JP4038600B2 - ヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその用途 - Google Patents
ヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷インキや塗料などに利用される新規なヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその用途に関するものである。さらに詳しくは、分子内に光重合開始基と重合性基を併せ持つヒドロキシアルキルフェノン誘導体、そのヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するモノマー型光重合開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有する光重合開始剤及びそれらを含有してなる光硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紫外線などによる光硬化法は、熱により硬化する方法に比べて低温でしかも迅速に硬化できるため、生産性向上、省エネルギー、無公害等の多くの長所がある。また、この光硬化法は選択的に硬化が可能であるため、印刷インキ、塗料、接着剤、印刷版、プリント配線基板の加工等に広く用いられている。光硬化法において、特に紫外線や可視光線を用いる場合は、一般に光照射によってラジカルを発生させる光重合開始剤が使用されており、現在までに各種の光重合開始剤が開発されてきた。
【0003】
そのような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、置換アセトフェノン類、ベンジルケタール類、オキシム誘導体、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、キサンテート類、有機過酸化物等の光照射によりラジカルを発生する化合物が知られている。
【0004】
しかし、これらの光重合開始剤を使用して得られる光硬化物中には、未反応の光重合開始剤や、光重合開始剤が開裂して生成する低分子化合物が存在しており、これらが塗膜表面にブリードすることなどによって、硬化物の劣化や変色を生ずるといった問題があった。
【0005】
この問題を解決する方法として、分子内に重合性基として(メタ)アクリレート基を有する光重合開始剤(例えば、特開昭62−81345号公報、特開昭64−70440号公報、特開平2−270844号公報、特開平5−310635号公報、特開平7−89925号公報など)及び光重合開始基を有する重合体(例えば、特公平2−36582号公報、特開平1−96145号公報)などの、モノマー型及びポリマー型の光重合開始剤が提案されてきた。
【0006】
一方、近年、環境問題等のために有機溶剤の使用が制限されるようになってきており、光硬化性塗料などの光硬化性樹脂も、溶剤や反応性希釈剤を使用しなくても良い水系へと移行している。また、フォトレジストやプリント配線基板などの分野においても有機溶剤現像型から水系現像型へと移行してきている。従って、光重合開始剤も水や親水性の単量体、オリゴマー、ポリマー等に親和性があって、溶解可能なものが必要となってきた。親水性の光重合開始剤としては、四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、アルキレンオキシ基等を有するベンゾフェノン、チオキサントン、ベンジル等〔Polymers Paint Colour
J.,179巻,684頁(1989年)など〕が開発されている。
【0007】
さらに、分子内に重合性基を有する親水性の光重合開始剤としては、四級アンモニウム塩基又はポリアルキレンオキシド基と、(メタ)アクリレート基とを分子内に有するベンゾフェノン誘導体〔Polymers Paint Colour J.,180巻,42頁(1990年)、New Polym. Mat.,1巻,63頁(1987年)など〕が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のモノマー型及びポリマー型の光重合開始剤は、水に対する親和性が低く、水系の光硬化性組成物などには溶解しないため、使用が制限される。また、前記の重合性基を有しない親水性の光重合開始剤は水系で光硬化を行うことはできるが、硬化物中に残存する未反応の光重合開始剤による硬化物の劣化や変色の問題がある。
【0009】
さらに、重合性基を有する親水性のベンゾフェノン誘導体は、アミンなどの水素供与性化合物を併用する必要があり、硬化物の変色などの問題が解決されない。従って、水系で使用でき、かつ硬化物に対して悪影響を及ぼさない光重合開始剤は見出されていなかった。
【0010】
この発明は、このような従来技術に存在する問題に着目してなされたものである。その目的とするところは、光硬化性を有する水系組成物又は親水性組成物に対する溶解性が良く、効率良く光重合させることができとともに、得られる硬化物の黄変や劣化を抑制できる光重合開始剤及びそれを含有する光硬化性組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究した結果、新規なヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその重合体を光重合開始剤として用いることにより、目的を達成することができるとの知見を得てこの発明を完成した。
【0012】
すなわち、第1の発明のヒドロキシアルキルフェノン誘導体は、下記一般式(I)で表される新規な化合物である。
【0013】
【化2】
〔式中、A,B,Dは無置換又は水素原子が水酸基に置換された炭素数2〜6のアルキレン基、Yは酸素原子又は硫黄原子、Zは酸素原子又はN(R2 )基、R1 は水素原子又はメチル基、R2 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、mは1〜40の整数、nは0〜39の整数、かつm+nは1〜40の整数であり、pは2〜4の整数を表す。〕
