 7.08%) (実施例2)前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0062】
【化15】 26.8g、及び、
【0063】
【化16】 50.1gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、
化合物B
【0064】
【化17】 60.1gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を
表1に示した。 (実施例3)前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0065】
【化18】 25.4g、及び、
【0066】
【化19】 48.7gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、
化合物C
【0067】
【化20】 65.7gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を
表1に示した。 (実施例4)前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0068】
【化21】 24.0g、及び、
【0069】
【化22】 84.6gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、
化合物D
【0070】
【化23】 99.6gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を
表1に示した。 (実施例5)前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0071】
【化24】 35.6g、及び、
【0072】
【化25】 19.2gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、
化合物E
【0073】
【化26】 48.2gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を
表1に示した。 (実施例6)化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0074】
【化27】 22.4g、及び、
【0075】
【化28】 19.3gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、
化合物F
【0076】
【化29】 35.6gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を
表1に示した。
【0077】
【表1】 (実施例7、光重合開始基含有重合体の製造)撹拌機、
温度計、パージガス導入口及び水冷コンデンサーを備え
た1リットル反応容器に、MEK55g、水75gを仕
込んだ。次いで、窒素ガス通気下、80℃に加熱後、撹
拌しながら、HEMA40g、DMAAm40g、化合
物F20g、MEK20g及びSPO3gの混合物を2
時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま4時間撹拌
を続け重合を完結し、光重合開始基含有重合体(重合体
a)を得た。得られた溶液中の固形分は40%、固形分
の重量平均分子量(Mw)は28000であった。 (実施例8)単量体として化合物Aのみを用いる以外は
実施例7と同様に重合を行い、光重合開始基含有重合体
(重合体b)を得た。 (実施例9、光硬化) 下記の組成物 AAm 20g HEMA 10g TEGDA 25g TMP6EO3A 25g ポリアクリル酸 20g メタノール 30g 水 70g に、光重合開始剤として化合物Aを4g添加して光硬化
性組成物を得た。この光硬化性組成物をアクリル板上に
乾燥膜厚が100μmになるように塗布し、60℃で加
熱乾燥した。その後、これに1kW高圧水銀灯1灯を備
えたコンベア式紫外線照射装置を用いて、コンベア速度
10m/分、照射距離10cmで紫外線を照射した。
【0078】なお、コンベア1回通過の365nmの照
射光量は、100mJ/cm2 であった。得られた硬化
膜について、以下の評価を行った。その結果を表2に示
した。 (1) 硬化速度 塗膜を指で強くこすっても擦りあとのつかない硬化乾燥
(JIS K−5400)に達するのに要する光源下の
通過回数をPass回数として表した。このPass回
数が少ないほど硬化速度が速いことを示す。 (2) 塗膜硬度 JIS K−5400に準じた鉛筆引っかき試験を行
い、塗膜硬度を鉛筆の硬さで表した。 (3) 密着性 JIS K−5400の碁盤目テープ法に準じて、塗膜
をカッターナイフで縦横方向に切断して基材に達するよ
うな100個のクロスカット(切断片)を作った。その
上にセロハン粘着テープ〔ニチバン(株)製〕を貼り付
け、接着面と垂直方向に剥離し、剥がれずに残ったクロ
スカットの数を測定し、次のような基準で評価した。
【0079】○:100/100、△:80/100以
上、×:80/100以下 (4) 抽出試験 硬化塗膜0.5gを微粉砕し、アセトニトリル50ml
中に入れ、超音波を2時間施した。24時間静置後、上
澄み液を取り、液体クロマトグラフィーで未反応の光重
合開始剤量を定量した。その結果を、仕込んだ光重合開
始剤量に対する残存率(%)で表した。 (5) 黄変 光硬化直後の硬化物を目視で観察し、下記の基準で評価
した。
【0080】○:黄変無し 、 ×:黄変有り (6) 劣化試験 サンシャインウエザオメーターによる500時間後の塗
膜の外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0081】○:変化無し 、 ×:クラック及び黄変
の少なくとも1つが有り (実施例10〜16)光重合開始剤として表2及び表3
に記載のもの及び量を使用する以外は、実施例9に記載
した方法で光硬化を行った。その結果を表2及び表3に
示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】 (比較例1〜4)光重合開始剤として表4に記載のもの
及び量を使用する以外は、実施例9に記載した方法で光
硬化を行った。その結果を表4に示す。
【0084】
【表4】 なお、比較例1、2、4は光重合開始剤が完全には溶解
しなかったため、分散させた状態で光照射を行った。
【0085】表2及び表3に示したように、実施例9〜
16のモノマー型及びポリマー型光重合開始剤を光重合
開始剤として用いた場合、光硬化速度が速く、かつ残存
するフリーな光重合開始剤の量も少ないことがわかる。
