JPH10310609A - 狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製造方法 - Google Patents
狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製造方法Info
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- JPH10310609A JPH10310609A JP12214197A JP12214197A JPH10310609A JP H10310609 A JPH10310609 A JP H10310609A JP 12214197 A JP12214197 A JP 12214197A JP 12214197 A JP12214197 A JP 12214197A JP H10310609 A JPH10310609 A JP H10310609A
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Abstract
性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)、お
よび工業的に入手容易なp−ヒドロキシ−α−メチルス
チレンを原料とする狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−
α−メチルスチレン)の簡便かつ効率的な製造方法を提
供する。 【解決手段】 p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを
酸の存在下ビニルエーテル類との反応によりアルコキシ
アルコキシ化した後、ある種の開始剤によりアニオン重
合させ、これをプロトン酸と接触させることにより、狭
分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)
を製造する。
Description
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製
造方法に関する。詳しくは、化学増幅型レジスト材のベ
ースポリマー等として有用な狭分散性のポリ(p−ヒド
ロキシ−α−メチルスチレン)、および工業的に入手容
易なp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを原料とする
狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の製造方法に関する。
解像度のリソグラフィー用として、またはLSI用に使
用するレジスト材用のベースポリマーとして注目を集め
ており、その製造方法も数多く提案されている(例え
ば、特開昭57−44609、特開昭63−19970
5、特開平6−32832、特開平5−1115な
ど)。一方、ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)は、α位のメチル基の効果により、剥離剤でのレジ
スト除去工程における溶解速度性、及びドライエッチン
グ工程における耐プラズマ性など、高密度化に対応する
レジスト剤として要求される性能がポリ(p−ヒドロキ
シスチレン)に比べ更に向上するためより有用である
が、α位のメチル基の電子的、立体的影響により重合方
法が制限され、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)の製造
方法をそのまま適用することはできない。実際、本発明
者らがポリ(p−ヒドロキシスチレン)の製造方法とし
て開示されている具体的方法のいくつかをポリ(p−ヒ
ドロキシ−α−メチルスチレン)に適用してみた。例え
ば、特開平6−32832に記載されている方法と同様
に、p−t−ブトキシカルボニルオキシ−α−メチルス
チレンをn−ブチルリチウムを重合開始剤としてテトラ
ヒドロフラン中、−78℃でアニオン重合を試みたが、
t−ブトキシカルボニルオキシ基とn−ブチルリチウム
との反応の方が優先的に起こってしまい、目的とする重
合体はほとんど得られなかった。また、特開平5−11
15に記載されている方法と同様に、p−テトラヒドロ
ピラニルオキシ−α−メチルスチレンをn−ブチルリチ
ウムを重合開始剤としてテトラヒドロフラン中、−78
℃で1時間アニオン重合を試みたが、重合反応は進行せ
ず、目的とする重合体は得られなかった。
ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を製造す
る方法がいくつかは提案されている。特開昭61−17
9204には、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの
エステル化物を五ハロゲン化アンチモンを触媒としてカ
チオン重合させ、重合体とした後、加水分解してポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を得る方法が
開示されている。しかしながら、このカチオン重合によ
り得られたポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)は、重合停止剤にメタノールや水を用いるため、重
合末端はメトキシ基やヒドロキシ基となる。このよう
に、ポリマー末端に官能基が必然的に結合することとな
り、このため熱分解性が生じ、よってリソグラフィー工
程において加熱を必要とするレジスト材のベースポリマ
ーとしては好ましくない。
39-149(1992)には、p−tert−ブトキシカルボニル
オキシ−α−メチルスチレンを三フッ化硼素エーテル付
加物を触媒として二酸化硫黄溶媒中にカチオン重合さ
せ、ポリ(p−tert−ブトキシカルボニルオキシ−
α−メチルスチレン)とした後、約200℃に加熱して
ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を得る方
法が開示されている。しかしながら、この方法もカチオ
ン重合のため、上記と同じ欠点を有する。更には、この
方法で得られるポリマーは分子量分散度が2.4ないし
4.6と広く、この点でもレジスト材として好ましくな
い。
ム−α−メチルスチレンをエーテル中でマグネシウムと
反応させた後、テトラヒドロフラン中で過酸化安息香酸
1,1−ジメチルプロピルエステルと作用させて、p−
1,1−ジメチルプロポキシ−α−メチルスチレンを
得、これをアニオン重合させた後酸分解してポリ(p−
ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を得る方法が開示さ
れている。しかしながらこの方法は、グリニャール反応