第2の発明のモノマー型光重合開始剤は、第1の発明の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するものである。
【0014】
第3の発明のポリマー型光重合開始剤は、第1の発明の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有するものである。
【0015】
第4の発明の光硬化性組成物は、第1の発明の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するモノマー型光重合開始剤及び一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有するポリマー型光重合開始剤の少なくとも1種と、親水性ラジカル重合性不飽和化合物とを含有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
新規なヒドロキシアルキルフェノン誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0017】
【化3】
〔式中、A,B,Dは無置換又は水酸基が置換した炭素数2〜6のアルキレン基、Yは酸素原子又は硫黄原子、Zは酸素原子又はN(R2 )基、R1 は水素原子又はメチル基、R2 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、mは1〜40の整数、nは0〜39の整数、かつ、m+nは1〜40の整数であり、pは2〜4の整数を表す。〕
このヒドロキシアルキルフェノン誘導体(I)は、その分子内に、光照射によりラジカルを発生することができるヒドロキシアルキルフェノン基と重合性基である(メタ)アクリロイル基とを有している。そして、この2つの基を、中間にカーボネート構造を有するアルキレンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基で結合した構造を有している。なお、この明細書では、アクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。
【0018】
前記一般式(I)中のA,B及びDは、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体が所要の親水性を発揮できるとともに、入手が容易な観点より設定されている。また、YとZは、重合性基として実用的であり、かつ入手が容易であるという観点より設定されている。さらに、m、n及びpは、大きいほど親水性が大きくなるが、1分子中の光重合開始基の割合が相対的に減少することから、それら両者のバランスを考慮して定められている。ヒドロキシアルキルフェノン誘導体としての機能を確実に発揮させるためには、前記mは1〜20の整数、nは0〜10の整数及びm+nは1〜30の整数であることが望ましい。
【0019】
このヒドロキシアルキルフェノン誘導体の例を具体的に示すと、
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
〔式中、R1 ,m,n,pは前記と同じものを表す。〕
などが挙げられる。
【0026】
モノマー型光重合開始剤は、上記の一般式(I)で表される新規なヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するものである。
この光重合開始剤は水系組成物又は親水性組成物に対する溶解性及び親和性が優れているが、前述のように、それはヒドロキシアルキルフェノン誘導体のアルキレンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基部分によると考えられる。従って、アルキレンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基が長い程、水系組成物又は親水性組成物に対する溶解性が高い傾向にある。
【0027】
一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体は種々の方法で製造することができるが、例えば、下記一般式(II)及び一般式 (III)で表される化合物を原料として製造することができる。
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
〔式中、A,B,D,Y,Z,R1 ,m,n,pは前記と同じものを表す。〕
すなわち、化合物(II)又は化合物 (III)をクロロホルミル化した下記一般式(IV)又は(V)で示されるクロロホルメートを、それぞれ化合物 (III)又は化合物(II)と反応させて炭酸エステル化(脱塩酸反応)することによって得られる。この製造方法によれば、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体を容易、かつ収率良く製造することができる。
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
〔式中、A,B,D,Y,Z,R1 ,m,n,pは前記と同じものを表す。〕
化合物(II)の具体的な化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
