JPH10310609A - 狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製造方法 - Google Patents

狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製造方法

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JPH10310609A
JPH10310609A JP12214197A JP12214197A JPH10310609A JP H10310609 A JPH10310609 A JP H10310609A JP 12214197 A JP12214197 A JP 12214197A JP 12214197 A JP12214197 A JP 12214197A JP H10310609 A JPH10310609 A JP H10310609A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学増幅型レジスト材等として有用な狭分散
性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)、お
よび工業的に入手容易なp−ヒドロキシ−α−メチルス
チレンを原料とする狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−
α−メチルスチレン)の簡便かつ効率的な製造方法を提
供する。 【解決手段】 p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを
酸の存在下ビニルエーテル類との反応によりアルコキシ
アルコキシ化した後、ある種の開始剤によりアニオン重
合させ、これをプロトン酸と接触させることにより、狭
分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、狭分散性のポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)およびその製
造方法に関する。詳しくは、化学増幅型レジスト材のベ
ースポリマー等として有用な狭分散性のポリ(p−ヒド
ロキシ−α−メチルスチレン)、および工業的に入手容
易なp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを原料とする
狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ(p−ヒドロキシスチレン)は、高
解像度のリソグラフィー用として、またはLSI用に使
用するレジスト材用のベースポリマーとして注目を集め
ており、その製造方法も数多く提案されている(例え
ば、特開昭57−44609、特開昭63−19970
5、特開平6−32832、特開平5−1115な
ど)。一方、ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)は、α位のメチル基の効果により、剥離剤でのレジ
スト除去工程における溶解速度性、及びドライエッチン
グ工程における耐プラズマ性など、高密度化に対応する
レジスト剤として要求される性能がポリ(p−ヒドロキ
シスチレン)に比べ更に向上するためより有用である
が、α位のメチル基の電子的、立体的影響により重合方
法が制限され、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)の製造
方法をそのまま適用することはできない。実際、本発明
者らがポリ(p−ヒドロキシスチレン)の製造方法とし
て開示されている具体的方法のいくつかをポリ(p−ヒ
ドロキシ−α−メチルスチレン)に適用してみた。例え
ば、特開平6−32832に記載されている方法と同様
に、p−t−ブトキシカルボニルオキシ−α−メチルス
チレンをn−ブチルリチウムを重合開始剤としてテトラ
ヒドロフラン中、−78℃でアニオン重合を試みたが、
t−ブトキシカルボニルオキシ基とn−ブチルリチウム
との反応の方が優先的に起こってしまい、目的とする重
合体はほとんど得られなかった。また、特開平5−11
15に記載されている方法と同様に、p−テトラヒドロ
ピラニルオキシ−α−メチルスチレンをn−ブチルリチ
ウムを重合開始剤としてテトラヒドロフラン中、−78
℃で1時間アニオン重合を試みたが、重合反応は進行せ
ず、目的とする重合体は得られなかった。
【0003】しかしながら、これらの困難性を解決し、
ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を製造す
る方法がいくつかは提案されている。特開昭61−17
9204には、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの
エステル化物を五ハロゲン化アンチモンを触媒としてカ
チオン重合させ、重合体とした後、加水分解してポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を得る方法が
開示されている。しかしながら、このカチオン重合によ
り得られたポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)は、重合停止剤にメタノールや水を用いるため、重
合末端はメトキシ基やヒドロキシ基となる。このよう
に、ポリマー末端に官能基が必然的に結合することとな
り、このため熱分解性が生じ、よってリソグラフィー工
程において加熱を必要とするレジスト材のベースポリマ
ーとしては好ましくない。
【0004】Makromol. Chem., Macromol. Symp. 53, 1
39-149(1992)には、p−tert−ブトキシカルボニル
オキシ−α−メチルスチレンを三フッ化硼素エーテル付
加物を触媒として二酸化硫黄溶媒中にカチオン重合さ
せ、ポリ(p−tert−ブトキシカルボニルオキシ−
α−メチルスチレン)とした後、約200℃に加熱して
ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を得る方
法が開示されている。しかしながら、この方法もカチオ
ン重合のため、上記と同じ欠点を有する。更には、この
方法で得られるポリマーは分子量分散度が2.4ないし
4.6と広く、この点でもレジスト材として好ましくな
い。
【0005】特開昭59−199705には、p−ブロ
ム−α−メチルスチレンをエーテル中でマグネシウムと
反応させた後、テトラヒドロフラン中で過酸化安息香酸
1,1−ジメチルプロピルエステルと作用させて、p−
1,1−ジメチルプロポキシ−α−メチルスチレンを
得、これをアニオン重合させた後酸分解してポリ(p−
ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を得る方法が開示さ
れている。しかしながらこの方法は、グリニャール反応
を用いるため等モル以上のマグネシウムが必要であり、
また副生する臭化マグネシウムの処理も問題であり、よ
って実用的な方法とは言えない。
【0006】特開平6−32819には、メトキシメト
キシ−α−メチルスチレンをリビングアニオン重合した