しかも、塗膜の硬度及び密着性に優れ、塗膜の黄変が抑
制されるとともに、耐久性に優れている。
【0086】これに対し、表4に示したように、従来の
光重合開始剤を用いた比較例1〜4においては、硬化が
不完全であったり、塗膜の密着性や耐久性に欠けたり、
塗膜が黄変した。
【0087】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 (1) 前記一般式(I)中、mは1〜20の整数、n
は0〜10の整数、及びm+nは1〜30の整数である
請求項1に記載のヒドロキシアルキルフェノン誘導体。
【0088】このように構成した場合、ヒドロキシアル
キルフェノン誘導体としての機能を確実に発揮すること
ができる。 (2) 下記一般式(IV)又は(V)で表されるクロロ
ホルメートを、下記一般式 (III)又は(II)で表される
化合物と反応させて炭酸エステル化する請求項1に記載
のヒドロキシアルキルフェノン誘導体の製造方法。
【0089】
【化30】
【0090】
【化31】
【0091】
【化32】
【0092】
【化33】 この製造方法によれば、ヒドロキシアルキルフェノン誘
導体を容易かつ収率良く製造することができる。 (3) 炭酸エステル化反応を塩基性触媒の存在下に溶
剤中で行う上記(2)に記載のヒドロキシアルキルフェ
ノン誘導体の製造方法。
【0093】この製造方法によれば、反応速度を速くす
るなどヒドロキシアルキルフェノン誘導体をより効率良
く製造することができる。 (4) 前記ヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形
成される重合体は、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体
とエチレン性不飽和化合物とをともに重合してなるもの
である請求項3に記載のポリマー型光重合開始剤。
【0094】このように構成した場合、ポリマー型光重
合開始剤は、光重合開始剤としての機能と、エチレン性
不飽和化合物に基づく機能をともに発揮することができ
る。 (5) 前記エチレン性不飽和化合物は、親水性単量体
である上記(4)に記載のポリマー型光重合開始剤。
【0095】このように構成した場合、ポリマー型光重
合開始剤を親水性に保持でき、水系の光重合開始剤とし
て使用する場合に好適である。
【0096】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、以下のような効果を奏する。第1の発明のヒドロキ
シアルキルフェノン誘導体は、従来知られていなかった
新規な化合物であり、モノマー型光重合開始剤、重合し
て得られるポリマー型光重合開始剤及びそれらを含有す
る光硬化性組成物として有用である。
【0097】第2の発明のモノマー型光重合開始剤によ
れば、特定の光重合開始基と重合性基を併せ持つため、
硬化剤として用いた場合、光重合開始基が未反応のまま
残存していても重合性基が反応して硬化系中に取り込ま
れるため、未反応の光重合開始剤のブリードアウトなど
による硬化物の劣化や黄変などが抑制された硬化物を得
ることができる。また、重合性基と光重合開始基の両方
が重合に関与できるため、光硬化物中で光重合開始剤が
架橋点となって高度な架橋を行うことができる。そのた
め、高硬度の硬化物を得ることができる。さらに、モノ
マー型光重合開始剤はアルキレンオキシド基を有するた
め、水系又は親水性の組成物に配合される光重合開始剤
として好適に使用することができる。しかも、アルキレ
ンオキシド基をカーボネート基で結合した構造を有する
ため、それぞれ光重合開始基及び重合性基を有するアル
キレンオキシド化合物を出発原料として用いて容易に製
造することができる。加えて、モノマー型光重合開始剤
から光重合開始基を有する重合体を容易に製造すること
ができる。
【0098】第3の発明のポリマー型光重合開始剤によ
れば、光重合開始剤があらかじめ重合体になっているの
で、重合による収縮が少なく、また、光重合開始剤が架
橋点となって歪を抑えることができる。そのため、密着
性や強度などの性能に優れた光硬化物を得ることができ
る。また、水系又は親水性の組成物に配合される光重合
開始剤として好ましく使用することができる。
【0099】第4の発明の光硬化性組成物によれば、親
水性ラジカル重合性不飽和化合物を用いた水系又は親水
性であることから、有機溶媒の使用を最小限に抑えるこ
とができる。また、未硬化物は親水性であるため、水系
現像型の画像形成材料として好適に使用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須山 修治 愛知県知多郡武豊町字楠4丁目132番地

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるヒドロキシ
    アルキルフェノン誘導体。 【化1】 〔式中、A,B,Dは無置換又は水素原子が水酸基に置
    換された炭素数2〜6のアルキレン基、Yは酸素原子又
    は硫黄原子、Zは酸素原子又はN(R2 )基、R1 は水
    素原子又はメチル基、R2 は水素原子又は炭素数1〜6
    のアルキル基、mは1〜40の整数、nは0〜39の整
    数、かつm+nは1〜40の整数であり、pは1〜4の
    整数を表す。〕
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の一般式(I)で表され
    るヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するモノマ
    ー型光重合開始剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の一般式(I)で表され
    るヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重
    合体を含有するポリマー型光重合開始剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の一般式(I)で表され
    るヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するモノマ
    ー型光重合開始剤及び一般式(I)で表されるヒドロキ
    シアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有
    するポリマー型光重合開始剤の少なくとも1種と、親水
    性ラジカル重合性不飽和化合物とを含有する光硬化性組
    成物。
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