また、化合物 (III)としては、例えば特開昭63−254105号公報などに挙げられている化合物、すなわち1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエチルチオ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ジエチレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、トリエチレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、テトラエチレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、プロピレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、テトラメチレングリコールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル、グリセロールモノ〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイル)フェニル〕エーテル等が挙げられる。
【0033】
クロロホルミル化は常法により、例えば、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、N,N’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−カルボニルジ−s−トリアゾール等を用いることによって行うことができる。
【0034】
前記炭酸エステル化は、必要により塩基性触媒の存在下、溶剤中で行うことができる。塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属塩、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。また、溶剤としては、アルコールや水などのプロトン性溶剤はクロロホルメートと反応してしまうため、非プロトン性溶剤が好ましい。そのような非プロトン性溶剤としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、トルエン、キシレン等が挙げられる。反応温度は、重合性基が重合しないように設定する必要があり、通常0〜100℃、特には10〜50℃の範囲が好ましい。反応を行う際には、重合性基の重合を防止するために、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤を添加したり、酸素又は空気を通気して行っても良い。
【0035】
次に、ポリマー型光重合開始剤は、前記一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有するものである。すなわち、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体を単独で、又は他のエチレン性不飽和化合物と共に重合することにより製造される。この場合の重合は、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体の重合性基である(メタ)アクリロイル基が重合することを意味し、従って得られる重合体は光重合開始基であるヒドロキシアルキルフェノン基を有している。
【0036】
この重合では、通常のラジカル重合開始剤が使用される。ラジカル重合開始剤としては、具体的には、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルシクロヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物類、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物類などが挙げられる。
【0037】
重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの一般的な方法が採用される。これらの中では溶液重合法が好ましく、特に水などの極性溶媒中で重合するのが好ましい。
【0038】
重合温度は、用いる重合開始剤により異なるが、通常50〜150℃、さらには70〜130℃の範囲が好ましい。
重合体の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、大きすぎると光重合開始剤として用いる際に溶解性が悪くなってしまい、また低すぎるとポリマー型光重合開始剤としての性能が発現しにくくなるため、1000〜500000の範囲が好ましい。
【0039】
前述した共重合に使用できる他のエチレン性不飽和化合物としては特に限定されず、具体的には(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸及びこれらの不飽和カルボン酸の誘導体、例えばメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのモノエステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルエステル類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキルエステル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、及び、N−置換(メタ)アクリルアミド類、ビニルアセテート、ビニルプロピオネートなどのビニルエステル類、ビニルエーテル類、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、N−ビニルピロリドンなどのビニル化合物などが挙げられる。
【0040】
これらの中で、重合体を水系組成物又は親水性組成物に配合される光重合開始剤として使用する場合、重合体の親水性を損なわないように選定する必要がある。そのような単量体としては、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなどの親水性単量体が好ましい。
【0041】