後、メトキシメトキシ基を脱離させてポリ(p−ヒドロ
キシ−α−メチルスチレン)を得る方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法において、原料のメトキシ
メトキシ−α−メチルスチレンを合成するためには、高
価なクロロメチルメチルエーテルが必要であり、また、
等モル量のアルカリ金属クロリドが副生するためにこの
処理も必要であり、よって工業的な製造方法とは言えな
い。
【0007】しかもこれらの方法により製造されたポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)は、重合末端
に開始剤や重合停止剤等に由来する官能基が結合してい
るため、重量平均分子量が低いポリ(p−ヒドロキシ−
α−メチルスチレン)の場合、これらの末端基の影響を
受けてしまう結果となっていた。よって、より良好な特
性のレジスト材として使用するためには、繰り返し単位
であるp−ヒドロキシ−α−メチルスチレン部分のみを
有し、他の余分な官能基を有しないポリマーが望まれて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、化学増幅型レジスト材のベースポリマー等として有
用な、末端に官能基を有しないp−ヒドロキシ−α−メ
チルスチレンのホモポリマーについて、および、工業的
に入手容易なp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンを原
料とする、狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)を簡便かつ高収率で製造する方法について
鋭意検討した結果、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンをビニルエーテル類との反応によりアルコキシアルコ
キシ化した後、ある種の開始剤によりアニオン重合さ
せ、これをプロトン酸と作用させることにより、任意の
分子量で、末端に何ら官能基を有しない、狭分散性のポ
リ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)を容易に、
しかも高収率で製造することができることを見出し、本
発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、重量平
均分子量が1000ないし80000であり、かつ重量
平均分子量と数平均分子量との比が1.5以下である、
化学式(1)
【0010】
【化6】 (式中、m、nはそれぞれ10ないし500の整数を示
す。)で示される狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α
−メチルスチレン)を提供するものである。
【0011】また、本発明は、 p−ヒドロキシ−α
−メチルスチレンと化学式(2)
【0012】
【化7】 (式中、R1 は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
ル基、R2 は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3 は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2 とR3 とは互いに結合して環
構造を形成してもよい。)で示されるビニルエーテル類
とを酸の存在下に反応させて化学式(3)
【0013】
【化8】 (式中、R1は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
造を形成してもよい。)で示される1−アルコキシアル
コキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを製造
し、 これを化学式(4)
【0014】
【化9】M−Ar (4) (式中、Arはナフタレン、アントラセン、インデン、
シクロペンタジエンおよびフルオレンよりなる群から選
ばれる有機基、Mはリチウム、ナトリウム、カリウムお
よびセシウムよりなる群から選ばれるアルカリ金属を示
す。)で示される有機アルカリ金属化合物を重合開始剤
としてアニオン重合させて、化学式(5)
【0015】
【化10】 (式中、R1は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
造を形成してもよい。また、m、nはそれぞれ10ない
し500の整数を示す。)で示される狭分散性のポリ
{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニ
ル)ベンゼン}を製造し、 次いで、これを有機溶媒の存在下にプロトン酸と接
触させて、脱アルコキシアルコキシ化反応を行うことを
特徴とする、化学式(1)で示される狭分散性のポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)の製造方法を
提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明における狭分散性のポリ
(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)は、重量平均
分子量が1000ないし80000、好ましくは200
0ないし50000、より好ましくは3000ないし3
0000であり、重量平均分子量と数平均分子量との比
が1.5以下、好ましくは1.0ないし1.4の範囲で
あり、かつ、化学式(1)で示される構造のものであ
る。
【0017】本発明の方法では、まず、p−ヒドロキシ
−α−メチルスチレンと化学式(2)で示されるビニル
エーテル類とを酸の存在下に反応させて化学式(3)で
示される1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチル
エテニル)ベンゼンを得る。p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレンは、2,2−ビス(4’−オキシフェニル)
プロパンの熱分解により容易に得られる(特公昭56−
52886など)。好ましいビニルエーテル類として
は、アルキルビニルエーテル類またはジヒドロフラン類
であり、アルキルビニルエーテル類とは、例えば、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピ
ルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエー
テル、tert−ブチルビニルエーテル、iso−オク
チルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシル
ビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−
エチルヘキシルビニルエーテル、tert−ペンチルビ
ニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、セシルビ
ニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、ビ