を用いるため等モル以上のマグネシウムが必要であり、
また副生する臭化マグネシウムの処理も問題であり、よ
って実用的な方法とは言えない。
キシ−α−メチルスチレンをリビングアニオン重合した
後、メトキシメトキシ基を脱離させてポリ(p−ヒドロ
キシ−α−メチルスチレン)を得る方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法において、原料のメトキシ
メトキシ−α−メチルスチレンを合成するためには、高
価なクロロメチルメチルエーテルが必要であり、また、
等モル量のアルカリ金属クロリドが副生するためにこの
処理も必要であり、よって工業的な製造方法とは言えな
い。
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)は、重合末端
に開始剤や重合停止剤等に由来する官能基が結合してい
るため、重量平均分子量が低いポリ(p−ヒドロキシ−
α−メチルスチレン)の場合、これらの末端基の影響を
受けてしまう結果となっていた。よって、より良好な特
性のレジスト材として使用するためには、繰り返し単位
であるp−ヒドロキシ−α−メチルスチレン部分のみを
有し、他の余分な官能基を有しないポリマーが望まれて
いる。
は、化学増幅型レジスト材のベースポリマー等として有
用な、末端に官能基を有しないp−ヒドロキシ−α−メ
チルスチレンのホモポリマーについて、および、工業的
に入手容易なp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを原
料とする、狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)を簡便かつ高収率で製造する方法について
鋭意検討した結果、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンをビニルエーテル類との反応によりアルコキシアルコ
キシ化した後、ある種の開始剤によりアニオン重合さ
せ、これをプロトン酸と作用させることにより、任意の
分子量で、末端に何ら官能基を有しない、狭分散性のポ
リ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を容易に、
しかも高収率で製造することができることを見出し、本
発明に到達した。
均分子量が1000ないし80000であり、かつ重量
平均分子量と数平均分子量との比が1.5以下である、
化学式(1)
す。)で示される狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α
−メチルスチレン)を提供するものである。
−メチルスチレンと化学式(2)
ル基、R2 は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3 は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2 とR3 とは互いに結合して環
構造を形成してもよい。)で示されるビニルエーテル類
とを酸の存在下に反応させて化学式(3)
ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
造を形成してもよい。)で示される1−アルコキシアル
コキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを製造
し、 これを化学式(4)
シクロペンタジエンおよびフルオレンよりなる群から選
ばれる有機基、Mはリチウム、ナトリウム、カリウムお
よびセシウムよりなる群から選ばれるアルカリ金属を示
す。)で示される有機アルカリ金属化合物を重合開始剤
としてアニオン重合させて、化学式(5)
ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
造を形成してもよい。また、m、nはそれぞれ10ない
し500の整数を示す。)で示される狭分散性のポリ
{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニ
ル)ベンゼン}を製造し、 次いで、これを有機溶媒の存在下にプロトン酸と接
触させて、脱アルコキシアルコキシ化反応を行うことを
特徴とする、化学式(1)で示される狭分散性のポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)の製造方法を
提供するものである。
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)は、重量平均
分子量が1000ないし80000、好ましくは200
0ないし50000、より好ましくは3000ないし3
0000であり、重量平均分子量と数平均分子量との比
が1.5以下、好ましくは1.0ないし1.4の範囲で
あり、かつ、化学式(1)で示される構造のものであ
る。
−α−メチルスチレンと化学式(2)で示されるビニル
エーテル類とを酸の存在下に反応させて化学式(3)で
示される1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチル
エテニル)ベンゼンを得る。p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレンは、2,2−ビス(4’−オキシフェニル)
プロパンの熱分解により容易に得られる(特公昭56−
52886など)。好ましいビニルエーテル類として
は、アルキルビニルエーテル類またはジヒドロフラン類
であり、アルキルビニルエーテル類とは、例えば、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピ
ルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエー
テル、tert−ブチルビニルエーテル、iso−オク
チルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシル
ビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−
エチルヘキシルビニルエーテル、tert−ペンチルビ
ニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、セシルビ
ニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、ビ
ニル−2−(2−エトキシエトキシ)エチルエーテル、
エチレングリコールブチルビニルエーテル、またはte
rt−アミルビニルエーテルなどであり、アルコキシ置
換または無置換のアルキルビニルエーテル類である。こ