重合体中におけるエチレン性不飽和化合物の量は、多すぎると重合体中の光重合開始基が少なくなり、光重合開始剤としての性能を充分に発現できなくなるので、95重量%以下が好ましい。
【0042】
一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその重合体は、単独で、又は他の成分と混合し、モノマー型光重合開始剤又はポリマー型光重合開始剤として使用される。そして、これらの光重合開始剤は、1種又は2種以上のラジカル重合性不飽和化合物の光重合又は光硬化に使用される。
【0043】
その際、通常用いられている溶剤や、顔料、フィラー、バインダー用重合体、色素、重合禁止剤、可塑剤、増感剤、また他の既知の光重合開始剤などの添加剤を適宜配合することもできる。このような光硬化性組成物は、塗料、接着剤、印刷インキ、印刷板、プリント配線基板、フォトレジスト等に使用される。
【0044】
光重合開始剤により、光重合又は光硬化されるラジカル重合性不飽和化合物としては、重合性単量体、重合性オリゴマー及び重合性不飽和重合体が挙げられる。
【0045】
重合性単量体は1個以上の重合性二重結合を有する化合物であって、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、及び、これらの不飽和カルボン酸の誘導体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのモノエステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルエステル類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキルエステル類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価エステル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、及び、N−置換(メタ)アクリルアミド類、ビニルアセテート、ビニルプロピオネートなどのビニルエステル類、ビニルエーテル類、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン、N−ビニルピロリドン、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアネート及びトリアリルホスフェートなどのビニル及びアリル化合物などが挙げられる。
【0046】
重合性オリゴマー及び重合性不飽和重合体としては、例えば、フマレート基、マレート基、アリル基、(メタ)アクリレート基を有する硬化性樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和アクリル樹脂、及びイソシアネート改質アクリルオリゴマー、ポリエステルアクリルオリゴマー、さらにはポリエポキシアクリルオリゴマーなどが挙げられる。
【0047】
次に、光硬化性組成物は、前記モノマー型光重合開始剤及びポリマー型光重合開始剤の少なくとも1種と、親水性ラジカル重合性不飽和化合物とを含有する。親水性ラジカル重合性不飽和化合物としては、前記ラジカル重合性不飽和化合物である、重合性単量体、重合性オリゴマー及び重合性不飽和重合体の中で、水に親和性を有するものである。
【0048】
具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、スルホエトキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドt−ブチルスルホン酸、モノ2−(メタ)アクリロイルオキシアシッドホスフェートなどの酸基含有単量体類、及びこれらの酸無水物、アルカリ金属塩、四級アンモニウム塩類、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレンオキシドのモノ(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、2−ビニルピリジンなどの環状複素環含有単量体類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル類、水溶性(メタ)アリル化合物類等の単官能単量体、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエチレングリコール付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエチレングリコール付加物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエチレングリコール付加物等の多官能単量体、(メタ)アクリル変性ポリビニルアルコール、アクリル変性水溶性ポリウレタン等の重合性オリゴマー及び重合性ポリマーなどが挙げられる。
【0049】
光硬化性組成物中には、前述と同様に、通常用いられている顔料、フィラー、バインダーポリマー、色素、重合禁止剤、可塑剤、増感剤、また他の既知の光重合開始剤などの添加剤及び溶剤を含有していても良い。溶剤としては、水を主成分として含むものであるのが好ましい。また、他の添加剤は、光硬化性組成物に溶解するものが好ましいが、溶解しないものでも組成物中に分散するものであれば使用できる。
【0050】
光重合開始剤の使用量は、モノマー型光重合開始剤の場合、ラジカル重合性不飽和化合物に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。ポリマー型光重合開始剤の場合、ラジカル重合性不飽和化合物に対して0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜50重量%である。これらの光重合開始剤の使用量は、添加剤の種類及び量によって変更される。例えば、光透過性の悪い顔料を混合する場合、光重合開始剤を増量することが必要な場合もある。しかし、その量が多すぎると重合体の中に未反応の光重合開始剤が残存するおそれがある。また、少なすぎると重合が完結せず、未反応の不飽和化合物が残存する。