ニル−2−(2−エトキシエトキシ)エチルエーテル、
エチレングリコールブチルビニルエーテル、またはte
rt−アミルビニルエーテルなどであり、アルコキシ置
換または無置換のアルキルビニルエーテル類である。こ
れらのうち、メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プロピル
ビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−
ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテ
ル、またはtert−アミルビニルエーテルがより好ま
しく、更に好ましくは、エチルビニルエーテル、n−プ
ロピルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテ
ル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニル
エーテル、またはtert−ブチルビニルエーテルであ
る。
【0018】ジヒドロフラン類とは、2,3−ジヒドロ
フランまたは2,5−ジヒドロフランであり、反応を阻
害しない限り、フラン環上にアルキルまたはアルコキシ
置換基を有していても構わない。より好ましくは2,3
−ジヒドロフランである。これらのビニルエーテル類の
使用量は、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン1モル
に対して通常10モル以下であり、好ましくは0.1な
いし5モルの範囲であり、より好ましくは0.5ないし
3モルの範囲である。
【0019】原料として用いるp−ヒドロキシ−α−メ
チルスチレンやビニルエーテル類には、安定剤として水
酸化カリウム等のアルカリ性化合物や重合禁止剤等が含
まれている場合があるが、これらは特に蒸留等の精製操
作を行わずにそのまま使用しても特に問題はない。しか
しながら、例えば水酸化カリウムが混入していると触媒
として使用する酸の量が増えることから、事前に精製操
作を行ってこれらの安定剤を除去しておくか、または安
定剤を含まない原料を用いる方がより好ましい。
【0020】酸としては、例えば、塩化水素ガス等のハ
ロゲン化水素、硫酸、リン酸、塩酸、または臭化水素酸
等の鉱酸、ヘテロポリ酸もしくはナフィオン等の固体
酸、または、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢
酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、シュウ酸、クロル
スルホン酸・ピリジン塩、硫酸・ピリジン塩もしくはp
−トルエンスルホン酸・ピリジン塩等の有機酸が挙げら
れ、これらのうち、塩化水素ガス、塩酸、トリフルオロ
酢酸、p−トルエンスルホン酸・ピリジン塩、または硫
酸・ピリジン塩が好ましい。これらの酸は、単独でも、
または2種以上を同時または順次に使用することもでき
る。これらの酸の使用量は、p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン1モルに対して通常2モル以下であり、好ま
しくは、0.00001ないし0.2モルの範囲であ
り、より好ましくは0.0001ないし0.05モルの
範囲である。
【0021】本発明の方法における反応において、溶媒
を用いずに反応を行いうる場合もあるが、通常は溶媒の
存在下で実施する。用いる場合の溶媒としては、反応を
阻害しないものであれば何れでも使用することができる
が、具体的には、例えば、水;n−ヘキサン、n−ペン
タン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または
脂環族の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベン
ゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、
クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の
脂肪族または芳香族ハロゲン化合物;ジエチルエーテ
ル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4
−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、
エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;
アセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノン等のケ
トン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリ
ル類;および酢酸エチルやプロピオン酸エチル等のエス
テル類等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以
上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使
用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、
不均一な複数の相となっても構わない。
【0022】本発明の方法における反応の実施方式は、
特に限定されるものではなく、p−ヒドロキシ−α−メ
チルスチレン、ビニルエーテル類、酸、および使用する
場合の溶媒等が効果的に混合され接触される方法であれ
ば如何なる方法でもよく、回分式、半回分式または連続
流通式の何れでも構わない。
【0023】反応の際の温度および時間は、原料のビニ
ルエーテル類や酸、及び使用する場合の溶媒等の種類や
量により異なり一様ではない。しかしながら、通常反応
温度は零下10℃ないし100℃の範囲であり、好まし
くは、0℃ないし60℃の範囲である。反応時間は、通
常20時間以内であり、好ましくは0.01ないし10
時間の範囲である。反応は場合によって減圧、常圧また
は加圧の何れでも実施できる。
【0024】本発明の方法における反応は、不活性ガス
雰囲気下でも、空気などの分子状酸素の存在下でも行う
ことができる。本発明の方法における反応によって、化
学式(3)で示される1−アルコキシアルコキシ−4−
(1−メチルエテニル)ベンゼンが得られる。次いで、
この得られた1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼンを、化学式(4)で示される有
機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合
させる。
【0025】1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼンは、上記反応によって得られた
反応液より抽出、蒸留、および/または結晶化等の常用
の方法によって処理することにより単離した後使用する
こともできるし、または、反応液より抽出、中和、濾
別、またはイオン交換樹脂処理等通常の操作で酸を除去
した後、単離することなくそのままアニオン重合に使用
することもできる。また、1−アルコキシアルコキシ−