れらのうち、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プロピル
ビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−
ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテ
ル、またはtert−アミルビニルエーテルがより好ま
しく、更に好ましくは、エチルビニルエーテル、n−プ
ロピルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテ
ル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニル
エーテル、またはtert−ブチルビニルエーテルであ
る。
フランまたは2,5−ジヒドロフランであり、反応を阻
害しない限り、フラン環上にアルキルまたはアルコキシ
置換基を有していても構わない。より好ましくは2,3
−ジヒドロフランである。これらのビニルエーテル類の
使用量は、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン1モル
に対して通常10モル以下であり、好ましくは0.1な
いし5モルの範囲であり、より好ましくは0.5ないし
3モルの範囲である。
チルスチレンやビニルエーテル類には、安定剤として水
酸化カリウム等のアルカリ性化合物や重合禁止剤等が含
まれている場合があるが、これらは特に蒸留等の精製操
作を行わずにそのまま使用しても特に問題はない。しか
しながら、例えば水酸化カリウムが混入していると触媒
として使用する酸の量が増えることから、事前に精製操
作を行ってこれらの安定剤を除去しておくか、または安
定剤を含まない原料を用いる方がより好ましい。
ロゲン化水素、硫酸、リン酸、塩酸、または臭化水素酸
等の鉱酸、ヘテロポリ酸もしくはナフィオン等の固体
酸、または、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢
酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、シュウ酸、クロル
スルホン酸・ピリジン塩、硫酸・ピリジン塩もしくはp
−トルエンスルホン酸・ピリジン塩等の有機酸が挙げら
れ、これらのうち、塩化水素ガス、塩酸、トリフルオロ
酢酸、p−トルエンスルホン酸・ピリジン塩、または硫
酸・ピリジン塩が好ましい。これらの酸は、単独でも、
または2種以上を同時または順次に使用することもでき
る。これらの酸の使用量は、p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン1モルに対して通常2モル以下であり、好ま
しくは、0.00001ないし0.2モルの範囲であ
り、より好ましくは0.0001ないし0.05モルの
範囲である。
を用いずに反応を行いうる場合もあるが、通常は溶媒の
存在下で実施する。用いる場合の溶媒としては、反応を
阻害しないものであれば何れでも使用することができる
が、具体的には、例えば、水;n−ヘキサン、n−ペン
タン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または
脂環族の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベン
ゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、
クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の
脂肪族または芳香族ハロゲン化合物;ジエチルエーテ
ル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4
−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、
エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;
アセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノン等のケ
トン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリ
ル類;および酢酸エチルやプロピオン酸エチル等のエス
テル類等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以
上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使
用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、
不均一な複数の相となっても構わない。
特に限定されるものではなく、p−ヒドロキシ−α−メ
チルスチレン、ビニルエーテル類、酸、および使用する
場合の溶媒等が効果的に混合され接触される方法であれ
ば如何なる方法でもよく、回分式、半回分式または連続
流通式の何れでも構わない。
ルエーテル類や酸、及び使用する場合の溶媒等の種類や
量により異なり一様ではない。しかしながら、通常反応
温度は零下10℃ないし100℃の範囲であり、好まし
くは、0℃ないし60℃の範囲である。反応時間は、通
常20時間以内であり、好ましくは0.01ないし10
時間の範囲である。反応は場合によって減圧、常圧また
は加圧の何れでも実施できる。
雰囲気下でも、空気などの分子状酸素の存在下でも行う
ことができる。本発明の方法における反応によって、化
学式(3)で示される1−アルコキシアルコキシ−4−
(1−メチルエテニル)ベンゼンが得られる。次いで、
この得られた1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼンを、化学式(4)で示される有
機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合
させる。
チルエテニル)ベンゼンは、上記反応によって得られた
反応液より抽出、蒸留、および/または結晶化等の常用
の方法によって処理することにより単離した後使用する
こともできるし、または、反応液より抽出、中和、濾
別、またはイオン交換樹脂処理等通常の操作で酸を除去
した後、単離することなくそのままアニオン重合に使用
することもできる。また、1−アルコキシアルコキシ−
4−(1−メチルエテニル)ベンゼンは、安定化剤とし
て水酸化カリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ成分を
添加して保存しておくことが好ましいが、このアルカリ