【0051】
光重合又は光硬化は、250〜500nm、好ましくは、300〜400nmの波長範囲の光を光重合開始剤を配合したラジカル重合性不飽和化合物に照射する常法に従って行われる。
【0052】
使用される光源としては、日光、水銀ランプ、水素放電管、キセノンランプ、閃光放電管、タングステンランプ、ハロゲンランプ、及び、色素レーザー、エキシマレーザー、イオンレーザー等の各種レーザーなどが挙げられる。
【0053】
以上の実施形態におけるヒドロキシアルキルフェノン誘導体によれば、次のような効果が発揮される。
・ 前記一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体は、従来知られていなかった新規化合物である。
・ その新規なヒドロキシアルキルフェノン誘導体は、モノマー型光重合開始剤、重合により得られるポリマー型光重合開始剤及びそれらを含有する光硬化性組成物として利用される。
【0054】
また、実施形態のモノマー型光重合開始剤によれば、次のような効果が発揮される。
・ モノマー型光重合開始剤は、特定の光重合開始基と重合性基を併せ持つため、硬化剤として用いた場合、光重合開始基が未反応のまま残存していても重合性基が反応して硬化系中に取り込まれる。つまり、未反応の光重合開始基が硬化物中の重合体鎖に結合しており、移動が規制される。
【0055】
このため、未反応の光重合開始剤のブリードアウトなどによる硬化物の劣化や黄変などが抑制された硬化物が得られる。
・ モノマー型光重合開始剤は、重合性基と光重合開始基の両方が重合に関与できるため、光硬化物中で光重合開始剤が架橋点となって高度に架橋する。そのため、高硬度の硬化物が得られる。
・ モノマー型光重合開始剤は、アルキレンオキシド基を有するために親水性を有する水系組成物又は親水性組成物に配合される光重合開始剤として好ましく使用できる。
・ モノマー型光重合開始剤は、アルキレンオキシド基をカーボネート基で結合した構造を有するため、それぞれ光重合開始基及び重合性基を有するアルキレンオキシド化合物を出発原料として用いて容易に製造することができる。
・ 光重合開始基を有する重合体を容易かつ収率良く製造することができる。
【0056】
さらに、ポリマー型光重合開始剤によれば、次のような効果が発揮される。
・ ポリマー型光重合開始剤は、光重合開始剤があらかじめ重合体になっているので、重合による収縮が少なく、また光重合開始剤が架橋点となって歪を抑えることができる。従って、密着性や強度などの性能に優れた光硬化物が得られる。
・ ポリマー型光重合開始剤は、親水性の良好な水系組成物又は親水性組成物に配合される光重合開始剤として好適に使用できる。
【0057】
加えて、光硬化性組成物によれば、次のような効果が発揮される。
・ 光硬化性組成物は親水性に優れ、水系又は親水性のものであることから、有機溶媒の使用量を最小限に抑えることができる。
・ 未硬化物は親水性であるため、水系現像型の画像形成材料として好適に使用できる。
【0058】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、この発明はこれらにより限定されるものではない。なお、本文及び表中の%は重量%を表す。また、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によりテトラヒドロフランを展開溶剤として使用して測定した値である。
【0059】
本文及び表中の略号は以下の通りである。
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
DMAAm:N,N−ジメチルアクリルアミド
AAm:アクリルアミド
TEGDA:トリエチレングリコールジアクリレート
TMP6EO3A:エチレングリコール6モル付加トリメチロールプロパント
リアクリレート(共栄社油脂製「TMP-6EO-3A」)SPO:ジスクシノイルペルオキシド(日本油脂製「パーロイルSA」)
D1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバガイギー社製「ダロキュア1173」)
ZLI3331:1−{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンABQ:4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)ベンゼン メタンアミニウムブロマイド
KIP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパン−1−オンのオリゴマー(日本シーベルヘイグナー社 製「エザキュアーKIP」)
(参考例1、光重合開始基含有単量体の製造)
撹拌機、滴下漏斗、温度計、パージガス導入口及び水冷コンデンサーを備えた500ml反応容器に、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(以下、化合物ア)22.4g、ピリジン8.7g、MEK30gを仕込んだ。次いで、空気を通気下、撹拌しながら、メタクリロイルオキシテトラエチレングリコールクロロホルメート(以下、化合物イ)32.5g、MEK20gの混合液を30℃にて15分かけて滴下した。そして、そのまま3時間撹拌を続けた。析出した固体を濾別後、溶媒を留去し、透明な液体45.6gを得た。
【0060】
得られた化合物について、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外線吸収スペクトル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)及び元素分析を行った。その結果、この化合物は、下記の構造の化合物Aであることを確認した。構造解析の結果を下記に示す。