4−(1−メチルエテニル)ベンゼンは、安定化剤とし
て水酸化カリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ成分を
添加して保存しておくことが好ましいが、このアルカリ
成分は除去せずそのままアニオン重合に用いることもで
きる。
【0026】好ましい有機アルカリ金属化合物として
は、ナトリウムナフタレンまたはアントラセンカリウム
が挙げられる。また、ナフタレンとアルカリ金属との組
み合わせ等、重合条件下でこれらの有機アルカリ金属化
合物を発生させることのできる成分の組み合わせであっ
ても、または別途これらの有機アルカリ金属化合物を調
製した後単離せずにそのまま用いてもよい。これらの有
機アルカリ金属化合物の使用量は、それらの種類および
目的とするポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の分子量により一様ではないが、通常1−アルコキ
シアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン1
モルに対して0.5モル以下であり、好ましくは0.0
0001ないし0.1モルの範囲であり、より好ましく
は0.0001ないし0.05モルの範囲である。
【0027】本発明の方法におけるアニオン重合は、有
機溶媒中で行うことが好ましい。この場合に用いられる
有機溶媒は、例えば、n−ヘキサン、n−ペンタン、n
−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族の
炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、ク
メン等の芳香族炭化水素類;およびジエチルエーテル、
ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジ
オキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル等のエーテル類等が挙
げられる。これらは単独でもまたは2種以上を混合して
使用してもよい。また、本発明の反応においてこれらの
溶媒を用いた場合、アニオン重合においても同じ溶媒を
用いるのが、溶媒の回収等の操作の省略化のためにも好
ましい。本発明の方法におけるアニオン重合の実施方式
は、特に限定されるものではなく、1−アルコキシアル
コキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン、有機ア
ルカリ金属化合物、および使用する場合の溶媒等が効果
的に混合され接触される方法であれば如何なる方法でも
よく、回分式、半回分式または連続流通式の何れでも構
わない。
【0028】アニオン重合の際の温度および時間は、1
−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)
ベンゼン、有機アルカリ金属化合物、および使用する場
合の溶媒等の種類や量により異なり一様ではない。しか
しながら、通常重合温度は零下100℃ないし150℃
の範囲であり、好ましくは、零下80℃ないし80℃の
範囲である。重合時間は、通常100時間以内であり、
好ましくは0.01ないし20時間の範囲である。重合
は場合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施で
きる。
【0029】本発明の方法におけるアニオン重合は、ア
ルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気下で行う。また、本
発明の方法におけるアニオン重合では、重合速度や重合
収率等を高めるため等に、クラウンエーテル類やポリグ
リコール類など、これまでにアニオン重合において用い
られている添加剤等を更に用いることもできる。
【0030】目的の重合度に達した時点で、活性水素基
を有する重合停止剤を添加して停止させることにより、
1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニ
ル)ベンゼンのビニル基を通して選択的に重合し、か
つ、重合末端に何ら官能基を有しない、化学式(5)で
示される狭分散性のポリ{1−アルコキシアルコキシ−
4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}が得られる。活
性水素基を有する重合停止剤としては、例えば、水;メ
タノール、エタノール等のアルコール類;および酢酸、
プロピオン酸等の有機カルボン酸類等が挙げられる。
【0031】次いで、この得られたポリ{1−アルコキ
シアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
を、有機溶媒の存在下にプロトン酸と接触させて、脱ア
ルコキシアルコキシ化反応を行う。ポリ{1−アルコキ
シアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
は、上記アニオン重合によって得られた重合液より、例
えばメタノール等の適当な溶剤を用いて沈殿し、洗浄、
乾燥する方法や、脱溶媒し、スチームストリッピング乾
燥または加熱乾燥等の乾燥操作を用いる方法等、通常の
方法によって単離精製した後使用することもできるし、
または、何ら単離操作をすることなくそのまま脱アルコ
キシアルコキシ化反応に使用することもできる。
【0032】プロトン酸としては、例えば、塩化水素等
のハロゲン化水素、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、ま
たはリン酸等の鉱酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢
酸、蓚酸、酢酸、またはマロン酸等のカルボン酸類、ま
たは、p−トルエンスルホン酸もしくはトリフルオロメ
チル硫酸等の有機スルホン酸類等のプロトン酸が挙げら
れ、これらのうち、塩化水素、塩酸、硫酸、トリフルオ
ロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ
メチル硫酸が好ましい。プロトン酸の使用量は、通常、
ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエ
テニル)ベンゼン}の繰り返し単位のモル数に対して
0.00001倍モル以上の量用いられるが、例えば酢
酸等のカルボン酸類は有機溶媒としても使用することが
できる。好ましくは、0.00001ないし0.5倍モ
ルの範囲であり、より好ましくは、0.0001ないし
0.2倍モルの範囲である。
【0033】有機溶媒としては、用いるポリ{1−アル
コキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ン}または生成するポリ(p−ヒドロキシ−α−メチル
スチレン)の少なくとも何れかが溶解する溶媒であれば
何れでも使用することができるが、通常、n−ヘキサ
ン、n−ペンタン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の
脂肪族または脂環族の炭化水素類;ベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;ジ
クロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロ
ロベンゼン等の脂肪族または芳香族ハロゲン化合物;メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、
アミルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリ
コール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジフェニ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、
エチルメチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘプタノ
ン、アセトフェノン等のケトン類;アセトニトリル、プ
ロピオニトリル等のニトリル類;および酢酸エチル、プ
ロピオン酸エチル、乳酸エチル等のエステル類等が挙げ
られる。または、プロトン酸として用いた酢酸等のカル
ボン酸類も挙げられる。これらの有機溶媒は単独でもま
たは2種以上を混合して使用してもよい。これらの溶媒
の使用量は、用いる溶媒の種類により一様ではないが、
通常、ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼン}またはポリ(p−ヒドロキシ
−α−メチルスチレン)の濃度として0.05重量%な
いし50重量%の範囲であり、好ましくは、0.1重量
%ないし30重量%の範囲である。
【0034】本発明の方法における脱アルコキシアルコ
キシ化反応の実施方式は、特に限定されるものではな
く、ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチ
ルエテニル)ベンゼン}、プロトン酸および有機溶媒等
が効果的に混合され接触される方法であれば如何なる方
法でもよく、回分式、半回分式または連続流通式の何れ
でも構わない。
【0035】脱アルコキシアルコキシ化反応の際の温度
および時間は、ポリ{1−アルコキシアルコキシ−4−
(1−メチルエテニル)ベンゼン}の濃度や分子量、プ
ロトン酸の種類や量および有機溶媒等の種類等により異
なり一様ではない。しかしながら、通常脱アルコキシア
ルコキシ化反応の温度は0℃ないし200℃の範囲であ
り、好ましくは、20℃ないし150℃の範囲である。
脱アルコキシアルコキシ化反応の反応時間は、通常20
時間以内であり、好ましくは0.01ないし10時間の
範囲である。また、場合によって減圧、常圧または加圧
の何れでも実施できる。また、この脱アルコキシアルコ
キシ化反応は、不活性ガス雰囲気下でも、空気などの分
子状酸素の存在下でも行うことができる。
【0036】以上の操作により、化学式(1)で示され
る狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)が得られる。この得られたポリ(p−ヒドロキシ−
α−メチルスチレン)は、例えば脱アルコキシアルコキ
シ化反応において炭化水素等の溶解度の低い有機溶媒を
用いた場合、脱アルコキシアルコキシ化反応中に固体と
して析出してくるため、濾過やデカンテーション等の通
常の分離操作により単離することができるし、または、
アルコール等の溶解度の高い有機溶媒を用いた場合、均
一に溶解しているため、抽出、ストリッピングおよびイ
オン交換などの通常の精製操作を行った後、または何ら
精製操作を行わずに、適当な貧溶媒を用いて沈殿させて
分離する方法や、脱溶媒法などの乾燥操作を用いる方法
等の通常の方法によって単離することができる。
【0037】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、これらは限定的ではなく単に説明のためと解され
るべきである。 実施例1 1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンの合成 撹拌機、温度計、内容積30ミリリットルの滴下ロート
および冷却管を装着した、内容積200ミリリットルの
4ッロフラスコに、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン10.0グラム(74.6ミリモル)、酸としてp−
トルエンスルホン酸・ピリジン塩10ミリグラム(0.
04ミリモル)および溶媒として塩化メチレン80.0
ミリリットルを仕込んだ。この液を撹拌しながらウォー
ターバスにより内温を25℃にしたところで、滴下ロー
トよりエチルビニルエーテル5.41グラム(75.0
ミリモル)を塩化メチレン20ミリリットルに溶解させ
た溶液を滴下し始めた。10分かけて滴下した後、その
まま空気雰囲気下で1時間反応させた。滴下開始時は薄
黄色であったが、反応終了時は無色透明となった。ま
た、滴下中若干発熱が認められた。反応終了後、この反
応液を300ミリリットルの分液ロートに移し替え、
0.2N水酸化ナトリウム水溶液100ミリリットルで
1回抽出洗浄し、更にイオン交換水100ミリリットル
にて2回洗浄して酸分を除去した。また、抽出に用いた
アルカリ水と水とは混合し、反応溶媒である塩化メチレ
ンにて逆抽出を行い、最初の有機層部分と混合した。こ
のようにして得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後、高速液体クロマトグラフィーにて成分分析
を行ったところ、目的物である1−(1−エトキシエト
キシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンが14.
7グラム(71.1ミリモル)、および原料のp−ヒド
ロキシ−α−メチルスチレンが0.09グラム(0.6
7ミリモル)含まれており、よってp−ヒドロキシ−α
−メチルスチレンの転化率は99.1%、仕込んだp−
ヒドロキシ−α−メチルスチレンに対する1−(1−エ
トキシエトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ンの収率は95.4%であった。
【0038】この得られたアルカリ処理済みの液より塩
化メチレンを留去させた後、生成した1−(1−エトキ
シエトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを
水素化カルシウム存在下0.5mmHg、60℃にて蒸
留し、精製した。収量は13.2グラムであった。な
お、生成した1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1
−メチルエテニル)ベンゼンは、1H−NMR、13C−
NMR、IRおよび元素分析により同定した。
【0039】ポリ{1−(1−エトキシエトキシ)−4
−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 200ミリリットルのシュレンクフラスコに、アルゴン
雰囲気下、撹拌子を装入し、次いで溶媒としてテトラヒ
ドロフラン50ミリリットルおよびヘキサン50ミリリ
ットル、重合開始剤としてナトリウムナフタレンの0.
4Nテトラヒドロフラン溶液0.5ミリリットル(0.