成分は除去せずそのままアニオン重合に用いることもで
きる。
は、ナトリウムナフタレンまたはアントラセンカリウム
が挙げられる。また、ナフタレンとアルカリ金属との組
み合わせ等、重合条件下でこれらの有機アルカリ金属化
合物を発生させることのできる成分の組み合わせであっ
ても、または別途これらの有機アルカリ金属化合物を調
製した後単離せずにそのまま用いてもよい。これらの有
機アルカリ金属化合物の使用量は、それらの種類および
目的とするポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の分子量により一様ではないが、通常1−アルコキ
シアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン1
モルに対して0.5モル以下であり、好ましくは0.0
0001ないし0.1モルの範囲であり、より好ましく
は0.0001ないし0.05モルの範囲である。
機溶媒中で行うことが好ましい。この場合に用いられる
有機溶媒は、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n
−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族の
炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、ク
メン等の芳香族炭化水素類;およびジエチルエーテル、
ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジ
オキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル等のエーテル類等が挙
げられる。これらは単独でもまたは2種以上を混合して
使用してもよい。また、本発明の反応においてこれらの
溶媒を用いた場合、アニオン重合においても同じ溶媒を
用いるのが、溶媒の回収等の操作の省略化のためにも好
ましい。本発明の方法におけるアニオン重合の実施方式
は、特に限定されるものではなく、1−アルコキシアル
コキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン、有機ア
ルカリ金属化合物、および使用する場合の溶媒等が効果
的に混合され接触される方法であれば如何なる方法でも
よく、回分式、半回分式または連続流通式の何れでも構
わない。
−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)
ベンゼン、有機アルカリ金属化合物、および使用する場
合の溶媒等の種類や量により異なり一様ではない。しか
しながら、通常重合温度は零下100℃ないし150℃
の範囲であり、好ましくは、零下80℃ないし80℃の
範囲である。重合時間は、通常100時間以内であり、
好ましくは0.01ないし20時間の範囲である。重合
は場合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施で
きる。
ルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気下で行う。また、本
発明の方法におけるアニオン重合では、重合速度や重合
収率等を高めるため等に、クラウンエーテル類やポリグ
リコール類など、これまでにアニオン重合において用い
られている添加剤等を更に用いることもできる。
を有する重合停止剤を添加して停止させることにより、
1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニ
ル)ベンゼンのビニル基を通して選択的に重合し、か
つ、重合末端に何ら官能基を有しない、化学式(5)で
示される狭分散性のポリ{1−アルコキシアルコキシ−
4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}が得られる。活
性水素基を有する重合停止剤としては、例えば、水;メ
タノール、エタノール等のアルコール類;および酢酸、
プロピオン酸等の有機カルボン酸類等が挙げられる。
シアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
を、有機溶媒の存在下にプロトン酸と接触させて、脱ア
ルコキシアルコキシ化反応を行う。ポリ{1−アルコキ
シアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
は、上記アニオン重合によって得られた重合液より、例
えばメタノール等の適当な溶剤を用いて沈殿し、洗浄、
乾燥する方法や、脱溶媒し、スチームストリッピング乾
燥または加熱乾燥等の乾燥操作を用いる方法等、通常の
方法によって単離精製した後使用することもできるし、
または、何ら単離操作をすることなくそのまま脱アルコ
キシアルコキシ化反応に使用することもできる。
のハロゲン化水素、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、ま
たはリン酸等の鉱酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢
酸、蓚酸、酢酸、またはマロン酸等のカルボン酸類、ま
たは、p−トルエンスルホン酸もしくはトリフルオロメ
チル硫酸等の有機スルホン酸類等のプロトン酸が挙げら
れ、これらのうち、塩化水素、塩酸、硫酸、トリフルオ
ロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ
メチル硫酸が好ましい。プロトン酸の使用量は、通常、
ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエ
テニル)ベンゼン}の繰り返し単位のモル数に対して
0.00001倍モル以上の量用いられるが、例えば酢
酸等のカルボン酸類は有機溶媒としても使用することが
できる。好ましくは、0.00001ないし0.5倍モ
ルの範囲であり、より好ましくは、0.0001ないし
0.2倍モルの範囲である。
コキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ン}または生成するポリ(p−ヒドロキシ−α−メチル
スチレン)の少なくとも何れかが溶解する溶媒であれば
何れでも使用することができるが、通常、n−ヘキサ
ン、n−ペンタン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の
脂肪族または脂環族の炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;ジ
クロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロ
ロベンゼン等の脂肪族または芳香族ハロゲン化合物;メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、
アミルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリ
コール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジフェニ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、
エチルメチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘプタノ
ン、アセトフェノン等のケトン類;アセトニトリル、プ
ロピオニトリル等のニトリル類;および酢酸エチル、プ
ロピオン酸エチル、乳酸エチル等のエステル類等が挙げ
られる。または、プロトン酸として用いた酢酸等のカル
ボン酸類も挙げられる。これらの有機溶媒は単独でもま
たは2種以上を混合して使用してもよい。これらの溶媒
の使用量は、用いる溶媒の種類により一様ではないが、
通常、ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼン}またはポリ(p−ヒドロキシ
−α−メチルスチレン)の濃度として0.05重量%な
いし50重量%の範囲であり、好ましくは、0.1重量
%ないし30重量%の範囲である。
キシ化反応の実施方式は、特に限定されるものではな
く、ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチ
ルエテニル)ベンゼン}、プロトン酸および有機溶媒等
が効果的に混合され接触される方法であれば如何なる方
法でもよく、回分式、半回分式または連続流通式の何れ
でも構わない。
および時間は、ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−
(1−メチルエテニル)ベンゼン}の濃度や分子量、プ
ロトン酸の種類や量および有機溶媒等の種類等により異
なり一様ではない。しかしながら、通常脱アルコキシア
ルコキシ化反応の温度は0℃ないし200℃の範囲であ
り、好ましくは、20℃ないし150℃の範囲である。
脱アルコキシアルコキシ化反応の反応時間は、通常20
時間以内であり、好ましくは0.01ないし10時間の
範囲である。また、場合によって減圧、常圧または加圧
の何れでも実施できる。また、この脱アルコキシアルコ
キシ化反応は、不活性ガス雰囲気下でも、空気などの分
子状酸素の存在下でも行うことができる。
る狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)が得られる。この得られたポリ(p−ヒドロキシ−
α−メチルスチレン)は、例えば脱アルコキシアルコキ
シ化反応において炭化水素等の溶解度の低い有機溶媒を
用いた場合、脱アルコキシアルコキシ化反応中に固体と
して析出してくるため、濾過やデカンテーション等の通
常の分離操作により単離することができるし、または、
アルコール等の溶解度の高い有機溶媒を用いた場合、均
一に溶解しているため、抽出、ストリッピングおよびイ
オン交換などの通常の精製操作を行った後、または何ら
精製操作を行わずに、適当な貧溶媒を用いて沈殿させて
分離する方法や、脱溶媒法などの乾燥操作を用いる方法
等の通常の方法によって単離することができる。
るが、これらは限定的ではなく単に説明のためと解され
るべきである。 実施例1 1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンの合成 撹拌機、温度計、内容積30ミリリットルの滴下ロート
および冷却管を装着した、内容積200ミリリットルの
4ッロフラスコに、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン10.0グラム(74.6ミリモル)、酸としてp−
トルエンスルホン酸・ピリジン塩10ミリグラム(0.
04ミリモル)および溶媒として塩化メチレン80.0
ミリリットルを仕込んだ。この液を撹拌しながらウォー
ターバスにより内温を25℃にしたところで、滴下ロー
トよりエチルビニルエーテル5.41グラム(75.0
ミリモル)を塩化メチレン20ミリリットルに溶解させ
た溶液を滴下し始めた。10分かけて滴下した後、その
まま空気雰囲気下で1時間反応させた。滴下開始時は薄
黄色であったが、反応終了時は無色透明となった。ま
た、滴下中若干発熱が認められた。反応終了後、この反
応液を300ミリリットルの分液ロートに移し替え、
0.2N水酸化ナトリウム水溶液100ミリリットルで
1回抽出洗浄し、更にイオン交換水100ミリリットル
にて2回洗浄して酸分を除去した。また、抽出に用いた
アルカリ水と水とは混合し、反応溶媒である塩化メチレ
ンにて逆抽出を行い、最初の有機層部分と混合した。こ
のようにして得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後、高速液体クロマトグラフィーにて成分分析
を行ったところ、目的物である1−(1−エトキシエト
キシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンが14.
7グラム(71.1ミリモル)、および原料のp−ヒド
ロキシ−α−メチルスチレンが0.09グラム(0.6
7ミリモル)含まれており、よってp−ヒドロキシ−α
−メチルスチレンの転化率は99.1%、仕込んだp−
ヒドロキシ−α−メチルスチレンに対する1−(1−エ
トキシエトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ンの収率は95.4%であった。
化メチレンを留去させた後、生成した1−(1−エトキ
シエトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを
水素化カルシウム存在下0.5mmHg、60℃にて蒸
留し、精製した。収量は13.2グラムであった。な
お、生成した1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1
−メチルエテニル)ベンゼンは、1H−NMR、13C−
NMR、IRおよび元素分析により同定した。
−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 200ミリリットルのシュレンクフラスコに、アルゴン
雰囲気下、撹拌子を装入し、次いで溶媒としてテトラヒ
ドロフラン50ミリリットルおよびヘキサン50ミリリ
ットル、重合開始剤としてナトリウムナフタレンの0.
4Nテトラヒドロフラン溶液0.5ミリリットル(0.