【0061】
【化14】
(実施例2)
前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0062】
【化15】
26.8g、及び、
【0063】
【化16】
50.1gを用いる以外は参考例1と同様に操作して、化合物B
【0064】
【化17】
60.1gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を表1に示した。
(参考例3)
前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0065】
【化18】
25.4g、及び、
【0066】
【化19】
48.7gを用いる以外は参考例1と同様に操作して、化合物C
【0067】
【化20】
65.7gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を表1に示した。
(参考例4)
前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0068】
【化21】
24.0g、及び、
【0069】
【化22】
84.6gを用いる以外は参考例1と同様に操作して、化合物D
【0070】
【化23】
99.6gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を表1に示した。
(実施例5)
前記化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0071】
【化24】
35.6g、及び、
【0072】
【化25】
19.2gを用いる以外は参考例1と同様に操作して、化合物E
【0073】
【化26】
48.2gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を表1に示した。
(参考例6)
化合物ア及び化合物イの代わりに、
【0074】
【化27】
22.4g、及び、
【0075】
【化28】
19.3gを用いる以外は参考例1と同様に操作して、化合物F
【0076】
【化29】
35.6gを得た。得られた化合物の構造解析の結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
(参考例7、光重合開始基含有重合体の製造)
撹拌機、温度計、パージガス導入口及び水冷コンデンサーを備えた1リットル反応容器に、MEK55g、水75gを仕込んだ。次いで、窒素ガス通気下、80℃に加熱後、撹拌しながら、HEMA40g、DMAAm40g、化合物F20g、MEK20g及びSPO3gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま4時間撹拌を続け重合を完結し、光重合開始基含有重合体(重合体a)を得た。得られた溶液中の固形分は40%、固形分の重量平均分子量(Mw)は28000であった。
(参考例8)
単量体として化合物Aのみを用いる以外は参考例7と同様に重合を行い、光重合開始基含有重合体(重合体b)を得た。
(参考例9、光硬化)
下記の組成物
AAm 20g
HEMA 10g
TEGDA 25g
TMP6EO3A 25g
ポリアクリル酸 20g
メタノール 30g
水 70g
に、光重合開始剤として化合物Aを4g添加して光硬化性組成物を得た。この光硬化性組成物をアクリル板上に乾燥膜厚が100μmになるように塗布し、60℃で加熱乾燥した。その後、これに1kW高圧水銀灯1灯を備えたコンベア式紫外線照射装置を用いて、コンベア速度10m/分、照射距離10cmで紫外線を照射した。
【0078】
なお、コンベア1回通過の365nmの照射光量は、100mJ/cm2 であった。得られた硬化膜について、以下の評価を行った。その結果を表2に示した。
(1) 硬化速度
塗膜を指で強くこすっても擦りあとのつかない硬化乾燥(JIS K−5400)に達するのに要する光源下の通過回数をPass回数として表した。このPass回数が少ないほど硬化速度が速いことを示す。
(2) 塗膜硬度
JIS K−5400に準じた鉛筆引っかき試験を行い、塗膜硬度を鉛筆の硬さで表した。
(3) 密着性
JIS K−5400の碁盤目テープ法に準じて、塗膜をカッターナイフで縦横方向に切断して基材に達するような100個のクロスカット(切断片)を作った。その上にセロハン粘着テープ〔ニチバン(株)製〕を貼り付け、接着面と垂直方向に剥離し、剥がれずに残ったクロスカットの数を測定し、次のような基準で評価した。
【0079】
○:100/100、△:80/100以上、×:80/100以下
(4) 抽出試験
硬化塗膜0.5gを微粉砕し、アセトニトリル50ml中に入れ、超音波を2時間施した。24時間静置後、上澄み液を取り、液体クロマトグラフィーで未反応の光重合開始剤量を定量した。その結果を、仕込んだ光重合開始剤量に対する残存率(%)で表した。
(5) 黄変
光硬化直後の硬化物を目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0080】
○:黄変無し 、 ×:黄変有り
(6) 劣化試験
サンシャインウエザオメーターによる500時間後の塗膜の外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
【0081】
○:変化無し、×:クラック及び黄変の少なくとも1つが有り
(実施例10、13及び参考例11、12、14〜16)
光重合開始剤として表2及び表3に記載のもの及び量を使用する以外は、参考例9に記載した方法で光硬化を行った。その結果を表2及び表3に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
(比較例1〜4)
光重合開始剤として表4に記載のもの及び量を使用する以外は、参考例9に記載した方法で光硬化を行った。その結果を表4に示す。