2ミリモル)を仕込んだ。この液を撹拌しながらドライ
アイス/四塩化炭素バスにより−20℃にした後、蒸留
・精製した1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−
メチルエテニル)ベンゼン10.0グラム(48.5ミ
リモル)を添加した。この溶液はすぐに濃赤色を呈し
た。このまま3時間重合させた後、メタノール5.0ミ
リリットルを加え、重合を停止させた。この重合溶液を
メタノール2.0リットル中に注ぎ、重合体を沈殿させ
て濾過・分離し、更に減圧乾燥させて8.24グラムの
白色重合体を得た。仕込んだ1−(1−エトキシエトキ
シ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンに対する重
量収率は、82.4%であった。得られた白色重合体
は、1H−NMR分析、13C−NMR分析、および元素
分析の結果より、目的とする構造のポリ{1−(1−エ
トキシエトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ン}であった。また、ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は24000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であ
った。 ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)
の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(1−エトキシエトキシ)
−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}5.00グラ
ム、および溶媒としてメタノール30ミリリットルを仕
込んだ。この状態では重合体はほとんど溶解せず、液は
不均一であったが、ここに35%塩酸水溶液0.1ミリ
リットルを加え、室温にて3時間撹拌し酸分解を行っ
た。塩酸水溶液を加えると徐々に不溶物はなくなってい
き、3時間後には無色透明な均一液となった。この酸分
解処理液を水500ミリリットル中に注ぎ、重合体を沈
殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥させて3.7グ
ラムの白色重合体を得た。得られた白色重合体は、1
−NMR分析、13C−NMR、および元素分析の結果よ
り、目的とする構造のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)であった。また、ポリスチレンを標準とす
るGPC分析の結果、重量平均分子量(Mw)は185
00であり、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.
08であった。
【0040】比較例1 実施例1において、酸として用いたp−トルエンスルホ
ン酸・ピリジン塩を用いなかった以外は、すべて実施例
1と同様に反応し、同様にアリカリ抽出・乾燥を行い、
アルカリ処理済みの液を得た。実施例1と同様に分析を
行ったところ、目的とする1−(1−エトキシエトキ
シ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンの生成は認
められなかった。
【0041】実施例2 1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンの合成 実施例1において、溶媒として用いた塩化メチレンの代
わりにテトラヒドロフランを用い、すべての操作を窒素
雰囲気下で行った以外は、すべて実施例1と同様に1時
間反応させた。反応終了後、この反応液にICNアルミ
ナN−活性1(ICNバイオメディカル社製)10.0
グラムを加え、更に内径4.7センチメートルのガラス
フィルター上に更にこの活性アルミナを敷いたフィルタ
ーにて、この反応液を減圧濾過し、テトラヒドロフラン
10ミリリットルで2回洗浄し、これら濾液を合わせて
約120ミリリットルの活性アルミナ処理液を得た。実
施例1と同様に反応成績を計算したところ、4−(1−
メチルエテニル)フェノールの転化率は99.4%、仕
込んだ4−(1−メチルエテニル)フェノールに対する
1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンの収率は97.8%であった。
【0042】ポリ{1−(1−エトキシエトキシ)−4
−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 このアルミナ処理液100ミリリットルをそのまま20
0ミリリットルのシュレンクフラスコに装入し、撹拌子
を装入し、充分アルゴン置換を行った後、撹拌しながら
ドライアイス/メタノールバスにより−78℃にし、重
合開始剤としてナトリウムナフタレンの0.4Nテトラ
ヒドロフラン溶液0.5ミリリットル(0.2ミリモ
ル)を添加した。このまま6時間重合させた後、メタノ
ール5.0ミリリットルを加え、重合を停止させた。こ
の重合溶液をメタノール2.0リットル中に注ぎ、重合
体を沈殿させて濾過・分離し、更に減圧乾燥させて6.
13グラムのポリ{1−(1−エトキシエトキシ)−4
−(1−メチルエテニル)ベンゼン}を得た。原料であ
る4−(1−メチルエテニル)フェノールに対する単離
したポリ{1−(1−エトキシエトキシ)−4−(1−
メチルエテニル)ベンゼン}の重量収率は、途中のロス
を考慮に入れずに61.3%であった。また、ポリスチ
レンを標準とするGPC分析の結果、重量平均分子量
(Mw)は16000であり、そして分子量分散度(M
w/Mn)は1.08であった。
【0043】ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(1−エトキシエトキシ)
−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}5.00グラ
ム、および溶媒としてエタノール30ミリリットルを仕
込んだ。ここに1.0N硫酸水溶液1.0ミリリットル
を加え、60℃にて1時間撹拌し酸分解を行った。この
酸分解処理液を水500ミリリットル中に注ぎ、重合体
を沈殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥させて3.
6グラムのポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)を得た。ポリスチレンを標準とするGPC分析の結
果、重量平均分子量(Mw)は12500であり、そし
て分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であった。
【0044】実施例3 1−(1−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−
メチルエテニル)ベンゼンの合成 実施例1において、エチルビニルエーテルの代わりにt
ert−ブチルビニルエーテルを7.46グラム(7
4.5ミリモル)用いた以外は、すべて実施例1と同様
に反応させ、同様にアリカリ抽出・乾燥を行い、アルカ
リ処理済みの液を得た。高速液体クロマトグラフィーに
より成分分析を行ったところ、目的物である1−(1−
tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−メチルエテ
ニル)ベンゼンが15.95グラム(68.0ミリモ
ル)、および原料のp−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンが0.35グラム(2.61ミリモル)含まれてお
り、よってp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの転化
率は96.5%、仕込んだp−ヒドロキシ−α−メチル
スチレンに対する1−(1−tert−ブトキシエトキ
シ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンの収率は9
1.3%であった。
【0045】このアルカリ処理済みの液より塩化メチレ
ンを留去した後、水素化ナトリウムの存在下、減圧蒸留
し、11.8グラムの1−(1−tert−ブトキシエ
トキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを得
た。
【0046】ポリ{1−(1−tert−ブトキシエト
キシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 実施例1と同様の重合装置に、溶媒としてベンゼン80
ミリリットル、重合開始剤として別途調製したアントラ
センカリウムの0.3Nテトラヒドロフラン溶液2.3
ミリリットル(0.7ミリモル)を仕込んだ。この液を
撹拌しながらウォーターバスにより35℃にした後、1
−(1−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−メ
チルエテニル)ベンゼン10.0グラム(42.7ミリ
モル)を添加した。このまま8時間重合させた後、メタ
ノール5.0ミリリットルを加えて重合を停止させた。
この重合溶液をメタノール2.0リットル中に注ぎ、重
合体を沈殿させて濾過・分離し、更に減圧乾燥させて
7.52グラムの白色重合体を得た。仕込んだ1−(1
−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1−メチルエ
テニル)ベンゼンに対する重量収率は、75.2%であ
った。得られた白色重合体は、1H−NMR分析、13
−NMR、および元素分析の結果より、目的とするポリ
{1−(1−tert−ブトキシエトキシ)−4−(1
−メチルエテニル)ベンゼン}であった。また、ポリス
チレンを標準とするGPC分析の結果、重量平均分子量
(Mw)は21000であり、そして分子量分散度(M
w/Mn)は1.07であった。
【0047】ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(1−tert−ブトキシ
エトキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
5.00グラム、および溶媒としてアセトン30ミリリ
ットルを仕込んだ。ここに35%塩酸水溶液0.1ミリ
リットルを加え、室温にて3時間撹拌し酸分解を行っ
た。この酸分解処理液を水500ミリリットル中に注
ぎ、重合体を沈殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥
させて2.5グラムのポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)を得た。ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は11000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.07であ
った。
【0048】実施例4 1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1−
メチルエテニル)ベンゼンの合成 撹拌機、温度計、内容積300ミリリットルの滴下ロー
トおよび冷却管を装着した、内容積2.0リットルの4
ッロフラスコに、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン
100グラム(0.746モル)、酸として塩化水素の
1Nジエチルエーテル溶液50ミリリットル(50ミリ
モル)および溶媒としてジエチルエーテル1.0リット
ルを仕込んだ。この液を撹拌しながら内温を0℃に氷冷
したところで、滴下ロートより2,3−ジヒドロフラン
157.7グラム(2.25モル)を滴下し始めた。3
0分かけて滴下した後、そのまま空気雰囲気下で8時間
反応させた。反応終了後、この反応液を3.0リットル
の分液ロートに移し替え、0.2N水酸化ナトリウム水
溶液1.0リットルで3回抽出洗浄し、更にイオン交換
水1.0リットルにて2回洗浄して酸分を除去した。ま
た、抽出に用いたアルカリ水と水とは混合し、反応溶媒
であるジエチルエーテルにて逆抽出を行い、最初の有機
層部分と混合した。このように得られた有機溶液を無水
硫酸ナトリウムで乾燥した後、高速液体クロマトグラフ
ィーにて成分分析を行ったところ、目的物である1−
(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1−メチ
ルエテニル)ベンゼンが91.6グラム(0.476モ
ル)、および原料のp−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ンが25.2グラム(0.207モル)含まれており、
よってp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの転化率は
72.3%、仕込んだp−ヒドロキシ−α−メチルスチ
レンに対する1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)
−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンの収率は63.
8%であった。この得られたアルカリ処理済みの有機溶
液よりジエチルエーテルを留去させた後、生成した1−
(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1−メチ
ルエテニル)ベンゼンを水素化カルシウム存在下2.0
mmHg、80℃にて蒸留し、精製した。収量は82.
4グラムであった。なお、生成した1−(2−テトラヒ
ドロフラニルオキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベ
ンゼンは、1H−NMR、13C−NMR、IRおよび元
素分析により同定した。
【0049】ポリ{1−(2−テトラヒドロフラニルオ
キシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}の合成 200ミリリットルのシュレンクフラスコに、アルゴン
雰囲気下、撹拌子を装入し、次いで溶媒としてテトラヒ
ドロフラン40ミリリットルおよびヘキサン40ミリリ
ットル、重合開始剤としてナトリウムナフタレンの0.