2ミリモル)を仕込んだ。この液を撹拌しながらドライ
アイス/四塩化炭素バスにより−20℃にした後、蒸留
・精製した1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−
メチルエテニル)ベンゼン10.0グラム(48.5ミ
リモル)を添加した。この溶液はすぐに濃赤色を呈し
た。このまま3時間重合させた後、メタノール5.0ミ
リリットルを加え、重合を停止させた。この重合溶液を
メタノール2.0リットル中に注ぎ、重合体を沈殿させ
て濾過・分離し、更に減圧乾燥させて8.24グラムの
白色重合体を得た。仕込んだ1−(1−エトキシエトキ
シ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンに対する重
量収率は、82.4%であった。得られた白色重合体
は、1H−NMR分析、13C−NMR分析、および元素
分析の結果より、目的とする構造のポリ{1−(1−エ
トキシエトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ン}であった。また、ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は24000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であ
った。 ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)
の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(1−エトキシエトキシ)
−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}5.00グラ
ム、および溶媒としてメタノール30ミリリットルを仕
込んだ。この状態では重合体はほとんど溶解せず、液は
不均一であったが、ここに35%塩酸水溶液0.1ミリ
リットルを加え、室温にて3時間撹拌し酸分解を行っ
た。塩酸水溶液を加えると徐々に不溶物はなくなってい
き、3時間後には無色透明な均一液となった。この酸分
解処理液を水500ミリリットル中に注ぎ、重合体を沈
殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥させて3.7グ
ラムの白色重合体を得た。得られた白色重合体は、1H
−NMR分析、13C−NMR、および元素分析の結果よ
り、目的とする構造のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)であった。また、ポリスチレンを標準とす
るGPC分析の結果、重量平均分子量(Mw)は185
00であり、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.
08であった。
ン酸・ピリジン塩を用いなかった以外は、すべて実施例
1と同様に反応し、同様にアリカリ抽出・乾燥を行い、
アルカリ処理済みの液を得た。実施例1と同様に分析を
行ったところ、目的とする1−(1−エトキシエトキ
シ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンの生成は認
められなかった。
ニル)ベンゼンの合成 実施例1において、溶媒として用いた塩化メチレンの代
わりにテトラヒドロフランを用い、すべての操作を窒素
雰囲気下で行った以外は、すべて実施例1と同様に1時
間反応させた。反応終了後、この反応液にICNアルミ
ナN−活性1(ICNバイオメディカル社製)10.0
グラムを加え、更に内径4.7センチメートルのガラス
フィルター上に更にこの活性アルミナを敷いたフィルタ
ーにて、この反応液を減圧濾過し、テトラヒドロフラン
10ミリリットルで2回洗浄し、これら濾液を合わせて
約120ミリリットルの活性アルミナ処理液を得た。実
施例1と同様に反応成績を計算したところ、4−(1−
メチルエテニル)フェノールの転化率は99.4%、仕
込んだ4−(1−メチルエテニル)フェノールに対する
1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンの収率は97.8%であった。
−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 このアルミナ処理液100ミリリットルをそのまま20
0ミリリットルのシュレンクフラスコに装入し、撹拌子
を装入し、充分アルゴン置換を行った後、撹拌しながら
ドライアイス/メタノールバスにより−78℃にし、重
合開始剤としてナトリウムナフタレンの0.4Nテトラ
ヒドロフラン溶液0.5ミリリットル(0.2ミリモ
ル)を添加した。このまま6時間重合させた後、メタノ
ール5.0ミリリットルを加え、重合を停止させた。こ
の重合溶液をメタノール2.0リットル中に注ぎ、重合
体を沈殿させて濾過・分離し、更に減圧乾燥させて6.
13グラムのポリ{1−(1−エトキシエトキシ)−4
−(1−メチルエテニル)ベンゼン}を得た。原料であ
る4−(1−メチルエテニル)フェノールに対する単離
したポリ{1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−
メチルエテニル)ベンゼン}の重量収率は、途中のロス
を考慮に入れずに61.3%であった。また、ポリスチ
レンを標準とするGPC分析の結果、重量平均分子量
(Mw)は16000であり、そして分子量分散度(M
w/Mn)は1.08であった。
ン)の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(1−エトキシエトキシ)
−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}5.00グラ
ム、および溶媒としてエタノール30ミリリットルを仕
込んだ。ここに1.0N硫酸水溶液1.0ミリリットル
を加え、60℃にて1時間撹拌し酸分解を行った。この
酸分解処理液を水500ミリリットル中に注ぎ、重合体
を沈殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥させて3.
6グラムのポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)を得た。ポリスチレンを標準とするGPC分析の結
果、重量平均分子量(Mw)は12500であり、そし
て分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であった。
メチルエテニル)ベンゼンの合成 実施例1において、エチルビニルエーテルの代わりにt
ert−ブチルビニルエーテルを7.46グラム(7
4.5ミリモル)用いた以外は、すべて実施例1と同様
に反応させ、同様にアリカリ抽出・乾燥を行い、アルカ
リ処理済みの液を得た。高速液体クロマトグラフィーに
より成分分析を行ったところ、目的物である1−(1−
tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンが15.95グラム(68.0ミリモ
ル)、および原料のp−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンが0.35グラム(2.61ミリモル)含まれてお
り、よってp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの転化
率は96.5%、仕込んだp−ヒドロキシ−α−メチル
スチレンに対する1−(1−tert−ブトキシエトキ
シ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンの収率は9
1.3%であった。
ンを留去した後、水素化ナトリウムの存在下、減圧蒸留
し、11.8グラムの1−(1−tert−ブトキシエ
トキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを得
た。
キシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 実施例1と同様の重合装置に、溶媒としてベンゼン80
ミリリットル、重合開始剤として別途調製したアントラ
センカリウムの0.3Nテトラヒドロフラン溶液2.3
ミリリットル(0.7ミリモル)を仕込んだ。この液を
撹拌しながらウォーターバスにより35℃にした後、1
−(1−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼン10.0グラム(42.7ミリ
モル)を添加した。このまま8時間重合させた後、メタ
ノール5.0ミリリットルを加えて重合を停止させた。
この重合溶液をメタノール2.0リットル中に注ぎ、重
合体を沈殿させて濾過・分離し、更に減圧乾燥させて
7.52グラムの白色重合体を得た。仕込んだ1−(1
−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−メチルエ
テニル)ベンゼンに対する重量収率は、75.2%であ
った。得られた白色重合体は、1H−NMR分析、13C
−NMR、および元素分析の結果より、目的とするポリ
{1−(1−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1
−メチルエテニル)ベンゼン}であった。また、ポリス
チレンを標準とするGPC分析の結果、重量平均分子量
(Mw)は21000であり、そして分子量分散度(M
w/Mn)は1.07であった。
ン)の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(1−tert−ブトキシ
エトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
5.00グラム、および溶媒としてアセトン30ミリリ
ットルを仕込んだ。ここに35%塩酸水溶液0.1ミリ
リットルを加え、室温にて3時間撹拌し酸分解を行っ
た。この酸分解処理液を水500ミリリットル中に注
ぎ、重合体を沈殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥
させて2.5グラムのポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)を得た。ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は11000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.07であ
った。
メチルエテニル)ベンゼンの合成 撹拌機、温度計、内容積300ミリリットルの滴下ロー
トおよび冷却管を装着した、内容積2.0リットルの4
ッロフラスコに、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン
100グラム(0.746モル)、酸として塩化水素の
1Nジエチルエーテル溶液50ミリリットル(50ミリ
モル)および溶媒としてジエチルエーテル1.0リット
ルを仕込んだ。この液を撹拌しながら内温を0℃に氷冷
したところで、滴下ロートより2,3−ジヒドロフラン
157.7グラム(2.25モル)を滴下し始めた。3
0分かけて滴下した後、そのまま空気雰囲気下で8時間
反応させた。反応終了後、この反応液を3.0リットル
の分液ロートに移し替え、0.2N水酸化ナトリウム水
溶液1.0リットルで3回抽出洗浄し、更にイオン交換
水1.0リットルにて2回洗浄して酸分を除去した。ま
た、抽出に用いたアルカリ水と水とは混合し、反応溶媒
であるジエチルエーテルにて逆抽出を行い、最初の有機
層部分と混合した。このように得られた有機溶液を無水
硫酸ナトリウムで乾燥した後、高速液体クロマトグラフ
ィーにて成分分析を行ったところ、目的物である1−
(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1−メチ
ルエテニル)ベンゼンが91.6グラム(0.476モ
ル)、および原料のp−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンが25.2グラム(0.207モル)含まれており、
よってp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの転化率は
72.3%、仕込んだp−ヒドロキシ−α−メチルスチ
レンに対する1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)
−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンの収率は63.
8%であった。この得られたアルカリ処理済みの有機溶
液よりジエチルエーテルを留去させた後、生成した1−
(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1−メチ
ルエテニル)ベンゼンを水素化カルシウム存在下2.0
mmHg、80℃にて蒸留し、精製した。収量は82.
4グラムであった。なお、生成した1−(2−テトラヒ
ドロフラニルオキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベ
ンゼンは、1H−NMR、13C−NMR、IRおよび元
素分析により同定した。
キシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 200ミリリットルのシュレンクフラスコに、アルゴン
雰囲気下、撹拌子を装入し、次いで溶媒としてテトラヒ
ドロフラン40ミリリットルおよびヘキサン40ミリリ
ットル、重合開始剤としてナトリウムナフタレンの0.