【0084】
【表4】
なお、比較例1、2、4は光重合開始剤が完全には溶解しなかったため、分散させた状態で光照射を行った。
【0085】
表2及び表3に示したように、参考例9、実施例10、13、参考例11、12、14〜16のモノマー型及びポリマー型光重合開始剤を光重合開始剤として用いた場合、光硬化速度が速く、かつ残存するフリーな光重合開始剤の量も少ないことがわかる。しかも、塗膜の硬度及び密着性に優れ、塗膜の黄変が抑制されるとともに、耐久性に優れている。
【0086】
これに対し、表4に示したように、従来の光重合開始剤を用いた比較例1〜4においては、硬化が不完全であったり、塗膜の密着性や耐久性に欠けたり、塗膜が黄変した。
【0087】
なお、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記一般式(I)中、mは1〜20の整数、nは0〜10の整数、及びm+nは1〜30の整数である請求項1に記載のヒドロキシアルキルフェノン誘導体。
【0088】
このように構成した場合、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体としての機能を確実に発揮することができる。
(2) 下記一般式(IV)又は(V)で表されるクロロホルメートを、下記一般式 (III)又は(II)で表される化合物と反応させて炭酸エステル化する請求項1に記載のヒドロキシアルキルフェノン誘導体の製造方法。
【0089】
【化30】
【0090】
【化31】
【0091】
【化32】
【0092】
【化33】
この製造方法によれば、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体を容易かつ収率良く製造することができる。
(3) 炭酸エステル化反応を塩基性触媒の存在下に溶剤中で行う上記(2)に記載のヒドロキシアルキルフェノン誘導体の製造方法。
【0093】
この製造方法によれば、反応速度を速くするなどヒドロキシアルキルフェノン誘導体をより効率良く製造することができる。
(4) 前記ヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体は、ヒドロキシアルキルフェノン誘導体とエチレン性不飽和化合物とをともに重合してなるものである請求項3に記載のポリマー型光重合開始剤。
【0094】
このように構成した場合、ポリマー型光重合開始剤は、光重合開始剤としての機能と、エチレン性不飽和化合物に基づく機能をともに発揮することができる。
(5) 前記エチレン性不飽和化合物は、親水性単量体である上記(4)に記載のポリマー型光重合開始剤。
【0095】
このように構成した場合、ポリマー型光重合開始剤を親水性に保持でき、水系の光重合開始剤として使用する場合に好適である。
【0096】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、以下のような効果を奏する。
第1の発明のヒドロキシアルキルフェノン誘導体は、従来知られていなかった新規な化合物であり、モノマー型光重合開始剤、重合して得られるポリマー型光重合開始剤及びそれらを含有する光硬化性組成物として有用である。
【0097】
第2の発明のモノマー型光重合開始剤によれば、特定の光重合開始基と重合性基を併せ持つため、硬化剤として用いた場合、光重合開始基が未反応のまま残存していても重合性基が反応して硬化系中に取り込まれるため、未反応の光重合開始剤のブリードアウトなどによる硬化物の劣化や黄変などが抑制された硬化物を得ることができる。また、重合性基と光重合開始基の両方が重合に関与できるため、光硬化物中で光重合開始剤が架橋点となって高度な架橋を行うことができる。そのため、高硬度の硬化物を得ることができる。
さらに、モノマー型光重合開始剤はアルキレンオキシド基を有するため、水系又は親水性の組成物に配合される光重合開始剤として好適に使用することができる。しかも、アルキレンオキシド基をカーボネート基で結合した構造を有するため、それぞれ光重合開始基及び重合性基を有するアルキレンオキシド化合物を出発原料として用いて容易に製造することができる。加えて、モノマー型光重合開始剤から光重合開始基を有する重合体を容易に製造することができる。
【0098】
第3の発明のポリマー型光重合開始剤によれば、光重合開始剤があらかじめ重合体になっているので、重合による収縮が少なく、また、光重合開始剤が架橋点となって歪を抑えることができる。そのため、密着性や強度などの性能に優れた光硬化物を得ることができる。また、水系又は親水性の組成物に配合される光重合開始剤として好ましく使用することができる。
【0099】
第4の発明の光硬化性組成物によれば、親水性ラジカル重合性不飽和化合物を用いた水系又は親水性であることから、有機溶媒の使用を最小限に抑えることができる。また、未硬化物は親水性であるため、水系現像型の画像形成材料として好適に使用することができる。
Claims (4)
- 請求項1に記載の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するモノマー型光重合開始剤。
- 請求項1に記載の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有するポリマー型光重合開始剤。
- 請求項1に記載の一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体を含有するモノマー型光重合開始剤及び一般式(I)で表されるヒドロキシアルキルフェノン誘導体より形成される重合体を含有するポリマー型光重合開始剤の少なくとも1種と、親水性ラジカル重合性不飽和化合物とを含有する光硬化性組成物。
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