4Nシクロヘキサン溶液2.3ミリリットル(0.9ミ
リモル)を仕込んだ。この液を撹拌しながらドライアイ
ス/四塩化炭素バスにより−20℃にした後、蒸留・精
製した1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−
(1−メチルエテニル)ベンゼン20.0グラム(9
7.9ミリモル)を添加した。このまま3時間重合させ
た後、メタノール5.0ミリリットルを加え、重合を停
止させた。この重合溶液をメタノール2.0リットル中
に注ぎ、重合体を沈殿させて濾過・分離し、更に減圧乾
燥させて17.26グラムの白色重合体を得た。仕込ん
だ1−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)−4−(1
−メチルエテニル)ベンゼンに対する重量収率は、8
6.3%であった。得られた白色重合体は、1H−NM
R分析、13C−NMR、および元素分析の結果より、目
的とする構造を有するポリ{1−(2−テトラヒドロフ
ラニルオキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼ
ン}であった。また、ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は19000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であ
った。
【0050】ポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
ン)の合成 撹拌子を装入した内容積100ミリリットルの三角フラ
スコに、合成したポリ{1−(2−テトラヒドロフラニ
ルオキシ)−4−(1−メチルエテニル)ベンゼン}
5.00グラム、および溶媒としてメタノール30ミリ
リットルを仕込んだ。ここに35%塩酸水溶液0.1ミ
リリットルを加え、室温にて3時間撹拌し酸分解を行っ
た。この酸分解処理液を水500ミリリットル中に注
ぎ、重合体を沈殿させて、濾過・分離し、更に減圧乾燥
させて3.1グラムのポリ(p−ヒドロキシ−α−メチ
ルスチレン)を得た。ポリスチレンを標準とするGPC
分析の結果、重量平均分子量(Mw)は12000であ
り、そして分子量分散度(Mw/Mn)は1.08であ
った。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法によれば、p−ヒドロキシ
−α−メチルスチレンをビニルエーテル類との反応によ
りアルコキシアルコキシ化した後、ある種の開始剤によ
りアニオン重合させ、これをプロトン酸と接触させるこ
とにより、化学増幅型フォトレジスト材等に有用な、末
端に官能基を有しない、狭分散性のポリ(p−ヒドロキ
シ−α−メチルスチレン)を簡便に、任意の分子量で、
しかも高収率で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 烈 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が1000ないし800
    00であり、かつ重量平均分子量と数平均分子量との比
    が1.5以下である、化学式(1) 【化1】 (式中、m、nはそれぞれ10ないし500の整数を示
    す。)で示される狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α
    −メチルスチレン)。
  2. 【請求項2】 p−ヒドロキシ−α−メチルスチレ
    ンと化学式(2) 【化2】 (式中、R1 は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
    ル基、R2 は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
    たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3 は、炭素数1
    ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
    基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
    素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
    ール基を示し、また、R2 とR3 とは互いに結合して環
    構造を形成してもよい。)で示されるビニルエーテル類
    とを酸の存在下に反応させて化学式(3) 【化3】 (式中、R1は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
    ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
    たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
    ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
    基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
    素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
    ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
    造を形成してもよい。)で示される1−アルコキシアル
    コキシ−4−(1−メチルエテニル)ベンゼンを製造
    し、 これを化学式(4) 【化4】M−Ar (4) (式中、Arはナフタレン、アントラセン、インデン、
    シクロペンタジエンおよびフルオレンよりなる群から選
    ばれる有機基、Mはリチウム、ナトリウム、カリウムお
    よびセシウムよりなる群から選ばれるアルカリ金属を示
    す。)で示される有機アルカリ金属化合物を重合開始剤
    としてアニオン重合させて、化学式(5) 【化5】 (式中、R1は、水素または炭素数1ないし3のアルキ
    ル基、R2は、水素、炭素数1ないし6のアルキル基ま
    たは炭素数1ないし6アルコキシ基、R3は、炭素数1
    ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアルキル
    基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、または炭
    素数6ないし20の無置換またはアルコキシ置換のアリ
    ール基を示し、また、R2とR3とは互いに結合して環構
    造を形成してもよい。また、m、nはそれぞれ10ない
    し500の整数を示す。)で示される狭分散性のポリ
    {1−アルコキシアルコキシ−4−(1−メチルエテニ
    ル)ベンゼン}を製造し、 次いで、これを有機溶媒の存在下にプロトン酸と接
    触させて、脱アルコキシアルコキシ化反応を行うことを
    特徴とする、化学式(1)で示される狭分散性のポリ
    (p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)の製造方法。
  3. 【請求項3】 ビニルエーテル類がアルキルビニルエー
    テル類または2,3−ジヒドロフランである請求項2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルキルビニルエーテル類がメチルビニ
    ルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニ
    ルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、n−ブ
    チルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、
    tert−ブチルビニルエーテル、またはtert−ア
    ミルビニルエーテルである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 有機アルカリ金属化合物が、ナトリウム
    ナフタレンまたはアントラセンカリウムである請求項2
    ないし4のいずれかに記載の方法。
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