4Nシクロヘキサン溶液2.3ミリリットル(0.9ミ
リモル)を仕込んだ。この液を撹拌しながらドライアイ
ス/四塩化炭素バスにより−20℃にした後、蒸留・精
製した1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−
(1−メチルエテニル)ベンゼン20.0グラム(9
7.9ミリモル)を添加した。このまま3時間重合させ
た後、メタノール5.0ミリリットルを加え、重合を停
止させた。この重合溶液をメタノール2.0リットル中
に注ぎ、重合体を沈殿させて濾過・分離し、更に減圧乾
燥させて17.26グラムの白色重合体を得た。仕込ん
だ1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1
−メチルエテニル)ベンゼンに対する重量収率は、8
6.3%であった。得られた白色重合体は、1H−NM
R分析、13C−NMR、および元素分析の結果より、目
的とする構造を有するポリ{1−(2−テトラヒドロフ
ラニルオキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ン}であった。また、ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は19000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であ
った。
ン)の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(2−テトラヒドロフラニ
ルオキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
5.00グラム、および溶媒としてメタノール30ミリ
リットルを仕込んだ。ここに35%塩酸水溶液0.1ミ
リリットルを加え、室温にて3時間撹拌し酸分解を行っ
た。この酸分解処理液を水500ミリリットル中に注
ぎ、重合体を沈殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥
させて3.1グラムのポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)を得た。ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は12000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であ
った。
−α−メチルスチレンをビニルエーテル類との反応によ
りアルコキシアルコキシ化した後、ある種の開始剤によ
りアニオン重合させ、これをプロトン酸と接触させるこ
とにより、化学増幅型フォトレジスト材等に有用な、末
端に官能基を有しない、狭分散性のポリ(p−ヒドロキ
シ−α−メチルスチレン)を簡便に、任意の分子量で、
しかも高収率で製造することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量平均分子量が1000ないし800
00であり、かつ重量平均分子量と数平均分子量との比
が1.5以下である、化学式(1) 【化1】 (式中、m、nはそれぞれ10ないし500の整数を示
す。)で示される狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α
−メチルスチレン)。 - 【請求項2】 p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンと化学式(2) 【化2】 (式中、R1 は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
ル基、R2 は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3 は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2 とR3 とは互いに結合して環
構造を形成してもよい。)で示されるビニルエーテル類
とを酸の存在下に反応させて化学式(3) 【化3】 (式中、R1は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
造を形成してもよい。)で示される1−アルコキシアル
コキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを製造
し、 これを化学式(4) 【化4】M−Ar (4) (式中、Arはナフタレン、アントラセン、インデン、
シクロペンタジエンおよびフルオレンよりなる群から選
ばれる有機基、Mはリチウム、ナトリウム、カリウムお
よびセシウムよりなる群から選ばれるアルカリ金属を示
す。)で示される有機アルカリ金属化合物を重合開始剤
としてアニオン重合させて、化学式(5) 【化5】 (式中、R1は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
造を形成してもよい。また、m、nはそれぞれ10ない
し500の整数を示す。)で示される狭分散性のポリ
{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニ
ル)ベンゼン}を製造し、 次いで、これを有機溶媒の存在下にプロトン酸と接
触させて、脱アルコキシアルコキシ化反応を行うことを
特徴とする、化学式(1)で示される狭分散性のポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)の製造方法。 - 【請求項3】 ビニルエーテル類がアルキルビニルエー
テル類または2,3−ジヒドロフランである請求項2に
記載の方法。 - 【請求項4】 アルキルビニルエーテル類がメチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニ
ルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、n−ブ
チルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、
tert−ブチルビニルエーテル、またはtert−ア
ミルビニルエーテルである請求項3に記載の方法。 - 【請求項5】 有機アルカリ金属化合物が、ナトリウム
ナフタレンまたはアントラセンカリウムである請求項2
ないし4のいずれかに記載の方法。
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JP12214197A JP3729599B2 (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | 狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製造方法 |
US09/031,646 US6281318B1 (en) | 1997-03-04 | 1998-02-27 | Poly{1-(1-alkoxyalkoxy)-4-(1-methylethenyl)benzene} having narrow molecular weight distribution, its preparation process, and preparation process of poly{4-methylethenyl)phenol} having narrow molecular weight distribution |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013534544A (ja) * | 2010-05-31 | 2013-09-05 | 株式会社ブリヂストン | 水酸基含有メチルスチレン及び該水酸基含有メチルスチレンを組み込んだポリマー |
-
1997
- 1997-05-13 JP JP12214197A patent/JP3729599B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2013534544A (ja) * | 2010-05-31 | 2013-09-05 | 株式会社ブリヂストン | 水酸基含有メチルスチレン及び該水酸基含有メチルスチレンを組み込んだポリマー |
US9051455B2 (en) | 2010-05-31 | 2015-06-09 | Bridgestone Corporation | Hydroxyl group-containing methylstyrene and polymers incorporating same |
JP2016074909A (ja) * | 2010-05-31 | 2016-05-12 | 株式会社ブリヂストン | ヒドロキシル基含有メチルスチレン及び該ヒドロキシル基含有メチルスチレンを組み込んだポリマー |
JP2017095710A (ja) * | 2010-05-31 | 2017-06-01 | 株式会社ブリヂストン | ヒドロキシル基含有メチルスチレン及び該ヒドロキシル基含有メチルスチレンを組み込んだポリマー |
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